特許第6537345号(P6537345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6537345欠陥検出システム、欠陥検出方法、及び生産管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6537345
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】欠陥検出システム、欠陥検出方法、及び生産管理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20190625BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20190625BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   H01L21/02 Z
   G05B19/418 Z
   G05B23/02 T
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-98012(P2015-98012)
(22)【出願日】2015年5月13日
(65)【公開番号】特開2016-213400(P2016-213400A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】315002243
【氏名又は名称】三重富士通セミコンダクター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100192636
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】豊福 毅
(72)【発明者】
【氏名】赤星 文彦
【審査官】 安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−118639(JP,A)
【文献】 特開2013−074039(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/122902(WO,A1)
【文献】 特開平11−074170(JP,A)
【文献】 特開2008−053601(JP,A)
【文献】 特開平06−333791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
G05B 19/418
G05B 23/00−02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造装置から測定データと処理シーケンスを一方向で取得するデータ収集部と、
前記測定データの時系列の記録を前記処理シーケンスと比較してデータの欠損を検出する判定部と、
を有することを特徴とする欠陥検出システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記測定データにおいてデータの欠損が検出された場合に、前記測定データを前記半導体製造装置におけるプロセス異常の判定対象から除くことを特徴とする請求項1の欠陥検出システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記測定データにおいてデータの欠損が検出されない場合に、前記測定データについて前記半導体製造装置におけるプロセス異常の有無を判断することを特徴とする請求項1または2に記載の欠陥検出システム。
【請求項4】
前記判定部は、前記測定データにおいてデータの欠損が検出された場合に、前記データの欠損を通知するメッセージを出力することを特徴とする請求項1〜3に記載の欠陥検出システム。
【請求項5】
サーバにて半導体製造装置から測定データと処理シーケンスを一方向で受信し、
前記サーバにて前記測定データの時系列の記録を前記処理シーケンスと比較してデータの欠損を検出する、
ことを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項6】
半導体ウェーハの処理の開始に連動して、前記処理から取得される測定データと、前記処理を記述する処理シーケンスとを出力する半導体製造装置と、
前記半導体製造装置から、前記測定データと前記処理シーケンスを一方向で受信し、前記測定データの時系列の記録と前記処理シーケンスを比較してデータの欠損を検出する欠陥検出システムと、
を有する生産管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の生産ラインにおける欠陥検出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの生産ラインでは、歩留りの向上のためにFDC(Fault Detection and Classification)が採用されている。FDCは、各半導体製造装置の出力をモニタし、異常を検出した場合に異常の種類を分類することで、異常の原因を特定し、欠陥ウェーハの産出を抑制する技術である。
【0003】
図1に、従来のFDCシステム130を用いた生産管理システム100を示す。LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して、1以上の半導体製造装置110と、ロット経路管理装置20と、FDCシステム130が接続されている。半導体製造装置110の種々のセンサ13でプロセスやウェーハからの多様なデータを取得し、FDCシステム130のデータ収集サーバ131でデータを収集する。収集されたデータは、データ登録サーバ32により、データ管理サーバ33に登録される。
【0004】
FDCシステム130は、半導体製造装置間の通信規格(たとえばSEMI仕様)によって、製品処理の有無にかかわらず、常時、半導体製造装置110にデータの問い合わせをかけてデータを収集する。具体的には、データ収集サーバ131は、一定時間ごとに半導体製造装置110のGUI(Graphical User Interface)または制御用PC(Personal Computer)120(以下、「CUI/PC120」と略称する)にデータの問い合わせを送信する。GUI/PC120は、データの有無にかかわらず、問い合わせに応じて回答を送信する。
【0005】
ロット経路管理装置20からの処理命令をトリガとして処理装置11で処理が開始された後も、処理中にデータ収集サーバ131から半導体製造装置110に同様のデータ問い合わせが送信され、データが収集される。現状では、データ収集サーバ131と各半導体製造装置110の間で、1秒ごとに双方向の通信処理が発生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−18470号公報
【特許文献2】特開平11−74170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
FDCシステムに接続される装置の数やセンサの数は増加しつつある。また、高精度にデータを取得するためにセンサのサンプリングレートは細かくなり、FDCシステムと各装置間の通信負荷が増大している。双方向の通信負荷の影響で、サーバやネットワークが正常な通信状態にあるにもかかわらず、センサデータの受信失敗(データの欠損)が発生する。通信中のデータの欠損は、半導体製造装置の動作に関して誤判断の原因となる。従来のFDCシステムでの異常判定アルゴリズムでは、適正に得られたデータの通信過程での損失なのか、製造プロセスの異常なのか、処理の待ち時間なのか、区別がつかないからである。通信負荷の増大はまた、ロット経路管理装置からの処理命令やレシピダウンロードの遅延の原因にもなる。
【0008】
そこで、半導体製造ラインの通信負荷を軽減し、データの欠損をプロセス異常と区別して検出することのできる欠陥検出の構成と手法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様として、欠陥検出システムは、
半導体製造装置から測定データと処理シーケンスを一方向で取得するデータ収集部と、
前記測定データの時系列の記録を前記処理シーケンスと比較して前記測定データの欠損を検出する判定部と、
を有する。
【発明の効果】
【0010】
半導体製造ラインの通信負荷を軽減し、データの欠損をプロセス異常と区別して検出する欠陥検出システムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来の欠陥検出システムを用いた生産管理システムの概略図である。
図2】データ欠損を説明する図である。
図3】実施形態の欠陥検出システムを用いた生産管理システムの概略図である。
図4】処理シーケンスを記述するデータの例を示す図である。
図5】処理シーケンスと測定データの出力ログ波形を示す図である。
図6図3の欠陥検出システムの変形例を示す図である。
図7】実施形態の欠陥検出システムの動作のフローチャートである。
図8】実施形態の生産管理システムで行われる動作のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図2は、発明者らが見出した半導体製造ラインにおけるデータの欠損を説明する図である。複数のウェーハが所定のレシピ(処理シーケンス)に従って順次処理される。ウェーハ番号12(図2では「WF#12」と表記)とウェーハ番号14のウェーハでは、処理シーケンスの全体にわたって測定データが収集されている。ウェーハ番号13のウェーハでは、処理シーケンスの前半部分のデータが失われている。半導体製造プロセスは正常に実施されているにもかかわらず、一部のデータがサーバで受信されていない。この場合、以下の問題が生じる。
【0013】
従来のFDCの監視レシピ、すなわち異常判定アルゴリズムでは、処理シーケンスと無関係に取得波形のみで異常を判断する。そのため、データの欠損が波形異常と誤判断されて半導体製造装置が停止され、半導体製造装置の処理能力が低下する。波形異常と判断されなかった場合は、データが未収集であるにもかかわらず半導体製造装置での処理が継続される。この場合、データが欠損しているため、障害発生時の履歴解析で解析不可能となり、品質が保証されない。
【0014】
そこで、実施形態では、半導体製造ラインの通信負荷を軽減して、データの欠損を抑制する欠陥検出システムを提供する。また、データの欠損が生じたときは、データの欠損を検出することのできる欠陥検出システムを提供する。
【0015】
図3は、実施形態の欠陥検出システム30を含む生産管理システム1の概略図である。LAN等のネットワークを介して、1以上の半導体製造装置10と、ロット経路管理装置20と、FDCシステム30が接続されている。半導体製造装置10は、半導体ウェーハを処理する処理装置11と、GUI/PC12と、各種のセンサ13を有する。FDCシステム30は、データ収集サーバ31、データ登録サーバ32、データ管理サーバ33、及び判定サーバ35を有し、判定サーバ35は欠損チェック部36を有する。
【0016】
半導体製造装置10は、ロット処理の実行時に、ロット経路管理装置20から「チャンバースタート」等の処理命令(ストリーム・ファンクション)を受信し、レシピをダウンロードする。レシピとは、半導体製造装置10で実行される処理手順や処理条件を規定するデータである。この意味で、レシピを「処理シーケンス」と称する。半導体製造装置10のGUI/PC12は、レシピのダウンロードにより、処理シーケンスに沿ってセンサ13の種類とデータの出力時間を確定し、処理装置11での処理を開始する。処理中は、決定されたセンサ13にてプロセスやウェーハから種々の測定データを取得する。GUI/PC12は、決定された出力時間の間、測定データをFDCシステム30のデータ収集サーバ31に出力する。
【0017】
実施形態の第1の特徴として、データ収集サーバ31は半導体製造装置10に対するデータ問い合わせを行わず、半導体製造装置10から一方向で測定データと処理シーケンスを受信する。半導体製造装置10のGIU/PC12は、ロット経路管理装置20からの処理命令とレシピの少なくとも一方のダウンロードをトリガとして、測定データと処理シーケンスをデータ収集サーバ31に送信する。すなわち、データ収集サーバ31からのデータ問い合わせをトリガとして測定データを送信するのではなく、一方向のデータ送信となる。データ収集サーバ31で収集されるデータは、処理の開始から完了まで処理シーケンスに沿った時系列の測定データである。この方式により、データ収集サーバ31と半導体製造装置10の間の通信負荷が低減され、データの欠損を防止することができる。
【0018】
実施形態の第2の特徴として、FDCシステム30は、処理シーケンスと半導体製造装置10から出力された測定データのログを比較することで、データの欠損(未出力を含む)を検出する。データの欠損をデータ収集過程での問題としてプロセス異常と区別して検出することで、誤判断による半導体製造装置10の停止を防止し、欠損原因の早期解決を実現する。
【0019】
具体的には、データ収集サーバ31は、半導体製造装置10の処理ごとにデータファイルを作成し、処理シーケンスと関連付けてデータ登録サーバ32に送る。半導体製造装置10が枚葉(シングルウェーハ)処理を行う場合は、ウェーハごとにデータファイルを作成し、そのウェーハ処理のために確定された処理シーケンス(レシピ)をデータファイルに関連付ける。半導体製造装置10がバッチ処理装置の場合は、バッチ処理ごとにデータファイルを作成し、そのバッチ処理のために確定された処理シーケンス(レシピ)をデータファイルに関連づける。たとえば、13枚のウェーハをバッチ処理する場合、処理シーケンスに従って決定された各種のセンサ13でそのバッチ処理からの測定データが取得され、GUI/PC12から測定データが時系列で出力される。半導体製造装置10で行われる1回の処理ごとに、データ収集サーバ31はデータファイルの作成及び処理シーケンスとの関連付けを行なう。
【0020】
データ登録サーバ32は、データ収集サーバ31から受け取ったデータファイルに基づいて、データ及び対応する処理シーケンスをデータ管理サーバ33に登録する。データ管理サーバ33は、データを処理シーケンスと関連付けて管理する。
【0021】
判定サーバ35の欠損チェック部36は、データ管理サーバ33に管理されている時系列データ(データの出力ログ)と処理シーケンスを比較することで、データの欠損を検出する。判定サーバ35は、欠損チェック部36でデータの欠損が検出された場合は、波形異常と区別してデータ欠損通知を出力する。データ欠損通知が出力されても、半導体製造装置10の運転は継続される。
【0022】
図4は処理シーケンスの一例を示す図、図5は、処理シーケンスとデータの出力ログを比較する図である。図4の処理シーケンスでは、ステップ1〜15までの条件が時系列で記述されている。各ステップで、処理時間(a)、温度または電圧モード(b)、開始温度と目標温度(c)、温度変化率(d)、供給ガスフロー(e)等が規定されている。
【0023】
図5(A)は、図4の処理シーケンスの波形、図5(B)は、出力ログの波形である。いずれの波形も、横軸は時間、縦軸は温度である。出力ログでは、ステップ1〜5に対応するデータが欠損している。従来の異常判定アルゴリズムでは、処理シーケンスとの対比がないためデータの欠損と波形異常の区別がつかず、図5(B)のような出力データが収集された場合は、波形異常と誤判断される。これに対し、実施形態では、欠損チェック部36で出力ログと処理シーケンスを比較することで、データの欠損と欠損期間を特定することができる。測定データの出力ログ波形が処理シーケンスの一部で欠けているが、その前後で処理シーケンス通りのデータが取得されている場合は、製造プロセスの異常ではなく、データ収集過程でのデータ損失である。この場合、判定サーバ35は、所定期間にわたるデータ欠損であると判断し、半導体製造装置10の運転を継続しつつ、データ欠損通知をシステム管理者等に出力する。
【0024】
図6は、図3のシステムの変形例として、FDCシステム30Aを用いた生産管理システム1A示す。FDCシステム30Aは波形解析部39を有し、判定サーバ35は、欠損チェック部36と波形異常チェック部37と、アラーム判定部38を有する。波形解析部39は、データ管理サーバ33で管理されているデータに対して波形解析を行う。波形異常チェック部37は、波形解析部39の解析結果に基づいて波形異常の有無を判断する。アラーム判定部38は、欠損チェック部36と波形異常チェック部37のチェック結果に応じたアラームを出力する。
【0025】
FDCシステム30Aは、図3のFDCシステム30と同様に、半導体製造装置10での処理開始(及び/またはレシピのダウンロード)をトリガとして、半導体製造装置10から一方向で測定データと処理シーケンスを受信する。判定サーバ35の欠損チェック部36は、処理シーケンスと測定データの出力ログを比較して、データ欠損の有無を判断する。
【0026】
判定サーバ35は、欠損チェック部36でデータ欠損が検出された場合、この測定データを波形異常チェックの対象から外す。データ欠損は、半導体製造装置10で製造プロセスは正常に実施されているが、データ収集の過程(データ出力段階も含む)で生じる問題だからである。波形異常チェック部37は、データ欠損と判定された測定データについては、波形異常のチェックを行わない。波形異常は、半導体製造装置10の製造プロセスに異常がある場合、たとえば処理装置11の動作に異常がある場合に検出される。処理装置11の動作の異常は、原料ガスの流量異常、電圧異常、温度異常などを含み、突発的な異常も、経時変化(劣化)による異常も含む。
【0027】
波形異常チェック部37は、データ欠損が検出されなかった測定データに対して波形異常の有無を判断する。たとえば、対応するレシピで測定されるデータの基準波形をあらかじめ取得しておき、基準波形と測定データの波形を比較することで波形異常の有無を判断する。基準波形との比較は、レシピ期間のうちの所定の期間の比較でもよいし、処理シーケンスのステップごとの比較であってもよい。
【0028】
アラーム判定部38は、欠損チェック部36によりデータ欠損が特定されたときは、システム管理者PC40にデータ欠損アラームを通知する。システム管理者はデータ欠損アラームに基づいて、データ欠損の原因(データ収集上の問題)を早期に解決し、データ欠損の防止措置をとることができる。
【0029】
アラーム判定部38は、波形異常チェック部37により波形異常が検出された場合、ロット経路管理装置20に波形異常アラームを出力する。ロット経路管理装置20は、波形異常アラームを受け取ると、半導体製造装置10に装置停止命令を送信する。
【0030】
図6の構成により、半導体製造装置10とFDCシステム30Aの間の通信負荷を低減してデータ欠損を抑制するだけでなく、データ欠損と波形異常を区別して検出することができる。これにより、異常発生の誤判断で半導体製造装置10の運転を停止する事態を回避し、生産効率の低下を防止する。
【0031】
図7は、図3のFDCシステム30、または図6のFDCシステム30Aが行う処理フローである。半導体製造装置10の処理の開始に連動して、半導体製造装置10から測定データを一方向で取得し、合わせて処理シーケンスを取得する(S11)。処理シーケンスと、時系列で取得された測定データとを比較し、データ欠損(データの未出力を含む)の有無を判断する(S12)。データ欠損が検出される場合は(S12でYES)、この測定データを波形異常チェック等の通常のFDC監視アラームの対象から外す(S13)。データ欠損はデータ収集上の問題であり、半導体製造装置10の動作の異常と区別される。FDC30(または30A)は、検出されたデータ欠損を、対象となる処理番号(ユニット番号)、欠損期間等の情報とともに、たとえばシステム管理者のPC40に通知して(S14)、処理を終了する。ここまでの処理の流れは、図3のFDCシステム30と、図6のFDCシステム30Aで共通に行われる。
【0032】
データ欠損が検出されない場合は(S12でNO)、波形解析結果に基づいて波形異常があるかどうかを判断する(S15)。波形異常が検出される場合は(S15でYES)、ロット経路管理装置20に波形異常アラームを通知して(S17)、処理を終了する。波形異常がない場合は(S15でNO)、着目しているウェーハあるいはバッチに対する欠陥検査を終了する。S15及びS16の波形異常チェックは、図6のFDCシステム30Aで実施される。
【0033】
この方法により、半導体製造装置10とFDCシステム間の通信負荷を軽減して、データ欠損を防止する。また、データ欠陥が発生した場合でも、データ欠損をデータ収集過程の問題として検出することができる。さらに、データ欠損が検出された測定データを、波形異常チェックなどのFDC監視アラームの対象から外し、データ欠損のない測定データに対して異常判定を行うことで、データ欠損と製造プロセスの異常を区別して検出することができる。
【0034】
図8は、図3の生産管理システム1または図6の生産管理システム1Aで行われる動作のシーケンス図である。ロット経路管理装置20は、特定のロット(カセット)についての処理命令とこのロットについて確定されたレシピを半導体製造装置10に送信する(S21)。半導体製造装置10は、処理装置(チャンバーユニット)11で行われる各処理のレシピ、すなわちユニットごとの処理シーケンスを確定する(S22)。枚葉(シングルウェーハ)処理の場合は、ウェーハごとに処理シーケンスが確定される。バッチ処理の場合は、バッチごとに処理シーケンスが確定される。半導体製造装置10はまた、処理シーケンスに基づいて、測定に用いるセンサ13と出力時間を確定する。
【0035】
半導体製造装置10は、FDCシステム30(または30A)のデータ収集サーバ31に、処理の開始と確定された出力時間を通知して(S23)、処理を開始する(S24)。処理が開始されると、半導体製造装置10からFDCシステム30(または30A)に、センサ13で測定されたデータと、処理シーケンスが出力される(S25)。測定データは所定の時間ごと、または処理シーケンスの各ステップごとに順次出力されてもよいし、処理終了時に一括して出力されてもよい。処理シーケンスは、順次出力の場合に最初の測定データとともに出力されてもよいし、S23の処理開始及び出力時間の通知とともに通知されてもよい。あるいは、測定データが一括出力される場合に、測定データとともに出力されてもよい。いずれの場合も、測定データ及び処理シーケンスは、半導体製造装置10の識別(ID)情報と、処理ユニットの識別情報に対応付けて出力される。
【0036】
処理装置11での処理が終了すると、半導体製造装置10はFDCシステム30A(または30A)に処理の終了を通知する(S27)。FDCシステム30(または30A)のデータ収集サーバ31は、収集された測定データと処理シーケンスを関連付けてデータファイルを作成する。データ管理サーバ33はデータファイルを記録し、管理する(S28)。
【0037】
判定サーバ35の欠損チェック部36は、測定データの時系列のログと処理シーケンスを比較して、データ欠損の有無をチェックする(S29)。データ欠損が検出された場合、FDCシステム30(または30A)はシステム管理者のPC40にデータ欠損アラームを出力する(S30)。ここまでは、FDCシステム30とFDCシステム30Aに共通する処理である。
【0038】
FDCシステム30Aは、欠損チェックでデータ欠損が検出された場合、当該測定データを製造プロセスの監視アラーム(波形異常チェック等)の対象外とする。データ欠損が検出されない場合は、当該測定データについて波形異常等の有無をチェックする(S31)。波形異常が検出されると(S32)、FDCシステム30Aからロット経路管理装置20に波形異常アラームが出力される(S33)。ロット経路管理装置20は、半導体製造装置10に装置停止命令を出力する(S34)。半導体製造装置10は、装置停止命令に応じて、処理装置11の動作を停止する(S35)。
【0039】
このように、半導体製造装置10からFDCシステム30(または30A)への測定データの供給を一方向とする。半導体製造装置10は、データ収集サーバ31からのデータ問い合わせなしに測定データを出力することで、通信負荷を軽減する。また、処理ごとの測定データと処理シーケンスをデータ収集サーバ31に送信することで、FDCシステム30(または30A)で測定データの時系列のログと処理シーケンスを比較して、データ欠損を検出することができる。さらに、FDCシステム30Aでは、データ欠損が検出された測定データについて波形異常のチェックの対象外とすることで、データ欠損と波形異常を区別して検出し、誤判断による半導体製造装置10の動作の停止を防止することができる。
【0040】
上記の実施例でFDC監視アラームとして波形異常を例にとったが、これに限定されず任意の解析ツールによる異常検出であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1、1A 生産管理システム
10 半導体製造装置
11 処理装置
12 GUI/PC(プロセッサ)
13 センサ
20 ロット経路管理装置
30、30A 欠陥検出システム
31 データ収集サーバ(データ収集部)
32 データ登録サーバ
33 データ管理サーバ
35 判定サーバ(判定部)
36 欠損チェック部
37 波形異常チェック部
38 アラーム判定部
39 波形解析部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8