特許第6537488号(P6537488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6537488
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】車両ドア開閉制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20190625BHJP
   E05F 15/77 20150101ALI20190625BHJP
   E05F 15/79 20150101ALI20190625BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20190625BHJP
   E05B 49/00 20060101ALN20190625BHJP
【FI】
   E05F15/73
   E05F15/77
   E05F15/79
   B60J5/10 K
   !E05B49/00 J
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-242042(P2016-242042)
(22)【出願日】2016年12月14日
(65)【公開番号】特開2018-96128(P2018-96128A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2018年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】元木 雅之
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 裕仁
(72)【発明者】
【氏名】王 建新
【審査官】 小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−500414(JP,A)
【文献】 特開2016−166463(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/155186(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102014117896(DE,A1)
【文献】 特開2009−127336(JP,A)
【文献】 特開2014−227717(JP,A)
【文献】 特表2015−529758(JP,A)
【文献】 特表2003−531976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00 − 15/79
B60J 5/04、 5/10
B60R 25/01、 25/31
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア付近に設けられ、ユーザの身体部位の接近および離反に基づいて当該部位の所定動作を検出するセンサと、
前記センサが前記所定動作を検出したことに基づいて、前記車両のドアを開動作または閉動作させる制御部と、を備えた車両ドア開閉制御装置において、
前記センサの出力に対して閾値が設定されており、
前記所定動作によって、前記センサの出力が前記閾値を超えてから、前記閾値を下回るまでの動作継続時間を計測する第1時間計測部と、
前記センサの出力が前記閾値を下回った後の経過時間を計測する第2時間計測部と、
前記第1時間計測部で計測された前記動作継続時間に基づいて、当該時間が経過してから前記所定動作が終了するまでの動作終了推定時間を算出する算出部と、を備え、
前記制御部は、前記第2時間計測部で計測された前記経過時間が、前記算出部で算出された前記動作終了推定時間に達すると、前記車両のドアの開動作または閉動作を開始する、ことを特徴とする車両ドア開閉制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両ドア開閉制御装置において、
前記算出部は、前記第1時間計測部で計測された前記動作継続時間の1/2の時間を、前記動作終了推定時間として算出する、ことを特徴とする車両ドア開閉制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両ドア開閉制御装置において、
前記センサは、ユーザの足の接近および離反に基づいて足の所定動作を検出する、ことを特徴とする車両ドア開閉制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両ドア開閉制御装置において、
前記所定動作は、足のキック動作であることを特徴とする車両ドア開閉制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両ドア開閉制御装置において、
ユーザの所持する携帯機から送信された識別情報に基づいて、当該携帯機が正規のものであるか否かを認証する認証部をさらに備え、
前記制御部は、前記認証部が前記携帯機を正規のものと認証し、かつ、前記経過時間が前記動作終了推定時間に達した場合に、前記車両のドアの開動作または閉動作を開始する、ことを特徴とする車両ドア開閉制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両ドア開閉制御装置において、
前記認証部は、前記センサにより前記所定動作が検出された後に、前記認証を実行する、ことを特徴とする車両ドア開閉制御装置。
【請求項7】
請求項5に記載の車両ドア開閉制御装置において、
前記認証部は、前記センサにより前記所定動作が検出される前に、前記認証を実行する、ことを特徴とする車両ドア開閉制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足などの身体部位の所定動作を検出して車両のドアを開閉する車両ドア開閉制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のスライドドアやバックドアなどを開閉するシステムとして、ユーザが携帯機を操作することで、携帯機から車両へ制御信号が送信され、この信号に基づいてドアが開閉されるシステムや、携帯機を所持したユーザが車両に接近すると、携帯機と車両との間の通信に基づいてドアが開閉されるシステムなどが、従来から知られている(たとえば特許文献1、特許文献2)。
【0003】
特許文献1では、携帯機を所持したユーザが車両に接近する場合、接近速度が速いときはドアを開くタイミングを早くし、接近速度が遅いときはドアを開くタイミングを遅くすることで、ユーザの車両への接近速度に応じたタイミングでドアを開くようにしている。また、特許文献2では、ユーザの所持する携帯機から車両まで距離と、携帯機の位置の時間的変化とに基づいて、車両までの到達時間を周期的に算出し、この到達時間に応じてドアを開く速度を制御するようにしている。
【0004】
また一方で、ユーザが両手に荷物を持っているような場合でも、足の動作(たとえばキック動作)により、車両のドアを開くことが可能なドア開閉システムが知られている(たとえば特許文献3)。
【0005】
特許文献3では、車両後部の異なる場所に、足のキック動作を検出する2つのセンサが配置されている。そして、一方のセンサの出力信号と、他方のセンサの出力信号との時間差を検出し、この時間差が所定の基準を満たしている場合は、足のキック動作が行われたと判断し、ドアを開くようにしている。
【0006】
足のキック動作を検出して車両のドアを開閉する場合、キック速度には個人差がある。キック速度が速いユーザの場合は、足を蹴り上げてから着地させるまでの時間が短く、キック速度が遅いユーザの場合は、足を蹴り上げてから着地させるまでの時間が長い。一方、ドアの開閉動作は、足が着地するまでの過程で、センサ出力が所定レベルまで低下した時点から、一定時間が経過した後に開始される(詳細は後述)。
【0007】
したがって、キック速度が速いと、足が着地した時点ではドアの開閉が開始されず、しばらく待ってからドアの開閉が開始されるので、ユーザは、ドア開閉までの時間を長く感じる。一方、キック速度が遅いと、足が着地するまでにドアの開閉が開始されるので、ユーザは、ドア開閉までの時間を短く感じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−127336号公報
【特許文献2】特開2014−227717号公報
【特許文献3】特表2014−500414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、身体部位の動作速度に応じた最適のタイミングでドアの開閉を行える車両ドア開閉制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る車両ドア開閉制御装置は、車両のドア付近に設けられ、ユーザの身体部位の接近および離反に基づいて当該部位の所定動作を検出するセンサと、このセンサが身体部位の所定動作を検出したことに基づいて、車両のドアを開動作または閉動作させる制御部とを備えている。センサの出力に対しては、閾値が設定されている。そして、身体部位の所定動作によって、センサの出力が閾値を超えてから、閾値を下回るまでの動作継続時間を計測する第1時間計測部と、センサの出力が閾値を下回った後の経過時間を計測する第2時間計測部と、第1時間計測部で計測された動作継続時間に基づいて、当該時間が経過してから所定動作が終了するまでの動作終了推定時間を算出する算出部とが設けられている。制御部は、第2時間計測部で計測された経過時間が、算出部で算出された動作終了推定時間に達すると、車両のドアの開動作または閉動作を開始する。
【0011】
このような車両ドア開閉制御装置によると、身体部位の動作が速い場合は、動作継続時間が短いため、動作終了推定時間は短くなる。また、身体部位の動作が遅い場合は、動作継続時間が長いため、動作終了推定時間は長くなる。そして、いずれの場合も、動作終了推定時間が経過した時点、すなわち身体部位の所定動作が終了した時点から、ドアの開動作または閉動作が開始されるので、ユーザがドア開閉までの時間を遅く感じたり、早く感じたりするという不具合が解消される。
【0012】
本発明において、算出部は、たとえば、第1時間計測部で計測された動作継続時間の1/2の時間を、動作終了推定時間として算出してもよい。
【0013】
本発明において、センサは、ユーザの足の接近および離反に基づいて足の所定動作を検出してもよい。この場合の所定動作は、たとえば足のキック動作である。
【0014】
本発明において、ユーザの所持する携帯機から送信された識別情報に基づいて、当該携帯機が正規のものであるか否かを認証する認証部がさらに備わっていてもよい。この場合、制御部は、認証部が携帯機を正規のものと認証し、かつ、前述の経過時間が動作終了推定時間に達した場合に、車両のドアの開動作または閉動作を開始する。認証部は、センサにより所定動作が検出された後に認証を実行してもよいし、センサにより所定動作が検出される前に認証を実行してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、足などの身体部位の動作速度に応じた最適のタイミングで車両のドアを開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】車両ドア開閉制御装置が搭載される車両の後面図である。
図2図1の車両の部分側面図である。
図3】車両ドア開閉制御装置のブロック図である。
図4】キックセンサによるキック動作の検出を説明する図である。
図5】本発明の原理を説明する図である。
図6】本発明の具体例を説明する図である。
図7】従来のドア開閉制御を説明する図である。
図8】車両ドア開閉制御装置の動作を表したフローチャートである。
図9】他の実施形態によるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0018】
最初に、車両ドア開閉制御装置の構成について、図1図3を参照しながら説明する。図1は、車両Vを後方から見た図であり、図2は、車両Vを側方から見た図である。図中、矢印Xは前後方向、矢印Yは左右方向、矢印Zは上下方向を表している。
【0019】
図1および図2において、車両Vは乗用車であって、車体1、バックドア2、後部バンパー3、後部ウィンドウ4、タイヤ5、および複数(ここでは4個)のキックセンサ11〜14などを備えている。
【0020】
キックセンサ11〜14は、ユーザの足の接近および離反に基づいて、足のキック動作を検出するセンサであって、たとえば静電容量式の近接センサからなる。これらのキックセンサ11〜14は、バックドア2付近の後部バンパー3に、水平方向(Y方向)に所定の間隔を置いて配列されており、各センサは破線で示した検出領域A1〜A4を有している。
【0021】
図1に示すように、検出領域A1〜A4は左右方向Yおよび上下方向Zに広がっているとともに、図2に示すように、前後方向Xにも広がっている。図1からわかるように、隣接するセンサのそれぞれの検出領域の一部は、センサの配列方向(Y方向)において重なっている。
【0022】
図3は、車両ドア開閉制御装置の電気的構成の一例を示したブロック図である。車両ドア開閉制御装置100は、図1の車両Vに搭載されており、センサ10と、検出部20と、制御部30と、認証部40とを備えている。なお、図3では、本発明に関係するブロックのみを図示してある。
【0023】
センサ10は、上述したキックセンサ11〜14から構成されている。検出部20は、センサ10の出力に基づいて、キック動作の状態を検出する。検出部20には、動作継続時間計測部21、経過時間計測部22、および動作終了推定時間算出部23が備わっている。それぞれの詳細については後述する。動作継続時間計測部21は、本発明における「第1時間計測部」に相当し、経過時間計測部22は、本発明における「第2時間計測部」に相当し、動作終了推定時間算出部23は、本発明における「算出部」に相当する。これらの各部の機能は、実際にはソフトウェアによって実現される。
【0024】
制御部30は、CPUやメモリなどから構成されており、センサ10がキック動作を検出した場合に、検出部20から出力される信号に基づきドア開閉部300を制御して、車両Vのバックドア2を開動作または閉動作させる。
【0025】
ドア開閉部300は、バックドア2を開閉するためのモータや、バックドア2を施錠・解錠するためのアクチュエータや、それらを駆動するための駆動回路などから構成されている(図示省略)。
【0026】
ユーザが所持する携帯機200は、キーFOBからなり、ユーザにより操作される操作部や、認証部40と通信を行う通信部などを備えている(図示省略)。
【0027】
認証部40は、携帯機200との間で通信を行って、当該携帯機200の認証を行う。詳しくは、ユーザが車両に接近したときに、認証部40は、携帯機200に対して識別情報の送信を要求する。識別情報は、たとえば携帯機200に割り当てられているキーIDである。そして、認証部40は、携帯機200から受診した識別情報を、あらかじめ記憶されている識別情報と照合し、その照合結果に基づいて、当該携帯機200が正規のものであるか否かを認証する。認証部40には、携帯機200と通信を行う通信部や、携帯機200の識別情報を記憶した記憶部なども備わっている(図示省略)。
【0028】
次に、キック動作の詳細について、図4を参照しながら説明する。図4では、便宜上、キックセンサ11とその検出領域A1のみを図示してある。ユーザは、バックドア2(図1)を開閉する際に、車両Vの後方に立って、キックセンサ11の位置でキック動作を行う。図4(a)は、足Fを前方に蹴り上げる直前の状態を示している。この状態では、検出領域A1に足Fが入っていないため、キックセンサ11は足Fを検出しない。図4(b)は、足Fを蹴り上げて、検出領域A1に足Fが入った直後の状態を示している。この状態では、キックセンサ11が足Fを検出する。しかし、この時点では、足Fの一部が検出されるだけなので、センサ出力のレベルは小さい。図4(c)は、足Fをさらに蹴り上げて、足先が車体1と地面Gとの間に入り込んだ状態を示している。この状態では、引き続き検出領域A1に足Fが入っており、キックセンサ11による足Fの検出が継続される。そして、足Fの大部分が検出されるため、センサ出力のレベルが大きくなる。その後、足Fが後方に引かれて、図4(b)の状態を経て、図4(a)の状態に戻る。以上の一連の動作が、足Fのキック動作となる。
【0029】
このようなキック動作においては、冒頭でも述べたように、キック速度に個人差があるため、キック速度の速いユーザは、バックドア2の開閉が開始されるまでの時間を長く感じ、キック速度の遅いユーザは、バックドア2の開閉が開始されるまでの時間を短く感じる結果となる。そこで、本発明では、ユーザのキック速度に応じて、バックドア2の開閉が開始されるまでの時間を可変とすることにより、上記のような不具合を解消している。
【0030】
図5は、本発明の原理を説明する図である。(a)は、キック動作における足Fの位置P1、P2、P3を示している。(b)および(c)は、足Fの位置P1、P2、P3とセンサ(ここではキックセンサ11)の出力との関係を示しており、(b)はキック速度が速い場合、(c)はキック速度が遅い場合である。
【0031】
図5(a)のようにキック動作を行った場合、キック速度が標準よりも速ければ、センサ出力は、足Fの位置P1、P2、P3に応じて、図5(b)の実線のように変化する。また、キック速度が標準よりも遅ければ、センサ出力は、足Fの位置P1、P2、P3に応じて、図5(c)の実線のように変化する。破線は、キック速度が標準の場合のセンサ出力を表している。なお、実際のセンサ出力は、図のような直線ではないが、ここでは便宜上、センサ出力を直線により模式的に表してある。
【0032】
図5(b)、(c)のように、センサ出力に対して、閾値Kが設定されている。この閾値Kは、図3の検出部20に記憶されている。本例では、閾値Kは、足FがP2の位置にあるとき、すなわち足Fが検出領域A1に入った直後のセンサ出力の値に設定されている。ここで、キック動作によって、センサ出力が閾値Kを超えてから、閾値Kを下回るまでの時間Tonを「動作継続時間」とし、この動作継続時間Tonが経過してから、足位置P1でキック動作が終了するまでの時間Toffを「動作終了推定時間」とする。動作継続時間Tonは、検出部20の動作継続時間計測部21によって計測され、動作終了推定時間Toffは、検出部20の動作終了推定時間算出部23によって算出される。
【0033】
本発明では、動作終了推定時間Toffを、動作継続時間Tonに基づいて算出する(具体例は後述)。すなわち、動作終了推定時間Toffは、動作継続時間Tonに依存したものとなる。このため、図5(b)の実線のように、キック速度が速い場合は、動作継続時間Tonが短いため、動作終了推定時間Toffは短くなる。また、図5(c)の実線のように、キック速度が遅い場合は、動作継続時間Tonが長いため、動作終了推定時間Toffは長くなる。そして、いずれの場合も、動作終了推定時間Toffが経過した時点、すなわちキック動作が終了した時点から、バックドア2の開動作または閉動作が開始されるので、ユーザがドア開閉までの時間を遅く感じたり、早く感じたりするという不具合を解消することができる。
【0034】
図6は、実際のセンサ出力の波形と、動作終了推定時間Toffの算出方法の具体例を示している。図6(a)はキック速度が標準の場合の出力波形であり、図5(b)、(c)の破線に対応している。図6(b)は、キック速度が速い場合の出力波形であり、図5(b)の実線に対応している。図6(c)は、キック速度が遅い場合の出力波形であり、図5(c)の実線に対応している。
【0035】
図6においては、動作継続時間Tonの1/2の時間を、動作終了推定時間Toffとして算出している。たとえば、図6(a)の場合は、動作継続時間(Ton)をTaとして、動作終了推定時間(Toff)はTa/2となる。図6(b)の場合は、動作継続時間(Ton)をTb(Tb<Ta)として、動作終了推定時間(Toff)はTb/2となる。図6(c)の場合は、動作継続時間(Ton)をTc(Ta<Tc)として、動作終了推定時間(Toff)はTc/2となる。すなわち、動作終了推定時間Toffは動作継続時間Tonに比例し、動作継続時間Tonが短いと、動作終了推定時間Toffも短くなり、動作継続時間Tonが長いと、動作終了推定時間Toffも長くなる。
【0036】
このように、動作終了推定時間をToff=Ton/2の演算によって算出するのは、センサ出力がピーク値から閾値K未満まで低下する時間(Ton/2)と、その後に足が着地するまでの時間とがほぼ等しくなるという、実験的事実に基づいている。したがって、動作継続時間Tonが経過した後、さらに動作終了推定時間Toffが経過した時点で、足が着地してキック動作が終了したとみなすことができる。そして、動作終了推定時間Toffの経過時点で、バックドア2の開閉が開始されるので、キック動作の終了時点(足の着地時点)に合わせて、バックドア2を開閉することができる。このため、図6(a)〜(c)のいずれのパターンのキック動作が行われた場合でも、それぞれのキック速度に応じた最適のタイミングでドアの開閉を行うことができ、ユーザに違和感を与えることがなくなる。
【0037】
図7に示した従来の場合は、(a)〜(c)のいずれのパターンにおいても、動作継続時間Tonが経過した後、固定値として設定された一定時間Tsが経過した時点で、バックドアの開閉が開始される。このため、(b)の場合は着地が完了してもドア開閉が開始されず、(c)の場合は着地が完了する前にドア開閉が開始されるが、本発明によれば、このような不具合は発生しない。
【0038】
図8は、車両ドア開閉制御装置100の動作を表したフローチャートである。破線で囲んだ各ステップは、検出部20により実行される手順である。
【0039】
ステップS1では、キックセンサの出力レベルが閾値K以上か否かが判定される。キックセンサ11〜14のいずれかの出力レベルが閾値K以上であれば(ステップS1:YES)、ステップS2に進み、閾値K以上でなければ(ステップS1:NO)、処理を終了する。
【0040】
ステップS2では、動作継続時間計測部21により、動作継続時間Tonが計測される。続いて、ステップS3で、キックセンサの出力レベルが閾値K未満か否かが判定される。出力レベルが閾値K未満であれば(ステップS3:YES)、ステップS4に進み、閾値K未満でなければ(ステップS3:NO)、ステップS2へ戻って、動作継続時間Tonの計測を続ける。
【0041】
ステップS4では、動作継続時間Tonが確定され、続くステップS5では、この動作継続時間Tonに基づいて、動作終了推定時間算出部23が動作終了推定時間Toffを算出する。前記の例では、Toff=Ton/2となる。
【0042】
次に、ステップS6において、経過時間計測部22により、キックセンサの出力レベルが閾値Kを下回った後(動作継続時間Tonが経過した後)の経過時間tの計測が開始される。そして、続くステップS7で、経過時間tが動作終了推定時間Toffに達した(Toff≦t)か否かが判定される。判定の結果、Toff≦tであれば(ステップS7:YES)、キック動作が完了したと判断してステップS8へ進み、Toff≦tでなければ(ステップS7:NO)、キック動作が完了していないと判断して、ステップS7を反復する。
【0043】
ステップS8では、検出部20から制御部30へ、キック動作完了信号が送信される。以後のステップS9〜S11は、制御部30により実行される手順である。
【0044】
制御部30は、検出部20からキック動作完了信号を受信すると、ステップS9で、認証部40に対して携帯機200の認証を要求する。そして、ステップS10で、認証部40から通知された認証結果がOKか否かを判定する。認証結果がOKであれば(ステップS10:YES)、ステップS11へ進み、認証結果がOKでなければ(ステップS10:NO)、処理を終了する。
【0045】
ステップS11では、制御部30は、バックドア2の開閉を行うための開閉制御信号をドア開閉部300へ送信して、バックドア2の開動作または閉動作を実行する。
【0046】
このようにして、認証部40が携帯機200を正規のものと認証し、かつ、経過時間tが動作終了推定時間Toffに達した場合に、車両Vのバックドア2の開動作または閉動作が開始される。
【0047】
図9は、他の実施形態によるフローチャートを示している。図9では、図8と同じ処理を行うステップに、図8と同じ符号を付してある。図8の場合は、キック動作が終了した後に認証を行っているが、図9の場合は、キック動作の検出前に認証を行う。このため、図8のステップS9およびS10が、ステップS1より先に実行される。図9の実施形態によると、キック動作完了からバックドア2の開閉までの時間を短縮することができる。
【0048】
本発明では、以上述べた実施形態以外にも、以下のような種々の実施形態を採用することができる。
【0049】
図3では、動作継続時間計測部21、経過時間計測部22、および動作終了推定時間算出部23を検出部20に設けているが、これらの各機能を制御部30に組み込んでもよい。
【0050】
前記の実施形態では、動作継続時間Tonの1/2の時間を、動作終了推定時間Toffとして算出した例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。Toff=N・Tonの演算式におけるNの値(0<N<1)は、適宜選定することができる。
【0051】
前記の実施形態では、キックセンサ11〜14として、静電容量式の近接センサを用いた例を挙げたが、これに代えて、反射型光センサや超音波センサのような他のセンサを用いてもよい。また、キックセンサ11〜14のそれぞれは、単一のセンサ素子で構成してもよいし、複数のセンサ素子で構成してもよい。
【0052】
前記の実施形態では、足を蹴り上げるキック動作を検出する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、足を蹴り上げずに、前後、左右、または斜め方向に動かすだけの動作を検出してもよい。また、検出する身体部位は、足に限らず、腕などであってもよい。
【0053】
前記の実施形態では、バックドア2を開閉する場合を例に挙げたが、開閉するドアは、スライドドアであってもよい。この場合、キックセンサ11〜14は、車両側部のスライドドア付近に設けられる。また、開閉するドアはトランクを開閉するドアであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
2 バックドア
10 センサ
11〜14 キックセンサ
20 検出部
21 動作継続時間計測部(第1時間計測部)
22 経過時間計測部(第2時間計測部)
23 動作終了推定時間算出部(算出部)
30 制御部
40 認証部
100 車両ドア開閉制御装置
200 携帯機
300 ドア開閉部
F 足
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9