(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受け金具の前記側面における前記複数の第1の溝の配置間隔と、前記受け金具の前記側面における前記複数の第2の溝の配置間隔とが異なるように、前記複数の第1の溝および前記複数の第2の溝のそれぞれを前記受け金具の回転方向において等間隔に配置する請求項1記載の包装機の縦ミシン目装置。
前記受け金具の前記側面における前記複数の第1の溝の配置間隔と、前記受け金具の前記側面における前記複数の第2の溝の配置間隔とが等しくなるように、前記複数の第1の溝および前記複数の第2の溝のそれぞれが前記受け金具の回転方向において等間隔に配置され、かつ、前記複数の第1の溝の一方の端部と前記複数の第2の溝の一方の端部とが前記受け金具の側面における中央付近で回転方向においてそれぞれ交互に配置される請求項1記載の包装機の縦ミシン目装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるミシン目付きペア包装袋700の外観構成を示す図である。
図1において、ミシン目付きペア包装袋700の左右方向(横方向)をx方向とし、上下方向(縦方向)をz方向とする。
【0026】
ミシン目付きペア包装袋700は、境界となる縦シール部703に施されたミシン目706において2つの包装袋710および包装袋720に分離可能なペア包装袋(縦ミシン目包装袋)である。また、ミシン目付きペア包装袋700は、境界となる縦シール部703において、ミシン目付きペア包装袋700の搬送方向(
図1に示すz方向)に沿ってミシン目706の加工を施す縦ミシン目装置を備える縦型自動充填包装機(
図3に示す包装機1)により生成される。
【0027】
ミシン目付きペア包装袋700は、例えば、常時にはセットで保管され、使用時には切り離して使用する製品に用いられる。ミシン目付きペア包装袋700は、例えば、シャンプー・リンスの試供品、納豆のたれとからし、ラーメンのスープと調味油、うなぎのたれと山椒、使用1回分ごとに分割した調味料等に用いられる。
【0028】
ミシン目付きペア包装袋700は、例えば、基材と、加熱により溶融するシーラント層とを有する積層フィルムにより構成される。ここで、積層フィルムの基材は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等のベースフィルムにより構成される。また、シーラント層は、例えば、基材よりも融点の低いポリエチレン等のヒートシールフィルムから構成される。
【0029】
また、ミシン目付きペア包装袋700は、積層フィルムをシーラント層が対向するようにして2つ折りにし、折り目部701を除く3辺を縦シール部702、703、横シール部704、705によりシールすることにより形成されている。なお、ミシン目付きペア包装袋700は、縦シール部703により収容部が分離されて2つの収容部711、721が形成される。この2つの収容部711、721のそれぞれには、上述した各内容物が充填される。例えば、シャンプー・リンスの試供品である場合には、収容部711には、シャンプーの液体が充填され、収容部721には、リンスの液体が充填される。なお、2つの収容部711、721には、使用1回分ごとに分割した調味料の例のように同一の内容物を充填するようにしてもよく、異なる内容物を充填するようにしてもよい。
【0030】
ミシン目付きペア包装袋700は、ミシン目706により縦シール部703が切り離されることにより、2つの包装袋710および包装袋720に分離することができる。
【0031】
縦シール部703は、折り目部701と、折り目部701に対向する端縁同士をシールした縦シール部702との中間部分である。縦シール部703は、2つの包装袋710および包装袋720を分離して使用する場合に、ミシン目706により切り離される。
【0032】
横シール部704は、折り目部701と交差する上端縁同士をシールした部分である。また、横シール部705は、折り目部701と交差する下端縁同士をシールした部分である。
【0033】
収容部711は、縦シール部702、703と、横シール部704、705とに囲まれて形成される収容部であり、内容物を収容する部分である。また、収容部711は、包装袋710の収容部となる。
【0034】
収容部721は、折り目部701と、縦シール部703と、横シール部704、705とに囲まれて形成される収容部であり、内容物を収容する部分である。また、収容部721は、包装袋720の収容部となる。
【0035】
ミシン目706は、縦シール部703を切り離して2つの包装袋710および包装袋720に分離する分離誘導線である。
図1では、ミシン目706は、縦シール部703において、ミシン目付きペア包装袋700の上端から下端に渡って形成されている例を示す。
【0036】
図2は、本発明の第1の実施の形態におけるミシン目付きペア包装袋700を切り離して2つの包装袋710および包装袋720に分離する場合の分離方法を示す図である。
【0037】
図2のaに示すように、ミシン目付きペア包装袋700を切り離す場合には、使用者は、一方の手の指731で縦シール部703におけるミシン目706の左側を把持し、他方の手の指732で縦シール部703におけるミシン目706の右側を把持する。そして、
図2のbに示すように、使用者は、縦シール部703におけるミシン目706を境にして縦シール部703が離れるように、両手を動かしてミシン目付きペア包装袋700を切り離す。
【0038】
これにより、使用者は、ミシン目付きペア包装袋700を切り離して2つの包装袋710および包装袋720に分離することができる。そして、使用者は、切り離した2つの包装袋710および包装袋720を別々に使用することができる。
【0039】
図3は、本発明の第1の実施の形態における包装機1の全体構成の一例を示す正面図である。
図3において、包装機1の左右方向(横方向)をx方向とし、奥行方向をy方向とし、上下方向(鉛直方向)をz方向とする。
【0040】
包装機1は、積層フィルムが巻き回された包装フィルム原反ロールF1から引き出された積層フィルムから分離可能なペア包装袋(縦ミシン目包装袋)を生成する装置である。
【0041】
包装機1は、包装フィルム原反ロール支持軸2と、包装フィルム送り装置3と、包装フィルムガイド4と、包装フィルム折込ガイド5と、原料充填ノズル6と、縦シールロール装置7と、横シールロール装置8、9と、縦ミシン目装置10と、カッター装置11と、製品排出滑り台12と、制御部13と、制御パネル14とを備える。
【0042】
包装フィルム原反ロール支持軸2は、積層フィルムが巻き回されている包装フィルム原反ロールF1を脱着交換可能に支持する軸である。この積層フィルムは、例えば、基材と、加熱により溶融するシーラント層とを有する積層フィルムである。
【0043】
包装フィルム送り装置3は、包装フィルム原反ロールF1から所定量の包装フィルム(積層フィルム)F2を引き出す装置である。
図1では、包装フィルム送り装置3は、包装フィルム原反ロールF1の上方(+z方向)に設けられ、積層フィルムFを包装機1の上方へと引き出す例を示す。また、包装フィルム送り装置3は、回転モータ(図示せず)により駆動される。
【0044】
包装フィルムガイド4は、包装フィルム送り装置3により引き出された包装フィルムF2を、包装フィルム折込ガイド5へと導くものである。
図1では、包装フィルム折込ガイド5の真上であって、包装機1の最上部に包装フィルムガイド4を配置する例を示す。また、包装フィルムガイド4は、上方に向かって引き出された包装フィルムF2の流れ方向を鉛直下向き(−z方向)に反転させて、包装フィルム折込ガイド5へと導くことができる。
【0045】
包装フィルム折込ガイド5は、包装フィルムガイド4により鉛直下向きに搬送される積層フィルムを流れ方向に沿うようにして2つ折りにするものである。ここで、包装フィルム折込ガイド5は、シーラント層が互いに対向するようにして積層フィルムを2つ折りにする。
【0046】
原料充填ノズル6は、略筒形状に形成された積層フィルムFの筒内に充填材料(充填原料)を充填する装置である。原料充填ノズル6は、その先端(充填材料の排出口)に充填ノズルを有し、この充填ノズルが略筒形状に形成された積層フィルムFの筒内に挿入される。そして、筒内に挿入された充填ノズルの充填口は、縦シールロール装置7と横シールロール装置8との間に配置される。
【0047】
なお、充填材料(充填原料)は、包装機1により生成される包装袋の内容物(充填物)となるものである。例えば、充填材料(充填原料)は、液体材料または粉末材料である。液体材料は、例えば、シャンプー、リンス等の日用品に関する液体材料や、納豆のたれ、からし、ラーメンのスープ、調味油、うなぎのたれ、ドレッシング、ソース、ケチャップ等の食品に関する液体材料である。また、粉末材料は、例えば、カレー粉、シチュー粉、青汁の粉末、ミルクティーの粉末、ココアの粉末、コーヒーの粉末、片栗粉、山椒等である。
【0048】
縦シールロール装置7は、搬送される積層フィルムFの流れ方向(−z方向)に沿った端縁同士(すなわち、2つ折りにした積層フィルムFの折り目に対向する端縁同士)をシールして包装袋の縦シール部(例えば、
図1に示す縦シール部702、703)を形成する装置である。
【0049】
縦シールロール装置7は、流れ方向に搬送される積層フィルムFに接触しながら回転する熱ローラを2つ備えている。そして、縦シールロール装置7は、その熱ローラにより搬送される積層フィルムを挟み込み、加熱および加圧することにより互いに対向するシーラント層を溶融させて積層フィルム同士を接着し、縦シール部702を形成する。この縦シール部702が形成されることにより、搬送される積層フィルムFは、略筒形状となる。
【0050】
また、縦シールロール装置7は、縦シール部702よりも内側(
図1に示す折り目部701側)に縦シール部702に沿うようにして縦シール部703を形成する。この縦シール部703が形成されることにより、搬送される積層フィルムFは、2つの略筒形状となる。
【0051】
また、本発明の第1の実施の形態では、縦シールロール装置7の回転軸において、縦シール部702、703を形成するための熱ローラを共通の軸上に設ける例を示す。これにより、縦シール部702を形成する工程(第1縦シール工程)と、縦シール部703を形成する工程(第2縦シール工程)とを同時に行うことができる。これにより、各工程の実施スペースの省スペース化を実現することができ、包装機1を小型化することができる。また、2つの縦シール工程における消費電力を低減させることができる。
【0052】
なお、2つの縦シール工程は、個別の工程で実施するようにしてもよい。すなわち、第1縦シールロール装置による第1縦シール工程を実施した後に、第2縦シールロール装置7による第2縦シール工程を実施するようにしてもよい。また、その逆を行うようにしてもよい。
【0053】
横シールロール装置8、9は、略筒形状にされた積層フィルムFの流れ方向(−z方向)に交差する方向をシールして横シール部(例えば、
図1に示す横シール部704、705)を形成する装置である。
【0054】
本発明の第1の実施の形態では、横シールロール装置8は、横シール部705の形状に対応する熱板部が回転軸上に設けられた熱板ローラを2つ備えている。横シールロール装置8は、この熱板ローラを回転させ、流れ方向に搬送される積層フィルムを熱板部で挟み込み、加熱および加圧することにより互いに対向するシーラント層を溶融させて接着し、横シール部705を形成する。
【0055】
また、横シールロール装置9は、横シールロール装置8と同様の構成を備えるシール装置であり、熱板部および回転軸から構成される熱板ローラを備える。横シールロール装置9は、横シールロール装置8により形成された横シール部705上にさらに熱板部を押し当てて、横シール部704を形成する。
【0056】
縦ミシン目装置10は、積層フィルムFに形成された縦シール部703にミシン目(分離誘導線)106を形成する装置である。この縦ミシン目装置10については、
図4乃至
図10等を参照して詳細に説明する。
【0057】
カッター装置11は、縦シール部702、703および横シール部704、705が形成され、充填材料が封入された積層フィルムFの幅方向(流れ方向に交差する方向)に切断して、分離可能なペア包装袋(縦ミシン目包装袋)とする装置である。
【0058】
製品排出滑り台12は、カッター装置11によって切断された、分離可能なペア包装袋(縦ミシン目包装袋)を包装機1の外へと搬出する部分である。本発明の第1の実施の形態では、製品排出滑り台12を、分離可能なペア包装袋(縦ミシン目包装袋)を包装機1の手前側に搬出する滑り台により構成する例を示す。
【0059】
制御部13は、包装機1の各部を統括して制御する制御装置であり、例えば、CPU(Central Processing Unit(中央処理装置))等から構成される。また、制御部13は、メモリに記憶されている制御プログラムに基づいて各種制御を行う。
【0060】
制御パネル14は、包装機1を操作するための操作パネルである。また、制御部13は、制御パネル14において行われた操作内容に基づいて各種制御を行う。
【0061】
図4は、本発明の第1の実施の形態における縦ミシン目装置10を上側(z方向の上側)から見た場合における平面図を示す図である。
【0062】
図5は、本発明の第1の実施の形態における縦ミシン目装置10を正面側(y方向の手前側)から見た場合における正面図を示す図である。
【0063】
図6は、本発明の第1の実施の形態における縦ミシン目装置10を側面側(
図5に示すA矢視部分)から見た場合における側面図を示す図である。
【0064】
縦ミシン目装置10は、ミシン目受け金具101と、スリットナイフユニット102と、取付基台103と、フレーム104と、駆動軸105と、スリットナイフユニット取付板106と、モータ107とを備える。
【0065】
取付基台103は、フレーム104およびモータ107を取り付ける基台である。
【0066】
フレーム104は、駆動軸105を回転可能に支持し、スリットナイフユニット取付板106を固定するフレームである。
【0067】
スリットナイフユニット取付板106は、スリットナイフユニット102を取り付ける板状部材である。
【0068】
モータ107は、駆動軸105を回転させることにより、駆動軸105に取り付けられているミシン目受け金具101を回転させる駆動機構である。
【0069】
スリットナイフユニット102は、スリットナイフ202および押しシリンダ203を備える。
【0070】
スリットナイフ202は、円盤状に形成され、その外周に刃が形成された回転刃である。また、スリットナイフ202は、押しシリンダ203に回転可能に支持される。
【0071】
押しシリンダ203は、スリットナイフ202を回転可能に支持し、スリットナイフユニット取付板106に取り付けられるものである。また、押しシリンダ203は、スリットナイフ202をミシン目受け金具101に押し当てるように、スリットナイフ202を支持する押圧部材である。
【0072】
ミシン目受け金具101は、ローラの周側面に凹凸形状が形成されている刃受けローラである。言い換えると、ミシン目受け金具101は、周面(側面)に等間隔でミシン目溝211が加工されている円形の受け金具である。また、ミシン目受け金具101の材質は、スリットナイフ202の刃に負けない素材を用いるようにする。例えば、鉄、硬化させる処理を施した鉄、工業鋼、これらを混ぜたものを用いることができる。また、ミシン目受け金具101は、固定ボルト201により駆動軸105に固定される。また、ミシン目溝211の形状については、
図7を参照して詳細に説明する。
【0073】
ここで、
図4に示すように、ミシン目受け金具101は、駆動軸105の回転軸上を矢印R1で示す範囲内で移動させることができる。すなわち、固定ボルト201によりミシン目受け金具101を駆動軸105における所望の位置(R1の範囲内)に固定することができる。
【0074】
また、
図4に示すように、スリットナイフユニット102は、スリットナイフユニット取付板106上を矢印R2で示す範囲内で移動させることができる。すなわち、固定部材(図示せず)によりスリットナイフユニット102をスリットナイフユニット取付板106における所望の位置(R2の範囲内)に固定することができる。
【0075】
また、
図5および
図6に示すように、搬送される積層フィルム(連続ペア包装袋F5)を、スリットナイフ202およびミシン目受け金具101で挟み込むことにより、連続ペア包装袋F5にミシン目を形成することができる。そして、ミシン目300が形成された連続ミシン目付きペア包装袋F6となる。
【0076】
図7乃至
図10は、本発明の第1の実施の形態における縦ミシン目装置10の使用例を示す図である。
【0077】
図7に示すように、ミシン目受け金具101の周側面(ローラの周側面)においてミシン目溝211が等間隔に形成されている。本発明の第1の実施の形態では、ミシン目溝211の凹凸形状として、ミシン目受け金具101の回転軸方向に広がるテーパ形状のミシン目溝を形成する例を示す。また、ミシン目溝211は、ミシン目受け金具101の回転軸方向に延びる複数の溝の一例である。
【0078】
例えば、ミシン目受け金具101の回転軸方向(x方向)における左側の溝のサイズ(円周方向のサイズ)をM2とする。また、ミシン目受け金具101の回転軸方向(x方向)における右側の溝のサイズ(円周方向のサイズ)をM1とする。この場合には、M2<M1の関係が成り立つ。
【0079】
図7には、スリットナイフ202の刃が、ミシン目受け金具101の周側面(ローラの周側面)における中心部に配置されるように、ミシン目受け金具101を駆動軸105に固定して使用する場合の使用例を示す。すなわち、
図7には、ミシン目溝211のサイズ(円周方向のサイズ)をM3(ただし、M3=(M1+M2)/2)とする例を示す。
【0080】
図8には、
図7に示す状態でミシン目受け金具101およびスリットナイフ202を回転させる場合の例を示す。モータ107が駆動軸105を回転させることにより、駆動軸105に固定ボルト201で固定されたミシン目受け金具101が回転する。例えば、
図8に示すように、矢印B1の方向にミシン目受け金具101が回転する。ミシン目受け金具101の回転に応じて、ミシン目受け金具101に押し当てられているスリットナイフ202が矢印B2方向に回転する。
【0081】
この場合に包装袋に形成されるミシン目(包装袋のミシン目310)を、
図7の左側に示す。包装袋のミシン目310のうち、スリットナイフ202の刃と、ミシン目受け金具101の周側面とが接触して切れる部分311を、白抜きの矩形で示す。また、包装袋のミシン目310のうち、ミシン目受け金具101のミシン目溝211の部分によりスリットナイフ202の刃が逃げて切れずに残る部分312を、白抜きの矩形の間とする。
【0082】
図9には、ミシン目溝211が狭くなるようにミシン目受け金具101を移動した場合の例を示す。
【0083】
この場合に包装袋に形成されるミシン目(包装袋のミシン目320)を、
図9の左側に示す。包装袋のミシン目320のうち、スリットナイフ202の刃とミシン目受け金具101の周側面とが接触して切れる部分321を、白抜きの矩形で示す。また、包装袋のミシン目320のうち、ミシン目受け金具101のミシン目溝211の部分によりスリットナイフ202の刃が逃げて切れずに残る部分322を、白抜きの矩形の間とする。
【0084】
ここで、
図9に示す例と、
図7に示す例とを比較すると、刃と受け金具が接触して切れる部分321は、
図7に示す対応する部分311よりも長くなる。一方、切れずに残る部分322は、
図7に示す対応部分312よりも短くなる。このように、
図9に示すように、ミシン目溝211が狭くなるようにミシン目受け金具101を移動した場合には、ミシン目の残し部分が少なくなり切り離し易いミシン目となる。このため、ミシン目を切れ易く調整する場合には、
図9に示すようにミシン目受け金具101を移動することが好ましい。
【0085】
図10には、ミシン目溝211が広くなるようにミシン目受け金具101を移動した場合の例を示す。
【0086】
この場合に包装袋に形成されるミシン目(包装袋のミシン目330)を、
図10の左側に示す。包装袋のミシン目330のうち、スリットナイフ202の刃と、ミシン目受け金具101の周側面とが接触して切れる部分331を、白抜きの矩形で示す。また、包装袋のミシン目330のうち、ミシン目受け金具101のミシン目溝211の部分によりスリットナイフ202の刃が逃げて切れずに残る部分332を、白抜きの矩形の間とする。
【0087】
ここで、
図10に示す例と、
図7に示す例とを比較すると、刃と受け金具が接触して切れる部分331は、
図7に示す対応する部分311よりも短くなる。一方、切れずに残る部分332は、
図7に示す対応部分312よりも長くなる。このように、
図10に示すように、ミシン目溝211が広くなるようにミシン目受け金具101を移動した場合には、ミシン目の残し部分が多くなり切り離し難いミシン目となる。このため、ミシン目を切れ難く調整する場合には、
図10に示すようにミシン目受け金具101を移動することが好ましい。
【0088】
なお、本発明の第1の実施の形態では、駆動機構(モータ107)によりミシン目受け金具101を回転させ、この回転によりミシン目受け金具101に当接されているスリットナイフ202を回転させる例を示した。ただし、駆動機構によりスリットナイフ202を回転させ、この回転によりスリットナイフ202に当接されているミシン目受け金具101を回転させるようにしてもよい。また、駆動機構によりミシン目受け金具101およびスリットナイフ202の双方を同期して回転させるようにしてもよい。
【0089】
また、本発明の第1の実施の形態では、駆動軸105上をミシン目受け金具101を移動させてミシン目を調整する例を示した。ただし、駆動軸105の回転軸方向にスリットナイフ202を移動させてミシン目を調整するようにしてもよい。また、駆動軸105の回転軸方向にミシン目受け金具101およびスリットナイフ202の双方を移動可能とし、それらの少なくとも1つを移動させることによりミシン目を調整するようにしてもよい。
【0090】
また、ミシン目受け金具101およびスリットナイフ202を比較した場合、ミシン目受け金具101よりもスリットナイフ202の方が消耗する可能性が高い。そこで、本発明の第1の実施の形態では、スリットナイフ202の交換作業を行い易くするため、ミシン目受け金具101を奥側(y方向の奥側)に配置し、スリットナイフ202を手前側(y方向の手前側)に配置する例を示した。ただし、ミシン目受け金具101の調整作業を行い易くするため、ミシン目受け金具101を手前側(y方向の手前側)に配置し、スリットナイフ202を奥側(y方向の奥側)に配置するようにしてもよい。
【0091】
また、本発明の第1の実施の形態では、折り目部を除く3辺を縦シール部、横シール部によりシールすることにより形成される包装袋にミシン目を形成する例を示した。ただし、4辺を縦シール部、横シール部によりシールすることにより形成される包装袋にミシン目を形成する場合についても本発明の実施の形態を適用することができる。
【0092】
このように、包装機1の縦ミシン目装置10は、包装機によって製袋されたペア包装袋の内容室の境界となるシール部分に対して、搬送方向に沿ってミシン目(分離誘導線)を形成する包装機の縦ミシン目装置の一例である。また、スリットナイフ202は、包装袋の搬送方向に沿って回転可能に支持され、略円盤形からなり円周が刃状であるスリットナイフの一例である。
【0093】
また、ミシン目受け金具101は、包装袋の搬送方向に沿って回転可能に支持される。また、ミシン目受け金具101は、略円筒形からなり、ミシン目受け金具101の回転軸方向に延びる複数のミシン目溝211が側面に施され、その側面とスリットナイフ202とが当接するように配置される。
【0094】
また、ミシン目受け金具101およびスリットナイフ202により包装袋を挟み込むことにより、ミシン目受け金具101およびスリットナイフ202が接触して切れる第1部分(切り部)と、ミシン目受け金具101およびスリットナイフ202が接触せずに残る第2部分(残り部)とを包装袋に形成してミシン目(分離誘導線)とすることができる。
【0095】
また、ミシン目受け金具101およびスリットナイフ202のうちの少なくとも1つは、それらの回転軸方向に移動可能に配置される。
【0096】
また、複数のミシン目溝211は、ミシン目受け金具101およびスリットナイフ202のうちの少なくとも1つの回転軸方向への移動に応じて、第1部分(切り部)および第2部分(残り部)のうちの少なくとも1つのサイズが変更されるように、ミシン目受け金具101の側面に施される。例えば、複数のミシン目溝211は、ミシン目受け金具101の側面において、その回転軸方向の一方の端部から他方の端部に進むに従って広がる形状(例えば、その回転軸方向に広がるテーパ形状)とすることができる。また、例えば、複数のミシン目溝211は、ミシン目受け金具101の回転方向において等間隔に配置することができる。
【0097】
ここで、本発明の第1の実施の形態における包装機1の縦ミシン目装置10についてペア包装袋のミシン目を変更する場合と、従来の包装機の縦ミシン目装置についてペア包装袋のミシン目を変更する場合との作業比較について説明する。
【0098】
最初に、従来の包装機の縦ミシン目装置についてペア包装袋のミシン目を変更する場合の作業例について説明する。ここでは、説明の容易のため、従来の包装機の縦ミシン目装置における各部材について、包装機1の縦ミシン目装置10における各部材の符号と同一の符号を使用して説明する。
【0099】
最初に、作業者は、押しシリンダ203を手前に引き、スリットナイフ202を後退させる(すなわち、スリットナイフ202を作業者側に引き寄せる)(手順S1)。
【0100】
続いて、作業者は、駆動軸105を、モータ107との接続から取り外す(手順S2)。続いて、作業者は、駆動軸105をフレーム104から取り外す(手順S3)。続いて、作業者は、ミシン目受け金具101を駆動軸105から取り外す(手順S4)。
【0101】
ここで、作業者は、別のミシン目受け金具101を駆動軸105に取り付ける(手順S5)。
【0102】
続いて、作業者は、別のミシン目受け金具101が取り付けられた駆動軸105をフレーム104に取り付ける(手順S6)。続いて、作業者は、駆動軸105をモータ107に接続する(手順S7)。
【0103】
続いて、作業者は、連続ペア包装袋F5の中心位置に、別のミシン目受け金具101をスライドさせる(手順S8)。続いて、作業者は、駆動軸105に別のミシン目受け金具101を固定する(手順S9)。
【0104】
続いて、作業者は、連続ペア包装袋F5の中心位置に、スリットナイフユニット102をスライドさせる(手順S10)。続いて、作業者は、押しシリンダ203を押し、スリットナイフ202を前進させて、ミシン目受け金具101に当接させる(手順S11)。
【0105】
続いて、作業者は、連続ペア包装袋F5に施される縦ミシン目の位置を確認する(手順S12)。この場合に、縦ミシン目の位置が合わないときには、手順S10、A11を繰り返し行う。
【0106】
続いて、作業者は、スリットナイフユニット102をスリットナイフユニット取付板106に固定する(手順S13)。
【0107】
次に、本発明の第1の実施の形態における包装機1の縦ミシン目装置10についてペア包装袋のミシン目を変更する場合の作業例について説明する。
【0108】
最初に、作業者は、押しシリンダ203を引き、スリットナイフ202を後退させる(手順SS1)。
【0109】
続いて、作業者は、ミシン目受け金具101の固定ボルト201を緩めて、駆動軸105に対する固定を解く(手順SS2)。
【0110】
続いて、作業者は、連続ペア包装袋F5の中心位置に、スリットナイフユニット102をスライドさせる(手順SS3)。
【0111】
続いて、作業者は、使用したいミシン目溝211が、連続ペア包装袋F5の中心位置となるように、ミシン目受け金具101をスライドさせる(手順SS4)。
【0112】
続いて、作業者は、押しシリンダ203を押し、スリットナイフ202を前進させて、ミシン目受け金具101に当接させる(手順SS5)。
【0113】
続いて、作業者は、連続ペア包装袋F5に施される縦ミシン目の位置を確認する(手順SS6)。この場合に、縦ミシン目の位置が合わないときには、手順SS4、SS5を繰り返し行う。
【0114】
続いて、作業者は、駆動軸105にミシン目受け金具101を固定ボルト201により固定する(手順SS7)。
【0115】
続いて、作業者は、スリットナイフユニット102をスリットナイフユニット取付板106に固定する(手順SS8)。
【0116】
このように、従来の包装機の縦ミシン目装置についてペア包装袋のミシン目を変更する場合には、手順S1乃至S13の作業を行う必要がある。この作業では、駆動軸105のフレーム104からの取り外しおよび取り付けと、別のミシン目受け金具101の駆動軸105からの取り外しおよび取り付けとを行う必要がある。
【0117】
これに対して、本発明の第1の実施の形態における包装機1の縦ミシン目装置10についてペア包装袋のミシン目を変更する場合には、手順SS1乃至SS8の作業を行うのみでよい。この作業では、駆動軸105上においてミシン目受け金具101の移動を行うことにより、ペア包装袋のミシン目を容易に変更することができる。
【0118】
このように、本発明の第1の実施の形態では、ミシン目の受け溝(ミシン目溝211)をテーパ形状として、ミシン目受け金具101位置を変えることにより、ミシン目の切れ部と残り部との割合を容易に調整することができる。また、ミシン目強度を容易に調整することができる。
【0119】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態では、ペア包装袋を縦に切断分離する縦切断分離機能と、ペア包装袋に縦ミシン目を形成する縦ミシン目機能とを選択することが可能なミシン受け金具400の例を示す。なお、ミシン受け金具400以外の構成については、本発明の第1の実施の形態における包装機1の縦ミシン目装置10の構成と同様である。このため、以下では、本発明の第1の実施の形態における包装機1の縦ミシン目装置10と共通する部分については、同一の符号を付して説明する。
【0120】
図11および
図12は、本発明の第2の実施の形態における縦ミシン目装置10の使用例を示す図である。
【0121】
ミシン目受け金具400の周側面(ローラの周側面)には、周面に等間隔でミシン目溝401が形成されている。ミシン目溝401の凹凸形状については、本発明の第1の実施の形態と同様に、ミシン目受け金具400の回転軸方向に広がるテーパ形状とすることができる。
【0122】
また、ミシン目受け金具400の周側面(ローラの周側面)には、ペア包装袋を縦に切断分離する縦切断分離機能を実現するため、ミシン目溝401が形成されていない領域402を設ける。
【0123】
図11には、ミシン目溝401の溝がない側にミシン目受け金具400を移動した場合の例を示す。すなわち、ミシン目溝401が形成されていない領域402と、スリットナイフ202の刃とが接触するように、ミシン目受け金具400を移動した場合の例を示す。
【0124】
この場合に包装袋に形成される切断分離線410を、
図11の左側に示す。すなわち、スリットナイフ202の刃と、ミシン目受け金具400の周側面とが接触して切れる部分411を、白抜きの矩形で示す。このように、ペア包装袋にミシン目を形成せずに、ペア包装袋を縦に切断分離することができる。
【0125】
図12には、ミシン目溝401の溝がある側にミシン目受け金具400を移動した場合の例を示す。
【0126】
この場合に包装袋に形成されるミシン目(包装袋のミシン目415)を、
図12の左側に示す。包装袋のミシン目415のうち、スリットナイフ202の刃と、ミシン目受け金具400の周側面とが接触して切れる部分416を、白抜きの矩形で示す。また、包装袋のミシン目415のうち、ミシン目受け金具400のミシン目溝401の部分によりスリットナイフ202の刃が逃げて切れずに残る部分417を、白抜きの矩形の間とする。
【0127】
このように、本発明の第2の実施の形態では、ミシン目受け金具400の側面における中央付近を一方の端部とし、ミシン目受け金具400の端面と側面との境界付近を他方の端部として、回転軸方向に広がる形状を複数のミシン目溝401の形状とすることができる。
【0128】
このように、本発明の第2の実施の形態では、ペア包装袋を縦に切断分離する縦切断分離機能と、ペア包装袋に縦ミシン目を形成する縦ミシン目機能とを容易に選択することができる。すなわち、ミシン目受け金具400の位置を変えることにより、縦ミシン目と縦スリット(分割)とを形成する機能を容易に選択可することができる。
【0129】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態では、配置間隔の異なるミシン目溝421、422を備えるミシン受け金具420の例を示す。なお、ミシン受け金具420以外の構成については、本発明の第1の実施の形態における包装機1の縦ミシン目装置10の構成と同様である。このため、以下では、本発明の第1の実施の形態における包装機1の縦ミシン目装置10と共通する部分については、同一の符号を付して説明する。
【0130】
図13および
図14は、本発明の第3の実施の形態における縦ミシン目装置10の使用例を示す図である。
【0131】
ミシン目受け金具420の周側面(ローラの周側面)には、配置間隔が短いミシン目溝421と、配置間隔が長いミシン目溝422とが、周方向において等間隔に形成されている。ミシン目溝421の凹凸形状については、本発明の第1の実施の形態と同様に、ミシン目受け金具400の回転軸方向に広がるテーパ形状とすることができる。
【0132】
また、ミシン目溝422の凹凸形状については、ミシン目溝421の形状とは逆の形状(駆動軸105の回転軸の方向を基準にして逆の形状)とすることができる。なお、ミシン目溝421の凹凸形状と、ミシン目溝422の凹凸形状とは、対称とするようにしてもよく、異なる形状とするようにしてもよい。
【0133】
図13には、配置間隔が長いミシン目溝422側にミシン目受け金具420を移動した場合の例を示す。
【0134】
この場合に包装袋に形成されるミシン目(包装袋のミシン目430)を、
図13の左側に示す。包装袋のミシン目430のうち、スリットナイフ202の刃と、ミシン目受け金具420の周側面とが接触して切れる部分431を、白抜きの矩形で示す。また、包装袋のミシン目430のうち、ミシン目受け金具420のミシン目溝422の部分によりスリットナイフ202の刃が逃げて切れずに残る部分432を、白抜きの矩形の間とする。
【0135】
図14には、配置間隔が短いミシン目溝421側にミシン目受け金具420を移動した場合の例を示す。
【0136】
この場合に包装袋に形成されるミシン目(包装袋のミシン目435)を、
図14の左側に示す。包装袋のミシン目435のうち、スリットナイフ202の刃と、ミシン目受け金具420の周側面とが接触して切れる部分436を、白抜きの矩形で示す。また、包装袋のミシン目435のうち、ミシン目受け金具420のミシン目溝421の部分によりスリットナイフ202の刃が逃げて切れずに残る部分437を、白抜きの矩形の間とする。
【0137】
このように、本発明の第3の実施の形態では、2種類のミシン目溝421、422をミシン目受け金具420に設ける。例えば、ミシン目溝421は、ミシン目受け金具420の側面における中央付近を一方の端部とし、ミシン目受け金具420の一方の端面と側面との境界付近を他方の端部として、回転軸方向に広がる形状とすることができる。また、例えば、ミシン目溝422は、ミシン目受け金具420の側面における中央付近を一方の端部とし、ミシン目受け金具420の他方の端面と側面との境界付近を他方の端部として、回転軸方向に広がる形状とすることができる。
【0138】
また、ミシン目受け金具420の側面におけるミシン目溝421の配置間隔と、ミシン目受け金具420の側面におけるミシン目溝422の配置間隔とが異なるように、ミシン目溝421、422のそれぞれをミシン目受け金具420の回転方向において等間隔に配置することができる。
【0139】
このように、本発明の第3の実施の形態では、ミシン目受け金具420の位置を変えることにより、ペア包装袋に形成するミシン目の間隔を容易に調整することができる。
【0140】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態では、階段状(段差形状)のミシン目溝460を備えるミシン受け金具450の例を示す。なお、ミシン受け金具450以外の構成については、本発明の第1の実施の形態における包装機1の縦ミシン目装置10の構成と同様である。このため、以下では、本発明の第1の実施の形態における包装機1の縦ミシン目装置10と共通する部分については、同一の符号を付して説明する。
【0141】
図15は、本発明の第4の実施の形態における縦ミシン目装置10の使用例を示す図である。なお、楕円471内に示すミシン目溝460の一部を拡大した拡大図を、
図15の左側の楕円472内に示す。
【0142】
ミシン目受け金具450の周側面(ローラの周側面)には、周面に等間隔でミシン目溝460が形成されている。ミシン目溝460の凹凸形状については、階段状(段差形状)とすることができる。すなわち、ミシン目溝460の凹凸形状については、ミシン目受け金具450の回転軸方向に段階状に広がる形状とすることができる。例えば、楕円472内に示すように、ミシン目溝460は、4段の階段状の溝(第1溝461、第2溝462、第3溝463、第4溝464)とすることができる。
【0143】
このように、本発明の第4の実施の形態では、ミシン目受け金具420の位置を変えることにより、ペア包装袋に形成するミシン目の間隔を容易に調整することができる。
【0144】
このように、本発明の第4の実施の形態では、ミシン目の受け溝(ミシン目溝460)を階段状として、ミシン目受け金具450の位置を変えることにより、ミシン目の切れ部と残り部との割合を容易に調整することができる。また、ミシン目強度を容易に調整することができる。
【0145】
ただし、ミシン目溝460を階段状とするため、縦ミシン目の切れ部と残り部の割合の選択が限定され、本発明の第1の実施の形態で示したミシン目溝と比較して細かい調整を行うことはできない。しかしながら、縦ミシン目の切れ部と残り部の割合の選択が限定されるため、再現性の高い選択をすることができる。
【0146】
また、例えば、ミシン目受け金具450の位置を微調整したようなときでも、縦ミシン目の切れ部と残り部の割合を維持することができる。このため、例えば、調整に不慣れな使用者でも容易に扱うことができる。
【0147】
[他の実施の形態]
本発明の第1乃至第4の実施の形態では、各種のミシン目溝を備えるミシン受け金具の例を示した。ただし、本発明の第1乃至第4の実施の形態で示したミシン目溝は、一例であり、本発明はこれらのミシン目溝に限定されない。そこで、
図16乃至
図18では、ミシン目溝の他の例を示す。
【0148】
図16乃至
図18は、本発明の実施の形態におけるミシン目溝の例を示す図である。なお、
図16(1)乃至(16)、
図17(17)乃至(32)、
図18(32)乃至(40)では、ミシン目受け金具の周側面(ローラの周側面)に形成されるミシン目溝のうちの一部(3つのミシン目溝)のみを代表して示す。なお、
図16乃至
図18で示すミシン目溝は、一例であり、本発明はこれらのミシン目溝に限定されず、他のミシン目溝を用いるようにしてもよい。また、複数のミシン目溝を組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0149】
このように、本発明の実施の形態における複数のミシン目溝は、ミシン目受け金具およびスリットナイフのうちの少なくとも1つの回転軸方向への移動に応じて、第1部分(切り部)および第2部分(残り部)のうちの少なくとも1つのサイズが変更されるように、ミシン目受け金具の側面に施される。例えば、
図17(29)乃至(31)に示す複数のミシン目溝は、ミシン目受け金具の側面において、その回転軸方向に延びる棒状の形状である。ただし、
図17(29)に示す複数のミシン目溝は、ミシン目受け金具およびスリットナイフのうちの少なくとも1つの回転軸方向への移動に応じて、第1部分(切り部)および第2部分(残り部)のサイズが2種類(切り部および残り部、全て残り部)に変更されるように、ミシン目受け金具の側面に施される。また、
図17(30)および(31)に示す複数のミシン目溝は、ミシン目受け金具およびスリットナイフのうちの少なくとも1つの回転軸方向への移動に応じて、第1部分(切り部)および第2部分(残り部)のサイズが3種類に変更されるように、ミシン目受け金具の側面に施される。
【0150】
また、例えば、
図17(25)乃至(28)、(32)に示すように、ミシン目受け金具の側面における複数の第1の溝の配置間隔と、ミシン目受け金具の側面における複数の第2の溝の配置間隔とが等しくなるように、複数の第1の溝および複数の第2の溝のそれぞれをミシン目受け金具の回転方向において等間隔に配置し、かつ、複数の第1の溝の一方の端部と、複数の第2の溝の一方の端部とを、ミシン目受け金具の側面における中央付近で回転方向においてそれぞれ交互に配置することができる。
【0151】
また、例えば、
図17(30)に示すように、ミシン目受け金具の回転軸方向に沿った溝の長さがそれぞれ異なる複数の第1の溝と、複数の第2の溝とをそれぞれ等間隔で交互に備える複数のミシン目溝とするようにしてもよい。
【0152】
ここで、包装フィルムの強度に対して、縦ミシン目の切れている部分(切り部)と、切らずに残る部分(残り部)との長さの割合が適切でない場合には、包装袋における縦ミシン目の強度が弱過ぎる状態または強過ぎる状態となり得る。
【0153】
例えば、包装袋における縦ミシン目の強度が弱すぎる状態では、運搬時の振動による包装袋の動きによって切れてしまうほど、ミシン目が弱い力で切断可能となることも想定される。この場合には、ペア包装袋の運搬中に勝手にミシン目が切れてしまうおそれがある。
【0154】
また、例えば、包装袋における縦ミシン目の強度が強過ぎる状態では、ペア包装袋を分離するときに、使用者が切断に力を入れ過ぎ、ペア包装袋が予期せぬ方向に裂けてしまい、包装袋の内容物が零れてしまうおそれもある。
【0155】
そこで、包装袋における縦ミシン目の強度が弱過ぎる状態または強過ぎる状態となることを防止することが重要である。例えば、縦ミシン目のパターンを複数用意しておき、生産する製品の種類に合わせて、作業者が受け金具の交換作業を行うことも想定される。しかしながら、その交換作業は、包装機の機種によっては、長時間(例えば、1時間前後)かかることがある。このため、作業者に手間を強いることになる。
【0156】
また、ミシン目受け金具は、刃先を受けるために所定の硬度を要する。このため、ミシン目受け金具は、加工製作後に焼き入れ等の表面処理を施す必要があるため、その製作に比較的長い時間を要することになる。例えば、新製品を生産する場合等で急遽必要になったような場合には、すぐに用意することが困難となるおそれがある。
【0157】
そこで、本発明の実施の形態では、ミシン目受け金具の周面の溝形状を、包装袋にミシン目を施す方向に直交する向きに拡縮する形とする。そして、包装袋に対してミシン目受け金具を左右方向に位置調整することができるようにする。これにより、大掛かりな交換作業をすることなく、ペア包装袋のミシン目強度を容易に調整することができる。
【0158】
このように、本発明の実施の形態では、縦型充填包装機の縦ミシン目装置により包装袋に施される、縦ミシン目の切り部と残り部の割合を容易に調整することができる。これにより、生産する包装袋の製品を変更するような場合でも、作業者が大掛かりな作業を行うことなく、包装袋に適切な強度の縦ミシン目を施せることができる。
【0159】
なお、上述の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本発明の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。