(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遮光層は、前記発光素子の中心位置と前記発光素子の輪郭線の中線を基準として、前記発光素子の中心位置とは反対側に配置される請求項1または2に記載の発光装置。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の半導体発光装置を示す概略的な断面図である。発光装置は、たとえば車両用前照灯(ヘッドライト)などの車両用照明装置の光源として用いられる。図示する発光装置においては、たとえばSiで形成された基板51上に、複数のLED(light emitting diode)素子54が実装される。
【0003】
LED素子54は、支持基板54b、及び、支持基板54b上に配置される半導体層54aを備える。半導体層54aは、たとえばn型半導体層、活性層(発光層)、及び、p型半導体層を含む。n型半導体層にはn側電極、p型半導体層にはp側電極が電気的に接続される。LED素子54は、一例として、青色光を発光する窒化物系半導体発光素子である。
【0004】
各LED素子54は、Si基板51上に配置された金属パターン52上に、接合層53を介して接着される。金属パターン52を経由して、駆動回路から供給される駆動信号(電力)により、各LED素子54は、独立に駆動(発光、非発光状態の制御)が可能である。
【0005】
LED素子54上に、蛍光体層55が配置される。蛍光体層55は、たとえば黄色発光する蛍光体の粒子を含む。LED素子54で発光され、蛍光体層55の蛍光体粒子に入射した青色光は、黄色光に波長変換される。波長変換された黄色光と、蛍光体粒子に入射しなかった青色光が、蛍光体層55から出射され、白色光として視認される。
【0006】
図12に示す発光装置においては、各LED素子54間は非発光領域となるため、連続する2つのLED素子54を点灯した場合、素子54間(非発光領域)に暗部が発生する。たとえば複数のLED素子54が行列(マトリクス)状に配置され、全灯される場合、暗部は線状または格子状に発生し、車両用前照灯において、均一な照明パターンを形成できないという問題が生じる。
【0007】
更に、たとえば点灯するLED素子54と非点灯のLED素子54が隣接する場合等に、点灯するLED素子54からの発光が、蛍光体層55を介して非点灯領域に導波し、クロストークが発生する。クロストークとはLED素子54の非配設位置や、非点灯のLED素子54位置から発光が行われているように見える現象をいう。クロストークにより、良好なコントラスト(明暗差)が得られにくいという問題が生じる。
【0008】
クロストークを抑制するために、LED素子間に遮光物を配置する技術が知られている(たとえば、特許文献1及び2参照)。しかし遮光物を配置するためには、LED素子間の間隔を広くする必要がある。LED素子間の輝度が低下するため、点灯LED素子間の暗部の発生が顕著になる。
【0009】
このように、発生する暗部の低減とクロストークの抑制の双方を実現するのは困難であった。
【0010】
蛍光体層内に遮光部を備える発光装置の発明が開示されている(たとえば、特許文献3及び4参照)。
【0011】
特許文献3記載の発明においては、複数の遮光部と蛍光体層を構成する各領域を一体成形し、または、蛍光体層を構成する各領域と各遮光部を組み合わせた部材を複数作成し、配列したLED素子の上部に搭載する。
【0012】
特許文献4記載の蛍光体層は、たとえばRGB三原色の蛍光部と各蛍光部間に配置される白色系の仕切部を備え、演色効果を奏することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1Aは、実施例による発光装置の製造方法を示す概略的なフローチャートである。
【0022】
実施例による発光装置は、LED素子を基板に配置するLED素子実装工程S101、たとえば蛍光体領域を含む波長変換部材を作製する波長変換部材作製工程S102、及び、工程S101で作製されたLED素子実装基板に、工程S102で作製された波長変換部材を配置する波長変換部材実装工程S103を経て製造される。工程S101と工程S102の前後は問わない。
【0023】
実施例においては、発光素子としてLED素子を用いるが、LED素子に限らず、種々の発光素子、たとえばLD(laser diode)素子等を使用可能である。
【0024】
図1Bに、実施例による発光装置の概略的な平面図を示す。実施例による発光装置は、基板10、基板10上に、たとえばマトリクス状に配置された複数のLED素子20、及び、複数のLED素子20上に配置された波長変換部材30を備える。
【0025】
なお各LED素子20の平面形状(Z軸方向から見た形状)は、たとえば相互に等しい矩形状であり、一例として正方形状である。また、各LED素子20間の間隔は相互に等しい。
【0027】
まず、
図2A〜
図2Eを参照し、LED素子実装工程S101について説明する。
【0028】
図2Aを参照する。金属パターン11が配置された基板10を準備する。基板10は、たとえばSi基板である。実施例においては、金属パターン11としてTi/Pt/Auの積層構造を用いた。
【0029】
図2Bに示すように、金属パターン11上にAuSnペースト12をディスペンス塗布する。
【0030】
図2Cを参照する。AuSnペースト12が塗布された金属パターン11上にLED素子20を配置する。
【0031】
LED素子20は、支持基板20b、及び、支持基板20b上に配置される半導体層20aを備える。半導体層20aは、たとえばn型半導体層、活性層(発光層)、及び、p型半導体層を含む。n型半導体層にはn側電極、p型半導体層にはp側電極が電気的に接続される。LED素子20は、一例として、青色光を発光する窒化物系半導体発光素子である。
【0032】
図2Dを参照する。LED素子20が配置された基板10を、たとえば窒素中、315℃で加熱処理し、AuSn共晶接合を行う。
【0033】
こうして
図2Eに示すように、複数のLED素子20がAuSn共晶接合層12を介し、基板10の金属パターン11上に実装される。
【0034】
次に、
図3A〜
図3Iを参照し、波長変換部材作製工程S102について説明する。
【0035】
図3Aを参照する。たとえばダイヤモンド砥粒を備えるドリル61で、厚さ200μmの蛍光体支持基板31を加工し、凸部(凸構造物)を形成する。蛍光体支持基板31は、たとえばガラス基板である。サファイア基板を使用してもよい。凸部は、ダイシングブレードを用いた溝加工工法や、エッチング法を用いて形成してもよい。こうして、凸部を備える蛍光体支持基板31が準備される。
【0036】
図3Bに示すように、凸部32は、たとえば底面の幅100μm、高さ100μmに形成される。蛍光体支持基板31底面から凸部32底面までの厚さ(凸部32のない位置の蛍光体支持基板31の厚さ)は100μmである。凸部32の側面は、蛍光体支持基板31の法線方向(Z軸方向)に対して傾斜していることが好ましいが、蛍光体支持基板31に垂直であってもよい。
【0037】
なお、側面の傾斜は、加工ドリル61の先端形状を変更することで任意の傾斜角とすることができる。ダイシングブレードを用いた溝加工工法の場合もブレードの先端形状を変更すればよい。エッチング法を用いる場合は、反応速度を変えることで側面の傾斜角度を制御することができる。
【0038】
凸部32は、たとえば直交する2方向(X軸方向及びY軸方向)を延在方向とする格子状に形成される。凸部32の配置ピッチは、たとえばX軸方向、Y軸方向のそれぞれに370μmである。なお、基板10上におけるLED素子20も、直交する2方向(X軸方向及びY軸方向)に、それぞれ370μmピッチで配置される。すなわち、LED素子20の配置ピッチと、凸部32の配置ピッチは等しい。凸部32は、LED素子20の配置態様に対応した態様で形成される。
【0039】
図3Cを参照する。蛍光体層33を準備し、蛍光体層33上に、遮光層34を形成する。蛍光体層33には、たとえば公知の蛍光体シート、一例としてシリコーン樹脂に蛍光体粒子を分散して含有させたシートを用いる。このシートは、熱により軟化する特性を有する。蛍光体層33(蛍光体シート)の厚さは、約50μmであり、あらかじめ凸部32のサイズに合わせて切断しておく。実施例においては、遮光層34を酸化チタン層で構成した。遮光層34は、蛍光体層33(蛍光体シート)の一方面上に、酸化チタンを厚さ約10μmに塗布し、80℃で30分間の乾燥処理を行うことにより形成される。
【0040】
蛍光体層33を、凸部32上に配置する。蛍光体層33は、遮光層34の形成されない面で凸部32を被覆するように、蛍光体支持基板31上に載置される。
【0041】
図3Dを参照する。100℃以上の温度で蛍光体層33を軟化させ、凸部32と蛍光体層33とを密着させる。蛍光体支持基板31の凸部32の上面及び側面上に蛍光体層33、遮光層34がこの順に形成される。なお、たとえば遮光層34側から外力を加え、凸部32と蛍光体層33とを密着させた上で、蛍光体層33の軟化を行ってもよい。
【0042】
図3Eを参照する。凸部32の形成領域を含む蛍光体支持基板31上に、具体的には、凸部32上に蛍光体層33及び遮光層34が形成された蛍光体支持基板31上全域に、蛍光体分散液35を塗布する。蛍光体分散液35は、たとえばシリコーンで形成される樹脂溶液中に蛍光体粒子を分散させて作製し、ディスペンサーノズル62から蛍光体支持基板31上に射出する(ディスペンス法)。
【0043】
蛍光体分散液35中に分散される蛍光体粒子は、たとえば蛍光体層33に含まれる蛍光体粒子と同種の蛍光体(LED素子20から発光される青色光を、等しい波長の光(たとえば黄色光)に波長変換する蛍光体)を用いる。また、たとえば蛍光体分散液35中に分散される蛍光体粒子の密度を、蛍光体層33におけるそれと等しくし、波長変換効率を同一とする。
【0044】
図3Fを参照する。蛍光体分散液35の塗布厚は、たとえば200μmである。蛍光体分散液35を塗布した後、120℃で90分間の乾燥処理を行い、蛍光体層35を形成する。この処理で、蛍光体層33も乾燥硬化され、凸部32に完全に固着される。
【0045】
図3Gを参照する。研磨定盤63を用い、蛍光体層35を研磨する。
【0046】
図3Hを参照する。研磨により、凸部32上面の遮光層34及び蛍光体層33を除去し、開口部36を形成する。開口部36は、蛍光体支持基板31(凸部32)の露出部(蛍光体層35面側の露出領域)である。研磨(薄片化)は、蛍光体層35の厚さ(凸部32の高さ)が50μmとなるまで行う。このとき、凸部32上面の幅は、たとえば65μmとなる。凸部32の断面形状は、上底65μm、下底100μm、高さ100μmの台形となる。
【0047】
図3Iは、波長変換部材30を示す概略的な断面図である。
【0048】
波長変換部材30は、凸部32を備える蛍光体支持基板31、凸部32の側面(側壁部)に形成された蛍光体層(第1蛍光体層)33、蛍光体支持基板31上の凸部32以外の位置に形成された蛍光体層(第2蛍光体層)35、及び、第1蛍光体層33と第2蛍光体層35の間に形成された遮光層34を有する。
【0049】
図4A〜
図4Dを参照し、波長変換部材実装工程S103について説明する。工程S103においては、工程S101で作製されたLED素子実装基板と工程S102で作製された波長変換部材30を、接着層を介して接合する。波長変換部材30は、LED素子20上または上方に配置される。
【0050】
図4Aに示すように、LED実装基板を準備する。実施例においては、工程S101で作製されたLED素子実装基板を用いるが、これに限られない。
【0051】
図4Bを参照する。LED素子実装基板上にシリコーン樹脂で形成される接着層40を形成する。接着層40の厚さは、たとえばLED素子20の光出射面から50μmである。完成後の第1実施例による発光装置において、蛍光体層33、35からの熱引きをよくするという観点からは、接着層40は薄い方が好ましい。
【0052】
図4Cに示すように、位置合わせを行って、波長変換部材30をLED素子実装基板(接着層40)上に配置する。位置合わせは、平面視上(Z軸方向から見たとき)、波長変換部材30の凸部32の幅方向の中心(開口部36の幅方向の中心)と、LED素子実装基板のLED素子20間の中心が一致するように行う。
【0053】
図4Dを参照する。150℃で90分間の乾燥処理を行うことにより、波長変換部材30が固定される。
【0054】
以上の工程を経て、第1実施例による発光装置が製造される。
【0055】
図5は、第1実施例による発光装置を示す概略的な断面図である。
【0056】
第1実施例による発光装置においては、基板10上にLED素子20が、たとえばX軸方向及びY軸方向の各方向に一定周期で、マトリクス状に配置される。LED素子20上に波長変換部材30が、接着層40を介して配置される。金属パターン11を経由して、駆動信号(電力)が駆動回路から供給される。各LED素子20は、独立に駆動(発光、非発光状態の制御)が可能である。
【0057】
波長変換部材30は、凸部32を備える蛍光体支持基板31、凸部32の側面に形成された第1蛍光体層33、蛍光体支持基板31上の凸部32以外の位置に形成された第2蛍光体層35、及び、第1蛍光体層33と第2蛍光体層35の間に形成された遮光層34を有する。第1蛍光体層33及び遮光層34は、凸部32に沿って配置されている。
【0058】
第1蛍光体層33及び第2蛍光体層35は、たとえば同じ蛍光体粒子を含み、LED素子20から発光される青色光を黄色光に波長変換する。
【0059】
遮光層34は、たとえば酸化チタンで形成され、蛍光体領域を複数の領域(第1蛍光体層33及び第2蛍光体層35)に区画する。遮光層34に入射する光は高反射率で反射される。
【0060】
凸部32は、蛍光体支持基板31からZ軸正方向(発光装置の光出射面側)に突出する。また、X軸方向及びY軸方向に延在する格子状に形成される。X軸方向及びY軸方向に沿う凸部32の配置ピッチは、LED素子20のそれと等しい。
【0061】
凸部32は、平面視上、幅方向の中心が、LED素子20間の中心と一致するように配置される。このため遮光層34は、LED素子20間の中心よりも、LED素子20の中心に近づいた位置に配置される。また、隣接する2つのLED素子20について見たとき、遮光層34は、LED素子20間領域の中心を基準として、各LED素子20に近い位置(
図5においては、X軸正方向及びX軸負方向)に1層ずつ配置される。更に、第1実施例においては、遮光層34は、平面視上、LED素子20と重なる位置に配置される。
【0062】
各LED素子20で発光され、第1及び第2蛍光体層33、35の蛍光体粒子に入射した青色光は、黄色光に波長変換される。波長変換された黄色光と、蛍光体粒子に入射しなかった青色光が、波長変換部材30の上面から出射され、白色光として視認される。
【0063】
第1実施例による発光装置においては、たとえば第2蛍光体層35から横方向(隣接するLED素子20方向)に進行する光(導波光)が遮光層34で遮光されるため、具体的には、反射機能をもつ遮光層34で反射されるため、クロストークが抑制される。また、第1蛍光体層33に入射した光は、たとえば遮光層34で反射され、凸部32の上方(LED素子20間の領域の上方)に出射されるため、LED素子20間(非発光領域)に発生する暗部が低減される。
【0064】
第1実施例による発光装置は、クロストークと暗部の双方を抑制することが可能な発光装置である。第1実施例による発光装置によれば、たとえば発光パターンを高精度化することができる。なお、たとえば
図12に示す従来の発光装置よりも、LED素子20間の間隔を広くする必要はない。
【0065】
また、第1実施例による発光装置の製造方法によれば、凸部32を用いて第1蛍光体層33及び遮光層34を配置するため、薄い遮光層34を、適切な位置に、高い位置精度で配置することができる。
【0066】
第1実施例による発光装置において、テーパ形状を有する凸部32側面の傾斜角度は、蛍光体支持基板31の法線方向(Z軸方向)に対して0°以上45°以下であることが好ましい。45°を超えると、光取り出し効率が低下する。また、機械的な加工(研削等)、化学的な加工(エッチング等)のいずれを用いる場合でも、逆テーパ形状ではなく、0°以上とすることで、凸部32を容易に形成することができる。なお、傾斜角が0°(垂直)の場合、蛍光体粒子に吸収される青色光が減少し、青抜け量が増加して、色むらの原因となるため、傾斜角度は0°より大きい(凸部32の側面が蛍光体支持基板31に垂直でない)ことがより好ましい。
【0067】
傾斜角が大きくなりすぎると、遮光層34が発光面に対して平行に近づくため、光透過領域が減少し、光出射効率が低下する。
【0068】
逆テーパ形状とすると、シート貼り付け工法が難しくなり、傾斜部にシートが密着しにくくなって、剥離の原因となる。
【0069】
遮光層34は、酸化チタンの他、たとえばAl、Ag、Pt等の反射率の高い金属(反射部材)で形成することができる。
【0070】
屈折率段差を利用した遮光層34とすることも可能である。一例として、遮光層34を相対的に低屈折率の樹脂材料(たとえば屈折率1.35のフッ素樹脂)で形成し、第1、第2蛍光体層33、35を相対的に高屈折率の樹脂材料(たとえば屈折率1.5のジメチルシリコーン)で形成する。第2蛍光体層35の屈折率>遮光層34の屈折率<第1蛍光体層33の屈折率とし、屈折率差による光反射を利用して、クロストークの抑制をはかることが可能である。なお、屈折率段差を利用する遮光層34とした場合、漏れ光が生じるため、遮光層34は反射部材を用いて形成することが好ましい。
【0071】
実施例における発光装置においては、たとえば第1蛍光体層33における蛍光体粒子の密度と第2蛍光体層35におけるそれとを等しくし、両層33、35での波長変換効率を同一とするが、一例としてLED素子20間領域上方の、またはLED素子20間領域上方に近接する蛍光体領域(第1実施例においては、第1蛍光体層33)の蛍光体粒子密度を小さくして、波長変換効率を低くしてもよい。
【0072】
たとえば
図12に示す従来の発光装置においては、LED素子54間では、素子54直上領域に比べ、青色光の強度が弱いこと、及び、蛍光体層55内で黄色光の伝播が生じるため、LED素子54間領域上方から出射される光の黄味が濃くなる。
【0073】
LED素子20間領域上方の、またはLED素子20間領域上方に近接する蛍光体領域(第1蛍光体層33)の波長変換効率を、LED素子20の中心位置上方の、またはLED素子20の中心位置上方に近接する蛍光体領域(第2蛍光体層35)のそれより低くすることで、より均一な白色光を出射する発光装置とすることができる。
【0074】
図6A〜
図6Fは、遮光層34の配置態様の例を示す概略的な平面図である。
図6A〜
図6Fにおいては、X軸方向に隣接する2つのLED素子20について、遮光層34の配置位置に斜線を付して示した。
【0075】
図6Aは、第1実施例による発光装置における遮光層34の配置態様を示す。遮光層34は、各LED素子20の輪郭線に沿い、その内側に配置される。遮光層34は、各LED素子20(発光領域)の周縁部に重なる。
【0076】
図6Bに示すように、遮光層34を、各LED素子20の輪郭線に内接させてもよい。遮光層34は、各LED素子20の周縁部に重なる。
【0077】
図6Cは、遮光層34が、各LED素子20の輪郭線をまたいで形成される例を示す。遮光層34は、各LED素子20の周縁部、及び、LED素子20間領域に重なる。
【0078】
図6Dに示すように、遮光層34を、各LED素子20の輪郭線に外接させてもよい。遮光層34は、LED素子20間領域に重なる。
【0079】
図6Eは、遮光層34が、各LED素子20の輪郭線に沿い、その外側(LED素子20間領域)に配置される例を示す。
【0080】
図6Fを参照する。
図6A〜
図6Eは、凸部32を連続的に格子状に形成する場合における遮光層34の配置を示すが、凸部32は、断続的(離散的)に形成してもよい。
図6Fに示すのは、凸部32を断続的(離散的)に格子状に形成した場合における遮光層34の配置の一例である。
【0081】
図6Fに示す例においては、矩形状の各LED素子20の4つの角部に凸部32が、したがってその側面の第1蛍光体層33、及び、遮光層34が形成されない。この場合、各LED素子20の4つの角部には、第1蛍光体層33と連続する第2蛍光体層35が形成される。
【0082】
図6A〜
図6Fの構成により、一例として、平面視上、LED素子20の中心位置と重なる蛍光体領域と、LED素子20間領域と重なる蛍光体領域とを形成することができる。
【0083】
なお、
図6A〜
図6Fに示す例においては、各LED素子20(発光領域)の輪郭線に沿って凸部32、及び、遮光層34を配置するが、輪郭線に沿わない凸部32、及び、遮光層34配置としてもよい。
【0084】
図7A〜
図7Dを参照し、第1実施例による発光装置の効果と遮光層34の配置位置について追加的な説明を行う。
【0085】
図7Aは、
図12に示す従来の発光装置の光強度分布を示す概略図である。
【0086】
発光装置から出射される光の強度は、たとえばLED素子54の中心位置で最も高く、LED素子54間の中心位置で最も低い。
図7Aには、隣接する2つのLED素子54の双方が点灯している場合の光強度分布を示したが、一方のみが点灯している場合は、光強度は、たとえばLED素子54の中心位置で最も高く、LED素子54の中心位置から離れるにつれて低くなる。
【0087】
図12に示す従来の発光装置においては、たとえば点灯するLED素子54からの発光が、蛍光体層55を介し、非点灯のLED素子54領域に導波して、クロストークが発生する。
【0088】
図7Bを参照する。
図12に示す発光装置の蛍光体層55内に遮光層56を配置した場合を考える。配置位置は、LED素子54間の中心位置とする。
【0089】
遮光層56によって、クロストークは抑制される。しかし遮光層56は、隣接する2つのLED素子54の双方を点灯したとき、光強度が最も低くなる、LED素子54間の中心位置に配置されるため、暗部発生の原因となりやすい。
【0090】
図7Cに、第1実施例による発光装置の遮光層34配置を示す。第1実施例による発光装置においては、遮光層34は、隣接する2つのLED素子20について見たとき、LED素子20間領域の中心を基準として、当該素子20間中心よりも、各LED素子20の中心に近づいた位置に1層ずつ配置される。LED素子20間の中心位置よりも光強度が高い位置に遮光層34を配置するため、暗部発生の原因となりにくい。殊に、第1実施例においては、遮光層34は、平面視上、LED素子20と重なる位置(LED素子20間位置よりも、光強度が高い位置)に配置されるため、一層、暗部発生の原因となりにくい。
【0091】
図7Dを参照する。クロストークを抑制するという観点からは、遮光層34を、各LED素子20の中心位置から、離れた位置に配置することが好ましい。たとえば、LED素子20(発光領域)の中心位置と、LED素子20(発光領域)の輪郭線の中線(LED素子20(発光領域)の中心位置と、LED素子20(発光領域)の輪郭線上の点の中点の軌跡)を基準として、LED素子20の中心位置とは反対側に配置することが好ましい。
図7Dにおいては、遮光層34の好ましい配置位置に斜線を付して示した。
【0092】
図8は、第1実施例の変形例による発光装置を示す概略的な断面図である。
【0093】
第1実施例の変形例においては、
図3A〜
図3Iに示す工程で作製した波長変換部材30を、第1実施例とは上下逆向きにLED素子実装基板(接着層40)上に配置する。すなわち第1実施例においては、蛍光体支持基板31側をLED素子実装基板上に配置したが、変形例においては、第1、第2蛍光体層33、35、及び、遮光層34形成面側をLED素子実装基板上に配置する。
【0094】
平面視上、波長変換部材30の凸部32の幅方向の中心と、LED素子実装基板のLED素子20間の中心が一致するように、波長変換部材30を配置する点等、他の工程は第1実施例と同様にして、変形例による発光装置を製造することができる。
【0095】
第1実施例の変形例においては、第1及び第2蛍光体層33、35で発生した熱が、蛍光体支持基板31を経由せず、接着層40及びLED素子20を介して、基板10側に放出されるため、熱引きのよい発光装置とすることができる。
【0096】
なお、第1実施例による発光装置においても、蛍光体支持基板31の厚さ(第1実施例においては100μm)を薄くすることで熱引きをよくすることができる。蛍光体支持基板31の薄片化で、クロストーク抑制の効果も奏される。たとえば蛍光体支持基板31の厚さを80μm以下とすることで、熱引きがよく、クロストークの発生が一層抑制された発光装置とすることが可能である。
【0097】
図9A〜
図9Cを参照して、第2実施例による発光装置について説明する。
【0098】
第2実施例による発光装置の製造方法は、第1蛍光体層(蛍光体シート)33の厚さを200μmとする点、及び、
図3Hに対応する工程で、第2蛍光体層35の研磨量を少なくする点を除き、第1実施例による発光装置の製造方法と同様である。
【0099】
図9Aは、
図3Hに対応する研磨工程を示す概略的な断面図である。
【0100】
第1実施例では、研磨により、凸部32上面の遮光層34及び第1蛍光体層33を除去し、開口部36を形成したが、第2実施例では開口部を形成しない。第2蛍光体層35を、少なくとも遮光層34が除去される厚さまで研磨する点は共通するが、第2実施例においては、凸部32の上面に第1蛍光体層33を残す。第2実施例においては、第2蛍光体層35の厚さがたとえば150μmとなるまで研磨する。研磨により、凸部32位置では、第2蛍光体層35の他に、遮光層34、及び、第1蛍光体層33の一部が除去される。
【0101】
図9Bは、第2実施例の波長変換部材30を示す概略的な断面図である。
【0102】
波長変換部材30は、凸部32を備える蛍光体支持基板31、凸部32の側面及び上面に形成された第1蛍光体層33、蛍光体支持基板31上の凸部32以外の位置に形成された第2蛍光体層35、及び、第1蛍光体層33と第2蛍光体層35の間に形成された遮光層34を有する。第1蛍光体層33及び遮光層34は、凸部32に沿って配置されている。
【0103】
図9Cは、第2実施例による発光装置の概略的な断面図を示す。波長変換部材30以外の構成は、第1実施例と同様である。
【0104】
第2実施例による発光装置においても、たとえば第2蛍光体層35から横方向に進行する光が遮光層34で反射されるため、クロストークが抑制される。また、第1蛍光体層33に入射した光は、たとえば遮光層34で反射され、凸部32の上方(LED素子20間の領域の上方)に出射されるため、LED素子20間(非発光領域)に発生する暗部が低減される。
【0105】
第2実施例による発光装置も、クロストークと暗部の双方を抑制することが可能な発光装置である。
【0106】
更に、第2実施例においては、波長変換部材30に開口部がないため、青色光が開口部を透過して直接出射されない。このため、第1実施例による発光装置よりも、より均一な発光状態を得ることが可能である。
【0107】
図10は、第2実施例の変形例による発光装置を示す概略的な断面図である。
【0108】
第2実施例の変形例においては、第2実施例と等しい波長変換部材30を、第2実施例とは上下逆向きにLED素子実装基板(接着層40)上に配置する。すなわち第2実施例においては、蛍光体支持基板31側をLED素子実装基板上に配置したが、変形例においては、第1、第2蛍光体層33、35、及び、遮光層34形成面側をLED素子実装基板上に配置する。
【0109】
平面視上、波長変換部材30の凸部32の幅方向の中心と、LED素子実装基板のLED素子20間の中心が一致するように、波長変換部材30を配置する点等、他の工程は第2実施例と同様にして、変形例による発光装置を製造することができる。
【0110】
第2実施例の変形例においては、第1及び第2蛍光体層33、35で発生した熱が、蛍光体支持基板31を経由せず、接着層40及びLED素子20を介して、基板10側に放出されるため、熱引きのよい発光装置とすることができる。
【0111】
以上、実施例、変形例等に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されない。
【0112】
たとえば実施例、変形例等においては、平面視上、波長変換部材30の凸部32がLED素子実装基板のLED素子20間領域の上方に、具体的には、波長変換部材30の凸部32の幅方向の中心と、LED素子実装基板のLED素子20間の中心が一致するように、波長変換部材30を配置したが、他の態様での配置も可能である。
【0113】
図11に、波長変換部材30の凸部32の幅方向の中心と、LED素子実装基板のLED素子20の中心が一致するように、波長変換部材30を配置する例を示す。
図11に示す例においては、第2実施例と同様に、凸部32上面に第1蛍光体層33を残すタイプの波長変換部材30を採用した。本例における波長変換部材30は、第2実施例におけるそれよりも、第1蛍光体層33が厚い。
【0114】
その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。