(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
撮像領域に対する傾斜磁場の印加及びRFパルスの送信を伴うスキャンの実行によって前記撮像領域から核磁気共鳴信号を収集するデータ収集系が含まれる磁気共鳴イメージング装置であって、
磁気共鳴イメージング装置の電力系統の一部であり、外部電力により充電される2次電池と、
磁気共鳴イメージング装置における前記データ収集系以外の少なくとも1つのユニットに対して前記2次電池からの電力が供給されるようにすると共に、前記データ収集系の少なくとも1つのユニットに対しては、消費電力に応じて前記2次電池から電力を供給するように、前記電力系統を制御する電力制御部と
を備え、
前記電力制御部は、前記2次電池の電力供給先の消費電力が所定値以下の場合には前記消費電力が前記外部電力で賄われるように、且つ、前記消費電力が前記所定値を超える場合には前記所定値を超える電力分が前記2次電池の蓄積電力で賄われるように、前記電力系統を制御する、
磁気共鳴イメージング装置。
撮像領域に対する傾斜磁場の印加及びRFパルスの送信を伴うスキャンの実行によって前記撮像領域から核磁気共鳴信号を収集するデータ収集系が含まれる磁気共鳴イメージング装置であって、
磁気共鳴イメージング装置の電力系統の一部であり、外部電力により充電される充放電素子と、
磁気共鳴イメージング装置における前記データ収集系以外の少なくとも1つのユニットに対して前記充放電素子からの電力が供給されるようにすると共に、前記データ収集系の少なくとも1つのユニットに対しても前記充放電素子から電力を供給するように、前記電力系統を制御する電力制御部と、
を備え、
前記データ収集系は、傾斜磁場コイルと、前記傾斜磁場コイルに電流を流すことで前記撮像領域に前記傾斜磁場を発生させる傾斜磁場電源と、前記撮像領域に前記RFパルスを送信するRF送信器とを有し、
前記電力制御部は、前記傾斜磁場電源及び前記RF送信器に対する各入力電力を取得するか、又は、前記傾斜磁場電源及び前記RF送信器の各出力電力を取得することで消費電力を計算し、前記消費電力に基づいて前記電力系統を制御する
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
撮像領域に対する傾斜磁場の印加及びRFパルスの送信を伴うスキャンの実行によって前記撮像領域から核磁気共鳴信号を収集するデータ収集系が含まれる磁気共鳴イメージング装置であって、
磁気共鳴イメージング装置の電力系統の一部であり、外部電力により充電される充放電素子と、
磁気共鳴イメージング装置における前記データ収集系以外の少なくとも1つのユニットに対して前記充放電素子からの電力が供給されるように、前記電力系統を制御する電力制御部と、を備え、
前記充放電素子の電力供給先の消費電力が所定値以下の場合には前記消費電力が前記外部電力で賄われるように、且つ、前記消費電力が前記所定値を超える場合には前記所定値を超える電力分が前記充放電素子の蓄積電力で賄われるように、前記電力制御部は前記電力系統を制御する
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
撮像領域に対する傾斜磁場の印加及びRFパルスの送信を伴うスキャンの実行によって前記撮像領域から核磁気共鳴信号を収集するデータ収集系が含まれる磁気共鳴イメージング装置であって、
磁気共鳴イメージング装置の電力系統の一部であり、外部電力により充電される充放電素子と、
磁気共鳴イメージング装置における前記データ収集系以外の少なくとも1つのユニットに対して前記充放電素子からの電力が供給されるように、前記電力系統を制御する電力制御部と、を備え、
前記電力制御部は、磁気共鳴イメージング装置の消費電力を計算し、前記消費電力に応じて、前記データ収集系の少なくとも一部に対する電力供給の状態を、前記充放電素子の蓄積電力又は前記外部電力の一方が供給される第1の状態、又は、前記蓄積電力及び前記外部電力の両方が供給される第2の状態に切り替えるように構成される
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
撮像領域に対する傾斜磁場の印加及びRFパルスの送信を伴うスキャンの実行によって前記撮像領域から核磁気共鳴信号を収集するデータ収集系が含まれる磁気共鳴イメージング装置であって、
磁気共鳴イメージング装置の電力系統の一部であり、外部電力により充電される充放電素子と、
磁気共鳴イメージング装置における前記データ収集系以外の少なくとも1つのユニットに対して前記充放電素子からの電力が供給されるように、前記電力系統を制御する電力制御部と、を備え、
前記電力制御部は、磁気共鳴イメージング装置の消費電力を計算し、前記消費電力に応じて、前記データ収集系の少なくとも一部に対する電力供給の状態を、前記充放電素子の蓄積電力又は前記外部電力の一方が供給される第1の状態、又は、前記蓄積電力及び前記外部電力の両方が供給される第2の状態に切り替えるように構成され、
前記電力制御部は、前記消費電力が前記外部電力よりも小さい期間において前記充放電素子の充電が実行されるように前記充放電素子の充放電を制御し、前記消費電力が前記外部電力よりも大きい期間において前記データ収集系の少なくとも一部に対する電力供給の状態を前記第2の状態に切り替えるように構成される
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
撮像領域に対する傾斜磁場の印加及びRFパルスの送信を伴うスキャンの実行によって前記撮像領域から核磁気共鳴信号を収集するデータ収集系を有する磁気共鳴イメージング装置の電力制御方法であって、
磁気共鳴イメージング装置の電力系統の一部である2次電池を外部電力により充電し、
磁気共鳴イメージング装置における前記データ収集系以外の少なくとも1つのユニットに対して前記2次電池から電力が供給されるようにすると共に、前記データ収集系の少なくとも1つのユニットに対しては、消費電力に応じて前記2次電池から電力を供給するように、前記電力系統を制御し、
前記2次電池の電力供給先の消費電力が所定値以下の場合には前記消費電力が前記外部電力で賄われるように、且つ、前記消費電力が前記所定値を超える場合には前記所定値を超える電力分が前記2次電池の蓄積電力で賄われるように、前記電力系統を制御する、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置の電力制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最大消費電力を下げずに電源設備を縮小するため、本発明者らは、ハイブリッド型のMRI装置の構成を捻出した。このMRI装置は、外部から供給される外部電力により充電される充放電素子を備え、撮像実行中において外部電力ではMRI装置の消費電力が不足する場合に充放電素子の蓄積電力を消費する。
【0013】
なお、上記充放電素子とは、リチウムイオン充電池やニッケル水素充電池等の2次電池及びコンデンサのように、充電及び放電の繰り返しが可能な回路素子の意味である。
【0014】
以下、ハイブリッド型のMRI装置、及び、ハイブリッド型のMRI装置の電力制御方法の実施形態の数例について、添付図面に基づいて説明する。なお、各図において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態のMRI装置20Aにおいて、主に撮像系の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、MRI装置20Aは、ガントリ21と、寝台32と、投光器35とを有する。
【0016】
寝台32は、天板32aと、この天板32aを所定方向に移動させる天板駆動装置32bとを有する。天板32aは、寝台32により、移動可能に支持される。天板32a上には被検体Pが載置される。
【0017】
投光器35は、ガントリ21の開口部に配置され、天板32aに向けて位置決め用の光を照射する。
【0018】
また、MRI装置20Aは、静磁場磁石22と、シムコイル24と、傾斜磁場コイル26と、送信用RFコイル28と、受信用RFコイル29と、静磁場電源40と、シムコイル電源42と、傾斜磁場電源44と、RF送信器46と、RF受信器48と、システム制御部52とを「データ収集系」として有する。
【0019】
また、MRI装置20Aは、システムバス54と、画像再構成部56と、画像データベース58と、画像処理部60とを「データ処理系」として有する。
【0020】
上記の「データ収集系」及び「データ処理系」からなる「撮像系」は、外部電源から供給される外部電力を用いて磁気共鳴イメージングを実行し、これにより被検体Pの画像データを生成する。
【0021】
さらに、MRI装置20Aは、入力装置62と、表示装置64と、記憶装置66とを有する。なお、システムバス54と、画像再構成部56と、画像データベース58と、画像処理部60と、入力装置62と、表示装置64と、記憶装置66とを合わせて1のコンピュータ(後述の計算器系312)として構成してもよい。
静磁場磁石22、シムコイル24、傾斜磁場コイル26、及び、送信用RFコイル28は、ガントリ21内に配置される。
【0022】
静磁場磁石22及びシムコイル24は、例えば円筒状であり、シムコイル24は、静磁場磁石22の内側において静磁場磁石22と軸を同じにして配置されている。
【0023】
ここでは一例として、装置座標系の互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を以下のように定義する。まず、静磁場磁石22及びシムコイル24は、それらの軸方向が鉛直方向に直交するように配置されているものとし、静磁場磁石22及びシムコイル24の軸方向をZ軸方向とする。また、鉛直方向をY軸方向とし、天板32aは、その載置用の面の法線方向がY軸方向となるように配置されているものとする。
【0024】
静磁場磁石22は、静磁場電源40から供給される電流により撮像空間に静磁場を形成する。上記撮像空間とは、例えば、被検体Pが置かれて、静磁場が印加されるガントリ21内の空間を意味する。
【0025】
静磁場磁石22は、ここでは一例として超伝導コイルで構成されるものとするが、永久磁石として構成することで静磁場電源40を省いてもよい。
【0026】
シムコイル24は、シムコイル電源42に接続され、シムコイル電源42から供給される電流により静磁場を均一化する。
【0027】
傾斜磁場コイル26は、例えば、静磁場磁石22の内側で筒状に形成されている。傾斜磁場コイル26は、傾斜磁場電源44から供給される電流により、X軸方向の傾斜磁場Gx、Y軸方向の傾斜磁場Gy、Z軸方向の傾斜磁場Gzを撮像領域にそれぞれ形成する。即ち、装置座標系の3軸方向の傾斜磁場Gx、Gy、Gzを合成し、論理軸としてのスライス選択方向傾斜磁場Gss、位相エンコード方向傾斜磁場Gpe、及び、読み出し方向(周波数エンコード方向)傾斜磁場Groの各方向を任意に設定できる。
【0028】
なお、上記撮像領域とは、例えば、1画像又は1セットの画像の生成に用いるMR信号の収集範囲であって、撮像空間の一部として設定される領域を意味する。「1セットの画像」とは、例えばマルチスライス撮像などのように、1のパルスシーケンス内で複数画像のMR信号が一括的に収集される場合の「複数画像」である。撮像領域は、例えば装置座標系で3次元的に規定される。
【0029】
RF送信器46は、システム制御部52から入力される制御情報に基づいて、核磁気共鳴を起こすラーモア周波数のRFパルス(RF電流パルス)を生成し、これを送信用RFコイル28に送信する。送信用RFコイル28は、RF送信器46からRFパルスを受けて、このRFパルスを被検体Pに送信する。
【0030】
なお、送信用RFコイル28には、ガントリ21に内蔵されると共にRFパルスの送信だけではなくMR信号の検出も兼用する全身用コイルも含まれる(図示せず)。
【0031】
受信用RFコイル29は、天板32aの内部に配置される。受信用RFコイル29は、被検体P内の原子核スピンがRFパルスによって励起されることで発生したMR信号を検出し、検出されたMR信号をRF受信器48に送信する。
【0032】
なお、
図1では一例として、MR信号の局所受信用である装着型RFコイル装置100が被検体Pに装着されているが、装着型RFコイル装置100は必須要素ではない。或いは、例えば被検体Pの頭部に装着される頭部RFコイル装置のように、RFパルスの送信と、MR信号の受信とを兼用する局所送受信型のRFコイル装置(図示せず)などが用いられてもよい。ここでは一例として、これらRFコイル装置(100)は、MRI装置20Aの一部であるものとし、これらRFコイル装置(100)の消費電力は、MRI装置20Aの電力系統から供給されるものとする。但し、RFコイル装置は、MRI装置20Aとは別個のものとして捉えてもよい。
【0033】
RF受信器48は、これら受信用RFコイル装置29、及び、装着型RFコイル装置100により検出されたMR信号に所定の信号処理を施した後、A/D(analog to digital)変換を施すことで、デジタル化されたMR信号の複素データ(以下、MR信号の生データという)を生成する。RF受信器48は、MR信号の生データを画像再構成部56に入力する。
【0034】
画像再構成部56は、RF受信器48から入力されるMR信号の生データに基づいてk空間データを生成及び保存する。k空間は、周波数空間(フーリエ空間)の意味である。2次元撮像の場合、上記k空間データは例えば、縦横の要素数が位相エンコード及び周波数エンコードの各ステップ数のマトリクスデータであり、実数部分と虚数部分についてそれぞれ生成される。画像再構成部56は、k空間データに2次元フーリエ変換などを含む画像再構成処理を施すことで、被検体Pの画像データを生成する。画像再構成部56は、生成した画像データを画像データベース58に保存する。
【0035】
画像処理部60は、画像データベース58から画像データを取り込み、これに所定の画像処理を施し、画像処理後の画像データを表示用画像データとして記憶装置66に保存する。
【0036】
記憶装置66は、上記の表示用画像データに対し、その表示用画像データの生成に用いられた撮像シーケンスの条件や被検体Pの情報(患者情報)等を付帯情報として付属させて保存する。
【0037】
表示装置64は、システム制御部52の制御に従って、撮像シーケンスの条件の設定用画面や、撮像により生成された画像データが示す画像などを表示する。
【0038】
システム制御部52は、撮像動作及び撮像後の画像表示において、システムバス54等の配線を介してMRI装置20A全体のシステム制御を行う。
【0039】
そのために、システム制御部52は、傾斜磁場電源44、RF送信器46及びRF受信器48の駆動に必要な制御情報を記憶する。ここでの制御情報とは、例えば、傾斜磁場電源44に印加するパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したシーケンス情報である。
【0040】
システム制御部52は、設定された撮像シーケンスに従って傾斜磁場電源44、RF送信器46及びRF受信器48を駆動させることで、傾斜磁場Gx、Gy、Gz及びRFパルスを発生させる。
【0041】
また、システム制御部52は、天板駆動装置32bを制御することで天板32aをZ軸方向に移動させ、ガントリ21内部の撮像空間に対して天板32aを出し入れさせる。また、システム制御部52は、天板駆動装置32bを制御することで天板32aをY軸方向に昇降させることも可能である。システム制御部52は、このように天板32aの位置を制御することで、天板32a上の被検体Pの撮像部位を撮像空間内の磁場中心近辺に位置させる。
【0042】
また、システム制御部52は、撮像シーケンスの条件設定部としても機能する。即ち、システム制御部52は、操作者が入力装置62に対して入力した被検体Pの情報や、撮像シーケンスの一部の条件に基づいて、撮像シーケンスの全条件を設定する。そのために、システム制御部52は、撮像シーケンスの条件の設定画面を表示装置64に表示させる。
入力装置62は、撮像シーケンスの条件や画像処理条件を設定する機能を操作者に提供する。
【0043】
上記撮像シーケンスの条件とは例えば、本スキャンとして、どの種類のパルスシーケンスにより、どのような条件でRFパルス等を送信して、どのような条件で被検体からMR信号を収集するかを意味する。撮像シーケンスの条件の例としては、撮像空間内での位置的情報としての撮像領域、撮像部位、パラレルイメージングなどのパルスシーケンスの種類、使用するRFコイル装置の種類、スライス数、スライス間の間隔等が挙げられる。
【0044】
上記撮像部位とは、例えば、頭部、胸部、腹部などの被検体Pのどの部分を撮像領域として画像化するかを意味する。
【0045】
上記「本スキャン」は、プロトン密度強調画像などの、目的とする診断画像の撮像のためのスキャンであって、位置決め画像用のMR信号収集のスキャンや、較正用スキャンを含まないものとする。
スキャンとは、MR信号の収集動作を指し、画像再構成を含まないものとする。
較正用スキャンとは例えば、本スキャンの条件の内の未確定のものや、本スキャン後の画像再構成時に用いる条件やデータなどを決定するために、本スキャンとは別に行われるスキャンを指す。較正用スキャンの内、(例えば後述の
図4のステップS1などのタイミングで)本スキャン前に実行されるのがプレスキャンである。
【0046】
MRI装置20Aは、真空ポンプユニット27と、冷却制御装置36と、冷凍器38とをさらに有する。
【0047】
真空ポンプユニット27は、傾斜磁場コイル26の周囲を真空にすることで、傾斜磁場コイル26の振動に因る騒音を低減する。具体的には、ガントリ21内において、傾斜磁場コイル26の周辺は密閉空間として構成され、真空ポンプユニット27は、この密閉空間の空気を吸い込むことで静音化する。
【0048】
冷却制御装置36は、ガントリ21内の冷却管(図示せず)に冷却媒体を循環させることで、ガントリ21内の傾斜磁場コイル26や送信用RFコイル28を冷却する。
冷凍器38は、例えば液体ヘリウムにより、静磁場磁石22を常時冷却する。
【0049】
図2は、第1の実施形態のMRI装置20Aにおける電力供給系統の構成を示すブロック図である。
図2において、MRI装置20Aは、トランス304と、電流センサ308aと、電池ユニットBAUと、電池残量検出器BDとをさらに有する。
【0050】
図2において、外部電源120は、例えば商用電源である。外部電源120から供給される外部電力は、MRI装置20Aのトランス304に供給される。
【0051】
図2の計算器系312は、システムバス54と、画像再構成部56と、画像データベース58と、画像処理部60等のデータ処理系と、入力装置62と、表示装置64と、記憶装置66とに対応する(
図1参照)。
図2では煩雑となるのでRFコイル装置100を図示していないが、ここでは一例として、RFコイル装置100の電力も、RF送信器46などのデータ収集系の各ユニットと同様に、トランス304から供給されるものとする。
【0052】
電池ユニットBAUは、充放電制御回路309と、充電池BATとを有する。充放電制御回路309は、システム制御部52の制御に従って、充電池BATの充放電を制御する。即ち、充放電制御回路309は、充放電が行われない待機状態、充電状態、放電状態のいずれか1つの状態に充電池BATを切り替える。
【0053】
充電池BATは、充電状態において、外部電源120から供給される外部電力を充放電制御回路309経由で受けて、これにより充電される。具体的には、充電池BATの充電電圧が充電完了時の電圧に達していない場合、充放電制御回路309は、システム制御部52の制御に従って、外部電力を充電池BATに充電電流として供給する。
【0054】
充電池BATは、例えばリチウムイオン充電池であるが、前記した他の充放電素子でもよい。例えば、外部電力のみでは不足する程度にMRI装置20Aの消費電力が大きい場合、充電池BATは、トランス304の1次巻線を流れる励磁電流の一部として、放電電流を供給する。即ち、充電池BATは、蓄積電力を放電することでMRI装置20Aの消費電力の一部を供給する。
【0055】
電池残量検出器BDは、充電池BATの充電電圧を計測して、計測値をシステム制御部52に入力する。
【0056】
トランス304は、1次巻線と、1次巻線にそれぞれ磁気的に結合した複数の2次巻線とを有する。トランス304は、外部電力を、その1次巻線に励磁電流として供給する。トランス304は、1次巻線を流れる励磁電流により、2次巻線に誘導電流を発生させる。
【0057】
トランス304の2次側の各部は、この誘導電流を電力源として受給し、受給した電力を消費することで磁気共鳴イメージングを実行する。「2次側の各部」とは、
図2の例では、冷凍器38、冷却制御装置36、傾斜磁場電源44、RF送信器46、静磁場電源40、シムコイル電源42、RF受信器48、計算器系312、投光器35、真空ポンプユニット27、天板駆動装置32bである。例えば、「2次側の各部」が、上記「複数の2次巻線」のいずれか1つにそれぞれ対応する。
【0058】
電流センサ308aは、外部電源120からトランス304の1次巻線に供給される励磁電流の大きさ、及び、充電池BATから1次巻線に供給される励磁電流の大きさを所定の時間間隔で継続的にそれぞれ計測し、これら計測値をシステム制御部52に入力する。ここでの「所定の時間間隔」とは、上記励磁電流の時間変化が十分正確に計測できる程度に短い時間間隔である。
【0059】
システム制御部52は、電流センサ308aの各計測値(励磁電流の大きさ)に基づいて、MRI装置20Aの消費電力の時間変化をリアルタイムで計算(モニタリング)する。
【0060】
システム制御部52は、MRI装置20Aの消費電力の時間変化と、充電池BATの充電電圧とに基づいて充放電制御回路309を制御することで、充電池BATの充放電を制御する。例えば、MRI装置20Aの消費電力が外部電力のみで足りる場合、システム制御部52は、上記「撮像系」に対する電力供給の状態を、外部電力のみが供給される「第1の状態」にする。
【0061】
反対に、外部電力のみでは不足する程度にMRI装置20Aの消費電力が大きい場合、システム制御部52は、上記「撮像系」に対して外部電力及び充電池BATの蓄積電力の両方が供給される「第2の状態」にする。具体的には、システム制御部52は、充電池BATを放電させ、その放電電流を励磁電流の一部として供給する。
【0062】
なお、撮像シーケンスの実行時の消費電力量は、シーケンスの種類によって大きく異なる。外部電力のみでは不足する程度にMRI装置20Aの消費電力が大きい場合とは、例えば以下の3つが考えられる。EPI(Echo Planar Imaging:エコープラナーイメージング)、3次元のFFE(fast field echo)、心臓を撮像部位とするSSFP(steady-state free precession)の各撮像シーケンスでのMR信号の収集時である。
【0063】
このように消費電力量が多い撮像シーケンスの実行中には、充電池BATの蓄積電力と、外部電力とによって消費電力が賄われることが望ましい。一方、消費電力量が標準程度の撮像シーケンスの実行中には、外部電力のみで消費電力が賄われることが望ましい。これにより、外部電源から受給する最大電力(外部電力の最大値)を下げることができるため、電源設備の規模を縮小できるからである。
【0064】
また、システム制御部52は、MRI装置20Aの消費電力の時間変化と、充電池BATの充電電圧とに基づいて充放電制御回路309を制御することで、充電池BATの充放電を制御する。例えば、夜間などのMRI装置20Aの未使用時や、MRI装置20Aの稼働時であって消費電力が少ない期間において、充放電制御回路309は、システム制御部52の制御に従って、外部電源120からの外部電力を充電池BATに充電電流として流す。
【0065】
また、システム制御部52は、充電池BATの充電電圧が充電完了時の電圧であり、且つ、充電池BATの放電が不要である場合、充電池BATの充放電が行われないように充放電制御回路309を制御する。充電池BATの放電が不要である場合とは、例えば、MRI装置20Aの消費電力が外部電力の最大値以下である場合である。
【0066】
システム制御部52は、撮像シーケンスの実行前、又は、撮像シーケンスの実行後において、充電池BATの充電電圧が所定値未満の場合に、充電中である旨を通知すると共に充電池BATの充電を開始させる。ここでの「通知」とは、例えば、「充電完了まで待機中です」といった警告をシステム制御部52が表示装置64に表示させるものである。
なお、撮像シーケンスを実行中の期間を除けば、MRI装置20Aの消費電力は、外部電力の最大量よりも少ないので、外部電力の一部を充電池BATの充電電流として供給しても問題ない。
【0067】
次に、システム制御部52による撮像シーケンスの実行可否の判定方法について説明する。この判定を行う前に、システム制御部52は、設定された条件に従って本スキャンの撮像シーケンスを実行する場合の消費電力の推定時間変化を計算する。
【0068】
システム制御部52は例えば、EPIなどのパルスシーケンスの種類毎に、撮像シーケンスの条件の多様のパターンと、各パターンにおける消費電力の推定時間変化を予め記憶している。各パターンにおける消費電力の推定時間変化は、予めシミュレーションによって計算又は測定することで、取得できる。
【0069】
ここでの「各パターン」とは、撮像シーケンスの条件の各パラメータの代表値(代表条件)に対する消費電力の推定時間変化である。システム制御部52は、多様な代表値に対してそれぞれ消費電力の推定時間変化を予め記憶しておくことで、その中から、現在設定されている撮像シーケンスの条件に最も近いものを選択する。
【0070】
システム制御部52は、選択したパターンの撮像シーケンスの条件と、設定された撮像シーケンスの条件との差分に基づいて、選択したパターンの消費電力の推定時間変化を修正する。この修正により、システム制御部52は、設定された条件に従って本スキャンの撮像シーケンスを実行する場合の消費電力の推定時間変化を計算する。
【0071】
なお、上記計算方法は一例にすぎず、他の手法で計算してもよい。例えば、傾斜磁場電源44及び傾斜磁場コイル26の等価回路モデルなどを用い、これに撮像シーケンスの条件を代入することで、消費電力の推定時間変化を計算してもよい。一般に、本スキャンなどのMR信号の収集時では、消費電力自体及び消費電力の変動がMRI装置20A内で最も大きいのは、傾斜磁場電源44及び傾斜磁場コイル26だからである。
【0072】
ここでは一例として、撮像シーケンスの実行可否は、充電池BATの蓄積電力(電池残量)と、推定消費電力の時間変化に基づいて、以下2条件を満たすか否かにより判定される。
【0073】
第1の条件は、消費電力の推定時間変化において、(瞬間的な)消費電力の最大値が、出力可能な電力の最大値を超えるタイミングがないことである。出力可能な電力とは、
図2の外部電源120による外部電力の最大値と、充電池BATの放電電流による電力との合計である。
【0074】
第2の条件は、撮像シーケンスの実行期間の総消費電力が、当該実行期間に供給される外部電力の量と、充電池BATの蓄積電力(電池残量)との和を上回らないことである。具体的には例えば、システム制御部52は、撮像シーケンスの実行期間の消費電力の時間積分値が、当該実行期間に供給される外部電力の量と、充電池BATの蓄積電力との和を上回るか否かを判定する。
【0075】
上記2条件を満たす場合、システム制御部52は撮像シーケンスを実行可能と判定し、それ以外の場合、実行不能と判定する。システム制御部52は、撮像シーケンスを実行不能と判定した場合、撮像シーケンスの条件の修正候補を計算するか、或いは、撮像シーケンスの条件を制限する。この後、システム制御部52は、撮像シーケンスの条件の再設定用の画面を警告と共に表示装置64に表示させる。
【0076】
システム制御部52は、撮像シーケンスの条件の修正候補の計算に際して、例えば上記2条件を満たす程度に消費電力が少なくなるように修正候補を計算する。消費電力量を減らす、即ち、電気的負荷を減らすには、例えば、繰り返し時間を長くする、スライス数を減らす、FOV(Field Of View:撮像視野)を広げる、位相エンコード及び周波数エンコードのステップ数を減らすことで分解能を減らす、などが挙げられる。
【0077】
これにより、例えば、上記2条件を満たす程度に現在設定値よりも長くされた繰り返し時間、上記2条件を満たす程度に減らされた位相エンコード及び周波数エンコードのステップ数などが、条件の修正候補として計算される。
【0078】
図3は、撮像シーケンスが実行不能と判定された場合における、撮像シーケンスの条件を再設定する入力画面の一例を示す模式図である。
図3に示すように、ここでは一例として、撮像シーケンスが実行不能である旨の警告表示が画面の上部に文字的に付与されている。
【0079】
また、位置決め画像180内にFOVの枠182が表示され、位置決め画像180の右側には、撮像シーケンスの条件の設定ボックス184、190、192、194、196が表示されている。
【0080】
図3の例では、ボックス184において、FOVを125mm×125mmから250mm×250mmにすることが、撮像シーケンスの条件の一修正候補として表示されている。
また、ボックス190において、スライス数を100枚から50枚に減らすことが、撮像シーケンスの条件の一修正候補として表示されている。
【0081】
また、ボックス192において、繰り返し時間TRを500msから1000msに延長することが、撮像シーケンスの条件の一修正候補として表示されている。
【0082】
また、ボックス194及び196において、位相エンコードステップ数(PE MATRIX NO.)及び周波数エンコードステップ数(RO MATRIX NO.)をそれぞれ256から128に減らすことが、撮像シーケンスの条件の一修正候補として表示されている。
【0083】
ユーザは、入力装置62を介して、表示装置64に表示されている撮像シーケンスの条件の修正候補のいずれか1つ又は複数を選択することで、撮像シーケンスの条件を再設定し、撮像シーケンスを実行可能にすることができる。
【0084】
ここでは一例として、システム制御部52は、撮像シーケンスを実行不能と判定した場合、消費電力が増加しないように撮像シーケンスの条件の設定可能範囲を制限する。具体的には例えば、システム制御部52は、撮像シーケンスの各条件(パラメータ)について、現在設定されている値等よりも、消費電力が大きくなる値又は条件を入力できないようにする。
【0085】
例えば、繰り返し時間TRについて、現在設定されている500msよりも短い値を操作者が入力した場合に、システム制御部52は、表示装置64にエラー表示を実行させればよい。このように表示装置64は、撮像シーケンスの条件を再設定する入力画面として、上記のようにシステム制御部52により設定可能範囲が制限された入力画面を表示する。
【0086】
図4は、第1の実施形態のMRI装置20Aの撮像動作の流れを示すフローチャートである。MRI装置20Aの稼働中において、システム制御部52は、前述のように充電池BATの充放電を制御することで、充電池BATを充電状態、放電状態、待機状態の内の1つから別の1つに切り替える。「MRI装置20Aの稼働中」とは、例えばMRI装置20Aの電源がオンされている期間であり、
図4のステップS1〜S9の処理の実行中を一部として含む。
【0087】
ここでは一例として、充電池BATが放電状態となる可能性があるケースは、ステップS1において消費電力が大きい手法でプレスキャンが行われる場合、及び、ステップS8の本スキャンの実行時のみとする。従って、ステップS1、S8以外では、充電池BATは充電状態又は待機状態となる。なお、消費電力が大きいプレスキャンの例としては、EPIの位相補正データを得るテンプレートショットが挙げられる(特開平9−276243号公報参照)。
【0088】
以下、前述の
図1〜
図3を参照しながら、
図4に示すステップ番号に従って、MRI装置20Aの撮像動作を説明する。
【0089】
[ステップS1]システム制御部52(
図1参照)は、入力装置62を介してMRI装置20Aに対して入力された撮像シーケンスの条件に基づいて、本スキャンの撮像シーケンスの条件の一部を設定する。また、公知のプレスキャンの実行などによってRFパルスの中心周波数等の撮像シーケンスの他の条件が設定される。このようにしてシステム制御部52は、本スキャンの撮像シーケンスの全条件を暫定的に設定する。この後、ステップS2に進む。
【0090】
[ステップS2]システム制御部52は、ステップS1で設定された条件に従って、本スキャンの撮像シーケンスを実行する場合の消費電力の推定時間変化を前述の手法で計算する。この後、ステップS3に進む。
【0091】
[ステップS3]システム制御部52は、電池残量検出器BD(
図2参照)から入力される充電池BATの最新の充電電圧が、所定値以上か否かを判定する。ここでの所定値とは例えば、停電等で外部電力の供給が停止した場合に、それまでに収集したMR信号のデータの保存と、MRI装置20Aを安全に停止させる処理とを十分に実行できる蓄積電力量を示す充電電圧である。但し、これは所定値の一例にすぎず、さらに大きい値を所定値としてもよいし、充電完了時の電圧を所定値としてもよい。
【0092】
充電池BATの充電電圧が所定値以上の場合、ステップS5に進み、そうではない場合、ステップS4に進む。
【0093】
[ステップS4]システム制御部52は、充電池BATの充電電圧が所定値に達するまで、外部電源120から充電池BATに充電電流を供給させる。同時に、システム制御部52は、例えば「充電のため待機中」といった通知を充電期間中に表示装置64に表示させる。この後、ステップS5に進む。
【0094】
[ステップS5]システム制御部52は、電池残量検出器BDから入力される最新の充電電圧に基づいて、充電池BATの蓄積電力(電池残量)を計算する。システム制御部52は、充電池BATの蓄積電力と、ステップS2で計算した消費電力の推定時間変化に基づいて、前記2条件を満たすか否かを判定する。
【0095】
第1の条件は、消費電力の推定時間変化において、(瞬間的な)消費電力の最大値が、出力可能な電力の最大値を超えるタイミングがないことである。第2の条件は、撮像シーケンスの実行期間の総消費電力が、当該実行期間に供給される外部電力からの電力量と、充電池BATの蓄積電力との和を上回らないことである。
【0096】
上記2条件を満たす場合、システム制御部52は、暫定的に設定されている撮像シーケンスの全条件を確定条件とした後、ステップS8に処理を移行させる。
【0097】
上記2条件の少なくとも一方を満たさない場合、システム制御部52は、ステップS6に処理を移行させる。但し、充電池BATの充電完了時の電圧よりも低い電圧に基づいて上記判定が行われた場合、システム制御部52は、以下のように再判定を実行してもよい。
【0098】
即ち、システム制御部52は、充電池BATの充電電圧が充電完了時の電圧であるものと仮定し、上記2条件を満たすか否かの再判定を行う。再判定で上記2条件を満たす場合、システム制御部52は、充電池BATの充電を完了させ、その後にステップS8に処理を移行させる。再判定においても上記2条件の少なくとも一方を満たさない場合、システム制御部52は、ステップS6に処理を移行させる。
【0099】
[ステップS6]システム制御部52は、例えば、上記2条件を満たすような撮像シーケンスの条件の修正候補を計算する。また、システム制御部52は、撮像シーケンスの各条件の再設定用の入力画面を前述の警告と共に表示装置64に表示させる(
図3参照)。
【0100】
なお、撮像シーケンスの条件の修正候補を表示しなくとも、別の方法で撮像シーケンスの条件を制限してもよい。例えば、現在の設定値よりも消費電力が大きくならないように、撮像シーケンスの各条件の入力制限をしてもよい。例えば繰り返し時間TRの場合、現在の設定値よりも短い値を入力できないように制限し、例えばFOVの場合、現在の範囲よりも狭い範囲を設定できないようにする。この後、ステップS7に進む。
【0101】
[ステップS7]操作者により、撮像シーケンスの条件の少なくとも一部が再設定される。システム制御部52は、再設定された条件などに基づいて、撮像シーケンスの全条件を暫定的に再設定する。この後、ステップS2と同様にして、再設定された撮像シーケンスの実行時における消費電力の推定時間変化が計算される。その後、ステップS5に戻る。
【0102】
即ち、前記2条件を満たすまで、(1)撮像シーケンスの条件の暫定的な設定、(2)暫定的に設定された撮像シーケンスの実行時における消費電力の推定時間変化の計算、(3)前記2条件を満たすか否かの判定処理、が順次繰り返される。
【0103】
[ステップS8]このステップS8に到達する場合、現在設定されている撮像シーケンスは、上記2条件を満たすので電力的に実行可能と判定されている。従って、システム制御部52は、現在設定されている撮像シーケンスの全条件を確定条件とし、確定された撮像シーケンスの条件に基づいてMRI装置20Aの各部に本スキャンを実行させる。
【0104】
具体的には、天板32a上に被検体Pが載置され、静磁場電源40により励磁された静磁場磁石22によって撮像空間に静磁場が形成される。また、シムコイル電源42からシムコイル24に電流が供給されて、静磁場が均一化される。
【0105】
そして、入力装置62からシステム制御部52に撮像開始指示が入力されると、システム制御部52は、確定された撮像シーケンスの条件に従って傾斜磁場電源44、RF送信器46及びRF受信器48を駆動させることで、被検体Pの撮像部位が含まれる撮像領域に傾斜磁場を形成させると共に、送信用RFコイル28からRFパルスを発生させる。
【0106】
このため、被検体Pの内部の核磁気共鳴により生じたMR信号が受信用RFコイル29及び装着型RFコイル装置100により検出されて、RF受信器48により受信される。RF受信器48は、検出したMR信号に所定の信号処理を施した後、これをA/D変換することでMR信号の生データを生成する。RF受信器48は、MR信号の生データを画像再構成部56に入力し、画像再構成部56は、MR信号の生データに基づいてk空間データを生成して記憶する。
【0107】
以上の本スキャンの実行中においても、システム制御部52は、以下のように充電池BATを充電状態、放電状態、待機状態の内の1つから別の1つに切り替える。具体的には、システム制御部52は前述のように、電流センサ308aの計測値に基づいてMRI装置20Aの消費電力の時間変化をリアルタイムで計算する。システム制御部52は、以下の第1の場合、第2の場合、第3の場合のように、計算された消費電力に基づいて充電池BATの状態をリアルタイムで切り替える。
【0108】
第1の場合として、外部電力ではMRI装置20Aの電力が不足する期間では、充放電制御回路309は、システム制御部52の指令に従って、充電池BATを放電状態に切り替える。
第2の場合として、MRI装置20Aの消費電力が外部電力の最大値よりも小さく、且つ、充電池BATの充電電圧が充電完了時の電圧に達していない場合、充放電制御回路309は、システム制御部52の指令に従って、外部電力により充電池BATを充電する(充電状態)。
上記第1の場合又は第2の場合に該当しない場合(即ち、第3の場合)、充放電制御回路309は、システム制御部52の指令に従って、充電池BATの充放電が行われないように制御する(待機状態)。この後、ステップS9に進む。
【0109】
[ステップS9]画像再構成部56は、k空間データにフーリエ変換を含む画像再構成処理を施すことで画像データを再構成し、得られた画像データを画像データベース58に保存する。画像処理部60は、画像データベース58から画像データを取り込み、これに所定の画像処理を施すことで2次元の表示用画像データを生成し、この表示用画像データを記憶装置66に保存する。システム制御部52は、表示用画像データを記憶装置66から表示装置64に入力させ、表示用画像データが示す画像を表示装置64に表示させる。
以上が第1の実施形態のMRI装置20Aの動作説明である。
【0110】
このように第1の実施形態のMRI装置20は、外部から供給される外部電力と、外部電力により充電される充電池BATの蓄積電力とによって動作するハイブリッド型である。従って、消費電力の大きい撮像シーケンスの実行時には充電池BATの蓄積電力及び、外部電力により動作し、それ以外の場合には外部電力のみで動作することができる。
【0111】
以上の構成では、最大消費電力を下げずに、外部電源120から供給される外部電力の最大値を、充電池BATの蓄積電力の分だけ削減できる。従って、撮像シーケンスの条件を従来よりも制約することなく(最大消費電力を下げずに)、電源設備の規模を縮小できる。
【0112】
また、第1の実施形態のMRI装置20Aは、撮像シーケンスの実行前にその実行可否を判定し、実行不能である場合には警告を表示し、撮像シーケンスの条件を再設定する。従って、撮像シーケンスの実行途中で電池残量が足りなくなり、撮像シーケンスが中断されるような事態は生じない。
【0113】
さらに、第1の実施形態のMRI装置20Aは、撮像シーケンスを実行不能と判定した場合、撮像シーケンスの条件の修正候補を計算して表示する。従って、操作者は、確実に実行可能な撮像シーケンスの条件を容易に設定することができる。
【0114】
以上説明した実施形態によれば、MRIにおいて、最大消費電力を下げずに電源設備を縮小することができる。このようにMRI装置をハイブリッド型とした上、可能であれば撮像中にも電力供給用の充放電素子を充電するという第1の実施形態の技術思想は、従来技術には全く存在しないものである。
【0115】
なお、以上の例では、MRI装置20A全体での消費電力を計算し、全体の消費電力が所定値を超える場合には充電池BATを放電させ、全体での消費電力が所定値以下の場合には外部電力のみで賄う例を述べた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。例えば、MRI装置の各ユニット毎に、所定値までの電力を外部電力で賄い、それを超える分を適宜充放電素子の蓄積電力で賄う構成とすることで、電源設備の規模を縮小してもよい。
【0116】
図5は、動作内容別に、ハイブリッド型のMRI装置20Aの実施形態の概念を示す模式図である。
図5において横軸は、例として挙げたSP1〜SP7の各動作の実行時におけるMRI装置20Aの消費電力の大きさを示す。以下に述べるように、各部のスタンバイ状態では外部電力のみで消費電力が賄われることで、消費電力の大きい本スキャンの実行時用に、充電池BATの蓄積電力が温存される構成が望ましい。
【0117】
図5のSP1〜SP4は、
図2の天板駆動装置32bへの供給電力の一例である。具体的には、スタンバイ状態SP4(天板32aをいつでも移動できる状態)における天板駆動装置32bの消費電力が、
図5の点線で示す所定電力である。この所定電力までは、外部電力により、天板駆動装置32bに対する消費電力が賄われる。
一方、天板32aの上昇動作SP1、天板32aの下降動作SP2、天板32aの水平移動動作SP3の各実行期間では、天板駆動装置32bの消費電力は、
図5において斜線で示す部分だけ、上記所定電力を超える。これら各動作の実行時の天板駆動装置32bの消費電力において、所定電力を超える分は、充電池BATの放電電力で賄われ、所定電力までは外部電力で賄われる。
【0118】
図5において、RFコイルの起動動作SP5は、例えば、RFパルスの送信モードと、MR信号の受信モードとの切替動作であり、例えば以下の3つの場合がある。
第1に、送信用RFコイル28に全身用コイルが含まれる場合、全身用コイルによるRFパルスの送信モードと、MR信号の受信モードとの切替動作である。
第2に、送受信兼用のRFコイル装置が被検体Pに装着される場合、当該RFコイル装置によるRFパルスの送信モードと、MR信号の受信モードとの切替動作である。
第3に、被検体Pに装着される受信用RFコイル装置を、MR信号を検出できないオフ状態のモード、又は、MR信号を検出可能なモードに切り替える動作である。具体的には、送信用RFコイル28からRFパルスが送信される期間では、RFパルスによる受信用RFコイル装置の回路破損を防止するため、受信用RFコイル装置は、オフ状態のモードに切り替えられる。RFパルスが送信されない期間では、受信用RFコイル装置は、MR信号を検出可能なモードに切り替えられる。
RFコイルの起動動作SP5の実行時の送信用RFコイル28及び受信用RFコイル29の消費電力において、所定電力を超える分は、充電池BATの放電電力で賄われ、所定電力までは外部電力で賄われる。投光器35の点灯動作SP6についても同様である。
【0119】
スキャン直前SP7は、入力装置62のスタートボタンを押せばすぐにスキャンを開始できるスタンバイ状態における、例えば傾斜磁場電源44の消費電力であり、このスタンバイ状態の電力は、外部電力のみで賄われる。
図1のRF送信器46等の他の撮像系のユニットも同様に、少なくともスタンバイ状態の電力は、外部電力のみで賄われる。
このようにMRI装置20Aのユニット毎に、所定値までの電力を外部電力で賄い、それを超える分を適宜充電池BATの蓄積電力で賄う構成とすることによっても、電源設備の規模を縮小できる。
但し、上記の電力制御は一例に過ぎない。システム制御部52は例えば、天板駆動装置32b、投光器35などの「データ収集系以外のユニット」がスタンバイ状態で消費する電力が充電池BATから供給されるように、電力供給系統を制御してもよい。
【0120】
以上が第1の実施形態の説明であり、以下、第2〜第5の実施形態について説明する。第2〜第5の実施形態のMRI装置20B〜20Eは、(1)MRI装置の消費電力のモニタリング手段、(2)外部電力の供給先、(3)充電池の蓄積電力の供給先、の3点において、第1の実施形態とは構成を変えたものである。第2〜第5の実施形態のMRI装置20B〜20Eにおける主に撮像系の構成については、第1の実施形態の
図1で説明した構成と同様であるので、説明を省略する。
【0121】
<第2の実施形態>
図6は、第2の実施形態のMRI装置20Bにおける電力供給系統の構成を示すブロック図である。以下、第1の実施形態との違いに焦点をおいて、第2の実施形態のMRI装置20Bについて説明する。
【0122】
図6に示すように、MRI装置20Bは、第1の実施形態の電流センサ308aに代えて電流センサ308bを有する。電流センサ308bは、充電池BATからの放電電流を検出せずに、外部電源120からトランス304の1次巻線に供給される励磁電流の値を計測し、計測値をシステム制御部52に入力する。即ち、システム制御部52が1次側の励磁電流の量をモニタリングすることでMRI装置20Bの消費電力の時間変化をリアルタイムで計算する点については、第1の実施形態と同様である。
【0123】
第1の実施形態では、充電池BATの蓄積電力は1次側の励磁電流として供給されるが、第2の実施形態では、充電池BATの蓄積電力はトランスの2次側の傾斜磁場電源44及びRF送信器46のみに直接供給される。この点が、第1の実施形態との違いであり、その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0124】
以上の構成の第2の実施形態のMRI装置20Bでは、システム制御部52は、充放電制御回路309を制御することで第1の実施形態と同様に充電池BATを充電状態、放電状態、待機状態の内の1つから別の1つに切り替える。また、システム制御部52は、
図4で説明した動作と同様に撮像シーケンスの実行を制御する。従って、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0125】
<第3の実施形態>
図7は、第3の実施形態のMRI装置20Cにおける電力供給系統の構成を示すブロック図である。第3の実施形態のMRI装置20Cは、以下の3点において第1の実施形態とは異なる。
【0126】
第1に、システム制御部52によるMRI装置20Cの消費電力のモニタリングは、1次側ではなく、傾斜磁場電源44の出力電力及びRF送信器46の出力電力を計測することで実行される。具体的には、例えば2つの電流センサ308cが設けられる。一方の電流センサ308cは、傾斜磁場電源44の出力電流値を計測してシステム制御部52に入力し、他方の電流センサ308cは、RF送信器46の出力電流値を計測してシステム制御部52に入力する。
【0127】
撮像シーケンスの実行時において、消費電力が最も大きいのは一般に傾斜磁場電源44であり、その次に消費電力が大きいのはRF送信器46である。また、撮像シーケンスの実行時において、一般に消費電力の変化が最も大きいのは、傾斜磁場電源44であり、その次がRF送信器46である。従って、システム制御部52は、傾斜磁場電源44及びRF送信器46の各出力の時間変化と、撮像シーケンスの条件とに基づいて、撮像シーケンスの実行中におけるMRI装置20Cの消費電力の時間変化をリアルタイムで概算する。
【0128】
第2に、投光器35、天板駆動装置32b、真空ポンプユニット27に対しては、外部電力が伝達されない点が第1の実施形態とは異なる。従って、トランスの2次側の誘導電流による電力は、投光器35、天板駆動装置32b、真空ポンプユニット27以外のMRI装置20Cの各部に供給される。
【0129】
第3に、充電池BATの蓄積電力の供給先が異なる。充電池BATの蓄積電力は、傾斜磁場電源44、RF送信器46、投光器35、天板駆動装置32b、真空ポンプユニット27のみに供給される。
【0130】
従って、第3の実施形態では、傾斜磁場電源44及びRF送信器46はハイブリッド電力システムで動作し、投光器35、天板駆動装置32b、真空ポンプユニット27は充電池BATの蓄積電力のみで動作し、計算器系312などの他のユニットは外部電力のみで動作する。その他のハードウェア的な構成は第1の実施形態と同様である。
【0131】
撮像シーケンスの実行時のMRI装置20Cの動作は、第1の実施形態の
図4のステップS1〜S9と同様であるが、システム制御部52による充電池BATの充放電の制御が異なる。具体的には、上記MRI装置20Cでは、本スキャンの撮像シーケンスの実行中、充電池BATは、投光器35、天板駆動装置32b、真空ポンプユニット27に対して放電により常時電力を供給するため、待機状態にはならない。
【0132】
従って、システム制御部52は、充電池BATを充電状態又は放電状態に切り替えることで、撮像系の一部(傾斜磁場電源44及びRF送信器46)に対する供給電力の状態を第1の状態又は第2の状態に切り替える。第3の実施形態では一例として、「第1の状態」は外部電力のみで動作する状態であり、「第2の状態」は外部電力及び充電池BATの蓄積電力により動作する状態である。従って、
図4のステップS3において、撮像シーケンスの実行に必要な電力が不足していると判定されれば、システム制御部52は、本スキャン実行前のステップS4において充電池BATを充電状態に切り替えることで、充電池BATの蓄積電力を増加させる。
【0133】
撮像シーケンスの実行中において、システム制御部52は、充電池BATから傾斜磁場電源44及びRF送信器46への電力供給量を制御する。即ち、システム制御部52は、傾斜磁場電源44の出力に基づいて、外部電力のみでは傾斜磁場電源44の消費電力が不足しているか否かを判定する。不足していると判定された場合、システム制御部52は、充放電制御回路309を制御することで、不足分の電力を充電池BATから傾斜磁場電源44に供給させる。
【0134】
同様に、システム制御部52は、RF送信器46の出力に基づいて、外部電力のみではRF送信器46の消費電力が不足しているか否かを判定する。不足していると判定された場合、システム制御部52は、充放電制御回路309を制御することで不足分の電力を充電池BATからRF送信器46に供給させる。
以上の構成の第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
第3の実施形態では、傾斜磁場電源44及びRF送信器46のみがハイブリッド電力システムで動作する例を述べたが、これは一例にすぎない。第3の実施形態の変形例として、例えば冷凍器38、計算器系(コンピュータ)312、傾斜磁場電源44、及び、RF送信器46をハイブリッド電力システムで動作させ、RFコイル装置100を充電池BATの電力のみで動作させ、他のユニットを外部電力のみで動作させてもよい。
【0135】
<第4の実施形態>
図8は、第4の実施形態のMRI装置20Dにおける電力供給系統の構成を示すブロック図である。第4の実施形態のMRI装置20Dは、以下の点を除いて、第3の実施形態と同様である。即ち、第4の実施形態では、システム制御部52は、傾斜磁場電源44及びRF送信器46の出力ではなく、第2の実施形態と同様に1次側の励磁電流の大きさでMRI装置20Dの消費電力の時間変化をモニタリングする。
【0136】
その他の構成は第3の実施形態と同様であるため、第4の実施形態においても、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、第4の実施形態の変形例として、例えば冷凍器38、計算器系312、傾斜磁場電源44、及び、RF送信器46をハイブリッド電力システムで動作させ、RFコイル装置100を充電池BATの電力のみで動作させ、他のユニットを外部電力のみで動作させてもよい。
【0137】
<第5の実施形態>
図9は、第5の実施形態のMRI装置20Eにおける電力供給系統の構成を示すブロック図である。第5の実施形態のMRI装置20Eは、以下の点を除いて、第3の実施形態と同様である。即ち、第5の実施形態では、システム制御部52は、傾斜磁場電源44への入力電力及びRF送信器46への入力電力と、撮像シーケンスの条件とに基づいてMRI装置20Eの消費電力の時間変化を計算する。
【0138】
具体的には、第3の実施形態の2つの電流センサ308cの代わりに、MRI装置20Eでは2つの電流センサ308eが設けられている。
一方の電流センサ308eは、トランス304から傾斜磁場電源44に供給される電流値及び充電池BATから傾斜磁場電源44に供給される電流値をそれぞれ計測し、これら計測値をシステム制御部52に入力する。
他方の電流センサ308eは、トランス304からRF送信器46に供給される電流値及び充電池BATからRF送信器46に供給される電流値をそれぞれ計測し、これら計測値をシステム制御部52に入力する。
【0139】
システム制御部52は、これらの入力される電流値に基づいて傾斜磁場電源44への入力電力及びRF送信器46への入力電力をそれぞれ計算し、これによりMRI装置20Eの消費電力の時間変化を概算する。
【0140】
その他の構成は第3の実施形態と同様であるため、第5の実施形態においても、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、第5の実施形態の変形例として、例えば冷凍器38、計算器系312、傾斜磁場電源44、及び、RF送信器46をハイブリッド電力システムで動作させ、RFコイル装置100を充電池BATの電力のみで動作させ、他のユニットを外部電力のみで動作させてもよい。
【0141】
<第6の実施形態>
図10は、第6の実施形態のMRI装置20Fにおける電力供給系統の構成を示すブロック図である。第6の実施形態のMRI装置20Fは、寝台32において第1回生機構32c及び第2回生機構32dがさらに設けられている点を除き、第5の実施形態のMRI装置20Eと同様である。なお、電流センサ308fは、トランス304の2次側の全体の出力電力を検出してシステム制御部52に入力する。
【0142】
天板駆動装置32bは、天板32aを水平方向及び上下方向に移動させるが、第1回生機構32cは天板32aの水平方向移動時に機能し、第2回生機構32dは天板32aの下降時に機能する。
【0143】
具体的には、第1回生機構32cは、水平方向に移動中の天板32aに天板駆動装置32bがブレーキをかけることで発生する摩擦エネルギーを電気エネルギーに変換する。第1回生機構32cは、このようにして変換された電気エネルギーを充電池BATに供給する。
【0144】
充放電制御回路309は、システム制御部52の制御に従って、第1回生機構32cから供給される電流により充電池BATを充電する。
【0145】
一方、第2回生機構32dは、重力方向に移動中の天板32aから失われる位置エネルギーを電気エネルギーに変換する。第2回生機構32dは、このようにして変換された電気エネルギーを充電池BATに供給する。
【0146】
充放電制御回路309は、システム制御部52の制御に従って、第2回生機構32dから供給される電流により充電池BATを充電する。
【0147】
このように第6の実施形態では、第5の実施形態と同様の効果が得られると共に、エネルギー回生機能(regeneration capability)によりMRI装置20Fの消費電力を低減できる。即ち、MRI装置20Fの消費電力の一部が天板32aの運動エネルギーに変換された後、この運動エネルギーの一部が再度電気エネルギーに変換され、この電気エネルギーにより充電池BATを充電できる。従って、ハイブリッド動作用の充電池BATが外部電力のみで充電されるのではなく、回生機能によっても充電されるため、MRI装置20Fの消費電力を低減できる。
なお、第6の実施形態の変形例として、例えば冷凍器38、計算器系312、傾斜磁場電源44、及び、RF送信器46をハイブリッド電力システムで動作させ、RFコイル装置100を充電池BATの電力のみで動作させ、他のユニットを外部電力のみで動作させてもよい。
【0148】
<第1〜第6の実施形態の補足事項>
[1]第1〜第6の実施形態では、トランス304を介して、1次側に供給される外部電力を2次側の各ユニットに供給する例を述べた。各実施形態のMRI装置20A〜20Fは、トランス304を介して電力を分配する形態に限定されるものではない。例えば、少なくとも一部のユニットに対して、直接的に外部電力を分配してもよい。
【0149】
[2]MRI装置20A〜20Fの稼働中(電源がオンされている期間)において、例えば停電により外部電力の供給が途絶える場合、充電池BATの蓄積電力によりMRI装置20A〜20Fを動作させることが望ましい。この場合、システム制御部52は、充電池BATの充電電圧に基づいて、撮像シーケンスを最後まで実行できるか否かを停電の直後に判定後、判定結果に応じてMRI装置20A〜20Fの動作状態を切り替えることが望ましい。
【0150】
撮像シーケンスを最後まで実行できる場合、システム制御部52は、充放電制御回路309を制御することで充電池BATの蓄積電力をMRI装置(20A〜20F)の各部に供給することで撮像シーケンスを最後まで実行させればよい。この後、システム制御部52は、k空間データを保存した状態でMRI装置(20A〜20F)の動作を安全に停止させればよい。
撮像シーケンスを最後まで実行できない場合、システム制御部52は、充放電制御回路309を制御することで充電池BATの蓄積電力を計算器系312等に電力供給して収集済のMR信号のk空間データを保存させればよい。同時に、システム制御部52は、撮像シーケンスを安全に中断させ、MRI装置20A〜20Fの動作を安全に停止させればよい。
【0151】
[3]MRI装置20として、ガントリ21の外にRF受信器48が存在する例を述べたが(
図1)、RF受信器48がガントリ21内に含まれる態様でもよい。具体的には例えば、RF受信器48に相当する電子回路基盤がガントリ21内に配設される。そして、受信用RFコイル29、装着型RFコイル装置100によって電磁波からアナログの電気信号に変換されたMR信号を、当該電子回路基盤内のプリアンプによって増幅し、デジタル信号としてガントリ21外に出力し、画像再構成部56に入力してもよい。ガントリ21外への出力に際しては、例えば光通信ケーブルを用いて光デジタル信号として送信すれば、外部ノイズの影響が軽減されるので望ましい。
【0152】
[4]MRI装置のハイブリッド動作の「第1の状態」として外部電力のみが「撮像系」の少なくとも一部に供給され、ハイブリッド動作の「第2の状態」として外部電力及び充電池BATの蓄積電力が「撮像系」の少なくとも一部に供給される例を述べた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。例えば、充電池BATの蓄積電力(電池容量)が非常に大きい場合、上記「第1の状態」として、充電池BATの蓄積電力のみが撮像系の少なくとも一部に対して供給されるようにしてもよい。
【0153】
[5]充電池BAT(電池ユニットBAU)の数については、1つに限定されるものではなく、複数設けられた構成でもよい。
【0154】
[6]以下、請求項の用語と実施形態との対応関係を説明する。なお、以下に示す対応関係は、参考のために示した一解釈であり、本発明を限定するものではない。
MRI装置20A〜20Fの消費電力に応じて充電池BATの充放電を制御することで、MRI装置20A〜20Fの撮像系全体又はその一部の動作状態を「外部電力のみで動作する状態」又は「充電池BATの蓄積電力及び外部電力で動作する状態」に切り替える充放電制御回路309及びシステム制御部52の機能は、請求項記載の電力制御部の一例である。
第1の実施形態において、トランス304、充放電制御回路309、電池ユニットBAU、電流センサ308a、電池残量検出器BDと、電力の観点からこれらを制御するシステム制御部52の機能とは、請求項記載の電力系統の一例である。電流センサ308b等の若干の構成要素の違いはあるが、第2〜第6の実施形態についても同様である。
【0155】
[7]本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。