(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6537846
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】サイロ計量装置
(51)【国際特許分類】
G01G 3/14 20060101AFI20190625BHJP
B65D 90/48 20060101ALI20190625BHJP
G01G 3/18 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
G01G3/14
B65D90/48 E
G01G3/18
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-39838(P2015-39838)
(22)【出願日】2015年3月2日
(65)【公開番号】特開2016-161372(P2016-161372A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】513057692
【氏名又は名称】アナログアンドシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】上利 喜一
【審査官】
細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−240623(JP,A)
【文献】
米国特許第04480480(US,A)
【文献】
特開昭59−142426(JP,A)
【文献】
特開2003−302028(JP,A)
【文献】
特開平08−310661(JP,A)
【文献】
特開2009−168690(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0034669(US,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0122079(KR,A)
【文献】
特開昭58−030899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 3/14
B65D 90/48
G01G 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台が円形又は角形のフレームと該フレームを水平に支持する支柱とで構成され、貯槽の底部が逆円錐台状又は逆角錐台状に形成され、上記貯槽の底部の上部又は底部の上方に続く筒状胴部を架台のフレームで受ける一方、上記貯槽内に粉状物又は粒状物が貯蔵され、上記貯槽底部の下端に貯蔵物の排出口が形成される構造のサイロにおいて、
上記貯槽底部(11A)の外壁面に貼り付けられ、上記貯槽(11)内の貯蔵物の重さを上記底部(11A)外壁面の歪みの大きさとして検出する1又は複数の薄板状フルブリッジ型又は薄板状ハーフブリッジ型の歪みゲージ(15)と、
上記歪みゲージ(15)の信号を受けて、上記貯槽(11)の底部(11A)外壁面の歪みの大きさと、予め求められた上記貯槽底部(11A)の外壁面の歪みの大きさと上記貯槽(11)内貯蔵物の量との対応関係とから上記貯槽(11)内の貯蔵物の量を演算する演算装置と、
を備えたことを特徴とするサイロ計量装置。
【請求項2】
上記歪みゲージ近傍の温度を検出する薄形測温抵抗体又は薄形熱電対の温度センサーをさらに備え、上記演算装置が上記温度センサーの出力を受けて上記歪みゲージの出力を温度補償する機能を有する請求項1記載のサイロ計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はサイロ計量装置に関し、例えばサイロ貯槽に貯蔵された消石灰や生石灰の量を正確に計量できるようにした装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ焼却炉から排ガスにはダイオキシン類などの有機ハロゲン化合物が含まれることが懸念されている。この有機ハロゲン化合物は排ガス中に存在するHClが原因となって、煙道での冷却過程で生成することが知られている。これに対し、ごみ焼却炉や排ガスフィルターに消石灰や生石灰に代表されるアルカリ系薬剤を投入し噴霧することによって、排ガス中のHClを減少させ、有機ハロゲン化合物の生成を抑制し軽減する方法が提案されている(特許文献1)。
【0003】
ところで、消石灰や生石灰をごみ焼却炉や排ガスフィルターに投入し噴霧する場合、サイロの貯槽に貯蔵されている消石灰や生石灰の量を正確に、例えば目量100kg程度で管理する必要がある。
【0004】
従来のサイロ計量装置には、羽根車式のレベル計をサイロの貯槽側壁の異なる高さに突設して貯蔵量を計量する方式、貯槽上部に超音波式のレベル計を設置し、貯蔵物表面からの超音波の戻りの時間を測定して貯蔵量を計量する方式、貯槽下側にロードセルを設置し、ロードセルにかかる荷重を検出して貯蔵量を計量する方式などがあった。
【0005】
しかし、羽根車方式では、貯槽内が実質的に空であるのにもかかわらず、貯槽内壁面に消石灰や生石灰が付着し、付着した高さまで貯蔵量があると誤って計量するおそれがあった。
【0006】
また、超音波方式では、貯槽が縦長となっている構造上、側壁面によって超音波が散乱され、消石灰や生石灰の表面が平坦でないと正確な計量がし難く、誤って計量するおそれがある。
【0007】
他方、ロードセル方式では、貯槽全体の重さをロードセルで計量して貯蔵量を求めているので、絶対量の計量が可能ではあるものの、貯槽内の消石灰や生石灰の重さが数トンから数十トンになることから、大型で高価なロードセルが必要となるばかりでなく、設置作業が大がかりとなって、設備投資が嵩む。
【0008】
これに対し、サイロの貯槽を受ける架台に歪みゲージを貼り付け、歪みゲージによって貯槽内の消石灰や生石灰の重さを求め、貯蔵量を計量するようにしたサイロ計量装置が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−286726号公報
【特許文献2】特開2003−240623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献2記載のサイロ計量装置では、架台は重量物である貯槽を受ける必要があるので、高強度の構造体に製作されており、貯槽内の消石灰や生石灰の重さを受けても歪みが非常に小さく、貯蔵量をほとんど計量できなかった。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑み、貯槽内の消石灰や生石灰などの貯蔵量を正確に計量できるようにしたサイロ計量装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明に係るサイロ計量装置は、架台が円形又は角形のフレームと該フレームを水平に支持する支柱とで構成され、貯槽の底部が逆円錐台状又は逆角錐台状に形成され、上記貯槽の底部の上部又は底部の上方に続く筒状胴部を架台のフレームで受ける一方、上記貯槽内に粉状物又は粒状物が貯蔵され、上記貯槽底部の下端に貯蔵物の排出口が形成される構造のサイロにおいて、上記貯槽底部の外壁面に貼り付けられ、上記貯槽内の貯蔵物の重さを上記底部外壁面の歪の大きさとして検出する1又は複数の歪みゲージと、上記歪みゲージの信号を受けて、上記貯槽の底部外壁面の歪みの大きさと、予め求められた上記貯槽底部の外壁面の歪みの大きさと上記貯槽内貯蔵物の量との対応関係とから上記貯槽内の貯蔵物の量を演算する演算装置と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の主たる特徴は逆円錐台状又は逆角錐台状の貯槽底部の外壁面に歪みゲージを貼り付け、貯蔵物の重さに対応する歪の大きさを求め、例えば関数やマップを用いて貯蔵物の量を演算するようにした点にある。
【0014】
これにより、貯槽底部の外壁面が貯蔵物の重さを受けて歪み、それが歪みゲージによって検出されるが、貯槽底部の歪みの大きさは貯蔵物の重さに対して直線的に対応し、高強度構造の架台が貯槽貯蔵物の重さを受けて歪む場合に比較して大きく、貯蔵物の量を正確に計量することができる。
【0015】
ごみ焼却炉や排ガスフィルターの高熱の影響を受けて歪みゲージの温度変化が大きく、歪みゲージの検出誤差が懸念される場合には歪みゲージの雰囲気温度を検出して温度補償をするのが好ましい。
【0016】
歪みゲージの高い検出精度を得るためには薄板状フルブリッジ型又は薄板状ハーフブリッジ型の歪みゲージを用いるのがよい。また、温度センサーは薄形測温抵抗体又は薄形熱電対を用いることができる。
【0017】
架台は3本又は4本の支柱と円形又は角形のフレームで構成するのが好ましく、貯槽はその胴部を架台のフレームで受けるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るサイロ計量装置の好ましい実施形態におけるサイロを示す概略側面図である。
【
図4】上記実施形態において用いられる歪みセンサーの例を示す図である。
【
図5】上記実施形態における演算系を示す機能ブロック図である。
【
図6】上記実施形態が適用される焼却装置を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1ないし
図5は本発明に係るサイロ計量装置の好ましい実施形態を示す。図において、サイロ10は貯槽11と架台12とから構成され、貯槽11は逆円錐台状の底部11Aと底部11Aの上方に連続する円筒状の胴部11Bとから構成され、貯槽11内には消石灰(又は生石灰)が貯蔵され、貯槽11の底部11Aの下端には排出口11Cが形成されている。
【0020】
他方、架台12は矩形状のフレーム12Aの四隅に支柱12Bを固定してフレーム12Aを水平に支持して構成され、貯槽11の底部11Aと胴部11Bの境界付近には取付けブラケット11Dが固定され、取付けブラケット11Dはフレーム12Aに固定され、これによって貯槽11の底部11Aと胴部11Bの境界部分が架台12のフレーム12Aに受けられるようになっている。
【0021】
また、貯槽11の底部11Aの外壁面には歪みセンサー15及び温度センサー16の1組又は複数組が近接して貼り付けられ、歪みセンサー15には
図4の(a)に示される薄板状フルブリッジ型又は
図4の(b)に示される薄板状ハーフブリッジ型の歪みセンサーが用いられ、温度センサー16は薄型の熱電対や測温抵抗体が用いられ、歪みセンサー15及び温度センサー16はともに密閉構造の治具によって密閉されている。
【0022】
図5は本実施形態における演算系の構成例を示し、これは4組の歪みセンサーと温度センサーを用いた例を示す。図において、100A〜100Dは歪みゲージ、101A〜101Dは温度センサー、102A〜102Dは歪みセンサー100A〜100Dの信号をAD変換するロードセルアンプAD変換基盤、104は基準電圧を発生するとともに、温度センサー101A〜101Dの信号をAD変換して出力レベルに変換して出力する基準電圧発生回路、103は変換基盤102A〜102Dの信号PIOをフォト変換して出力するPIOフォト変換回路、104は変換基盤102A〜102Dの信号PIO、基準電圧発生回路104の信号、PIOフォト変換回路の信号を入力とし、歪みセンサー100A〜100Dの信号を温度センサー101A〜101Dの信号で温度補正してデータ表示・設定用タッチパネルユニット106、RS422(カーレントループ変換回路)108及びソフトデバッグEA8エミレータ接続端子109に出力する演算回路、107は計量データの出力回路である。
【0023】
ここで、演算回路105のCPUにはH8/36109G(ルネサスエレクトロニクス社製)1チップマイコンを使用し、供給電圧を5Vとし、プログラム領域に128Kフラッシュメモリ、メモリ領域に5KRAMメモリを使用することができる。演算回路105にはRS232C(3CH)を内蔵し、PIO1端子をロードセルアンプAD変換基盤102A〜102Dの出力に接続し、又PIO2端子をフォト絶縁型PIOフォト変換回路103のIOポート(4入力、4出力)に接続している。
【0024】
ロードセルアンプAD変換基盤102A〜102Dの供給電圧は+−5Vとし、歪みセンサー供給電圧は10Vとし、基準電圧はアンプ供給電源よりの帰還電源により約2.5Vでフルスケールになるように増幅・レベル変換する。AD変換基盤102A〜102Dの変換サンプリングレート及び移動平均回数は操作パネルのシステム設定により変更可能とする。計量値のゼロ点・スパン調整はAD変換入力値によりマイコンソフトで演算する。この値も操作パネルのシステム設定により変更可能とする。計量位置による重量補正や温度入力による温度補正もソフト演算する。この基本係数もシステム設定によって変更可能とする。
【0025】
データ表示・設定用タッチパネル106と演算装置105との接続はRS232Cの端子1を使用し、データ表示・設定用タッチパネルユニット106には、1)計量値及び設定値の表示、状態表示(異常信号の出力等)、2)歪みゲージ入力値及び温度入力値の表示、3)PIO出力モニター表示、4)システム設定画面の表示の画面が表示される。
【0026】
中装データーロガーへの計量値の送信は演算装置105のRS232Cの端子2を使用し、RS422(カーレントループ変換回路)108で送信する。PIO絶縁型変換回路への入力は盤面の押しボタンスイッチ、外部PLC等によりインターロック信号入力として接続する。PIO絶縁型変換回路の出力は、外部PLCや盤面のリレー等に接続され、計量値の定量停止、異常停止などの出力信号として使用する。
【0027】
次に、歪みゲージ及び温度センサーからの信号の解析方法を説明すると、演算装置から歪みゲージ15に約10Vの直流電圧が印加されており、貯槽11の底部11A外壁面には貯蔵物の重さに応じた大きさの歪みが発生しており、各歪みゲージ15からは底部11Aの歪みの大きさに比例した直流電圧が出力され、演算装置に入力される。
【0028】
他方、負荷を一定にした場合の歪みゲージ15の出力信号の温度特性が予め求められており、演算装置では温度センサー16からの出力信号に基づき各歪みゲージ15の信号が温度による変化が生じないように処理された後、加算・平均化され、サイロ10の貯蔵物の重さとして表示される。
【0029】
図6は本例のサイロ計量装置が適用される焼却装置を示す。焼却装置は消石灰ホッパー10、焼却炉20、テーブルフィーダー21、ブロア22、ガス室23、バグフィルター24、ファン25及び煙突26から構成されている。
【0030】
焼却炉20の燃焼レベルが焼却温度や廃棄物の量に応じて求められ、その信号aが演算制御系に与えられる。演算制御系では入力信号aに応じて燃料弁制御モータが制御されるとともに空気ダンパー弁27の開閉が制御され、ブロア22によって燃料及び消石灰が焼却炉20に投入され、これによってダイオキシン類の発生が抑制されながら廃棄物が焼却される。
【0031】
焼却炉20からの排ガスはガス室23からバグフィルター24に送られるが、バグフィルター24の前段で消石灰が噴霧され、これによってもダイオキシン類の発生が抑制されて排ガスが浄化されて煙突26から排出される。
【0032】
また、消石灰ホッパー10の変形例を
図7に示すが、テーブルフィーダー21及びブロア22に代え、モーノポンプ28によって構成することもできる。
【0033】
なお、上記の例では消石灰サイロについて説明したが、砂、籾などサイロに適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
10 サイロ
11 貯槽
11A 底部
11B 胴部
11C 排出口
12 架台
12A フレーム
12B 支柱
15 歪みセンサー
16 温度センサー