(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によれば、電流受側ハウジング900は、4つの磁石904を有しており、磁気キャリッジ960は、磁石904に夫々対応する4つの磁石962を有している。更に、これらの磁石904及び磁石962は、電流受側ハウジング900に回転力を与えると共に磁気キャリッジ960を適切なタイミングで上方に移動させるように巧妙に配置されている。換言すれば、電流受側ハウジング900は、多数の磁石を適切に配置した構造によって、電流供給ハウジング950に接続される。
【0007】
本発明は、コネクタを相手側コネクタに磁力によって接続するための新たな構造を提供することを目的とする。より具体的には、本発明は、磁力を利用して互いに接続するコネクタと相手側コネクタとを備えるコネクタ対であって、少数の磁石を簡易に配置した構造を有するコネクタ対を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1のコネクタ対として、
コネクタと相手側コネクタとを備えるコネクタ対であって、
前記コネクタは、第1方向に沿って第1位置まで移動することで、前記相手側コネクタと嵌合し、且つ、前記第1方向と直交する第2方向に沿って前記第1位置から第2位置まで移動することで、前記相手側コネクタと接続し、
前記コネクタは、対向部と、磁石部とを備えており、
前記磁石部は、N極部と、S極部とを含んでおり、
前記対向部は、前記N極部と前記S極部とを前記第2方向に並べて保持しており、
前記相手側コネクタは、相手側対向部と、相手側磁石部とを備えており、
前記相手側磁石部は、相手側N極部と、相手側S極部とを含んでおり、
前記相手側対向部は、前記相手側N極部と前記相手側S極部とを前記第2方向に並べて保持しており、
前記コネクタが前記第1位置及び前記第2位置のいずれにあるときにも、前記対向部と前記相手側対向部とは、前記第1方向において対向しており、
前記コネクタが前記第1位置にあるとき、前記磁石部は、前記相手側磁石部から前記コネクタを前記第2位置に向かわせる力を受けており、
前記コネクタが前記第2位置にあるとき、前記磁石部は、前記相手側磁石部から前記コネクタを前記第2位置に維持する力を受けている
コネクタ対を提供する。
【0009】
また、本発明は、第2のコネクタ対として、第1のコネクタ対であって、
前記コネクタが前記第1位置から前記第2位置まで移動する際、前記磁石部は、前記第2方向において一方側に向かって移動し、
前記コネクタが前記第1位置にあるとき、前記N極部の前記一方側の端は、前記相手側S極部の前記一方側の端に対して前記一方側の反対側にずれており、且つ、前記S極部の前記一方側の端は、前記相手側N極部の前記一方側の端に対して前記反対側にずれており、
前記コネクタが前記第2位置に近づくにつれて、前記N極部の前記一方側の前記端は、前記相手側S極部の前記一方側の前記端に近づき、前記S極部の前記一方側の前記端は、前記相手側N極部の前記一方側の前記端に近づく
コネクタ対を提供する。
【0010】
また、本発明は、第3のコネクタ対として、第2のコネクタ対であって、
前記コネクタが前記第1位置にあるとき、前記N極部及び前記S極部のうちの一方は、前記相手側N極部及び前記相手側S極部のうちの一方から前記コネクタを前記第2位置に向かわせる引力を受けており、且つ、前記相手側N極部及び前記相手側S極部のうちの他方から前記コネクタを前記第2位置に向かわせる斥力を受けている
コネクタ対を提供する。
【0011】
また、本発明は、第4のコネクタ対として、第1乃至第3のいずれかのコネクタ対であって、
前記N極部は、前記S極部を有する磁石の一部である
コネクタ対を提供する。
【0012】
また、本発明は、第5のコネクタ対として、第1乃至第3のいずれかのコネクタ対であって、
前記N極部は、前記S極部を有する磁石とは別体の磁石の一部である
コネクタ対を提供する。
【0013】
また、本発明は、第6のコネクタ対として、第1乃至第5のいずれかのコネクタ対であって、
前記コネクタは、前記N極部と前記S極部とからなる対を複数備えており、
前記相手側コネクタは、前記相手側N極部と前記相手側S極部とからなる対を複数備えている
コネクタ対を提供する。
【0014】
また、本発明は、第7のコネクタ対として、第1乃至第6のいずれかのコネクタ対であって、
前記第2方向は、直線的に延びる方向であり、
前記コネクタの前記第1位置から前記第2位置までの移動は、前記第2方向に沿った直線的移動である
コネクタ対を提供する。
【0015】
また、本発明は、第8のコネクタ対として、第1乃至第6のいずれかのコネクタ対であって、
前記第2方向は、前記第1方向と平行に延びる中心軸を中心とする円周方向であり、
前記コネクタの前記第1位置から前記第2位置までの移動は、前記中心軸を中心とする回転移動である
コネクタ対を提供する。
【0016】
また、本発明は、第9のコネクタ対として、第1乃至第8のいずれかのコネクタ対であって、
前記コネクタは、被受止部を備えており、
前記相手側コネクタは、受止部を備えており、
前記コネクタが前記第2位置にあるとき、前記受止部は、前記第1方向において前記被受止部と対向し、前記コネクタが前記第1方向のみに沿って前記相手側コネクタから抜去されることを防止する
コネクタ対を提供する。
【0017】
また、本発明は、第10のコネクタ対として、第9のコネクタ対であって、
前記コネクタが前記第2位置にあるとき、前記被受止部及び前記受止部の少なくとも一方は、前記第1方向及び前記第2方向の双方と斜交する斜交方向に沿って延びており、前記コネクタが前記斜交方向に沿って前記相手側コネクタから抜去されることを許容する
コネクタ対を提供する。
【0018】
また、本発明は、第11のコネクタ対として、第9又は第10のコネクタ対であって、
前記コネクタ対は、前記被受止部と前記受止部とからなる受止対を複数備えており、
前記受止対のうちの少なくとも2つは、前記第2方向において離れている
コネクタ対を提供する。
【0019】
また、本発明は、第12のコネクタ対として、第1乃至第11のいずれかのコネクタ対であって、
前記コネクタは、コンタクトを備えており、
前記コンタクトは、バネ部と、接触部とを有しており、
前記接触部は、前記バネ部によって前記第1方向に移動可能に弾性支持されている
コネクタ対を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コネクタのN極部及びS極部は、第2方向に並んでおり、相手側コネクタの相手側N極部及び相手側S極部も、第2方向に並んでいる。N極部とS極部とによるこのような配置は、例えば1つの棒磁石によって簡単に構成可能である。同様に、相手側N極部と相手側S極部とによるこのような配置も、1つの棒磁石によって簡単に構成可能である。このため、少数の磁石を簡易に配置した構造によって、磁力を利用してコネクタを相手側コネクタに接続できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
図1に示されるように、本発明の第1の実施の形態によるコネクタ対10は、コネクタ20と相手側コネクタ50とを備えている。
図1、
図5及び
図7を参照すると、コネクタ20は、相手側コネクタ50と嵌合可能であり、且つ、接続可能である。詳しくは、コネクタ20は、相手側コネクタ50と嵌合する前に、上下方向(Z方向:第1方向)において相手側コネクタ50の真上(+Z側)の未嵌合位置(
図1の位置)に配置される。コネクタ20は、Z方向に沿って未嵌合位置から第1位置(
図5の位置)まで下方に向かって(−Z方向に)移動することで、相手側コネクタ50と嵌合する。また、コネクタ20は、前後方向(Y方向:第2方向)に沿って第1位置から第2位置(
図7の位置)まで前方に向かって(−Y方向に)移動することで、相手側コネクタ50と接続する。
【0023】
図2及び
図4を参照すると、本実施の形態によるコネクタ20は、絶縁体からなるハウジング200と、導電体からなる2つのコンタクト300と、1つの磁石410とを備えている。
【0024】
図1乃至
図4に示されるように、ハウジング200は、保持部210と、2つの側部220と、2つの被ロック部230と、1つの被ロック部240とを有している。保持部210は、Y方向に長い直方体形状を有している。側部220は、保持部210の後端(+Y側の端)に位置しており、保持部210の横方向(X方向)における両側からX方向外側に夫々張り出している。被ロック部230は、側部220の下端(−Z側の端)に位置しており、側部220から前方に突出している。被ロック部240は、保持部210の前面(−Y側の面)の下端に位置しており、保持部210から前方に突出している。
【0025】
図2及び
図4を参照すると、保持部210は、対向部212を有している。換言すれば、コネクタ20は、対向部212を備えている。本実施の形態による対向部212は、保持部210の下面(−Z側の面)を含む保持部210の下部(−Z側の部位)である。
【0026】
図1乃至
図4に示されるように、被ロック部230の夫々は、被受止部232と、被ガイド部234とを有している。被受止部232は、被ロック部230の上面(+Z側の面)であり、被ガイド部234は、被ロック部230の下面である。本実施の形態において、被受止部232は、Z方向と直交する水平面であり、被ガイド部234は、Z方向と斜交する傾斜面である。
【0027】
被ロック部240は、被ロック部230と同様に、被受止部242と、被ガイド部244とを有している。被受止部242は、被ロック部240の上面であり、被ガイド部244は、被ロック部240の下面である。被受止部242は、Z方向と直交する水平面であり、被ガイド部244は、Z方向と斜交する傾斜面である。
【0028】
上述のように、本実施の形態によるコネクタ20は、3つの被受止部(2つの被受止部232及び1つの被受止部242)と、3つの被ガイド部(2つの被ガイド部234及び1つの被ガイド部244)とを備えている。被受止部232は、コネクタ20の後端近傍に位置しており、被受止部242は、コネクタ20の前端近傍に位置している。
【0029】
図4を参照すると、コンタクト300の夫々は、バネ部310と、接触部320とを有している。接触部320は、バネ部310によってZ方向に移動可能に弾性支持されている。コンタクト300は、保持部210によってY方向に並べられ保持されている。詳しくは、コンタクト300の夫々において、上端(+Z側の端)は、保持部210の上面を越えて上方(+Z方向)に突出しており、下端(接触部320)は、対向部212の下面を越えて下方に突出している。例えば、コネクタ20を回路基板(図示せず)に搭載する際、コンタクト300の上端は、回路基板の導電パターン(図示せず)と接触する。
【0030】
図2及び
図4を参照すると、本実施の形態による磁石410は、棒磁石であり、N極とS極とがY方向に並ぶように、保持部210に保持されている。換言すれば、コネクタ20は、1つのみの磁石410からなる磁石部400を備えている。磁石部400は、N極に磁化されたN極部412と、S極に磁化されたS極部414とを含んでいる。本実施の形態において、N極部412は、S極部414を有する磁石410の一部である。
【0031】
図4に示されるように、対向部212は、N極部412とS極部414とをY方向に並べて保持している。詳しくは、本実施の形態において、N極部412は、S極部414の前方に位置している。N極部412の上面及びS極部414の上面は、保持部210の内部に埋め込まれており、N極部412の下面及びS極部414の下面は、対向部212の下面において外部に露出している。
【0032】
図1、
図2及び
図4を参照すると、本実施の形態による相手側コネクタ50は、絶縁体からなる相手側ハウジング500と、導電体からなる2つの相手側コンタクト600と、1つの磁石710とを備えている。
【0033】
図1に示されるように、相手側ハウジング500は、保持部510と、壁部520とを有している。保持部510は、Y方向に長い直方体形状を有している。壁部520は、保持部510の上面から上方に突出しており、これにより、相手側コネクタ50には、受容部52が形成されている。受容部52は、壁部520によって四方から囲まれた空間である。
【0034】
図1及び
図4を参照すると、保持部510は、相手側対向部512を有している。換言すれば、相手側コネクタ50は、相手側対向部512を備えている。本実施の形態による相手側対向部512は、受容部52の直下に位置する保持部210の上部(+Z側の部位)である。
図1及び
図3を参照すると、壁部520は、受容部52を囲む内壁と、2つの凹部524と、1つの凹部526とを有している。凹部524は、X方向外側に凹んだ凹みであり、壁部520の内壁の後端部に位置している。凹部526は、−Y方向に凹んだ凹みであり、壁部520の内壁の前端部の下部に位置している。
【0035】
図1、
図3及び
図4に示されるように、壁部520の内壁には、2つのロック部530と、1つのロック部540とが形成されている。ロック部530及びロック部540の夫々は、壁部520の上端に位置している。詳しくは、ロック部530は、凹部524に夫々対応して形成されており、X方向内側に張り出しつつ後方に突出している。ロック部540は、凹部526の上方に位置しており、後方に突出している。
【0036】
図3及び
図4に示されるように、ロック部530の夫々は、受止部532と、ガイド部534とを有している。受止部532は、ロック部530の下面であり、ガイド部534は、ロック部530の上面である。本実施の形態において、受止部532は、Z方向と直交する水平面であり、ガイド部534は、Z方向と斜交する傾斜面である。
【0037】
ロック部540は、ロック部530と同様に、受止部542と、ガイド部544とを有している。受止部542は、ロック部540の下面であり、ガイド部544は、ロック部540の上面である。受止部542は、Z方向と直交する水平面であり、ガイド部544は、Z方向と斜交する傾斜面である。
【0038】
上述のように、本実施の形態による相手側コネクタ50は、3つの受止部(2つの受止部532及び1つの受止部542)と、3つのガイド部(2つのガイド部534及び1つのガイド部544)とを備えている。受止部532は、相手側コネクタ50の後端近傍に位置しており、受止部542は、相手側コネクタ50の前端近傍に位置している。
【0039】
図4を参照すると、相手側コンタクト600の夫々は、相手側接触部620を有している。相手側コンタクト600は、保持部510によってY方向に並べられ保持されている。詳しくは、相手側コンタクト600の夫々において、下端は、保持部510の下面において外部に露出しており、上端(相手側接触部620)は、相手側対向部512の上面において外部に露出している。例えば、相手側コネクタ50を回路基板(図示せず)に搭載する際、相手側コンタクト600の下端は、回路基板の導電パターン(図示せず)と、半田付け等によって電気的及び機械的に接続する。
【0040】
図1、
図2及び
図4を参照すると、本実施の形態による磁石710は、棒磁石であり、S極とN極とがY方向に並ぶように、保持部510に保持されている。換言すれば、相手側コネクタ50は、1つのみの磁石710からなる相手側磁石部700を備えている。相手側磁石部700は、N極に磁化された相手側N極部712と、S極に磁化された相手側S極部714とを含んでいる。本実施の形態において、相手側N極部712は、相手側S極部714を有する磁石710の一部である。
【0041】
図4に示されるように、相手側対向部512は、相手側N極部712と相手側S極部714とをY方向に並べて保持している。詳しくは、本実施の形態において、相手側S極部714は、相手側N極部712の前方に位置している。相手側N極部712の下面及び相手側S極部714の下面は、保持部510の下面において外部に露出しており、相手側N極部712の上面及び相手側S極部714の上面は、相手側対向部512の上面において外部に露出している。
【0042】
図1及び
図4乃至
図6を参照すると、コネクタ20は、未嵌合位置(
図1及び
図4の位置)にあるとき、相手側コネクタ50と嵌合していない未嵌合状態にある。未嵌合状態にあるコネクタ20を下方に移動すると、コネクタ20は、第1位置(
図5及び
図6の位置)に到達し、相手側コネクタ50と嵌合した嵌合状態となる。
【0043】
コネクタ20が未嵌合位置から第1位置に移動する際、コネクタ20の側部220が相手側コネクタ50の凹部524に夫々挿入され、コネクタ20は、相手側コネクタ50に対して位置決めされる。また、被ガイド部234及び被ガイド部244がガイド部534及びガイド部544に夫々ガイドされ、コネクタ20は、受容部52にスムーズに受容される。
【0044】
図5乃至
図8を参照すると、コネクタ20が第1位置(
図5及び
図6の位置)にあるとき、対向部212は、相手側対向部512と接触しており、コンタクト300の接触部320は、相手側コンタクト600の相手側接触部620に押し付けられている。第1位置にあるコネクタ20が第2位置(
図7及び
図8の位置)まで移動すると、コネクタ20は、相手側コネクタ50と接続した接続状態になる。この移動の間、対向部212は、相手側対向部512と接触し続け、接触部320は、相手側接触部620上をスライドする。本実施の形態によれば、接触部320と相手側接触部620との間の接触信頼性が向上する。但し、本発明は、これに限られない。コネクタ20が第1位置及び第2位置のいずれにあるときにも対向部212と相手側対向部512とがZ方向において対向している限り、対向部212は、Z方向において相手側対向部512から多少離れていてもよい。
【0045】
図2及び
図6から理解されるように、コネクタ20が第1位置(
図6の位置)にあるとき、N極部412と相手側S極部714とを、Z方向に沿ってXY平面に投影すると、N極部412の投影像は、相手側S極部714の投影像と部分的にのみ重なる。換言すれば、コネクタ20が第1位置にあるとき、N極部412と相手側S極部714とは、Z方向と直交する直交平面(XY平面)において部分的に重なっている。同様に、S極部414と相手側N極部712とは、XY平面において部分的に重なっている。特に、N極部412の一方側(−Y側)の端は、相手側S極部714の−Y側の端に対して−Y側の反対側(+Y側)にずれている。同様に、S極部414の−Y側の端は、相手側N極部712の−Y側の端に対して+Y側にずれている。このため、N極部412及びS極部414は、相手側S極部714及び相手側N極部712から、−Y方向に沿った引力を夫々受ける。
【0046】
以上の説明から理解されるように、コネクタ20が第1位置にあるとき、磁石部400は、相手側磁石部700からコネクタ20を第2位置に向かわせる力(前方に向かう力)を受けている。このため、第1位置にあるコネクタ20は、外部から力を加えることなく、又は、外部から僅かな力を加えるだけで、容易に前方に(第2位置に向けて)移動できる。
【0047】
更に、本実施の形態によれば、コネクタ20が第1位置にあるとき、N極部412は、相手側S極部714の後部(+Y側の部位)と部分的に重なると共に、相手側N極部712の前部(
−Y側の部位)とも部分的に重なる。換言すれば、N極部412の−Y側の端は、相手側S極部714の−Y側の端に対して+Y側にずれており、且つ、N極部412の+Y側の端は、相手側N極部712の−Y側の端に対して+Y側にずれている。このため、N極部412は、相手側S極部714から−Y方向に沿った引力を受け、相手側N極部712から−Y方向に沿った斥力を受ける。本実施の形態によれば、第1位置にあるコネクタ20は、更に容易に前方に移動できる。
【0048】
図6を参照すると、−Y方向に沿った引力及び斥力は、本実施の形態と異なる構造によっても得られる。例えば、S極部414は、N極部412の前方に位置していてもよい。この場合、相手側N極部712を、相手側S極部714の前方に配置すればよい。換言すれば、コネクタ20が第1位置にあるとき、N極部412及びS極部414のうちの一方が相手側N極部712及び相手側S極部714のうちの一方からコネクタ20を第2位置に向かわせる引力を受け、且つ、相手側N極部712及び相手側S極部714のうちの他方からコネクタ20を第2位置に向かわせる斥力を受ければよい。
【0049】
本実施の形態によれば、磁石部400及び相手側磁石部700の夫々は、1つの棒磁石(磁石410又は磁石710)からなる。従って、N極部412及びS極部414は、Y方向において連続しており、相手側S極部714及び相手側N極部712も、Y方向において連続している。また、磁石410は、磁石710と同じサイズを有している。このため、磁石410と磁石710とを、嵌合状態において部分的に重なるように配置するだけで、コネクタ20を第2位置に向かわせる引力及び斥力が得られる。本実施の形態によれば、1つのみの磁石410と1つのみの磁石710とを簡易に配置した構造によって、磁力を利用してコネクタ20を相手側コネクタ50に接続できる。
【0050】
図6及び
図8から理解されるように、コネクタ20が第1位置から第2位置まで移動する際、磁石部400は、Y方向において相手側コネクタ50の+Y側から−Y側に向かって移動する。この移動の際、N極部412と相手側S極部714とがXY平面において互いに重なる領域が大きくなり、且つ、S極部414と相手側N極部712とがXY平面において互いに重なる領域が大きくなる。詳しくは、コネクタ20が第2位置に近づくにつれて、N極部412の−Y側の端は、相手側S極部714の−Y側の端に近づき、S極部414の−Y側の端は、相手側N極部712の−Y側の端に近づく。また、N極部412は、全体的に、相手側N極部712から遠ざかる。この結果、コネクタ20が第2位置にあるとき、磁石部400は、相手側磁石部700からコネクタ20を第2位置に維持する力を受ける。換言すれば、コネクタ20と相手側コネクタ50との接続状態は、磁力によって維持される。
【0051】
図8に示されるように、コネクタ20が第2位置にあるとき、受止部532及び受止部542は、Z方向において被受止部232及び被受止部242と夫々対向する。コネクタ20を上方に移動すると、被受止部232及び被受止部242が、受止部532及び受止部542によって受け止められる。これにより、コネクタ20がZ方向のみに沿って相手側コネクタ50から抜去されることが防止される。特に、本実施の形態によるコネクタ対10は、被受止部(被受止部232及び被受止部242)と受止部(受止部532及び受止部542)とからなる受止対を複数備えている。また、受止対のうちの少なくとも2つは、Y方向において離れている。このため、コネクタ20と相手側コネクタ50との接続状態は、複数の受止対によって強固にロックされる。但し、コネクタ対10は、受止対を1つのみ備えていてもよい。
【0052】
本実施の形態において、コネクタ20が第2位置にあるとき、受止部532及び受止部542は、Z方向において被受止部232及び被受止部242から僅かに離れている。但し、本発明は、これに限られない。受止部532及び受止部542は、Z方向において被受止部232及び被受止部242と夫々接触していてもよい。
【0053】
本発明は、既に説明した実施の形態及び変形例に加えて様々に変形可能である。以下、本発明の他の実施の形態について、上述した実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0054】
(第2の実施の形態)
図9乃至
図11を参照すると、本発明の第2の実施の形態によるコネクタ対10Aは、コネクタ20Aと、相手側コネクタ50Aとを備えている。
図9、
図12及び
図13を参照すると、コネクタ20Aは、Z方向に沿って未嵌合位置(
図9の位置)から第1位置(
図12の位置)まで移動することで、相手側コネクタ50Aと嵌合し、Y方向に沿って第1位置から第2位置(
図13の位置)まで移動することで、相手側コネクタ50Aと接続する。
【0055】
図1及び
図2と併せて
図9及び
図10を参照すると、本実施の形態によるコネクタ20Aは、磁石410と異なる2つの磁石410Aを備えていることを除き、コネクタ20と同じ構造を有しており、コネクタ20と同様に機能する。また、本実施の形態による相手側コネクタ50Aは、磁石710と異なる2つの磁石710Aとを備えていることを除き、相手側コネクタ50と同じ構造を有しており、相手側コネクタ50と同様に機能する。
【0056】
図2と併せて
図9及び
図10を参照すると、本実施の形態による磁石410Aの夫々は、Y方向におけるサイズが磁石410よりも小さいことを除き、磁石410と同様な棒磁石であり、磁石410と同様に配置されている。詳しくは、磁石410Aの夫々は、Y方向に並べられたN極部412A及びS極部414Aを有している。N極部412Aは、対応するS極部414Aを有する磁石410Aの一部である。本実施の形態による磁石部400Aは、N極に磁化された2つのN極部412Aと、S極に磁化された2つのS極部414Aとを含んでいる。また、対向部212は、N極部412AとS極部414Aとを、Y方向に交互に並べて保持している。詳しくは、本実施の形態において、磁石410Aの夫々について、N極部412Aは、S極部414Aの前方に位置している。
【0057】
本実施の形態による磁石710Aの夫々は、磁石410Aと同じ棒磁石である。磁石710Aの夫々は、Y方向に並べられた相手側N極部712A及び相手側S極部714Aを有している。相手側N極部712Aは、対応する相手側S極部714Aを有する磁石710Aの一部である。本実施の形態による相手側磁石部700Aは、N極に磁化された2つの相手側N極部712Aと、S極に磁化された2つの相手側S極部714Aとを含んでいる。また、相手側対向部512は、相手側N極部712Aと相手側S極部714Aとを、Y方向に交互に並べて保持している。詳しくは、本実施の形態において、磁石710Aの夫々について、相手側S極部714Aは、相手側N極部712Aの前方に位置している。
【0058】
図12及び
図13から理解されるように、コネクタ20Aが第1位置(
図12の位置)及び第2位置(
図13の位置)のいずれにあるときにも、対向部212と相手側対向部512とは、Z方向において対向している。これにより、2つの磁石410Aは、2つの磁石710Aと、位置的に夫々対応している。コネクタ20Aが第1位置にあるとき、互いに対応するN極部412Aと相手側S極部714Aとは、XY平面において部分的に重なっている。同様に、互いに対応するS極部414Aと相手側N極部712Aとは、XY平面において部分的に重なっている。これにより、第1の実施の形態と同様に、磁石部400Aは、相手側磁石部700Aから、−Y方向に沿った引力を受ける。
【0059】
更に、第1の実施の形態と同様に、コネクタ20Aが第1位置にあるとき、N極部412Aの夫々は、対応する相手側S極部714Aから−Y方向に沿った引力を受け、対応する相手側N極部712Aから−Y方向に沿った斥力を受ける。但し、本発明は、これに限られない。磁石部400A及び相手側磁石部700Aは、S極部414Aの夫々が−Y方向に沿った引力と−Y方向に沿った斥力の両方を受けるように配置されていてもよい。
【0060】
以上の説明から理解されるように、第1の実施の形態と同様に、コネクタ20Aが第1位置にあるとき、磁石部400Aは、相手側磁石部700Aからコネクタ20Aを第2位置に向かわせる力(前方に向かう力)を受けている。このため、第1位置にあるコネクタ20Aは、容易に前方に(第2位置に向けて)移動できる。
【0061】
本実施の形態によるコネクタ20Aは、N極部412AとS極部414Aとからなる対(磁石対)を複数備えている。また、相手側コネクタ50Aは、相手側N極部712Aと相手側S極部714Aとからなる対(相手側磁石対)を複数備えている。磁石対と相手側磁石対とは、互いに対応するようにY方向に並んでいる。このため、コネクタ20Aを、より正確にY方向に沿って移動できる。
【0062】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、互いに対応する磁石410Aと磁石710Aとを、嵌合状態において部分的に重なるように配置するだけで、コネクタ20Aを第2位置に向かわせる引力及び斥力が得られる。本実施の形態によれば、2つの磁石410Aと2つの磁石710Aとを簡易に配置した構造によって、磁力を利用してコネクタ20Aを相手側コネクタ50Aに接続できる。
【0063】
コネクタ20Aが第1位置から第2位置まで移動する際、互いに対応するN極部412Aと相手側S極部714AとがXY平面において互いに重なる領域が大きくなり、且つ、互いに対応するS極部414Aと相手側N極部712AとがXY平面において互いに重なる領域が大きくなる。詳しくは、コネクタ20Aが第2位置に近づくにつれて、N極部412Aの−Y側の端は、対応する相手側S極部714Aの−Y側の端に近づき、S極部414Aの−Y側の端は、対応する相手側N極部712Aの−Y側の端に近づく。また、N極部412Aは、全体的に、対応する相手側N極部712Aから遠ざかる。この結果、コネクタ20Aが第2位置にあるとき、磁石部400Aは、相手側磁石部700Aからコネクタ20Aを第2位置に維持する力を受ける。
【0064】
図9と併せて
図14乃至
図16を参照すると、コネクタ対10Bは、上述したコネクタ対10Aの変形例である。コネクタ対10Bは、コネクタ20Bと、相手側コネクタ50Bとを備えている。コネクタ20Bは、ハウジング200と部分的に異なるハウジング200Bを備えていることを除き、コネクタ20Aと同じ構造を有している。同様に、相手側コネクタ50Bは、相手側ハウジング500と部分的に異なる相手側ハウジング500Bを備えていることを除き、相手側コネクタ50Aと同じ構造を有している。
【0065】
詳しくは、ハウジング200Bは、被ロック部230及び被ロック部240に代えて、2つの被ロック部230Bと1つの被ロック部240Bとを有していることを除き、ハウジング200と同じ構造を有している。相手側ハウジング500Bは、ロック部530及びロック部540が形成された壁部520に代えて2つのロック部530B及び1つのロック部540Bが形成された壁部520Bを有していることを除き、相手側ハウジング500と同一の構造を有している。
【0066】
図14乃至
図16を参照すると、被ロック部230Bの夫々は、被受止部232Bと、被ガイド部234とを有している。被ロック部240Bは、被受止部242Bと、被ガイド部244とを有している。本実施の形態による被受止部232B及び被受止部242Bの夫々は、Z方向と斜交する傾斜面である。また、ロック部530Bの夫々は、受止部532Bと、ガイド部534とを有している。ロック部540Bは、受止部542Bと、ガイド部544とを有している。本実施の形態による受止部532B及び受止部542Bの夫々は、Z方向と斜交する傾斜面である。
【0067】
図16を参照すると、コネクタ20Bが第2位置にあるとき、被受止部232B及び受止部532Bの夫々は、上方に傾斜しつつ後方に向かって延びている。同様に、被受止部242B及び受止部542Bの夫々は、上方に傾斜しつつ後方に向かって延びている。このため、コネクタ20Bを抜去する際、コネクタ20Bを後方に移動させると、コネクタ20Bは斜め上方に向かって移動し、簡易な操作によって相手側コネクタ50Bから簡単に抜去できる。更に、コネクタ20Bを強い力で上方に引いた場合でも、力の一部が斜め上方に向かう力としてコネクタ20Bに作用してコネクタ20Bを後方に移動させる。これにより、ロック部530B等の破損が防止される。
【0068】
本変形例は、更に変形可能である。例えば、互いに対応する被受止部232Bと受止部532Bの一方は、水平面であってもよい。換言すれば、コネクタ20Bが第2位置にあるとき、互いに対応する被受止部(被受止部232B又は被受止部242B)及び受止部(受止部532B又は受止部542B)の少なくとも一方が、Z方向及びY方向の双方と斜交する斜交方向に沿って延びていればよい。このように構成された被受止部及び受止部は、コネクタ20Bが斜交方向に沿って相手側コネクタ50Bから抜去されることを許容する。
【0069】
上述した実施の形態において、コネクタが第1位置から第2位置に移動する移動方向(第2方向)は、直線的に延びるY方向(前後方向)である。また、コネクタの第1位置から第2位置までの移動は、第2方向(Y方向)に沿った直線的移動である。しかしながら、本発明は、これに限られない。例えば、以下の実施の形態において説明するように、コネクタが第1位置から第2位置に移動する移動方向(第2方向)は、Z方向と平行に延びる中心軸を中心とする円周方向であってもよい。この場合、コネクタの第1位置から第2位置までの移動は、この中心軸を中心とする回転移動であってもよい。
【0070】
(第3の実施の形態)
図17及び
図18に示されるように、本発明の第3の実施の形態によるコネクタ対10Cは、コネクタ20Cと相手側コネクタ50Cとを備えている。
図17、
図19及び
図20を参照すると、コネクタ20Cは、上下方向(Z方向:第1方向)に沿って未嵌合位置(
図17の位置)から第1位置(
図19の位置)まで移動することで、相手側コネクタ50Cと嵌合する。また、コネクタ20Cは、Z方向と直交する円周方向(C方向:第2方向)に沿って第1位置から第2位置(
図20の位置)まで移動することで、相手側コネクタ50Cと接続する。
【0071】
本実施の形態によるコネクタ20Cは、絶縁体からなるハウジング200Cと、導電体からなる2つのコンタクト300Cと、2つの磁石410Cとを備えている。
【0072】
図17及び
図18に示されるように、ハウジング200Cは、保持部210Cと、2つの側部220Cと、2つの被ロック部230Cとを有している。保持部210Cは、Z方向と平行な軸を中心軸とする円柱形状を有している。保持部210Cは、対向部212Cを有している。対向部212Cは、保持部210Cの下面を含む保持部210Cの下部である。側部220Cは、保持部210Cの円周面から径方向(R方向)外側に張り出しており、径方向において保持部210Cの中心軸を挟んでいる。被ロック部230Cは、側部220Cの下端に夫々位置しており、側部220Cから円周方向に突出している。被ロック部230Cの夫々は、被受止部232Cと、被ガイド部234Cとを有している。本実施の形態において、被受止部232Cは、Z方向と直交する水平面であり、被ガイド部234Cは、Z方向と斜交する傾斜面である。
【0073】
コンタクト300Cの夫々は、接触部320Cを有している。コンタクト300Cは、保持部210Cによって円周方向に並べられ保持されている。コンタクト300Cの夫々は、保持部210CをZ方向に貫通するように保持されている。
【0074】
図18を参照すると、本実施の形態による磁石410Cは、円柱形状の棒磁石である。磁石410Cの一方は、N極がS極の下に位置するように保持部210Cに保持されており、磁石410Cの他方は、S極がN極の下に位置するように保持部210Cに保持されている。これにより、コネクタ20Cは、2つの磁極からなる磁石部400Cを備えている。磁石部400Cは、N極に磁化されたN極部412Cと、S極に磁化されたS極部414Cとを含んでいる。対向部212Cは、N極部412CとS極部414Cとを円周方向に並べて保持している。詳しくは、N極部412CとS極部414Cとは、保持部210Cの中心軸を径方向に挟むように配置されている。本実施の形態によれば、N極部412Cは、S極部414Cを有する磁石410Cとは別体の磁石410Cの一部である。
【0075】
図17及び
図18を参照すると、本実施の形態による相手側コネクタ50Cは、絶縁体からなる相手側ハウジング500Cと、2つの相手側コンタクト600と、2つの磁石710Cとを備えている。
【0076】
相手側ハウジング500Cは、保持部510Cと、壁部520Cとを有している。保持部510Cは、Z方向と平行な軸を中心軸とする円柱形状を有している。壁部520Cは、保持部510Cの上面から上方に突出しており、これにより、相手側コネクタ50Cには、受容部52Cが形成されている。受容部52Cは、壁部520Cによって囲まれた空間である。
【0077】
図17を参照すると、保持部510Cは、相手側対向部512Cを有している。相手側対向部512Cは、受容部52Cの直下に位置する保持部210Cの上部である。壁部520Cは、受容部52Cを囲む内壁と、2つの凹部524Cとを有している。凹部524Cは、径方向外側に凹んだ凹みであり、径方向において壁部520Cの中心軸を挟んでいる。凹部524Cには、ロック部530Cが夫々形成されている。ロック部530Cは、凹部524Cの上端に位置しており、径方向内側に張り出しつつ円周方向に突出している。ロック部530Cの夫々は、受止部532Cと、ガイド部534Cとを有している。本実施の形態において、受止部532Cは、Z方向と直交する水平面であり、ガイド部534Cは、Z方向と斜交する傾斜面である。
【0078】
相手側コンタクト600は、保持部510Cによって円周方向に並べられ保持されている。相手側コンタクト600の夫々において、下端は、保持部510Cの下面において外部に露出しており、上端(相手側接触部620)は、相手側対向部512Cの上面において外部に露出している。
【0079】
本実施の形態による磁石710Cは、円柱形状の棒磁石である。磁石710Cの一方は、N極がS極の上に位置するように保持部510Cに保持されており、磁石710Cの他方は、S極がN極の上に位置するように保持部510Cに保持されている。これにより、相手側コネクタ50Cは、2つの磁極からなる相手側磁石部700Cを備えている。詳しくは、相手側磁石部700Cは、N極に磁化された相手側N極部712Cと、S極に磁化された相手側S極部714Cとを含んでいる。相手側対向部512Cは、相手側N極部712Cと相手側S極部714Cとを円周方向に並べて保持している。詳しくは、相手側S極部714Cと相手側N極部712Cとは、保持部510Cの中心軸を径方向に挟むように配置されている。本実施の形態によれば、相手側N極部712Cは、相手側S極部714Cを有する磁石710Cとは別体の磁石710Cの一部である。
【0080】
図17、
図19及び
図20を参照すると、コネクタ20Cの側部220Cを相手側コネクタ50Cの凹部524Cに夫々挿入して下方に移動すると、被ガイド部234Cがガイド部534Cにガイドされ、コネクタ20Cは、未嵌合位置(
図17の位置)から第1位置(
図19の位置)に移動する。コネクタ20Cが第1位置に位置すると、コネクタ20Cの対向部212Cと相手側コネクタ50Cの相手側対向部512Cとは、Z方向において対向する。また、コネクタ20Cが第1位置から第2位置(
図20の位置)に移動する間も、対向部212Cと相手側対向部512Cとは、Z方向において対向している。
【0081】
コネクタ20Cが第1位置にあるとき、N極部412Cと相手側S極部714Cとは、Z方向と直交する水平面(直交平面)において部分的に重なっている。同様に、S極部414Cと相手側N極部712Cとは、直交平面において部分的に重なっている。特に、N極部412Cの一方側(+C側)の端は、相手側S極部714Cの+C側の端に対して+C側の反対側(−C側)にずれている。同様に、S極部414Cの+C側の端は、相手側N極部712Cの+C側の端に対して−C側にずれている。このため、磁石部400Cは、相手側磁石部700Cから、円周方向に沿った引力を受ける。換言すれば、コネクタ20Cが第1位置にあるとき、磁石部400Cは、相手側磁石部700Cからコネクタ20Cを第2位置に向かわせる力(円周方向に沿った力)を受けている。本実施の形態によっても、磁石410Cと磁石710Cとを簡易に配置した構造によって、磁力を利用してコネクタ20Cを相手側コネクタ50Cに接続できる。
【0082】
コネクタ20Cが第1位置から第2位置まで移動する際、磁石部400Cは、下方に向かって見たときに時計回りに移動する。詳しくは、磁石部400Cは、円周方向(C方向)において−C側から+C側に向かって移動する。この移動の際、N極部412Cと相手側S極部714Cとが直交平面において互いに重なる領域が大きくなり、且つ、S極部414Cと相手側N極部712Cとが直交平面において互いに重なる領域が大きくなる。詳しくは、コネクタ20Cが第2位置に近づくにつれて、N極部412Cの+C側の端は、相手側S極部714Cの+C側の端に近づき、S極部414Cの+C側の端は、相手側N極部712Cの+C側の端に近づく。コネクタ20Cが第2位置にあるとき、磁石部400Cは、相手側磁石部700Cからコネクタ20Cを第2位置に維持する力を受ける。
【0083】
コネクタ20Cが第2位置にあるとき、受止部532Cは、Z方向において被受止部232Cと夫々対向する。これにより、コネクタ20CがZ方向のみに沿って相手側コネクタ50Cから抜去されることが防止される。特に、本実施の形態によるコネクタ対10Cは、被受止部232Cと受止部532Cとからなる受止対を2つ備えている。また、受止対は、円周方向において離れている。このため、コネクタ20Cと相手側コネクタ50Cとの接続状態は、複数の受止対によって強固にロックされる。
【0084】
(第4の実施の形態)
図21を参照すると、本発明の第4の実施の形態によるコネクタ対10Dは、コネクタ20Dと、相手側コネクタ50Dとを備えている。
図21、
図25及び
図26を参照すると、コネクタ20Dは、Z方向に沿って未嵌合位置(
図21の位置)から第1位置(
図25の位置)まで移動することで、相手側コネクタ50Dと嵌合し、円周方向(C方向:第2方向)に沿って第1位置から第2位置(
図26の位置)まで移動することで、相手側コネクタ50Dと接続する。
【0085】
図17及び
図18と併せて
図21乃至
図23を参照すると、本実施の形態によるコネクタ20Dは、磁石410Cと異なる2つの磁石410Dを備えていることを除き、コネクタ20Cと同じ構造を有しており、コネクタ20Cと同様に機能する。同様に、本実施の形態による相手側コネクタ50Dは、磁石710Cと異なる2つの磁石710Dとを備えていることを除き、相手側コネクタ50Cと同じ構造を有しており、相手側コネクタ50Cと同様に機能する。
【0086】
図22及び
図24を参照すると、本実施の形態による磁石410Dの夫々は、円弧形状を有する磁石である。磁石410Dの夫々は、N極部412Dと、S極部414Dとを有している。本実施の形態において、N極部412Dは、対応するS極部414Dを有する磁石410Dの一部である。
【0087】
本実施の形態による磁石部400Dは、N極に磁化された2つのN極部412Dと、S極に磁化された2つのS極部414Dとを含んでいる。また、対向部212Cは、N極部412DとS極部414Dとを、円周方向に交互に並べて保持している。詳しくは、N極部412Dは、保持部210Cの中心軸に対して回転対称に配置されている。同様に、S極部414Dは、保持部210Cの中心軸に対して回転対称に配置されている。
【0088】
図21、
図22及び
図24を参照すると、本実施の形態による磁石710Dの夫々は、磁石410Dと同じ磁石である。磁石710Dの夫々は、相手側N極部712Dと、相手側S極部714Dとを有している。本実施の形態において、相手側N極部712Dは、対応する相手側S極部714Dを有する磁石710Dの一部である。
【0089】
本実施の形態による相手側磁石部700Dは、N極に磁化された2つの相手側N極部712Dと、S極に磁化された2つの相手側S極部714Dとを含んでいる。また、相手側対向部512Cは、相手側N極部712Dと相手側S極部714Dとを、円周方向に交互に並べて保持している。詳しくは、相手側N極部712Dは、保持部510Cの中心軸に対して回転対称に配置されている。同様に、相手側S極部714Dは、保持部510Cの中心軸に対して回転対称に配置されている。
【0090】
図24から理解されるように、2つの磁石410Dは、2つの磁石710Dと位置的に夫々対応している。コネクタ20Dが第1位置にあるとき、S極部414Dの夫々は、対応する相手側N極部712Dから+C方向に沿った引力を受ける。更に、コネクタ20Dが第1位置にあるとき、N極部412Dの夫々は、対応する相手側S極部714Dから+C方向に沿った引力を受け、対応する相手側N極部712Dから+C方向に沿った斥力を受ける。
【0091】
以上の説明から理解されるように、コネクタ20Dが第1位置にあるとき、磁石部400Dは、相手側磁石部700Dからコネクタ20Dを第2位置に向かわせる力を受けている。特に、本実施の形態によれば、夫々がN極部412DとS極部414Dとからなる複数の対(磁石対)と、夫々が相手側N極部712Dと相手側S極部714Dとからなる複数の対(相手側磁石対)とが設けられている。磁石対と相手側磁石対とは、互いに対応するように円周方向に並んでいる。このため、コネクタ20Dを、より正確に円周方向に沿って移動できる。本実施の形態によっても、2つの磁石410Dと2つの磁石710Dとを簡易に配置した構造によって、磁力を利用してコネクタ20Dを相手側コネクタ50Dに接続できる。
【0092】
図25から理解されるように、コネクタ20Dが第1位置から第2位置まで移動する際、磁石部400Dは、円周方向(C方向)において−C側から+C側に向かって移動する。この移動の際、互いに対応するN極部412Dと相手側S極部714Dとが直交平面において互いに重なる領域が大きくなり、且つ、互いに対応するS極部414Dと相手側N極部712Dとが直交平面において互いに重なる領域が大きくなる。詳しくは、コネクタ20Dが第2位置に近づくにつれて、N極部412Dの+C側の端は、対応する相手側S極部714Dの+C側の端に近づき、S極部414Dの+C側の端は、対応する相手側N極部712Dの+C側の端に近づく。また、N極部412Dは、全体的に、対応する相手側N極部712Dから遠ざかる。コネクタ20Dが第2位置にあるとき、磁石部400Dは、相手側磁石部700Dからコネクタ20Dを第2位置に維持する力を受ける。
【0093】
本発明は、上述した様々な実施の形態や変形例に加えて、更に様々に応用可能である。例えば、磁石の数又は相手側磁石の数は、3以上であってもよい。また、磁石及び相手側磁石は、互いに適切な磁力を及ぼすことができる限り、外部に露出していなくてもよい。例えば、磁石及び相手側磁石は、保持部の内部に夫々埋め込まれていてもよい。また、上述した実施形態における磁石及び相手側磁石は、コネクタ及び相手側コネクタに対して相対的に移動しないように夫々固定されているが、磁石及び相手側磁石は、Z方向において移動可能に保持部に夫々支持されていてもよい。また、対向部の下端及び相手側対向部の上端は、コネクタの移動を許容する限り、面でなくてもよい。また、コンタクトではなく相手側コンタクトの接触部が、バネ部によってZ方向に移動可能に支持されていてもよい。