(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プラスチック基材は、前記蒸着薄膜層を前記プラスチック基材上に蒸着する前に、ホローアノードプラズマ処理器を用いた特殊プラズマによるプラズマ前処理が施されている請求項1又は請求項2に記載の真空断熱材の外装材。
前記プラズマ前処理は、アルゴン、窒素、酸素、及び水素からなる群から選択される少なくとも1種を使用し、自己バイアス値が200Vから2000Vであり、Ed=プラズマ密度×処理時間で定義されるEd値が100(V・s・m−2)ないし10000(V・s・m−2)となる低温プラズマによる処理である請求項3又は請求項4に記載の真空断熱材の外装材。
前記プラズマ前処理は、不活性ガスを用いて行われる第1の処理工程と、続いて、窒素、酸素、水素、及びこれらの混合ガスから選択される少なくとも1種のガスを用いて行われる第2の処理工程とを具備する請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の真空断熱材の外装材。
前記プラズマ前処理は、窒素及び酸素の混合気体を用いて行われる第1の処理工程と、続いて、水素を用いて行われる第2の処理工程とを具備する請求項3又は請求項4に記載の真空断熱材の外装材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ガスバリア層として金属箔を用いた構成では、金属箔を伝わる熱量が大きく、真空断熱材の断熱性能が十分でないことがあった。
【0009】
特に、従来の真空断熱材のように、ガスバリア性フィルムとしてアルミ箔を使用している場合、真空断熱材の外装材を伝わる熱伝導、いわゆるヒートブリッジ現象によって真空断熱材の断熱効果が小さくなる。ヒートブリッジ現象を解決するために、金属箔に代えて蒸着膜を有するガスバリア性フィルムに変更した場合であっても、十分な断熱性能が得られていなかった。
【0010】
また、ガスバリア層としてアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムのみを用いた構成では、ガスバリア性が十分ではなく、真空断熱材の断熱性能が十分でないことがあった。
【0011】
更に、従来の外装材では、冷却ボックス等に真空断熱材を適用する場合、内容物が収容されている冷却ボックスを輸送する際に、冷却ボックスに振動し、この振動に起因して、内容物が冷却ボックスの表面に対して衝撃を加えることがある。このような場合、冷却ボックスの表面にピンホールが発生しやすく、真空による断熱機能が損なわれる場合があるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、このような従来技術の問題点を鑑みて、ガスバリア層を伝わる熱量が小さく、ガスバリア性が高く、耐屈曲性の良い真空断熱材の外装材を提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、このような従来技術の問題点を鑑みて、耐突き刺し性に優れる真空断熱材の外装材を提供する。また、本発明は、上記問題点を鑑みて、振動などに起因する衝撃によって形成されるピンホールが発生しにくい真空断熱材の外装材およびそれを用いた断熱容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係る真空断熱材の外装材は、プラスチック基材を含むバリアフィルムと、前記バリアフィルム上に積層さ
れ、かつ、前記バリアフィルムに対向する面にアルミニウムが蒸着されたアルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムと、
前記バリアフィルムと前記アルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムとの間に設けられたナイロンフィルムと、前記アルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム上に積層された熱融着層と、を備える。前記バリアフィルムの前記プラスチック基
材において、前記アルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムに対向する面には
、酸化アルミニウムで形成された蒸着薄膜層と、水溶液高分子と(a)1種以上のアルコキシド及び1種以上のアルコキシドの加水分解物の少なくとも一方又は(b)塩化錫の少なくともいずれか1つを含む水溶液、或いは、水とアルコールとの混合溶液とを主剤とするコーティング剤からなる被膜層と、が順に積層されている。
【0015】
本発明の第一態様に係る真空断熱材の外装材においては、前記熱融着層は、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムであってもよい。
【0016】
本発明の第一態様に係る真空断熱材の外装材においては、前記プラスチック基材は、前記蒸着薄膜層を前記プラスチック基材上に蒸着する前に、ホローアノードプラズマ処理器を用いた特殊プラズマによるプラズマ前処理が施されてもよい。
【0017】
本発明の第一態様に係る真空断熱材の外装材においては、前記ホローアノードプラズマ処理器は、磁石をさらに含む磁気アシスト・ホローアノード・プラズマ処理器であってもよい。
【0018】
本発明の第一態様に係る真空断熱材の外装材においては、前記プラズマ前処理は、アルゴン、窒素、酸素、及び水素からなる群から選択される少なくとも1種を使用し、自己バイアス値が200Vから2000Vであり、Ed=プラズマ密度×処理時間で定義されるEd値が100(V・s・m
−2)ないし10000(V・s・m
−2)となる低温プラズマによる処理であってもよい。
【0019】
本発明の第一態様に係る真空断熱材の外装材においては、前記プラズマ前処理は、不活性ガスを用いて行われる第1の処理工程と、続いて、窒素、酸素、水素、及びこれらの混合ガスから選択される少なくとも1種のガスを用いて行われる第2の処理工程とを具備してもよい。
【0020】
本発明の第一態様に係る真空断熱材の外装材においては、前記不活性ガスは、アルゴン、及びヘリウムのうち少なくとも1種であってもよい。
【0021】
本発明の第一態様に係る真空断熱材の外装材においては、前記プラズマ前処理は、窒素及び酸素の混合気体を用いて行われる第1の処理工程と、続いて、水素を用いて行われる第2の処理工程とを具備してもよい。
【0023】
本発明の第一態様に係る真空断熱材の外装材は、前記蒸着薄膜層が形成されている前記プラスチック基材の面とは反対の面に設けられた延伸ポリプロピレンフィルムを備えてもよい。
【0024】
本発明の第二態様に係る真空断熱材は、上記第一態様に係
る真空断熱材の外装材を用いる。
本発明の第三態様に係る断熱容器は、上記第二態様に係る真空断熱材を用いる。
【0030】
本発明の
第四態様に係る真空断熱材は、外装材によって形成された外装体と、前記外装体の内部に封入されたコア材とを備え、前記外装体の前記内部が真空に維持されている。前記外装体を形成する外装材は、基材層とシーラント層とが積層された積層フィルムで形成されている。前記基材層のガスバリア性は、前記シーラント層のガスバリア性よりも高い。2枚の外装材のシーラント層の表面が互いに対向するように重ね合わされている。前記外装材の周縁部においては、前記外装材が重ね合わされてシールされたシール部が設けられており、前記外装体はシール部によってシールされている。シール部の端部においては、前記シーラント層が外部に露出しないように、前記基材層で前記シール部の端部が囲まれている。
【0031】
本発明の
第四態様に係る真空断熱材においては、前記外装材が重ね合わされてシールされた前記シール部の前記端部において、一方の前記外装材を長くし、長い外装材を折り返して、前記外装材どうしの端面が接触するようにして、前記シール部が形成されてもよい。
【0032】
本発明の
第四態様に係る真空断熱材においては、前記シール部の前記端部においては、前記外装材の前記基材層の表側の長さが長くなるように、かつ、前記外装材の前記シーラント層の裏側の長さが短くなるように、前記外装材が斜めに切断されてもよい。
【0033】
本発明の
第四態様に係る真空断熱材においては、前記外装材が重ね合わされてシールされた前記シール部の前記端部において、それぞれの前記外装材の先端部分が、重なり合わせた前記シール部の内側に位置するように折り返されており、前記先端部分が折り返された状態で、2枚の前記外装材が重ね合わされて前記シール部が形成されてもよい。
【0034】
本発明の
第四態様に係る真空断熱材においては、前記外装材が重ね合わされてシールされた前記シール部の前記端部において、それぞれの前記外装材の前記基材層の長さが前記シーラント層の長さより大きく、前記長く設けられた前記基材層が前記シーラント層の端面を覆うように曲げられ、前記シール部が形成されてもよい。
【0035】
本発明の
第四態様に係る真空断熱材においては、前記外装材が重ね合わされてシールされた前記シール部の前記端部において、一方の前記外装材で、前記基材層の長さが前記シーラント層の長さより大きく、前記長く設けられた前記基材層が、2枚の前記外装材の前記シーラント層の端面の両方覆うように曲げられ、前記シール部が形成されてもよい。
【0036】
本発明の
第四態様に係る真空断熱材においては、前記外装材が重ね合わされてシールされた前記シール部の前記端部において、それぞれの外装材の前記基材層の長さが前記シーラント層の長さより大きく、前記長く設けられた前記基材層の先端部分が、両方の前記シーラント層の端面を覆い、さらに重なり合わせた前記シール部の内側に位置するように折り返されており、前記シール部が形成されてもよい。
【発明の効果】
【0037】
本発明の第一態様
によれば、ガスバリア層を伝わる熱量が小さく、ガスバリア性が高く、耐屈曲性の良い真空断熱材の外装材を提供できるという効果が得られる。
【0038】
このため、本発明の第二態様に係る真空断熱材及び第三態様に係る断熱容器によれば、長期間に渡って使用しても高い真空状態を保持することができ、しかも、ガスバリア層を伝わる熱量が小さいので、断熱性能を維持することが可能になるという効果が得られる。
【0039】
本発明の
第一態様に係る真空断熱材の外装材は、耐突き刺し性に優れた構成を有するので、ピンホールの発生を抑制することが可能である。このため、長期間に渡っ
て真空断熱材の外装材を使用しても、高い真空状態を損なうことなく、優れた断熱性能を維持することが可能となる。このため、本発明の
第二態様に係る真空断熱材及び
第三態様に係る断熱容器によれば、振動などによる衝撃によるピンホールが発生しにくい断熱容器を提供することが可能となる。
【0040】
本発明の
第四態様に係る真空断熱材によれば、外装体を形成する外装材のシーラント層が外部に露出しないように、基材層で囲まれているので、真空断熱材の外部から内部への空気などのガスの透過を抑えることができ、断熱性を長期間保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
なお、以下に述べる各図においては、各構成要素を図面上で認識し得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法及び比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0043】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係る外装材を用いた真空断熱材を示す断面図である。真空断熱材1は、芯材3と、芯材3を覆うように形成された外装材2とを備える。真空断熱材1においては、外装材2で囲まれた芯材3の周囲が脱気されており、真空断熱材1の内部が真空状態に維持されている。
本発明の第一実施形態に係る真空断熱材の外装材は、
図2に示すように、バリアフィルム11、アルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム21、熱融着層31が順に積層された積層体である。
【0044】
ここで、バリアフィルム11は、
図2に示すように、プラスチックフィルムからなる基材12(プラスチック基材)と、蒸着薄膜層13と、被膜層14(第1被膜層)とが順に積層された構成を有する。具体的に、基材12の少なくとも片面(少なくとも一方の面)に、金属又は無機酸化物、或いは、金属又は無機酸化物を含む混合物を蒸着することによって、基材12上に蒸着薄膜層13が形成されている。被膜層14は、水溶液高分子と、(a)1種以上のアルコキシド及びアルコキシドの加水分解物のうち少なくとも一つ又は(b)塩化錫の少なくともいずれか1つを含む水溶液、或いは、水とアルコールとの混合溶液とを主剤とするコーティング剤によって形成されている。蒸着薄膜層13と被膜層14とは、それぞれ、ガスバリア層を形成する第1の層と第2の層として機能する。
【0046】
基材12の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等を用いることができる。機械的強度や寸法安定性を有する材料で基材12が構成されていれば、延伸された材料でも、未延伸の材料であってもよい。特に耐熱性の観点から、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムやナイロンフィルムが好ましく用いられる。
【0047】
また、この基材12の蒸着薄膜層13が設けられる面と反対側の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば、帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤等が使用されてもよい。
【0048】
また、基材12と蒸着薄膜層13との密着性を良くするために、基材12に蒸着薄膜層13を蒸着する前に、コロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理等のいずれかの処理を前処理として基材12に施してもよい。
【0049】
ここで、基材12と蒸着薄膜層13との密着性を良くするために、蒸着薄膜層13を蒸着する前に基材12に施す前処理の一例として、ホローアノードプラズマ処理器を用いた特殊プラズマによるプラズマ前処理について説明する。
【0050】
ホローアノードプラズマ処理器は、例えば、真空室内に設けられている。
図3に示すように、ホローアノードプラズマ処理器は、インピーダンスを整合させるためのマッチングボックス44と、マッチングボックス44と接続された中空箱型の電極43と、電極43の端部から拡がるように設けられた遮蔽板42と、プラズマガスを導入するための導入部41と、処理チャンバー50と、電極43に対向するように設けられ、基材12を担持する冷却ドラム46とを有する。マッチングボックス44は、電極43を介して遮蔽板42と電気的に接続されている。また、マッチングボックス44は、導入部41にも電気的に接続されている。
【0051】
このホローアノードプラズマ処理器では、電極43を陽極とて用いており、その陽極の面積(Sa)は、対極に位置する基板の面積(Sc)に対して、Sa>Scの関係を満たしている。中空箱型電極の面積を大きくすることで、対極となる陰極、すなわち、基材12上に大きな自己バイアスを発生することができる。この大きな自己バイアスを発生することにより、高いイオン密度で基材12をプラズマ処理することができ、安定で強力なプラズマ表面処理を高速で実現できる。
【0052】
ホローアノードプラズマ処理器は、
図4に示すように、電極43の底部に更に永久磁石や電磁石等の磁石48が設けられている磁気アシスト・ホローアノード・プラズマ処理器であることが好ましい。
【0053】
更に電極43の底部に磁石48を設けることで、電極付近で発生したプラズマを、磁石の作用によりこの箱型の電極43内に閉じこめ、対極となる陰極、すなわち、基材12上により大きな自己バイアスを発生することができる。このような大きな自己バイアスの発生により、高いイオン密度で基材12をプラズマ処理することができ、更に安定でより強力なプラズマ表面処理をより高速で実現できる。
【0054】
ホローアノードプラズマ処理器を用いた特殊プラズマによるプラズマ前処理においては、プラズマガスとして、アルゴン、窒素、酸素、及び水素からなる群から選択される少なくとも1種が使用され、基材12上の自己バイアス値が200Vから2000Vであり、Ed=プラズマ密度×処理時間で定義されるEd値が100V・s・m
−2ないし10000V・s・m
−2となる低温プラズマ処理であることが好ましい。
【0055】
Ed値が100V・s・m
−2未満であると、密着性不十分となる傾向がある。また、10000V・s・m
−2を超えると、過剰な処理により、表層が脆弱になる傾向がある。
【0056】
また、ホローアノードプラズマ処理器を用いた特殊プラズマによるプラズマ前処理としては、不活性ガスを用いて行われる第1の処理工程と、続いて、窒素、酸素、水素、及びこれらの混合ガスから選択される少なくとも1種のガスを用いて行われる第2の処理工程とを使用することができる。この不活性ガスとしては、アルゴン、及びヘリウムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。或いは、プラズマ前処理として、窒素及び酸素の混合気体を用いて行われる第1の処理工程と、続いて、水素を用いて行われる第2の処理工程とを使用することができる。
【0057】
基材12の厚さは、とくに限定されない。また、外装材2に用いられる基材12の適性を考慮して、単体フィルム以外の異なる性質のフィルムを積層したフィルムを使用することもできる。加工性を考慮すれば、基材12の厚さは、3〜200μmの範囲が好ましく、特に6〜30μmが好ましい。
【0058】
また、基材12は、量産性を考慮すれば、連続的に各層を形成できる長尺の連続フィルムとすることが望ましい。
【0060】
蒸着薄膜層13は、金属、例えば、アルミニウム、銅、銀等、若しくは無機酸化物、例えば、イットリウムタンタルオキサイド、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム或いは、上記材料を含む混合物で形成される蒸着膜であり、酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する。上記材料の中では、特に、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、及び酸化マグネシウムが好ましく用いられる。なお、上述の金属及び無機酸化物に限定されず、酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する材料であれば用いることができる。
【0061】
蒸着薄膜層13の厚さは、用いられる材料の種類又は構成により最適条件が異なるが、5〜300nmの範囲内が望ましく、その厚さは適宜選択することができる。膜厚が5nm未満の場合は、均一な膜が得られず、膜厚が十分とは云えない。また、無機酸化物の場合、膜厚が300nmを越える場合はフレキシビリティを発揮することができず、成膜後に折り曲げ、引っ張り等の外的要因により、薄膜に亀裂を生じる恐れがある。好ましくは、10〜150nmの範囲内である。
【0062】
蒸着薄膜層13を基材12(プラスチックフィルム基材)上に形成する方法としては、通常の真空蒸着法により形成することができる。また、その他の薄膜形成方法としてスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(PCVD)等を用いることも可能である。生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れる。
【0063】
真空蒸着法の加熱方法としては、電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかが好ましく用いられる。
【0064】
また、蒸着薄膜層13と基材12との密着性及び蒸着薄膜層13の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着薄膜層13の透明性を上げるために、蒸着の際、酸素ガス等を吹き込む反応蒸着を行ってもよい。
【0066】
被膜層14は、水溶性高分子と、(a)1種以上のアルコキシド又は/及び1種以上のアルコキシドの加水分解物(換言すると、「1種以上のアルコキシド」及び「1種以上のアルコキシドの加水分解物」のうち少なくとも一方)又は(b)塩化錫の少なくともいずれか1つを含む水溶液、或いは、水とアルコールとの混合溶液とを主剤とするコーティング剤を用いて形成される。例えば、水溶性高分子と塩化錫とを水系(水或いは、水とアルコールとの混合)溶媒で溶解させた溶液、或いは、これに金属アルコキシドを直接、又は予め加水分解される等の処理を行った材料が混合された溶液を調整し、コーティング剤を得る。このコーティング剤を無機酸化物からなる蒸着薄膜層13にコーティング後、コーティング剤を加熱乾燥することによって、被膜層14が形成される。
【0067】
コーティング剤に用いられる水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(PVA)を用いるとガスバリア性が最も優れる。このPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られる。PVAとしては、PVA中に酢酸基が数十%残存している、いわゆる、部分けん化PVAが用いられてもよいし、PVA中に酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等が用いられてもよい。PVAの具体的な構成は、特に限定されない。
【0068】
またコーティング剤に用いられる塩化錫は、塩化第一錫(SnCl
2)、塩化第二錫(SnCl
4)、或いは、塩化第一錫及び塩化第二錫の混合物であってもよい。また、上記塩化錫は、無水物でも水和物であってもよい。
【0069】
更にコーティング剤に用いられる金属アルコキシドは、一般式M(OR)n(Mは、Si、Ti、Al、Zr等の金属、Rは、CH
3、C
2H
5等のアルキル基、nは、正の整数)で表わされる化合物である。具体的には、テトラエトキシシラン[Si(OC
2H
3)
4]、トリイソプロポキシアルミニウム[Al(O−2’−C
3H
7)
3]等が挙げられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので、好ましく用いられる。
【0070】
コーティング剤のガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは、分散剤、安定化剤、粘土調整剤、着色剤等の公知の添加剤を必要に応じてコーティング剤に加えることができる。
【0071】
例えば、コーティング剤に加えられるイソシアネート化合物としては、その化合物を構成する分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を用いることが好ましい。例えば、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のモノマー類と、上記化合物を含む重合体、誘導体が挙げられる。
【0072】
コーティング剤の塗布方法には、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を用いることができる。被膜の厚さは、コーティング剤の種類や加工機や加工条件によって異なる。乾燥後の被膜の厚さが、0.01μm以下の場合は、均一な塗膜が得られず十分なガスバリア性が得られない場合があるので好ましくない。また、被膜の厚さが50μmを越える場合は、被膜にクラックが生じ易くなるため問題がある。好ましくは0.01〜50μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmの範囲にあることである。
【0073】
なお、
図5に示すように、基材12上(基材12(第1基材)の蒸着薄膜層13(第1蒸着薄膜層)が形成される面とは反対の面)に、更に被膜層17(第2被膜層)、蒸着薄膜層16(第2蒸着薄膜層)、基材15(第2基材)を同様に設けることも可能であり、必要に応じて複数層を設けることができる。
【0074】
次に、アルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム21を説明する。
【0075】
図2に示すように、アルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム21は、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム23の少なくとも片面に、アルミニウムが蒸着されてアルミニウム蒸着層22が形成された構成を有する。
【0076】
アルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムの厚みは、特に規定されないが、より好ましくは、12〜15μm位が望ましい。
【0078】
熱融着層31は、シーラント層とも呼ばれ、ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、無延伸ポリエチレンテレフタレート、無延伸ナイロン等が使用可能である。
【0079】
熱融着層31として、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを用いると、耐突き刺し性、耐屈曲性が高く、シール性も優れているため特に適している。
【0080】
最後に、本発明の第一実施形態に係る真空断熱材の外装材を構成する各層の積層方法は、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いたドライラミネーションによる方法や、エクストルージョンラミネートによる方法などが採用できるが、その積層方法は、特に限定されない。
【0081】
次に、本発明の第二〜第四実施形態を説明する。
第二〜第四実施形態においては、第一実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0082】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態に係る真空断熱材の外装材においては、バリアフィルム11とアルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム21との間に延伸ナイロンフィルム(ナイロンフィルム)が設けられている。この構成によれば、上記第一実施形態で述べた効果が得られるだけでなく、高い耐突き刺し性と耐屈曲性とが得られる。
【0083】
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態に係る真空断熱材の外装材においては、蒸着薄膜層13が形成されている基材12の面とは反対の面に延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)が設けられている。言い換えれば、外装材2の最外層、即ち、前記プラスチック基材の外層の全周に、延伸ポリプロピレンフィルムが設けられている。この構成によれば、上記第一実施形態で述べた効果が得られるだけでなく、高い耐突き刺し性と耐屈曲性とが得られる。
更に、延伸ポリプロピレンフィルムと基材12との間には、ポリアミドフィルムが設けられていることが好ましい。この場合であっても、耐突き刺し性を更に高めることができる。
【0084】
(第四実施形態)
本発明の第四実施形態に係る真空断熱材の外装材においては、バリアフィルム11とアルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム21との間に延伸ナイロンフィルムが設けられており、更に、蒸着薄膜層13が形成されている基材12の面とは反対の面に延伸ポリプロピレンフィルムが設けられている。この構成によれば、上記第一実施形態で述べた効果が得られるだけでなく、高い耐突き刺し性と耐屈曲性とが得られる。
【0085】
(第五実施形態)
図9は、本発明の第五実施形態に係る真空断熱材を部分的に示す断面図である。真空断熱材1は、芯材3が2枚の外装材2で包み込まれた(挟まれた)構成を有する。2枚の外装材2は、シール部4で接着され、芯材3が配置されている真空断熱材1の内部は真空に維持されている。
【0086】
図10は、本発明の第五実施形態に係る真空断熱材を構成する外装材2を部分的に示す断面図である。
【0087】
[基材層]
基材層120としては、延伸ポリプロピレンフィルム110が用いられる。基材層120は、延伸ポリプロピレンフィルム110及び延伸ナイロンフィルム111の2層で構成されことがより好ましい。基材層120として延伸ナイロンフィルムを用いると、真空断熱材の外装材の強靭さが向上する。
【0088】
[バリア層]
バリア層121はアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム112とアルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム113の2層で構成される。金属箔を用いずに、蒸着膜を有するガスバリア性フィルムをバリア層121として用いることで、ヒートブリッジ現象が解決できる。蒸着面において蒸着物に生じる隙間又は欠陥を補完するために、ガスバリア性フィルムの蒸着面が互いに対向するようアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム112とアルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム113とを積層することが望ましい。アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム112の厚み及びアルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム113の厚みは、それぞれ9〜25mmが好ましい。
【0089】
[シーラント層]
シーラント層122は、密度が0.935g/cm
3以下の直鎖状低密度ポリエチレンフィルムで構成される。シーラント層122の厚みは30〜80mmが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの密度が、例えば、0.94g/cm
3といった高い密度である場合、耐屈曲性が悪くなり、好ましくない。
【0090】
本発明の真空断熱材の外装材を構成する互いに隣接する層は、接着剤層115を介して貼り合わされている。接着剤層115としては、例えば、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いることができる。真空断熱材の外装材を構成する複数の層を積層する方法としては、ドライラミネーションによる方法、或いは、押出ラミネーションによる方法などが採用できる。なお、上記のように得られた外装材2は、基材層120が真空断熱材1の外側116に位置するように用いられる。
【0091】
次に、本発明の第六から第十実施形態を説明する。
以下に述べる実施形態は、コア材(芯材)が外装体内に封入され、外装体の内部が真空状態に維持された真空断熱材において、外装体のガスバリア性を高め、外部からの空気などのガスの透過を抑え、断熱性を長期間保持できる真空断熱材を提供している。
【0092】
(第六実施形態)
図11は、本発明の第六実施形態に係る真空断熱材を模式的に断面で示した説明図である。
図12A及び
図12Bは、本発明の第六実施形態に係る真空断熱材のシール部の端部を説明するための拡大断面図である。
図13A及び
図13Bは、本発明の第六実施形態に係る真空断熱材のシール部の端部の形状の変形例を説明するための拡大断面図である。
【0093】
第六実施形態の真空断熱材は、外装体201を形成する外装材211は、基材層212と、基材層212よりガスバリア性の低いシーラント層213とが積層された積層フィルムで形成されている。2枚の外装材211を構成するシーラント層213が互いに対向するように重ね合わさることによって、2枚の外装材211の周縁部がシールされ、外装体201が形成されている。
【0094】
図11のように、外装体201の内部には、コア材202が封入されている。外装体201の内部は真空状態に維持されており、2枚の外装材211の周縁部を熱シールすることによって外装体201が密封され、真空断熱材が形成されている。
【0095】
外装材211の基材層212の材料としては、耐熱性とガスバリア性の高い材料が好ましく用いられる。基材層212は、単層ではなく、多層であってもよい。
【0096】
ガスバリア性の高い材料としては、アルミニウム箔、或いは、ポリエステルやナイロン、エチレンビニルアルコール共重合体などの蒸着基材フィルムに、アルミニウムなどの金属や、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの無機酸化物を蒸着した蒸着フィルム、更には、樹脂自体がバリア性の高い、エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、ポリビニルアルコールや、メタキシレンジアミン/アジピン酸からなるいわゆるMXDナイロンなどのフィルムが好ましく用いられる。
【0097】
また、比較的ガスバリア性を有するとともに耐熱性を備えたポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルの二軸延伸フィルムや、6ナイロンなどのナイロンの二軸延伸フィルム、或いは、ポリプロピレンの二軸延伸フィルムも、基材層212として用いられ、上記材料を組み合わせて積層された多層フィルムが、基材層212に用いられる。
【0098】
シーラント層213には、シール性に優れた熱溶融性樹脂が用いられる。ポリプロピレンや、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、或いは、酸変性ポリエチレンなどのキャストのフィルムがシーラント層213として用いられる。このため、基材層212は、ガスバリア性の高い材料を用いて形成されており、基材層212のガスバリア性がシーラント層213よりも高い。
【0099】
外装材211の基材層212とシーラント層213との貼り合わせは、接着剤を介してドライラミネーションにより行ってもよいし、溶融樹脂を介してサンドイッチラミネーションにより行ってもよい。また、シーラント層213の樹脂を溶融して押出し、押出しラミネーションによって行ってもよい。
【0100】
また、多層の基材層212の場合、互いに隣接する層の貼り合わせを、接着剤を介したドライラミネーションにより行ってもよいし、溶融樹脂を介したサンドイッチラミネーションにより行ってもよい。
【0101】
コア材202の材料としては、ガラスウールやシリカなどが好ましく用いられる。この場合、内部空間を容易に真空状態にすることができる。
【0102】
第六実施形態の真空断熱材では、予め、一方の外装材211(第一外装材)の長さを他方の外装材211(第二外装材)の長さよりも長くしておく。このため、2枚の外装材211が重ね合わされてシールされたシール部の端部においては、
図12Aに示すように、一方の外装材211の端部が他方の外装材211の端部よりも突出する。外装材211の端面が互いに接触するように長い211を折り返すことによって、
図12Bに示すように、シール部が形成される。折返し部は周縁部をシールする前にあらかじめ熱溶融させて形成させておいてもよい。
【0103】
このようにシール部を形成することによって、外装材211が重ね合わされてシールされたシール部の端部において、シーラント層213が外部に露出せず、シーラント層213が基材層212で囲まれる。そのため、ガスバリア性の低いシーラント層213を通じて、外装体201の外部から内部に向けて空気などのガスが浸透することを抑え、真空断熱材の断熱性を長期間保持することができる。
【0104】
シール部において重ね合わされた2枚の外装材211のそれぞれの端部は、
図13Aに示すように、外装材211の基材層212の表側が長く、外装材211のシーラント層213の裏側が短くなるように、外装材211を斜めに切断しておくことができる。
【0105】
このように外装材211の端部を形成している場合においては、長い外装材211を折り返して、2つの外装材211の基材層212の表側が互いに接触するように、或いは、基材層212の先端部分が互いに重なるようにして、シール部を形成する。この場合、シーラント層213を構成する熱溶融性樹脂が融け、融けた熱溶融性樹脂は斜め形状を有する端面に形成された隙間に流れ込み、熱溶融性樹脂は隙間を埋める。
【0106】
このような方法によれば、シール時に、シーラント層213の融けた熱溶融性樹脂が、基材層212の間を通って、外装材211の外部にはみ出すことがない。そして、ガスバリア性の低いシーラント層213を通じて、外装体201の外部から内部に向けて空気などのガスが浸透することを抑え、真空断熱材の断熱性を長期間保持することができる。
【0107】
(第七実施形態)
以下、本発明の第七実施形態を説明する。
図14A及び
図14Bは、本発明の第七実施形態に係る真空断熱材のシール部の端部を説明するための拡大断面図である。
【0108】
第七実施形態の真空断熱材は、第六実施形態の真空断熱材とほぼ同様な形状で、同様な材料で形成されている。そして、2枚の外装材211が重ね合わされてシールされたシール部の端部の形状の点で、第七実施形態の真空断熱材は、第六実施形態の真空断熱材とは異なる。
【0109】
第七実施形態の真空断熱材では、2枚の外装材211が重ね合わされてシールされたシール部の端部において、
図14Aに示すように、外装材211の先端部分が、重なり合わせたシール部の内側に位置するように折り返されている。そして、
図14Bに示すように、先端部分のそれぞれが折り返された状態で、2枚の外装材211が重ね合わされてシールされている。
【0110】
このようにシール部を形成することによって、重ね合わされてシールされたシール部の端部において、2枚の外装材211の基材層212が互いに密着していて、基材層212で囲まれてシーラント層213が外部に露出していない。そのため、ガスバリア性の低いシーラント層213を通じて、外装体201の外部から内部に向けて空気などのガスが浸透することが抑えられ、真空断熱材の断熱性を長期間保持することができる。
【0111】
(第八実施形態)
以下、本発明の第八実施形態を説明する。
図15A及び
図15Bは、本発明の第八実施形態に係る真空断熱材のシール部の端部を説明するための拡大断面図である。
【0112】
第八実施形態の真空断熱材は、第六実施形態の真空断熱材とほぼ同様な形状で、同様な材料で形成されている。そして、2枚の外装材211が重ね合わされてシールされたシール部の端部の形状の点で、第八実施形態の真空断熱材は、第六実施形態の真空断熱材とは異なる。
【0113】
第八実施形態の真空断熱材では、2枚の外装材211が重ね合わされてシールされたシール部の端部において、
図15Aに示すように、各々の外装材211の基材層212の長さが、シーラント層213の長さより大きい。
【0114】
そして、外装材211の各々の長い基材層212は、シーラント層213の端面を覆うように曲げられている。このようにシール部を形成した状態で、2枚の外装材211の基材層212の先端部分は、互いに突き合わされている。なお、先端部分の基材層212が互いに重なるようにしてもよい。折り曲げた基材層212は、接着剤によって、シーラント層213に接着させておくことができる。
【0115】
このようにシール部を形成することによって、重ね合わされてシールされたシール部の端部において、2枚の外装材211の基材層212によってシーラント層213が囲まれて、シーラント層213が外部に露出していない。そのため、ガスバリア性の低いシーラント層213を通じて、外装体201の外部から内部に向けて空気などのガスが浸透することが抑えられ、真空断熱材の断熱性を長期間保持することができる。
【0116】
(第九実施形態)
以下、本発明の第九実施形態を説明する。
図16A及び
図16Bは、本発明の第九実施形態に係る真空断熱材のシール部の端部を説明するための拡大断面図である。
図17は、本発明の第九実施形態に係る真空断熱材のシール部の端部の形状の変形例を説明するための拡大断面図である。
【0117】
第九実施形態の真空断熱材は、第六実施形態の真空断熱材とほぼ同様な形状で、同様な材料で形成されている。そして、2枚の外装材211が重ね合わされてシールされたシール部の端部の形状の点で、第九実施形態の真空断熱材は、第六実施形態の真空断熱材とは異なる。
【0118】
第九実施形態の真空断熱材では、2枚の外装材211が重ね合わされてシールされたシール部の端部において、
図16Aに示すように、一方の外装材211(第一外装材)を構成する基材層212の長さが、当該一方の外装材211のシーラント層213の長さより大きい。
【0119】
そして、一方の外装材211の長い基材層212は、2枚の外装材211のシーラント層213の端面の両方を覆うように曲げられている。このようにシール部を形成した状態で、一方の外装材211の長い基材層212の先端部分が他方の外装材211の基材層212に届くように、一方の外装材211が設けられている。
【0120】
なお、一方の外装材211の長い基材層212の先端部分は、
図17のように、さらに曲げられて、他方の外装材211の基材層212の外面に重なってもよい。折り曲げた基材層212は、接着剤によって、シーラント層213および他方の外装材211の基材層212に接着させておくことができる。
【0121】
このようにシール部を形成することによって、重ね合わされてシールされたシール部の端部において、一方の外装材211の長い基材層212によって、2枚の外装材211の両方のシーラント層213が囲まれて、シーラント層213が外部に露出していない。そのため、ガスバリア性の低いシーラント層213を通じて、外装体201の外部から内部に向けて空気などのガスが浸透することが抑えられ、真空断熱材の断熱性を長期間保持することができる。
【0122】
(第十実施形態)
以下、本発明の第十実施形態を説明する。
図18A及び
図18Bは、本発明の第十実施形態に係る真空断熱材のシール部の端部を説明するための拡大断面図である。
【0123】
第十実施形態の真空断熱材は、第六実施形態の真空断熱材とほぼ同様な形状で、同様な材料で形成されている。そして、2枚の外装材211が重ね合わされてシールされたシール部の端部の形状の点で、第十実施形態の真空断熱材は、第六実施形態の真空断熱材とは異なる。
【0124】
第十実施形態の真空断熱材では、2枚の外装材211が重ね合わされてシールされたシール部の端部において、
図18Aに示すように、両方の外装材211の基材層212の長さがシーラント層213の長さより大きい。
【0125】
そして、2枚の外装材211の各々において、長い基材層212の先端部分が、シーラント層213の端面を覆い、さらに重なり合わせたシール部の内側に位置するように先端部分が折り返されている。そして、
図18Bに示すように、それぞれの外装材211の基材層212の先端部分が折り返された状態で、2枚の外装材211が重ね合わされてシールされている。
【0126】
このようにシール部を形成することによって、重ね合わされてシールされたシール部の端部において、2枚の外装材211の基材層212が互いに密着していて、基材層212で囲まれてシーラント層213が外部に露出していない。そのため、ガスバリア性の低いシーラント層213を通じて、外装体201の外部から内部に向けて空気などのガスが浸透することが抑えられ、真空断熱材の断熱性を長期間保持することができる。
【0127】
本発明の好ましい実施形態を説明し、上記で説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、請求の範囲によって制限されている。
【実施例】
【0128】
以下、本発明に係る実施例について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
まず、上記第一実施形態に対応する実施例A1と、実施例A1を説明するための比較例A1、A2とについて説明する。
【0129】
<実施例A1>
基材12として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入し、厚さ15nmの酸化アルミニウムを蒸着して無機酸化物からなる蒸着薄膜層13を形成した。
【0130】
次いで下記組成からなるコーティング剤をグラビアコート法により蒸着薄膜層13に塗布し、その後、120℃で1分間乾燥させ、厚さ0.5μmの被膜層14を蒸着薄膜層13上に形成し、バリアフィルム11を得た。
【0131】
コーティング剤は、下記の「1液」と「2液」とを配合比(wt%)で60:40の割合で混合して得られている。
【0132】
「1液」は、テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分攪拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO
2換算)の加水分解溶液である。
【0133】
「2液」は、ポリビニルアルコール3wt%の水とイソプロピルアルコールとの混合液(水とイソプロピルアルコールとは重量比で90:10)である。
【0134】
次に、このバリアフィルム11に、厚さ15μのアルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム21を、ウレタン系接着剤を用いて接着して積層した。次いで、熱融着層31として、厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを、アルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムに貼り合せて、実施例A1の真空断熱材の外装材を得た。この実施例A1の真空断熱材の外装材の層構成を、
図6に示す。
【0135】
<比較例A1>
実施例A1において用いたバリアフィルム11の代わりに、厚さ12μmのアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、比較例A1のその他の層構成は実施例A1と同様にして、比較例A1の真空断熱材の外装材を得た。この比較例A1の真空断熱材の外装材の層構成を、
図7に示す。
【0136】
<比較例A2>
実施例A1において用いたアルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム21の代わりに、バリアフィルム11を追加的に使用し、比較例A2のその他の層構成は、実施例A1と同様にして、比較例A2の真空断熱材の外装材を得た。この比較例A2の真空断熱材の外装材の層構成を、
図8に示す。
【0137】
(評価)
上記実施例A1及び比較例A1、A2で得られた真空断熱材の外装材について、ガスバリア性の評価を行った。ガスバリア性の評価は、JIS K7126−2法に準じて酸素透過度の測定、またJIS K7129に準じて温度40℃相対湿度差90%における水蒸気透過度の測定により行った。
【0138】
更に上記実施例及び比較例で得られた真空断熱材の外装材について、耐屈曲性の評価(ゲルボ試験)を、次のようにして行った。
【0139】
ゲルボ試験においては、恒温槽付ゲルボフレックステスター(テスター産業株式会社製)を用いた。試験片寸法、可動ヘッドの動き、往復速度、ねじり回数、温度範囲、電源、機体寸法は以下の通りである。
1.試験片寸法
3.5”φ×8”(89mmφ×203mm)の円筒形状
2.固定ヘッドと可動ヘッドとの間隔
7”(178mm)
3.可動ヘッドの動き
(1)440°回転しながら3.5”(89.0mm)動き、更に、水平に2.5”(63.0mm)動く。
(2)400°回転しながら3.25”(82.6mm)動く。
4.往復速度
40回/分
5.ねじり回数
4桁プリセットカウンタにより任意に設定
6.温度範囲
−50℃〜+200℃
デジタル温調:PID制御
加熱方式:ヒータ加熱
冷却方式:CO
2ガスを用いる
7.電源
AC100V 50Hz/60Hz
8.機体寸法
約1100×470×525mm
【0140】
次に、ゲルボ試験の具体的な方法について説明する。
210×297mmの試験片を準備し、長辺(297mm)の両側に位置する短辺を互いに貼り合せ、円筒状の試験片を得た。筒状にした試験片の両端を固定ヘッドと駆動ヘッドで保持した。440度のひねりを筒状試験片に加えながら、固定ヘッドと駆動ヘッドとの間隔を7インチから3.5インチに狭めて、更に、ひねりを筒状試験片に加えたまま固定ヘッドと駆動ヘッドとの間隔が1インチになるように狭めた。その後、固定ヘッドと駆動ヘッドとの間隔を3.5インチまで広げて、更に、ひねりを戻しながら固定ヘッドと駆動ヘッドとの間隔を7インチまで広げた。上述したように筒状試験片を変形させる動作を1回の往復運動とし、この往復運動を40回/minの速さで、25℃の温度条件下で300回行った。
【0141】
更に、ゲルボ試験を行った試験片について、JIS K7126−2法に準じて酸素透過度の測定を行った。
【0142】
上記実施例A1及び比較例A1、A2で得られた真空断熱材の外装材について、ゲルボ試験前の酸素透過度及び水蒸気透過度とゲルボ試験後の酸素透過度の測定結果を、下記の表1に示す。
【0143】
【表1】
【0144】
表1に示すように、ゲルボ試験前の酸素透過度では、実施例A1は、比較例A1及び2Aと同じであった。また、ゲルボ試験前の水蒸気透過度では、実施例A1は、比較例A1よりも優れ、比較例A2と同じであった。また、ゲルボ試験後の酸素透過度では、実施例A1は、比較例A1と同じであり、比較例A2よりも優れていた。総合的に、実施例A1は、比較例A1及び2Aよりも優れている結果が得られた。特に、比較例A1がバリアフィルム11の代わりにアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した点、比較例A2がアルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム21の代わりにバリアフィルム11を追加的に使用した点を考慮すれば、バリアフィルム11、アルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム21、及び熱融着層31が順に積層した構成によって顕著な効果が得られたことが明らかである。
【0145】
以上のように、本発明に係る実施例A1の真空断熱材の外装材は、ガスバリア性が高く、耐屈曲性に優れ、屈曲後の酸素バリア性が良好である。このため、この真空断熱材の外装材を用いた真空断熱材は、長期間に渡って使用しても高い真空状態を保持することができる。しかも、ガスバリア層として金属箔を用いることないため、ガスバリア層を伝わる熱量が小さく、高品質な真空断熱材を提供することができる。
【0146】
よって、本発明の真空断熱材の外装材は、冷凍冷蔵庫、冷凍機器、又は給湯器や自動販売機など、保冷や保温を必要とするあらゆる機器や設備等の断熱容器に適用することが可能である。その結果、大幅な省エネルギー化を実現し、機器や設備等の断熱容器の省スペース化に貢献できる。
【0147】
次に、上記第一及び第三実施形態に対応する実施例B1〜B3の真空断熱材の外装材と、実施例B1〜B3を説明するための比較例B1〜B4の真空断熱材の外装材とについて説明する。
実施例B1〜B3及び比較例B1〜B4の各々の層構成は、表2及び表3に示すとおりである。
具体的に、実施例B1は、第一形態に対応する層構造を示しており、バリアフィルム11(GX12*)の外面(露出面)には、ポリアミドフィルム(ONY)やポリプロピレンフィルム(OPP)は設けられていない。
実施例B2は、バリアフィルム11(GX12*)の外面(露出面)にポリアミドフィルム(ONY)が設けられた層構造を示している。
実施例B3は、バリアフィルム11(GX12*)の外面(露出面)にポリアミドフィルム(ONY)を介してポリプロピレンフィルム(OPP)が設けられた層構造を示している。
また、実施例B1〜B3のいずれも、アルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム21、熱融着層31として用いた直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LL50)を備えている。
また、比較例B1は、バリアフィルム11(GX12*)を備えておらず、バリアフィルム11の代わりに、アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(VMPET)を備えている。
比較例B2は、2つのバリアフィルム11(GX12*)と、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LL50)とを備えている。
比較例B3は、アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(VMPET)の外面(露出面)にポリアミドフィルム(ONY)が設けられた層構造を示している。
比較例B4は、アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(VMPET)の外面(露出面)にポリアミドフィルム(ONY)を介してポリプロピレンフィルム(OPP)が設けられた層構造を示している。
また、比較例B1、B3、B4のいずれも、アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(VMPET)、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LL50)を備えている。
実施例B1〜B3及び比較例B1〜B4の各々を構成する複数の層の配置順番は、表2及び表3に示されている。
【0148】
次に、実施例B1〜B3及び比較例B1〜B4の各々を構成する層について具体的に説明する。
表2及び表3において、「GX12*」は、上述した実施形態のバリアフィルム11を表しており、具体的に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材として用い、基材の片面に、上述のプラズマ前処理が施され、プラズマ前処理が施された面上に蒸着薄膜層が形成され、上述の被覆層を設けた構成を示している。
「*VMEVOH15」は、上述した実施形態のアルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム21を表しており、フィルムの厚さが15μmであることを示している。
「LL50」は、熱融着層31として用いた直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを表しており、フィルムの厚さが50μmであることを示している。
「ONY」はポリアミドフィルムを表し、「OPP」はポリプロピレンフィルムを表し、「VMPET」はアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムを表している。特に、「ONY15」は膜厚15μmのポリアミドフィルムを表し、「OPP20」は膜厚20μmのポリプロピレンフィルムを表し、「VMPET12*」は膜厚12μmのアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムを表している。
【0149】
上述した実施例B1〜B3及び比較例B1〜B4について、ゲルボ試験前の酸素透過度、ゲルボ試験前の水蒸気透過度、ゲルボ試験後の酸素透過度、突き刺し強度、及びゲルボ試験後のピンホール数の測定結果を、下記の表2及び表3に示す。なお、実施例B1〜B3及び比較例B1〜B4の外装材に対して行われたゲルボ試験は、上述したゲルボ試験と同じであるため、説明を省略する。
【0150】
「突刺強度」は、以下に述べる突き刺し強さ試験によって得られた外装材の強度を示している。この突き刺し強さ試験では、外装材の表面から裏面に向けて(基材から熱融着層に向けて)針を外装材に貫通させる場合(表→裏)と、外装材の裏面から表面に向けて(熱融着層から基材に向けて)針を外装材に貫通させる場合(裏→表)とにおいて、試験を行った。
「ゲルボピンホール数」は、ゲルボ試験を行った後に浸透探傷液を用いてピンホール数を確認した結果を示す。
【0151】
【表2】
【0152】
【表3】
【0153】
表2及び表3に示すように、ゲルボ試験前の酸素透過度、ゲルボ試験前の水蒸気透過度、及びゲルボ試験後の酸素透過度に基づくと、実施例B1〜B3では同じ結果が得られ、比較例B1の結果は実施例B1〜B3と同じであった。
一方、比較例B2は、実施例B1〜B3に比べて、ゲルボ試験後の酸素透過度が高いことが分かる。更に、比較例B3、B4は、実施例B1〜B3に比べて、ゲルボ試験前の水蒸気透過度が高いことが分かる。また、実施例B3は、実施例B1、B2に比べて、突き刺し強度は強く、ゲルボピンホール数は少ない事が分かる。
【0154】
以上のように、本発明に係る実施例B1〜B3の真空断熱材の外装材は、ガスバリア性が高く、耐屈曲性に優れ、屈曲後の酸素バリア性が良好である。このため、この真空断熱材の外装材を用いた真空断熱材は、長期間に渡って使用しても高い真空状態を保持することができる。しかも、ガスバリア層として金属箔を用いることないため、ガスバリア層を伝わる熱量が小さく、高品質な真空断熱材を提供することができる。
【0155】
よって、本発明の真空断熱材の外装材は、冷凍冷蔵庫、冷凍機器、又は給湯器や自動販売機など、保冷や保温を必要とするあらゆる機器や設備等の断熱容器に適用することが可能である。その結果、大幅な省エネルギー化を実現し、機器や設備等の断熱容器の省スペース化に貢献できる。
【0156】
次に、上記第五実施形態に対応する実施例C1の真空断熱材の外装材と、実施例C1を説明するための比較例C1〜C3の真空断熱材の外装材とについて説明する。
【0157】
実施例C1及び比較例C1〜C3の真空断熱材の外装材に対して行われた耐突き刺し性の評価は次のようにして行った。
【0158】
(突き刺し強さ試験)
試験片(外装材)を固定し、直径1.0mm、先端形状が半円形の針を毎分50mmの速度で外装材に突き刺した。突き刺しの開始から突き刺しの終了(針が外装材を貫通)まで突き刺し試験中における最大応力を測定した。試験片の数は5個である。5個の試験片において得られた5つ最大応力の平均値を求めた。外装材の基材層からシーラント層に向けた突き刺し方向において突き刺しを行った場合と、外装材のシーラント層から基材層に向けた突き刺し方向において突き刺しを行った場合とについて、試験を行い、最大応力を測定した。
【0159】
(実施例C1)
厚さ20μmの延伸ポリプロピレンフィルム(基材層)、厚さ15μmの延伸ナイロンフィルム(基材層)、厚さ12μmのアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(バリア層)、及び厚さ15μmのアルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(バリア層)を、この順にウレタン系接着剤を用いて積層、接着した。次いで、シーラント層である厚さ50μm、密度0.923g/cm
3の直鎖状低密度ポリエチレンフィルムと、上記積層体のアルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム面とを貼り合わせて、基材層、バリア層、シーラント層からなる真空断熱材の外装材を得た。
【0160】
(比較例C1)
比較例C1の基材層には延伸ポリプロピレンフィルムが用いられておらず、基材層以外の層が実施例C1と同様となるように比較例C1の外装材を製造した。
【0161】
(比較例C2)
比較例C1のアルミ蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムに代えて、厚さ7μmのアルミニウム箔を用いており、アルミニウム箔以外の層が比較例C1と同様となるように比較例C2の外装材を製造した。
【0162】
(比較例C3)
比較例C2の、密度が0.923g/cm
3の直鎖状低密度ポリエチレンフィルムに代えて、密度が0.94g/cm
3の直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを用いており、このフィルム以外の層は比較例C2と同様となるように比較例C3の外装材を製造した。
【0163】
(評価)
上記実施例C1および比較例C1〜C3で得られた真空断熱材の外装材について、耐突き刺し性を評価した。なお、基材層からシーラント層に向けて外装材を突き刺したときの強度を「表→裏」、シーラント層から基材層に向けて外装材を突き刺したときの強度を「裏→表」と表記した。
【0164】
これらの評価結果を表4に示す。
【0165】
【表4】
【0166】
表4に示すように、本発明に係る実施例C1の真空断熱材の外装材の耐突き刺し性は比較例C1〜C3の真空断熱材の外装材よりも良好であった。これは、外装材の最外層に配置した延伸ポリプロピレンフィルムによって得られた効果を示している。
【0167】
以上のように、本発明に係る実施例C1は、耐突き刺し性に優れる真空断熱材の外装材を提供することが可能である。また、本発明による外装材を用いた真空断熱材を用いることにより、振動などによる衝撃によるピンホールが発生しにくい断熱容器を提供することが可能となる。