(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の
参考例および実施例を
図1〜
図13を参照して説明する。但し、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0025】
図1に示す一方向クラッチ100は、同一のX軸上に相対回転可能に設けられる内輪10と外輪50、カム機構40、第一側板30、止め輪20を有している。
図1に示されている一方向クラッチ100を組立てた状態の断面図が
図2である。
図2に示すように、一方向クラッチ100を組立てたとき、内輪10の外周係合面12と外輪50の内周係合面52は対向するように構成される。そして、外周係合面12と内周係合面52の間に、カム機構40が配設される。
【0026】
カム機構40は、周方向に配列された複数のカム42(
図1も参照)と、複数のカム42の付勢手段44、すなわち、複数のカム42を連通している環状のガータースプリングから構成されている。カム42は、図示しているように、周方向に殆ど隙間なく配設するのが好ましく、この場合、高い伝達トルク容量を実現することができる。また、付勢手段44は、図示しているような、内径方向に付勢するガータースプリングの他、カム42の形状を適宜変更した上で、外径方向に付勢するものを使用してもよい。一方で、カムを内径方向又は外径方向に付勢する複数の板バネ又はねじりバネを使用しても良い。要するに、付勢手段44は、カム42を内径方向又は外径方向のいずれかに付勢するものであればよい。
【0027】
カム42は、内周側係合面46と外周側係合面48を有する。外輪50の一方向の回転時に、内周側係合面46は、内輪10の外周係合面12と摩擦係合し、外周側係合面48は、外輪50の内周係合面52と摩擦係合する。一方、外輪50の他方向の回転時には、所定の遠心力を受けて、カム42が回動し、カム42の内周側係合面46は、内輪10の外周係合面12と、カム42の外周側係合面48は、外輪50の内周係合面52と接触しないように構成されている。なお、カム42の形状は、適宜変更してもよい。
【0028】
カム42に対する軸方向両側には、第一側板30及び第二側板54が位置している。第一側板30は、外輪50と別体のものであり、第二側板54は、外輪50の一部で構成されている。第一側板30は、止め輪20で抜け止めされ、外輪50と一体的に回転するように固定されている。固定方法は、平面状の第一側板を外輪の一部に押し当てながら、ベベル型止め輪で抜け止めする、湾曲した第一側板を外輪の一部に押し当てながら、止め輪で抜け止めする、第一側板と外輪をスプライン嵌合させる等の方法を適宜採用すればよい。第二側板54は、外輪50と連続しているものの他、別の部材を外輪50に締結する等して形成することもできる。
【0029】
第一側板30及び第二側板54のそれぞれとカム42の間には、潤滑剤(図示省略)が充填されている。外輪50が他方向に回転すると、外輪50の一部である第二側板54と、外輪50に固定されている第一側板30も同方向に回転する。次いで、第一側板30及び第二側板54とカム42の間の潤滑剤もその粘性によって同方向に回転しようとし、当該潤滑剤がカム42を同方向に回転させようと働く。このようにして、一方向クラッチ100では、外輪50が回転したとき、潤滑剤の粘性により、カム42を外輪50と同方向に回転させることができる。なお、潤滑剤の粘度は、カム42を外輪50と同方向に回転させることができるものとする。
【0030】
上記の構成を具える一方向クラッチ100は、従来の一方向クラッチのような保持器を具えていない。よって、保持器の破損による故障は起こらないので、壊れ難く、構造がシンプルで製造し易く、且つ、小型・軽量である。一方で、潤滑剤の粘性により、カム42を外輪50と同方向に回転させることができる。カム42が所定の遠心力を受けると、カム42が回動し、カム42の内周側係合面46は、内輪10の外周係合面12と、カム42の外周側係合面48は、外輪50の内周係合面52と接触しない。よって、高速空転時のカム42の内周側係合面46と外周側係合面48の摩耗を防ぐことができる。
【0031】
図2,3に示すように、一方向クラッチ100は、潤滑剤の供給構造を具えることができる。一方向クラッチ100の内輪10には、その側面16に径方向に延びる油路14が設けられている。油路14は、例えば溝により構成されており、
図3に示しているように、複数本設けるのがよい。ここで、外輪50と一体の側板54は、内輪10の側面16と対向する位置まで延在している。そして、内輪10の側面16及びカム42の少なくとも一部と対向する側板54の面には、凹部56が設けられている。
【0032】
本構成によれば、X軸側から供給した潤滑剤を、内輪10の回転による遠心力によって、第一側板30及び第二側板54とカム42の間に浸透・充填させ続けることができる。また、外輪50が回転したとき、内輪10の油路14と第二側板54の凹部56が遠心ポンプのように働くので、カム42の方へ潤滑油を多く供給することができる。第一側板30及び第二側板54とカム42の間の潤滑剤が常に充填されていれば、潤滑剤の粘性による、カム42の回転を確実に実現することができる。
【0033】
また、
図1〜3に示すように、一方向クラッチ100の第一側板30は、外周縁に切欠きを具えており、これは、組立時、第一側板30に対するカム側と反カム側を連通させる孔32になる。本構成によれば、カム42と内輪10の外周係合面12又は外輪50の内周係合面52の摩擦等で発生した金属粉と潤滑剤からなるスラッジを孔32から排出することができるので、スラッジによる各部の摩耗を防ぐことができる。孔32は、外輪50の第二側板54に設けることもでき、外輪50の内周係合面52の近傍、すなわち、カム機構40の外周側に位置するように設けるのがよい。
【0034】
図4は、本発明の
参考例2に係る一方向クラッチ100aを示している。基本的な構成は第一実施形態の一方向クラッチ100と同様であり、同一のX軸上に相対回転可能に設けられる内輪10aと外輪50a、カム機構40、第一側板30a、止め輪20aを有している。以下、第一実施形態の一方向クラッチ100と異なる点について説明する。一方向クラッチ100aの第二側板54aは、外輪50aと別体の環状部材であり、それがボルト23aで外輪50aに締結されている。このように、外輪50aと第二側板54aは別部材で構成することも可能である。
【0035】
図5は、本発明の
参考例3に係る一方向クラッチ100bを示している。一方向クラッチ100bも基本的な構成は第一実施形態の一方向クラッチ100と同様であり、同一のX軸上に相対回転可能に設けられる内輪10bと外輪50b、カム機構40、第一側板30b、止め輪20bを有している。以下、第一実施形態の一方向クラッチ100と異なる点について説明する。一方向クラッチ100bは、第一側板30b及び第二側板54bのいずれもが外輪50bと別体のものである。第一側板30b及び第二側板54bは、それぞれ、ベベル型止め輪20b,24bによって、外輪50bに押し付けられるようにして抜止めされている。これにより、第一側板30b及び第二側板54bは、外輪50bと一体的に回転するように外輪50bに固定されている。本構成とすれば、製造を比較的容易にすることができる。また、内輪10bには、カム42に潤滑剤を供給する油路14bが設けられている。図示しているように、内輪10bを貫通する油路14bとすることもできる。
【0036】
図6は、本発明の
参考例4に係る一方向クラッチ100cを示している。基本的な構成は第二実施形態の一方向クラッチ100bと同様であるため、異なる点について説明する。一方向クラッチ100cは、第一側板30c及び第二側板54cのいずれもが外輪50cと一体に形成されている。このような構成とすれば、一方向クラッチ100,100a,100bに比べ、強度を向上させることができる。また、内輪10cには、カム42に潤滑剤を供給する油路が設けられている。図示しているように、内輪10cを貫通する油路14cとすることもできる。
【0037】
図7に示すように、複数のカム42a〜42hの外周側係合面48を外輪(図示省略)の内周係合面52に接触させ、複数のカム42a〜42hの内、第一のカム42a以外のカム42b〜42hを互いに密着させた状態で、第一のカム42aを径方向内側に移動させたとき、第一のカム42aがその両隣のカム42b,42hに接するように構成するのがよい。すなわち、第一のカム42a以外のカム42b〜42hを互いに密着させた状態において、第一のカム42aの両隣のカム42b,42hの最近位の間隔Waが、当該間隔Waよりも外周側に位置する第一のカム42aの幅Wbよりも小さい構成とする。本構成によれば、各カムを連通する環状のガータースプリング(図示省略)を使用した場合において、組付けられたカム42a〜42hがガータースプリングから四散し難いので、一方向クラッチを簡便に組立てることができる。また、カム42a〜42hが周方向に殆ど隙間なく並ぶことになるので、高い伝達トルク容量を実現することができる。
【0038】
図示しての説明は省略するが、一方向クラッチ100〜100cの外輪50〜50cに設けられていた第一側板及び第二側板を内輪に設け、内輪が回転したときに、潤滑剤の粘性によってカムを内輪と同方向に回転させるようにする構成とすることも可能である。本構成によれば、空転時、所定の遠心力を受けて、カムが回動し、カムの内周側係合面と外周側係合面が、内輪の外周係合面と外輪の内周係合面のそれぞれと接触しないので、高速空転時のカムの内周側係合面と外周側係合面の摩耗を防ぐことができる。なお、本構成の場合、カムの内周側係合面と外周側係合面以外の部分が外輪の内周係合面と摺動する場合があるが、当該部分は、カムと外輪又は内輪の摩擦係合に不要の部分であるため、仮に摩耗しても問題は少ない。
【0039】
また、一方向クラッチ100〜100cのように、潤滑剤を供給するタイプのものの他、外輪と内輪の間をシール部材で密閉して、グリスを充填したタイプのものとすることもできる。
【0040】
図8は、本発明の
参考例5に係る一方向クラッチを示している。
図8に示す一方向クラッチ100dは、同一のX軸上に相対回転可能に設けられる内輪10d及び外輪50dと、カム機構40dと、第一側板30d及び第二側板54dと、止め輪20dと、固定手段60dとを有している。
図8に示されている一方向クラッチ100dを組立てた状態の一部を破断して示す斜視図が
図9であり、X軸に沿った断面図が
図10である。
図10に示すように、一方向クラッチ100dを組立てたとき、内輪10dの外周係合面12dと外輪50dの内周係合面52dは互いに対向するように構成される。そして、外周係合面12dと内周係合面52dの間に、カム機構40dが配設される。
【0041】
カム機構40dは、第一実施形態に係る一方向クラッチ100と同様の基本的な構成を有し、周方向に配列された複数のカム43と、複数のカム43の付勢手段44、すなわち、複数のカム43を連通している環状のガータースプリングとから構成されている。
付勢手段44は、図示しているような、内径方向に付勢するガータースプリングの他、カム43の形状を適宜変更した上で、外径方向に付勢するものを使用してもよい。一方で、カム43を内径方向又は外径方向に付勢する複数の板バネ又はねじりバネを使用しても良い。要するに、付勢手段44は、カム43を内径方向又は外径方向のいずれかに付勢するものであればよい。
【0042】
カム43は、内周側係合面46dと外周側係合面48dとを有し、両端面は平坦面とされている。
カム43の内周側係合面46dは、内輪10dを一方向に回転させた時又は外輪50dを他方向に回転させた時に内輪10dの外周係合面12dと摩擦係合し、内輪10dを他方向に回転させた時又は外輪50dを一方向に回転させた時に内輪10dの外周係合面12dから係脱するように構成されている。
カム43の外周側係合面48dは、内輪10dを一方向に回転させた時又は外輪50dを他方向に回転させた時に外輪50dの内周係合面52dと摩擦係合し、内輪10dを他方向に回転させた時又は外輪50dを一方向に回転させた時に外輪50dの内周係合面52dから係脱するように構成されている。
なお、カム43の形状は、適宜変更することができる。
【0043】
カム43は、上述のように、周方向に殆ど隙間なく配設されていることが好ましい。すなわち、
図11に示すように、第一のカム43a以外のカム43、43b、43cを互いに密着させた状態において、第一のカム43aの両隣のカム43b,43cの最近位の間隔Waが、第一カム430aの幅Wbよりも小さい構成とすることが好ましい。このような構成とされることにより、外輪50d、第一のカム43a以外のカム43、43b、43c、後述の第一側板30d及び第二側板54dを組み付けた状態、すなわち内輪10dがない状態であっても、第一のカム43aが内輪側に脱落することがないため、組立性が良く、一方向クラッチを簡便に組立てることができる。また、高い伝達トルク容量を実現することができる。
【0044】
本実施形態の一方向クラッチ100dにおいては、内輪10dが、各々内輪10dとともに回転し、カム43に対して軸方向両側に位置する第一側板30d及び第二側板54dを具えている。
第一側板30dは、軸方向一端側において複数のカム43の一端面における内周側部分を覆う円環板状であって、円筒状の内輪10dの外周面に対して外嵌されるとともに止め輪20dで抜け止めされて内輪10dと一体的に回転するように固定されている。
第二側板54dは、軸方向他端側において複数のカム43の他端面における内周側部分を覆う円環板状であって、円筒状の内輪10dの外周面に対して外嵌されて内輪10dと一体的に回転するように固定されている。
なお、第一側板30d及び第二側板54dの固定方法は、上述した方法を適宜採用することができる。
【0045】
本実施形態の一方向クラッチ100dにおいては、複数のカム43の各々を内輪10d又は外輪50dに固定する固定手段60dを具えた構成とすることができる。
固定手段60dは、複数のカム43の各々を周方向において等間隔毎に保持するように構成される。
【0046】
この固定手段60dは、外輪50dの内周面に嵌合する円筒状の基部61dと、基部61dの一端面上において周方向に等間隔毎に並んで形成された、軸方向外方に突出する複数の片状のスペーサ部62dとを具えている。この固定手段60dにおいては、
図11に示すように、隣接するスペーサ部62d間に形成された空間に、カム43の外周縁部分が受容されカム43の周方向位置が規制されている。
なお、固定手段は、円環板状の基部の一端面において外周縁に沿って周方向に等間隔毎に並ぶ軸方向外方に突出する複数の片状のスペーサ部が形成されたものとすることができる。このような固定手段によれば、円環板状の基部を第一側板として機能させることができる。
【0047】
本実施形態の一方向クラッチ100dにおいては、カム43の一端面と第一側板30dの内面との間、及びカム43の他端面と第二側板54dの内面との間には、潤滑剤(図示省略)が充填された構成とされる。
例えば内輪10dが他方向(反時計方向)に回転すると、
図12(a)に示すように、内輪10dに固定されている第一側板30dも内輪10dと同方向に回転する。次いで、第一側板30dの内面とカム43の一端面との間の潤滑剤もその粘性によって同方向に回転しようとし、カム43の一端面における第一側板30dと対向する領域には、カム43を係脱方向に回動させる力F
2 が作用する。また、カム43の他端面と第二側板54dの内面との間に充填された潤滑剤によっても同様の作用が得られる。このようにして、この一方向クラッチ100dでは、
図12(b)に示すように、内輪10dを他方向に回転させた時に、潤滑剤の粘性によってカム43を係脱方向に回動させ、カム43を付勢手段44による内径方向に作用する付勢力に抗って内輪10dから離脱(リフトオフ)させることができる。なお、潤滑剤の粘度は、カム43を内輪10dと同方向に回転させることができるものとする。
【0048】
図示しての説明は省略するが、外輪がカムの両端面における外周側部分を覆うようにカムに対して軸方向両側に位置する側板を具えた構成とされ、外輪を他方向(反時計方向)に回転させたときに、複数のカムの各々の内周側係合面を内輪の外周係合面から離脱させて内輪の外周係合面と接触しない状態が得られるように構成されていてもよい。
【0049】
また、一方向クラッチ100dにおいては、潤滑剤の供給構造を具えた構成とされていることが好ましい。
この一方向クラッチ100dにおいては、カム43に潤滑剤を供給する油路14dが内輪10dに設けられている。油路14dは、軸方向における第二側板54dとカム43の他端面との間の位置において内輪10dの周方向に等間隔毎に並ぶように形成された、内輪10dを貫通する径方向に延びる複数の貫通孔により構成されている。
【0050】
本構成によれば、X軸側から供給した潤滑剤を、内輪10dの回転による遠心力によって、第一側板30dの内面とカム43の一端面との間及び第二側板54dの内面とカム43の他端面との間に浸透・充填させ続けることができる。第一側板30dの内面とカム43の一端面との間及び第二側板54dの内面とカム43の他端面との間に、潤滑剤が常に充填されていれば、潤滑剤の粘性による、カム43の回動を確実に実現することができる。
【0051】
図13は、本発明の
一実施形態に係る一方向クラッチを示している。この一方向クラッチは、基本的な構成は
参考例5に係る一方向クラッチ100dと同様であるため、異なる点について説明する。
この一方向クラッチは、
図13(a)に示すように、複数のカム43は、隣接する2つのカム43の周面、内輪10eの外周面、第一側板30eの内面及び第二側板の内面によって閉空間Sを形成するように互いに接する状態で配列されており、内輪10eが潤滑剤を閉空間Sに継続的に供給する油路14eを具えた構成とされている。カム43の外周側係合面48eは外輪50eの内周係合面52eに接触した状態とされている。
油路14eは、内輪10eの側面におけるカム間に形成された複数個所の閉空間Sの各々に対応する位置に形成された径方向に延びる複数の貫通孔により構成されている。
【0052】
本実施形態の一方向クラッチにおいては、例えば内輪10eを他方向(反時計方向)に回転させると、
図12(b)に示すように、カム43が内輪10eの外周係合面12e及び外輪50eの内周係合面52eから係脱する方向に回動する。次いで、内輪10eの内部空間を流通する潤滑剤70eが油路14eを介して閉空間Sに継続的に供給されると、該閉空間Sの体積が広がる方向に圧力が加わるので、複数のカム43の各々の内周側係合面46eを内輪10eの外周係合面12eから離脱させて内輪10eの外周係合面12eと接触しない状態とすることができる。
【0053】
また、本実施形態の一方向クラッチにおいては、第一側板30eの内面とカム43の一端面との間及び第二側板の内面とカム43の他端面との間に潤滑剤が充填された構成とされていてもよい。このような構成によれば、一方向クラッチの空転時において、潤滑剤が閉空間Sに継続的に供給されることによる圧力の作用に加え、第一側板30eの内面とカム43の一端面との間に充填された潤滑剤の粘性の作用及び第二側板の内面とカム43の他端面との間に充填された潤滑剤の粘性の作用によって、カム43の内周側係合面46eと内輪10eの外周係合面12eとが接触しない状態を確実に得ることができる。
【0054】
以上において、
参考例5及び本発明の実施形態に係る一方向クラッチは、潤滑剤を供給するタイプのものの他、外輪と内輪の間をシール部材で密閉して、グリスを充填したタイプのものとすることもできる。
また、
参考例5及び本発明の実施形態に係る一方向クラッチは、固定手段を有さない構成とされていてもよい。また、第一側板及び第二側板は、内輪及び外輪と別部材で構成されている必要はなく、内輪及び外輪と一体に形成された構成とされていても、内輪及び外輪の一部により構成されていてもよい。
【0055】
以上に説明したように、本発明によれば、シンプルで製造し易く、小型・軽量で、壊れ難く、高速空転時の摩耗を防ぐことができる一方向クラッチを提供することができる。
【解決手段】一方向クラッチ100は、内輪10と外輪50、カム機構40、側板30,54、止め輪20を有している。カム42は、外輪50と内輪10の間であって、側板30,54の間に設けられている。側板30,54のそれぞれとカム42の間には、潤滑剤が充填されている。外輪50が回転すると、側板30,54が同方向に回転し、カム42も潤滑剤の粘性によって外輪50と同方向に回転するので、従来の保持器は不要である。よって、保持器の破損による故障は起こらないので、壊れ難く、構造がシンプルで製造し易く、且つ、小型・軽量である。