(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6537405
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】真空冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25D 7/00 20060101AFI20190625BHJP
【FI】
F25D7/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-161639(P2015-161639)
(22)【出願日】2015年8月19日
(65)【公開番号】特開2017-40417(P2017-40417A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】明尾 伸基
(72)【発明者】
【氏名】前田 康昌
(72)【発明者】
【氏名】西山 将人
【審査官】
森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−087078(JP,A)
【文献】
特開平11−211314(JP,A)
【文献】
特開2004−170060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷却物を収容する処理槽と、処理槽内の気体を排出する真空発生装置を持ち、処理槽内部を減圧することで、処理槽内に収容した被冷却物の冷却を行う真空冷却装置であって、処理槽と真空発生装置を結ぶ真空経路の途中に熱交換器を設け、熱交換器にはチラーで冷却した冷水を供給するようにしている真空冷却装置において、
熱交換器からチラーへ戻す冷却用水の温度を検出するチラー入口温度計測装置、チラー設置部における外気温を検出する外気温計測装置、チラー入口温度計測装置と外気温計測装置で計測した値に基づいてチラーの運転を制御するチラー運転制御装置を設けておき、
チラー運転制御装置は、チラー入口温度計測装置で計測したチラー入口温度の計測値が、「デマンド値変更中のチラー入口低下温度+デマンド移行完了後の必要チラー入口温度+調整値」によって算出したデマンド運転開始チラー入口温度より低くなった場合、チラーの出力をデマンド値に制限するチラーデマンド制御を行うものであることを特徴とする真空冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の真空冷却装置において、熱交換器からチラーへ戻す冷却用水の温度を検出するチラー入口温度計測装置に替えて、チラーへ戻す冷却用水をためておく冷水槽での冷却用水の温度を検出する水槽温度計測装置を設け、チラー運転制御装置には水槽温度計測装置で計測した水槽温度を供給するようにしておき、
チラー運転制御装置は、水槽温度計測装置で計測した水槽温度の計測値が、「デマンド値変更中の水槽低下温度+デマンド移行完了後の必要水槽温度+調整値」によって算出したデマンド運転開始水槽温度より低くなった場合、チラーの出力をデマンド値に制限するチラーデマンド制御を行うものであることを特徴とする真空冷却装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の真空冷却装置において、デマンド値変更中のチラー入口低下温度又はデマンド値変更中の水槽低下温度は、外気温に対するチラー能力のテーブルを用意しておき、循環水量と所定処理量に対するチラー能力により算出するものであることを特徴とする真空冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理された食品などの被冷却物を処理槽内に収容し、処理槽内を減圧することによって被冷却物内の水分を蒸発させ、蒸発による気化熱によって被冷却物を急速に冷却する真空冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2008−249256号公報に記載があるように、被冷却物を収容している処理槽内の気体を外部へ排気し、処理槽内を減圧することで、処理槽内の飽和温度を低下させ、被冷却物内から水分を蒸発させることにより、その気化熱を利用して被冷却物の冷却を図る真空冷却装置が知られている。給食センターなどにおいては、加熱調理食品を冷却する際に細菌が繁殖しやすい温度帯をできるだけ早く通過させることが要望されており、真空冷却装置であれば短時間で被冷却物の中心部まで冷却が可能であるために広く用いられている。
【0003】
真空冷却装置では、処理槽内に被冷却物を収容しておいて、真空発生装置によって処理槽を減圧する。真空冷却装置には、目標とする冷却温度を設定しておき、処理槽内の圧力が目標冷却温度に対応する圧力になるまで減圧を行う。処理槽内の減圧による真空冷却によって被冷却物の温度が所望の目標冷却温度になると、冷却は終了となる。処理槽内が真空状態のままであると処理槽を開くことはできないため、冷却終了後に処理槽内へ外気を導入し、処理槽内を大気圧まで復圧してから被冷却物を取り出す。
【0004】
真空冷却装置での冷却目標温度は、10℃から20℃程度のものが多いが、5℃以下の低い温度まで冷却が望まれる場合もある。真空冷却装置は、被冷却物の温度が処理槽内圧力の飽和温度より高い場合に発生する水分の蒸発によって被冷却物の温度を低下させるものであるため、処理槽内圧力を低くすることで被冷却物の温度を低くすることができる。処理槽内を減圧する真空発生装置には、ドライ式あるいは水封式の真空ポンプや蒸気あるいは水を使用したエジェクタなどが使用されており、より低い圧力まで減圧することのできる真空発生装置を使用することで品温を低下させることができる。
【0005】
ただし、処理槽内及び真空配管内の圧力を低下させていくと、真空配管内や真空発生装置内にある液体が蒸発し、そのことによって処理槽内では圧力が低下しないということが発生する。真空冷却装置での冷却能力は、真空発生装置へ供給している水温+数℃程度で限界となる。
【0006】
そこで真空発生装置には、チラーで冷却した冷水を供給し、また真空配管内に熱交換器を設置して熱交換器に冷水を供給することによって真空配管内での冷却を行うことが行われている。チラーによる冷水を供給することで、処理槽内をより低い圧力まで減圧することができ、被処理物の品温もより低い温度まで冷却することができるようになる。
【0007】
チラーでは、水を0℃近くまで冷却するが、水を冷却しすぎて凍結させてしまうと、冷水を供給することができなくなってしまうため、凍結しないように運転を制御する必要がある。チラーでは、供給冷水温度が設定しておいたサーモオフ温度を下回ると冷却運転を停止し、冷水温度が上昇すると冷却運転を再開することによって、供給する冷水の温度を制御する。この場合、冷却運転を短時間で発停することは、チラーの圧縮機に負担が掛かることになる。そのため、チラーでは圧縮機保護のために3分から5分程度の再起動禁止時間を設定しており、冷却運転を再開する場合には再起動禁止時間が経過した後に運転を再開する。過冷却防止のためのチラーの冷却運転停止と、チラー保護のための再起動禁止時間の設定は必要なものであるが、供給冷水温度がサーモオフ温度を下回ることでチラーの冷却運転が停止した場合、その直後に冷却水の温度が上昇したとしても、再起動禁止時間が経過するまでは冷却運転は再開できず、冷却水の温度が高い状態が続くということもある。冷却水温度が高くなると、真空発生装置による減圧能力が低下することになり、真空冷却工程の進行が遅れることになる。
【0008】
そのため、特許2624065号公報に記載の発明では、冷水温度を検出しておき、冷水温度が低下してサーモオフ温度に近づいた場合、サーモオフ温度まで低下する前にチラーの出力を所定のデマンド値に制限する負荷制限制御(チラーデマンド制御)を行っている。チラーデマンド制御では、チラー入口温度を計測しておき、入口温度が下限温度以下になった場合に制限を開始する。例えばそれまで100%の能力で冷却を行っていたことで冷却水温度が低下し、サーモオフ温度手前の設定温度まで低下した場合には、冷却能力をデマンド値、例えば30%に制限する。冷却能力を制限することで冷却水の温度低下を抑えると、チラーの運転を継続することができるためにチラーのサーモオフを防止することができる。また、冷却能力を削減することで冷却水の温度が上昇すれば、冷却能力を100%に回復させることで冷水温度を低下させることができる。このようにすることで、チラーの圧縮機を停止させずに冷却水の温度を継続して所定の範囲に維持することができる。
【0009】
しかし、このチラーデマンド制御を行った場合でも、冷却水の温度低下によって冷却運転を停止しなければならなくなることがあった。そのため、供給冷水の温度変動を少なくしてより安定した冷却運転制御を行うことが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第2624065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、チラーを用いて冷水を供給することで被冷却物の温度をより低温まで冷却するようにしている真空冷却装置において、チラーデマンド制御の精度を高めて、チラーの冷水温度低下による冷却運転の停止を行わせないことにより、安定的に被冷却物を冷却することのできる真空冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、被冷却物を収容する処理槽と、処理槽内の気体を排出する真空発生装置を持ち、処理槽内部を減圧することで、処理槽内に収容した被冷却物の冷却を行う真空冷却装置であって、処理槽と真空発生装置を結ぶ真空経路の途中に熱交換器を設け、熱交換器にはチラーで冷却した冷水を供給するようにしている真空冷却装置において、熱交換器からチラーへ戻す冷却用水の温度を検出するチラー入口温度計測装置、チラー設置部における外気温を検出する外気温計測装置、チラー入口温度計測装置と外気温計測装置で計測した
値に基づいてチラーの運転を制御するチラー運転制御装置を設けておき、チラー運転制御装置は、チラー入口温度計測装置で計測したチラー入口温度の計測値が、「デマンド値変更中のチラー入口低下温度+デマンド移行完了後の必要チラー入口温度+調整値」によって算出したデマンド運転開始チラー入口温度より低くなった場合、チラーの出力をデマンド値に制限するチラーデマンド制御を行うものであることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記の真空冷却装置において、熱交換器からチラーへ戻す冷却用水の温度を検出するチラー入口温度計測装置に替えて、チラーへ戻す冷却用水をためておく冷水槽での冷却用水の温度を検出する水槽温度計測装置を設け、チラー運転制御装置には水槽温度計測装置で計測した水槽温度を供給するようにしておき、チラー運転制御装置は、水槽温度計測装置で計測した水槽温度の計測値が、「デマンド値変更中の水槽低下温度+デマンド移行完了後の必要水槽温度+調整値」によって算出したデマンド運転開始水槽温度より低くなった場合、チラーの出力をデマンド値に制限するチラーデマンド制御を行うものであることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記の真空冷却装置において、デマンド値変更中のチラー入口低下温度又はデマンド値変更中の水槽低下温度は、外気温に対するチラー能力のテーブルを用意しておき、循環水量と所定処理量に対するチラー能力により算出するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明を実施することにより、真空冷却装置によって被冷却物を10℃以下の低温まで冷却する場合であっても、真空冷却装置での冷却運転の途中でチラーが冷却停止となることはなくなるため、真空冷却装置では安定した冷却を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明を実施している真空冷却装置のフロー図
【
図2】本発明を実施している真空冷却装置でのチラー入口温度変化状況の説明図
【
図3】本発明の他の実施例における真空冷却装置のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
図1は本発明を実施している真空冷却装置のフロー図、
図2は本発明を実施している真空冷却装置でのチラー入口温度変化状況の説明図、
図3は本発明の他の実施例における真空冷却装置のフロー図である。真空冷却装置は、被冷却物7を収容する処理槽2と、処理槽2内の気体を排出する真空発生装置1を持つ。真空冷却装置は、処理槽内を減圧することで被冷却物内の水分を蒸発させるものであり、蒸発時の気化熱によって処理槽2に収容した被冷却物7の冷却を行う。
【0018】
真空発生装置1は真空配管9で処理槽2と接続しており、処理槽2内の気体は真空発生装置1を作動することで真空配管9を通して排出する。真空配管9の途中には、処理槽2から吸引してきた気体を冷却するための熱交換器10を設けておく。処理槽から吸引している気体は蒸気を含んでおり、水は蒸気になると体積が大幅に大きくなるため、そのままでは大容積の蒸気を真空発生装置1へ送ることになり、真空発生装置1の効率が悪くなる。そのために真空経路の途中に熱交換器10を設けており、熱交換器10で吸引気体の冷却を行うことで蒸気を凝縮させ、真空発生装置1で排出しなければならない気体の体積を縮小する。熱交換器10は、冷水をためておく冷水槽5内に伝熱管を設置した構造としており、冷水槽5にはチラー3で製造した冷水を供給する。冷水を製造するチラー3と冷水槽5は、冷水循環配管6で接続しており、チラー3で製造した冷水は冷水槽5へ供給し、またチラー3で冷却する冷却用水は冷水槽5の冷水を使用するようにしており、冷水循環配管6を通してチラー3と冷水槽5の間で冷水を循環させる。
【0019】
冷水循環配管6には、チラー3に入る冷却用水の温度を検出するチラー入口温度計測装置8を設けておき、チラー入口温度計測装置8で検出したチラー入口温度の計測値は、チラー3の運転を制御するチラー運転制御装置4に出力する。また、チラー3を設置している環境における外気温を計測する外気温計測装置12を設けておき、外気温計測装置12で計測した外気温もチラー運転制御装置4に出力する。チラー運転制御装置4は、チラー入口温度の計測値などを用いて、チラーの運転を制御する。
【0020】
チラーでの運転制御は、チラー入口温度が高い場合にはチラーの最大能力で冷却を行うが、チラー入口温度が低くなると、過冷却によって冷水が凍結することを防止する制御を行う必要があり、冷却運転を停止するサーモオフ制御と、チラーの出力をデマンド値に制限するチラーデマンド制御を行う。サーモオフ制御では、チラーの運転を停止するサーモオフ温度を設定しておき、チラー入口温度がサーモオフ温度を下回ると、チラーでの冷却運転を停止する。サーモオフ制御によってチラーの運転を停止した場合には、圧縮機を保護するために3〜5分間の再起動禁止時間を設定しておき、短時間で再起動させないようにしている。
【0021】
チラーデマンド制御では、冷水がサーモオフ温度まで低下しないようにチラーの負荷制限を行うものであり、チラー入口温度計測装置8で検出しているチラー入口温度の計測値が、デマンド運転開始チラー入口温度まで低下するとチラーの出力を削減するように制御する。デマンド運転開始チラー入口温度は、「デマンド値変更中のチラー入口低下温度+デマンド移行完了後の必要チラー入口温度+調整値」にて算出する。
【0022】
デマンド値変更中のチラー入口低下温度は、チラーの出力を制限する操作を開始しても、実際にチラーの出力がデマンド値に削減されるまでにはある程度の時間が必要であり、その間に行われる冷却によって冷水温度が低下しすぎるのを防止するためのものである。例えばチラーが100%の出力を行っていた状態からデマンド値の30%出力へ変更する場合、出力100%から出力30%に変更するのに要する時間が3分間であり、チラーの出力は時間に比例して変化していくものであったとすると、チラーデマンド制御を開始してもチラーの出力を100%から30%に変更している3分間は、デマンド値よりも大きな出力を続けていることになり、この場合には65%の出力を3分間続けた場合と同じだけの冷却が行われたことになる。
【0023】
デマンド値変更を開始してからチラー出力がデマンド値になるまでの間に低下すると考えられる温度であるデマンド値変更中のチラー入口低下温度は、チラー能力が外気温の影響を受けるため、チラー運転制御装置4では外気温を加味して算出する。チラー運転制御装置4には、外気温に対応させたチラー能力のテーブルを持つプログラムを用意しておき、循環水量と所定処理量に対するチラー能力により、チラー入口低下温度を算出する。また、条件が変化した場合に対応できるよう、調整値(設定値)を設けておく。
【0024】
チラー運転制御装置4では、チラー入口温度計測装置8で計測しているチラー入口温度の値が、「デマンド値変更中のチラー入口低下温度+デマンド移行完了後の必要チラー入口温度+調整値」によって算出したデマンド運転開始チラー入口温度以下になると、チラー3の運転工程を、通常運転からデマンド運転に変更する。ただし、上記の通りデマンド運転を開始してもすぐにデマンド値による運転が行われるものではなく、一定の時間をかけて出力の変更が行われる。デマンド運転の開始直後では、チラー運転制御装置4はチラー3の出力を通常運転時からデマンド値の出力に変更していく操作を行い、出力がデマンド値まで低下すると、デマンド値での運転を行う。なお、デマンド運転開始以降にチラー入口温度が上昇し、チラー入口温度の計測値がデマンド運転開始チラー入口温度以上となった場合は、デマンド運転を中止して通常運転に戻し、チラーの出力値を増大することで冷水温度の上昇を防ぐ。
【0025】
図2はこの様子を表したものであり、チラー入口温度とチラー出力値の変化をチラー運転状況とともに記載している。
図2ではチラー3の運転を停止するサーモオフ温度が4℃、このサーモオフ温度よりも高い温度に設定するデマンド移行完了後の必要チラー入口温度が5℃としている。そして、チラーの出力を100%からデマンド値の30%に変更するために要する時間であるデマンド移行完了時間が3分間であって、現在の外気温においてこのデマンド移行完了時間の3分間における温度変化幅であるデマンド値変更中のチラー入口低下温度は4℃となっている。この場合、調整値を1℃とすると、デマンド運転開始チラー入口温度の値は、「デマンド値変更中のチラー入口低下温度+デマンド移行完了後の必要チラー入口温度+調整値」であるため、4℃+5℃+1℃=10℃となる。
【0026】
チラー入口温度の計測値がデマンド運転開始チラー入口温度の10℃まで低下すると、チラー運転制御装置4はデマンド運転を開始する。ただしこのデマンド運転を開始した直後の時点では、チラー出力はまだ100%に近い値であって、チラーの出力値がデマンド値の30%になるまでには3分間の時間が必要である。チラー入口温度10℃でデマンド運転を開始し、チラーの出力減少を開始すると、デマンド移行を完了した時点でのチラー入口温度は10℃から4℃低下した6℃となるため、サーモオフ温度の4℃よりも高い状態でデマンド値に制限した運転を行うことができる。
【0027】
デマンド運転開始チラー入口温度の値は、外気温に対するチラー能力のテーブルと、循環水量と所定処理量に対するチラー能力により算出する。外気温が高い場合、冷却用水の循環量が多い場合、被冷却物の処理量が多い場合には、チラー入口温度は下がりにくくなり、その逆であればチラー入口温度は下がりやすくなる。チラー入口温度が下がりやすい場合には、デマンド値変更中のチラー入口低下温度が大きくなるため、デマンド運転開始チラー入口温度は高くなる。外気温などに応じて適切なデマンド運転開始チラー入口温度の値を算出することで、適切な時期にデマンド運転を開始することができる。
【0028】
また、上記実施例では冷水循環配管6に設けたチラー入口温度計測装置8にて計測しているチラー入口温度の値に基づいてデマンド運転の制御を行うようにしているが、冷水槽5の温度に基づいた制御を行ってもよい。
図3は冷水槽温度に基づいた制御を行う場合の図である。この場合、冷水槽5に水槽温度計測装置11を設け、水槽温度計測装置11は計測した水槽温度の値をチラー運転制御装置4へ送るようにしている。チラー運転制御装置4では、「デマンド値変更中の水槽低下温度+デマンド移行完了後の必要水槽温度+調整値」によってデマンド運転開始水槽温度の値を算出する。この場合もチラー運転制御装置4には、外気温に対応させたチラー能力のテーブルを持つプログラムを用意しておき、循環水量と所定処理量に対するチラー能力により、デマンド値変更中の水槽低下温度を算出する。このようにすることで、冷水槽5の温度に基づいてデマンド運転制御を行ってもよい。
【0029】
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 真空発生装置
2 処理槽
3 チラー
4 チラー運転制御装置
5 冷水槽
6 冷水循環配管
7 被冷却物
8 チラー入口温度計測装置
9 真空配管
10 熱交換器
11 水槽温度計測装置
12 外気温計測装置