特許第6537052号(P6537052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6537052
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】ローラハース炉のローラの保持構造
(51)【国際特許分類】
   F27B 9/24 20060101AFI20190625BHJP
   B65G 39/12 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   F27B9/24 R
   B65G39/12
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-140193(P2015-140193)
(22)【出願日】2015年7月14日
(65)【公開番号】特開2017-20741(P2017-20741A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219750
【氏名又は名称】東海高熱工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100098682
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 賢次
(72)【発明者】
【氏名】宇津木 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】小出 繁
【審査官】 伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−156287(JP,A)
【文献】 実開昭63−168795(JP,U)
【文献】 実開平02−124494(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 9/00− 9/40
C21D 1/00
B65G 39/00−39/20
B65G 13/00−13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被焼成品を搬送するローラハース炉のセラミックローラを回転駆動軸に連結されたカップリングに保持するための構造であって、第1のホースクランプがセラミックローラの一端部側に装着され、長さ方向に第1のホースクランプの一対の取っ手が入る幅のスリットを有するカップリングが、第1のホースクランプの一対の取っ手がスリットに収まるようセラミックローラの一端部側から挿着され、第2のホースクランプがセラミックローラの他端部側から第1のホースクランプに隣接させてカップリングに装着されてなることを特徴とするローラハース炉のローラの保持構造。但し、第1のホースクランプおよび第2のホースクランプは、ホースの接続端の外周面に装着されホースの接続端をクランプするホースクランプであって、クランプ本体と耳状の一対の取っ手をそなえ、クランプ本体は鋼材によりリング状に形成され、一対の取っ手を互いに近付けることによってクランプ本体を拡径してホースを把持し、取っ手を離すことによってクランプ本体の内径を縮小する弾性復元によりホースを締め付けるよう構成されたものをいう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被焼成品を搬送するローラハース炉のセラミックローラを、回転駆動軸に連結されたカップリング(ローラキャップ)に保持するためのローラハース炉のローラの保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ローラハース炉は、焼成室内に被焼成品の搬送方向に炉体を貫通して多数のローラを並設し、ローラの回転により被焼成品を搬送して焼成する炉であり、ローラとしては、セラミック製の中空ローラが適用されている。
【0003】
これらのセラミックローラは炉外で支持され、駆動機構の回転駆動軸と連結されて回転力を伝達される。駆動機構とセラミックローラとの連結は、例えば、ローラの端部にローラキャップを取り付け、ローラキャップと回転駆動軸をピンにより連結する方式などにより行われ、具体例としては、ローラキャップをトレランスリングと環状ゴムシートを介してローラに嵌着し、ローラキャップを回転駆動軸に割りピンにより連結して、駆動時に熱や重量によりローラに撓みが生じてもローラが破損することがなく、操業中のローラの芯ずれも防止できるようにした構成や、ローラキャップをローラに挿入してボルトで固定し、ローラキャップを連結シャフト、ホルダを介して駆動装置に接続し、ローラキャップと連結シャフトを遊嵌状態に保持して、ローラと駆動装置の回転駆動軸が偏心していても回転駆動を伝達することができるようにした構成が提案されている。
【0004】
しかしながら、前者においては、セラミックローラの外径にはばらつきがあるため、環状ゴムシートの厚さを調整する必要があり、ローラの装着に時間が掛かるという難点があり、高価なトレランスリングを使用しなければならないという問題もある。後者においては、構造が複雑となり、装置が高価であるという問題がある。また、両者とも、ローラの交換が必ずしも容易でないという難点もある。
【0005】
ローラとローラキャップとの連結、回転駆動軸に連結する従動軸とローラキャップとの連結を連結ピンにより行い、組立作業の工数を削減するようにする構成や、スリット状の穴をあけたローラを回転駆動軸に挿着し、回転駆動軸に固定したばねをローラにあけたスリット状の穴に挿入してローラと回転駆動軸を係合させ、操業中のローラの交換を容易にする構成も提案されているが、いずれも、ローラにピン穴やスリット状の穴の加工が行なわれるため、セラミックローラの場合、ローラの強度低下が生じ、荷崩れなどの操業中の事故によりローラに大きな回転負荷がかかった場合に折損し易いという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−106319号公報
【特許文献2】特開平9−26264号公報
【特許文献1】特開2013−124857号公報
【特許文献2】特開平5−322450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、被焼成品を搬送するローラハース炉のセラミックローラを回転駆動軸に連結する機構における上記従来の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、セラミックローラに荷崩れなどの操業中の事故によりローラに大きな回転負荷がかかった場合にも折損が生じ難く、簡便な方式でローラを回転駆動軸に連結できるため、ローラの組立作業や交換作業も容易に行うことができるローラの保持構造、詳しくは、セラミックローラを、回転駆動軸に連結されたローラキャップ(本発明においては、以下、カップリングという)に保持するためのローラハース炉のローラの保持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための請求項1によるローラハース炉のローラの保持構造は、被焼成品を搬送するローラハース炉のセラミックローラを回転駆動軸に連結されたカップリングに保持するための構造であって、第1のホースクランプがセラミックローラの一端部側に装着され、長さ方向に第1のホースクランプの一対の取っ手が入る幅のスリットを有するカップリングが、第1のホースクランプの一対の取っ手がスリットに収まるようセラミックローラの一端部側から挿着され、第2のホースクランプがセラミックローラの他端部側から第1のホースクランプに隣接させてカップリングに装着されてなることを特徴とするローラハース炉のローラの保持構造。但し、第1のホースクランプおよび第2のホースクランプは、ホースの接続端の外周面に装着されホースの接続端をクランプするホースクランプであって、クランプ本体と耳状の一対の取っ手をそなえ、クランプ本体は鋼材によりリング状に形成され、一対の取っ手を互いに近付けることによってクランプ本体を拡径してホースを把持し、取っ手を離すことによってクランプ本体の内径を縮小する弾性復元によりホースを締め付けるよう構成されたものをいう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、セラミックローラに荷崩れなどの操業中の事故によりローラに大きな回転負荷がかかった場合にも折損が生じ難く、簡便な方式でローラを回転駆動軸に連結できるため、ローラの組立作業や交換作業も容易に行うことができ、メンテナンス性に優れたローラの保持構造、詳しくは、セラミックローラを、回転駆動軸に連結されたカップリングに保持するためのローラハース炉のローラの保持構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明において、セラミックローラを回転駆動軸に連結されたカップリングに保持するために用いるホースクランプ3、4の一実施例を示す斜視図である。
図2】中空のセラミックローラ1の一端部側から第2のホースクランプ4を挿入しようとしている図である。
図3】中空のセラミックローラ1の一端部側から第2のホースクランプ4を挿入した後、さらに第1のホースクランプ3を挿入、ローラの一端部側にクランプした図である。
図4】第1のホースクランプ3の一対の取っ手h1、h1が入る幅のスリット6を長さ方向に有するカップリング2を、一対の取っ手h1、h1がスリット6に収まるようローラ1の一端部側から挿着した図である。
図5図4に示す形態を、ローラ1の端部側からみた端面図である。
図6】カップリング2を、第1のホースクランプ3の一対の取っ手h1、h1がスリット6に収まるようローラ1の一端部側から挿着した後、第2のホースクランプ4をローラ1の他端部側から第1のホースクランプ3に隣接させてカップリング2に挿入、カップリング2にクランプした図であり、本発明のローラ保持構造の完成形態を示す図である。
図7図6に示す形態を、ローラ1の端部側からみた端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によるローラハース炉のローラの保持構造は、被焼成品を搬送するローラハース炉のセラミックローラを回転駆動軸に連結されたカップリングに保持するための構造であり、ホースの接続端の外周面に装着されホースの接続端をクランプするホースクランプを使用してローラにカップリングを保持する。
【0012】
ホースクランプ3(4)は、例えば、図1に示すように、クランプ本体7と耳状の一対の取っ手h1、h1(h2、h2)をそなえ、クランプ本体7は鋼材によりリング状に形成され、一対の取っ手h1、h1(h2、h2)を弾発力に逆らって互いに近付けるよう動かすとクランプ本体7が拡径し、取っ手h1、h1(h2、h2)を離すとクランプ本体7の内径が弾性復元により元に戻る(縮小する)よう構成されたものであり、ホースクランプについては種々のタイプのものが市販されている。
【0013】
図2図7は、本発明によるローラの保持構造の実施形態の説明図であり、まず、図2に示すように、中空のセラミックローラ1の一端部E1側に第2のホースクランプ4を配置する。第2のホースクランプ4は、例えば図1に示すような形態を具えたホースクランプであり、ローラ1の一端部E1に挿着されるカップリング2の外径をクランプするためのものである。h2、h2は第2のホースクランプ4の耳状の一対の取っ手である。なお、ローラ1の長さは本発明の保持構造の説明の便宜上実際の長さより短く描かれている。
【0014】
図3に示すように、中空のセラミックローラ1の一端部E1側から第2のホースクランプ4を挿入した後、さらに第1のホースクランプ3を挿入し、第1のホースクランプ3をローラ1の一端部E1側の所定の位置にクランプする。第1のホースクランプ3も、例えば図1に示すような形態を具えたホースクランプであり、h1、h1は第1のホースクランプ3の耳状の一対の取っ手である。
【0015】
つぎに、図4に示すように、第1のホースクランプ3の一対の取っ手h1、h1が入る幅のスリット6を長さ方向に有する円筒状のカップリング2が、第1のホースクランプ3の一対の取っ手h1、h1がスリット6に収まるようローラ1の一端部E1側から挿着される。カップリング2のスリット6は、図5に示すように、カップリング2の端部e1から所定の部位e2までを第1のホースクランプ3の一対の取っ手h1、h1が入る幅Wに切り欠いたものであり、図4では点描で示す。5は、ローラ1を回転させるための回転駆動軸であり、カップリング2と適宜の方法で連結されている。
【0016】
図4図5)に示すように、カップリング2をローラ1の一端部E1側から第1のホースクランプ3の一対の取っ手h1、h1がスリット6に収まるよう挿着した後、図6に示すように、第2のホースクランプ4がローラ1の他端部E2側から第1のホースクランプ3に隣接させてカップリング2にクランプ、装着され、本発明によるローラハース炉のローラの保持構造が完成する。図7は、図6に示す構造をローラ1の端部側から見た図である。
【0017】
図6に示す構成によれば、カップリング2をローラ1の一端部E1側へ引っ張った場合は、第2のホースクランプ4が第1のホースクランプ3で止められ、ローラ1をローラ1の他端部E2側へ引っ張った場合は、第1のホースクランプ3が第2のホースクランプ4で止められて、いずれもローラ1からカップリング2を外すことができず、ローラ1とカップリング2とは安定して保持される
【0018】
また、本発明によるローラの保持構造は、ローラ1がホースクランプ3、4の締め付け力だけで固定されている点に特徴があり、通常の操業においては、ホースクランプの締め付け力でローラ1を正常に回転させることができるが、操業中に荷崩れなどの事故が発生し、ローラ1に大きな回転負荷がかかった場合には、ホースクランプの締め付け力によるホースクランプとローラの摩擦力により回転負荷が大きくなってホースクランプが空回りするため、ローラの折損を防止することができる
【符号の説明】
【0019】
1 セラミックローラ
2 カップリング
3 第1のホースクランプ
4 第2のホースクランプ
5 回転駆動軸
6 スリット
7 クランプ本体
h1 第1のホースクランプの取っ手
h2 第2のホースクランプの取っ手
E1 ローラの一端部
E2 ローラの他端部
e1 カップリングの端部(カップリングに形成したスリットの始点)
e2 カップリングに形成したスリットの終点
W カップリングに形成したスリット(切欠き)の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7