(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6537864
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】貯湯式給湯機
(51)【国際特許分類】
F24H 1/36 20060101AFI20190625BHJP
【FI】
F24H1/36
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-65734(P2015-65734)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-186372(P2016-186372A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2017年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 順也
【審査官】
渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−025250(JP,U)
【文献】
特開2015−025405(JP,A)
【文献】
米国特許第04582127(US,A)
【文献】
特開昭61−218989(JP,A)
【文献】
特公平03−049013(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内方に備えた筒状の内缶との間に貯湯室を形成した外缶と、前記内缶内に形成され燃焼バーナが臨んだ燃焼室と、この燃焼室と外缶上部の排気室とを貯湯室を通って連通させる複数本の煙管とを備え、貯湯室内の湯水温度が所定温度になるように燃焼バーナをON/OFFさせ、燃焼バーナの燃焼や排ガスを煙管を通して排気することによる熱交換で、給水管から供給された貯湯室内の水を加熱して温水とし、給湯管から給湯するようにしたものに於いて、前記燃焼室を形成する内缶には波形凹凸形状のバルジ加工を施すと共に、複数本の煙管が溶接され前記内缶上端に固定されている下鏡板には、前記内缶と最外周の煙管との間の全周に内方或いは外方に突出するビードを設け、燃焼バーナのON/OFFに伴う内缶の波形凹凸形状のバルジ加工部分の伸び縮みにより下鏡板の最外周の煙管の溶接部分にかかる応力を、前記ビードで吸収した事を特徴とする貯湯式給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、煙管を備えたセミ貯湯タイプと言われる貯湯式の給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものでは、熱交換効率の向上及び耐久性の向上を目的として、貯湯室の内壁の一部を構成すると共に、燃焼室を形成する内缶に、波形の凹凸からなるバルジ加工を施すものであった。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平03−49013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、
図3の従来例の要部拡大図に示すように、波形凹凸のバルジ加工部100が燃焼バーナの燃焼による加熱と、燃焼停止による冷却とを繰り返すことで、膨張と収縮を繰り返すこととなるが、バルジ加工部100は前記のように波形凹凸形状なので、通常の平板形状のもと比べると大きく伸び縮みすることとなり、この伸び縮みの応力が一番近い下鏡板101の煙管102の溶接部分103に作用し、この溶接部分103が破損しここから水漏れが発生すると言う課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記課題を解決する為に、特にその構成を、内方に備えた筒状の内缶との間に貯湯室を形成した外缶と、前記内缶内に形成され燃焼バーナが臨んだ燃焼室と、この燃焼室と外缶上部の排気室とを貯湯室を通って連通させる複数本の煙管とを備え、
貯湯室内の湯水温度が所定温度になるように燃焼バーナをON/OFFさせ、燃焼バーナの燃焼や排ガスを煙管を通して排気することによる熱交換で、給水管から供給された貯湯室内の水を加熱して温水とし、給湯管から給湯するようにしたものに於いて、前記燃焼室を形成する内缶には
波形凹凸形状のバルジ加工を施すと共に、複数本の煙管が溶接され前記内缶上端に固定されている下鏡板には、前記内缶と最外周の煙管との間の全周に内方或いは外方に突出するビードを設け
、燃焼バーナのON/OFFに伴う内缶の波形凹凸形状のバルジ加工部分の伸び縮みにより下鏡板の最外周の煙管の溶接部分にかかる応力を、前記ビードで吸収したものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のようにこの発明によれば、バルジ加工部で発生する大きな伸び縮みの応力は、少なくとも燃焼バーナと対向する側の一番近い下鏡板の煙管溶接部分に向かうが、この間には内方或いは外方に突出するビードが形成されているので、燃焼バーナの燃焼熱が直接作用して該燃焼バーナと対向するバルジ加工部が大きく伸び縮みしても、この応力を内方或いは外方に突出したビードが伸縮して吸収し、下鏡板の煙管溶接部分が破損するのを防止して、水漏れの危険を回避して長期に渡って安心して使用出来
、このビードを下鏡板の全周に設けるようにしたことで、更に強度が増して、全周でバルジ加工の伸び縮みを強力に吸収出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】この発明の一実施形態を示す貯湯式給湯機の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次にこの発明の一実施形態を示す貯湯式給湯機を図面に基づいて説明する。
1は内方下部に筒状の内缶2を隙間を形成して備えた外缶で、前記内缶2との間には湯水を貯湯する貯湯室3を形成し、又内缶2の内方はガンタイプ式の燃焼バーナ4が臨む燃焼室5を構成するものである。
【0009】
6は内缶2内の燃焼室5と外缶1上部の排気室7とを貯湯室3を貫通して結んだ複数の煙管で、内方には排ガスの流通を遅らせて湯水との熱交換効率を向上させる為のバッフル板(図示せず)がそれぞれ備えられている。
【0010】
8は内缶2の全周に補強用として施された波形凹凸形状のバルジ加工で、前記複数の煙管6を溶接した下鏡板9と内缶2上端で溶接固定され、前記内缶2と最外周の煙管6との間で、少なくとも燃焼バーナ4と対向する側には内方に突出するビード10が設けられ、燃焼バーナ4の燃焼熱が直接作用して該燃焼バーナ4と対向するバルジ加工8部分が大きく伸び縮みしても、この応力を内方に突出したビード10が伸縮して吸収し、下鏡板9の煙管6溶接部分が破損するのを防止して、水漏れの危険を回避するものであり、このビード10を下鏡板9の全周に設けるようにしても良く、こうすれば更に強度が増して、全周でバルジ加工8の伸び縮みを強力に吸収出来ものであり、又ビード10は外方に突出した形状でも同等の効果を得るが出来るものである。
【0011】
11は外缶1外周の適所に備えられた缶体サーミスタで、貯湯室3内の湯水温度を検知して燃焼バーナ4の燃焼を制御するようにしたものであり、12は貯湯室3に給水の供給を行う給水管、13は外缶1の上部に接続し貯湯室2内の加熱された湯水を適宜給湯箇所に給湯する給湯管である。
【0012】
次にこの一実施形態の貯湯式給湯機の作動について説明すれば、貯湯室3内の湯水温度が設定された温度より数度低下すると、この湯温を上昇するために、燃焼バーナ4を燃焼させると、この燃焼バーナ4の燃焼熱によって、特に内缶2の該燃焼バーナ4と対向する側のバルジ加工8の凹凸が加熱されて伸び、又湯温が所定温度に達すると燃焼バーナ4が燃焼停止することで、バルジ加工8の凹凸が今度は収縮するものであり、この燃焼バーナ4のON/OFFによるバルジ加工8の伸縮で、従来では下鏡板9の最外周の煙管6溶接部分に応力が集中して、破損し水漏れが発生する危険を有するものであった。
【0013】
しかしこの発明では、バルジ加工7の内缶2と下鏡板9の最外周の煙管6の溶接部分との間で、少なくとも燃焼バーナ4と対向する側には内方に突出するビード10が設けられているので、燃焼バーナ4の燃焼熱が直接作用して該燃焼バーナ4と対向するバルジ加工8部分が大きく伸び縮みしても、この応力を内方に突出したビード10が伸縮して吸収するので、下鏡板9の煙管6溶接部分が破損する恐れがなくなり、この部分からの水漏れの心配もなくなって、長期に渡って安心して使用出来るものである。
【符号の説明】
【0014】
1 外缶
2 内缶
3 貯湯室
4 燃焼バーナ
5 燃焼室
6 煙管
7 排気室
8 バルジ加工
9 下鏡板
10 ビード
12 給水管
13 給湯管