(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、オゾン水やオゾンガスを発生させるオゾン発生装置が利用されている。この種のオゾン発生装置は、例えば発生させたオゾン水を用いて除菌、脱臭、カビ・ヌメリの除去等を行ったり、発生させたオゾンガスを用いて室内浮遊菌の除去、室内空気の脱臭、壁・天井等の手の届き難い場所の除菌を行ったりするのに用いられる。
【0003】
オゾン発生装置は、発生させたオゾンガスやオゾン水を所定のオゾン濃度に保持するため、定期的にそのオゾン濃度を計測する必要がある。このため従来は、例えば手動により、オゾン発生装置が生成したオゾン水を取り出し、取出したオゾン水中に測定器の検出部を浸漬してそのオゾン濃度を求めていた。しかしながら上記手動による測定は、測定作業が煩雑であり、またなれない作業者の場合は正確な測定が出来なくなる恐れもあった。
【0004】
前記オゾンガスやオゾン水のオゾン濃度を測定する他の方法として、オゾン発生装置内にオゾン濃度測定器を組み込み、このオゾン濃度測定器によってオゾン濃度を測定する方法も考えられる。この方法によれば、測定作業が自動化でき、また作業者による測定に比べて測定値のバラつきも防止できる。しかしながら組み込み型のオゾン濃度測定器の場合、その検出部(一対の電極等)をオゾン水中に浸漬するため、経時的に使用していると、この検出部にカルシウム等の付着物が累積的に付着・積層してゆき、正しいオゾン濃度の測定が出来なくなってしまう恐れがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、オゾンは強力な酸化作用を有するので、オゾン発生装置内のオゾンが通過する部品は劣化し易く、それらを定期的に交換等しなければならない。このため、交換する部品毎に、予めそれらの使用時間(使用可能時間)を設定しておき、各部品の使用時間を積算し、その使用時間に達した時に、部品交換等のメッセージを報知し、メンテナンスを実行させるようにしていた。
【0007】
使用時間は、オゾン濃度に対応して変化するので(オゾン濃度が高いほど短い)、オゾン濃度に対応した使用時間とするのが好ましい。しかしながら実際には、上述のように、例えオゾン濃度測定器を組み込んだオゾン発生装置の場合でも、経時的に正確なオゾン濃度を測定することが困難なため、安全を考慮し、最も高いオゾン濃度のオゾン水やオゾンガスを常時流したとしたときの使用時間を用いていた。
【0008】
そして、上記のように使用時間を設定すると、実際に流したオゾン水やオゾンガスのオゾン濃度が低かったような場合は、実際にはもっと長い時間使用ができるにもかかわらず、その部品を交換しなければならなくなり、メンテナンスコストの低廉化が図れないという問題があった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、経時的に適正なオゾン濃度を求めることができて、メンテナンス等を実施すべき時期に適切な報知を行うことができ、これによってメンテナンスコストの低廉化を図ることができるオゾン発生装
置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は
、オゾンを発生させるために要した電気的物理量の値
とオゾン水を生成するために流水させた流水量を取得する取得
手段と、前記取得した電気的物理量の値
と流水量とに基づいて、前
記オゾン
水のオゾン濃度を
求める算出
手段と、前記算出されたオゾン濃度に基づき
、メンテナンスを必要とするか否かを判定する判定
手段と、前
記判定の結果
、メンテナンスが必要であると判定された場合、メンテナンスを実施すべき旨の報知を行う報知
手段と、を
備えることを特徴とするオゾン発生装置にある。
ここで言う「オゾン」には、オゾンガスとオゾン水の両者が含まれる。また電気的物理量の値には、電流値、電圧値、電力値等が含まれる。また報知は、メンテナンスが必要なオゾン発生装置において行っても良いし、下記する管理装置において行っても良いし、下記する携帯端末において行っても良いし、更にその他の機器において行っても良い。
本発明によれば、取得した電気的物理量の値
と流水量とに基づいてオゾン濃度を算出し、算出したオゾン濃度を用いてメンテナンスが必要であるか否かを判定するように構成したので、オゾン濃度測定器をオゾン
水に触れさせなくても経時的に適正なオゾン濃度を算出することができ、これによってメンテナンスが必要である旨の報知を適切な時期に行うことができ、適切な時期に部品交換等のメンテナンスを行うことができる。
【0011】
また本発明は、
当該オゾン発生装置は、オゾンガスとオゾン水を生成・供給する構造の装置であることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、
前記取得手段が、前記オゾンを発生させるために要した通電時間を更に取得し、前記判定手段は、前記算出されたオゾン濃度と前記取得した通電時間とに基づき、当該オゾン発生装置がメンテナンスを必要とするか否かを判定することを特徴としている。
本発明によれば、通電時間を更に取得することで、オゾン発生装置がメンテナンスを必要とするか否かを容易かつ適正に判定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかるオゾン発生装置監視システム1の全体概略構成図である。同図に示すようにオゾン発生装置監視システム1は、複数のオゾン発生装置10と、前記オゾン発生装置10を管理する管理装置200と、前記オゾン発生装置10のメンテナンスを行う複数の保守員がそれぞれ所持する複数の携帯端末300とを、通信回線400を介して接続して構成されている。
【0020】
図2はオゾン発生装置10の概略構成図である。同図に示すようにオゾン発生装置10は、空気乾燥器11からポンプ13によって供給される外気と、制御装置15によって制御される高圧電源17からの高圧電圧とを用いて、オゾン発生器19においてオゾンガスを発生させ、発生したオゾンガスを切換手段21と濃度計23を介してそのまま外部へ放出させ、一方オゾン発生器19において発生させたオゾンガスを切換手段21を介して気液混合手段25に導き、流量計27を介して供給される水道水と混合させることでオゾン水を生成し、生成したオゾン水を気液分離器29と濃度計31を介して外部に放出させる構造に構成されている。さらに気液分離器29には、この気液分離器29から放出される排オゾンガスを分解する排オゾン分解器33が接続されている。
【0021】
空気乾燥器11は、乾燥剤等による乾燥手段と、フィルタ等による空気清浄手段とを具備しており、これらによって導入する外気の乾燥と清浄化とを行う装置である。ポンプ13は、前記空気乾燥器11に外気を吸引させると共に、空気乾燥器11から排出されたクリーンで乾燥した空気をオゾン発生器19に供給するものである。
【0022】
制御装置15は高圧電源17からオゾン発生器19に供給する高圧電源(その供給電圧、供給電流、周波数、通電時間等)を制御するものである。この制御装置15は、高圧電源17がオゾン発生器19に供給する高圧電源の通電時間や電流値(電気的物理量の値)を経時的に記憶しておく記憶手段を有している。また制御装置15は、前記通信回線400を介して管理装置200(下記する通信部207)と通信可能に構成されており、このオゾン発生装置10の起動や停止、及び前記記憶手段に記憶した高圧電源の通電時間や電流値や下記する流量計27からの測定データ等を、適宜管理装置200に送信する。
【0023】
オゾン発生器19は、導入した空気に対して高圧電源17からの高電圧を印加して放電させることによってオゾンガスを発生(生成)させる方式(無声放電方式)の装置である。
図3は、供給される空気の量を一定とした場合の、オゾン発生器19によって生成されるオゾンガスの、供給電流値に対するオゾンガス濃度の一例を示す図である。同図に示すようにオゾンガス濃度は、供給する電流値を制御することで制御できる。
【0024】
切換手段21は、この例では流路切換ソレノイドバルブを用いており、オゾン発生器19から導入されたオゾンガスの供給先を、濃度計23又は気液混合手段25に切り換える機能を有する装置である。濃度計23はオゾンガスのオゾン濃度を測定する装置である。気液混合手段25は、この例ではアスピレータを用いており、このアスピレータのベンチュリ効果による減圧状態を利用して、この気液混合手段25に供給される水(水道水)に、オゾン発生器19側から供給されるオゾンガスを効果的に溶け込ませる構成となっている。
【0025】
気液分離器29は、内蔵するタンク内において、導入した液体と気体とを分離し、分離された液体はオゾン水として取り出し、分離された気体は排オゾンガスとして排オゾン分解器33に取り出す装置である。濃度計31はオゾン水のオゾン濃度を測定する装置である。排オゾン分解器33は、例えば触媒(二酸化マンガン(MnO2)等)を用いて、オゾンをシリカ(SiO2)やアルミナ(Al2O3)等の表面に接触することで酸素に分解する接触分解法を用いた装置である。排オゾン分解器33としては、その他にも、活性炭吸着分解法、加熱分解法、湿式法等による装置を用いても良い。
【0026】
以上のように構成されたオゾン発生装置10は、使用者が図示しない操作部(操作パネル)を操作することで、オゾンガスを吹き出させる設定や、オゾン水を流出させる設定にすることができる。オゾンガスを吹き出させる場合は、例えば、予め吹き出し開始時刻と吹き出し終了時刻の設定を行った上で、オゾンガスの吹き出し指令を行っておく(具体的にはオゾンガススイッチをオンにしておく)。一方オゾン水を流出させる場合は、例えば、予めオゾン水の流出指令を行っておく(具体的にはオゾン水スイッチをオンにしておく)。そしてオゾンガスの吹き出し指令を行った場合は、吹き出し開始時刻になると装置が自動的に起動してオゾンガスの吹き出しが始まり、吹き出し終了時刻になると装置が自動的に停止してオゾンガスの吹き出しが終了する。一方オゾン水の流出指令を行った場合は、濃度計31の下流側に設置したオゾン水の蛇口(図示せず)を開くと装置が自動的に起動してオゾン水の流出が始まり、前記蛇口を閉じると装置が自動的に停止してオゾン水の流出が停止する。以下、オゾン発生装置10を起動したときの各部の具体的動作を説明する。
【0027】
即ち、前記吹き出し時刻になり或いは前記オゾン水の蛇口が開かれてオゾン発生装置10が起動されると、空気乾燥器11とポンプ13によって乾燥及び清浄化された空気がオゾン発生器19に導入されると同時に、導入された空気に対して高圧電源17によって高電圧が印加されて、オゾンガスが生成される。このとき高圧電源17を制御する制御装置15の記憶部は、前記供給される高圧電源の通電時間や電流値を経時的に記憶し、適宜管理装置200に送信する。
【0028】
そしてこのオゾン発生装置10がオゾンガスの吹き出し指令を受けている場合は、前記切換手段21が濃度計23側に切り換えられているので、前記オゾン発生器19で生成されたオゾンガスはそのまま外部に取り出される。その際、濃度計23によってオゾンガスのオゾン濃度を検出し、例えば図示しない表示部にその濃度を表示可能とする。
【0029】
一方、このオゾン発生装置10がオゾン水の流出指令を受けている場合は、前記切換手段21が気液混合手段25側に切り換えられているので、前記オゾン発生器19で生成されたオゾンガスは気液混合手段25に導入され、この気液混合手段25に供給される水道水と混合されて水に溶解され、オゾン水が生成される。生成されたオゾン水は、気液分離器29に導入され、水に溶解しなかったオゾンガスが取り除かれた後、オゾン水として取り出される。その際、濃度計31によってオゾン水のオゾン濃度を検出し、例えば図示しない前記表示部にその濃度を表示可能とする。また気液混合手段25に供給される水の流量は、流量計27によって計測され、その測定データは、前記制御装置15に送信されてその記憶部に記憶され、適宜管理装置200に送信される。
【0030】
図4は、管理装置200の機能ブロック図の一例を示す図である。同図に示すように、管理装置200は、CPU201と、ROM203と、RAM205と、通信部207と、表示部209と、入力部211とを有しており、これら各構成要素を互いにバス213を介して接続して構成されている。CPU201は、ROM203に記憶された制御プログラムを実行することにより、管理装置200の動作を制御する。ROM203は、前記制御プログラム等の各種情報を記憶する。RAM205は、種々の情報を一時記憶する記憶手段である。通信部207は、通信回線400を介して外部の各種装置と通信するための通信インターフェースである。表示部209は、例えば液晶ディスプレイであり、管理装置200を操作する操作者に対して情報を表示する。入力部211は、管理装置200を操作する操作者から種々の命令を受けるための各種キー等を有している。
【0031】
次に、上記オゾン発生装置監視システム1を用いて行われるオゾン発生装置10の監視方法について説明する。
図5,
図6は、前記管理装置200による1台のオゾン発生装置10に対する監視方法の処理フロー図である。管理装置200は、複数台ある全てのオゾン発生装置10についてそれぞれ監視を行うが、その内の1台のオゾン発生装置10についての監視方法を以下に説明する。
【0032】
まず上述のように、吹き出し時刻になった場合或いはオゾン水の蛇口が開かれた場合は、制御装置15によって高圧電源17が起動され、オゾン発生器19に所定の高圧電源が供給される。この情報は、制御装置15から管理装置200に送信される。即ち管理装置200では、制御装置15からの受信情報に基づいて、
図5において、まず対象のオゾン発生器19が起動したか否かを判断し(ステップ1)、起動したと判断した場合は、次にオゾン発生装置10の制御装置15から通電時間と電流値とを取得する(ステップ2)。ここで通電時間は、最初はステップ1からステップ2に至る時間であるが、以後ステップ2からステップ12を繰り返す場合は、ステップ2から再びステップ2に戻るまでの時間である。次に、管理装置200は、取得した電流値に基づいて、オゾンガス濃度を算出する(ステップ3)。算出方法は、例えば前記
図3に示すグラフのデータを用いる。
【0033】
次に、供給しようとしているのがオゾン水かオゾンガスかを判断し(ステップ4)、オゾン水の場合はさらに前記流量計27から流水量を取得し(ステップ5)、そのオゾン水濃度を算出する(ステップ6)。オゾン水濃度は、前記算出したオゾンガス濃度と、オゾンガスの水への溶解率と、前記流水量とを用い、所定の係数を乗じることで算出することができる。または各流水量に対するオゾンガス濃度(または前記電流値)とオゾン水濃度の関係をグラフとして記憶しておき、このグラフのデータによって求めること等、他の各種方法によって算出しても良い。要は前記取得した電流値と流水量とに基づいてオゾン水のオゾン濃度を算出するものであればよい。
【0034】
次に、前記算出されたオゾン濃度と通電時間とに基づき、オゾン発生装置10のメンテナンスが必要か否かを判定する(ステップ7)。判定方法は以下のとおりである。
【0035】
即ち、オゾンガスを利用している場合は、前記オゾンガス濃度と通電時間を積算することで積算値a´を求め、求めた積算値a´をそれまでに積算して加算していた累積積算値aに加算し、新たな累積積算値aとする。そしてこの累積積算値aが、予め各部品(1〜N)毎に定めた交換判定値An(n=1・・・N)に達したか否かを判定して、オゾン発生装置10を構成する各部品のメンテナンスが必要か否かを判断する(ステップ7)。即ち例えば、オゾン発生器19や、切換手段21や、オゾン発生器19から切換手段21と濃度計23を介してオゾンガスを噴き出すまでの各オゾンホース等の部品について、それぞれメンテナンスが必要か否かを判断する。ここで交換判定値Anは、An=(使用時間)×(オゾンガス濃度)で予め定義され、RAM205に記憶しておく。ここで使用時間とは、所定のオゾンガス濃度でその部品を新品又は部品交換時点から使用した場合に、その部品の交換時期までの累積使用時間であり、この使用時間はオゾンガス濃度に略反比例するので、両者を掛け合わせた値Anを交換判定値としている。この使用時間は各部品によって異なっているので、交換判定値Anは各部品によって異なる(下記する交換判定値Bmも同じ)。
【0036】
そして前記累積積算値aが交換判定値Anを越えたと判断した場合に、その部品の交換等が必要と判定する。つまり、オゾンガス濃度の高い状態が長ければ部品交換時期は早く(使用可能時間は短く)なり、オゾンガス濃度の低い状態が長ければ部品交換時期は遅く(使用可能時間は長く)なる。オゾンガス濃度は、使用の目的に応じて自動又は手動で変更される(例えば業務用冷凍倉庫内での食肉などの脱臭に使用する場合は0.03ppm、調理室内の除菌脱臭に使用する場合は0.05ppm等)。例えば、常に高い濃度のオゾンガスを流した場合の、オゾンホースの交換時期までの使用可能時間を10000時間とした場合、前記濃度の半分のオゾン濃度でオゾンガスを流した場合のオゾンホースの交換時期までの使用可能時間は20000時間となる。つまり、管理装置200は、取得した電流値に基づいてオゾン濃度(この場合はオゾンガス濃度)を算出し、算出したオゾン濃度と通電時間とに基づいてメンテナンスが必要であるか否かを判定するように構成したので、直接オゾンガスに触れる濃度計を設置しなくても経時的に適正なオゾン濃度を算出することができる。つまりカルシウム等の付着物による影響を受けることなく適正なオゾンガス濃度を算出でき、これによってメンテナンスが必要である旨の報知を適切な時期に行うことができる。ところで、このオゾン発生装置10においては、オゾンガスの濃度を直接接触によって測定する濃度計23を設置しているが、これはオゾン発生装置10の図示しない表示部に目安としてその数値を表示する等の目的で設置しているものである。なお例えばこの濃度計23のデータと、前記電流値から算出するオゾン濃度値とを比較し、両者の濃度値の誤差が大きくなったときに濃度計23の交換時期であることを報知する等してもよい。
【0037】
一方、オゾン水を利用している場合は、前記オゾンガス濃度と通電時間を積算して求めた積算値a´をそれまでに積算して加算していた累積積算値aに加算して新たな累積積算値aとする他に、前記オゾン水濃度とオゾン水を生成する水用の通電時間を積算することで求めた積算値b´をそれまでに積算して加算していた累積積算値bに加算して新たな累積積算値bとする。そしてまず前記累積積算値aが、予めオゾン発生器19から気液混合手段25に至るまでの各部品(1〜N)毎に定めた交換判定値Anに達したか否かを判定して、オゾン発生器19から気液混合手段25に至るまでの各部品のメンテナンスが必要か否かを判断する。同時にこのステップ7において、前記累積積算値bが、予め気液混合手段25からオゾン水排水口に至る各部品(O〜Y)毎に定めた交換判定値Bm(m=O・・・Y)に達したか否かを判定して、気液混合手段25からオゾン水が排出されるまでの各部品のメンテナンスが必要か否かを判断する。
【0038】
即ち、オゾンガスが触れるオゾン発生器19から気液混合手段25に至る各部品についてメンテナンスが必要か否かを判断すると同時に、オゾン水が触れる気液混合手段25からオゾン水を排水するまでの各部品についてメンテナンスが必要か否かを判断する。前記交換判定値Bmは、Bm=(使用時間)×(オゾン水濃度)で予め定義され、RAM205に記憶しておく。ここで使用時間とは、所定のオゾン水濃度でその部品を新品又は部品交換時点から使用した場合に、その部品の交換時期までの累積使用時間であり、この使用時間はオゾン水濃度に略反比例するので、両者を掛け合わせた値Bmを交換判定値としている。
【0039】
そして前記累積積算値aが交換判定値Anを越えたと判断した場合,又は前記累積積算値bが交換判定値Bmを越えたと判断した場合は、その部品の交換等が必要と判断する。つまり、管理装置200は、電流値の他に更にオゾン水に生成される前の流水量を取得することで、オゾン濃度(この場合はオゾンガス濃度とオゾン水濃度)を算出し、算出したオゾン濃度と通電時間とに基づいてメンテナンスが必要であるか否かを判定するように構成したので、直接オゾンガスやオゾン水に触れる濃度計を設置しなくても経時的に適正なオゾン濃度を算出することができる。つまりカルシウム等の付着物による影響を受けることなく適正なオゾンガス濃度とオゾン水濃度を算出でき、これによってメンテナンスが必要である旨の報知を適切な時期に行うことができる。なお、このオゾン発生装置10においては、濃度計23の他に、オゾン水の濃度を直接接触によって測定する濃度計31を設置しているが、これも前記濃度計23と同様に、オゾン発生装置10の図示しない表示部に目安としてその数値を表示する等の目的で設置しているものである。なお例えばこの濃度計31のデータと、前記電流値から算出するオゾン濃度値とを比較し、両者の濃度値の誤差が大きくなったときに濃度計31の交換時期であることを報知する等しても良い。
【0040】
なお気液分離器29から排出される排オゾンガスの排出系にある各部品についても、上記オゾンガスやオゾン水の場合と同様の方法によって、メンテナンスの要不要を判断すればよい。即ち、例えば気液分離器29に供給されるオゾン水のオゾン濃度と、気液分離器29から排出される排オゾンガスのオゾンガス濃度との関係を予めグラフにして記憶しておき、このグラフのデータからそのオゾンガス濃度を算出し、このオゾンガス濃度と通電時間を積算することで累積積算値を求めることなど、上記した判断方法と同様の判断方法によって、気液分離器29から排オゾンガスの排気に至るまでの各部品のメンテナンスが必要か否かを判断すれば良い。
【0041】
以上のようにして、上記ステップ7において、管理装置200が、何れの部品についてもメンテナンスが不要と判断した場合は、ステップ12に移行する。一方ステップ7において、管理装置200が、何れかの部品についてメンテナンスが必要と判断した場合は、そのオゾン発生装置10について報知を行うように命令を出力する(ステップ8)。報知の方法は、メンテナンスが必要と判断されたオゾン発生装置10の図示しない表示部への表示や、このオゾン発生装置10における警報音の発生等の他、管理装置200の表示部209への表示等が考えられる。
【0042】
次にステップ9において、管理装置200は、各携帯端末300からそれぞれの位置情報を取得する。次にこれらの位置情報に基づいて、前記各携帯端末300の内で、前記オゾン発生装置10に最も近い携帯端末300を算出する(ステップ10)。そして算出した携帯端末300に対して、前記オゾン発生装置10のメンテナンスを実施すべき旨の報知を行う(ステップ11)。これによって、前記オゾン発生装置10の最も近くにいる保守員がそのオゾン発生装置10に駆けつけることができ、迅速にメンテナンスを実施することが可能となる。
【0043】
そして、ステップ12において、オゾン発生装置10が停止していない場合はステップ2に戻って上記処理を繰り返し、一方オゾン発生装置10が停止した場合は上記一連の処理を終了する。
【0044】
上記報知に基づいて部品が交換された場合は、その部品についての累積積算値a又はbを、ゼロにリセットし、管理装置200のROM203に記憶する。逆に上記ステップ12までの処理が終了しても、部品交換の報知を行わない場合は、上記累積積算値a、bは積算した数値を、そのまま管理装置200のROM203に記憶しておく。
【0045】
以上説明したように、上記オゾン発生装置10の監視方法によれば、オゾン発生装置10がオゾンを発生させるために要した通電時間とその電流値とを取得する取得ステップ(ステップ2)と、取得した電流値に基づいて、オゾン発生装置10が発生させたオゾンのオゾン濃度を算出する算出ステップ(ステップ3〜6)と、算出されたオゾン濃度と通電時間とに基づいて、オゾン発生装置10がメンテナンスを必要とするか否かを判定する判定ステップ(ステップ7)と、判定ステップでの判定の結果、オゾン発生装置10のメンテナンスが必要であると判定された場合、メンテナンスを実施すべき旨の報知を行う報知ステップ(ステップ8〜11)とを有する構成なので、経時的に適正なオゾン濃度(オゾンガス濃度とオゾン水濃度)を算出することができて、メンテナンス等を実施すべき時期に適切な報知を行うことができ、これによってメンテナンスコストの低廉化を図ることができる。
【0046】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの構成であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記オゾン発生装置はオゾンガスとオゾン水の両者を生成・供給する構造の装置であるが、何れか一方のみを供給する構造のオゾン発生装置にも本発明を適用できる。また上記オゾン発生装置においては、オゾン発生装置がオゾンを発生させるために要した電流値に基づいてオゾン濃度を算出したが、電流値に代えて電圧値や電力値等、他の電気的物理量の値を用いてオゾン濃度を算出しても良い。また上記オゾン発生装置は無声放電方式によってオゾンを生成したが、電気分解方式や紫外線ランプ方式によってオゾンを発生させる構造であっても、取得した電流値等の電気的物理量の値に基づいて、オゾン発生装置が発生させたオゾン濃度を算出することができる方式であれば本発明を適用できる。またオゾン濃度を算出する方法も上記例に限られず、取得した電流値等の電気的物理量の値から数式を用いて算出する等、他の種々の方法を用いても良い。
【0047】
また上記オゾン発生装置監視システムでは、管理装置と複数のオゾン発生装置とをネットワークを介して接続したが、1台のオゾン発生装置の制御装置に管理装置を兼用させる等しても良い。また上記例では、位置情報を取得した携帯端末の内、メンテナンスを行うオゾン発生装置の設置場所に最も近い携帯端末に対してメンテナンスを実施すべき旨の報知を行うこととしたが、オゾン発生装置の設置場所に近いが、最も近い携帯端末ではない携帯端末に対して報知を行うように構成しても良い。さらに最も近い携帯端末を含む複数の近い携帯端末に報知するように構成しても良い。また管理装置からの報知は、オゾン発生装置ではなく、携帯端末のみに行うように構成しても良い。