(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筒集合体の軸方向両端部は、前記複数の長尺筒状部材の長手方向の端部の位置が揃えられると共に前記端保持部材に突き当てられた状態で接合されている、請求項2に記載の車両用構造体。
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の車両用構造体が車体前部の車体構成部材を構成して車両の前部側かつ側部側に配置されると共に車両平面視で前記筒集合体の軸方向が車両前後方向に沿うように又は車両前方側へ向けて車両幅方向内側に傾斜するように設定されている、車体前部構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、センサを用いる構造では、例えば衝突時のエネルギ吸収過程において車両の衝突部分の曲げ剛性を向上させるような設定をすることも考えられる。しかしながら、そのような構成では、誤検知や検知漏れといったことがあると所望の衝突対応をすることができない。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、センサを用いずに衝突時のエネルギ吸収過程において曲げ剛性を向上させることができる車両用構造体及び車体前部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明の車両用構造体は、複数の長尺筒状部材と、前記複数の長尺筒状部材を所定の中心軸線の周りの周方向に並列に配置されるように保持する保持部材と、を有し、前記複数の長尺筒状部材の集合体である筒集合体は、その軸方向視で内側領域に配置された内側部位が前記軸方向視で外側領域に配置された外側部位よりも軸方向の剛性が低く設定されている。
【0007】
上記構成によれば、保持部材は、複数の長尺筒状部材を所定の中心軸線の周りの周方向に並列に配置されるように保持する。ここで、複数の長尺筒状部材の集合体である筒集合は、その軸方向視で内側領域に配置された内側部位が軸方向視で外側領域に配置された外側部位よりも軸方向の剛性が低く設定されている。このため、筒集合体に対してその軸方向に沿うような衝突荷重が作用した場合、内側部位が長尺筒状部材の内側に凹むように変形すると共に外側部位が長尺筒状部材の外側に膨らむように変形しながら、エネルギを吸収する。また、内側部位が長尺筒状部材の内側に凹むように変形すると共に外側部位が長尺筒状部材の外側に膨らむように変形していくと、筒集合体としてはその軸方向中間部が中心軸線の側とは反対側に膨らんだ形状になっていき、筒集合体を有する車両用構造体の断面二次モーメントが増大していく。したがって、衝突時のエネルギ吸収過程において車両用構造体の曲げ剛性が向上していく。
【0008】
請求項2に記載する本発明の車両用構造体は、請求項1に記載の構成において、前記保持部材として、前記筒集合体の軸方向両端部を保持する端保持部材を有する。
【0009】
上記構成によれば、保持部材として端保持部材を有しており、端保持部材は、筒集合体の軸方向両端部を保持する。このため、筒集合体に対してその軸方向に沿うような衝突荷重が作用した場合には、筒集合体は、その軸方向両端部が端保持部材によって安定的に保持された状態で筒集合体の軸方向中間部が中心軸線の側とは反対側に膨らんだ形状に変形していく。このため、衝突時のエネルギ吸収過程において、筒集合体を有する車両用構造体の曲げ剛性を安定的に向上させることができる。
【0010】
請求項3に記載する本発明の車両用構造体は、請求項2に記載の構成において、前記筒集合体の軸方向両端部は、前記複数の長尺筒状部材の長手方向の端部の位置が揃えられると共に前記端保持部材に突き当てられた状態で接合されている。
【0011】
上記構成によれば、筒集合体の軸方向両端部が端保持部材に突き当てられた状態で接合されているので、筒集合体に対してその軸方向に沿うような衝突荷重が作用した場合には、筒集合体はその全長を有効に使って軸方向中間部が中心軸線の側とは反対側に膨らんだ形状に変形していく。
【0012】
請求項4に記載する本発明の車両用構造体は、請求項2又は請求項3に記載の構成において、前記保持部材として、前記筒集合体の軸方向中間部に対して前記中心軸線の側に設けられた部位を備えて前記筒集合体の前記内側部位に接合された中間保持部材を有し、前記中間保持部材は、前記中心軸線から離れる方向への所定値以上の荷重を前記内側部位から受けた場合に前記内側部位との接合が解除されるように設定されている。
【0013】
上記構成によれば、保持部材として中間保持部材を有しており、中間保持部材は、筒集合体の軸方向中間部に対して中心軸線の側に設けられた部位を備えて筒集合体の内側部位に接合されている。このため、筒集合体に対してその軸方向に沿うような衝突荷重が作用した場合に、仮に筒集合体の軸方向中間部が中心軸線の側に括れるように変形しようとしても、中間保持部材によってそのような変形が抑制される。
【0014】
また、中間保持部材は、中心軸線から離れる方向への所定値以上の荷重を筒集合体の内側部位から受けた場合に筒集合体の内側部位との接合が解除されるように設定されている。このため、前記衝突荷重が作用して筒集合体の軸方向中間部が中心軸線の側とは反対側に膨らむように変形しようとした場合、中間保持部材と筒集合体の内側部位との接合が解除されることで、筒集合体の軸方向中間部は中心軸線の側とは反対側に膨らむように変形することが可能となる。
【0015】
請求項5に記載する本発明の車両用構造体は、請求項4に記載の構成において、前記中間保持部材は、溶接又は接着によって前記筒集合体の前記内側部位に接合されている。
【0016】
上記構成によれば、中間保持部材と筒集合体の内側部位とは溶接又は接着によって接合されているので、中間保持部材が中心軸線から離れる方向への所定値以上の荷重を筒集合体の内側部位から受けた場合に中間保持部材と筒集合体の内側部位との接合が解除されるという設定を容易にすることができる。
【0017】
請求項6に記載する本発明の車両用構造体は、請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の構成において、前記保持部材として、前記筒集合体の軸方向中間部における外周側に全周に亘って巻かれて前記筒集合体の前記外側部位に接合されたバンド状部材を有し、前記バンド状部材は、前記外側部位に接しない非接触部が前記筒集合体の軸方向視で非直線状に形成されている。
【0018】
上記構成によれば、保持部材としてバンド状部材を有しており、バンド状部材は、筒集合体の軸方向中間部における外周側に全周に亘って巻かれて筒集合体の外側部位に接合されている。ここで、バンド状部材は、筒集合体の外側部位に接しない非接触部が筒集合体の軸方向視で非直線状に形成されており、非接触部には、筒集合体の軸方向視で非接触部が直線状に設定されたと仮定した場合の長さよりも長い分が余長として設定されている。このため、筒集合体に対してその軸方向に沿うような衝突荷重が作用して筒集合体の軸方向中間部が中心軸線の側とは反対側に膨らむように変形しようとした場合、バンド状部材はそれに応じて余長の範囲で変形するので、筒集合体の軸方向中間部は所定範囲で中心軸線の側とは反対側に膨らむように変形することが可能である。
【0019】
また、バンド状部材が余長の範囲の限度まで変形すると、筒集合体の軸方向中間部は仮に中心軸線の側とは反対側に更に膨らむように変形しようとしてもバンド状部材によってそのような変形が抑えられる。すなわち、筒集合体の軸方向中間部が中心軸線の側とは反対側に過度に変形してしまうのを抑制することができる。
【0020】
請求項7に記載する本発明の車体前部構造は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の車両用構造体が車体前部の車体構成部材を構成して車両の前部側かつ側部側に配置されると共に車両平面視で前記筒集合体の軸方向が車両前後方向に沿うように又は車両前方側へ向けて車両幅方向内側に傾斜するように設定されている。
【0021】
上記構成によれば、車両の前部側かつ側部側の部位が衝突相手と衝突して車両前方側から衝突荷重が入力された場合、車両用構造体は、筒集合体の軸方向中間部が中心軸線の側とは反対側に膨らむように変形しながらエネルギを吸収しつつ曲げ剛性を向上させていく。また、筒集合体の軸方向中間部が上述のように中心軸線の側とは反対側に膨らむように変形することで、その膨らんだ部分から衝突相手の反力を受け易くなり、車両が衝突相手から逸れるように車両前後方向に対して斜めに移動し易くなる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の車両用構造体及び車体前部構造によれば、センサを用いずに衝突時のエネルギ吸収過程において曲げ剛性を向上させることができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る車両用構造体及び車体前部構造について
図1〜
図4を用いて説明する。
図1(A)には、本実施形態に係る車両用構造体10が斜視図で示され、
図1(B)には、
図1(A)の1B−1B線に沿って(後述する中心軸線14と直交するように)切断した状態の断面図が示されている。
【0025】
図1に示されるように、車両用構造体10は、四本(広義には複数)の長尺筒状部材としてのパイプ部材12を有すると共に、これら四本のパイプ部材12を所定の中心軸線14の周りの周方向に並列に配置されるように保持する保持部材としての端保持部材18を有している。四本のパイプ部材12は、一例として直線状に延びており、中心軸線14の周りに等間隔かつ互いに平行に配置されている。
【0026】
四本のパイプ部材12の集合体は、筒集合体としてのパイプ集合体16を構成している。パイプ集合体16の軸方向両端部は、四本のパイプ部材12の長手方向の端部の位置が揃えられると共に端保持部材18の平面部18Aに突き当てられた状態で一例として溶接によって接合されている。すなわち、端保持部材18は、円板状に形成されると共に、互いに対向するように一対設けられてパイプ集合体16の軸方向両側に配置され、パイプ集合体16の軸方向両端部を保持している。なお、端保持部材18とパイプ集合体16との接合には、溶接による接合の他に例えば接着等による接合を適用することができる。
【0027】
パイプ部材12は、一例として金属材(例えば鋼材、アルミニウム合金材等)によって円筒形状に形成されている。なお、パイプ部材12は、樹脂材(繊維強化樹脂材を含む)によって形成されてもよい。
図1(B)に示されるように、パイプ集合体16は、その軸方向視(中心軸線14の軸線方向視)で内側領域に配置された内側部位16Aが軸方向視で外側領域に配置された外側部位16Bよりも肉厚が薄く設定されて軸方向の剛性が低く設定されている。なお、パイプ集合体16の軸方向は、中心軸線14の軸線方向(
図1(B)では紙面に垂直な方向)と等しい。
図1(B)では、図を見易くするために、パイプ集合体16の内側領域と外側領域との境界を二点鎖線の円Cで示している。
【0028】
各パイプ部材12における差厚構造は、一例として肉厚の異なる部材同士を互いに接合(例えばテーラードブランク工法等による接合)してパイプ部材12を形成することで、設定可能である。また、パイプ部材12の外径や肉厚や長手方向の寸法等は、車両用構造体10の用途に応じて種々の設定を採り得る。
【0029】
また、内側部位16Aと外側部位16Bとの前述した剛性の差は、パイプ集合体16の軸方向に沿うような荷重が作用した場合の内側部位16Aでの座屈変形量が大きくなり過ぎるのを避けるため、1/3以下にすることが望ましい。
【0030】
図4(A)には、車両用構造体10を有する車体前部構造を備えた車両20(一例として自動車)の模式的な平面図が示されている。なお、
図4(A)及び
図4(B)に示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印Wは車両幅方向を示している。
図4(A)に示されるように、車両20において、車両用構造体10は、車体前部22の車体構成部材としてのフロントサイドメンバ(「フロントサイドフレーム」ともいう。)24を構成して車両20の前部側かつ側部側に配置されると共に車両平面視でパイプ集合体16の軸方向(中心軸線14の軸線方向)が車両前後方向に沿うように設定されている。フロントサイドメンバ24は、車両20の前端において車両幅方向に延在するバンパ(図示省略)の両サイドの後面側に接合される部材である。
【0031】
なお、本実施形態の変形例として、車両用構造体10と同様の構成の車両用構造体が車体前部(22)の車体構成部材として車両(20)の前部側かつ側部側(車両用構造体10と実質的に同様の位置)に配置されると共に車両平面視でパイプ集合体(16)の軸方向が車両前方側へ向けて車両幅方向内側に傾斜するように設定されてもよい(図示省略)。
【0032】
(作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0033】
本実施形態では、
図1に示されるように、端保持部材18は、四本のパイプ部材12を所定の中心軸線14の周りの周方向に並列に配置されるように保持する。ここで、四本のパイプ部材12の集合体であるパイプ集合体16は、その軸方向視で内側領域に配置された内側部位16Aが軸方向視で外側領域に配置された外側部位16Bよりも軸方向の剛性が低く設定されている。このため、パイプ集合体16に対してその軸方向に沿うような衝突荷重が作用した場合、内側部位16Aがパイプ部材12の内側に凹むように変形すると共に外側部位16Bがパイプ部材12の外側に膨らむように変形しながら、エネルギを吸収する。
【0034】
ここで、
図2及び
図3を参照しながら補足説明する。
【0035】
図2は、車両用構造体10(
図1参照)を構成するパイプ部材12(
図1参照)に相当する円筒形状のパイプ部材12Mに対してその軸方向に圧縮荷重が作用した場合の変形状態を説明するための解析結果を示す図である。
図2(A)にはパイプ部材12Mの変形前の状態が示され、
図2(B)には
図2(A)に示されるパイプ部材12Mがその軸方向に圧縮荷重を受けて変形した状態の一例が示されている。また、
図2では、パイプ部材12Mの変形前後の形状を分かり易く示すために、パイプ部材12Mの表面に罫線を付している。さらに、
図2では、パイプ部材12Mの図中の上側部位が内側部位16A(
図1(B)参照)に相当する相対的に剛性が低い低剛性部位16aであり、パイプ部材12Mの図中の下側部位が外側部位16B(
図1(B)参照)に相当する相対的に剛性が高い高剛性部位16bである。
【0036】
図2(A)に示されるように、パイプ部材12Mに対してその軸方向に圧縮荷重(矢印f参照)が作用した場合、
図2(B)に示されるように、低剛性部位16aのパイプ軸方向中間部が先にパイプ部材12Mの内側に凹むように概ね弓なりに変形すると共に高剛性部位16bのパイプ軸方向中間部がパイプ部材12Mの外側に膨らむように変形する。
【0037】
図3には、車両用構造体10のパイプ集合体16に軸方向の圧縮荷重が作用した場合のパイプ集合体16の変形状態を説明するための模式的な図が示されている。
図3(A)にはパイプ集合体16の変形前の状態が示され、
図3(B)にはパイプ集合体16の変形状態の一例が示されている。
図3(A)に示されるパイプ集合体16に対してその軸方向に圧縮荷重(矢印F参照)が作用した場合、
図3(B)に示されるように、各パイプ部材12が湾曲状に変形していくことで、パイプ集合体16の軸方向中間部が中心軸線14の側とは反対側に膨らんだ(いわば樽状の)形状になっていく。
【0038】
そして、パイプ集合体16がこのように変形していくと、パイプ集合体16を有する車両用構造体10の断面二次モーメントが増大していく。したがって、衝突時のエネルギ吸収過程において車両用構造体10の曲げ剛性が向上していく。言い換えれば、受動的(パッシブ)に荷重を受け止める車両用構造体10は、衝突段階に応じて自動的に(アクティブに)剛性を高めるように挙動しているかのように変形する。
【0039】
ここで、想定される対比構造を例に挙げて補足説明する。例えば、衝突を検知するセンサを備えると共に当該センサの検知結果に基づき衝突時のエネルギ吸収過程において車両の衝突部分の曲げ剛性を向上させるように作動機構を作動させる対比構造では、仮にセンサの誤検知や検知漏れといったことがあると、前記作動機構が作動されないので、ロバスト性が担保されない。また、前記対比構造では、センサを設けた分、コストが増すといったデメリットもある。さらに、前記対比構造では、衝突現象に間に合わせるように、前記作動機構を瞬時に作動させるには多くのエネルギ源が必要になると共に、前記作動機構が正常に作動しないリスクもある。ちなみに、前記作動機構の作動に火薬等を使用する場合には湿気によって前記作動機構が作動しなくなることも考えられる。
【0040】
これに対して、本実施形態の構成では、前記対比構造のようなセンサや作動機構が不要であるため、前記対比構造における問題点を解消することができる。
【0041】
また、本実施形態では、
図3(A)に示される端保持部材18は、パイプ集合体16の軸方向両端部を保持する。このため、パイプ集合体16に対してその軸方向に沿うような衝突荷重が作用した場合には、
図3(B)に示されるように、パイプ集合体16は、その軸方向両端部が端保持部材18によって安定的に保持された状態でパイプ集合体16の軸方向中間部が中心軸線14の側とは反対側に膨らんだ形状に変形していく。このため、衝突時のエネルギ吸収過程においてパイプ集合体16を有する車両用構造体10の曲げ剛性を安定的に向上させることができる。
【0042】
さらに、本実施形態では、
図3(A)に示されるように、パイプ集合体16の軸方向端部は、端保持部材18に突き当てられた状態で接合されている。このため、パイプ集合体16に対してその軸方向に沿うような衝突荷重が作用した場合には、
図3(B)に示されるように、パイプ集合体16は、その全長を有効に使って軸方向中間部が中心軸線14の側とは反対側に膨らんだ形状に変形していく。
【0043】
また、
図4(A)に示されるように、車両用構造体10は、車両20の前部側かつ側部側に配置されると共に車両平面視でパイプ集合体16の軸方向が車両前後方向に沿うように設定されている。このため、車両20の前部側かつ側部側の部位が衝突物体26(衝突相手)と衝突して車両前方側から衝突荷重Faが入力された場合、
図4(B)に示されるように、車両用構造体10は、パイプ集合体16の軸方向中間部が中心軸線14の側とは反対側に膨らむように変形しながらエネルギを吸収しつつ曲げ剛性を向上させていく。車両用構造体10の曲げ剛性が向上することで車両用構造体10の破壊が防止又は効果的に抑制される。また、パイプ集合体16の軸方向中間部が上述のように中心軸線14の側とは反対側に膨らむように変形することで、その膨らんだ部分から衝突物体26が反力を受け易くなり、車両20が衝突物体26から逸れるように車両前後方向に対して斜め(矢印A参照)に移動し易くなる。このため、車両20が大きな衝撃を受ける前に車両20を衝突物体26から遠ざけることができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の車両用構造体10及び車体前部構造によれば、センサを用いずに衝突時のエネルギ吸収過程において曲げ剛性を向上させることができる。これにより、車両性能の向上に貢献することができる。
【0045】
なお、本実施形態の変形例として、車両用構造体10と同様の構成の車両用構造体が車体前部(22)の車体構成部材として車両(20)の前部側かつ側部側(車両用構造体10と実質的に同様の位置)に配置されると共に車両平面視でパイプ集合体(16)の軸方向が車両前方側へ向けて車両幅方向内側に傾斜するように設定されている構成(図示省略)が採られている場合についても、上記実施形態の場合(
図4参照)と概ね同様の作用及び効果を得ることができる。
【0046】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る車両用構造体30について、
図5を用いて説明する。
図5(A)には、本実施形態に係る車両用構造体30が斜視図で示されており、
図5(B)には、
図5(A)の5B−5B線に沿って(中心軸線14と直交するように)切断した状態の断面図が示されている。
図5に示されるように、本実施形態に係る車両用構造体30は、パイプ部材12(
図1参照)に代えて、楕円筒形状の長尺筒状部材としてのパイプ部材32を備える点で、第1の実施形態に係る車両用構造体10(
図1参照)とは異なる。他の構成は、第1の実施形態と実質的に同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
図5(A)に示されるように、車両用構造体30は、四本(広義には複数)のパイプ部材32を有すると共に、これら四本のパイプ部材32を所定の中心軸線14の周りの周方向に並列に配置されるように保持する端保持部材18を有している。四本のパイプ部材32は、中心軸線14の周りに等間隔かつ互いに平行に配置されて一例として直線状に延びている。
【0048】
四本のパイプ部材32の集合体は、筒集合体としてのパイプ集合体36を構成している。パイプ集合体36の軸方向両端部は、四本のパイプ部材12の長手方向の端部の位置が揃えられると共に端保持部材18の平面部18Aに突き当てられた状態で一例として溶接によって接合されている。すなわち、端保持部材18は、第1の実施形態と同様に、パイプ集合体36の軸方向両端部を保持している。端保持部材18とパイプ集合体36との接合には、溶接による接合の他に例えば接着等による接合を適用することができる。
【0049】
パイプ部材32は、一例として金属材(例えば鋼材、アルミニウム合金材等)によって
図5(A)及び
図5(B)に示されるように楕円筒形状に形成されている。なお、パイプ部材32は、樹脂材(繊維強化樹脂材を含む)によって形成されてもよい。
図5(B)に示されるように、パイプ部材32は、パイプ集合体36の軸方向視でパイプ集合体36の内側領域と外側領域との境界を示す円Cにパイプ部材32の長軸が沿うような方向となるように配置されている。また、パイプ集合体36は、その軸方向視で内側領域に配置された内側部位36Aが軸方向視で外側領域に配置された外側部位36Bよりも肉厚が薄く設定されて軸方向の剛性が低く設定されている。なお、パイプ集合体36の軸方向は、中心軸線14の軸線方向(
図5(B)では紙面に垂直な方向)と等しい。また、パイプ部材32の外径や肉厚や長手方向の寸法等は、第1の実施形態と同様に、車両用構造体30の用途に応じて種々の設定を採り得る。
【0050】
また、本実施形態の車両用構造体30は、一例として、
図4(A)に示される車両用構造体10に代えて、車体前部22のフロントサイドメンバ(24)として車両20の前部側かつ側部側に配置されて車両平面視でパイプ集合体36(
図5参照)の軸方向が車両前後方向に沿うように又は車両前方側へ向けて車両幅方向内側に傾斜するように設定される。
【0051】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態の構成によっても、前述した第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0052】
また、本実施形態では、
図5に示される四本のパイプ部材32は、楕円筒形状に形成されると共に、パイプ集合体36の軸方向視でパイプ集合体36の内側領域と外側領域との境界を示す円Cにパイプ部材32の長軸が沿うような方向となるように配置されているので、パイプ集合体36に対してその軸方向に沿うような衝突荷重が作用した場合に、パイプ集合体36は、第1の実施形態のパイプ集合体16(
図1参照)よりも更に、パイプ集合体36の軸方向中間部が中心軸線14の側に括れるような変形モードになり難く、パイプ集合体36の軸方向中間部が中心軸線14の側とは反対側に膨らむような変形モードになり易い。このため、本実施形態では、衝突時のエネルギ吸収過程において一層安定的に曲げ剛性を向上させることができる。
【0053】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る車両用構造体40について、
図6を用いて説明する。
図6(A)には、本実施形態に係る車両用構造体40が斜視図で示され、
図6(B)には、
図6(A)の6B−6B線に沿って(中心軸線14と直交するように)切断した状態の断面図が示されている。
図6に示されるように、本実施形態に係る車両用構造体40は、第1の実施形態に係る車両用構造体10(
図1参照)に加えて、保持部材としての中間保持部材42を有する構成とされている。なお、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
図6に示されるように、車両用構造体40は、パイプ集合体16の軸方向中間部に対して中心軸線14の側に設けられた部位を備えた中間保持部材42を有している。中間保持部材42は、十字型(クロス型)の短筒状に形成された保持筒部材44を備えると共に、保持筒部材44の筒軸方向の両側の端面に一例として溶接によって接合された端板46を備えている。なお、保持筒部材44と端板46とは例えば接着等によって接合されてもよい。端板46は、十字型(クロス型)の板状部材とされて保持筒部材44の筒軸方向の両側の開口を塞いでおり、パイプ集合体36の軸方向視で端板46の外形と保持筒部材44の外形とが重なるように設定されている。
【0055】
保持筒部材44及び端板46は、一例として金属材(例えば鋼材、アルミニウム合金材等)によって形成されている。なお、保持筒部材44及び端板46は、樹脂材(繊維強化樹脂材を含む)によって形成されてもよい。保持筒部材44及び端板46の材質は同一であることが望ましい。
【0056】
中間保持部材42は、パイプ集合体16の内側部位16Aに一例として溶接によって接合されている。より詳細に説明すると、各パイプ部材12は、内側部位16Aのうち外側部位16Bに近い側の計二箇所が中間保持部材42と接するように配置されて(言い換えれば支持されて)それぞれ中間保持部材42に接合されている。なお、中間保持部材42は、例えば接着等によってパイプ集合体16の内側部位16Aに接合されてもよい。中間保持部材42は、中心軸線14から離れる方向への所定値以上の荷重をパイプ集合体16の内側部位16Aから受けた場合にパイプ集合体16の内側部位16Aとの接合が解除されるように設定されている。
【0057】
中間保持部材42とパイプ集合体16の内側部位16Aとの溶接による接合は、接合距離を短くしたり不連続溶接にしたりすることで、接合強度を所定値以下にすることができる。また、本実施形態の変形例のように、中間保持部材42とパイプ集合体16の内側部位16Aとを接着によって(接着剤を介して)接合する場合は、接着面積を抑えたり、接着強度が低い接着剤を採用したりする等によって、接合強度を所定値以下にすることができる。
【0058】
また、本実施形態の車両用構造体40は、一例として、
図4(A)に示される車両用構造体10に代えて、車体前部22のフロントサイドメンバ(24)として車両20の前部側かつ側部側に配置されて車両平面視でパイプ集合体16の軸方向が車両前後方向に沿うように又は車両前方側へ向けて車両幅方向内側に傾斜するように設定される。
【0059】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態の構成によっても、前述した第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0060】
また、本実施形態では、
図6に示されるパイプ集合体16に対してその軸方向に沿うような衝突荷重が作用した場合に、仮にパイプ集合体16の軸方向中間部が中心軸線14の側に括れるように変形しようとしても、中間保持部材42によってそのような変形が抑制される。補足すると、本実施形態では、各パイプ部材12は計二箇所で中間保持部材42に支持されているので、パイプ集合体16の軸方向中間部において各パイプ部材12が中心軸線14の側に接近しようとする変形が安定的に抑えられる。
【0061】
また、本実施形態では、前記衝突荷重が作用してパイプ集合体16の軸方向中間部が中心軸線14の側とは反対側に膨らむように変形しようとした場合、中間保持部材42とパイプ集合体16の内側部位16Aとの接合が解除される。これにより、パイプ集合体16の軸方向中間部は、中心軸線14の側とは反対側に膨らむように変形することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態では、中間保持部材42とパイプ集合体16の内側部位16Aとは溶接によって接合されているので、中間保持部材42が中心軸線14から離れる方向への所定値以上の荷重をパイプ集合体16の内側部位16Aから受けた場合に中間保持部材42とパイプ集合体16の内側部位16Aとの接合が解除されるという設定を容易にすることができる。
【0063】
(変形例)
なお、本実施形態の変形例として、中間保持部材42とパイプ集合体16の内側部位16Aとが接着によって接合されている場合についても、中間保持部材42が中心軸線14から離れる方向への所定値以上の荷重をパイプ集合体16の内側部位16Aから受けた場合に中間保持部材42とパイプ集合体16の内側部位16Aとの接合が解除されるという設定を容易にすることができる。
【0064】
なお、本実施形態の変形例として、中間保持部材42に代えて保持筒部材44と同様の部材を中間保持部材として配置してもよいし、中間保持部材42に代えて例えば端板46等のような中実の十字型(クロス型)の部材を中間保持部材として配置してもよい。そのような変形例においても、本実施形態と概ね同様の作用及び効果を得ることができる。
【0065】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係る車両用構造体50について、
図7を用いて説明する。
図7(A)には、本実施形態に係る車両用構造体50が斜視図で示され、
図7(B)には、
図7(A)の7B−7B線に沿って(中心軸線14と直交するように)切断した状態の断面図が示されている。
図7に示されるように、本実施形態に係る車両用構造体50は、第1の実施形態に係る車両用構造体10(
図1参照)に加えて、保持部材としての中間保持部材52を有する構成とされている。なお、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
図7に示されるように、車両用構造体50は、パイプ集合体16の軸方向中間部に対して中心軸線14の側に設けられた部位を備えた中間保持部材52を有している。中間保持部材52は、一例として金属材(例えば鋼材、アルミニウム合金材等)によって短円筒形状に形成されている。なお、中間保持部材52は、樹脂材(繊維強化樹脂材を含む)によって形成されてもよい。
【0067】
中間保持部材52は、パイプ集合体16の内側部位16Aに一例として溶接によって接合されている。より詳細に説明すると、各パイプ部材12は、内側部位16Aのうちパイプ部材12の軸心(図示省略)と中心軸線14とを結ぶ仮想直線(図示省略)上で中間保持部材52と接するように配置されて(言い換えれば支持されて)中間保持部材52に接合されている。なお、中間保持部材52は、例えば接着等によってパイプ集合体16の内側部位16Aに接合されてもよい。中間保持部材52は、中心軸線14から離れる方向への所定値以上の荷重をパイプ集合体16の内側部位16Aから受けた場合にパイプ集合体16の内側部位16Aとの接合が解除されるように設定されている。
【0068】
また、本実施形態の車両用構造体50は、一例として、
図4(A)に示される車両用構造体10に代えて、車体前部22のフロントサイドメンバ(24)として車両20の前部側かつ側部側に配置されて車両平面視でパイプ集合体16の軸方向が車両前後方向に沿うように又は車両前方側へ向けて車両幅方向内側に傾斜するように設定される。
【0069】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態の構成によっても、前述した第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0070】
また、本実施形態では、
図7に示されるパイプ集合体16に対してその軸方向に沿うような衝突荷重が作用した場合に、仮にパイプ集合体16の軸方向中間部が中心軸線14の側に括れるように変形しようとしても、中間保持部材52によってそのような変形が抑制される。補足すると、本実施形態では、各パイプ部材12の軸心と中心軸線14とを結ぶ仮想直線上で各パイプ部材12は中間保持部材52に支持されているので、パイプ集合体16の軸方向中間部において各パイプ部材12が中心軸線14の側に接近しようとする変形が安定的に抑えられる。
【0071】
また、本実施形態では、前記衝突荷重が作用してパイプ集合体16の軸方向中間部が中心軸線14の側とは反対側に膨らむように変形しようとした場合、中間保持部材52とパイプ集合体16の内側部位16Aとの接合が解除される。これにより、パイプ集合体16の軸方向中間部は中心軸線14の側とは反対側に膨らむように変形することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態では、中間保持部材52とパイプ集合体16の内側部位16Aとは溶接によって接合されているので、中間保持部材52が中心軸線14から離れる方向への所定値以上の荷重をパイプ集合体16の内側部位16Aから受けた場合に中間保持部材52とパイプ集合体16の内側部位16Aとの接合が解除されるという設定を容易にすることができる。
【0073】
なお、本実施形態の変形例として、中間保持部材52とパイプ集合体16の内側部位16Aとが接着によって(接着剤を介して)接合されている場合についても、中間保持部材52が中心軸線14から離れる方向への所定値以上の荷重をパイプ集合体16の内側部位16Aから受けた場合に中間保持部材52とパイプ集合体16の内側部位16Aとの接合が解除されるという設定を容易にすることができる。
【0074】
また、本実施形態では、第3の実施形態の構成と比べて、軽量化を図ることもできる。
【0075】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態に係る車両用構造体60について、
図8を用いて説明する。
図8(A)には、本実施形態に係る車両用構造体60が斜視図で示され、
図8(B)には、
図8(A)の8B−8B線に沿って(中心軸線14と直交するように)切断した状態の断面図が示されている。
図8に示されるように、本実施形態に係る車両用構造体60は、第1の実施形態に係る車両用構造体10(
図1参照)に加えて、保持部材としてのバンド状部材62を有する構成とされている。なお、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
図8に示されるように、車両用構造体60は、パイプ集合体16の軸方向中間部における外周側に全周に亘って巻かれたバンド状部材62を有している。バンド状部材62は、一例として金属材(例えば鋼材、アルミニウム合金材等)によって環状に形成されている。なお、バンド状部材62は、樹脂材(繊維強化樹脂材を含む)によって形成されてもよい。
【0077】
バンド状部材62は、パイプ集合体16の外側部位16Bに一例として溶接によって接合されている。より詳細に説明すると、バンド状部材62は、各パイプ部材12の外側部位16Bの外周面の一部にそれぞれ沿うように配置されて接する計四個の円弧状の接触部62Aを備えており、接触部62Aの内面がパイプ部材12に接合されている。なお、バンド状部材62は、例えば接着や機械的締結(ボルト締結やリベット締結)等によってパイプ集合体16の外側部位16Bに接合されてもよい。
【0078】
また、バンド状部材62は、パイプ集合体16の外側部位16Bに接しない計四個の非接触部62Bを備えている。この非接触部62Bと前述した接触部62Aとは、パイプ集合体16の軸方向視で交互に設定されている。また、非接触部62Bは、パイプ集合体16の軸方向視で非直線状(本実施形態では一例としてバンド状部材62の半径方向外側に凸の円弧状)に形成されている。すなわち、非接触部62Bには、パイプ集合体16の軸方向視で非接触部(62B)が直線状に設定されたと仮定した場合の長さよりも長い分が余長として設定されている。
【0079】
非接触部62Bは、一例としてパイプ集合体16の軸方向視で接触部62Aと同様の形状に形成されている。但し、本実施形態の変形例として、パイプ集合体(16)の軸方向視で非直線状に形成された非接触部(本実施形態の非接触部62Bに相当する構成部)がパイプ集合体(16)の軸方向視で接触部(本実施形態の接触部62Aに相当する構成部)と異なる形状に形成されていてもよい。
【0080】
また、本実施形態の車両用構造体60は、一例として、
図4(A)に示される車両用構造体10に代えて、車体前部22のフロントサイドメンバ(24)として車両20の前部側かつ側部側に配置されて車両平面視でパイプ集合体16の軸方向が車両前後方向に沿うように又は車両前方側へ向けて車両幅方向内側に傾斜するように設定される。
【0081】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態の構成によっても、前述した第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0082】
また、本実施形態では、
図8に示される非接触部62Bに余長が設定されているので、パイプ集合体16に対してその軸方向に沿うような衝突荷重が作用してパイプ集合体16の軸方向中間部が中心軸線14の側とは反対側に膨らむように変形しようとした場合、バンド状部材62はそれに応じて余長の範囲で変形するので、パイプ集合体16の軸方向中間部は所定範囲で中心軸線14の側とは反対側に膨らむように変形することが可能である。
【0083】
また、バンド状部材62が余長の範囲の限度まで変形すると、パイプ集合体16の軸方向中間部は仮に中心軸線14の側とは反対側に更に膨らむように変形しようとしてもバンド状部材62によってそのような変形が抑えられる。すなわち、パイプ集合体16の軸方向中間部が中心軸線14の側とは反対側に過度に変形してしまうのを抑制することができる。
【0084】
[実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態では、
図1及び
図5〜
図8等に示される車両用構造体10、30、40、50、60は、四本の長尺筒状部材としてのパイプ部材12、32を有しているが、車両用構造体は、例えば二本、三本、五本等のような四本以外の複数の長尺筒状部材を有するものであってもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、長尺筒状部材としてのパイプ部材12、32が円筒形状や楕円筒形状に形成されているが、長尺筒状部材は、例えば角筒状に形成された長尺筒状部材等のような他の長尺筒状部材とされてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、長尺筒状部材としてのパイプ部材12、32が直線状に延びた部材とされているが、長尺筒状部材は、曲部を含んで構成された部材であってもよい。補足すると、複数の長尺筒状部材を含んで構成された車両用構造体は、全体として見たときに直線状でなくて曲げられた形状部分を含んでいてもよい。また、例えば、車両用構造体で構成された車体構成部材としてのフロントサイドメンバは、車両前部のパワーユニット室の側部に配置されて車体前後方向に延在するサイドメンバ前部と、前記サイドメンバ前部の後端部に連続してダッシュ部(車体客室前壁)に沿って車体後下方側に延在するキック部及び当該キック部の後端から車体後方側に延びる延設部を備えたサイドメンバ後部と、を有するようなものであってもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、パイプ集合体16、36は、その軸方向視で内側領域に配置された内側部位16A、36Aが軸方向視で外側領域に配置された外側部位16B、36Bよりも肉厚が薄く設定されて軸方向の剛性が低く設定されているが、そのような剛性差を設定するために、上述の肉厚差の設定に代えて、以下の構成の変形例を採用してもよい。すなわち、例えば、内側部位(16A、36A)を構成する材料が外側部位(16B、36B)を構成する材料よりも軸方向(中心軸線(14)の軸線方向)の剛性が低い材料とされるような構成が採用されてもよい。また、他の変形例として、例えば、外側部位(16B、36B)に比剛性及び比強度が高い複合シート(「パッチ」ともいう。)が貼り付けられ、内側部位(16A、36A)には何も貼らないような構成が採られてもよい。さらに、他の変形例として、例えば外側部位(16B、36B)にのみリブを形成する等のように、上述の肉厚差の設定以外の三次元形状の設定で、内側部位(16A、36A)が外側部位(16B、36B)よりも軸方向(中心軸線14の軸線方向)の剛性が低く設定されるような構成が採られてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、車両用構造体10、30、40、50、60は、パイプ集合体16、36の軸方向両端部を保持する保持部材として端保持部材18を有しており、このような構成が好ましいが、車両用構造体は、端保持部材18に代えて、パイプ集合体(16、36)の軸方向両端部よりも軸方向中間部側を保持する保持部材を有するものとすることも可能である。
【0089】
また、上記実施形態では、端保持部材18には、パイプ集合体16、36の軸方向端部が突き当てられた状態で接合されているが、上記実施形態の変形例として、保持部材としての端保持部材は、例えば、パイプ集合体(16、36)の軸方向両端部を内周側又は外周側から保持するようなものであってもよい。
【0090】
なお、複数の長尺筒状部材の集合体を保持する保持部材としては、例えば特許第6020116号公報等に開示された公知の保持部材を適用可能である。
【0091】
また、上記実施形態及びその変形例では、中間保持部材42、52は、溶接又は接着によってパイプ集合体16の内側部位16Aに接合されており、接合強度を容易に所定値以下にできる観点からはこのような構成が好ましいが、中間保持部材(42、52)は、機械的締結(ボルト締結やリベット締結)によってパイプ集合体(16)の内側部位(16A)に接合されてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、車両用構造体10、30、40、50、60が車体前部22の車体構成部材としてのフロントサイドメンバ(24)を構成して車両20の前部側かつ側部側に配置される構成について説明したが、車両用構造体がフロントサイドメンバ以外の車体構成部材を構成する構成も採り得る。
【0093】
なお、上記実施形態及び上述の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0094】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。