特許第6536377号(P6536377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6536377
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20190625BHJP
【FI】
   H01L29/78 652F
   H01L29/78 653C
   H01L29/78 652K
   H01L29/78 652J
   H01L29/78 652H
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-228938(P2015-228938)
(22)【出願日】2015年11月24日
(65)【公開番号】特開2017-98403(P2017-98403A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 仁哉
(72)【発明者】
【氏名】小野 賢士
(72)【発明者】
【氏名】岡野 真幸
【審査官】 杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−520430(JP,A)
【文献】 特開平11−026760(JP,A)
【文献】 特開2009−200300(JP,A)
【文献】 特開2013−084905(JP,A)
【文献】 特開2008−288367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型のドレイン層と、
前記ドレイン層よりも不純物濃度が低い第1導電型のドリフト層と、
前記ドリフト層の上に形成された第2導電型のボディ層と、
前記ボディ層を貫通し且つ前記ドリフト層まで到達しているトレンチと、
前記トレンチ内に収容され且つ絶縁膜を介して前記ボディ層と対向しているゲート電極と、
前記トレンチの下方位置に設けられた第2導電型のフローティング領域と、
を備えている半導体装置であって、
前記トレンチは、所定のピッチで複数配列されており、前記複数のトレンチに対応させて、前記ゲート電極及び前記フローティング領域は複数配列されており、
前記複数のトレンチは、
第1ピッチだけ離間して配置されている第1トレンチ及び第2トレンチと、
前記第2トレンチに対して、前記第1ピッチよりも短い第2ピッチだけ離れた位置に配置されている第3トレンチと、を備え、
前記ボディ層における前記第1トレンチと前記第2トレンチとの間の部分である広ボディ部分には、
第2導電型のボディコンタクト領域と、
前記ボディコンタクト領域の両側に配置され、前記ドリフト層よりも不純物濃度が高い第1導電型の特定拡散領域としてのソース領域と、が形成されており、
前記ボディ層における前記第2トレンチと前記第3トレンチとの間の部分であって、前記広ボディ部分よりも前記複数のトレンチの配列方向の長さが短い狭ボディ部分は、第2導電型のみで構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記フローティング領域は、前記ドリフト層に囲まれている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記フローティング領域は、前記ドリフト層の下に形成されている拡散層まで到達している請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1導電型コラムと第2導電型コラムとが交互に配列されて構成されたドリフト層と、
前記ドリフト層の上に形成された第2導電型のボディ層と、
前記ボディ層を貫通し且つ前記第1導電型コラムまで到達しているトレンチと、
前記トレンチ内に収容され且つ絶縁膜を介して前記ボディ層と対向しているゲート電極と、
前記ボディ層における前記第2導電型コラムの上方部分に形成された第2導電型のボディコンタクト領域と、を備えているスーパージャンクション構造の半導体装置であって、
前記ドリフト層は、
前記第2導電型コラムとして、第1コラムピッチだけ離間して配置されている第1の第2導電型コラム及び第2の第2導電型コラムと、前記第2の第2導電型コラムに対して、前記第1コラムピッチよりも短い第2コラムピッチだけ離れた位置に配置されている第3の第2導電型コラムとを有し、
前記第1の第2導電型コラム及び前記第2の第2導電型コラム及び前記第3の第2導電型コラムは、同一の幅を有し、
前記第1導電型コラムとして、前記第1の第2導電型コラムと前記第2の第2導電型コラムとの間に配置されている第1の第1導電型コラム、及び、前記第2の第2導電型コラムと前記第3の第2導電型コラムとの間に配置され、前記第1の第1導電型コラムよりも前記両コラムの配列方向の長さが短い第2の第1導電型コラムを有し、
前記ボディ層における前記第1の第1導電型コラムの上方部分である広ボディ部分には、前記第1導電型コラムよりも不純物濃度が高い第1導電型の特定拡散領域が形成されており、
前記ボディ層における前記第2の第1導電型コラムの上方部分である狭ボディ部分は、第2導電型のみで構成されていることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置として、例えば、ドリフト層と、当該ドリフト層の上に形成されたボディ層と、ボディ層を貫通し且つドリフト層まで到達しているトレンチと、当該トレンチ内に収容され且つ絶縁膜を介してボディ層と対向しているゲート電極とを備えた半導体装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、ドリフト層におけるトレンチの下方位置にフローティング領域が設けることにより、耐圧の向上とオン抵抗の低減とを図ることができる点が記載されている。
【0003】
また、例えば特許文献2には、IGBT領域とダイオード領域とが同一半導体基板に形成されている半導体装置において、IGBT動作時のアバランシェ耐量を確保するために、アバランシェ電流が集中する箇所においてボディコンタクト層を大きく形成することが記載されている。また、特許文献2には、トレンチ間の間隔が広い方が、アバランシェ電流が集中し易い点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−158275号公報
【特許文献2】国際公開第2014/125584号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、半導体装置においては、その構造上、寄生トランジスタが形成される。この場合、何らかの要因によってアバランシェ動作が発生すると、上記寄生トランジスタがON状態となり得る。すると、半導体装置に異常が発生し得る。このため、半導体装置においては、アバランシェ動作が発生した場合に異常が発生しにくいようにすることが求められる場合がある。
【0006】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的はアバランシェ耐量の向上を図ることができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する半導体装置は、第1導電型のドレイン層と、前記ドレイン層よりも不純物濃度が低い第1導電型のドリフト層と、前記ドリフト層の上に形成された第2導電型のボディ層と、前記ボディ層を貫通し且つ前記ドリフト層まで到達しているトレンチと、前記トレンチ内に収容され且つ絶縁膜を介して前記ボディ層と対向しているゲート電極と、前記トレンチの下方位置に設けられた第2導電型のフローティング領域と、を備え、前記トレンチは、所定のピッチで複数配列されており、前記複数のトレンチに対応させて、前記ゲート電極及び前記フローティング領域は複数配列されており、前記複数のトレンチは、第1ピッチだけ離間して配置されている第1トレンチ及び第2トレンチと、前記第2トレンチに対して、前記第1ピッチよりも短い第2ピッチだけ離れた位置に配置されている第3トレンチと、を備え、前記ボディ層における前記第1トレンチと前記第2トレンチとの間の部分である広ボディ部分には、第2導電型のボディコンタクト領域と、前記ボディコンタクト領域の両側に配置され、前記ドリフト層よりも不純物濃度が高い第1導電型の特定拡散領域としてのソース領域と、が形成されており、前記ボディ層における前記第2トレンチと前記第3トレンチとの間の部分であって、前記広ボディ部分よりも前記複数のトレンチの配列方向の長さが短い狭ボディ部分は、第2導電型のみで構成されていることを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、フローティング領域が形成されている構成において第2ピッチが第1ピッチよりも短い場合、第2トレンチと第3トレンチとの間にアバランシェ電流が誘導される。これにより、アバランシェ電流は、第1トレンチと第2トレンチとの間よりも、第2トレンチと第3トレンチとの間に優先的に流れる。したがって、第1トレンチと第2トレンチとの間に流れるアバランシェ電流を小さくできるため、第1トレンチと第2トレンチとの間に存在している寄生トランジスタがON状態となることを抑制できる。また、第2トレンチと第3トレンチとの間にある狭ボディ部分には第1導電型の領域が存在しないため、第2トレンチと第3トレンチとの間には寄生トランジスタが存在しない。したがって、第2トレンチと第3トレンチとの間に大きなアバランシェ電流が流れても異常が生じにくい。よって、アバランシェ耐量の向上を図ることができる。
【0009】
上記半導体装置について、前記フローティング領域は、前記ドリフト層に囲まれているとよい。かかる構成によれば、拡散層と特定拡散領域との間に電圧が印加された場合、第2トレンチ及び第3トレンチの下方位置にある両フローティング領域の下側部分における互いに対向している箇所にて電界集中が発生する。これにより、アバランシェ電流が第2トレンチと第3トレンチとの間に誘導されるため、上述した効果を得ることができる。
【0010】
上記半導体装置について、前記フローティング領域は、前記ドリフト層の下に形成されている拡散層まで到達しているとよい。かかる構成によれば、拡散層と特定拡散領域との間に電圧が印加された場合、第2トレンチ及び第3トレンチの下方位置にある両フローティング領域における拡散層との境界付近であって互いに対向している箇所にて電界集中が発生する。これにより、アバランシェ電流が第2トレンチと第3トレンチとの間に誘導される。よって、上述した効果を得ることができる。
【0011】
上記目的を達成する半導体装置は、第1導電型コラムと第2導電型コラムとが交互に配列されて構成されたドリフト層と、前記ドリフト層の上に形成された第2導電型のボディ層と、前記ボディ層を貫通し且つ前記第1導電型コラムまで到達しているトレンチと、前記トレンチ内に収容され且つ絶縁膜を介して前記ボディ層と対向しているゲート電極と、前記ボディ層における前記第2導電型コラムの上方部分に形成された第2導電型のボディコンタクト領域と、を備えているスーパージャンクション構造であって、前記ドリフト層は、前記第2導電型コラムとして、第1コラムピッチだけ離間して配置されている第1の第2導電型コラム及び第2の第2導電型コラムと、前記第2の第2導電型コラムに対して、前記第1コラムピッチよりも短い第2コラムピッチだけ離れた位置に配置されている第3の第2導電型コラムとを有し、前記第1の第2導電型コラム及び前記第2の第2導電型コラム及び前記第3の第2導電型コラムは、同一の幅を有し、前記第1導電型コラムとして、前記第1の第2導電型コラムと前記第2の第2導電型コラムとの間に配置されている第1の第1導電型コラム、及び、前記第2の第2導電型コラムと前記第3の第2導電型コラムとの間に配置され、前記第1の第1導電型コラムよりも前記両コラムの配列方向の長さが短い第2の第1導電型コラムを有し、前記ボディ層における前記第1の第1導電型コラムの上方部分である広ボディ部分には、前記第1導電型コラムよりも不純物濃度が高い第1導電型の特定拡散領域が形成されており、前記ボディ層における前記第2の第1導電型コラムの上方部分である狭ボディ部分は、第2導電型のみで構成されていることを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、アバランシェ電流は、第1の第1導電型コラムよりも第2の第1導電型コラムに優先的に流れる。これにより、第1の第1導電型コラム及び広ボディ部分に流れるアバランシェ電流を小さくすることができるため、第1の第1導電型コラム及び広ボディ部分によって形成される寄生トランジスタがON状態となることを抑制できる。また、第2の第1導電型コラムの上方部分である狭ボディ部分には第1導電型の領域が形成されていないため、寄生トランジスタが形成されない。したがって、第2の第1導電型コラム及び狭ボディ部分に大きなアバランシェ電流が流れても異常が生じにくい。よって、アバランシェ耐量の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、アバランシェ耐量の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の半導体装置の断面構造を模式的に示す断面図。
図2】第2実施形態の半導体装置の断面構造を模式的に示す断面図。
図3】別例のフローティング領域を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、半導体装置の第1実施形態について説明する。なお、図示の都合上、図1においては、実際の寸法とは異なる寸法で示す。
【0016】
図1に示すように、半導体装置10は、半導体基板11と、半導体基板11に設けられた複数の半導体素子として複数のセル12とを備えている。複数のセル12は、一方向に並んで配列されている。本実施形態では、複数のセル12は、トレンチ型のMOSFETを含む。
【0017】
半導体基板11は、拡散層としてのn型のドレイン層13と、ドレイン層13の上に形成されたドリフト層14と、ドリフト層14の上に形成されたp型のボディ層15とを備えている。つまり、半導体基板11は、ドレイン層13→ドリフト層14→ボディ層15の順に積層された構造となっている。ドリフト層14は、ドレイン層13の不純物濃度よりも低いn型である。換言すれば、ドレイン層13は、ドリフト層14の下に形成され且つ当該ドリフト層14よりも不純物濃度が高い層である。
【0018】
半導体基板11の製造方法については任意であるが、例えばドレイン層13を構成するバルク基板の上にドリフト層14をエピタキシャル成長させ、その後イオン注入によってボディ層15を形成する方法などが考えられる。バルク基板の材料は、任意であるが、例えばSi(シリコン)やSiC(炭化ケイ素)等が考えられる。
【0019】
なお、言うまでもないが念のため説明すると、各層13〜15の積層方向は鉛直方向に限られない。また、上(又は上方)及び下(又は下方)とは、あくまで相対的な関係を示すのに便宜上用いるものであって、鉛直方向上方及び鉛直方向下方に限られない。以降の説明においても同様である。
【0020】
図1に示すように、半導体基板11には、ボディ層15を貫通し且つドリフト層14まで到達している複数のトレンチ21〜24が形成されている。複数のトレンチ21〜24は、所定のピッチで一方向に配列されている。各トレンチ21〜24は、各トレンチ21〜24の配列方向と直交する方向に延びている。各トレンチ21〜24の形状は同一である。各トレンチ21〜24は、半導体基板11の表面から下方に向けて延びている。各トレンチ21〜24の深さ寸法は、ボディ層15の厚さよりも深く設定されている。なお、半導体基板11の表面とはボディ層15の上面とも言える。
【0021】
各トレンチ21〜24内にはそれぞれ、ゲート電極25と埋込絶縁膜(絶縁膜)26とが設けられている。埋込絶縁膜26は、トレンチ21〜24内に堆積されているとともにトレンチ21〜24の側壁に形成されている。ゲート電極25は、埋込絶縁膜26に囲まれた状態でトレンチ21〜24内に収容されている。ゲート電極25は、埋込絶縁膜26を介して、ボディ層15と対向している。また、ゲート電極25の底面は、ボディ層15の下面、詳細にはボディ層15とドリフト層14との界面よりも下方に突出している。すなわち、ゲート電極25は、埋込絶縁膜26を介して、ボディ層15及びドリフト層14の双方と対向するように配置されている。
【0022】
また、トレンチ21〜24の底部21a〜24aとゲート電極25の底面との埋込絶縁膜26の厚み(深さ)は、ゲート電極25がボディ層15と対向している部分の厚みより十分に厚く形成されており、例えばゲート電極25の上下方向の長さよりも厚く形成されている。したがって、ゲート電極25の底面と、後述のフローティング領域28との距離を十分に取ることができている。
【0023】
図1に示すように、埋込絶縁膜26の上方には層間絶縁膜27が形成されている。層間絶縁膜27は、埋込絶縁膜26の上面、及び、半導体基板11の表面における各トレンチ21〜24の周縁部分を覆っている。
【0024】
なお、本実施形態では、図1に示すように、ゲート電極25の上面は半導体基板11の表面よりも若干下方に位置しており、埋込絶縁膜26によって覆われているが、これに限られず、例えばゲート電極25の上面が半導体基板11の表面と揃っている構成でもよい。この場合、ゲート電極25の上面は層間絶縁膜27によって覆われる。また、埋込絶縁膜26及び層間絶縁膜27の具体的材料は任意であるが、例えばシリコン酸化膜等が考えられる。
【0025】
ドリフト層14における各トレンチ21〜24の下方位置にはそれぞれ、p型のフローティング領域28が形成されている。各フローティング領域28は、各トレンチ21〜24に沿って延びている。本実施形態の各フローティング領域28はそれぞれ、例えば延設方向と直交する断面がオーバル形状であり、ドリフト層14に囲まれている。各フローティング領域28は、トレンチ21〜24の底部21a〜24aを覆っている。各フローティング領域28とボディ層15とは分離している。また、各フローティング領域28とドレイン層13とは離間しており、両者の間にはドリフト層14が介在している。なお、各フローティング領域28は、例えば各トレンチ21〜24の底部21a〜24aからp型の不純物イオンを注入することにより形成される。
【0026】
かかる構成によれば、電界が集中する箇所が、ゲート電極25の底面付近と、フローティング領域28とに分散される。このため、フローティング領域28がない構成、すなわちゲート電極25の底面付近にのみ電界が集中する構成と比較して、電界のピークが緩和されるため、耐圧の向上を図ることができる。
【0027】
図1に示すように、第1トレンチ21と第2トレンチ22とは、第1ピッチL1だけ離間しており、第2トレンチ22と第3トレンチ23とは、第1ピッチL1よりも短い第2ピッチL2だけ離間している。そして、第3トレンチ23と第4トレンチ24とは第1ピッチL1だけ離間している。
【0028】
ゲート電極25は、複数のトレンチ21〜24に対応させて複数配列されている。詳細には、ゲート電極25は、各トレンチ21〜24と同一ピッチで配列されている。同様に、各フローティング領域28は、各トレンチ21〜24に対応させて複数配列されている。詳細には、第2トレンチ22に対応するフローティング領域28と第3トレンチ23に対応するフローティング領域28との間隔は、第1トレンチ21に対応するフローティング領域28と第2トレンチ22に対応するフローティング領域28との間隔よりも短い。
【0029】
ちなみに、本実施形態では、各トレンチ21〜24同士の間を1つのセルとする。すなわち、第1トレンチ21と第2トレンチ22との間の部分により第1セル31が構成され、第2トレンチ22と第3トレンチ23との間の部分により第2セル32が構成され、第3トレンチ23と第4トレンチ24との間の部分により第3セル33が構成されている。この場合、両ピッチL1,L2は、セルのピッチとも言える。
【0030】
ここで、両ピッチL1,L2が異なっているため、ボディ層15における第1セル31を構成する第1ボディ部分41は、第2セル32を構成する第2ボディ部分42よりも、幅が広くなっている。第1ボディ部分41は、ボディ層15における第1トレンチ21と第2トレンチ22との間の部分であり、第2ボディ部分42は、ボディ層15における第2トレンチ22と第3トレンチ23との間の部分である。ボディ層15における第3セル33を構成する部分である第3ボディ部分43の幅は、第1ボディ部分41の幅と同一である。なお、両ボディ部分41,42の幅とは各トレンチ21〜24の配列方向の長さとも言える。また、第1ボディ部分41及び第3ボディ部分43が「広ボディ部分」に対応し、第2ボディ部分42が「狭ボディ部分」に対応する。
【0031】
また、ドリフト層14における第2トレンチ22と第3トレンチ23との間の幅である第2ドリフト幅X2が、第1トレンチ21と第2トレンチ22との間の幅である第1ドリフト幅X1よりも短くなっている。なお、第1ドリフト幅X1は第1ボディ部分41の幅とも言え、第2ドリフト幅X2は第2ボディ部分42の幅とも言える。
【0032】
図1に示すように、第1ボディ部分41及び第3ボディ部分43には、ボディ層15よりも不純物濃度が高いp型のボディコンタクト領域44と、当該ボディコンタクト領域44の両側に配置された特定拡散領域としてのソース領域45とが設けられている。ソース領域45は、ドリフト層14よりも不純物濃度が高いn型である。
【0033】
ボディコンタクト領域44及びソース領域45は、半導体基板11の表面に設けられている。ボディコンタクト領域44は、例えば第1ボディ部分41及び第3ボディ部分43の幅方向の中央付近に設けられている。ソース領域45における幅方向の両端面のうち一方の端面は、ボディコンタクト領域44と接しており、他方の端面は各トレンチ21〜24の側壁を構成している。この場合、ソース領域45とボディコンタクト領域44とは互いに接合されており、ソース領域45とゲート電極25とは埋込絶縁膜26によって絶縁されている。
【0034】
第2ボディ部分42には、ボディコンタクト領域44が形成されている一方、ソース領域45は形成されていない。すなわち、本実施形態の第2ボディ部分42は、p型(p型を含む)のみで構成されており、当該第2ボディ部分42には、n型の領域が存在しない。なお、ソース領域45の製造方法は任意であるが、例えばソース領域45に対応する部分以外をマスキングした状態で、n型の不純物イオンを注入する方法等が考えられる。
【0035】
かかる構成においては、第1セル31及び第3セル33は、ON/OFF動作するスイッチング素子(本実施形態ではMOSFET)として機能する一方、第2セル32は、スイッチング素子として機能しない。
【0036】
ちなみに、説明及び図示の都合上、3つのセル31〜33について説明したが、実際には4つ以上の複数のセルが一方向に配列されている。この場合、第2セル32は、半導体基板11上に少なくとも1つあればよい。
【0037】
例えば、上記3つのセル31〜33を1つの単位セル群として、当該単位セル群が複数配列されている構成でもよい。この場合、第2セル32が、所定のピッチで配列されることとなる。また、半導体基板11上に、第1セル31が複数配列されたセル群の集合領域と、第2セル32が複数配列されたセル群の集合領域とが存在する構成でもよい。つまり、第2セル32は周期的に配置されている構成に限られず、集合して存在してもよい。
【0038】
なお、図示は省略するが、半導体装置10は、半導体基板11の表面(上面)に形成された表面電極と、半導体基板11の裏面(下面)に形成され且つドレイン層13と接合されている裏面電極とを備えている。表面電極は、各ボディ部分41〜43に形成されているボディコンタクト領域44と、第1ボディ部分41及び第3ボディ部分43に形成されているソース領域45とに接合されている。
【0039】
また、本実施形態では、半導体装置10は、例えば車両に搭載されており、車両に搭載されたモータを駆動させるのに用いられる。詳細には、例えば半導体装置10は、車両に搭載されたDC電源に電気的に接続されているとともにモータのコイルに電気的に接続されており、DC電源から供給される直流電力を、モータが駆動可能な交流電力に変換するインバータとして用いられる。この場合、第1セル31又は第3セル33(MOSFET)のターンオフ時にはコイルにてサージ電圧が発生し、アバランシェ動作が発生し得る。
【0040】
次に本実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、第1ボディ部分41及び第3ボディ部分43には、ソース領域45が形成されているため、第1セル31及び第3セル33には、寄生npnトランジスタQpが形成される。一方、第2ボディ部分42にはソース領域45が形成されていないため、第2セル32には寄生npnトランジスタQpは存在しない。
【0041】
また、第2ピッチL2が第1ピッチL1よりも短いため、第2ドリフト幅X2が第1ドリフト幅X1よりも短くなっている。このため、第1セル31又は第3セル33のターンオフ時に発生するアバランシェ電流は、第2セル32に優先的に流れる。
【0042】
詳述すると、第2ドリフト幅X2が第1ドリフト幅X1よりも短い場合、ドレイン層13とソース領域45との間に電圧が印加された場合の等電位線の曲率は、第2セル32の方が大きくなる。すると、第2トレンチ22に対応するフローティング領域28の下側部分のうち第3トレンチ23寄りのコーナ部分P1、及び、第3トレンチ23に対応するフローティング領域28の下側部分のうち第2トレンチ22寄りのコーナ部分P2にて、等電位線が集中する。すなわち、電界集中は、ゲート電極25の底面付近よりも、互いに対向している両コーナ部分P1,P2にて優先的に生じる。すると、上記両コーナ部分P1,P2にて、インパクトイオンが発生し、アバランシェ電流が第2セル32に誘導されることとなる。
【0043】
そして、アバランシェエネルギは、アバランシェ電流が第2セル32を流れることにより、第2セル32にて消費される。この場合、既に説明した通り、第2セル32には寄生npnトランジスタQpが存在していないため、アバランシェ電流によって寄生npnトランジスタQpがON状態となる事態がそもそも発生しない。
【0044】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)半導体装置10は、n型のドリフト層14と、ドリフト層14の上に形成されたp型のボディ層15と、ボディ層15を貫通し且つドリフト層14まで到達している複数のトレンチ21〜24とを備えている。半導体装置10は、トレンチ21〜24内に収容され且つ埋込絶縁膜26を介してボディ層15と対向しているゲート電極25と、トレンチ21〜24の下方位置に設けられたp型のフローティング領域28とを備えている。これにより、電界が集中する箇所が、フローティング領域28及びゲート電極25の底面付近の2箇所となるため、局所的な電界集中を抑制することができる。したがって、耐圧の向上を図ることができる。また、所望の耐圧を確保しつつ、ドリフト層14の不純物濃度を高くすることができるため、オン抵抗の低減を図ることができる。よって、耐圧の向上とオン抵抗の低減との両立を図ることができる。
【0045】
かかる構成において、各トレンチ21〜24は所定のピッチで配列されている。詳細には、第1トレンチ21と第2トレンチ22とは第1ピッチL1だけ離間して配置されており、第2トレンチ22と第3トレンチ23とは第2ピッチL2だけ離間して配置されている。第2ピッチL2は第1ピッチL1よりも短い。そして、ボディ層15における第1トレンチ21及び第2トレンチ22間の部分である第1ボディ部分41には、p型のボディコンタクト領域44とn型のソース領域45とが形成されている。ボディ層15における第2トレンチ22及び第3トレンチ23間の部分である第2ボディ部分42は、第1ボディ部分41よりも幅が狭く、当該第2ボディ部分42には、ボディコンタクト領域44のみが形成されている。すなわち、第2ボディ部分42は、p型(p型を含む)のみで構成されており、第2ボディ部分42にはn型の領域が存在しない。
【0046】
かかる構成によれば、第2ピッチL2が第1ピッチL1よりも短いため、第2ドリフト幅X2が第1ドリフト幅X1よりも短くなっている。これにより、第2トレンチ22と第3トレンチ23との間にアバランシェ電流が誘導される。したがって、第1トレンチ21と第2トレンチ22との間に流れるアバランシェ電流を小さくすることができるため、第1トレンチ21と第2トレンチ22との間に存在している寄生npnトランジスタQpがON状態となることを抑制できる。
【0047】
また、第2ボディ部分42にはn型の領域が存在しないため、第2トレンチ22と第3トレンチ23との間には寄生npnトランジスタQpが存在しない。したがって、アバランシェ電流によって寄生npnトランジスタQpがON状態となる事態の発生を抑制できる。以上のことから、アバランシェ動作が発生した場合であっても、第1セル31及び第3セル33の破壊を抑制できる。すなわち、アバランシェ耐量の向上を図ることができる。換言すれば、アバランシェ動作に起因する半導体装置10の異常の抑制を図ることができる。
【0048】
(2)ここで、例えばフローティング領域28が形成されていない構成においては、ゲート電極25の底面付近にのみ電界が集中する。かかる構成においては、広いピッチに対応するセルに、アバランシェ電流が誘導され易い。
【0049】
しかしながら、本願発明者らは、フローティング領域28が形成されている構成においては、ピッチが短くなることによって、ゲート電極25の底面付近ではなくフローティング領域28にて優先的に電界集中が生じ、その結果アバランシェ電流がピッチの短いセル(本実施形態では第2セル32)に誘導され易いことを見出した。そして、この知見に基づき、アバランシェ電流が誘導され易い第2セル32の第2ボディ部分42をp型のみで構成することにより、アバランシェ電流による悪影響の抑制を実現している。また、ゲート電極25の底面付近ではなくフローティング領域28にて優先的に電界集中が生じることで、埋込絶縁膜26の薄い部分の破壊を抑制しつつ、アバランシェ電流を誘導できる。
【0050】
(3)第2セル32はスイッチング素子として機能しないため、所望の数のスイッチング素子を搭載するのに必要な面積は大きくなり易く、半導体装置10の大型化が懸念される。しかしながら、本実施形態では、第2ピッチL2が第1ピッチL1よりも短いため、第2セル32の幅は第1セル31の幅よりも狭くなっている。これにより、スイッチング素子として機能しない第2セル32が存在することに起因する半導体装置10の大型化を抑制できる。
【0051】
(4)フローティング領域28はドリフト層14に囲まれている。かかる構成によれば、ドレイン層13とソース領域45との間に電圧が印加された場合、第2トレンチ22の下方位置にあるフローティング領域28及び第3トレンチ23の下方位置にあるフローティング領域28双方の下側部分(換言すればドレイン層13寄りの部分)のうち互いに対向している両コーナ部分P1,P2にて電界集中が発生する。これにより、アバランシェ電流が第2トレンチ22と第3トレンチ23との間に誘導される。よって、(1)の効果を得ることができる。
【0052】
(第2実施形態)
図2に示すように、本実施形態の半導体装置10は、スーパージャンクション構造を採用している。このスーパージャンクション構造等について以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、図2においては、図示の都合上、実際の寸法とは異なる寸法で示す。
【0053】
図2に示すように、本実施形態のドリフト層50は、p型コラム51とn型コラム52とが交互に配列されて構成されている。この場合、p型コラム51は、所定のピッチで複数配列されており、n型コラム52は、所定のピッチで複数配列されている。詳細には、ドリフト層50は、p型コラム51として、第1コラムピッチL11だけ離間して配置されている第1のp型コラム61及び第2のp型コラム62と、第2のp型コラム62に対して第2コラムピッチL12だけ離間して配置されている第3のp型コラム63とを有している。第2コラムピッチL12は、第1コラムピッチL11よりも短く設定されている。また、ドリフト層50は、p型コラム51として、第3のp型コラム63に対して第1コラムピッチL11だけ離間して配置されている第4のp型コラム64とを有している。各p型コラム61〜64は、同一の幅を有している。
【0054】
また、ドリフト層50は、n型コラム52として、第1のp型コラム61と第2のp型コラム62との間に配置されている第1のn型コラム71と、第2のp型コラム62と第3のp型コラム63との間に配置されている第2のn型コラム72とを備えている。第2コラムピッチL12が第1コラムピッチL11よりも短く設定されているため、第2のn型コラム72の幅(換言すれば両コラム51,52の配列方向の長さ)X12は、第1のn型コラム71の幅X11よりも短い。また、ドリフト層50は、n型コラム52として、第3のp型コラム63と第4のp型コラム64との間に配置されている第3のn型コラム73を有している。
【0055】
ここで、第1のp型コラム61の中央線から第2のp型コラム62の中央線までを第1セル81とし、第2のp型コラム62の中央線から第3のp型コラム63の中央線までを第2セル82とし、第3のp型コラム63の中央線から第4のp型コラム64の中央線までを第3セル83とする。この場合、コラムピッチは、セルの幅とも言える。
【0056】
図2に示すように、ドリフト層50の上に形成されているp型のボディ層90は、p型コラム61〜64の上方部分であるp型コラム対応部91〜94と、n型コラム71〜73の上方部分であるn型コラム対応部101〜103とを有している。n型コラム対応部101〜103の幅は、n型コラム71〜73の幅と同一である。このため、第2のn型コラム対応部102は、第1のn型コラム対応部101よりも狭い。なお、本実施形態では、p型コラム対応部91〜94が「ボディ層における前記第2導電型コラムの上方部分」に対応し、第1のn型コラム対応部101が「広ボディ部分」に対応し、第2のn型コラム対応部102が「狭ボディ部分」に対応する。
【0057】
p型コラム対応部91〜94には、ボディ層90よりも不純物濃度が高いp型のボディコンタクト領域44が形成されている。ボディコンタクト領域44は、2つのセル(例えば第1セル81及び第2セル82)に跨るように設けられている。
【0058】
n型コラム対応部101〜103にはトレンチ111〜113が形成されている。トレンチ111〜113は、n型コラム対応部101〜103を貫通し且つn型コラム71〜73に到達している。そして、各トレンチ111〜113内にはそれぞれ、埋込絶縁膜26と、当該埋込絶縁膜26に囲まれたゲート電極25とが収容されている。ゲート電極25は、埋込絶縁膜26を介して、ボディ層90(詳細にはn型コラム対応部101〜103)と対向している。
【0059】
第1のn型コラム対応部101には、n型コラム52よりも不純物濃度が高い特定拡散領域として、n型のソース領域45が形成されている。ソース領域45は、第1トレンチ111の周縁に形成されている。ソース領域45は、第1トレンチ111の側壁を構成している。更にソース領域45の一部は、p型コラム対応部91,92にはみ出しており、ボディコンタクト領域44と接合されている。一方、第2のn型コラム対応部102には、ソース領域45が形成されていない。すなわち、第2のn型コラム対応部102は、p型のみで構成されている。なお、第3のn型コラム対応部103にも、ソース領域45が形成されている。
【0060】
次に本実施形態の作用について説明する。
ドレイン層13とソース領域45(換言すればボディコンタクト領域44)との間にサージ電圧等の高電圧が印加された場合、第2のn型コラム72におけるドレイン層13との境界であって互いに対向している両コーナ部分P11,P12にて電界集中が発生する。このため、両コーナ部分P11,P12にてインパクトイオンが発生し、アバランシェ電流が第2のn型コラム72に誘導される。そして、第2のn型コラム対応部102には、n型の領域が存在しないため、寄生npnトランジスタQpが存在しない。よって、アバランシェ電流による悪影響が生じにくい。また、ゲート電極25の底面付近ではなく第2のn型コラム72の両コーナ部分P11,P12にて電界集中を発生させることで、埋込絶縁膜26の破壊を抑制しつつ、アバランシェ電流を誘導できる。
【0061】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(5)スーパージャンクション構造の半導体装置10は、p型コラム51とn型コラム52とが交互に配列されて構成されたドリフト層50と、ドリフト層50の上に形成されたp型のボディ層90とを備えている。ドリフト層50は、p型コラム51として、第1コラムピッチL11だけ離間して配置されている第1のp型コラム61及び第2のp型コラム62と、第2のp型コラム62に対して、第1コラムピッチL11よりも短い第2コラムピッチL12だけ離間して配置されている第3のp型コラム63とを有している。また、ドリフト層50は、n型コラム52として、第1のp型コラム61と第2のp型コラム62との間に配置されている第1のn型コラム71と、第2のp型コラム62と第3のp型コラム63との間に配置され、第1のn型コラム71の幅X11よりも短い幅X12の第2のn型コラム72とを有している。また、半導体装置10は、ボディ層90を貫通し且つn型コラム52まで到達しているトレンチ111〜113と、トレンチ111〜113内に収容されたものであって、埋込絶縁膜26を介してボディ層90と対向しているゲート電極25と、を備えている。
【0062】
かかる構成において、ボディ層90におけるp型コラム61〜64の上方部分であるp型コラム対応部91〜94には、ボディ層90よりも不純物濃度が高いボディコンタクト領域44が形成されている。また、ボディ層90における第1のn型コラム71の上方部分である第1のn型コラム対応部101には、第1のn型コラム71よりも不純物濃度が高いソース領域45が形成されている。ボディ層90における第2のn型コラム72の上方部分であって第1のn型コラム対応部101よりも幅が狭い第2のn型コラム対応部102は、p型のみで構成されている。
【0063】
かかる構成によれば、アバランシェ電流は、第1のn型コラム71よりも第2のn型コラム72に優先的に流れる。これにより、第1のn型コラム71及び第1のn型コラム対応部101に流れるアバランシェ電流を小さくすることができるため、第1のn型コラム71及び第1のn型コラム対応部101によって形成される寄生npnトランジスタQpがON状態となることを抑制できる。また、第2のn型コラム72の上方部分である第2のn型コラム対応部102にはn型の領域が形成されていないため、寄生npnトランジスタQpが形成されない。よって、(1)と同様の効果を得ることができる。
【0064】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1実施形態において、図3に示すように、フローティング領域120は、トレンチ21〜24の底部21a〜24aから下方に延びてドレイン層13に到達していてもよい。この場合、電界集中の更なる緩和を図ることができ、それを通じて耐圧の更なる向上を図ることができる。かかる構成においては、第2トレンチ22及び第3トレンチ23に対応する両フローティング領域120におけるドレイン層13との境界付近であって互いに対向しているコーナ部分P21,P22にて電界集中が生じ得るため、アバランシェ電流を第2セル32に誘導させることができる。
【0065】
○ 第1実施形態では、各フローティング領域28は、各トレンチ21〜24の底部21a〜24aを覆っていたが、これに限られず、トレンチ21〜24の底部21a〜24aから下方に離間した位置に形成されていてもよい。
【0066】
○ 第1セル31,81及び第3セル33,83は、SiのMOSFETであってもよいし、SiCのMOSFETであってもよい。
○ 第1セル81及び第3セル83は、MOSFETに限られず、例えばIGBTであってもよい。この場合、半導体装置10は、ソース領域45に代えてエミッタ領域を備え、ドレイン層13に代えてp型コレクタ層を備えているとよい。
【0067】
○ 半導体装置10の適用対象は、インバータに限られず任意である。また、半導体装置10の搭載対象も車両に限られず任意である。
○ n型とp型とを反対にしてもよい。すなわち、各実施形態では、n型が「第1導電型」に対応し、p型が「第2導電型」に対応していたが、p型が「第1導電型」に対応し、n型が「第2導電型」に対応してもよい。
【0068】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
(イ)複数のフローティング領域は複数のトレンチの底部を覆うように設けられているとよい。
【符号の説明】
【0069】
10…半導体装置、13…ドレイン層(拡散層)、14,50…ドリフト層、15,90…ボディ層、21〜24,111〜113…トレンチ、25…ゲート電極、26…埋込絶縁膜、28,120…フローティング領域、41〜43…ボディ部分、44…ボディコンタクト領域、45…ソース領域、51…p型コラム、52…n型コラム、71…第1のn型コラム、72…第2のn型コラム、101…第1のn型コラム対応部、102…第2のn型コラム対応部、L1…第1ピッチ、L2…第2ピッチ、L11…第1コラムピッチ、L12…第2コラムピッチ。
図1
図2
図3