特許第6537579号(P6537579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6537579施設管理装置、施設管理システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6537579
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】施設管理装置、施設管理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20190625BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20190625BHJP
   G08B 19/00 20060101ALI20190625BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20190625BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20190625BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   H04M11/00 301
   G06Q50/10
   G08B19/00
   G08B25/04 A
   G08B25/08 A
   G08B25/10 D
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-219567(P2017-219567)
(22)【出願日】2017年11月15日
(65)【公開番号】特開2019-92049(P2019-92049A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2018年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−126440(JP,A)
【文献】 特開2016−200930(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/159501(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M11/00
G06Q50/10
G08B19/00
G08B25/04
G08B25/08
G08B25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の管理を行う管理装置であって、
前記施設内を各移動体と共に移動する複数の測定手段それぞれが取得した測定データ及び当該測定手段の位置情報を少なくとも含む測定情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された測定情報を解析することで、前記測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況を検出する解析処理手段と、
前記施設の図面データ上における、前記解析処理手段により検出された前記測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置を特定する位置特定手段と、
前記施設の図面データ上の前記位置特定手段により特定された位置に、前記解析処理手段により検出された前記測定手段の位置周辺の状況を表す画像を重畳させて前記施設の状況を表す施設管理図面を生成する図面生成手段と、
を有し、
前記解析処理手段は、前記受信手段により受信された測定データを予め設定されている閾値と比較することによって、当該測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況が正常か異常かを判定し、
前記図面生成手段は、前記解析処理手段により異常と判定された場合、前記位置特定手段により特定された位置に異常を表す画像を重畳させて前記施設管理図面を生成し、
前記解析処理手段は、異常と判定した場合、前記受信手段により受信された測定データを異常のレベルに対応したビル内の場所によって異なる閾値と比較することによって、当該測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況の異常のレベルを判定し、
前記図面生成手段は、前記解析処理手段により判定された異常のレベルが判別可能な前記異常を表す画像を重畳させて前記施設管理図面を生成することを特徴とする施設管理装置。
【請求項2】
前記解析処理手段は、更に異常の種類を特定し、
前記図面生成手段は、前記解析処理手段により特定された異常の種類を識別可能な画像を重畳させて前記施設管理図面を生成することを特徴とする請求項に記載の施設管理装置。
【請求項3】
前記図面生成手段は、前記異常を表す画像に対応した位置に当該異常の内容を示すメッセージを重畳させて前記施設管理図面を生成することを特徴とする請求項に記載の施設管理装置。
【請求項4】
施設の管理を行う管理装置と、
前記施設の状況を表す施設管理図面を表示する表示手段と、
前記施設内を各移動体と共に移動する複数の測定手段と、
前記測定手段それぞれの位置情報を取得する取得手段と、
前記測定手段それぞれが取得した測定データ及び当該測定手段の位置情報を少なくとも含む測定情報を前記管理装置へ送信する送信手段と、
を有し、
前記管理装置は、
前記施設内を各移動体と共に移動する複数の測定手段それぞれが取得した測定データ及び当該測定手段の位置情報を少なくとも含む測定情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された測定情報を解析することで、前記測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況を検出する解析処理手段と、
前記施設の図面データ上における、前記解析処理手段により検出された前記測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置を特定する位置特定手段と、
前記施設の図面データ上の前記位置特定手段により特定された位置に、前記解析処理手段により検出された前記測定手段の位置周辺の状況を表す画像を重畳させて前記施設管理図面を生成する図面生成手段と、
を有し、
前記解析処理手段は、前記受信手段により受信された測定データを予め設定されている閾値と比較することによって、当該測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況が正常か異常かを判定し、
前記図面生成手段は、前記解析処理手段により異常と判定された場合、前記位置特定手段により特定された位置に異常を表す画像を重畳させて前記施設管理図面を生成し、
前記解析処理手段は、異常と判定した場合、前記受信手段により受信された測定データを異常のレベルに対応したビル内の場所によって異なる閾値と比較することによって、当該測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況の異常のレベルを判定し、
前記図面生成手段は、前記解析処理手段により判定された異常のレベルが判別可能な前記異常を表す画像を重畳させて前記施設管理図面を生成することを特徴とする施設管理システム。
【請求項5】
前記移動体は、前記施設におけるスタッフであることを特徴とする請求項に記載の施設管理システム。
【請求項6】
前記受信手段が受信する測定情報には、更に当該測定手段の識別情報が含まれており、
前記管理装置は、
前記測定手段とスタッフを紐付ける手段と、
前記解析処理手段により測定情報が解析されたこととで異常が検出された場合、当該測定情報に対応する前記測定手段に紐付けられているスタッフに異常を通知する通知手段と、
を有することを特徴とする請求項に記載の施設管理システム。
【請求項7】
施設の管理を行う管理装置を形成するコンピュータを、
前記施設内を各移動体と共に移動する複数の測定手段それぞれが取得した測定データ及び当該測定手段の位置情報を少なくとも含む測定情報を受信する受信手段、
前記受信手段により受信された測定情報を解析することで、前記測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況を検出する解析処理手段、
前記施設の図面データ上における、前記解析処理手段により検出された前記測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置を特定する位置特定手段、
前記施設の図面データ上の前記位置特定手段により特定された位置に、前記解析処理手段により検出された前記測定手段の位置周辺の状況を表す画像を重畳させて前記施設の状況を表す施設管理図面を生成する図面生成手段、
として機能させ
前記解析処理手段は、前記受信手段により受信された測定データを予め設定されている閾値と比較することによって、当該測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況が正常か異常かを判定し、
前記図面生成手段は、前記解析処理手段により異常と判定された場合、前記位置特定手段により特定された位置に異常を表す画像を重畳させて前記施設管理図面を生成し、
前記解析処理手段は、異常と判定した場合、前記受信手段により受信された測定データを異常のレベルに対応したビル内の場所によって異なる閾値と比較することによって、当該測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況の異常のレベルを判定し、
前記図面生成手段は、前記解析処理手段により判定された異常のレベルが判別可能な前記異常を表す画像を重畳させて前記施設管理図面を生成することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設管理装置、施設管理システム及びプログラム、特にビル等の施設内の状況表示に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物内を監視する際に移動装置を利用した監視システムが提供されている。例えば、特許文献1では、一画面のサブ画面に監視対象場所の地図情報を表示すると共にその地図情報上に建物内の監視対象場所を移動する移動監視カメラ装置の位置を表示し、他のサブ画面に移動監視カメラの撮影画像を表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−221191号公報
【特許文献2】特開2006−099726号公報
【特許文献3】特開2017−021559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、温度センサー等各種データを測定する測定手段の高性能化、小型化、低価格化が進んでいる。このため、測定手段を数量的に多く導入することの弊害、例えばコスト面におけるデメリットが少なくなり、また携行にも便利になってきている。
【0005】
本発明は、施設内を移動体と共に移動する測定手段による測定データを利用して施設内における状況把握を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る施設管理装置は、施設の管理を行う管理装置であって、前記施設内を各移動体と共に移動する複数の測定手段それぞれが取得した測定データ及び当該測定手段の位置情報を少なくとも含む測定情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された測定情報を解析することで、前記測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況を検出する解析処理手段と、前記施設の図面データ上における、前記解析処理手段により検出された前記測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置を特定する位置特定手段と、前記施設の図面データ上の前記位置特定手段により特定された位置に、前記解析処理手段により検出された前記測定手段の位置周辺の状況を表す画像を重畳させて前記施設の状況を表す施設管理図面を生成する図面生成手段と、を有し、前記解析処理手段は、前記受信手段により受信された測定データを予め設定されている閾値と比較することによって、当該測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況が正常か異常かを判定し、前記図面生成手段は、前記解析処理手段により異常と判定された場合、前記位置特定手段により特定された位置に異常を表す画像を重畳させて前記施設管理図面を生成し、前記解析処理手段は、異常と判定した場合、前記受信手段により受信された測定データを異常のレベルに対応したビル内の場所によって異なる閾値と比較することによって、当該測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況の異常のレベルを判定し、前記図面生成手段は、前記解析処理手段により判定された異常のレベルが判別可能な前記異常を表す画像を重畳させて前記施設管理図面を生成することを特徴とする。
【0008】
また、前記解析処理手段は、更に異常の種類を特定し、前記図面生成手段は、前記解析処理手段により特定された異常の種類を識別可能な画像を重畳させて前記施設管理図面を生成することを特徴とする。
【0010】
また、前記図面生成手段は、前記異常を表す画像に対応した位置に当該異常の内容を示すメッセージを重畳させて前記施設管理図面を生成することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る施設管理システムは、施設の管理を行う管理装置と、前記施設の状況を表す施設管理図面を表示する表示手段と、前記施設内を各移動体と共に移動する複数の測定手段と、前記測定手段それぞれの位置情報を取得する取得手段と、前記測定手段それぞれが取得した測定データ及び当該測定手段の位置情報を少なくとも含む測定情報を前記管理装置へ送信する送信手段と、を有し、前記管理装置は、前記施設内を各移動体と共に移動する複数の測定手段それぞれが取得した測定データ及び当該測定手段の位置情報を少なくとも含む測定情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された測定情報を解析することで、前記測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況を検出する解析処理手段と、前記施設の図面データ上における、前記解析処理手段により検出された前記測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置を特定する位置特定手段と、前記施設の図面データ上の前記位置特定手段により特定された位置に、前記解析処理手段により検出された前記測定手段の位置周辺の状況を表す画像を重畳させて前記施設管理図面を生成する図面生成手段と、を有し、前記解析処理手段は、前記受信手段により受信された測定データを予め設定されている閾値と比較することによって、当該測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況が正常か異常かを判定し、前記図面生成手段は、前記解析処理手段により異常と判定された場合、前記位置特定手段により特定された位置に異常を表す画像を重畳させて前記施設管理図面を生成し、前記解析処理手段は、異常と判定した場合、前記受信手段により受信された測定データを異常のレベルに対応したビル内の場所によって異なる閾値と比較することによって、当該測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況の異常のレベルを判定し、前記図面生成手段は、前記解析処理手段により判定された異常のレベルが判別可能な前記異常を表す画像を重畳させて前記施設管理図面を生成することを特徴とする。
【0012】
また、前記移動体は、前記施設におけるスタッフであることを特徴とする。
【0013】
また、前記受信手段が受信する測定情報には、更に当該測定手段の識別情報が含まれており、前記管理装置は、前記測定手段とスタッフを紐付ける手段と、前記解析処理手段により測定情報が解析されたこととで異常が検出された場合、当該測定情報に対応する前記測定手段に紐付けられているスタッフに異常を通知する通知手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るプログラムは、施設の管理を行う管理装置を形成するコンピュータを、前記施設内を各移動体と共に移動する複数の測定手段それぞれが取得した測定データ及び当該測定手段の位置情報を少なくとも含む測定情報を受信する受信手段、前記受信手段により受信された測定情報を解析することで、前記測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況を検出する解析処理手段、前記施設の図面データ上における、前記解析処理手段により検出された前記測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置を特定する位置特定手段、前記施設の図面データ上の前記位置特定手段により特定された位置に、前記解析処理手段により検出された前記測定手段の位置周辺の状況を表す画像を重畳させて前記施設の状況を表す施設管理図面を生成する図面生成手段、として機能させ、前記解析処理手段は、前記受信手段により受信された測定データを予め設定されている閾値と比較することによって、当該測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況が正常か異常かを判定し、前記図面生成手段は、前記解析処理手段により異常と判定された場合、前記位置特定手段により特定された位置に異常を表す画像を重畳させて前記施設管理図面を生成し、前記解析処理手段は、異常と判定した場合、前記受信手段により受信された測定データを異常のレベルに対応したビル内の場所によって異なる閾値と比較することによって、当該測定手段が測定データを取得したときの当該測定手段の位置周辺の状況の異常のレベルを判定し、前記図面生成手段は、前記解析処理手段により判定された異常のレベルが判別可能な前記異常を表す画像を重畳させて前記施設管理図面を生成することを特徴とする
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、施設内を移動体と共に移動する測定手段による測定データを利用して施設内における状況把握を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態における施設管理システムの全体構成及び管理装置のブロック構成を示す図である。
図2】本実施の形態におけるビル側の概略的な平面図である。
図3】本実施の形態におけるビルへのビーコンの設置例を示す図である。
図4】本実施の形態における管理装置のハードウェア構成図である。
図5】本実施の形態における管理装置において実施される表示処理を示すフローチャートである。
図6】本実施の形態においてビルの状況を表すビル管理図面の表示例を示す図である。
図7】本実施の形態においてビルの状況を表すビル管理図面の他の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態におけるビル管理システムの全体構成及び管理装置のブロック構成を示す図である。また、図2は本実施の形態における管理装置10が監視対象とするビル1におけるある階の平面図、図3はビル1の9〜11階部分を示す立面図である。これらの図を用いて本システムの構成について説明する。
【0019】
ビル1は、管理装置10が監視対象とする施設の一形態である。本実施の形態におけるビル管理システムは、例えばビル等の複数階建築設備の監視制御システムであるBEMS(Building and Energy Manegement System)で構成してもよい。ビル1では、清掃員、警備員、設備保守員等のスタッフが従事している。各スタッフ2は、業務中、センサー3を携行する。センサー3は、ビル1内における状況を測定する測定手段であり、例えば、温度センサー、湿度センサー、CO濃度センサー、音量センサー等種々のセンサーである。なお、センサーではなく温度計や騒音計等の計器を測定手段として用いてもよい。本実施の形態では、これらの測定手段を「センサー」と総称する。各スタッフ2は、複数種類のセンサー3を携行してもよい。図1に示すように、各センサー3と管理装置10とは、インターネット等のネットワーク4を介して通信可能に接続される。
【0020】
本実施の形態においては、センサー3により測定されたデータ(センサーデータ)、センサーデータの測定日時、センサー3の位置情報、センサーの識別情報(センサーID)を含むセンサー情報を管理装置10へ送る必要がある。センサー3の位置情報は、センサー3にGPS機能を搭載させて取得するように構成してもよいが、GPS機能による経緯度情報では、センサー3のある階(鉛直方向位置)を割り出すことが困難となる場合がある。そこで、本実施の形態では、図3に例示するように、ビル1内の所定の位置に固定させて複数のビーコン5を設置するよう構成してもよい。
【0021】
ビーコン5は、例えばビル1の全階に配置される。また、一つの階に複数のビーコン5を配置してもよい。ビーコン5は、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信を利用可能であって、通信規格としてiBeacon(登録商標)に準拠していてもよい。ビーコン5は、予め設定された識別情報(識別ID)を発信する。
【0022】
センサー3は、BLE通信に対応可能でiBeacon(登録商標)にも準拠できるような通信機能を搭載する。センサー3は、周辺の複数のビーコン5から識別情報を取得する。センサー3は、近いビーコン5ほどそのビーコン5から受信する電波強度は強くなるため、各ビーコン5からの受信強度の差に基づいて各ビーコン5とセンサー3との相対位置が求められる。ビル1に固定設置される各ビーコン5には、ビル1の任意の地点を原点に取った三次元座標が定められているので、ビーコン5の受信強度と三次元座標からセンサー3のビル1内における三次元座標が求められる。つまり、ビル1内におけるセンサー3の位置が特定できる。
【0023】
本実施の形態では、前述したようにビル1側で得られるセンサー情報を管理装置10へ送る必要がある。本実施の形態では、センサー3に、センサーデータの測定日時を得るための計時手段、当該センサー3の位置情報の取得手段(ビーコン5との無線通信手段)、センサー情報の管理装置10への送信手段及び各ビーコン5のビル1内における位置を示す座標データと識別IDとを関連付けて記憶する記憶手段を持たせることを想定して説明するが、計時手段等を有する携帯端末機器に小型化されたセンサーを搭載することでセンサー3を構成してもよい。つまり、携帯端末機器とセンサーとを一体に形成してもよい。あるいは、計時手段等を有する携帯端末機器を1又は複数のセンサー3と別個に形成することで、スタッフ2に携帯端末機器及びセンサー3を携行させ、携帯端末機器が、各センサー3からセンサーデータを取得し、各センサー3のセンサー情報を生成して管理装置10へ送るように構成してもよい。つまり、センサーとしての測定手段以外の機能を携帯端末機器に持たせ、携帯端末機器をセンサーに共有させる。本実施の形態では、スタッフ2にセンサー3を携行させ、各センサー3が得たセンサーデータを含むセンサー情報を管理装置10へ送信できるよう構成すれば、ビル1側の構成に関しては、特に限定する必要はない。
【0024】
図4は、本実施の形態における管理装置10のハードウェア構成図である。本実施の形態における管理装置10は、従前から存在する汎用的なコンピュータのハードウェア構成で実現できる。すなわち、管理装置10は、図4に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、入力手段として設けられたマウス25とキーボード26、及び表示装置として設けられたディスプレイ27をそれぞれ接続する入出力コントローラ28、通信手段として設けられたネットワークインタフェース(IF)29を内部バス30に接続して構成される。なお、マウス25、キーボード26及びディスプレイ27に代えてタッチパネルでユーザインタフェースを構成してもよい。
【0025】
管理装置10は、監視センターに設置され、ビル1に設置されている設備機器の監視等を行う。監視対象の設備機器は、例えば照明機器、空調機器、昇降機器、衛生機器、防犯機器、防災機器等である。管理装置10は、図1に示すように、受信部11、解析処理部12、図面生成部13、ユーザインタフェース(UI)部14、通知部15、センサー情報蓄積部16、判定情報記憶部17、ビル情報記憶部18及びメッセージ情報記憶部19を有している。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、図から省略している。
【0026】
受信部11は、センサー3から送信されてくるセンサー情報を受信し、センサー情報蓄積部16に保存する。解析処理部12は、解析処理手段として設けられ、センサー情報蓄積部16に蓄積されているセンサー情報を解析することで、センサー3がセンサーデータを測定により取得したときの当該センサー3の位置周辺の状況を検出する。また、検出した状況からビル1内の異常を検出したりする。更に、解析処理部12は、位置特定手段としても設けられ、ビル1の図面データ上における、センサー3がセンサーデータを取得したときの当該センサー3の位置を特定する。図面生成部13は、ビル1の図面データ上の解析処理部12により特定されたセンサー3の位置に、解析処理部12により検出されたセンサー3の位置周辺の状況を表す画像を重畳することで、ビル1の状況を表すビル管理図面を生成する。ユーザインタフェース(UI)部14は、マウス25やキーボード26を用いてユーザにより入力された情報を受け付け、また図面生成部13により生成されたビル管理図面等の画像をディスプレイ27に表示する。
【0027】
センサー情報蓄積部16には、受信部11により受信されたセンサー情報が蓄積される。解析処理部12は、センサー情報を解析することでビル1内の異常を検出するが、判定情報記憶部17には、正常/異常の判定基準となる各種閾値が予め設定されている。本実施の形態では、温度センサー、音量センサー等複数種類のセンサーを用いることを想定しているので、センサー3の種類毎に正常/異常の判定基準となる閾値が設定されている。更に、異常のレベルを判定するために異常レベルに応じて閾値が段階的に設定されている。各閾値には、時間帯や時節等によって異なる値を設定するのが好適である。また、異常レベルの閾値は、ビル1内の場所によって異なる閾値を設定するのが好適である。玄関、会議室、サーバ室、エレベーターホール等のエリアによって要求される設定温度や照度等が異なるからである。
【0028】
ビル情報記憶部18には、ビル1に関する種々のマスタ情報が記憶されている。例えば、ビル1の経緯度情報、ビル1の立面図や平面図を含む図面データが記憶される。図面データは、3D−CADデータであってもよいし、BIM(Building Information Modeling)データであってもよい。また、監視対象の設備機器の設置位置情報が記憶されている。更に、設備機器の運用情報も記憶されている。設備機器の運用情報というのは、設備機器の通常運用時における設定内容等である。例えば、照明設備の場合、どの照明設備(どこの階のどの位置にある照明設備)は、何時に自動的に点灯し消灯するか、また点灯時における照度等が設定されている。運用情報には、日時(平日/休日)、時節等に対応させて条件や設定値がより細かに設定されていてもよい。
【0029】
また、ビル情報記憶部18には、センサー3やスタッフ2に関する情報が含まれている。具体的には、センサー3に関する情報として、各センサー3のセンサーID及び種類、当該センサー3を携行するスタッフ2の識別情報(スタッフID)が設定されている。また、センサー3の種類にスタッフ2の職種(警備員、清掃員、設備管理者等)を対応付けて紐付ける。スタッフ2に関する情報として、各スタッフ2の職種や連絡先情報(スタッフ2が携行する無線通信機器(スマホやタブレット端末)のメールアドレス等)が設定されている。
【0030】
メッセージ情報記憶部19には、ビル1内の状況をビル管理画面に表示したり、ビル管理者等に通知したりする場合のメッセージが予め設定されている。メッセージは、センサー3の種類毎異常レベル毎に設定される。
【0031】
管理装置10における各構成要素11〜15は、管理装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶手段16〜19は、管理装置10に搭載されたHDD24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0032】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPU21がプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0033】
次に、本実施の形態における動作について説明する。まず、ビル1側においてセンサー情報を生成して管理装置10へ送信するまでの動作について説明する。
【0034】
前述したように、センサー3は、各スタッフ2に携行されている。すなわち、センサー3は、スタッフ2の移動に伴って測定位置が変化し、現在の所在位置周辺における状況、例えば、センサー3の種類に応じて温度、湿度等を測定する。そして、センサー3は、センサーID、測定により得たセンサーデータ、センサーデータの測定日時、センサー3の位置情報を含むセンサー情報を生成して、管理装置10へ送信する。管理装置10には、定周期的にセンサー情報を生成して送るようにすればよい。送信する周期を相対的に短くすると、管理装置10においてビル1内の最新の状況を把握することが可能となる。ただ、その一方では通信負荷が大きくなる。従って、センサー3の数や通信、処理性能等を総合的に勘案して管理装置10へ送信するタイミングを決めればよい。
【0035】
次に、管理装置10において実施される処理について図5に示すフローチャートを用いて説明する。この処理は、センサー情報を受信する度に起動され繰り返し実施される。あるいは、センサー情報を受信する処理とは別個に、所定の周期で起動して実施するようにしてもよい。
【0036】
受信部11は、センサー3から送られてきたセンサー情報を受信すると、センサー情報蓄積部16に保存する(ステップ111)。センサー情報が受信されると、解析処理部12は、受信されたセンサー情報を解析する(ステップ112)。具体的には、解析処理部12は、センサー情報を送信したセンサー3の種類を特定し、その種類に対応する正常/異常を判定するための閾値を判定情報記憶部17から読み出し、センサー情報に含まれているセンサーデータを閾値と比較することで、センサーデータが示す値が正常値かそうでない異常値かを判断する。なお、異常レベルに関しては後述する。
【0037】
センサーデータが異常値を示していることからビル1で発生している異常が検出された場合(ステップ113でY)、続いて、解析処理部12は、センサー情報及びビル情報を参照し、センサー情報に含まれているセンサー3の位置情報を取得し、ビル1の図面データ上の、センサーデータの測定日時におけるセンサー3の位置を特定する(ステップ114)。そして、図面生成部13は、異常を検出したセンサー3の種類を特定し、そのセンサー3に対応する記号画像を取得する(ステップ115)。記号画像は、センサー3の種類毎に予め設定されており、図面生成部13を実現するアプリケーションやビル情報などに事前に登録されている。続いて、図面生成部13は、ビル1の図面データ上の、センサー3の位置情報に対応する位置に、取得した記号画像を重畳させてビル管理図面を生成する(ステップ116)。そして、ユーザインタフェース部14は、生成された図面データをディスプレイ27に表示する(ステップ117)。
【0038】
図6は、ビル管理図面の表示例を示す図である。図6には、記号画像41,42がビル1の図面データ(平面図)に重畳して表示されている。本実施の形態では、照度センサーに対して“○”、温度センサーに対して“□”、湿度センサーに対して“△”、音センサーに対して“×”等のようにセンサー3の種類毎に異なる記号画像を割り当てている。図6に示す表示例によると、倉庫1内に“○”の記号画像41が表示されていることから、倉庫1に照度の異常が検出されている。つまり、蛍光管が切れていることなど照明設備の異常が推測できる。また、会議室3内に“□”の記号画像42が表示されていることから、今が夏場だとすると会議室3の室温の異常が検出されている。つまり、空調設備の冷房機能の異常が推測できる。このように、センサー3の種類に対応させて設定した記号画像をビル1の図面データ上にプロットして表示することによって、ビル1のどの位置にどのような異常が発生しているかをビル管理図面でビル管理者に知らせることができる。
【0039】
図7は、ビル管理図面の他の表示例を示す図である。図7には、ビル1の図面データ(立面図)に記号画像が重畳して表示されている。この図面データからどのフロアで何の異常が検出されたかを一目瞭然に把握することができる。表示するビル管理図面は、ビル管理者の選択操作に応じて適宜切り替え表示可能である。
【0040】
なお、本実施の形態では、記号画像として“○”や“□”等の図形を用いたが、これは一例であって他の記号、例えば文字等によって異常を表すようにしてもよい。記号画像は、ビル管理者による操作等によってビル管理図面から消去できるようにしてもよい。
【0041】
ところで、本実施の形態では、異常の中でもレベルを設定している。例えば、照明設備の場合、通常運用時より暗い程度の異常から、蛍光管が切れて点灯しない状態の異常まである。
【0042】
そこで、異常が検出された場合(ステップ113でY)、解析処理部12は、更に判定情報記憶部17から該当するセンサー3の種類の異常レベルの閾値を読み出し、異常値を示したセンサーデータの示す値と各閾値とを比較することによって異常レベルを判定するようにしてもよい。異常レベルを提示することで、ビル管理者は、複数発生した異常の中から重度の異常から優先的に対処することが可能となる。
【0043】
記号画像は、異常レベルによって異ならせるのが好適である。照度の場合、照度センサーに対する記号画像“○”の大きさ、輝度をレベルに応じて変えたり、点滅させたりするなど、異常レベルによって異なる形態にて記号画像を表示するようにする。あるいは、“◎”など異なる種類の記号画像を利用してもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、図面データ上にメッセージを表示する機能を提供している。例えば、表示されている記号画像をダブルクリックするなどしてビル管理者に異常の場所を選択させる。図面生成部13は、選択された記号画像に対応するセンサー3の種類の異常レベルに応じたメッセージをメッセージ情報記憶部19から読み出し、選択された記号画像に対応付けして画面表示する。例えば、照度が不足している場合、「通常運用時より照度が低下しています。」や「蛍光管が切れている可能性があります。」などのメッセージを表示する。この際、実際に測定されたセンサーデータ(測定値)をメッセージに含めて表示するようにしてもよい。本実施の形態では、このように客観性のあるセンサーデータを提示することが可能である。
なお、本実施の形態では、ビル管理者が選択した記号画像に対応する異常のメッセージを表示するようにしたが、ビル管理者に選択させずに、異常の検出に伴い記号画像がビル1の図面データ上に表示されるタイミングで、当該記号画像に対応させてメッセージを自動的に表示するようにしてもよい。
【0045】
更に、本実施の形態では、異常が検出されたときに異常を通知する通知機能を提供している。すなわち、通知部15は、解析処理部12により異常が検出されると、ビル情報記憶部18を参照して、異常が検出されたセンサー3の種類に対応するスタッフ2に通知する。例えば、照度センサーから得られた照度に異常が検出されれば、これは照明設備が異常であると推測できるので、ビル情報記憶部18を参照して、照度センサーというセンサー3の種類に紐付けられているスタッフ2(例えば、設備管理者)に異常を通知する。また、閾値と比較した結果、異常と判断される大音量を音量センサーが検出した場合、誰かが騒いでいると推測できるので、通知部15は、ビル情報記憶部18を参照して、音量センサーというセンサー3の種類に紐付けられているスタッフ2(例えば、警備員)に異常を通知する。通知する情報には、異常発生の通知のみならず、異常の解消に役立つ情報、例えば異常が検出された場所や異常レベルやメッセージ、異常の検出日時(センサーデータの測定日時)等の情報を含めるのが好適である。
【0046】
異常が検出されたセンサーデータを測定したセンサー3を携行するスタッフ2に通知するようにしてもよいが、本実施の形態では、異常を解消しうるスタッフ(担当スタッフ)2に通知するようにしたので、異常を効率よく迅速に解消することができると考えられる。また、担当スタッフ2に通知する場合でもスタッフ2の所在位置とセンサー3の位置とは同じなので、センサー情報蓄積部16に蓄積されているセンサー情報を参照して、異常発生場所の近くにいるスタッフ2に絞り込んで通知するようにしてもよい。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態においては、ビル1内で検出された異常の発生場所及び種類をビル1の図面データに含めて表示するようにしたので、ビル1内の異常の状況をビル管理者等に一目瞭然に把握させることが可能となる。
【0048】
本実施の形態では、センサー3を固定設置するのではなくスタッフ2に携行させるようにした。スタッフ2に携行させるということは、センサー3の位置が移動することであり、固定設置する場合と比較すると、少ないセンサー数でもビル1内を網羅的に監視することが可能となる。
【0049】
また、上記説明では、センサー3により得られるセンサーデータを解析することによって異常を検出するようにした。センサーデータは、暑い、寒い、明るい、暗いなどのスタッフ2の感覚による情報とは異なる客観的なデータであるため、客観性を持って正常/異常の判定を行うことが可能となる。
【0050】
また、管理装置10は、異常の発生の有無に関係なく客観的な数値データであるセンサーデータをビル1から定周期的に収集することが可能である。従って、同種の複数のセンサーデータを取り纏めることでビル1内の状況に関する種々の情報を提供することも可能となってくる。例えば、各温度センサーは、現在いる位置周辺の温度を測定するが、ある時点において各温度センサーが測定したセンサーデータ(温度)をまとめることによって、ビル1内の温度分布(ヒートマップ)画像を生成し、ビル1の図面データに重畳して表示することが可能である。また、センサー情報蓄積部16に蓄積されている所定の期間のセンサーデータを解析することでビル1内における温度や湿度等の時系列的変化を図面データに重畳して表示することも可能となる。
【0051】
上記説明では、センサー3の位置周辺の状況を表す画像として、異常発生時にビル1の図面データ上の異常発生場所に対応する位置に記号画像をそれぞれ表示するようにしたが、このような異常検出に限らずに、センサー3の位置周辺の状況(温度)を同種の他のセンサー3の位置周辺の状況(温度)と関連付けて、ヒートマップのような連続した画像を形成し、ビル1内における温度の状況を把握できることに利用してもよい。
【0052】
本実施の形態では、ビル1のスタッフ2にセンサー3を携行させる場合を例にして説明したが、移動体としては、スタッフ2に限らず、例えば自走式のロボット等移動可能な装置を利用してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 ビル、2 スタッフ、3 センサー、4 ネットワーク、5 ビーコン、10 管理装置、11 受信部、12 解析処理部、13 図形生成部、14 ユーザインタフェース(UI)部、15 通知部、16 センサー情報蓄積部、17 判定情報記憶部、18 ビル情報記憶部、19 メッセージ情報記憶部、21 CPU、22 ROM、23 RAM、24 ハードディスクドライブ(HDD)、25 マウス、26 キーボード、27 ディスプレイ、28 入出力コントローラ、29 ネットワークインタフェース(IF)、30 内部バス。
図1
図2
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図5
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図7