(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接地線における前記弾性外被の外側に延在した部分は、被覆部材によって被覆されており、前記被覆部材の少なくとも一部は前記接地線から剥離可能となっている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のケーブル被覆具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に示された端末処理部材では、挿入された電力ケーブルの遮蔽層と接地部材とが良好に接触しない虞があり、さらなる改良の余地があった。
【0006】
本発明は、現場での作業性を向上させながら、電力ケーブルの遮蔽層と接地部材との接続の安定性を向上させたケーブル被覆具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係るケーブル被覆具は、電力ケーブルの端部又は接続部を被覆するケーブル被覆具であって、導電性を有し、少なくとも電力ケーブルの被覆時において、電力ケーブルにおける遮蔽層を周方向に覆い、遮蔽層に電気的に接続される接触部材と、導電性を有した湾曲した板体によって構成され、接触部材を外周側から保持する保持部材と、保持部材を外周側から覆うように設けられる筒状の弾性外被と、保持部材に接続され、弾性外被の外側まで延在する接地線とを備える。
【0008】
別の形態に係るケーブル被覆具において、接触部材は、筒状をなすとともに、軸方向における中央側の領域が軸方向における両端に比して径方向内側へ向って湾曲し、接触部材には、軸方向に沿って延びる長孔が周方向に複数形成され、保持部材は、少なくとも電力ケーブルの被覆時において、接触部材を押圧してもよい。
【0009】
別の形態に係るケーブル被覆具において、接地線の少なくとも一部は、弾性外被に埋設されていてもよい。
【0010】
別の形態に係るケーブル被覆具において、接地線の少なくとも一部は、弾性外被の内側において防水部材によって囲まれていてもよい。
【0011】
別の形態に係るケーブル被覆具において、防水部材はパテ材であってもよい。
【0012】
別の形態に係るケーブル被覆具において、接触部材は筒状をなし、接触部材の周方向における所定の位置には、軸方向における一端から他端にわたって延びるスリットが形成され、無負荷の状態において、保持部材は、スリットを覆うとともに接触部材の少なくとも一部と重なっており、接地線は、保持部材における接触部材と重なっている位置に接続されていてもよい。
【0013】
別の形態に係るケーブル被覆具において、弾性外被は、常温収縮チューブであり、内側に配置された拡径部材によって拡径され、接触部材及び保持部材は、弾性外被と拡径部材との間に配置されていてもよい。
【0014】
別の形態に係るケーブル被覆具において、保持部材には、当該保持部材の周方向の端部から延在する延長部材が設けられていてもよい。
【0015】
別の形態に係るケーブル被覆具において、接地線における弾性外被の外側に延在した部分は、被覆部材によって被覆されており、被覆部材の少なくとも一部は接地線から剥離可能となっていてもよい。
【0016】
本発明の一形態に係るケーブル端末部の被覆方法は、電力ケーブルの端末部の被覆を処理する工程、上述のケーブル被覆具に端末部の被覆を処理した電力ケーブルを差し込む工程、ケーブル被覆具に差し込まれた電力ケーブルに圧縮端子を固定する工程、及び、接地線を接地用電線に取り付ける工程を有する。
【0017】
別の形態に係るケーブル端末部の被覆方法は、電力ケーブルの端末部の被覆を処理する工程、拡径部材を備えた上述のケーブル被覆具に端末部の被覆を処理した電力ケーブルを挿通し、ケーブル被覆具内における電力ケーブルの位置決めをした状態で拡径部材を除去して弾性外被を収縮させる工程、電力ケーブルに圧縮端子を固定する工程、及び、接地線を接地用電線に取り付ける工程を有する。
【0018】
本発明の一形態に係るケーブル接続部の被覆方法は、2本の電力ケーブルの端末部の被覆を処理する工程、拡径部材を備えた上述のケーブル被覆具に端末部の被覆を処理した一方の電力ケーブルを挿通する工程、接続部材を用いて端末部の被覆を処理した他方の電力ケーブルと接続する工程、ケーブル被覆具内において接続された2本の電力ケーブルの位置決めをした状態で拡径部材を除去して弾性外被を収縮させる工程、及び、接地線を接地用電線に取り付ける工程を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、現場での作業性を向上させながら、電力ケーブルの遮蔽層と接地部材との接続の安定性を向上させたケーブル被覆具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一形態に係るケーブル被覆具は、電力ケーブルの端部又は接続部を被覆するケーブル被覆具であって、導電性を有し、少なくとも電力ケーブルの被覆時において、電力ケーブルにおける遮蔽層を周方向に覆い、遮蔽層に電気的に接続される接触部材と、導電性を有した湾曲した板体によって構成され、接触部材を外周側から保持する保持部材と、保持部材を外周側から覆うように設けられる筒状の弾性外被と、保持部材に接続され、弾性外被の外側まで延在する接地線とを備える。
【0022】
このような形態によれば、遮蔽層を周方向に覆う接触部材を備えることで、遮蔽層と接触部材とが電気的に接続され、接触部材を外周側から保持する保持部材を備えることで、接触部材と保持部材とが電気的に接続される。この際、保持部材は湾曲した板体によって構成されているため、接触部材の外周を覆うように保持することができる。さらに、保持部材の外周側に設けられる弾性外被によって接触部材及び保持部材が覆われることで、電力ケーブルの遮蔽層と接地部材との接続の安定性が向上する。また、接地部がケーブル被覆具に一体的に内蔵されているため、ケーブル被覆具の取付け工程の前に別途接地クランプ等の接地部材を電力ケーブルの遮蔽層に取り付ける手間がなく、現場での作業性が向上する。
【0023】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。便宜上、実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0024】
[第1実施形態]
図1はケーブル被覆具1A及び電力ケーブル100を示す斜視図である。
図2は、ケーブル被覆具1Aの縦断面図である。
図1に示されるように、ケーブル被覆具1Aは、電力ケーブル100の端部に取り付けられる部材であり、内側に電力ケーブル100が差し込まれることで、電力ケーブル100の端部を被覆する。電力ケーブル100は、導体101、絶縁体102、半導電層103、遮蔽層104、及び、ケーブルシース105を備えている。絶縁体102は、絶縁性の樹脂等により構成されるものであり、導体101の外周面を覆っている。半導電層103は、例えば、導電性ポリエチレン等により構成され半導電性を有し、絶縁体102の外周面を覆っている。遮蔽層104は、この半導電層103の外周面を覆っている。ケーブルシース105は、遮蔽層104の外周面を覆っている。
【0025】
図2に示されるように、ケーブル被覆具1Aは、外被チューブ(弾性外被)10Aと、この外被チューブ10Aの内側に配置される接地部30Aとを備えている。外被チューブ10Aは、筒状をなす弾性体であり、例えばシリコーンゴム、EPDMといった樹脂により構成されている。外被チューブ10Aの先端11には、後述する圧縮端子20を接続するための開口11aが形成されている。外被チューブ10Aの内側における軸方向の略中央部分には、電界緩和部材(高誘電率層)13が設けられている。電界緩和部材13は筒状をなし、外被チューブ10Aにおける内周面の一部を形成している。外被チューブ10Aにおいて、電界緩和部材13が配置された位置よりも後端12側の位置には接地部30Aを配置するための段部15が形成されている。また、この段部15には、後述する接地線51が通る連通部16が形成されている。連通部16は、外被チューブ10Aの内外を貫通するように、外被チューブ10Aの軸方向に沿って形成されており、段部15から外被チューブ10Aにおける軸方向の後端12まで連通している。外被チューブ10Aの後端12の開口12aの近傍には、外被チューブ10Aと一体的に成形されたOリング部17が設けられている。図示例では、軸方向に複数(ここでは2つ)のOリング部17が設けられている。Oリング部17の内径は、電力ケーブル100のケーブルシース105の外径より小さくなっている。そのため、Oリング部17の位置に電力ケーブル100のケーブルシース105が挿入された状態では、Oリング部17とケーブルシース105とが密着し、この部分の防水性が確保される。
【0026】
図3は、接地部30Aを示す分解斜視図である。また、
図4は、接地部30Aを軸方向の先端側からみた側面図である。
図3、
図4に示されるように、接地部30Aは、接触部材31、保持部材41及び接地線51を有している。接触部材31は、電力ケーブル100がケーブル被覆具1Aによって被覆された状態において、電力ケーブル100の遮蔽層104に接触する部材である。接触部材31は導電性を備えているため、遮蔽層104に接触することで遮蔽層104と電気的に接続される。
【0027】
接触部材31は、電力ケーブル100の遮蔽層104を周方向に覆うように、遮蔽層104に沿って湾曲した略筒状をなしている。接触部材31の周方向における所定の位置には、軸方向における一端から他端にわたって延びるスリット32が形成されている。そのため、接触部材31は軸方向からみた場合にC字状となっている。
【0028】
接触部材31には、軸方向に沿って延びる複数の長孔33が周方向に対して等間隔に形成されている。これにより、接触部材31には、軸方向に延びる複数の帯状部35が周方向に対して等間隔に形成されることになる。これら複数の帯状部35は、軸方向の両端において、それぞれC字状のリング部36によって互いに接続されている。帯状部35における軸方向の中央側の領域は、軸方向における両端に比して径方向内側へ向って湾曲している。すなわち、接触部材31の内径は、軸方向の両端から中央側に向かうにつれて徐々に小さくなっている。接触部材31では、外部から力が加えられていない無負荷の状態において、軸方向における中央側の領域が電力ケーブル100の遮蔽層104の外径よりも小さい内径を備えている。また、接触部材31は、導電性を備えた薄板ばね用の材料によって形成されており、所定の弾性を備えている。本実施形態における接触部材31は、例えばベリリウム銅(JIS C1720)によって形成されているが、バネ材として機能するものであればリン青銅、真鍮、青銅などの他の材料を用いてもよい。なお、図示例では、接触部材31に形成される長孔33が周方向に対して等間隔である例を示してあるが、長孔の間隔は等間隔でなくてもよい。
【0029】
保持部材41は、接触部材31を外周側から覆うとともに、接触部材31に接合されることによって接触部材31を保持している。保持部材41は、接触部材31の外周に沿って湾曲した板体によって構成されており、略筒状をなしている。保持部材41の周方向における所定の位置には、軸方向における一端から他端にわたって延びるスリット42が形成されている。そのため、保持部材41は軸方向からみた場合にC字状となっている。
【0030】
保持部材41は、導電性を備えた薄板ばね用の材料によって形成されており、所定の弾性を備えている。本実施形態における保持部材41は、例えばリン青銅(JIS C5210)によって形成されているが、バネ材として機能するものであれば、真鍮、青銅などの他の材料を用いてもよい。保持部材41の内径は、無負荷の状態において、遮蔽層104に取り付けられた状態における接触部材31の外径よりも小さくなっている。
【0031】
接触部材31と、接触部材31を覆った保持部材41とは、無負荷の状態において接触部材31のスリット32と保持部材41のスリット42とが重複しない配置となるように、接触部材31に対して保持部材41の周方向の一端41a側が接合される。本実施形態では、保持部材41の周方向の一端41a側における軸方向の両端に、半田接合に用いられる貫通孔43がそれぞれ形成されている。保持部材41が接触部材31を覆った状態では、接触部材31の一部が貫通孔43を介して保持部材41側に覗いている。そのため、貫通孔43を介して保持部材41と接触部材31とを半田接合することができる。接合された状態では、保持部材41のスリット42と接触部材31のスリット32とが互いに周方向の略反対側に位置している。これにより、保持部材41は、接触部材31のスリット32を覆うとともに、スリット32と重複しない部分において接触部材31と径方向に重複することになる。なお、接触部材31と保持部材41との半田接合では、貫通孔43を介する形態だけでなく、接触部材31に対して保持部材41の一端41aが直接半田接合されるものであってもよい。
【0032】
また、上述のように保持部材41及び接触部材31が周方向の一端41a側で接合されることにより、保持部材41及び接触部材31の周方向の他端41b側は互いに摺動自在となっている。そのため、外力が加わることによって保持部材41の径が小さくなる場合には、これに連動して接触部材31の径が小さくなるように保持部材41と接触部材31とが摺動する。また、外力が加わることによって接触部材31の径が大きくなる場合には、これに連動して保持部材41の径が大きくなるように保持部材41と接触部材31とが摺動する。
【0033】
接地線51は、保持部材41の外周面に接続されている。本実施形態では、保持部材41と接触部材31とが重複した位置に接地線51が接続されるものであり、保持部材41における貫通孔43が形成されている一端41a側の端部近傍に接地線51が半田付けされている。接地線51の一端は、180度折り曲げられた状態となっており、この部分が保持部材41に接続される接続部53となっている。これにより接地線51は、保持部材41に対して強固に接続される。なお、図示例では、接地線が2か所で折れ曲がっているが、これは連通部16の形状に合わせたものであるため、特に接地線51の形状は限定されない。
【0034】
図2に示されるように、上述した構成を備える接地部30Aは、外被チューブ10Aの内側に形成された段部15に配置されている。この状態では、保持部材41の外周側が外被チューブ10Aによって覆われる。また、外被チューブ10A内における接地部30Aの軸方向への移動は、段部15によって制限される。接地線51の少なくとも一部は、外被チューブ10A内に埋設されている。本実施形態では、接地線51が外被チューブ10Aに形成された連通部16を通り、外被チューブ10Aにおける軸方向の後端12から外側まで延在している。連通部16内において、接地線51は外被チューブ10Aと密着している。これにより、接地線51の周囲における防水性が確保される。本実施形態では、接地線51における外被チューブ10Aから外側に延在した部分が、被覆部材55によって覆われている。被覆部材55は、例えば外被チューブ10Aを形成する材料と同様のシリコーンゴムやEPDMといった樹脂である。この被覆部材55は、外被チューブの外側に突出した接地線51のうち、少なくとも末端側の一部とは接着されておらず、当該部分では容易に剥離可能となっている。なお、
図1及び
図5においては、被覆部材55が剥離された状態を示している。
【0035】
上述した構成を備えるケーブル被覆具1Aは、例えば、接地部30A及び電界緩和部材13に対して外被チューブ10Aの材料となるシリコーン樹脂を一又は複数の工程によって一体的に成形することによって製造することができる。製造においては、接地線51に予めプライマーを塗布しておくことで、接地線51とシリコーン樹脂とが接着されるため、上述のように、連通部16内において接地線51が外被チューブ10Aと密着することになる。また、被覆部材55が形成される際には接地線51における端部側の一部にプライマーを塗布しないことで、当該部分において接地線51と被覆部材55とが接着されないため、接地線51から被覆部材55が剥離可能となる。
【0036】
次に、上述したケーブル被覆具1Aを用いて電力ケーブル100を被覆する方法について、電力ケーブル100が挿入されたケーブル被覆具1Aの縦断面図である
図5を参照して説明する。
【0037】
まず、最初の工程として、電力ケーブル100の端末部の被覆が処理される。すなわち、電力ケーブル100の先端から順に、導体101、絶縁体102、半導電層103、及び、遮蔽層104が、予め設定された所定の長さだけ露出するように、電力ケーブル100から絶縁体102、半導電層103、遮蔽層104、及び、ケーブルシース105が段状に剥ぎ取られる。これにより、電力ケーブル100の事前の準備が完了する。
【0038】
続いて、次の工程では、ケーブル被覆具1Aに対して端末部の被覆が処理された電力ケーブル100が差し込まれる。電力ケーブル100は、遮蔽層104が接地部30Aの接触部材31に嵌入されるように、ケーブル被覆具1Aの後端側の開口12aから差し込まれる。これにより、電力ケーブル100の遮蔽層104と接地部30Aとが電気的に接続される。また、電界緩和部材13は、絶縁体102と半導電層103との移行部分を被覆する。この状態では、接触部材31は、遮蔽層104によって径が大きくなるように押し広げられる。このとき、接触部材31の弾性力によって、遮蔽層104が接触部材31に保持される。そして、接触部材31の外周を覆っている保持部材41の弾性力によって、接触部材31は、径が小さくなる方向に押圧される。さらに、外被チューブ10Aも、接触部材31の径が小さくなる方向に保持部材41及び接触部材31を押圧する。
【0039】
なお、電力ケーブル100の終端部分を挿入する前の状態において、予めケーブル被覆具1Aの内面の一部又は略全体にわたってグリースが塗布されていてもよい。グリースがケーブル被覆具1Aの内面に塗布されていることにより、電力ケーブル100の末端をケーブル被覆具1Aの内部に挿入する工程が容易となり得る。
【0040】
続いて、ケーブル被覆具1Aの先端側の開口11aから圧縮端子20が差し込まれる。本実施形態では、圧縮端子20は、銅、アルミニウムなどの金属製の部材であり、その先端側で閉塞した筒状部21、及び、当該筒状部21の先端から前方に延在する板状部22を含んでいる。圧縮端子20の筒状部21の後端側の部分は、ケーブル被覆具1Aの先端側の開口11aに収容される。圧縮端子20が差し込まれることによって、導体101の先端は、圧縮端子20の筒状部21の内孔に挿入される。導体101と圧縮端子20との電気的接触及び固定は、圧縮端子20の筒状部21を圧着又は圧縮することにより確保される。
【0041】
続いて、ケーブル被覆具1Aの後端から外側に延在した接地線51を被覆している被覆部材55が剥離される。露出した接地線51は、所定の接地用電線に取り付けられることによって接地される。
【0042】
次に、本実施形態に係るケーブル被覆具の作用・効果について説明する。
【0043】
本実施形態に係るケーブル被覆具1Aによれば、遮蔽層104を周方向に覆う接触部材31を備えることで、遮蔽層104と接触部材31とが電気的に接続される。また、接触部材31を外周側から保持する保持部材41を備えることで、接触部材31と保持部材41とが電気的に接続される。この際、保持部材41は、接触部材31の外周を覆うように保持しながら、接触部材31を径方向内側(すなわち遮蔽層104側)に向かって押圧する。さらに、保持部材41の外周側に設けられる外被チューブ10Aが、接触部材31及び保持部材41を径方向内側に向かって押圧する。このように、保持部材41及び外被チューブ10Aの押圧力の作用により、電力ケーブル100の遮蔽層104と接地部30Aとの接続の安定性がより向上する。また、接地部30Aがケーブル被覆具1Aに一体的に内蔵されているため、ケーブル被覆具1Aの取付け工程の前に別途接地クランプ等の接地部材を電力ケーブル100の遮蔽層104に取り付ける手間がなく、現場での作業性が向上する。
【0044】
また、接触部材31には、軸方向に沿って延びる長孔33が周方向に複数形成されることで、帯状部35が形成されている。この帯状部35における軸方向の中央側の領域は、軸方向における両端に比して径方向内側へ向って湾曲している。そして、保持部材41は、少なくとも電力ケーブル100の被覆時において、接触部材31を径方向内側に押圧している。湾曲した帯状部35のそれぞれが遮蔽層104と接触することによって、接触部材31と遮蔽層104との電気的な接続が良好に保たれる。また、接触部材31が保持部材41に押圧されることによって、接触部材31と遮蔽層104とがより強く嵌合される。
【0045】
また、接地線51が、段部15から外被チューブ10Aの後端12にかけて外被チューブ10Aに埋設されているため、接地線51周りの防水性が確保される。接地線51が段部15から外被チューブ10Aの後端まで埋設されることで、埋設されている距離が長くなり、防水性が向上する。
【0046】
また、接触部材31の周方向に形成されたスリット32は、無負荷の状態において、保持部材41によって覆われている。また、接地線51は、保持部材41における接触部材31と重なっている位置に接続されている。接触部材31のスリット32が保持部材41で覆われることによって、接触部材31のスリット32と保持部材41のスリット42とが重複して配置される場合に比し、接地部30Aの機械的強度が高くなる。また、接地線51と保持部材41との接続位置では特に外力が加わり易い傾向にあるが、接触部材31と保持部材41との重複位置に接地線51を接続することによって、接地線51から外力が加わった場合であっても、接地部30Aの形状を保持しやすい。
【0047】
また、接地線51における外被チューブ10Aの外側に延在した部分が、被覆部材55によって被覆されている。そのため、接地部30Aによる接地を行わない場合には、接地線51が露出することを避けることができる。そして、被覆部材55の少なくとも一部は接地線51から剥離可能となっているため、例えば、当初の計画では接地を行わないとした場合であっても、後に必要が生じたときに、容易に接地作業を行うことができる。
【0048】
また、従来、電力ケーブル100の端末部の被覆方法においては、事前に電力ケーブル100の端末部の被覆を処理した後に、露出した遮蔽層104に対して接地クランプを取り付け、当該部分を被覆具で処理し、さらに被覆具とケーブルシース105の移行部を粘着テープで巻くことによって防水処理をする必要があった。
【0049】
本実施形態に係るケーブル端末部の被覆方法によれば、電力ケーブル100の端末部の被覆を処理する工程によって、電力ケーブル100に対する事前の準備が完了するため、現場での作業性が向上する。
【0050】
[第2実施形態]
本実施形態に係るケーブル被覆具1Bは、電力ケーブル100の端部に取り付けられる部材であり、内側に電力ケーブル100が配置された状態でコア部材(拡径部材)70を引き抜くことによって、電力ケーブル100の端部を被覆する。そのため、外被チューブの内側にコア部材70を備える点において第1実施形態と大きく相違する。以下、主として第1の実施形態と相違する点について説明し、同一の要素や部材については同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0051】
図6に示されるように、ケーブル被覆具1Bは、外被チューブ10Bと接地部30Bとコア部材70とを備える。外被チューブ10Bは、第1実施形態における外被チューブ10と略同様の形状を備えた常温収縮チューブである。すなわち、外被チューブ10Bは、筒状をなし、先端11に開口11aを備え、後端12に開口12aを備える。また、外被チューブ10Bは、電界緩和部材13、段部15及び連通部16を備えている。
【0052】
図7は、接地部30Bを示す分解斜視図である。また、
図8は、接地部30Bを軸方向の先端側からみた側面図である。
図7、
図8に示されるように、接地部30Bは、接触部材31、保持部材41及び接地線51に加え、さらに延長部材61を備えている。延長部材61は、少なくとも接触部材31の一部を外周側から覆うように、接触部材31の外周に沿って湾曲した板体によって構成されている。また、延長部材61は、保持部材41の周方向の端部から延在するように、保持部材41と接合されている。本実施形態では、延長部材61の周方向の一端61a側における軸方向の両端に、半田接合に用いられる貫通孔63がそれぞれ形成されている。延長部材61は、保持部材41のスリット42を覆う配置となるように、保持部材41に接合される。図示例では、保持部材41における接触部材31に接合されている一端41a側に対して、延長部材61が貫通孔63を介して半田接合されている。延長部材61における保持部材41と接合されていない他端61b側は、保持部材41の外周面を覆うように配置されている。外力が加わることによって接地部30Bの径が変化する場合には、これに連動して接触部材31、保持部材41及び延長部材61が摺動する。なお、保持部材41と延長部材61との半田接合では、貫通孔63を介する形態だけでなく、保持部材41に対して延長部材61の一端61aが直接半田接合されるものであってもよい。
【0053】
延長部材61は、例えば保持部材41と同様にリン青銅(JIS C5210)によって形成されているが、保持部材41よりも薄くなるように形成されてよい。また、延長部材61は、必ずしも導電性を必要とするものではなく、保持部材41と異なる材料によって構成されてよく、例えば、所定の弾性を備えた樹脂等によって構成されてもよい。また、延長部材61と保持部材41とが別体である例を示したが、一体に構成されてもよい。このような接地部30Bは、第1実施形態同様、段部15に配置される。また、接地線51は外被チューブ10に形成された連通部16を通り、外被チューブ10における軸方向の後端12から外側まで延在している。なお、本実施形態では、外被チューブ10の外側に延在した接地線51に被覆部材55が取り付けられていない例を示しているが、第1実施形態のように、被覆部材55を取り付けてもよい。
【0054】
図6に示されるように、接地部30B及び電界緩和部材13を備えた外被チューブ10Bは、コア部材70によって拡径されて保持される。コア部材70は、例えば全長に亘って壁面上に形成された解体線71を有する円筒形の管状中空の部材である。解体線71は、コア部材70の軸線の回りを周回、又は、周回及び反転をしながら、軸線方向に漸進していくように設けられている。なお、本実施形態では、解体線71として、コア部材70の軸線回りを周回しながら、軸線方向に漸進していくように設けられる連続螺旋溝が設けられている。連続螺旋溝が形成された部分は連続螺旋溝の周囲よりも厚みが小さく、破断しやすい部分となっている。そのため、コア部材70は、連続螺旋溝に沿って、紐状体であるコアリボンとして引き抜くことが可能となっている。このようなコア部材70の材料としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等の樹脂が用いられる。また、解体線71は、連続螺旋溝のような螺旋状に形成される態様に限られず、例えばSZ状に形成されていてもよく、引き抜き可能であれば如何なる形状とすることも可能である。
【0055】
本実施形態では、段部15に接地部30Bが配置された状態で、接地部30B及び外被チューブ10Bを拡径させ、その様態でコア部材70が差し込まれる。そのため、外被チューブ10Bがコア部材70によって拡径された状態において、外被チューブ10Bとコア部材70との間に配置された接地部30Bもまたコア部材70によって拡径されている。ケーブル被覆具1Bは、段部15よりも後端側において、外被チューブ10Bとコア部材70との間に防水部材18を備えている。防水部材18は例えばパテ材であり、コア部材70の外周を周方向の全体にわたって被覆している。なお、適用場面によっては、防水部材18を省略することもできる。
【0056】
次に、上述したケーブル被覆具1Aを用いて電力ケーブル100を被覆する方法について説明する。
【0057】
まず、最初の工程として、電力ケーブル100の端末部の被覆が処理される。すなわち、電力ケーブル100の先端から順に、導体101、絶縁体102、半導電層103、及び、遮蔽層104が、予め設定された所定の長さだけ露出するように、電力ケーブル100から絶縁体102、半導電層103、遮蔽層104、及び、ケーブルシース105が段状に剥ぎ取られる。これにより、電力ケーブル100の事前の準備が完了する。
【0058】
続いて、次の工程では、ケーブル被覆具1Bに対して端末部の被覆が処理された電力ケーブル100が挿通される。電力ケーブル100は、ケーブル被覆具1Bの後端12の開口12aから差し込まれ、遮蔽層104と接触部材31との軸方向の位置が一致するように位置決めされる。そして、この状態を保持したまま、コア部材70が、先端側のコアリボンから順にコア部材70の内側を通ってケーブル被覆具1Bの後端12の開口12aから引き抜かれる。これにより、コア部材70が除去され、接地部30B及び電界緩和部材13を備えた外被チューブ10は収縮される。そして、電力ケーブル100の遮蔽層104と接地部30Bとが電気的に接続される。
【0059】
続いて、第1実施形態と同様に、ケーブル被覆具1Bの先端11の開口11aから圧縮端子20が差し込まれた後、ケーブル被覆具1Bの後端から外側に延在した接地線51が、所定の接地用電線に取り付けられる。
【0060】
本実施形態に係るケーブル被覆具1B及び被覆方法によれば、現場での作業性が向上するだけでなく、拡径されたケーブル被覆具1Bに対して電力ケーブル100を挿通するため、電力ケーブル100を差し込むことによるケーブル被覆具1Bの損傷等の発生を防止することができる。
【0061】
また、保持部材41には、保持部材41の周方向の端部から延在する延長部材61が設けられていている。これにより、接触部材31が保持部材41のみならず延長部材61によっても押圧されることになり、より一層、接触部材31と遮蔽層104との電気的な接続が良好になる。また、接触部材31が拡径した場合であっても、保持部材41のスリットと延長部材61とが重複することで、機械的な強度が担保される。
【0062】
[第3実施形態]
本実施形態に係るケーブル被覆具1Cは、外被チューブ10が連通部16を備えていない点において第2実施形態に係るケーブル被覆具1Bと相違する。以下、主として第2実施形態と相違する点について説明し、同一の要素や部材については同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0063】
図9に示されるように、ケーブル被覆具1Cは、外被チューブ10Cと接地部30Bとコア部材70とを備える。接地部30B及びコア部材70は、第2実施形態と同様であり、また、外被チューブ10及び接地部30Bが拡径された状態でコア部材70に保持されている点も第2実施形態と同様である。
【0064】
外被チューブ10Cは、第2実施形態における外被チューブ10Bと略同様の形状を備えた常温収縮チューブである。すなわち、外被チューブ10Cは、筒状をなし、先端側に開口11aを備え、後端側に開口12aを備える。また、外被チューブ10Cは、電界緩和部材13及び段部15を備えている。この外被チューブ10Cは、上述の通り、連通部16を備えていない。そのため、接地部30Bにおける接地線51は、接地部30Bが段部に配置された状態において、外被チューブ10Cの内側を通って、外被チューブ10Cにおける軸方向の後端12から外側まで延在している。
【0065】
ケーブル被覆具1Cは、段部15よりも後端12側において、コア部材70の外周を周方向の全体にわたって被覆する防水部材19を備えている。防水部材19は、防水部材18と同様に、防水性を備えた例えばパテ材である。接地線51は、外被チューブ10Bの内側において、その周囲を防水部材19に囲まれている。すなわち、接地線51は、防水部材19に埋設されている。このように、本実施形態では、接地線51を防水部材19で囲むことで、接地線51周りの防水性を確保している。本実施形態における電力ケーブル100を被覆する方法は、第2実施形態と同様であるため省略する。
【0066】
本実施形態に係るケーブル被覆具1Cによれば、接地線51の少なくとも一部が、外被チューブ10Cの内側において防水部材19によって囲まれていているため、接地線51周りの防水性を確保することができる。特に、防水部材19がパテ材であることによって、外被チューブ10Cの変形の際にも防水性が損なわれることが抑制される。
【0067】
[第4実施形態]
本実施形態に係るケーブル被覆具1Dは、電力ケーブル100同士を直線的に接続する接続部分に取り付けられる部材である。そのため、2本の電力ケーブル100のそれぞれに対応した接地部30Bを備える点において第2実施形態と相違する。以下、主として第2の実施形態と相違する点について説明し、同一の要素や部材については同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0068】
図10に示されるように、ケーブル被覆具1Dは、外被チューブ10Dとコア部材70と2つの接地部30Bとを備える。外被チューブ10Dは、筒状の常温収縮チューブであり、両端に開口14を備える。この外被チューブ10Dは、例えば導電性シリコーンゴムといった導電ゴムによって構成される接地層(外部導電層)27と、接地層27の内側に設けられる絶縁層25と、絶縁層25のさらに内側に設けられる内部電極(内部導電層)26とを備えている。絶縁層25は、絶縁ゴムによって構成されており、接地層27よりも軸方向の長さが小さく形成されている。また、内部電極26は、導電ゴムによって構成されており、絶縁層25よりも軸方向の長さが小さく形成されている。このような接地層27、絶縁層25及び内部電極26は、軸方向の中央が一致するように配置されている。内部電極26と接地層27との間には絶縁層25が配置されるため、内部電極26と接地層27とは接していない。外被チューブ10Dの内周面では、軸方向の中央の領域が内部電極26であり、内部電極26の両端に一定の長さの絶縁層25が配置され、絶縁層25から軸方向の両端部までが接地層27となっている。また、外被チューブ10Dは、絶縁層25よりも一方の開口14側と他方の開口14側となる接地層27にそれぞれ段部15を備える。また、これらの段部15には、それぞれ連通部16が形成されている。
【0069】
接地部30Bは、第2実施形態と同様であり、連通部16に接地線51が通った状態で、接地層27に形成された段部15に配置される。これにより、接地部30Bと接地層27とが接触する。なお、接地線51が連通部16の内側に密着するように、接地部30Bと接地層27とは一体的に形成されている。このような接地部30Bを備えた外被チューブ10Dは、コア部材70によって拡径されて保持される。ケーブル被覆具1Dは、それぞれの段部15よりも開口14側において、外被チューブ10Dとコア部材70との間に防水部材18を備えている。なお、適用場面によっては、防水部材18を省略することもできる。
【0070】
次に、上述したケーブル被覆具1Dを用いて2本の電力ケーブル100の接続部を被覆する方法について説明する。
【0071】
まず、最初の工程として、2本の電力ケーブル100のそれぞれの端末部の被覆が処理される。すなわち、電力ケーブル100の先端から順に、導体101、絶縁体102、半導電層103、及び、遮蔽層104が、予め設定された所定の長さだけ露出するように、電力ケーブル100から絶縁体102、半導電層103、遮蔽層104、及び、ケーブルシース105が段状に剥ぎ取られる。これにより、電力ケーブル100の事前の準備が完了する。
【0072】
続いて、次の工程では、ケーブル被覆具1Dに対して端末部の被覆が処理された一方の電力ケーブル100が挿通される。そして、挿通された電力ケーブル100の導体101と他方の電力ケーブル100の導体101とが接続部材によって接続される。
【0073】
接続された2本の電力ケーブル100は、それぞれの遮蔽層104と、対応する接触部材31との軸方向の位置が一致するように位置決めされる。そして、この状態を保持したまま、コア部材70が、先端側のコアリボンから順にコア部材70の内側を通ってケーブル被覆具1Dの開口14から引き抜かれることで、コア部材70が除去され、接地部30Bとともに外被チューブ10が収縮される。これにより、電力ケーブル100の遮蔽層104と接地部30Bとが電気的に接続されるとともに、2本の電力ケーブルの遮蔽層104同士が接地層27によって電気的に接続される。また、内部電極26は、2本の電力ケーブル100の導体101と導体101同士を接続する接続部材とを被覆するとともに、絶縁体102の一部を覆う。続いて、第2実施形態と同様に、ケーブル被覆具1Dの両端部から外側に延在したそれぞれの接地線51が、所定の接地用電線に取り付けられるか、又は、所定の接地用電線によって相互に接続される。
【0074】
本実施形態に係るケーブル接続部の被覆方法によれば、2本の電力ケーブル100の端末部の被覆を処理する工程によって、電力ケーブル100に対する事前の準備が完了するため、現場での作業性が向上する。
【0075】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0076】
例えば、接触部材31と保持部材41との接合が半田接合によって行われている例を示したが、これに限定されない。接触部材31と保持部材41とは、電気的に接続されていればよく、半田接合以外に、スポット溶接や物理的な嵌合であってもよい。
【0077】
また、第1実施形態においては、圧縮端子20がケーブル被覆具1Aとは別体となっているものを示したが、これに限定されない。圧縮端子20は、外被チューブ10Aの先端11に対して一体成型、接着等によって予め取り付けられていてもよい。この場合、ケーブル被覆具に電力ケーブルを差し込む工程と、ケーブル被覆具に差し込まれた電力ケーブルを圧縮端子に固定する工程とは、略同時に行われることになる。
【0078】
また、第1〜第3実施形態において圧縮端子20に接続される電力ケーブル100の端部の被覆を例示し、第4実施形態において電力ケーブル100同士の接続部の被覆を例示したが、これに限定されない。ケーブル被覆具1Aは、電力ケーブル100の遮蔽層104に対して接地部30を設ける必要があった被覆具に対して適用することができ、例えば、電力ケーブル100を各種機器に直結するために使用される機器直結型端末であってもよい。また、ケーブル被覆具1Aは、1本の電力ケーブル100が2本に分岐する場合における分岐部分の被覆具であってもよい。さらに、碍管を備えた耐塩用端末であってもよい。
【0079】
また、第1実施形態においては、接地線51が、段部15から外被チューブ10Aの後端12にかけての全領域で外被チューブ10Aに埋設されている例を示したがこれに限定されない。例えば、外被チューブ10Aの後端側の開口12a内側に防水用のパテ材を設けておき、接地線51の後端側のみをパテ材に埋め込んでもよい。
【0080】
また、第2〜第4実施形態において、保持部材41における接触部材31に接合されている一端41a側に対して、延長部材61が半田接合されている例を示したがこれに限定されない。延長部材61は、保持部材41における接触部材31に接合されていない他端41b側に接続されてもよい。例えば、延長部材61を備えない場合において、接触部材31及び保持部材41が過剰に拡がり、保持部材41の他端41bが接触部材31のスリット32の内側に位置する状態を考えてみる。この状態から、接触部材31及び保持部材41が縮径すると、保持部材41の他端41bが、接触部材31の内周側に入り込んだり、接触部材31の端部と干渉したりする虞がある。しかしながら、接地部30Bが拡径する際に接触部材31と摺動する側の端部(他端41b)に延長部材61が接合されることで、接触部材31及び保持部材41が過剰に拡がった場合であっても、延長部材61が接触部材31の外周側に接するように位置し、保持部材41のガイドとして機能することで、保持部材41を接触部材31の外周側に誘導することができる。
【0081】
また、第4実施形態において、連通部16に接地線51が通った状態で、接地部30Bが段部15に配置される例を示したが、これに限定されない。接地部は、第3実施形態のように、配置されていてもよい。すなわち、ケーブル被覆具が、段部15よりも後端12側において、コア部材70の外周を周方向の全体にわたって被覆する防水部材を備えており、接地線が、外被チューブの内側において、その周囲を防水部材に囲まれていてもよい。
【0082】
さらに、第4実施形態において、両端部の接地線51同士が相互に接続される接続態様の場合には、予め接地線51同士が接続されていてもよい。なお、第4実施形態における2本の電力ケーブルを直線的に接続する例では、外被チューブが常温収縮チューブである態様を示したが、これに限定されず、第1実施形態に示されるような(常温収縮チューブではない)外被チューブの両端にそれぞれ接地部30Aを内蔵した態様であってもよい。