【実施例】
【0023】
図1は、本発明の実施の形態における管理システムおよび管理装置の一実施例を示す図である。
【0024】
図1において、管理システム1は、商品、物資、原材料(原料)などの運搬物(荷物、貨物)を運搬する船舶を所定の入船航路(単に、「航路」ともいう)を通って停泊場(バース)へと入船(着岸)に係る航行を制御するシステムであって、少なくとも、管理装置100、1または複数の計測装置200によって構成されている。
【0025】
このときの船舶として、例えば、タンカーやコンテナ船等の貨物船、クルーズ船やフェリーなどの旅客船のほか、その他特殊船などがあり、これらの船舶が、海や湖などに設けられた停泊場に入船することによって、停泊場では、その船舶が運搬している運搬物の陸揚げが可能となる。なお、停泊場には、運搬物を陸揚げするための受入設備が設けられている。この受入設備には、クレーンやアンローディングアームなどの搬入装置が設けられており、これらの搬入装置によって運搬物が収用地に搬入、収用若しくは貯蔵される。
【0026】
計測装置200は、船舶の入船航路近傍に1または複数設けられており、設けられた観測位置(測定地点)における各種の環境情報を計測することが可能である。この計測装置200は、例えば、風速、風向等の風況情報を計測する風向風速計、潮流速を計測する潮流速計、波高を計測する波高計などによって構成されており、このほか、温度・湿度等の情報を計測する温湿度計なども含まれる。つまり、環境情報の例が、風況情報、潮流速、波高、温度・湿度である。
【0027】
また、管理装置100は、船舶の入出船に係る航行において、船舶の入出船の時間・時刻、航行に係る航路を管理、制御する装置である。この管理装置100は、特に、運搬物を運搬した状態における入船の時間(「入船タイミング」、「入船予定時間」、「入船時」とも称する)を管理、制御するものである。
【0028】
このほか、管理装置100は、有線回線・無線回線の通信回線によって計測装置200と通信可能な状態にあって、計測装置200から任意のタイミング(「入船予定時間」、「入船予定時間の所定時間前」等のほか、一定時間間隔(10分、30分、1時間、3時間等))で環境情報(観測位置の位置情報を含めてもよい)を受信(取得)する。
【0029】
そして、管理装置100では、この受信した環境情報を元に、入船に際して入船予定時間の所定時間前にその入船予定時間に入船が可能であるか予測(推測)して入船に係る航行の許否を判断する入船判断処理を行う。
【0030】
この入船判断処理は、計測装置200から受信した環境情報、特に、計測装置200における風向風速計によって計測した風況情報における、入船航路環境の潮流調和定数に基づく潮汐成分と、その風況情報によって表される風によって発生する潮の風流成分と、その入船航路環境をなす河川からの流入成分とをもとに、少なくとも潮流速を算出することで、この潮流速を用いて、入船予定時間における入船の許否を判断する処理である。
【0031】
さらに、この管理システム1には、制御システム2が接続されている。この制御システム2は、船舶によって運搬された運搬物を受入設備で受け入れた後、その運搬物を利用する施設に設けられた各種装置を制御して供給物の製造を可能としたシステムである。特に、制御システム2は、入船した船舶から運搬物として、原材料(原料)を受け入れ、施設に設けられた各種の制御装置300を制御することで、その受け入れた原料を用いてエネルギー物質の製造や供給を行う。
【0032】
以下では、この制御システム2で行われる処理の具体例を説明する。
【0033】
入船した船舶が液体ガスタンカーであって、この液体ガスタンカーによって運搬物として、メタンやエタン等によって構成されている液化天然ガス(LNG)、プロパンやブタン等によって構成されている液化石油ガス(LPG)が運搬されている場合、船舶の停泊場に設けられた受入設備のアンローディングアームは、これらの液化ガス(液化天然ガスや液化石油ガス)を吸い上げて、貯蔵庫(LNGタンク、LPGタンク)に貯蔵する。
【0034】
この場合、制御システム2は、制御システム2を構成している1または複数の制御装置300それぞれが、施設内(この場合、具体的には「ガス製造施設」)に設けられたポンプ、気化器、熱調装置等の機器を制御することによって、貯蔵庫に貯蔵された液化ガス(液化天然ガスや液化石油ガス)である原料からエネルギー物質であるガス(天然ガス)の製造・供給を管理制御する。
【0035】
この制御装置300では、貯蔵庫(LNGタンク、LPGタンク)に貯蔵された液化天然ガスや液化石油ガスをポンプで吸い上げ、配管(パイプ)を通じてこれらの液化ガスを気化器(ベーパライザー)に通すことによって、この液化天然ガスや液化石油ガスを気体の天然ガスに戻し、この天然ガスを構成する成分によって異なる熱量を熱調装置で調整するという制御を行う。このような処理により、制御システム2は、必要な天然ガスを製造・供給することとなる。
【0036】
もちろん、この制御システム2では、これらの機器のほか、他の多くの機器を制御装置300が制御することによって安定的にガスの製造・供給を行っている。
【0037】
例えば、この制御システム2では、LNGタンクやLPGタンクで発生したボイルオフガスをガスコンプレッサー(BOG圧縮機)によって吸引して、このボイルオフガスを再液化装置へと送り出す。そして、この再液化装置では、ボイルオフガスを再液化し、再液化された液化ガスを気化器に通す。この気化器によって気体に戻されて製造された天然ガスを一時的にホルダーと呼ばれる格納庫に格納し、必要に応じて付臭装置で付臭剤をガスに付臭させて需要元に供給する。このとき、各所に設けられた複数のガバナを介して必要な圧力(高圧、中圧、低圧)に調整するとともに、各種の調整弁を調整することで必要な量のガスを配管を通じて供給する。
【0038】
このような制御システム2における制御装置300それぞれの制御処理によってガスが製造・供給されるものであるが、このときの気化器は、液化天然ガスや液化石油ガスを気体の天然ガスに戻すために、これらの液化ガスが通る配管(パイプ)に水(海水、地下水等)を掛け流している。この気化器で使用する水は、液体(液体物質、液体材料)の例を示しており、例えば、取水路を介して取水した海水、湖水、地下水等である。そして、使用後、これらの水は、海や湖に放水路(排水路)を介して放水(排水)することとなる。このときの気化器はあくまでも水を使用する機器の一例であって、このほか、復水器等の熱交換器で使用した水についても同様に放水する処理が行われる。
【0039】
すなわち、船舶が航行する航路に、制御システム2の制御装置300が制御する機器(気化器や復水器等)において用いられた水が放水されることを示している。この気化器や復水器で用いられる水は、大容量であって、この水を効率的に循環させるために高圧で放水、吸水されることから、航路における潮流が変化する一要因となっている。
【0040】
このように、管理システム1に接続された制御システム2によって、船舶から運搬された原料をもとにガスの製造に用いられる水が吸水や放水されるとき、管理システム1を構成する管理装置100では、この放水による影響をも加味して入船判断処理を行うことも可能である。具体的には、入船判断処理において潮流速を算出するための引数として、入船航路環境をなす放水路からの流入成分も加味して潮流速を算出する。
【0041】
図2は、本発明の実施の形態における管理システムで管理する地域に関する情報を示す図である。
【0042】
図2には、陸地と海との境目(海岸線)を示しており、陸地には、海(湾内)へと流れる河川RVが示されている。
図2では、海(湾内)に5本の河川RVが流れ込む状態を示しており、管理システム1は、この湾内に設けられた停泊場へと船舶Tが航行する際の入船予定時間、航行に係る航路RTを管理、制御する。また、この停泊場の近傍には、停泊場に停泊した船舶が運搬する運搬物を使用する施設が設けられており、この施設で用いた水を放水する放水路(もちろん、吸水路も含む)が示されている。
【0043】
図2に示す停泊場や施設付近を拡大した図を
図3に示す。
【0044】
図3には、陸地に設けられた施設、船舶Tが航行する海、施設へと運搬物を陸揚げするために海を航行する船舶Tが停泊する停泊場、船舶Tが航行するための航路RT、その航路RTの近傍の海上に設けられた2つの計測装置200を示している。
【0045】
このときの施設は、上記に示すようなガス製造施設であって、管理装置100や制御装置300が設けられた管理棟、液化ガスを貯蔵するタンクGT等によって構成されている。
【0046】
また、停泊場はこの施設に隣接して設けられており、
図3には、停泊場が桟橋J、バースBによって構成された例を示している。また、
図3に示す構成の他の例を
図4に示している。
図4には、停泊場に桟橋Jを有さず、海上に設けられたバースBに船舶Tを着岸させ、このバースBとガス製造施設とをシールドトンネルで接続して運搬物を陸揚げする構成を示している。
【0047】
図3および
図4のいずれの構成であっても、船舶Tは、このバースBに着岸することを示している。
図3や
図4に示すように、液体ガスタンカーがバースBに着岸した場合、この液体ガスタンカーで運搬する液化ガスは、アンローディングアームによって液体ガスタンカーから吸引されて、桟橋Jやシールドトンネル内に設けられた配管を通ってタンクGTに貯蔵される。
【0048】
図3および
図4には、計測装置200である、航路近傍の地点Aに第1の計測装置200A、航路近傍の地点Bに第2の計測装置200Bが示されている。これらの計測装置200は、管理棟に設けられた管理装置100と通信回線を介して接続されている。上記に示すように、これらの計測装置200は、風況情報、潮流速、波高、温度・湿度等の環境情報を測定して管理装置100へと送信する。もちろん、これら以外の計測装置を設けるような構成であってもよい。
【0049】
このときの船舶Tが航行する海面は、潮汐という現象によって周期的に潮位が昇降することを繰り返しており、1日単位ではおおよそ2回程度の昇降を繰り返している。海面が上昇した満潮時から海面が下降した干潮時となる場合、湾内から外海の下げ潮方向に潮が流れ、一方で、海面が下降した干潮時から海面が上昇した満潮時となる場合、外海から湾内の上げ潮方向に潮が流れる。このように、船舶が航行する海面の潮位は刻々と変化し、また、これに伴って潮の流れも変化している。
【0050】
図5は、本発明の実施の形態における管理システムを構成する管理装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【0051】
図5は、上記に示すように海面の潮位は刻々と変化し、これに伴って潮の流れも変化している状態で、船舶Tが安全に効率的に停泊場へと入船(着岸)させるための処理を行う管理装置100の機能ブロックの構成を示している。
【0052】
図5において、管理装置100は、通信部101、制御部110、記憶部120、I/F部130によって構成されている。通信部101は、他の装置(特に、計測装置200や制御装置300)との通信を行う。この通信部101によって送受信される情報は、制御部110へと送信される。
【0053】
制御部110は、管理装置100における主制御を行うものであって、情報制御部111、潮汐解析部112、潮流算出部113、入船判断部114を具備して構成されている。また、記憶部120は、航行情報記憶部121、潮汐情報記憶部122、環境情報記憶部123、判断結果記憶部124を具備して構成されている。I/F部130は、指示部131、表示部132を具備して構成されている。
【0054】
情報制御部111では、予め指定された時間に、通信部101を介して外部機関(公的機関)に設けられた外部装置から船舶の航路上の潮位に関する情報(潮位データ)を受信して潮汐情報記憶部122に記憶する。このときの潮位データは、潮汐に基づく潮位の推移を時間ごとに予測したデータであって、その一例を
図6に示している。
【0055】
また、この情報制御部111では、通信部101を介して計測装置200それぞれから環境情報として、任意の時間に風況情報(風速、風向)、潮流速、波高、温度・湿度を受信して、これらの環境情報を受信した時間とともに環境情報記憶部123に記憶する。このときの環境情報記憶部123では、時間に対応付けて環境情報を記憶しているとともに、計測装置200それぞれの位置情報も記憶している。さらには、環境情報記憶部123は、入船判断処理において入船を許可する潮流である許容潮流、入船判断処理において入船を許可する環境情報(特に、許容波高、許容風速)をも記憶している。このときの許容潮流は、入船に係る船舶操作(船体操作)の影響を許容する潮流である。
【0056】
この情報制御部111には、航行情報記憶部121も接続されており、この航行情報記憶部121は、船舶の航行に関する情報(航行情報)を記憶している。この航行情報には、船舶が停泊場に入船するための入船予定時間の情報や入船する停泊場を識別する入船停泊場識別情報等を含む。情報制御部111は、この航行情報記憶部121で記憶している航行情報をもとにその航行情報に含まれる入船予定時間に基づき潮汐情報や環境情報を受信(取得)するような構成であってもよい。
【0057】
以上に示すように、記憶部120の航行情報記憶部121では、船舶が停泊場に入船するための入船予定時間の情報や入船する停泊場を識別する入船停泊場識別情報等からなる航行情報を記憶している。また、潮汐情報記憶部122では、潮汐に基づく潮位の推移を予測した潮位データを記憶した状態にある。また、環境情報記憶部123では、環境情報を受信した時刻とともに記憶した状態にある。
【0058】
続いて、I/F部の指示部131は、タッチパネル、ボタン等によって構成されており、予め指定された時間(例えば、入船予定時間の所定時間前)を計時部(時計、タイマー等)によって計時すると、制御部110に対してその旨を通知する。このとき、制御部110では、記憶部120に記憶されている情報に基づいて、安全に船舶が停泊場に入船可能であるか否かを判断する入船判断処理を行う。なお、上記例では、予め指定された時間を計時することによって入船判断処理を行うとしているが、これに限定されることなく、指示部131を介した管理者による指示を受けて入船判断処理を行うこととしてもよい。
【0059】
制御部110によって行われる入船判断処理について説明する。
【0060】
この入船判断処理は、入船(着岸)を開始する前(入船開始前)である、入船予定時間の所定時間前に行うほか、入船が許可されて入船が開始(継続)しているときにも行う。特に、前者を「事前入船判断処理」と称し、後者を「入船継続判断処理」と称する。
(事前入船判断処理)
【0061】
指示部131から指示を受けた制御部110では、まず、潮汐解析部112が、情報制御部111を介して潮汐情報記憶部122で記憶している潮汐情報を読み出し、この読み出した潮汐情報に基づいて入船予定時間に引き潮(「下げ潮」とも称する)となっているか否かを解析する。このときの引き潮となっているか否かの解析処理は、潮汐情報により潮が満潮から干潮となっている引き潮の時間(引き潮時間(下げ潮時間))であるか否かによって解析する。なお、潮汐情報により潮が干潮から満潮となっている上げ潮の時間(上げ潮時間)とも称する。
【0062】
この引き潮時間には、満潮となるまでの追加時間も含むことも可能であって、この追加時間も含めることでより安全な航行の可否を判断することが可能となる(
図5を参照)。
【0063】
潮汐解析部112による解析処理によって入船予定時間が引き潮となっていない場合、潮汐解析部112は、入船判断部114へとその旨を通知する。この場合、入船判断部114では、入船予定時間が引き潮となっていないことから入船を許可するという判断を行う。この入船判断部114では、この「入船許可」の判断結果を判断結果記憶部124へと記憶する。
【0064】
また、潮汐解析部112による解析処理によって入船予定時間が引き潮となっている場合、潮汐解析部112は、続いて、潮汐情報をもとに、引き潮における潮位差が「危険潮位差(入船拒否潮位差)」を満たしているか否かを解析して入船判断部114へとその旨を通知する。このときの潮汐解析部112において行われる、引き潮における潮位差が「危険潮位差(入船拒否潮位差)」を満たしているか否かの解析処理は、潮汐による潮位が、高高潮から低低潮のときの引き潮であるか否かを判断することと同義である。
【0065】
入船判断部114では、引き潮における潮位差が「危険潮位差(入船拒否潮位差)」を満たしている場合(高高潮から低低潮のときの引き潮である場合)、すなわち、「危険潮位差(入船拒否潮位差)」以上の潮位が生じる引き潮の場合、入船を拒否する判断を行う。この入船判断部114では、この「入船拒否」の判断結果を判断結果記憶部124へと記憶する。これはつまり、潮流算出部113における潮流の算出を行わずに入船許否としたものであって、たとえ潮流の算出を行ったとしてもその潮流(潮流速)にかかわらず入船に係る航行を拒否することを示している。
【0066】
その一方で、引き潮における潮位差が「危険潮位差(入船拒否潮位差)」を満たしていない場合(高高潮から低低潮のときの引き潮とは異なる引き潮の場合)、すなわち、「危険潮位差(入船拒否潮位差)」以上の潮位が生じていない引き潮の場合、潮汐解析部112では、続いて、その引き潮が、低低潮の次の高潮から高低潮までにおける「引き潮」であるか否かを解析する。上記例では、その引き潮が、低低潮の次の高潮から高低潮までにおける「引き潮」であるか否かの解析を行っているが、これに限定されることなく、指示部131を介した管理者による指示を受けて、低低潮の次の高潮から高低潮までにおける「引き潮」であると判断してもよい。
【0067】
低低潮の次の高潮から高低潮までにおける「引き潮」でない場合、潮汐解析部112では、入船判断部114へとその旨を通知する。この場合、入船判断部114では、入船予定時間が引き潮であるが、入船を拒否する条件ではないことから入船を許可するという判断を行う。この入船判断部114では、この「入船許可」の判断結果を判断結果記憶部124へと記憶する。
【0068】
また、その引き潮が、低低潮の次の高潮から高低潮までにおける「引き潮」である場合、潮汐解析部112は、潮流算出部113へとその旨を通知する。このとき、潮流算出部113では、各地点から受信した環境情報を用いることでその地点ごとに入船予定時間における潮流を算出する。なお、上記例では、「危険潮位差(入船拒否潮位差)」以上の潮位が生じていない引き潮の場合、潮汐解析部112では、続いて、その引き潮が、低低潮の次の高潮から高低潮までにおける「引き潮」であるか否かを解析してこの「引き潮」である場合に、潮流算出部113が入船予定時間における潮流を算出しているが、これに限らず、低低潮の次の高潮から高低潮までにおける「引き潮」であるか否かの解析処理の結果にかかわらず、潮流を算出することとしてもよい。
【0069】
これによって、「危険潮位差(入船拒否潮位差)」を満たしていない場合における入船が、解析処理を行う場合に比べて高い確率で行うことが可能となる。
【0070】
このときの潮流は、上記に示す潮流速のほか、潮流向からなり、潮流算出部113では、このうち少なくとも潮流速を算出する。この潮流算出部113では、以下の(式1)に示すような演算式を用いる。
【0071】
(式1)
H(t) = A0 + Σfn×Hn×cos { θn×t − Kn + (v0 + u) n } + 吹送流成分+平均流成分
【0072】
この(式1)は、計測装置200から受信した環境情報、特に、計測装置200における風向風速計によって計測した風況情報における、入船航路環境の潮流調和定数に基づく潮汐成分と、その風況情報によって表される風によって発生する潮の吹送流成分(風流成分)と、その入船航路環境をなす河川からの平均流成分(流入成分)とに基づいて潮流H(t)を算出する演算式である。また、潮流調和定数に基づく潮汐成分は、各地点における平均水面あるいは平均流A0、環境情報を計測した当日の天文係数fn、調和定数の振幅Hn、各速度θn、調和定数の遅角Kn、環境情報を計測した当日の天文引数v0、各分潮nによって算出される。
【0073】
潮流算出部113は、上記の(式1)の演算式を用いて少なくとも潮流速を算出する。そして、算出した潮流速を入船判断部114へと送出することで、入船判断部114は、この潮流速を用いて入船予定時間における入船の許否を判断する。
【0074】
このとき、入船判断部114は、環境情報記憶部123で記憶している許容潮流を読み出し、この許容潮流と潮流算出部113によって算出した潮流(潮流速)とから入船予定時間における入船の許否を判断する。
【0075】
このときの許容潮流は、入船継続中に行う入船の継続が可能であるか否かの入船継続判断処理において用いる許容潮流(許容潮流速)の情報と同じか、若しくはその許容潮流(許容潮流速)よりも遅い値(小さい値)である。より好ましくは、許容潮流(許容潮流速)は、入船継続中に行う入船の継続が可能であるか否かの判断処理において用いる許容潮流(許容潮流速)よりも遅い(小さい)。
【0076】
入船判断部114では、潮流算出部113で算出した潮流(潮流速)が、許容潮流を満たす場合に入船を許可するという判断を行う。この入船判断部114では、この「入船許可」の判断結果を判断結果記憶部124へと記憶する。このことから、入船判断部114は、潮流算出部113で算出した潮流速が、許容潮流の潮流速を満たすことによって入船に係る航行を許可する。
【0077】
これに対して、入船判断部114では、潮流算出部113で算出した潮流(潮流速)が、許容潮流を満たさない場合、入船を拒否するという判断を行う。この入船判断部114では、この「入船拒否」の判断結果を判断結果記憶部124へと記憶する。
【0078】
また、入船判断部114による、潮流算出部113で算出した潮流(潮流速)が許容潮流を満たすか否かの判断処理は、各地点の環境情報ごとに判断するものであることから、全ての地点における環境情報に基づいて算出した潮流(潮流速)が許容潮流を満たす場合に入船に係る航行を許可するものとし、少なくとも1つの地点における環境情報に基づいて算出した潮流(潮流速)が許容潮流を満たさなければ入船に係る航行を拒否するものとすることが可能である(
図7の入船許否結果(1)を参照)。もちろん、これに限られず、少なくともいずれか1つの地点における環境情報に基づいて算出した潮流(潮流速)が許容潮流を満たす場合には入船に係る航行を許可するものとしてもよい(
図7の入船許否結果(2)を参照)。
【0079】
これによって、単に、船舶の航行に影響が生じる引き潮のときに入船を拒否するものに比べて、環境情報と、その環境情報に基づく潮流とに基づいて引き潮であっても入船を許可する場合があり、安全性を確保した上で入船効率が向上することとなる。
(入船継続判断処理)
【0080】
I/F部の指示部131は、入船予定時間を計時部によって計時すると、制御部110に対してその旨を通知する。このとき、制御部110では、記憶部120に記憶されている情報に基づいて、安全に船舶が停泊場に入船可能であるか否かを判断する入船判断処理(特に、入船継続判断処理)を行う。もちろん、上記同様、入船予定時間を計時することによって入船判断処理を行うとしているが、これに限定されることなく、指示部131を介して管理者による指示を受けて入船判断処理を行うこととしてもよい。
【0081】
このとき、制御部110では、情報制御部111が、計測装置200から環境情報を取得してその環境情報を入船判断部114へと送出する。このとき、入船判断部114では、この環境情報が環境情報記憶部123において記憶している許容潮流、許容波高、許容風速等の情報を満たすか否かを判断して入船に係る航行を継続させるか、停止させるかを判断する。
【0082】
具体的には、計測装置200の潮流計から取得した環境情報の潮流速が許容潮流を満たす場合に入船に係る航行を継続させ、満たさない場合に入船を停止させる。また、計測装置200の風速風向計から取得した環境情報の風速が許容風速を満たす場合に入船に係る航行を継続させ、満たさない場合に入船を停止させる。また、計測装置200の波高計から取得した環境情報の波高が許容波高を満たす場合に入船に係る航行を継続させ、満たさない場合に入船を停止させる。
【0083】
もちろん、この場合も、全ての環境情報を満たす場合に入船に係る航行を継続させ、少なくとも1つの環境情報を満たさない場合には入船を停止させることとしてもよい。
【0084】
このような事前入船判断処理および入船継続判断処理を含む入船判断処理を行うことで、入船前はもとより入船中にも安全な航行を管理することが可能となる。
【0085】
図6は、本発明の実施の形態における管理システムで用いる潮位データを示す図である。
【0086】
図6に示す潮位データは、外部機関によって提供されるデータであって、横軸を時間とし、縦軸を潮位としたときの潮汐に基づく潮位の推移を予測したデータである。
【0087】
図6に示す潮位データは、1日単位で潮汐によって満潮と干潮とを周期的に繰り返すことを示している。この潮位データは、その中でも日潮不等によって、[t1]の時間に高高潮となり、[t2]の時間に低低潮となり、[t3]の時間に低高潮となり、[t4]の時間に高低潮となることを示している。このうち、満潮から干潮となるときに引き潮が発生する。この引き潮は、特に、船舶の航行に影響を及ぼしやすい状態である。
図6に示す例では、[t1]の時間から[t2]の時間となる時間帯、および、[t3]の時間から[t4]の時間となる時間帯が引き潮の時間帯(上記に示す、「引き潮時間」)であることを示している。
【0088】
図6において、[t1]の時間である高高潮から[t2]の時間である低低潮となる引き潮時間の時は、高高潮の潮位と低低潮の潮位との潮位差が、船舶の航行に危険が生じる可能性が高いと判断する「危険潮位差(「入船拒否潮位差」とも称する)」を満たす状態を示している。また、[t3]の時間である低高潮から[t4]の時間である高低潮となる引き潮時間の時は、低高潮の潮位と高低潮の潮位との潮位差が、この「危険潮位差」を満たさない状態を示している。なお、「危険潮位差」は、入船する船舶のサイズによって適宜、設定可能である。
【0089】
つまり、[t1]の時間である高高潮から[t2]の時間である低低潮となる引き潮時間の時は、入船判断処理によって、潮流速に関わらず入船に係る航行を拒否する「入船拒否」であると判断する。また、[t3]の時間である低高潮から[t4]の時間である高低潮となる引き潮の時は、入船判断処理において、潮流成分、吹送流、平均流の各成分をもとに入船タイミングにおける潮流を算出し、この潮流に基づいて入船に係る航行を許可する「入船許可」、または、入船に係る航行を拒否する「入船拒否」のいずれかと判断する。
【0090】
このときの引き潮時間には、干潮から満潮となるまでの時間であって、満潮となる直前の所定時間である追加時間を含めることも可能である。これによって、より安全な船舶の入船に係る航行が可能となる。
【0091】
図7は、本発明の実施の形態における管理システムを用いた入船に係る航行の入船許否結果データを示す図である。
【0092】
図7に示す入船許否結果データは、4種類の結果を示している。この
図7では、入船判断処理において、許容潮流の「潮流(潮流速)」を「1.00」以上とした場合の入船許否の結果を示している。この許容潮流の潮流速は、あくまでも一例であって、例えば、許容潮流の潮流速を「0.6」以上や、「0.4」以上などとしてもよい。但し、上記に示すように、このときの許容潮流の潮流速は、入船継続中に行う入船の継続が可能であるか否かの入船継続判断処理において用いる許容潮流(許容潮流速)の情報と同じか、若しくはその許容潮流(許容潮流速)よりも遅い値(小さい値)である。
【0093】
図7に示す入船許否結果データは、(その1)〜(その4)の全4種類である。これらの入船許否結果データには、入船判断処理において算出された潮流速、潮流向を示しているほか、これらの情報と許容潮流(許容潮流速)とを比較したことによる入船許否の結果を示している。
【0094】
また、入船許否結果データは、2つの結果を示しており、地点ごとに判断した入船結果を総合的にどのように判断するかを示した判断条件ごとに示している。入船許否結果(1)は、地点ごとに判断した入船許否結果のうち、全ての地点における入船結果が許容潮流(許容潮流速)を満たすこと(入船可(○))を、入船を許可する入船許可条件(第1入船許可条件)として判断したときの結果である。これに対して、入船許否結果(2)は、地点ごとに判断した入船許否結果のうち、少なくとも1つの地点における入船結果が許容潮流(許容潮流速)を満たすこと(入船可(○))を、入船を許可する入船許可条件(第2入船許可条件)として判断したときの結果である。
【0095】
まず、
図7の(その1)に示す入船許否結果データは、地点Aにおける潮流速が「0.25」であって潮流向が「東」であることを示し、また、地点Bにおける潮流速が「0.3」であって潮流向が「東南東」であることを示している。これは、地点Aおよび地点Bの潮流速がともに許容潮流(許容潮流速)を満たしている。このため、入船許否結果(1)および入船許否結果(2)とも、総合的に入船に係る航行を許可する(入船許可)としている。
【0096】
次に、
図7の(その2)に示す入船許否結果データは、地点Aにおける潮流速が「0.25」であって潮流向が「東」であることを示し、また、地点Bにおける潮流速が「1.05」であって潮流向が「東南東」であることを示している。これは、地点Aの潮流速のみが許容潮流(許容潮流速)を満たしているため、第1入船許可条件に基づく入船許否結果(1)として総合的には入船に係る航行を拒否する(入船拒否)としている。その一方で、第2入船許可条件に基づく入船許否結果(2)として総合的には入船に係る航行を許可する(入船許可)としている。
【0097】
また、
図7の(その3)に示す入船許否結果データは、地点Aにおける潮流速が「1.25」であって潮流向が「東」であることを示し、また、地点Bにおける潮流速が「0.3」であって潮流向が「東南東」であることを示している。地点Bの潮流速のみが許容潮流(許容潮流速)を満たしているため、第1入船許可条件に基づく入船許否結果(1)として総合的には入船に係る航行を拒否する(入船拒否)としている。その一方で、第2入船許可条件に基づく入船許否結果(2)として総合的には入船に係る航行を許可する(入船許可)としている。
【0098】
上記の(その2)、(その3)のように、入船許可条件によって異なる結果となる場合がある。
【0099】
最後に、
図7の(その4)に示す入船許否結果データは、地点Aにおける潮流速が「1.25」であって潮流向が「東」であることを示し、また、地点Bにおける潮流速が「1.05」であって潮流向が「東南東」であることを示している。これは、地点Aおよび地点Bの潮流速がともに許容潮流(許容潮流速)を満たしていない。このため、入船許否結果(1)および入船許否結果(2)共に、総合的に入船に係る航行を拒否する(入船拒否)としている。
【0100】
図8は、本発明の実施の形態における管理システムの管理装置において行われる「入船判断処理」の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0101】
図8において、入船判断処理は、船舶が航路を通じて停泊場へと入船(着岸)を開始する前(入船開始前)に行う事前入船判断処理と、入船が開始しているときに行う入船継続判断処理とから構成されている。
【0102】
まず、管理装置100は、入船予定時間の所定時間前となったか否かを判断する(S701)。入船予定時間の所定時間前となるまでは(S701でNO)、管理装置100は、後述するS705に示す入船予定時間となったか否かを判断する処理を行う。また、入船予定時間の所定時間前となったと判断すると(S701でYES)、管理装置100は、続けて、事前入船判断処理を行う(S702)。この事前入船判断処理の詳細を
図9に示す。
【0103】
次に、管理装置100は、この事前入船判断処理による判断結果として「入船許可」が設定されているか否かを判断する(S703)。なお、入船予定時間の所定時間前として、複数の時間を設定しておくことも可能であって、各時間に事前入船判断処理を行うことによって、刻々と変わっていく状況に即した判断が可能となる。
【0104】
この判断処理によって「入船許可」が設定されていないと判断された場合(S703でNO)、管理装置100は、現時点において登録されている入船予定時間を変更すること等によって、新たな入船に係る航行管理を行う(S712)。これに対して、「入船許可」が設定されていると判断された場合(S703でYES)、管理装置100は、この事前入船判断処理によって算出された潮流速等の潮流に関する情報を登録する(S704)。すなわち、この「入船許可」が設定されたことと、この入船許可が設定されたときの判断条件となった潮流速等の潮流に関する情報とを対応付けて登録(記憶)することとなる。
【0105】
続いて、管理装置100は、入船予定時間となったか否かを判断する(S705)。入船予定時間となるまでは(S705でNO)入船判断処理を一時的に停止させるためにS701へと処理を遷移させる。すなわち、入船判断処理では、入船予定時間となるか、または、入船予定時間の所定時間前となるかによって所定の処理(入船継続判断処理、または、事前入船判断処理)が行われることを示している。
【0106】
管理装置100では、入船予定時間となったと判断すると(S705でYES)、観測位置に設けられた計測装置200である潮流計から入船予定時間における潮流速を取得し(S706)、さらに、観測位置に設けられた計測装置200である波高計から入船予定時間における波高を取得する(S707)。
【0107】
そして、管理装置100は、これら「潮流計から取得した入船予定時間における潮流速」と、「波高計から取得した入船予定時間における波高」とから入船を継続することが可能か否かを判断する処理を行う(S708)。このときの判断処理では、例えば、予め指定された潮流速以上となっているときや、予め指定された波高以上となっているときなどで、かつ、入船開始してから経過した時間が入船開始直後等であるかを判断し、この場合に入船を中止する等の判断が行われる。
【0108】
この判断処理によって入船の継続が可能であるか否かを判断し(S709)、入船の継続が可能であると判断する場合(S709でYES)、管理装置100は、続いて、入船が完了した状態にあるか否かを判断する(S710)。管理装置100では、入船が完了した状態にある場合(S710でYES)、その入船に関する条件として、入船継続中に計測した情報(潮流速、波高等)を登録する(S711)。その一方で、入船が完了していない場合(S710でNO)、管理装置100は、入船が完了するまで待機状態となる。もちろん、これに代えて、潮流計や波高計から適宜、潮流速や波高等の情報を取得している場合には、入船が完了するまでの間、これらの情報に基づいて入船を継続可能であるか否かを判断する処理(S708)を繰り返し行うような構成であってもよい(
図8には後者に示すような場合についての処理を示している)。
【0109】
入船の継続が可能であると判断しない場合(S709でNO)、管理装置100は、現時点において登録されている入船航路を変更する等による入船の航行管理を行う(S712)。このとき、入船判断処理における判断結果は、「入船拒否」または「入船中断」等の結果となり、これらの結果とともにその結果となったときの判断条件について登録(記憶)する(S713)。
【0110】
以上の処理によって、管理装置100は、船舶の安全な航行とともに効率的な入船を可能とすることが可能となる。
【0111】
図9は、本発明の実施の形態における管理システムの管理装置において行われる入船判断処理の一部を構成する「事前入船判断処理」の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0112】
図9において、管理装置100において行われる事前入船判断処理は、入船予定時間の所定時間前となると処理が開始される。
【0113】
まず、管理装置100は、予め記憶している潮汐に関する潮汐情報を読み出す(S801)。そして、管理装置100は、この潮汐情報を元に、入船予定時間の入船タイミングにおいて潮汐が「引き潮」の状態にあるか否かを判断する(S802)。このときの引き潮の状態にあるか否かの判断に用いる引き潮時間には、上記に示すような追加時間を含めてもよい。
【0114】
管理装置100は、入船予定時間の入船タイミングにおいて潮汐が「引き潮」の状態にあると判断しない場合(S802でNO)、入船に係る航行を許可する「入船許可」を設定する(S810)。これに対して、入船予定時間の入船タイミングにおいて潮汐が「引き潮」の状態にあると判断する場合(S802でYES)、管理装置100は、続いて、その引き潮の状態において生じる最大潮位差が「危険潮位差(入船拒否潮位差)」を満たす、「危険潮位差」以上であるか否かを判断する(S803)。
【0115】
引き潮の状態において生じる最大潮位差が「危険潮位差(入船拒否潮位差)」を満たす「危険潮位差」以上である場合(S803でYES)、管理装置100は、入船に係る航行を拒否する「入船拒否」を設定する(S811)。それに対して、管理装置100は、引き潮の状態において生じる最大潮位差が「危険潮位差(入船拒否潮位差)」を満たさない、「危険潮位差」未満である場合(S803でNO)、続いて、潮汐情報に基づいて、高高潮から低低潮までの引き潮の状態にあるか否かを判断する(S804)。なお、この潮汐情報に基づく高高潮から低低潮までの引き潮の状態にあるか否かの判断処理は、必ずしも必要な構成ではなく、最大潮位差が「危険潮位差(入船拒否潮位差)」を高高潮から低低潮までの引き潮の状態と同義としてもよい。なお、
図6に示す潮位データは、これらを同義として場合について説明したものである。
【0116】
この判断処理によって、高高潮から低低潮までの引き潮の状態にあると判断する場合(S804でYES)、管理装置100は、入船に係る航行を拒否する「入船拒否」を設定する(S811)。また、高高潮から低低潮までの引き潮の状態にあると判断しない場合(S804でNO)、管理装置100は、続いて、低低潮の次の高潮から高低潮までにおける「引き潮」の状態であるか否かを判断する(S805)。
【0117】
管理装置100は、低低潮の次の高潮から高低潮までにおける「引き潮」の状態であると判断しない場合(S805でNO)、入船に係る航行を許可する「入船許可」を設定する(S810)。また、低低潮の次の高潮から高低潮までにおける「引き潮」の状態であると判断する場合(S805でYES)、管理装置100は、風況情報として、各観測位置の計測装置200から受信している風況情報として、「風速」や「風向」を読み出す(S806)。
【0118】
そして、管理装置100は、この読み出した風況情報「風速」や「風向」に基づく潮流成分、吹送流、平均流の各成分をもとに、上記に示すような(式1)の演算式によって入船予定時間における入船タイミングにおける潮流を算出する(S807)。続いて、管理装置100は、「算出した潮流(A)」と「予め指定された許容潮流(B)」とを比較する(S808)。
【0119】
「算出した潮流(A)」と「予め指定された許容潮流(B)」との比較により、「算出した潮流(A)」が「予め指定された許容潮流(B)」以上である場合であって、入船予定時間における入船タイミングにおいて入船が可能であると判断したか否かを判断する(S809)。これによって、入船予定時間における入船タイミングにおいて入船が可能であると判断する場合(S809でYES)、管理装置100は、入船に係る航行を許可する「入船許可」を設定する(S810)。これに対して、入船予定時間における入船タイミングにおいて入船が可能であると判断しない場合(S809でNO)、管理装置100は、入船に係る航行を拒否する「入船拒否」を設定する(S811)。
【0120】
なお、上記の処理において、S803における判断処理やS804における判断処理を、S807に示すような、潮流成分、吹送流、平均流の各成分をもとに入船タイミングにおける潮流を算出する処理を行う前に実行することによって、この潮流の算出に係る処理を最小限にすることができ、処理負荷を軽減することが可能となる。
【0121】
なお、このような処理順序に限られず、S803やS804における処理を、S809に示す、入船が可能であると判断したか否かの処理において入船が可能であると判断したことによって実行するような構成であってもよい。この場合、S807に示すような処理によって算出される潮流速に関わらず、潮汐による高潮と低潮とにおける潮位差が入船拒否潮位差を満たす引き潮であるときは入船に係る航行を拒否することとなる。
【0122】
以上に示す実施の形態は、本発明の実施の一形態であって、これらの実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。