(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に中間金型が型開閉方向に移動自在かつ回転可能に配設され、固定金型および中間金型、並びに可動金型および中間金型がそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締手段により型締が行われる射出成形機の制御方法において、
可動金型および中間金型の型開時の設定値並びに固定金型および中間金型の型開時の設定値、または可動金型および中間金型の型閉時の設定値並びに固定金型および中間金型の型閉時の設定値の少なくとも一方が一つの設定により自動的に設定可能であり、前記設定値によりそれぞれの型開閉手段の型開作動時または型閉作動時の値が演算され制御されることを特徴とする射出成形機の制御方法。
可動金型および中間金型の型開時の型開速度の設定値並びに固定金型および中間金型の型開時の型開速度の設定値、または可動金型および中間金型の型閉時の型閉速度の設定値並びに固定金型および中間金型の型閉時の型閉速度の設定値の少なくとも一方が一つの設定により自動的に設定可能であり、前記設定値によりそれぞれの型開閉手段の型開時の型開速度またはそれぞれの型開閉手段の型閉時の型閉速度が演算され制御されることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機の制御方法。
可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に中間金型が型開閉方向に移動自在かつ回転可能に配設され、固定金型および中間金型、並びに可動金型および中間金型がそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締手段により型締が行われる射出成形機の制御方法において、
可動金型および中間金型の型開量並びに固定金型および中間金型の型開量がそれぞれ別個に設定可能であり、可動金型および中間金型の型開時の型開速度並びに固定金型および中間金型の型開時の型開速度、または可動金型および中間金型の型閉時の型閉速度並びに固定金型および中間金型の型閉時の型閉速度の少なくとも一方が一つの設定により自動的に設定可能であり、前記設定値によりそれぞれの型開閉手段の型開作動時または型閉作動時の値が演算され制御されることを特徴とする射出成形機の制御方法。
可動金型および中間金型の高速型開時の型開速度並びに固定金型および中間金型の高速型開時の型開速度、または可動金型および中間金型の高速型閉時の型閉速度並びに固定金型および中間金型の高速型開閉時の型閉速度の少なくとも一方が同一の速度で移動制御されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の射出成形機の制御方法。
可動金型および中間金型の型開時間並びに固定金型および中間金型の型開時間、または可動金型および中間金型の型閉時間並びに固定金型および中間金型の型閉時間の少なくとも一方が、可動金型および中間金型の型開量並びに固定金型および中間金型の型開量が異なる場合であっても同一時間で移動制御されることを特徴とする請求項3に記載の射出成形機の制御方法。
可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が型開閉方向に移動自在かつ回転可能に配設され、固定金型および中間金型、可動金型および中間金型がそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締手段により型締が行われる射出成形機において、
可動金型および中間金型の型開時の設定値並びに固定金型および中間金型の型開時の設定値、または可動金型および中間金型の型閉時の設定値並びに固定金型および中間金型の型閉時の設定値の少なくとも一方が一つの設定により自動的に設定可能であり、前記設定値によりそれぞれの型開閉手段の型開作動時または型閉作動時の値が演算され制御されることを特徴とする射出成形機。
可動金型および中間金型の型開時の型開速度の設定値並びに固定金型および中間金型の型開時の型開速度の設定値、または可動金型および中間金型の型閉時の型閉速度の設定値並びに固定金型および中間金型の型閉時の型閉速度の設定値の少なくとも一方が一つの設定により自動的に設定可能であり、前記設定値によりそれぞれの型開閉手段の型開時の型開速度またはそれぞれの型開閉手段の型閉時の型閉速度が演算され制御されることを特徴とする請求項6に記載の射出成形機。
可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が型開閉方向に移動自在かつ回転可能に配設され、固定金型および中間金型、可動金型および中間金型がそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締手段により型締が行われる射出成形機において、
可動金型および中間金型の型開時の設定値並びに固定金型および中間金型の型開時の設定値、または可動金型および中間金型の型閉時の設定値並びに固定金型および中間金型の型閉時の設定値の少なくとも一方が一つの設定により設定可能であって前記設定により設定表示画面には同じ設定値が自動的に表示され、前記設定値によりそれぞれの型開閉手段の型開作動時または型閉作動時の値が演算され制御可能であるとともに、前記設定表示画面には別の設定値も入力可能であることを特徴とする射出成形機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1および特許文献2では、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に中間金型が型開閉方向に移動自在に配設され、固定金型および中間金型、並びに可動金型および中間金型がそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締手段により型締が行われる射出成形機において、それぞれの可動金型および中間金型を用いた成形に関する設定値並びに固定金型および中間金型を用いた成形に関する設定値をどのように入力するかは記載がされていない。そのためそれぞれの金型ごとに設定値を入力する場合、入力作業が煩雑になっていた。
【0007】
また特に前記の特許文献2のように一方の金型と他方の金型とで型開量を異なる状態とする場合、特許文献1のように型閉時に固定盤に対する移動盤の移動速度が、固定盤に対する回転盤の移動速度の2倍となっていると金型同士が衝突する可能性があるという問題があった。例えば回転盤と移動盤の間に回転盤の移動機構を備えたものにおいて、回転盤と移動盤の間の型開量の設定が最大であり固定盤と回転盤の間の型開量の設定が最小であって、固定盤と回転盤の間の型閉速度の設定と回転盤と移動盤の間の型閉速度の設定が同じ速度で同時に型閉制御を行うと回転盤に取付けられた金型が固定盤に取付けられた金型に衝突することも考えられる。
【0008】
そのため特許文献2のように一方の金型と他方の金型とで型開量を異なる状態とする場合も設定時にそれぞれ双方の金型の型開量とともに、双方の型開速度および型閉速度をそれぞれ個別に設定入力していた。そのため同様に型開速度および型閉速度の設定作業が煩雑になっていた。
【0009】
本発明では上記の問題を鑑みて、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に中間金型が型開閉方向に移動自在に配設され、固定金型および中間金型、並びに可動金型および中間金型がそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締手段により型締が行われる射出成形機において、可動金型および中間金型を用いた成形に関する設定値並びに固定金型および中間金型を用いた成形に関する設定値をそれぞれ設定する際に設定入力を簡略化することを可能とした射出成形機の制御方法および射出成形機を提供することを目的とする。
【0010】
また本発明では上記の問題を鑑みて、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に中間金型が型開閉方向に移動自在に配設され、固定金型および前記中間金型、並びに可動金型および中間金型がそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締手段により型締が行われる射出成形機において、一方の金型と他方の金型とで型開量を異なる状態に設定する場合であっても型開速度の設定を簡略化でき、なおかつ金型の衝突といった問題を回避できる射出成形機の制御方法および射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に記載の射出成形の制御方法は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に中間金型が型開閉方向に移動自在かつ回転可能に配設され、固定金型および中間金型、並びに可動金型および中間金型がそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締手段により型締が行われる射出成形機の制御方法において、可動金型および中間金型の型開時の設定値並びに固定金型および中間金型の型開時の設定値、または可動金型および中間金型の型閉時の設定値並びに固定金型および中間金型の型閉時の設定値の少なくとも一方が一つの設定により自動的に設定可能であり、前記設定値によりそれぞれの型開閉手段
の型開作動時または型閉作動時の値が演算され制御されることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2に記載の射出成形の制御方法は、請求項1において、可動金型および中間金型の型開時の型開速度の設定値並びに固定金型および中間金型の型開時の型開速度の設定値、または可動金型および中間金型の型閉時の型閉速度の設定値並びに固定金型および中間金型の型閉時の型閉速度の設定値の少なくとも一方が一つの設定により自動的に設定可能であり、前記設定値によりそれぞれの型開閉手段
の型開時の型開速度またはそれぞれの型開閉手段の型閉時の型閉速度が演算され制御されることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3に記載の射出成形機の制御方法は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に中間金型が型開閉方向に移動自在かつ回転可能に配設され、固定金型および中間金型、並びに可動金型および中間金型がそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締手段により型締が行われる射出成形機の制御方法において、可動金型および中間金型の型開量並びに固定金型および中間金型の型開量がそれぞれ別個に設定可能であり、可動金型および中間金型の型開時の型開速度並びに固定金型および中間金型の型開時の型開速度、または可動金型および中間金型の型閉時の型閉速度並びに固定金型および中間金型の型閉時の型閉速度の少なくとも一方が一つの設定により自動的に設定可能であり、前記設定値によりそれぞれの型開閉手段
の型開作動時または型閉作動時の値が演算され制御されることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項4に記載の射出成形機の制御方法は、
請求項2または
請求項3において、可動金型および中間金型の高速型開時の型開速度並びに固定金型および中間金型の高速型開時の型開速度、または可動金型および中間金型の高速型閉時の型閉速度並びに固定金型および中間金型の高速型開閉時の型閉速度の少なくとも一方が同一の速度で移動制御されることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項5に記載の射出成形機の制御方法は、
請求項3において、可動金型および中間金型の型開時間並びに固定金型および中間金型の型開時間、または可動金型および中間金型の型閉時間並びに固定金型および中間金型の型閉時間の少なくとも一方が、可動金型および中間金型の型開量並びに固定金型および中間金型の型開量が異なる場合であっても同一時間で移動制御されることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項6に記載の射出成形機は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が型開閉方向に移動自在かつ回転可能に配設され、固定金型および中間金型、可動金型および中間金型がそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締手段により型締が行われる射出成形機において、
可動金型および中間金型の型開時の設定値並びに固定金型および中間金型の型開時の設定値、または可動金型および中間金型の型閉時の設定値並びに固定金型および中間金型の型閉時の設定値の少なくとも一方が一つの設定により自動的に設定可能であり、前記設定値によりそれぞれの型開閉手段
の型開作動時または型閉作動時の値が演算され制御されることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項7に記載の射出成形機は、
請求項6において、可動金型および中間金型の型開時の型開速度の設定値並びに固定金型および中間金型の型開時の型開速度の設定値、または可動金型および中間金型の型閉時の型閉速度の設定値並びに固定金型および中間金型の型閉時の型閉速度の設定値の少なくとも一方が一つの設定により自動的に設定可能であり、前記設定値によりそれぞれの型開閉手段
の型開時の型開速度またはそれぞれの型開閉手段の型閉時の型閉速度が演算され制御されることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項8に記載の射出成形機は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が型開閉方向に移動自在かつ回転可能に配設され、固定金型および中間金型、可動金型および中間金型がそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締手段により型締が行われる射出成形機において、可動金型および中間金型の型開時の設定値並びに固定金型および中間金型の型開時の設定値、または可動金型および中間金型の型閉時の設定値並びに固定金型および中間金型の型閉時の設定値の少なくとも一方が一つの設定により設定可能であって前記設定により設定表示画面には同じ設定値が自動的に表示され、前記設定値によりそれぞれの型開閉手段
の型開作動時または型閉作動時の値が制御可能であるとともに、前記設定表示画面には別の設定値も入力可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の射出成形機の制御方法は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に中間金型が型開閉方向に移動自在かつ回転可能に配設され、固定金型および中間金型、並びに可動金型および中間金型がそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締手段により型締が行われる射出成形機の制御方法において、可動金型および中間金型の型開時の設定値並びに固定金型および中間金型の型開時の設定値、または可動金型および中間金型の型閉時の設定値並びに固定金型および中間金型の型閉時の設定値の少なくとも一方が一つの設定により自動的に設定可能であり、前記設定値によりそれぞれの型開閉手段
の型開作動時または型閉作動時の値が演算され制御されるので、設定を簡略化することができる。更に本発明の射出成形機の制御方法は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に中間金型が型開閉方向に移動自在かつ回転可能に配設され、固定金型および中間金型、並びに可動金型および中間金型がそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締手段により型締が行われる射出成形機の制御方法において、可動金型および中間金型の型開量並びに固定金型および中間金型の型開量がそれぞれ別個に設定可能であり、可動金型および中間金型の型開時の型開速度並びに固定金型および中間金型の型開時の型開速度、または可動金型および中間金型の型閉時の型閉速度並びに固定金型および中間金型の型閉時の型閉速度の少なくとも一方が一つの設定により自動的に設定可能であり、前記設定値によりそれぞれの型開閉手段
の型開作動時または型閉作動時の値が演算され制御されるので、型開速度または型閉速度の設定を簡略化できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態の射出成形機11について、
図1、
図2を参照して説明する。射出成形機11は、2種類の材料を用いた複合成形品用の射出成形機である。ベッド12の上面には型締装置13が配置されている。型締装置13は、可動金型14が取付けられる可動盤15と固定金型16が取付けられる固定盤17との間に、中間金型18,18が型開閉方向に移動自在に配設され、前記固定金型16および前記中間金型18、並びに前記可動金型14および中間金型18がそれぞれ型開閉手段19,20により型閉されてそれぞれキャビティC1,C2が形成され、型締手段21により型締が行われる。
【0022】
前記固定盤17の四隅近傍には型締手段21の型締シリンダ22が設けられ、型締シリンダ22のロッドがタイバ23となっている。そしてタイバ23は、固定盤17に対して型開閉方向に移動可能な可動盤15と、固定盤17と可動盤15の間にあって型開閉方向に移動可能な中間部材25にも挿通されている。型締シリンダ22は油圧により作動され、タンク26に接続して設けられたポンプ27から切換弁28を介して型締シリンダ22の型締側油室29aまたは型開側油室29bに作動油が供給されるようになっている。なお型締手段については
図1のような型締シリンダ22に限定されない。また可動盤15には可動金型14が取付けられ、可動盤15の外側面のタイバ23の挿通部分の近傍にはハーフナット34が設けられている。そしてハーフナット34は図示しない駆動手段により進退移動可能であり、タイバ23に設けられた係止部35に係止されるようになっている。中間部材25にはその一部である回転盤30が回転可能に取付けられ、回転盤30の両面にはそれぞれ中間金型18,18が取付けられる。
【0023】
また射出成形機11は可動盤15(可動金型14を含む)を型開閉方向に移動させる可動盤の型開閉手段19と、中間部材25(回転盤30および中間金型18,18を含む)を型開閉方向に移動させる中間部材の型開閉手段20が設けられている。可動盤の型開閉手段19(可動金型の型開閉手段)は、ベッド12上に固定されたサーボモータ37(M1)の駆動軸とベッド12上に軸支されたボールねじ軸38とがベルト39等を介して連結されている。またサーボモータ37は回転角度を検出するロータリエンコーダ40が設けられている。可動盤15の側面のブラケットにはボールねじナット41が固定され、ボールねじナット41にボールねじ軸38が挿入されている。またサーボモータ37は、サーボアンプ42を介して射出成形機11全体を統括する制御装置33に接続されている。
図1,
図2では1基の可動盤の型開閉手段19しか図示されていないが、一般的には2基〜4基の可動盤の型開閉手段19が設けられる。
【0024】
可動盤15と中間部材25の間を型開閉する中間部材の型開閉手段20(中間金型の型開開閉手段)については、可動盤15の側面のブラケットにサーボモータ43(M2)が固定され、中間部材25にボールねじナット44が固定され、前記ボールねじナット44に挿通されるボールねじ軸45が、サーボモータ43の駆動軸と連結されている。そしてサーボモータ43についてもサーボモータ37と同様にロータリエンコーダ47が設けられている。またサーボモータ43は、サーボアンプ48を介して射出成形機11全体を統括する制御装置33に接続されている。
図1,
図2では1基の中間部材の型開閉手段20しか図示されていないが、一般的には2基〜4基の中間部材の型開閉手段20が設けられる。なおサーボモータ37とボールねじ軸38、サーボモータ43とボールねじ軸45の連結方法は上記に限定されない。また可動盤の型開閉手段19および中間部材の型開閉手段20は上記の機構に限定されず、異なる電動駆動機構を用いたものや油圧シリンダを用いたものでもよい。更に可動盤の型開閉手段19および中間部材の型開閉手段20の制御に用いられる位置センサは、リニアセンサ等でもよい。
【0025】
固定盤17の外側のベッド12上には第1の射出装置49が設けられ、可動盤15の外側には可動盤15とともに移動する第2の射出装置50が設けられている。射出装置49,50の配置はこれに限定されない。本実施形態では中間金型18,18には図示しないエジェクタ装置が取付けられている。そして固定金型16と中間金型18が型開きされた際に、その間に取出機46が侵入して成形が終了した複合成形品Pを取出し可能となっている。ただしエジェクタ装置の取付けられる金型も固定金型16や可動金型14であってもよい。
【0026】
操作側(
図1においては下側)のベッド12の上には操作盤31が設けられている。操作盤31にはタッチパネル式の設定表示画面が設けられ、射出設定表示画面、型締設定表示画面、型開閉設定表示画面36等、制御装置33に格納されている多数の設定表示画面が選択的に表示可能となっている。そして
図3に示されるように型開閉設定表示画面36は、型開量設定表示部51と型閉制御設定表示部52と型開制御設定表示部53を備えている。なお実際には型開閉設定表示画面36は最大型開量(型開閉ストローク)など他の要素の設定または表示も可能となっている場合が殆どであるが、ここでは発明に関連する部分のみを表示したものを図示する。また各表示部の配置関係も図示のものに限定されない。
【0027】
次に射出成形機11の制御方法、とりわけ可動金型14および中間金型18の型開閉制御項目の設定方法と作動方法について、
図3に示される型開閉設定表示画面36、
図4および
図5の型開閉時の速度等を示す図により説明する。本発明では、可動金型14および中間金型18の型開量B(型開量B)並びに固定金型16および中間金型18の型開量A(型開量A)がそれぞれ別個に設定可能であり、可動金型および中間金型の型開時の型開速度と固定金型および中間金型の型開時の型開速度、または可動金型および中間金型の型閉時の型閉速度b1,b2と固定金型および中間金型の型閉時の型閉速度a1、a2の少なくとも一方が一つの設定により設定可能となっている。
【0028】
より具体的には
図3において中央部分左側に型開量Aの設定欄51aが設けられ、固定金型と中間金型を型開きした際の型開量Aが入力可能となっている。また
図3において中央部分右側に型開量Bの設定欄51bが設けられ、中間金型と可動金型の型開量Bが入力可能となっている。ここにおいて型開量とは、型閉完了位置を0として型開完了位置を示すものであり、換言すれば型開完了時の金型間の距離を示すものである。これらの型開量Aの設定欄51aと型開量Bの設定欄51bへは、それぞれ別の数値が入力可能であり、異なる型開量A,Bの設定が可能となっている。ただし型開量A,Bの最小値は、型開時に中間金型18が回転可能であることにより制限を受けることは自明である。またそれぞれの型開量A,Bの最大値は、型開閉手段19,20のボールねじ軸38.45の最大ストロークにより制限を受けることも自明である。これらの設定値について制限値を超えた数値が入力された場合、入力不可能とするかエラーメッセージを表示することが望ましい。
【0029】
型開量設定表示部51の型開量Aの設定欄51aと型開量Bの設定欄51bの上側には、型閉時の速度を設定および表示する型閉制御設定表示部52が設けられている。型閉制御設定表示部52は高速型閉と低速型閉の型閉速度が最大速度を100としての比率(パーセント)で設定可能となっており、また制御の切換位置も設定可能となっている。本実施形態では上記の型閉速度は、一つの設定値が固定金型16と中間金型18の型開量Aを型閉する際の型閉速度aと中間金型18と可動金型14の型開量Bを型閉する際の型閉速度bの双方に適用されるようになっている。そのため一つの設定で固定金型16と中間金型18の型閉時の型閉速度aと中間金型18と可動金型14の型閉時の型閉速度bの双方の設定ができる。またより詳しくは、
図4に示されるように型開量Aと型開量Bの高速型閉時の速度a1,b1がそれぞれ同じ速度で移動制御され、低速型閉時の速度a2,b2もそれぞれ同じ速度で移動制御される。なお型閉速度を入力する段数や入力方法などは一例であって図示のものに限定されない。ただし少なくとも高速型閉時の過半の部分の速度a1,b1が同じ速度であることが望ましい。
【0030】
この型閉制御設定表示部52における型閉速度の設定値は、固定金型16と中間金型18からなる成形金型または中間金型18と可動金型14からなる成形金型のそれぞれの成形金型の型閉時の距離の変化を示す相対的な速度である。従って可動盤の型開閉手段19のサーボモータ37により直接検出される固定盤17(又はベッド12)に対する可動盤15の移動速度(絶対速度)や、中間部材の型開閉手段20のサーボモータ43により直接検出される可動盤15に対する中間部材25の移動速度(絶対速度)ではない。
図5に示されるように中間部材の型開閉手段20のサーボモータ43により直接検出される可動盤15に対する中間部材25の型閉速度d(絶対速度)は、可動盤の型開閉手段19のサーボモータ37により直接検出される固定盤17に対する可動盤15の型閉速度c(絶対速度)の半分の速度となっている。また可動盤15に対する中間部材25の型閉速度dのうち高速型閉速度d1(絶対速度)および低速型閉速度d2(絶対速度)もまた、固定盤17に対する可動盤15の高速型閉速度c1(絶対速度)および低速型閉速度(絶対速度)のそれぞれ半分の速度となっている。
【0031】
従って固定金型16と中間金型18の間の型開量Aのほうが中間金型18と可動金型14の型開量Bよりも大きい場合、型開量Aを型閉する際の型閉時間t1と型開量Bを型閉する際の型閉時間t2では必要とする時間が相違する。より詳しくは、可動盤の型開閉手段19のサーボモータ37による可動盤15に対する中間部材25の型閉移動(高速型閉移動)が開始されてから所定時間t3が経過後に、中間部材の型開閉手段20のサーボモータ43による可動盤15に対する中間部材25の型閉移動(高速型閉移動)が開始される。そして前記サーボモータ43とサーボモータ37はほぼ同一かまたは同一のタイミングで最高速度に到達して高速型閉制御され、ほぼ同一かまたは同一のタイミングで低速型閉制御に切換えられる。そのため
図4に示されるように型開量Aと型開量Bではほぼ同一か同一の相対的な低速の型閉速度a2,b2により型閉制御を行うことができる。そして型開量Aの型閉速度a1,a2と型開量Bの型閉速度b1,b2はそれぞれ同じ速度であり、ほぼ同一かまたは同一のタイミングで低速に切り換えられるので、型閉時に固定金型16に向けて中間金型18が高速で衝突することがない。
【0032】
また型閉制御設定表示部52の制御の切換位置の入力欄が型開量Aと型開量Bの入力値が共用されるのに対して型開量Aと型開量Bのストロークが相違する場合、本実施形態では型閉スタート側から最初の切換位置までの高速型閉制御の部分の距離を型開量Aと型開量Bで自動的に相違させる対応がなされる。しかし前記対応に替えて、ストロークの長いほうの低速部分を除く各部分の設定距離を伸ばすなど別の方式を採用してもよい。
【0033】
型開量設定表示部51の前記型開量Aの設定欄51aと型開量Bの設定欄51bの下側には、型開時の速度を設定および表示する型開制御設定表示部53が設けられている。型開制御設定表示部53については、型閉制御設定表示部52と同様に高速型開と低速型開の型開速度が最大速度を100としての比率(パーセント)で設定可能となっており、その切換位置も設定可能となっている。本実施形態では上記の型開速度および切換位置は、一つの設定値が固定金型16と中間金型18の型開量Aの型開速度と中間金型18と可動金型14の型開量Bの型開速度の双方に適用されるようになっている。従って本実施形態では上記の型開速度は、型開制御設定表示部53に入力される一つの設定値が固定金型16と中間金型18の型開量Aの型開時の型開速度と中間金型18と可動金型14の型開量Bの型開時の型開速度の双方に適用されるようになっている。
【0034】
固定金型16と中間金型18の型開量Aの型開速度(相対速度)および中間金型18と可動金型14の型開量Bの型開時の型開速度(相対速度)と固定盤17に対する可動盤15の型開時の型開速度(絶対速度)および可動盤15に対する中間部材25の型開時の型開速度(絶対速度)の関係については、上記の型閉速度についての説明した関係と同じである。即ち双方の成形金型の型開時の相対速度は同じであっても、型開時の固定盤17に対する可動盤15の移動速度(絶対速度)は、可動盤15に対する中間部材25の移動速度(絶対速度)の2倍の関係にとなる。
【0035】
ただし型閉時の制御と型開時の制御では次の点が相違する。即ち型閉時には型開量(型閉時の相対的な移動距離)が長いほうの成形金型の型閉作動を先に開始し、短いほうの成形金型の型閉作動を後に開始することにより低速型閉のタイミングを一致させるのに対して、型開時は同時に成形金型の型開きを開始して低速型開のタイミングを一致させる点が相違している。そして双方の成形金型は同じ速度で低速型開作動を行いほぼ同一または同一のタイミングで高速型開作動に移行する。従って中間部材25と可動盤15の高速型開作動が同時に開始されるので、金型同士が衝突する危険が無くなる。そして上記のように双方の成形金型の高速型開速度(相対速度)は同じ速度であるので、型開量(型開時の相対的な移動距離)の短いほうの成形金型の型開が先に終了し、所定時間が経過してから型開量の長いほうの成形金型の型開きが終了する。
【0036】
また型開制御設定表示部53の制御の切換位置の入力欄が型開量Aと型開量Bの入力値が共用されるのに対して型開量Aと型開量Bの値が相違する場合、最後の切換位置から行われる高速設定の距離を型開量Aと型開量Bで自動的に相違させることにより対応がなされる。なお前記対応については別の方式を採用してもよい。
【0037】
そして本実施形態では
図1に示されるようにストロークBよりも大きく型開きされたストロークAの空間に取出機46が挿入される。そして一例として中間金型18に張り付いて離型された複合成形品Pがエジェクタにより突き出され、取出機46により保持されて搬出される。このように射出成形機11の一方のみの成形金型の型開量を大きく開くことにより、射出成形機11の全体の型開閉ストロークが過大となることを抑制しつつ、金型から抜き取る際にスペースが必要となる型開閉方向の長さの長い深物成形品の取出しが容易になる。または次の成形のために金型にインサート部材を挿入する場合であっても対応が容易になるなどのメリットがある。
【0038】
なお本発明は、可動金型14および中間金型18の型開時間と固定金型16および中間金型18の型開時間、または可動金型14および中間金型18の型閉時間と固定金型16および中間金型18の型閉時間の少なくとも一方が、可動金型14および中間金型18の型開量Bと固定金型16および中間金型18の型開量Aとが異なる場合であっても同一時間t4、t5で移動制御されるものでもよい。その場合は
図6に示されるように型開量が大きい側の型開量(ここでは型開量A)の成形金型の型開閉速度e(相対速度)に対して型開量が小さい側の型開量(ここでは型開量B)の成形金型の型開閉速度f(相対速度)のほうが相対的に低速となっている。なおこれらの場合も高速型閉および高速型開時の速度e1,f2は差を設けても低速型閉時および低速型開時の速度e2,f2は共通させておくことが望ましい。また高速型閉から低速型閉への切換時間も共通させておくことが望ましい。そして前記の場合、可動盤の型開閉手段19と中間部材の型開閉手段20の高速型開閉時の絶対的な移動速度は、2倍ではなく、(型開量Aの高速型開閉距離/型開量Aの高速型開閉移動速度)=(型開量Bの高速型開閉距離/型開量Bの高速型開閉移動速度)となるように制御が行われる。
【0039】
次に第2の実施形態の射出成形機について
図9を参照して説明する。第2の実施形態に使用される射出成形機は、制御装置の一部機能と設定表示画面を除いては、
図1の射出成形機11と同様のものが用いられる。型開閉設定表示画面101は、型閉制御設定表示部102、型開制御設定表示部103、金型保護設定表示部104、および強力型開設定表示部105、型開完了位置表示部106を備えている。なお実際には型開閉設定表示画面101は他の要素の設定または表示も可能となっている場合が殆どであるが、ここでは発明に関連する部分のみを図示して説明する。
【0040】
そして第2の実施形態の射出成形機は、型開閉設定表示画面101のウインドウから入力を行うことにより、可動金型14と中間金型18を用いた成形に関する設定値と固定金型16と中間金型18を用いた成形に関する設定値の双方が一つの設定により設定可能となっている。具体的には、
図3に記載された例と同様に型閉制御設定表示部102のウインドウから設定入力された型閉速度は、一つの設定値が固定金型16および中間金型18の型開閉ストロークAを型閉する際の型閉速度a並びに中間金型18および可動金型14の型開閉ストロークBを型閉する際の型閉速度bの双方に適用されるようになっている。また同様にその速度の切換位置も一つのウインドウから設定入力した値が、型開閉ストロークAと型開閉ストロークBの双方に適用されるようになっている。そのため一つの設定・入力で固定金型16および中間金型18の型閉時の型閉速度a並びに中間金型18および可動金型14の型閉時の型閉速度bの双方の設定ができる。またこの際に双方の成形金型の型閉時の型閉速度a,bは、対向する金型間の型移動に関する相対速度である。そのため型閉時の固定盤17に対する可動盤15の移動速度(絶対速度)は、可動盤15に対する中間部材25の移動速度(絶対速度)の2倍の関係になっているがこの点も
図5の例と同じである。
【0041】
次に金型保護設定表示部104と金型保護制御の設定値の入力(設定)について説明する。金型保護設定表示部104のウインドウでは、固定金型16および中間金型18を型閉する際の金型保護の設定値並びに中間金型18および可動金型14を型閉する金型保護の設定値の双方が入力可能となっている。金型保護の設定値には、金型保護力、金型保護開始位置(金型保護ストローク)、金型保護の検知時間が設定可能となっている。そして金型保護設定表示部104のこれらの設定表示ウインドウは、当初にいずれか一方のウインドウ(例えば金型保護A)を入力すると他方のウインドウ(例えば金型保護B)にも同じ値が自動的に表示され、同じ設定値が設定されるようになっている。ただし成形金型によっては、固定金型16と中間金型18を型閉する際の金型保護の設定値と、中間金型18と可動金型14を型閉する金型保護の設定値はそれぞれ異ならせる必要がある場合もある。その場合に備えて金型ごとに別の金型保護の設定値を入力する機能も備えている。具体的には連続して一方のウインドウと他方のウインドウから金型保護の値を連続して入力した場合は別の値に設定できるようにしてもよいし、別の欄に「金型保護値個別入力」等の釦を設け、別の値を入力可能としてもよい。
【0042】
また型開閉設定表示画面101の型開制御設定表示部103のウインドウからの設定は、型閉制御設定表示部102のウインドウからの設定と基本的には同じであって可動金型14と中間金型18を用いた成形に関する設定値と固定金型16と中間金型18を用いた成形に関する設定値の双方が一つの設定により設定可能となっている。即ち型開制御設定表示部103のウインドウから入力した型開速度は、一つの設定値が固定金型16および中間金型18の型開量Aを型開する際の型開速度a並びに中間金型18および可動金型14の型開量Bを型開する際の型開速度の双方に適用されるようになっている。また同様に型開制御設定表示部103のウインドウから入力した速度の切換位置もまた双方に適用されるようになっている。また各速度の切換位置から各区間を合算した値が型開完了位置として型開完了位置表示部106のウインドウに表示されるようになっている。
【0043】
次に強力型開設定表示部105と金型保護の設定値の入力(設定)とについて説明する。強力型開設定表示部105では、固定金型16および中間金型18を型開き時の最初に離型を行う際の強力型開制御の設定値並びに中間金型18および可動金型14を型開き時の最初に離型を行う際の強力型開制御の設定値の双方が入力可能となっている。強力型開設定表示部105のウインドウから入力する設定値には、速度、型開力、位置(強力型開ストローク)がある。そしてこれらの値は、当初にいずれか一方の強力型開Aのウインドウを入力すると他方の強力型開Bのウインドウにも同じ値が自動的に入力され、双方が同じ設定がされるようになっている。なお本実施形態の射出成形機11において固定金型16と中間金型18の間の強力型開制御は、型締シリンダ22を使用して行われる。また可動金型14と中間金型18の間の強力型開制御は、可動盤15の型開閉手段19のサーボモータ37を使用して行われる。従って速度、型開力といった入力値は、それぞれのアクチュエータが前記値を発揮できるように演算され制御される。
【0044】
また成形金型の種類によっては、固定金型16および中間金型18を型開きする際の強力型開制御の設定値と、中間金型18および可動金型14を型開きする際の強力型開制御の設定値とを相違させる必要がある場合もある。その場合に備えて型開閉設定表示画面101は、固定金型16と中間金型18の間と、可動金型14と中間金型18の間で別の強力型開の設定値を入力する機能も備えている。具体的な入力手段は金型保護制御の場合と同様に種々考えられる。なお強力型開制御の位置(強力型開ストローク)は、それぞれの金型で同一に設定すれば、低速区間と高速区間の型開量も同一量に設定しやくなるので、制御上はそれぞれの金型で同一設定とすることが望ましい。なお強力型開とは、可動盤の型開閉手段19以外の型締シリンダ22や中間部材の一例として4基の型開閉手段20を用いて離型とその後に一定距離の型開を行う制御である。従って本実施形態では、一度の強力型開の設定入力値により、型締シリンダ22の強力型開ストロークと型開閉手段20の強力型開ストロークが同じ値に設定される。
【0045】
しかし可動金型14および中間金型18の強力型開ストロークと固定金型16および中間金型18の強力型開ストロークを相違させたい場合も考えられる。その際は可動金型14および中間金型18の間の型開ストロークBの高速および低速の型開速度と固定金型16および中間金型18の型開ストロークAの高速および低速の型開速度を変更して金型を移動させ、それぞれの金型を同時に同じ型開量A,Bの型開完了位置に移動させることが望ましい。ただし強力型開後に同一の型開速度で同一の型開ストロークだけ移動させ、型開完了位置において型開量Aと型開量Bが相違するようにしてもよい。
【0046】
また可動金型14および中間金型18からなる成形金型と、固定金型16および中間金型18とからなる成形金型の双方のコア作動、エア作動、金型加熱作動についても一つの設定により行うようにしてもよい。これらの金型機構の作動開始は、型開閉制御時の中間金型18または可動金型14の位置に連動していずれか一方を入力し、双方が同じ位置で作動されるようにしてもよい。また型閉開始または型開開始からの時間(タイマ)によりいずれか一方を入力し、双方が同時に作動されるようにしてもよい。
【0047】
また可動金型14と中間金型18を用いた成形に関する設定値と固定金型16と中間金型18を用いた成形に関する設定値については、射出側の設定値も含まれる。一例として、型締シリンダ22が所定値まで昇圧されて型締完了となってから、射出装置49,50が射出開始されるまでの射出遅延時間について、設定表示画面にて一つの設定により双方の射出装置49,50の射出遅延時間が変更されるようにする。この際、射出装置49、射出装置50でそれぞれ設定入力部を設け、一方の射出装置49の設定入力部の値を変更すると他方の射出装置50の設定入力部の値も変更されるようにしてもよい。また射出遅延の設定入力部は一つとしてもよい。更には型締装置の型締完了からの射出遅延時間を射出装置49と射出装置50で相違させる場合も一方の射出装置49の射出遅延の設定入力値に所定値を加算または減算して他方の射出装置50の設定値が設定されるようにしてもよい。これらは射出圧縮成形の場合も同様に適用される。
【0048】
また射出装置49,50側の設定入力に関しては前記以外に、ノズルタッチ力、計量時間、パージ時間およびパージ回数、停止状態(ヒータOFF状態)から昇温する際の射出装置49,50間のヒータ通電開始時間の差なども固定金型16および中間金型18の成形に関する射出装置49の設定値、並びに中間金型18および可動金型14の成形に関する射出装置50の設定値の双方が一つの設定により設定可能となっているものでもよい。
【0049】
次に射出成形機11に固定金型16Aと中間金型18Aからなる成形金型A1と、中間金型18Bと可動金型14Bからなる成形金型B1が同一の金型を用いて行う射出成形方法の例について
図10を参照して説明する。この射出成形方法の場合、回転盤30および中間金型18A,18Bは成形のたびに回転させない。そして中間金型18Aは常に固定金型16Aと型閉されて成形金型A1のキャビティC1Aを形成する。また中間金型18Bは常に可動金型14Bと型閉されて成形金型B1のキャビティC1Bを形成し、それぞれのキャビティC1A,C1Bでは同一の成形品が成形される。このケースにおいて一方の成形金型A1または成形金型B1のコア作動、エジェクタ作動、バルブゲート作動の作動のタイミング(タイマ)や移動距離、冷却時間などを操作盤31の設定表示画面から設定入力することにより、他方の成形金型B1または成形金型A1の設定も同時に行われるようにする。または操作盤31の設定表示画面の同一成形品成形用の1個の設定入力部を設け、前記設定入力部から1回設定入力を行うと、成形金型A1と成形金型B1に対して同時に設定が行われるようにしてもよい。
【0050】
射出成形機11を使用し、同一の成形金型A1と同一の成形金型B2を使用し、回転盤30を回転させずに同一の成形品PAと成形品PBをそれぞれ別個に成形する場合において、射出装置A2と射出装置B2も同一のスペックのものであれば、操作盤31から一方の射出装置A2または射出装置B2への成形条件の設定を行えば、他方の射出装置B2または射出装置A2も同時に設定が行われるようにしてもよい。または操作盤31の設定表示画面の同一成形品成形用の1個の設定入力部を設け、前記設定入力部から設定入力を行うと、射出装置A2と射出装置B2に対して同時に設定が行われるようにしてもよい。これらの同一の成形金型A1,B1または射出装置A2,B2を使用する場合、成形金型A1,B2または射出装置A2,B2には微差が存在する場合も多い。従って最初に同時に設定を行ってから、成形品PA,PBの状態等を見て、後から少なくとも一方の条件値を微修正できるようにすることが望ましい。
【0051】
また回転盤30および中間金型18A,18Bは成形のたびに回転させない射出成形方法において、固定金型16Aと中間金型18Aからなる成形金型A1と、中間金型18Bと可動金型14Bからなる成形金型B1が異なる金型を用いる場合も考えられる。これらの成形金型A1、B1で別の成形品を成形する場合であっても一般的には型締完了時間は同じであるので、冷却時間は共通する。従って操作盤31の設定表示画面から一方の成形金型A1の冷却時間の設定・入力を行えば、他方の成形品B1も連動して同じ時間か近似する時間に設定される。
【0052】
また本発明に用いられる射出成形機については、
図7および
図8のような型開閉手段の配置の射出成形機61,71でもよい。
図7の射出成形機61は、固定盤62(またはベース)と中間部材63の間に中間部材の型開閉手段64(電動機構または油圧機構)が取付けられており、固定盤62(またはベース)と可動盤65の間に可動盤の型開閉手段66(電動機構または油圧機構)が取付けられているので、中間部材63の移動速度、可動盤65の移動速度はそれぞれ固定盤62(またはベース)に対する速度として検出可能であり、型開閉制御の点に限れば
図1および
図2のものよりも制御が単純化できる可能性がある。
【0053】
また
図8の射出成形機71は、固定盤72(またはベース)と中間部材73の間に第1の型開閉手段74が取付けられており、中間部材73と可動盤75の間に第2の型開閉手段76が取付けられている。従って可動盤75は第1と第2の2つの型開閉手段74,76により移動されるものである。従って
図8の射出成形機71についても第1の型開閉手段74と第2の型開閉手段76の移動量と移動速度がそのまま成形金型の移動量と移動速度となるので型開閉制御の点に限れば制御が単純化できる可能性がある。これら射出成形機61,71のケースでも可動金型69,79および中間金型68,78の型開量と固定金型67,77および中間金型68,78の型開量とがそれぞれ別個に設定可能であり、可動金型69,79および中間金型68,78からなる成形金型の型開速度と固定金型67,77および中間金型68,78からなる成形金型の型開速度、または可動金型69,79および中間金型68,78からなる成形金型の型閉速度と固定金型67,77および中間金型68,
78からなる成形金型の型閉速度の少なくとも一方が一つの設定により設定可能となっている。また
図8の射出成形機71の変形例として、回転可能な中間部材73と中間金型78は、型開閉方向に固定されているかまたは僅かにしか移動できないようになっており、中間部材73の両側にそれぞれ設けられた第1の可動盤と第2の可動盤が中間部材73に向けて型開閉方向に移動されるものでもよい。
【0054】
また上記の実施形態では、中間金型18は、中間部材25に取付けられた回転盤30の両面に取付けられている。しかし回転盤の4面にそれぞれ中間金型が取付けられたものでもよい。また
図1、
図7、
図8の射出成形機11,61,71において、中間部材に回転盤は設けられておらず、ベース上を型開閉方向に移動可能な回転台の上に中間金型が直接取付けられるものでもよい。その場合、中間部材である回転台に型開閉手段が取付けられる。
【0055】
本発明については、一々列挙はしないが実施形態のものに限定されず、上記の各記載を組み合わせたものや当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものについても、適用されることは言うまでもないことである。