【実施例】
【0052】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕アンチセンスオリゴヌクレオチド(AO)の合成
表1に示すアンチセンスオリゴヌクレオチド(AO)を合成した。CD44バリアントmRNAに相補的なAOの配列場所を
図3〜5に示す。AOの配列中のC(シトシン)およびT(チミン)に修飾核酸のENA(登録商標)(2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acids)(
図6)を導入し、親和性と安定性を向上させた。
【0053】
【表1】
【0054】
HO-ACTATGACTGGAGTCCATAT-OHの合成(AO-#1)の合成
核酸自動合成機(日本テクノサービス社製DNA/RNA合成装置 NTS H-8)を用い、1μmolスケールで行った。各合成サイクルにおける溶媒、試薬、ホスホロアミダイトの濃度は天然オリゴヌクレオチド合成の場合と同じであり、試薬、2'-O-メチルヌクレオシドのホスホロアミダイト(アデノシン体product No. 10-3100-10、グアノシン体product No. 10-3121-10、シチジン体product No. 10-3110-10、ウリジン体product No. 10-3130-10)はグレンリサーチ社製のものを用いた。溶媒は和光純薬工業のものを用いた。非天然型のホスホロアミダイトは特開2000-297097の実施例22(5'-O-ジメトキシトリチル-2'-O,4'-C-エチレン-4-N-ベンゾイル-5-メチルシチジン-3'-O-(2-シアノエチル N,N-ジイソプロピル)ホスホロアミダイト)、実施例9(5'-O-ジメトキシトリチル-2'-O,4'-C-エチレン-5-メチルウリジン-3'-O-(2-シアノエチル N,N-ジイソプロピル)ホスホロアミダイト)の化合物を用いた。固相担体としてコントロールポアグラス(CPG)(BIOSEARCH社製product No. BG5-3400-B)を用い、表記の化合物を合成した。但し、アミダイトの縮合に要する時間は、15分とした。
【0055】
目的配列を有する保護されたオリゴヌクレオチド類縁体を濃アンモニア水で処理することによってオリゴマーを支持体から切り出すとともに、リン原子上の保護基シアノエチル基と核酸塩基上の保護基を外した。溶媒を減圧留去し、残った残渣を逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0056】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6891.8、測定値:6895.51)。
【0057】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_018922.2のヌクレオチド番号35228064-35228083に相補的な配列である。
【0058】
HO-TTGCAGTAGGCTGAAGCGTT-OH(AO-#2)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例2の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0059】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6937.8、測定値:6936.09)。
【0060】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_018922.2のヌクレオチド番号35228086-35228105に相補的な配列である。
【0061】
HO-CAAACCTGTGTTTGGATTTG-OH(AO-#3)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例3の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0062】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6911.7、測定値:6910.09)。
【0063】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_018922.2のヌクレオチド番号35228103-35228122に相補的な配列である。
【0064】
HO-AAGAGGTCCTGTCCTGTCCA-OH(AO-#4)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例4の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0065】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6908.9、測定値:6907.10)。
【0066】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_018922.2のヌクレオチド番号35228133-35228152に相補的な配列である。
【0067】
HO-GCTCTGAGAATTACTCTGCT-OH(AO-#5)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例5の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0068】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6896.8、測定値:6899.98)。
【0069】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_018922.2のヌクレオチド番号35229924-35229943に相補的な配列である。
【0070】
HO-CTTCATGTGATGTAGAGAAG-OH(AO-#6)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例6の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0071】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6919.7、測定値:6920.35)。
【0072】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_018922.2のヌクレオチド番号35229943-35229962に相補的な配列である。
【0073】
HO-TCTTCCAAGCCTTCATGTGA-OH(AO-#7)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例7の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0074】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6882.9、測定値:6883.40)。
【0075】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_018922.2のヌクレオチド番号35229953-35229972に相補的な配列である。
【0076】
HO-GATGGTCTTTATCTTCTTCC-OH(AO-#8)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例8の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6889.7、測定値:6888.40)。
【0077】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_018922.2のヌクレオチド番号35229967-35229986に相補的な配列である。
【0078】
HO-GTAGAAGTTGTTGGATGGTC-OH(AO-#9)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例9の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0079】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6952.7、測定値:6953.62)。
【0080】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_018922.2のヌクレオチド番号35229980-35229999に相補的な配列である。
【0081】
HO-TGCTTGATGTCAGAGTAGAA-OH(AO-#10)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例10の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0082】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6919.7、測定値:6922.82)。
【0083】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_018922.2のヌクレオチド番号35229994-35230013に相補的な配列である。
【0084】
HO-GAAGGTCCTGCTTTCCTTCG-OH(AO-#11)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例11の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0085】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6914.9、測定値:6916.37)。
【0086】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_018922.2のヌクレオチド番号35231298-35231317に相補的な配列である。
【0087】
HO-CCACCAAACCTGTGTTTGGA-OH(AO-#12)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例12の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0088】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6892.9、測定値:6893.44)。
【0089】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_000011.10のヌクレオチド番号35208148-35208167に相補的な配列である。
【0090】
HO-CTGTCCAAATCTTCCACCAA-OH(AO-#13)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例13の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0091】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6848.99、測定値:6850.18)。
【0092】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_000011.10のヌクレオチド番号35208161-35208180に相補的な配列である。
【0093】
HO-GCGTTGTCATTGAAAGAGGT -OH(AO-#14)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例14の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0094】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6935.72、測定値:6936.96)。
【0095】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_000011.10のヌクレオチド番号35208187-35208206に相補的な配列である。
【0096】
HO-TTCCAAGCCTTCATGTGATG-OH(AO-#15)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例15の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0097】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6896.8、測定値:6896.38)。
【0098】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_000011.10のヌクレオチド番号35209992-35210011に相補的な配列である。
【0099】
HO-GTCTCTTCTTCCACCTGTGA-OH(AO-#16)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例16の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0100】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6887.86、測定値:6889.15)。
【0101】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_000011.10のヌクレオチド番号35211258-35211277に相補的な配列である。
【0102】
HO-TTCCAGTAAAGTAGTTGAGC-OH(AO-#17)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例17の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0103】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6905.76、測定値:6907.01)。
【0104】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_000011.10のヌクレオチド番号35211294-35211313に相補的な配列である。
【0105】
HO-TCCAAAGGACCCAGTCTTAG-OH(AO-#18)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例18の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0106】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6889.94、測定値:6891.13)。
【0107】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_000011.10のヌクレオチド番号35211375-35211394に相補的な配列である。
【0108】
HO-GTTGGAATCTCCAACAGTAA-OH(AO-#19)の合成
実施例1の化合物と同様に目的配列を有する実施例19の化合物を合成した。脱保護後、逆相HPLC(島津製作所製LC-8A、カラム(資生堂社製CAPCELLPAK ODS type MG(20×250 mm))、A溶液:0.1M酢酸トリエチルアミン水溶液(TEAA), pH 7.0、B溶液:アセトニトリル、B%:5%→40%(30 min, linear gradient);40°C;19 mL/min;260 nm)にて精製した。酢酸を終濃度10%になるよう加えて一晩静置し、DMTr基を除去した。溶媒留去後、水1.0 mLに溶解し、NAP-10 columns(GEヘルスケア社製、product No. 17-0854-01)で精製し、凍結乾燥後目的化合物を得た。
【0109】
本化合物は負イオンMALDI-TOFMSにより、同定した(計算値:6888.83、測定値:6890.14)。
【0110】
本化合物の塩基配列は、CD44 cDNA (Gene Bank accession No.NC_000011.10のヌクレオチド番号35211405-35211424に相補的な配列である。
【0111】
〔実施例2〕がん幹細胞におけるアンチセンスオリゴヌクレオチド(AO)のエキソンスキッピング誘導効果の確認
下記の大腸がん及び胃がんのがん幹細胞をATCC(American Type Culture Collection)より購入した。これらがん幹細胞はCD44バリアントエクソンを発現(特にCD44v8-10を高発現)している。
・HT-29細胞(大腸がん)
・KATOIII細胞(胃がん)
12 well plateに播種し、一晩培養したヒト胃がん細胞KATOIIIにAO(50, 100 nM)を添加した。3時間後、FBSを加え、更に24時間培養した。その後、RNAの回収を行い、RT-PCRによりCD44mRNAを解析した。
【0112】
その結果、AO添加により異常エクソンのスキッピングが誘導され正常CD44sの発現が増加している事を確認した(
図7、8、9)。すなわち、KATOIII細胞は通常、v8,v9,v10が挿入されたCD44v8-10を主に発現しているが、AOの添加により濃度依存的にCD44v8-10の発現が減少し、CD44sの発現が10%程の発現から80%程にまで回復した。CD44sの発現割合は、PCR産物をAgilent 2100 bioanalyzerにて測定し、得られた測定値をCD44s/(CD44s+CD44v)×100の式を用いて計算した。CD44vにはCD44v8-10、CD44v9-10、CD44v8-9、CD44v8が含まれる。
【0113】
図10は、最も効果が高かったAO-#7 (10nM、25nM、50nM、100nM)でn=3で行った結果をグラフ化処理したものを示す。
【0114】
図11は、
図10の結果をグラフ化処理したものを示す。
【0115】
KATOIIIの代わりに、HT-29細胞を用いて、同様の実験を行ったところ、KATOIIIの結果と同様に、異常エクソンのスキッピングが誘導され正常CD44sの発現が増加していることが確認された。AO-#7の結果を
図12(HT-29細胞)に示す。
【0116】
RNAの抽出
以下のようにしてRNAの抽出を行った。
1. AOをトランスフェクションした細胞を24時間培養した後、PBSにて1回洗浄して、Lysis/binding buffer (Roche, High Pure RNA Isolation Kit) 300μL、PBS 150μLを細胞に添加した。
2. 室温で1分間放置した後、フェル内の細胞混合液をチューブに回収した。
3. High Pure RNA Isolation Kit (Roche)のプロトコールに従ってRNAを抽出した。
4. 最終的にElution buffer 36μLにてRNAを溶出させた。
【0117】
逆転写反応
以下のようにして逆転写を行った。
1. RNA 500ngにミリQ(滅菌処理済み)を加え、6μLとした。
2. 1の溶液へRandom primers (invitrogen 3μg/μLを20倍希釈したもの) 2μLと2.5mM dNTP mixture (invitrogen) 5μLを加えた。
3. 65℃で5分間加熱した。
4. 25℃で10分間放置した。
5.上記の反応液に、
M-MLV-reverse transcriptase (invitrogen 200U/μL) 1μL、RNase OUT (invitrogen 40U/μL) 1μL、0.1M DTT (M-MLV-reverse transcriptaseに添付) 1μL、5×First stand Buffer (M-MLV-reverse transcriptaseに添付) 4μL
を加えた。
6. 37℃で55分間保温し、その後70℃で15分間加熱した。
7. 反応液は-80℃で保存した。
【0118】
PCR反応
以下のようにしてPCR反応を行った。
1. 下記の成分を混和後、94℃で3分間加熱した。
【0119】
逆転写反応産物 1.0μL
フォワードプライマー(10pmol/μL) 0.5μL
リバースプライマー(10pmol/μL) 0.5μL
dNTP(TAKARA Ex Taqに添付) 0.8μL
バッファー(TAKARA Ex Taqに添付) 1.0μL
Ex Taq 0.05μL
滅菌水 6.15μL
2. 94℃3分の処理後に94℃30秒・60℃30秒・72℃90秒の処理を25サイクル行った。
3. 72℃で3分間加熱した
なお、バリアントエクソンのスキッピングを検出するためのPCR反応に用いたフォワードプライマーとリバースプライマーの塩基配列は下記の通りである。
【0120】
フォワードプライマー(CD44 エクソン5):5'-TCCCAGACGAAGACAGTCCCTGGAT-3'(配列番号23)
リバースプライマー(CD44 エクソン16) :5'-CACTGGGGTGGAATGTGTCTTGGTC-3'(配列番号24)
【0121】
〔実施例3〕
KATOIII細胞を12well plateに1×10
5 cells/wellで播種し、Lipofectamine2000 reagent (Invitrogen Life Technologies)を用いてAO-#7(50nM)又はMilli-Q(control)を添加した。37℃、5%CO
2 インキュベーターにて3時間静置後、20%FBS含有IMDM(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium)培地 500μL/well、CDDP (最終濃度5μg/mL, 日本化薬株式会社、ランダ注 10mg/20mL)を加え、更に培養を続けた。24、48、72、96時間ごとにプレートを室温に平衡化し、調製したCell Titer-Glo Reagent (CellTiter-Glo
TM Luminesent Cell Viability Assay (Promega))を各ウェルに加え、マルチラベルプレートリーダー (2030 ARVO X3, PerkinElmer)にてルシフェラーゼ発光シグナルを測定した。
結果を
図13に示す。
図13のグラフは、コントロールの値を100%として、各値を算出してグラフ化した。CDDP(シスプラチン)添加よりも、CDDP+AO-#7の方が細胞増殖を抑制している。
【0122】
〔実施例4〕
KATOIII細胞を12well plateに1×10
5 cells/wellで播種し、Lipofectamine2000 reagent (Invitrogen Life Technologies)を用いてAO-#7(50nM)又はAO-#12(50nM)又はMilli-Q(control)を添加した。37℃、5%CO
2 インキュベーターにて3時間静置後、20%FBS含有IMDM(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium)培地 500μL/wellを加え、更に培養を続けた。24、48、72、96時間ごとにプレートを室温に平衡化し、調製したCell Titer-Glo Reagent (CellTiter-Glo
TM Luminesent Cell Viability Assay (Promega))を各ウェルに加え、マルチラベルプレートリーダー (2030 ARVO X3, PerkinElmer)にてルシフェラーゼ発光シグナルを測定した。
結果を
図14に示す。AO-#7は、CD44vmRNA (CD44v8-10)のスキッピング誘導が最も効果的なAO、AO-#12はCD44vmRNAのスキッピングにほとんど影響がなかったAOである。Milli-Q(水)はコントロール(比較)として使用した。AO-#7とAO-#12の比較により、AOの毒性による影響を確認した。AO-#7のみの添加でKATOIII細胞の増殖を抑制した。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。