(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記含水検知部は、絶縁部と、前記絶縁部を挟んで互いに絶縁された一対の導電部とを含み、一対の前記導電部同士の通電が得られることにより、前記排出物の含水率が所定値より高いことを検知するように構成されている、請求項1に記載の固液分離装置。
前記含水検知部により前記排出物の含水率が所定値より高いことが検知された場合は、運転が停止されるように構成されている、請求項2または3に記載の固液分離装置。
前記含水検知部は、排出面内において前記排出物が排出される第1方向と直交する第2方向の長さが、前記排出物が排出される第1方向に沿って段差ごとに徐々に小さくなるように形成されている、請求項2、5または6に記載の固液分離装置。
前記含水検知部は、第1導電部と、第2導電部と、第1絶縁部と、第2絶縁部とを含み、上から前記第1導電部、前記第1絶縁部、前記第2導電部、前記第2絶縁部の順に積層されて段差状に形成されている、請求項2、5〜7のいずれか1項に記載の固液分離装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来では、汚泥の脱水処理を行うにあたり、処理対象物の固体成分を凝集させる処理において凝集不良が起きた場合、凝集不良に起因して、含水率が所定値より高い脱水ケーキ(排出物)が継続して排出されるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、含水率が所定値より高い排出物が継続して排出されるのを抑制することが可能な固液分離装置および固液分離システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による固液分離装置は、処理対象物の脱水処理を行う固液分離装置本体部と、脱水処理がなされた処理対象物が排出物として固液分離装置本体部から排出される排出部と、排出部に設けられ、排出部から排出される排出物の含水を検知する含水検知部とを備え、含水検知部の検知結果に基づいて、運転が制御されるように構成されており、
含水検知部は、互いに絶縁された一対の導電部を含み、排出部は、
固液分離装置本体部に固定的に設けられているとともに、含水検知部における通電を検知する
一対の導電部
の一方を構成している。
【0008】
この発明の第1の局面による固液分離装置では、上記のように、排出部から排出される排出物の含水を検知する含水検知部を排出部に設け、含水検知部の検知結果に基づいて、運転が制御されるように構成する。これにより、凝集不良などに起因して、含水率が所定値より高い排出物が排出されると、含水検知部により検知されて固液分離装置の運転を停止させる制御などを行うことができるので、含水率が所定値より高い排出物が継続して排出されるのを抑制することができる。
この発明の第2の局面による固液分離装置は、処理対象物の脱水処理を行う固液分離装置本体部と、脱水処理がなされた処理対象物が排出物として固液分離装置本体部から排出される排出部と、排出部に設けられ、排出部から排出される排出物の含水を検知する含水検知部とを備え、含水検知部の検知結果に基づいて、運転が制御されるように構成されており、含水検知部は、絶縁部と、絶縁部を挟んで互いに絶縁された一対の導電部とを含み、一対の導電部同士の通電が得られることにより、排出物の含水率が所定値より高いことを検知するように構成されており、含水検知部は、絶縁部と導電部とが積層されて段差状に形成されている。
【0009】
上記第1の局面による固液分離装置において、好ましくは、含水検知部は、絶縁部と、絶縁部を挟んで互いに絶縁された一対の導電部とを含み、一対の導電部同士の通電が得られることにより、排出物の含水率が所定値より高いことを検知するように構成されている。このように構成すれば、一対の導電部の通電を検知することにより、排出物の含水率が所定値より高いことを容易に検知することができる。
【0010】
上記含水検知部が、絶縁部と一対の導電部とを含む構成において、好ましくは、含水検知部により排出物の含水率が所定値より高いことが検知された場合は、運転が停止されるように構成されている。このように構成すれば、含水率が所定値より高い排出物が継続して排出されるのを確実に抑制することができる。
【0011】
上記含水検知部が、絶縁部と一対の導電部とを含む構成において、好ましくは、含水検知部は、絶縁部と導電部とが積層されて段差状に形成されている。このように構成すれば、段差状にした分、含水検知部に角度をつけて排出物を落下させやすくすることができるので、粘性が高い排出物であっても、含水検知部(排出部)に排出物が付着して残存するのを抑制することができる。また、段差により排出物を切断することができるので、これによっても、含水検知部(排出部)に排出物が付着して残存するのを抑制することができる。
【0012】
上記絶縁部と導電部とが積層されて段差状に形成されている構成において、好ましくは、含水検知部は、排出物が排出される第1方向の絶縁部の長さが変更可能に構成されている。このように構成すれば、一対の導電部間の絶縁される距離を調整することができるので、排出される排出物の量や液性に応じて、検知の精度を微調整することができる。
【0013】
上記絶縁部と導電部とが積層されて段差状に形成されている構成において、好ましくは、含水検知部は、排出面内において第1方向と直交する第2方向の長さが、排出物が排出される第1方向に沿って段差ごとに徐々に小さくなるように形成されている。このように構成すれば、排出面内において第2方向から回り込んだ排出物により一対の導電部が通電されるのを抑制することができるので、含水検知部の誤検知を抑制することができる。また、導電部と絶縁部との間の貼り合せ面に水分が入り込むのを抑制することができるので、これによっても、含水検知部の誤検知を抑制することができる。
【0014】
上記絶縁部と導電部とが積層されて段差状に形成されている構成において、好ましくは、含水検知部は、第1導電部と、第2導電部と、第1絶縁部と、第2絶縁部とを含み、上から第1導電部、第1絶縁部、第2導電部、第2絶縁部の順に積層されて段差状に形成されている。このように構成すれば、第1導電部、第1絶縁部、第2導電部および第2絶縁部を共通の締結部材で締結する場合に、一番下側の層に配置された第2絶縁部を介して締結部材により締結することができるので、締結部材に金属を用いた場合でも、金属製の締結部材による第1導電部と第2導電部との通電を防止することができる。これによっても、含水検知部の誤検知を抑制することができる。
【0015】
上記第1
または第2の局面による固液分離装置において、好ましくは、含水検知部は、排出物が排出される第1方向の下流側の先端部近傍に配置されている。このように構成すれば、含水検知部を排出部に容易に設置することができる。
【0016】
この発明の第3の局面による固液分離システムは、供給される処理対象物に対して凝集処理を行う混和槽と、混和槽により凝集処理された処理対象物の脱水処理を行う固液分離装置とを備え、固液分離装置は、処理対象物の脱水処理を行う固液分離装置本体部と、脱水処理がなされた処理対象物が排出物として固液分離装置本体部から排出される排出部と、排出部に設けられ、排出部から排出される排出物の含水を検知する含水検知部とを含み、含水検知部により排出物の含水率が所定値より高いことが検知された場合は、混和槽への処理対象物の供給が停止されるとともに、混和槽および固液分離装置の運転が停止されるように構成されており、
含水検知部は、互いに絶縁された一対の導電部を含み、排出部は、
固液分離装置本体部に固定的に設けられているとともに、含水検知部における通電を検知する
一対の導電部
の一方を構成している。
【0017】
この発明の第
3の局面による固液分離システムでは、上記のように、排出部から排出される排出物の含水を検知する含水検知部を排出部に設け、含水検知部により排出物の含水率が所定値より高いことが検知された場合は、混和槽への処理対象物の供給が停止されるとともに、混和槽および固液分離装置の運転が停止されるように構成する。これにより、凝集不良などに起因して、含水率が所定値より高い排出物が排出されると、混和槽への処理対象物の供給が停止されるとともに、混和槽および固液分離装置の運転を停止させることができるので、含水率が所定値より高い排出物が継続して排出されるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、含水率が所定値より高い排出物が継続して排出されるのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(水処理システムの説明)
図1に示すように、一実施形態による固液分離システム100は、水処理システム101の一部の構成要素として設けられている。水処理システム101は、工業、農業、畜産業または家庭(生活用)などから排出される被処理水を河川などに放流可能な水質になるように処理するように構成されている。また、水処理システム101は、
図1に示すように、流量調整槽1と、生物反応槽(曝気槽)2と、最終沈殿池3と、汚泥貯留槽4と、フロック化装置5と、固液分離装置6と、制御盤7とを備えている。また、固液分離システム100は、水処理システム101のうち、フロック化装置5と、固液分離装置6と、制御盤7とにより構成されている。
【0022】
まず、水処理システム101のうち固液分離システム100以外の構成要素について概略的に説明し、その後、固液分離システム100の構成について詳細に説明する。
【0023】
水処理システム101のうち、流量調整槽1は、被処理水が流入されて貯留されるとともに、その後の被処理水の流量が所定の量になるように調整するように構成されている。つまり、被処理水が流入する量が時間帯により異なる場合でも、一旦被処理水を流量調整槽1で貯留することにより、流量調整槽1の後段への被処理水の流量が所定の量になるように調整される。
【0024】
生物反応槽2は、曝気(エアレーション)することにより活性汚泥(微生物)によって被処理水を生物処理するように構成されている。最終沈殿池3は、水中の浮遊物(活性汚泥など)を沈殿させるように構成されている。最終沈殿池3では、上澄みの水が、処理後の水として放流されるとともに、一部が流量調整槽1に戻される。また、最終沈殿池3では、沈殿された汚泥が、生物反応槽2に返送汚泥として戻されるとともに、一部が余剰汚泥(処理対象物)として汚泥貯留槽4に送られる。
【0025】
汚泥貯留槽4は、最終沈殿池3から送られる汚泥(処理対象物)を貯留するように構成されている。また、汚泥貯留槽4には、ポンプ41が設けられている。汚泥貯留槽4に貯留された処理対象物は、ポンプ4により、固液分離システム100のフロック化装置5に送られるように構成されている。
【0026】
(固液分離システムの説明)
次に、
図1〜
図4を参照して、水処理システム101のうち、フロック化装置5と、固液分離装置6と、制御盤7とにより構成される一実施形態による固液分離システム100について詳細に説明する。
【0027】
固液分離システム100は、余剰汚泥(処理対象物)を、固体成分と液体成分とに分離するように構成されている。具体的には、固液分離システム100は、処理対象物の固体成分に含まれる水分の割合を所定値以下とした脱水ケーキと、ろ液とに分離するように構成されている。
【0028】
フロック化装置5は、処理対象物と凝集剤とが混合されることにより、汚泥中の固体成分が凝集されてフロックが形成されるように構成されている。フロック化装置5は、混和槽51と、凝集剤供給部52とを含む。混和槽51は、槽本体511と、撹拌装置512とを有している。混和槽51の槽本体511には、汚泥貯留槽4から汚泥が送られるように構成されている。また、混和槽51の槽本体511には、凝集剤供給部52から凝集剤が供給される。凝集剤は、たとえば、高分子凝集剤や、無機凝集剤などが用いられる。撹拌装置512は、槽本体511内の処理対象物と凝集剤とを撹拌して混合するように構成されている。撹拌装置512は、モータと、撹拌翼とを含み、モータの駆動により撹拌翼が回転駆動されるように構成されている。フロック化装置5によりフロック化された処理対象物は、オーバーフローして、固液分離装置6に送られるように構成されている。
【0029】
固液分離装置6は、フロック化装置5によりフロック化(凝集処理)された処理対象物を脱水して(含水率を下げて)、固分と液分(ろ液)とに分離して、それぞれ排出するように構成されている。固液分離装置6は、
図2に示すように、固液分離装置本体部61と、排出部62と、含水検知部63とを含んでいる。排出部62は、
図3に示すように、導電部621と、側壁622とを有している。含水検知部63は、導電部621と、導電部631と、絶縁部632および633と、締結部材634と、樹脂層635とを有している。なお、導電部621および631は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1導電部」および「第2導電部」の一例であり、絶縁部632および633は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1絶縁部」および「第2絶縁部」の一例である。
【0030】
固液分離装置6は、たとえば、多重円板型脱水機や多重板型スクリュープレス脱水機などにより構成されている。固液分離装置本体部61は、処理対象物の脱水処理を行うように構成されている。固液分離装置本体部61の筐体は、導電性を有する金属(たとえば、ステンレス)により形成されている。
【0031】
排出部62は、脱水処理がなされた処理対象物が排出物として固液分離装置本体部61から排出される排出口に設けられている。排出部62は、固液分離装置本体部61に接続されている。また、排出部62(導電部621)は、導電性を有する金属(たとえば、ステンレス)により形成されている。つまり、固液分離装置61の筐体と、排出部62(導電部621)とは、通電可能に構成されている。導電部621は、
図3および
図4に示すように、排出物(脱水ケーキ)が排出されるA方向、および、A方向と直交するB方向に延びるように形成されている。つまり、導電部621上を排出物が滑り落ちて排出されるように構成されている。
図3に示すように、導電部621は、鉛直方向に対して角度αを有するように配置されている。壁部622は、
図4に示すように、B方向において、導電部621の両端に配置されている。壁部622は、排出物が排出部62のB方向から落下するのを防止するために設けられている。
【0032】
ここで、本実施形態では、含水検知部63は、排出部62から排出される排出物の含水を検知するように構成されている。含水検知部63は、排出部62のA方向の下流側の先端部近傍に配置されている。また、含水検知部63は、絶縁部632を挟んで互いに絶縁された一対の導電部621および631とを含み、一対の導電部621および631同士の通電が得られることにより、排出物の含水率が所定値より高いことを検知するように構成されている。
【0033】
また、含水検知部63は、
図3に示すように、絶縁部632および633と導電部621および631とが積層されて段差状に形成されている。具体的には、含水検知部63は、上(Z1方向側)から導電部621、絶縁部632、導電部631、絶縁部633の順に積層されて段差状に形成されている。また、導電部621および絶縁部632の間と、絶縁部632および導電部631との間と、導電部631および絶縁部633との間とには、それぞれ、樹脂層635が設けられている。導電部621および631は、導電性を有する金属(たとえば、ステンレス)により形成されている。絶縁部632および633は、絶縁性を有する材料(たとえば、ポリ塩化ビニル素材)により形成されている。また、樹脂層635は、絶縁性の材料により形成されている。樹脂層635は、たとえば、シリコンコーキング材により形成されている。
【0034】
また、含水検知部63は、排出物が排出されるA方向の絶縁部632の長さ(導電部621および631のA方向の距離)が変更可能に構成されている。具体的には、
図3に示すように、導電部631には、A方向に延びる長穴631aが設けられている。また、絶縁部632には、A方向に延びる長穴632aが設けられている。また、絶縁部633には、A方向に延びる長穴633aが設けられている。そして、絶縁部632の長穴632a、導電部631の長穴631aおよび絶縁部633の長穴633aを介して共通の締結部材634により絶縁部632、導電部631および絶縁部633が共締めされている。なお、長穴631a、632aおよび633aの境界部は、樹脂層635に覆われている。つまり、締結部材634と、導電部631とは、直接接触しないように構成されている。締結部材634は、導電部621に固定されたスタッドボルトと、スタットボルトに螺合するナットとを含む。つまり、締結部材634に対する、絶縁部632の長穴632a、導電部631の長穴631aおよび絶縁部633の長穴633aのA方向の位置をそれぞれ変更することにより、A方向の絶縁部632の露出部分の長さ、A方向の導電部631の露出部分の長さ、および、A方向の絶縁部633の露出部分の長さが変更可能に構成されている。
図4に示す含水検知部63では、A方向の絶縁部632の露出部分の長さがd1(たとえば、10mm程度)であり、A方向の導電部631の露出部分の長さがd1であり、A方向の絶縁部633の露出部分の長さがd1である。
【0035】
また、含水検知部63は、
図4に示すように、排出面内においてA方向と直交するB方向の長さが、排出物が排出されるA方向に沿って段差ごとに徐々に小さくなるように形成されている。つまり、含水検知部63は、B方向の長さ(幅)が、導電部621、絶縁部632、導電部631、絶縁部633の順に小さくなるように形成されている。B方向において、導電部621の端部と、絶縁部632の端部とは、d2(たとえば、3mm)の間隔を隔てている。また、B方向において、絶縁部632の端部と、導電部631の端部とは、d2(たとえば、3mm)の間隔を隔てている。また、B方向において、導電部631の端部と、絶縁部633の端部とは、d2(たとえば、3mm)の間隔を隔てている。
【0036】
制御盤7は、固液分離システム100全体を制御するように構成されている。具体的には、制御盤7は、制御部71と、スイッチ72と、報知ランプ73を含んでいる。制御部71は、汚泥貯留槽4のポンプ41の駆動を制御して、汚泥貯留槽4からフロック化装置5に流入する汚泥(処理対象物)の流量を制御する。また、制御部71は、凝集剤供給部52を制御して、混和槽51に供給される凝集剤の量を制御する。また、制御部71は、混和槽51の撹拌装置512の駆動を制御する。また、制御部71は、固液分離装置6の駆動を制御する。
【0037】
ここで、本実施形態では、制御部71は、含水検知部63の検知結果に基づいて、固液分離装置6の運転を制御するように構成されている。具体的には、制御部71は、含水検知部63により排出物の含水率が所定値より高いことを検知した場合に、固液分離装置6の運転を停止するように構成されている。また、制御部71は、含水検知部63により排出物の含水率が所定値より高いことを検知した場合に、混和槽51への処理対象物の供給を停止するとともに、混和槽51および固液分離装置6の運転を停止するように構成されている。具体的には、制御部71は、含水検知部63により排出物の含水率が所定値より高いことを検知した場合に、汚泥貯留槽4のポンプ41の駆動を停止し、凝集剤供給部52を制御して、混和槽51への凝集剤の供給を停止し、混和槽51の撹拌装置512の駆動を停止するとともに、固液分離装置6の運転を停止する。
【0038】
スイッチ72は、含水検知部63の一対の導電部621および631の通電状態を検知するように構成されている。具体的には、スイッチ72は、含水検知部63に接続されている。つまり、
図4に示すように、スイッチ72は、配線721および固液分離装置本体部61を介して導電部621に接続されている。また、スイッチ72は、配線722を介して導電部631の接続部631bに接続されている。また、スイッチ72は、導電部621および631の通電を検知した場合、ONとなり制御部71に信号を送信するように構成されている。なお、スイッチ72が導電部621および631の通電を検知するのは、導電部621および631が所定の含水率より高い排出物により接続された場合である。つまり、排出物が所定の含水率以下であれば、導電部621および631の間には、電気が流れない。この場合、スイッチ72は、OFFとなる。
【0039】
報知ランプ73は、含水検知部63により排出物の含水率が所定値より高いことを検知した場合に、警報を報知するように構成されている。報知ランプ73は、光を点灯または点滅させることにより、警報を報知するように構成されている。
【0040】
(水処理の流れ)
次に、
図1を参照して、上述した本実施形態による固液分離システム100を含む水処理システム101の水処理の流れについて説明する。
【0041】
まず、流量調整槽1に流入されて流量が調整された被処理水が生物反応槽(曝気槽)2に送られる。そして、生物反応槽2では、微生物の活動により被処理水中の有機物などが分解される。この際、生物反応槽2では、微生物の活動により、汚泥が増加される。
【0042】
生物反応槽2における生物処理後の被処理水は、活性汚泥とともに最終沈殿池3に送られる。そして、最終沈殿池3では、水中の浮遊物(活性汚泥など)が沈殿されて上澄みの処理水が河川などに放流される。また、一部の上澄みの処理水は流量調整槽1に返送される。一方、最終沈殿池3において沈殿された汚泥は、汚泥貯留槽4に送られる。また、一部の汚泥は生物反応槽2に返送される。これにより、生物反応槽2内の活性汚泥の量が所定の量に保たれる。
【0043】
汚泥貯留槽4では、汚泥が貯留される。そして、貯留された汚泥がフロック化装置5に送られる。フロック化装置5では、処理対象物が凝集剤によりフロック化される。
【0044】
フロック化装置5で凝集(フロック化)された汚泥(処理対象物)は、固液分離装置6に送られる。そして、固液分離装置6により処理対象物が脱水されて(含水率が下げられて)、脱水ケーキ(固分)とろ液(液分)とに分離される。固液分離装置6により脱水された脱水ケーキは、排出されて焼却などの処理が行われる。また、固液分離装置6から排出されるろ液は、流量調整槽1に返送される。
【0045】
(水分検知制御処理)
次に、
図5を参照して、本実施形態の水分検知制御処理について説明する。なお、水分検知制御処理は、制御部71により行われる。
【0046】
固液分離システム100の運転中に、ステップS1において、スイッチ72がONにされたか否かが判断される。つまり、含水検知部63により、排出物の含水率が所定値より高いことを検知したか否かが判断される。スイッチ72がONにされなければ(OFFのままであれば)、ONにされるまで、ステップS1の判断が繰り返される。つまり、正常に運転しており、排出物の含水率が所定値以下であれば、ステップS1の判断が繰り返される。
【0047】
スイッチ72がONにされれば、ステップS2において、スイッチ72がONにされた時間が所定時間(たとえば、2秒)継続したか否かが判断される。所定時間継続しなければ、ステップS1に戻り、所定時間継続すれば、ステップS3に進む。ステップS3において、固液分離システム100の運転が停止される。つまり、汚泥貯留槽4のポンプ41の駆動が停止され、凝集剤供給部52から混和槽51への凝集剤の供給を停止し、混和槽51の撹拌装置512の駆動が停止されるとともに、固液分離装置6の運転が停止される。その後、水分検知制御処理が終了される。
【0048】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0049】
本実施形態では、上記のように、排出部62から排出される排出物の含水を検知する含水検知部63を排出部62に設け、含水検知部63の検知結果に基づいて、運転が制御されるように構成する。これにより、凝集不良などに起因して、含水率が所定値より高い排出物が排出されると、含水検知部63により検知されて固液分離装置6の運転を停止させる制御を行うことができるので、含水率が所定値より高い排出物が継続して排出されるのを抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように、一対の導電部621および631同士の通電が得られることにより、排出物の含水率が所定値より高いことを検知するように構成する。これにより、一対の導電部621および631の通電を検知することにより、排出物の含水率が所定値より高いことを容易に検知することができる。
【0051】
また、本実施形態では、上記のように、含水検知部63により排出物の含水率が所定値より高いことが検知された場合は、運転が停止されるように構成する。これにより、含水率が所定値より高い排出物が継続して排出されるのを確実に抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、含水検知部63を、絶縁部632および633と導電部621および631とを積層して段差状に形成する。これにより、段差状にした分、含水検知部63に角度をつけて排出物を落下させやすくすることができるので、粘性が高い排出物であっても、含水検知部63(排出部62)に排出物が付着して残存するのを抑制することができる。また、段差により排出物を切断することができるので、これによっても、含水検知部63(排出部62)に排出物が付着して残存するのを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、排出物が排出されるA方向の絶縁部632の長さ(A方向の導電部621および631の間の長さ)を変更可能に構成する。これにより、一対の導電部621および631の間の絶縁される距離を調整することができるので、排出される排出物の量や液性に応じて、検知の精度を微調整することができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、含水検知部63を、排出面内においてA方向と直交するB方向の長さが、排出物が排出されるA方向に沿って段差ごとに徐々に小さくなるように形成する。これにより、排出面内においてB方向(X方向)から回り込んだ排出物により一対の導電部621および631が通電されるのを抑制することができるので、含水検知部63の誤検知を抑制することができる。また、導電部621および631と絶縁部632との間の貼り合せ面に水分が入り込むのを抑制することができるので、これによっても、含水検知部63の誤検知を抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、含水検知部63を、上から導電部621、絶縁部632、導電部631、絶縁部633の順に積層して段差状に形成する。これにより、導電部621、絶縁部632、導電部631および633を共通の締結部材634により締結する場合に、一番下側の層に配置された絶縁部633を介して締結部材634により締結することができるので、締結部材634に金属を用いた場合でも、金属製の締結部材634による導電部621と導電部631との通電を防止することができる。これによっても、含水検知部63の誤検知を抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、含水検知部63を、排出物が排出されるA方向の下流側の先端部近傍に配置する。これにより、含水検知部63を排出部62に容易に設置することができる。
【0057】
(実験例)
次に、
図6を参照して、スイッチによる検出の実験例について説明する。
【0058】
図6に示すように、2種類のスイッチ72を用いて、排出物の含水を検知する実験を行った。スイッチAとして、オムロン社製の61F−GP−Nを用いた。また、スイッチBとして、オムロン社製の61F−GPN−V50を用いた。
【0059】
良好に脱水された脱水ケーキ(含水率85%以下)を排出物として排出部62(含水検知部63)上を滑らせた場合、スイッチAおよびスイッチBともに、排出物の含水を検出しなかった(OFFのままであった)。脱水不良の脱水ケーキ(含水率85%より高い)を排出物として排出部62(含水検知部63)上を滑らせた場合、スイッチAおよびスイッチBともに、排出物の含水を検出した(ONになった)。また、フロック化されないままの汚泥を排出物として排出部62(含水検知部63)上を滑らせた場合、スイッチAおよびスイッチBともに、排出物の含水を検出した(ONになった)。これにより、スイッチAおよびスイッチBともに、含水率が所定値より高い排出物を安定して検出することが可能であることが分かった。
【0060】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態および実験例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実験例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0061】
たとえば、上記実施形態では、固液分離装置として、多重円板型脱水機や多重板型スクリュープレス脱水機を用いる構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、固液分離装置として、多重円板型脱水機や多重板型スクリュープレス脱水機以外の装置を用いてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、含水検知部は、導電部と絶縁部とが積層されて段差状に形成されている例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、含水検知部は、一対の導電部と、一対の導電部を絶縁する絶縁部とを同一の平面(排出面)に設けてもよい。また、含水検知部は、一対の棒状の導電部を排出部に這わせて設けてもよいし、一対の棒状の導電部を排出部の上方から排出物の通り道に設けてもよい。また、含水検知部を、排出部に薄い電極を貼り付けて設けてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、混和槽と固液分離装置とが別個に設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、混和槽と固液分離装置とを一体的に設けてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、含水検知部は、排出面内において第1方向と直交する第2方向の長さが、排出物が排出される第1方向に沿って段差ごとに小さくなるように形成されている例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、含水検知部の第2方向の長さを揃えて形成してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、導電部と絶縁部にそれぞれ長穴を設け、A方向の導電部の露出長さと、絶縁部の露出長さをそれぞれ変更可能に構成された例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、導電部と絶縁部にそれぞれスタッドボルトが通るだけの径の穴を設け、A方向の導電部の露出長さと、絶縁部の露出長さが固定されるように構成してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、含水検知部は、一番下の段(層)に絶縁部が設けられている例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、含水検知部の一番下の段(層)に絶縁部を設けなくてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、報知ランプを用いて、排出物の含水率が所定値より高いことを報知する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、排出物の含水率が所定値より高いことを音や画面の表示などにより報知してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、生物反応槽として曝気槽を用いる構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、生物反応槽において、曝気(エアレーション)せずに生物処理を行ってもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、被処理水を生物反応槽、最終沈殿池、フロック化装置および固液分離装置により処理する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、被処理水をその他の処理(たとえば、化学的処理(薬品処理、オゾン処理など)等)によりさらに水処理してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限らない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。