(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6537466
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】通信装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/14 20090101AFI20190625BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20190625BHJP
H04W 72/08 20090101ALI20190625BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W72/04 132
H04W72/04 150
H04W72/08 110
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-54164(P2016-54164)
(22)【出願日】2016年3月17日
(65)【公開番号】特開2017-169123(P2017-169123A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2018年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆司
【審査官】
本橋 史帆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−200582(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/012578(WO,A1)
【文献】
特開2013−183316(JP,A)
【文献】
特開2013−192093(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/157183(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数チャネルのそれぞれについて、複数の期間のそれぞれにおいて送信された信号を検出し、当該信号の数を、前記複数の期間のそれぞれに対するトラフィックの量を示す値として取得する取得手段と、
前記値の時間変化に応じて、通信に用いる周波数チャネルを前記複数の周波数チャネルから選択する選択手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記複数の期間のそれぞれに対応する重みの値を、前記複数の期間のそれぞれに対する前記値に対して乗じて加算した加重加算値の大きさに基づいて、通信に用いる周波数チャネルを選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記重みの値は設定可能である、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記複数の周波数チャネルのそれぞれにおける電界強度を検出し、前記電界強度が所定値を超えた場合に、信号が送信されたと判定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記電界強度が、前記所定値を超えている間の所定の時間長の期間に、所定量以上の変動をしたことを検出した場合、当該変動の前と後とにおいて別の信号が送信されたと判定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記電界強度が前記所定値を超えている時間の長さが所定時間長を超えたことを検出した場合、当該所定時間長までは1つの信号が送信されたと判定し、当該所定時間長より後は別の信号が送信されたと判定する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記取得手段は、前記電界強度が前記所定値を超えた後に前記所定値以下となったことを検出した場合、信号の送信が終了したと判定する、
ことを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
通信装置の制御方法であって、
取得手段が、複数の周波数チャネルのそれぞれについて、複数の期間のそれぞれにおいて送信された信号を検出し、当該信号の数を、前記複数の期間のそれぞれに対するトラフィックの量を示す値として取得する取得工程と、
選択手段が、前記値の時間変化に応じて、通信に用いる周波数チャネルを前記複数の周波数チャネルから選択する選択工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項9】
通信装置に備えられたコンピュータに、
複数の周波数チャネルのそれぞれについて、複数の期間のそれぞれにおいて送信された信号を検出し、当該信号の数を、前記複数の期間のそれぞれに対するトラフィックの量を示す値として取得させ、
前記値の時間変化に応じて、通信に用いる周波数チャネルを前記複数の周波数チャネルから選択させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信に用いる周波数チャネルの選択手法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、LTE(ロングタームエボリューション)において、無線LANなどで使用されている非ライセンス周波数帯域を使用する、LAA−LTE(Licensed−Assisted Access using LTE)が検討されている。LTEでは、基地局装置が、上りリンクにおける端末装置による信号の送信が許されるリソースと、下りリンクにおける基地局装置からその端末装置へ宛てた信号が送信されるリソースとを、スケジューリングして、端末装置との通信を行う(非特許文献1参照)。このとき、ライセンス周波数帯域では、LTE以外の無線通信システムによる通信が行われないため、基地局装置は、他の無線通信システムによる通信を無視してスケジューリングを実行することができる。
【0003】
一方、非ライセンス周波数帯域では、LTEのみならず、他の無線通信システムもその周波数帯域を使用することとなるため、基地局装置及び端末装置は、他の無線通信システムによる通信からの、またその通信への影響を考慮して通信を行う必要がある。例えば、基地局装置及び端末装置は、無線LANの通信装置と同様に、信号を送信する前に、非ライセンス周波数帯域の無線チャネルが使用されているか否かを確認して、無線チャネルが使用されていない場合に、信号を送信するようにする。これにより、基地局装置及び端末装置は、他の無線通信システムとの間で公平に通信を行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TS36.300 v9.0.0、2009年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非ライセンス周波数帯域において、無線チャネルが使用されていない場合に通信する場合、無線チャネルが混雑している(すなわち、多くの通信装置がその無線チャネルで通信している)ことによって、通信ができない状況が生じうる。これに対して、一般に、非ライセンス周波数帯域には、複数の周波数チャネルが存在する。このため、基地局装置及び通信装置は、複数の周波数チャネルのうち、比較的混雑していない周波数チャネルを選択することにより、通信ができない状況となるのを防ぐことができる。しかしながら、基地局装置及び通信装置は、混雑していないと判定した周波数チャネルに移動しても、その周波数チャネルが実際にはトラフィックが増加傾向にある場合などは、移動後に混雑度が高まり、結果として通信できなくなる場合がある。一方、基地局装置及び通信装置がある周波数チャネルが混雑していると判定して、他の周波数チャネルに移動した場合であっても、実際には移動前の周波数チャネルの混雑度が減少傾向にあることがありうる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、混雑度の増減の傾向に応じた周波数チャネルの選択を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明による通信装置は、複数の周波数チャネルについて、複数の期間におけるトラフィックの量を示す値を前記複数の期間のそれぞれに対して取得する取得手段と、前記値の時間変化に応じて、通信に用いる周波数チャネルを前記複数の周波数チャネルから選択する選択手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信装置が、混雑度の増減の傾向に応じて周波数チャネルを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】電界強度と信号検出との関係を説明するための図。
【
図5】通信装置が実行する処理の流れの例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(無線通信システム)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、例えば、ロングタームエボリューション(LTE)の基地局装置(eNodeB)及び端末装置を含んで構成される。なお、基地局装置は、他の無線規格に従って通信可能な通信装置であってもよい。例えば、基地局装置は、過去又は将来のセルラ通信システムなど、他の無線通信規格の基地局装置でありうる。
【0012】
本実施形態に係る基地局装置は、端末装置との間で、LTE用に用意されたライセンス周波数帯域と、無線LANなどで使用される(例えば産業科学医療用(ISM)帯域などの)非ライセンス周波数帯域との両方を用いて通信を行うことができる。ここで、本無線通信システムでは、LAA−LTE(Licensed−Assisted Access using LTE)による通信が行われるものとする。すなわち、基地局装置と端末装置は、非ライセンス周波数帯域において、無線LANの通信方式ではなく、LTE規格で規定された通信方式で、無線通信を行うものとする。なお、以下では、基地局装置と端末装置とが、ライセンス周波数帯域と非ライセンス周波数帯域とにおいて無線通信を実行する場合の例について説明するが、これに限られない。すなわち、以下の議論は、通信装置が、複数の周波数チャネルにおけるトラフィックの量を示す値を取得し、その値に基づいて使用すべき周波数チャネルを選択するような、任意のシステムに適用することができる。また、以下では、主としてLAA−LTEにおける非ライセンス周波数帯域に着目して説明するが、これにも限られない。すなわち、任意の周波数帯域において、以下の議論を適用することができ、さらに、通信装置間で2つの周波数帯域で通信できる必要もなく、通信装置間で何らかの周波数帯域で通信する場合に、以下の議論を適用することができる。
【0013】
なお、
図1の例では、1つの基地局装置と1つの端末装置が示されているが、これに限られない。すなわち、一般的なセルラ通信システムのように、多数の基地局装置が端末装置にシームレスな通信可能エリアを提供するように配置され、多数の端末装置が、いずれかの基地局装置に接続しうる。
【0014】
非ライセンス周波数帯域では、基地局装置又は端末装置は、例えば上述のように、無線LANの通信装置と同様に、信号を送信する前に、自身が使用すべき周波数チャネルで通信が行われていないことを確認してから、信号を送信しうる。しかしながら、上述のように、基地局装置又は端末装置が、混雑度に応じて使用する周波数チャネルを決定しても、その周波数チャネルにおけるトラフィックの量の増減の傾向によって、その周波数チャネルを使用するのが適切でない場合がありうる。なお、これは、(例えば非ライセンス周波数帯域における)複数の周波数チャネルのうちのいずれかを選択して通信することができる無線通信システムにおいて生じうる課題であり、LAA−LTEに従う無線通信システムに固有の課題でないことに留意されたい。
【0015】
これに対して、本実施形態の通信装置は、複数の周波数チャネルのそれぞれについて、トラフィックの量に関する傾向を特定し、その結果に応じて、使用する周波数チャネルを選択する。より具体的には、通信装置は、複数の周波数チャネルのそれぞれについて、複数の期間におけるトラフィックの量を示す値を取得する。そして、通信装置は、その取得した値の時間変化に応じて、上述の複数の周波数チャネルの中から、使用すべき周波数チャネルを選択して使用する。ここで、通信装置は、例えば、いずれかの周波数チャネルで他の装置と通信中又は接続中である場合で、使用中の周波数チャネルでない周波数チャネルを使用すべき周波数チャネルとして選択した場合、周波数チャネルの切り替えを行う。また、通信装置は、例えば、他の装置との通信前又は接続を確立していない場合、当該他の装置との通信を開始する又は接続を確立する際に、使用すべき周波数チャネルとして選択された周波数チャネルを使用する。なお、ここでの通信装置は、LTEの基地局装置又は端末装置であり、特に使用する周波数チャネルを決定するのは基地局装置でありうるが、これに限られない。すなわち、一般的な、複数の周波数チャネルのうちのいずれかを用いて通信することができる通信装置であって、使用する周波数チャネルを決定することができる通信装置であれば、以下の議論を適用することができる。
【0016】
通信装置は、複数の期間のそれぞれについてのトラフィックの量に、その複数の期間のそれぞれに対応する重みの値を乗じて加算した加重加算値を、複数の周波数チャネルのそれぞれについて算出しうる。この場合、通信装置は、その加重加算値の大きさに基づいて、使用する周波数チャネルを選択する。例えば、通信装置は、加重加算値が所定値以下となる周波数チャネルのうちのいずれかを、使用する周波数チャネルとして選択しうる。なお、通信装置は、加重加算値が所定値以下となる周波数チャネルが複数存在する場合、例えば、乱数に従って、通信装置に固有の値に基づいて、現在使用中の周波数チャネルの識別情報に基づいて、等の様々な方法で、使用する周波数チャネルを選択しうる。また、通信装置は、加重加算値が最低となる周波数チャネルを、使用する周波数チャネルとして選択してもよい。
【0017】
なお、この加重加算値の算出に用いる重みの値は、例えば地理的又は時間的に統計で求められたトラフィックの増減傾向に従って、設定可能に構成されうる。例えば、所定間隔でトラフィックが増える傾向がある場合、加重加算値の算出対象時点よりその所定間隔分の時間だけ前の期間における重みの値を大きくし、それ以外の期間における重みの値を小さくしうる。これにより、加重加算値の算出対象時刻よりその所定間隔分だけ前の時刻を含む期間においてトラフィック量が多い場合、その算出対象時刻にはトラフィックの量が多くなる可能性が高い。このため、通信装置は、上述のような重みの値を用いた加重加算値に基づいて、そのような加重加算値が大きくなる周波数チャネルの使用を避けることができるようになる。なお、これ以外の様々な重みの値が設定されてもよく、これにより、通信装置は、トラフィックの量に統計的な傾向がある場合などに、トラフィック量の少ない適切な周波数チャネルを、使用すべき周波数チャネルとして選択することができる。
【0018】
また、通信装置は、複数の周波数チャネルについてのトラフィックの量の(例えば一階又は二階)微分値と、現時点から所定期間内のトラフィックの量とに基づいて、使用すべき周波数チャネルを選択してもよい。通信装置は、例えば、現時点から所定期間内の(例えば取得したもののうちの最新の)トラフィックの量の平均値と一階微分値によるトラフィックの量を示す値の傾きから、使用すべき周波数チャネルの選択時点での、予想されるトラフィックの量を推定しうる。そして、通信装置は、その予想されるトラフィックの量が所定量以下の、又は最小の、周波数チャネルを、使用すべき周波数チャネルとして選択しうる。また、通信装置は、トラフィックの量の一階微分値と二階微分値から、トラフィックの量が増加又は減少する速度を特定することができる。したがって、通信装置は、例えば、トラフィック量が急激に増加する傾向にある周波数チャネルを選択しないようにしうる。また、通信装置は、ある周波数チャネルにおいて、現時点でトラフィック量が多くとも、その減少する速度が速い場合は、その周波数チャネルを選択しうる。
【0019】
なお、通信装置は、上述の複数の周波数チャネルのそれぞれについて、上述の複数の期間のそれぞれにおいて送信された信号を検出することによって、その検出された信号の数を、上述のトラフィックの量を示す値として取得しうる。ここで、通信装置は、信号が送信されたか否かを、電界強度を測定することにより特定しうる。通信装置は、例えば、電界強度が所定値を超えた場合に信号が送信されたと判定しうる。このとき、通信装置は、例えば、電界強度が所定値を超えた後に所定値以下となったことを検出したことに応じて、信号の送信が終了したことを検出しうる。なお、通信装置は、電界強度が所定値を超えた瞬間があったとしても、電界強度がその所定値を超えていた期間が、例えば信号であれば超えるはずの一定期間に満たなかった場合、信号は送信されていないと判定しうる。また、通信装置は、電界強度が所定値を超えている間の所定の短い時間長の期間において、所定量以上の変動をしたことを検出した場合、その変動の前と後とにおいて別の信号が送信されたと判定しうる。すなわち、通信装置は、電界強度が連続して所定値を超え続けている場合であっても、その電界強度が大幅に変動した場合には、その電界強度が1つの信号によって生じたものではなく、2つ(以上)の信号によって生じたものと判定しうる。これは、通信装置からの距離が異なる複数の他の装置から信号が送信されたか、複数の他の装置から異なる電力で信号が送信されたかの少なくともいずれかの場合に、通信装置の位置において、受信電界強度の大幅な変動が生じると考えられるからである。また、通信装置は、電界強度が所定値を超えている時間の長さが所定時間長を超えたことを検出した場合、その所定時間長までは1つの信号が送信されたと判定し、その所定時間長より後は別の信号が送信されたと判定しうる。これは、例えば、電界強度が所定値を超えている期間の時間長が法定の信号の最大時間長を超える場合は、その電界強度は1つの信号によるものではないと言える。このため、通信装置は、電界強度が所定値を超えている期間の時間長が所定時間長を超える場合には、2つ以上の信号が検出されたと判定することができる。
【0020】
なお、通信装置は、上述の複数の期間のそれぞれにおける、上述の複数の周波数チャネルのそれぞれの使用時間率を、上述のトラフィックの量を示す値として取得しうる。この場合、上述のような、信号の数の特定は不要であり、通信装置は、例えば、ある周波数チャネルにおいて電界強度が所定値を超える時間率を、その周波数チャネルの使用時間率として特定することができる。
【0021】
以下では、このような処理を行う通信装置の構成と、通信装置が実行する処理の流れの実施形態について、詳細に説明する。
【0022】
(ハードウェア構成)
図2に、通信装置のハードウェア構成例を示す。通信装置は、一例において、
図2に示すようなハードウェア構成を有し、例えば、CPU201、ROM202、RAM203、外部記憶装置204、及び通信回路205を有する。通信装置では、例えばROM202、RAM203及び外部記憶装置204のいずれかに記録された、上述のような通信装置の各機能を実現するプログラムがCPU201により実行される。
【0023】
そして、通信装置は、例えばCPU201により通信回路205を制御して、他の装置と通信を行う。なお、通信装置の通信回路205は、例えば、通信装置が基地局装置である場合、LTEの無線インタフェース等のセルラ無線通信インタフェースによって端末装置と通信し、また、他の基地局装置との間で有線又は無線通信インタフェースを介して通信しうる。また、通信装置の通信回路205は、例えば、通信装置が端末装置である場合、LTEの無線インタフェース等のセルラ無線通信インタフェースによって基地局装置又は他の通信装置と通信しうる。なお、ここでのセルラ無線通信インタフェースは、ライセンス周波数帯域におけるセルラ通信のみならず、非ライセンス周波数帯域におけるセルラ通信の原理を用いた通信を行うものとする。また、通信装置は、セルラ無線通信インタフェースのみならず、例えば無線LANの通信インタフェースを有していてもよい。なお、
図2の構成において、通信装置は、1つの通信回路205を有するような概略図を示しているが、これに限られない。例えば、通信装置は、ライセンス周波数帯域における通信用の第1の通信回路と、非ライセンス周波数帯域における通信用の第2の通信回路とを有しうる。
【0024】
なお、通信装置は、各機能を実行する専用のハードウェアを備えてもよいし、一部をハードウェアで実行し、プログラムを動作させるコンピュータでその他の部分を実行してもよい。また、全機能がコンピュータとプログラムにより実行されてもよい。
【0025】
(通信装置の機能構成)
図3に、通信装置の機能構成例を示す。通信装置は、一例として、無線通信部301、トラフィック量取得部302、及び使用チャネル選択部303を有する。無線通信部301は、相手装置との間で、ライセンス周波数帯域及び非ライセンス周波数帯域を用いて、LTEの通信を行う。なお、本例では、無線通信部301のみを示しているが、通信装置は、例えば、有線通信部を有してもよい。無線通信部301は、例えば、非ライセンス周波数帯域における複数の周波数チャネルを切り替えて通信することができる。
【0026】
トラフィック量取得部302は、例えば無線通信部301を介して受信電界強度を監視して、複数の期間において複数の周波数チャネルのそれぞれが使用されたか否かを検出する。そして、トラフィック量取得部302は、その検出結果によって、各周波数チャネルについての、複数の期間におけるトラフィックの量を示す値を取得する。なお、トラフィック量取得部302は、例えば、複数の周波数チャネルを所定周期で切り替えて電界強度の検出を行うように、無線通信部301を制御しうる。トラフィック量取得部302は、例えば、使用可能な周波数チャネルのリストを有し、そのリスト中の周波数チャネルのうちの1つを、例えばリスト順又はランダムに、選択して、その周波数チャネルが使用されているか否かの検出を行う。
【0027】
例えば、トラフィック量取得部302は、検出を実行する期間内において、検出した電界強度に基づいて、周囲の装置から送信された信号の数を、トラフィックの量を示す値として取得しうる。ここで、
図4(A)〜
図4(D)を用いて、電界強度に基づく、信号の検出方法のいくつかの例について説明する。
【0028】
図4(A)は、電界強度が所定の閾値を超えた後に、その閾値以下となった場合の例を示している。この場合、トラフィック量取得部302は、1つの信号が送信されたと判定する。なお、トラフィック量取得部302は、電界強度が所定の閾値を超えた期間の長さが非常に短い場合は、その電界強度は信号ではなく雑音等によるものであると判定し、信号が検出されていないと判定しうる。
【0029】
図4(B)は、電界強度が所定の閾値を超えた後に、その閾値以下となり、さらにその後に、再度所定の閾値を超えてからその閾値以下となった場合の例を示している。この場合、トラフィック量取得部302は、最初に電界強度が所定の閾値を超えてからその閾値以下となった期間に1つの信号が送信され、次に電界強度が所定の閾値を超えてからその閾値以下となった期間に2つ目の信号が送信されたと判定しうる。すなわち、
図4(B)の例では、トラフィック量取得部302は、2つの信号が送信されたことを検出しうる。このように、トラフィック量取得部302は、電界強度が所定の閾値を超えてからその閾値以下となった期間を1つの信号が送信された期間として検出することで、各周波数チャネルで送信された信号の個数を計数することができる。
【0030】
図4(C)は、電界強度が所定の閾値を超えている間に、電界強度がその閾値以下とはならないものの、所定の短い時間長の期間に所定量以上下がった(変動した)場合の例を示している。この場合、トラフィック量取得部302は、電界強度が変動する前と後とで、それぞれ異なる信号が送信されたと判定しうる。これは、1つの信号であれば、電界強度が変動するとしても、その変動は緩やかである場合が多く、所定量以上の変動が所定の短い時間長の期間に生じるのは、その変動の前後で別の信号が送信された場合と考えられるからである。なお、
図4(C)では、電界強度が下がった場合の例を示しているが、トラフィック量取得部302は、電界強度が短期間に所定量以上上がった場合も同様に、変動の前と後とで、別の信号が送信されたと判定しうる。
【0031】
図4(D)は、電界強度が所定の閾値を超えている期間の長さが所定時間長を超えた場合の例を示している。この所定時間長は、例えば、法定の信号の最大時間長に対応しうる。例えば、日本では、無線LANの周波数帯域(5GHz帯)においては、4ミリ秒を超えて信号を送信し続けることは許されていない。このため、トラフィック量取得部302は、例えば4ミリ秒を超えて電界強度が所定の閾値を超えている場合には、2つ以上の信号が送信されたと判定しうる。より具体的には、例えば、トラフィック量取得部302は、電界強度が所定の閾値を超えてから所定時間長までの期間は、1つの信号が送信されたと判定し、その後から、次の所定時間長までの期間は2つ目の信号が送信されたと判定しうる。同様にして、トラフィック量取得部302は、電界強度が所定の閾値を超えた状態が継続する場合は、3つ以上の信号が送信されたと判定してもよい。
【0032】
トラフィック量取得部302は、例えば、
図4に示される方法によって、第1の周波数チャネルについて、ある期間において送信された信号の個数を計数する。そして、トラフィック量取得部302は、周波数チャネルを切り替えて、第2の周波数チャネルについて、同様の長さを有する期間において、送信された信号の個数を計数する。トラフィック量取得部302は、この処理を全周波数チャネルに対して実行した後に、再度、第1の周波数チャネルに周波数チャネルを切り替えて、送信された信号の個数の計数を行う。トラフィック量取得部302は、これらの処理を繰り返し実行することにより、複数の周波数チャネルについて、それぞれ複数の期間にわたるトラフィックの量を示す値を取得することができる。なお、例えば、無線通信部301が複数の周波数チャネルを同時に監視することができる場合は、トラフィック量取得部302は、周波数チャネルの切り替えを行わずに、その複数の周波数チャネルにおけるトラフィックの量を示す値を、同時に取得してもよい。
【0033】
なお、トラフィック量取得部302は、
図4に示される以外の方法を用いて信号を検出してもよい。例えば、トラフィック量取得部302は、無線通信部301を介して信号(例えばヘッダ)の復調を試行し、復調できた場合には有意な信号が送信されたと判定することができる。この場合、無線通信部301は、例えばLTE以外の、無線LAN等の通信方式に従って信号を受信できるように構成されうる。
【0034】
また、トラフィック量取得部302は、検出を実行する期間の時間長に対する、電界強度が所定値を超えていた時間長の比率である周波数チャネルの使用時間率を、トラフィックの量を示す値として取得しうる。なお、トラフィック量取得部302は、取得したトラフィックの量を示す値を、その取得した時刻等の時間を示す情報と共に記憶しておく。
【0035】
使用チャネル選択部303は、トラフィック量取得部302が取得したトラフィックの量を示す値の時間変化に基づいて、使用可能な複数の周波数チャネルのうちのいずれを使用するかを決定する。例えば、使用チャネル選択部303は、各周波数チャネルについて複数の期間にわたって取得されたトラフィックの量を示す複数の値に、それぞれ重み値を乗じて加算した加重加算値を算出して、その加重加算値に基づいて使用する周波数チャネルを選択する。ここで、加重加算値は、例えば、現在時刻からn番目に近いタイミングで取得されたトラフィックの量を示す値に対して第nの重みを乗じて、その乗算結果を加算したことによって得られる値である。なお、ここで用いられる重みの値は、時間や場所等の様々な要因によって、又は、何らかの経験的な知識に基づいて、設定できるように構成されうる。使用チャネル選択部303は、例えば、加重加算値が所定値以下であるような周波数チャネルを、使用すべき周波数チャネルとして選択しうる。なお、使用チャネル選択部303は、トラフィックの量を示す値の微分値等に基づいて、使用すべきチャネルを選択してもよい。
【0036】
(処理の流れ)
続いて、通信装置が実行する処理の流れについて、
図5を用いて説明する。通信装置は、例えば非ライセンス周波数帯域における、複数の周波数チャネルについて、それぞれ、複数の期間にわたって、トラフィックを監視し、トラフィックの量を示す値を取得する(S501)。このトラフィックの量を示す値は、例えば、複数の期間のそれぞれにおいて、送信された信号(パケット)の数、又は、対象の周波数チャネルが使用されていた時間使用率でありうる。
【0037】
その後、通信装置は、例えば、S501でトラフィックの量を示す値を取得する度、又は、通信装置が他の装置と接続する際又は接続中に周波数チャネルを変更する際に、使用すべきチャネルの選択処理を実行する(S502)。このとき、この選択処理は、S501で取得されたトラフィックの量を示す値の時間変化に基づいて実行される。通信装置は、例えば、複数の期間のそれぞれに対応する複数の重みの値を用意し、その複数の期間のそれぞれに関するトラフィックの量を示す値に乗じて加算した加重加算値を算出して、その加重加算値に基づいて、使用すべき周波数チャネルを選択する。また、通信装置は、トラフィックの量を示す値の時間微分値に基づいて、トラフィックの量の時間変化を予測して、使用すべき周波数チャネルを選択してもよい。
【0038】
このように、本実施形態に係る通信装置は、トラフィックの量の時間変動に応じて、トラフィックが増加する確率が高いか、減少する確率が高いかを判断して、使用すべき周波数チャネルを決定する。このため、通信装置は、瞬時のトラフィックの量によらず、将来にわたって混雑していない蓋然性の高い周波数チャネルを選択することが可能となる。また、この結果、不必要に周波数チャネルを切り替えることがなくなる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明した。この実施形態はあくまでも例示であり、明らかに、本発明を実施形態の形式に限定することを意図したものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定された範囲内での上述の実施形態に対する様々な変更を許容するものである。