特許第6537919号(P6537919)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6537919加入者情報登録方法、通信サービス装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6537919
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】加入者情報登録方法、通信サービス装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/02 20090101AFI20190625BHJP
   H04W 8/20 20090101ALI20190625BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20190625BHJP
【FI】
   H04W8/02
   H04W8/20
   H04W84/06
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-152320(P2015-152320)
(22)【出願日】2015年7月31日
(65)【公開番号】特開2017-34470(P2017-34470A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】堺 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】梅木 智光
(72)【発明者】
【氏名】北辻 佳憲
【審査官】 松本 光平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−103440(JP,A)
【文献】 特開2005−012646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末と、基地局、コアネットワーク制御装置及び加入者サーバとを有するシステムについて、当該端末の加入者情報を前記加入者サーバに登録する加入者情報登録方法であって、
前記基地局が、第1の移動網識別子を報知する第1のステップと、
前記端末が、自らの契約に基づく第2の移動網識別子を含む登録要求を、前記基地局を介して前記コアネットワーク制御装置へ送信する第2のステップと、
前記コアネットワーク制御装置が、前記登録要求に含まれる第2の移動網識別子が第1の移動網識別子と異なる場合に、前記端末に対する加入者情報要求を前記加入者サーバへ送信する第3のステップと、
前記加入者サーバは、前記加入者情報要求に基づく当該端末用の加入者情報を一時的に生成して登録する第4のステップと
を有することを特徴とする加入者情報登録方法。
【請求項2】
第2のステップについて、前記端末は、第2の移動網識別子を報知する基地局を発見できない場合にのみ、第1の移動網識別子を報知する前記基地局へ向けて、第2の移動網識別子を含む登録要求を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の加入者情報登録方法。
【請求項3】
前記コアネットワーク制御装置は、一時的な加入者候補として1つ以上の移動網識別子を登録した加入者候補リストを予め保持しており、
第3のステップについて、前記コアネットワーク制御装置は、更に、前記登録要求に含まれる第2の移動網識別子が前記加入者候補リストに含まれている場合にのみ、前記端末に対する加入者情報要求を前記加入者サーバへ送信する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の加入者情報登録方法。
【請求項4】
前記コアネットワーク制御装置は、アクセス可能な端末候補として1つ以上の端末能力情報及び/又は要求種別を登録した受容能力リストを予め有し、
第2のステップについて、前記端末は、前記登録要求に当該端末の端末能力情報及び/又は要求種別を更に含めており、
第3のステップについて、前記コアネットワーク制御装置は、更に、前記登録要求に含まれる端末能力情報及び/又は要求種別が前記受容能力リストに含まれている場合にのみ、第2の移動網識別子を含む加入者情報要求を前記加入者サーバへ送信する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の加入者情報登録方法。
【請求項5】
第3のステップについて、前記コアネットワーク制御装置は、第2のステップの前記登録要求に所定パラメータが含まれている場合、前記要求種別に応じた所定加入者種別を含む前記加入者情報要求を前記加入者サーバへ送信し、
第4のステップについて、前記加入者サーバは、所定加入者種別を含む前記加入者情報要求に基づく当該端末用の加入者情報を一時的に生成して登録する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の加入者情報登録方法。
【請求項6】
前記端末と前記加入者サーバとの両方で、事前に認証鍵を共有して保持する場合、
第3のステップについて、前記コアネットワーク制御装置が送信する、第2の移動網識別子を含む加入者情報要求は、認証情報要求であり、
第4のステップについて、前記加入者サーバは、前記認証情報要求を受信した際に、第2の移動網識別子に対する加入者情報を一時的に生成して登録する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の加入者情報登録方法。
【請求項7】
前記コアネットワーク制御装置は、EPC(Evolved Packet Core)におけるMME(Mobility Management Entity)である
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の加入者情報登録方法。
【請求項8】
前記コアネットワーク制御装置は、IMS(IP Multimedia Subsystem)におけるCSCF(Call Session Control Function)である
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の加入者情報登録方法。
【請求項9】
前記基地局、前記コアネットワーク制御装置及び前記加入者サーバは、広域ネットワークに対して断絶された通信孤立地域に配置されたものであり、
前記加入者サーバに登録されていない加入者の端末に対して、一時的に通信サービスを提供する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の加入者情報登録方法。
【請求項10】
端末と、基地局、コアネットワーク制御装置及び加入者サーバとを一体的に組み込み、当該端末の加入者情報を前記加入者サーバに登録する通信サービス装置であって、
前記基地局は、第1の移動網識別子を報知し、
前記端末は、自らの契約に基づく第2の移動網識別子を含む登録要求を、前記基地局を介して前記コアネットワーク制御装置へ送信するものであり、
前記コアネットワーク制御装置は、前記登録要求に含まれる第2の移動網識別子が第1の移動網識別子と異なる場合に、前記端末に対する加入者情報要求を前記加入者サーバへ送信するものであり、
前記加入者サーバは、前記加入者情報要求に基づく当該端末用の加入者情報を一時的に生成して登録するものである
ことを特徴とする通信サービス装置。
【請求項11】
端末と、基地局、コアネットワーク制御装置及び加入者サーバとを一体的に組み込み、当該端末の加入者情報を前記加入者サーバに登録する通信サービス装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記基地局は、第1の移動網識別子を報知し、
前記端末は、自らの契約に基づく第2の移動網識別子を含む登録要求を、前記基地局を介して前記コアネットワーク制御装置へ送信するものであり、
前記コアネットワーク制御装置は、前記登録要求に含まれる第2の移動網識別子が第1の移動網識別子と異なる場合に、前記端末に対する加入者情報要求を前記加入者サーバへ送信するものであり、
前記加入者サーバは、前記加入者情報要求に基づく当該端末用の加入者情報を一時的に生成して登録するものである
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする通信サービス装置用のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EPC(Evolved Packet Core)/IMS(IP Multimedia Subsystem)の中で、加入者情報を加入者サーバへ登録する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信サービスシステムは、概念的に以下の3つのネットワークを有する。
多数の基地局によって構成される「無線アクセスネットワーク」
アクセスネットワーク間のパケット転送を制御する「パケット・コアネットワーク」
パケット通信サービスを提供する「サービス・コアネットワーク」
【0003】
「無線アクセスネットワーク」には、例えばUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)やLTE(Long Term Evolution)の無線技術が適用される。特に、LTEの「パケット・コアネットワーク」については、EPCが規定されている(例えば非特許公報1参照)。
EPCは、基地局である多数のeNB(evolved Node B)を、MME(Mobility Management Entity)及びSGW(Serving-Gateway)によって収容する。
MMEは、コアネットワーク制御装置であって、無線アクセスネットワークを介して移動端末(UE(User Equipment))とインタフェースを持つ。MMEは、端末の移動管理だけでなく、加入者サーバ(HSS(Home Subscriber Server))と連携した移動端末の認証と、IP伝達経路の設定制御も実行する。また、SGWは、MMEからの制御に基づいてIPパケットの伝達制御を実行する。
【0004】
尚、EPCネットワークには、更に、PGW(PDN(Packet Data Network)-Gateway)及びPCRF(Policy and Charging Rules Function)も配置される。PGWは、インターネット、IMSなどのPDNとの接続点があり、PDNから移動端末へのIPパケットを全て受信する。PCRFは、PGW及びSGWでの伝達品質制御を実行するための、QoS(Quality of Service)、課金方法などのIPパケット伝達ポリシーを決定する。
【0005】
「サービス・コアネットワーク」には、IMSのような標準化されたサービス制御方式が規定されている(例えば非特許公報2参照)。
IMSは、必要なネットワークリソースの割り当てや、ゲートの制御を実行するものである。これによって、例えばVoLTE(Voice over LTE)に代表されるIPベースのマルチメディア通信サービス(例えばテレビ電話やIM(Instant Message)など)を提供することができる。これは、次世代携帯電話ネットワーク又はNGN(Next Generation Network)を実現する中核技術であって、全ての端末がIPベースで通信するオールIP化を実現する。
【0006】
IMSは主に、以下の3つの機能を有する。
セッション制御機能としてのCSCF(Call Session Control Function)
アプリケーションサービスを制御するアプリケーションサーバ
(Application Server)
加入者情報を蓄積する加入者サーバ (Home Subscriber Server)
【0007】
CSCFは、コアネットワーク制御装置であって、端末間の通信セッションの確立・解放や、サービス条件に応じたアプリケーションサーバの選択を実行する。そして、CSCFは、アプリケーションサーバへ、セッション制御プロトコルであるSIP(Session Initiation Protocol)信号や、セッション記述プロトコルであるSDP(Session Description Protocol)信号を送信する。尚、CSCFは、P−CSCF(Proxy-CSCF)、S−CSCF(Serving-CSCF)、I−CSCF(Interrogating-CSCF)の3つの機能要素に分けられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】3GPP TS 23.401 「General Packet Radio Service (GPRS) enhancements for Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN) access」
【非特許文献2】3GPP TS 23.228、「IP Multimedia Subsystem (IMS); Stage 2」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば広範囲の地域で自然災害等が発生した場合、停電や基地局倒壊、バックホール回線切断などによって、ユーザが所持する端末から広域ネットワークへの接続が断絶される通信孤立地域が生じる。この場合、通信事業者が、通信孤立地域に広域ネットワークへの接続機能を備えた基地局や通信事業設備を運び込むことによって、できる限り、端末から広域ネットワークへの接続を可能とするように対策される。基地局や通信事業設備は、例えば自動車や気球、ヘリコプターのようなもので運び込まれるために、実際に通信が可能となるまでに比較的長時間を要する。
【0010】
一方で、自然災害が発生した地域では、多くの救助隊が投入され、被災者と救助者とが混在する状況となる。このような場合、ユーザが所持する端末を用いて、その地域のみで通信サービスを運用することができれば、救助活動に有効であると考えられる。
これに対し、現実的に、端末から広域ネットワークへの接続が断絶されている限り、その地域範囲のみの通信サービスであっても運用することはできない。
また、自然災害に限らず、広域ネットワークとの通信が遮断された特定のイベント会場であっても、そこに滞在するユーザ同士で通信サービスを運用することもできない
【0011】
また、通信孤立地域範囲でのみ使用される専用の通信事業設備を構築することは、コスト的に問題がある。そのために、ソフトウェア的に構築された既存のEPCやIMSのシステム全体を、可搬型ハードウェアに実装してその通信事業設備として利用することが考えられる。ソフトウェア的なシステム全体は、1つの通信サービス装置に内蔵することもできる。
【0012】
ここで、広域ネットワークから断絶された地域で通信サービスを提供する場合、このシステムの加入者サーバに対して、ユーザの加入者情報を、どのようにして登録するか?が問題となる。加入者情報は、通常、ユーザの加入契約時に登録されるものである。
【0013】
しかしながら、突発的に自然災害等が発生した通信孤立地域に対して、事前にその地域範囲やそこに滞在する端末の加入者情報を登録しておくことはできない。また、日本国内の携帯電話契約者の全ての加入者情報を、通信孤立地域に設置される可搬型装置に予め登録することもできない。
【0014】
また、例えば自然災害が発生した地域では、ある事業者Aの通信事業設備は復旧していないが、他の事業者Bの通信事業設備が復旧しているような状況が想定される。このような場合、事業者Bのユーザは通信サービスを受けることができるが、事業者Aのユーザは通信サービスを受けることができない。そのために、一時的に事業者Bの通信事業設備を使って事業者Aのユーザに通信サービスを提供することができれば災害時の通信サービスとして有効であると考えられる。
【0015】
そこで、本発明は、加入者情報が未登録の端末であっても、加入者情報を自動的に登録することができる加入者情報登録方法、通信サービス装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、端末と、基地局、コアネットワーク制御装置及び加入者サーバとを有するシステムについて、当該端末の加入者情報を加入者サーバに登録する加入者情報登録方法であって、
基地局が、第1の移動網識別子を報知する第1のステップと、
端末が、自らの契約に基づく第2の移動網識別子を含む登録要求を、基地局を介してコアネットワーク制御装置へ送信する第2のステップと、
コアネットワーク制御装置が、登録要求に含まれる第2の移動網識別子が第1の移動網識別子と異なる場合に、端末に対する加入者情報要求を加入者サーバへ送信する第3のステップと、
加入者サーバは、加入者情報要求に基づく当該端末用の加入者情報を一時的に生成して登録する第4のステップと
を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の加入者情報登録方法における他の実施形態によれば、
第2のステップについて、端末は、第2の移動網識別子を報知する基地局を発見できない場合にのみ、第1の移動網識別子を報知する基地局へ向けて、第2の移動網識別子を含む登録要求を送信することも好ましい。
【0018】
本発明の加入者情報登録方法における他の実施形態によれば、
コアネットワーク制御装置は、一時的な加入者候補として1つ以上の移動網識別子を登録した加入者候補リストを予め保持しており、
第3のステップについて、コアネットワーク制御装置は、更に、登録要求に含まれる第2の移動網識別子が加入者候補リストに含まれている場合にのみ、端末に対する加入者情報要求を加入者サーバへ送信することも好ましい。
【0019】
本発明の加入者情報登録方法における他の実施形態によれば、
コアネットワーク制御装置は、アクセス可能な端末候補として1つ以上の端末能力情報及び/又は要求種別を登録した受容能力リストを予め有し、
第2のステップについて、端末は、登録要求に当該端末の端末能力情報及び/又は要求種別を更に含めており、
第3のステップについて、コアネットワーク制御装置は、更に、登録要求に含まれる端末能力情報及び/又は要求種別が受容能力リストに含まれている場合にのみ、第2の移動網識別子を含む加入者情報要求を加入者サーバへ送信することも好ましい。
【0020】
本発明の加入者情報登録方法における他の実施形態によれば、
第3のステップについて、コアネットワーク制御装置は、第2のステップの登録要求に所定パラメータが含まれている場合、要求種別に応じた所定加入者種別を含む加入者情報要求を加入者サーバへ送信し、
第4のステップについて、加入者サーバは、所定加入者種別を含む加入者情報要求に基づく当該端末用の加入者情報を一時的に生成して登録することも好ましい。
【0021】
本発明の加入者情報登録方法における他の実施形態によれば、
端末と加入者サーバとの両方で、事前に認証鍵を共有して保持する場合、
第3のステップについて、コアネットワーク制御装置が送信する、第2の移動網識別子を含む加入者情報要求は、認証情報要求であり、
第4のステップについて、加入者サーバは、認証情報要求を受信した際に、第2の移動網識別子に対する加入者情報を一時的に生成して登録することも好ましい。
【0022】
本発明の加入者情報登録方法における他の実施形態によれば、
コアネットワーク制御装置は、EPC(Evolved Packet Core)におけるMME(Mobility Management Entity)であることも好ましい。
【0023】
本発明の加入者情報登録方法における他の実施形態によれば、
コアネットワーク制御装置は、IMS(IP Multimedia Subsystem)におけるCSCF(Call Session Control Function)であることも好ましい。
【0024】
本発明の加入者情報登録方法における他の実施形態によれば、
基地局、コアネットワーク制御装置及び加入者サーバは、広域ネットワークに対して断絶された通信孤立地域に配置されたものであり、
加入者サーバに登録されていない加入者の端末に対して、一時的に通信サービスを提供することも好ましい。
【0025】
本発明によれば、端末と、基地局、コアネットワーク制御装置及び加入者サーバとを一体的に組み込み、当該端末の加入者情報を加入者サーバに登録する通信サービス装置であって、
基地局は、第1の移動網識別子を報知し、
端末は、自らの契約に基づく第2の移動網識別子を含む登録要求を、基地局を介してコアネットワーク制御装置へ送信するものであり、
コアネットワーク制御装置は、登録要求に含まれる第2の移動網識別子が第1の移動網識別子と異なる場合に、端末に対する加入者情報要求を加入者サーバへ送信するものであり、
加入者サーバは、加入者情報要求に基づく当該端末用の加入者情報を一時的に生成して登録するものである
ことを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、端末と、基地局、コアネットワーク制御装置及び加入者サーバとを一体的に組み込み、当該端末の加入者情報を加入者サーバに登録する通信サービス装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
基地局は、第1の移動網識別子を報知し、
端末は、自らの契約に基づく第2の移動網識別子を含む登録要求を、基地局を介してコアネットワーク制御装置へ送信するものであり、
コアネットワーク制御装置は、登録要求に含まれる第2の移動網識別子が第1の移動網識別子と異なる場合に、端末に対する加入者情報要求を加入者サーバへ送信するものであり、
加入者サーバは、加入者情報要求に基づく当該端末用の加入者情報を一時的に生成して登録するものである
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の加入者情報登録方法、通信サービス装置及びプログラムによれば、加入者情報が未登録の端末であっても、加入者情報を自動的に登録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明におけるシステム構成図である。
図2】コアネットワーク制御装置としてMMEを適用した本発明のシーケンス図である。
図3図2に認証シーケンスを加えた本発明のシーケンス図である。
図4】コアネットワーク制御装置としてCSCFを適用した本発明のシーケンス図である。
図5図4に認証シーケンスを加えた本発明のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明におけるシステム構成図である。
【0031】
図1によれば、通信サービス装置1は、例えば空中で待機可能なヘリコプターや気球、又は、地上で移動可能な自動車に、搭載されている。通信サービス装置1は、広域ネットワークに対して断絶された通信孤立地域に配置される。また、本発明の通信サービス装置1は、ソフトウェア的に構築された既存のEPC及び/又はIMS全体を内在する。これによって、通信孤立地域でのみ使用される専用の通信事業設備を構築する必要がない。そして、通信サービス装置1は、加入者サーバに加入者情報を登録していない端末に対しても、一時的に通信サービスを提供する。
【0032】
図1によれば、通信サービス装置1は概念的に、以下の5つの機能に分類されている。
RAN(Radio Access Network)機能
EPC(Evolved Packet Core)機能
IMS(IP Multimedia Subsystem)機能
アプリケーションサーバ(Application Server)機能
加入者情報サーバ(Home Subscriber Server)機能
これら機能構成部は、通信サービス装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0033】
端末2は、ユーザ所持の既存の携帯電話機やスマートフォンのようなものである。
「RAN」は、多数の基地局としてのeNB(e-Node B)13によって構成され、例えばLTE方式に基づく無線を介して端末2と通信する。
「EPC」は、パケット・コアネットワークとして機能する。
「IMS」は、サービス・コアネットワークとして機能する。
【0034】
IMS内の「CSCF」は、eNB13を介して端末2との間でセッションを確立する。CSCF112は、一般に、P−CSCF(Proxy-CSCF)と、S−CSCF(Serving-CSCF)と、I−CSCF(Interrogate-CSCF)とから構成される。
P−CSCFは、セッション毎にメディア情報を抽出し、セッション確立時にゲートウェイに対するゲート制御及びリソース制御を指示する。
S−CSCFは、呼セッション制御のための中心的なSIPサーバであって、アプリケーションサーバの選択や、加入者サーバに対する認証処理を実行する。
I−CSCFは、着呼側CSCFを、加入者サーバ12によって解決する。
CSCF13は、端末2と、アプリケーションサーバ11及び加入者サーバ12との間に介在する。
【0035】
ここで、本発明の本質的部分となる登録要求の制御は、以下のいずれかで機能する。
EPCにおけるMME(Mobility Management Entity)
IMSにおけるCSCF(Call Session Control Function)
【0036】
本発明によれば、例えば広範囲の地域で自然災害等が発生した場合、端末2は、広域ネットワークへの接続が断絶された地域に設置された通信サービス装置1のみと通信する。そのために、新たに設置された通信サービス装置1の場合、内蔵される加入者サーバ12には、その範囲で通信可能な端末2に対する加入者情報が登録されていない。本発明によれば、このような場合であっても、端末2が登録要求を発信した際に、その端末2の加入者情報を自動的に登録することができる。
【0037】
図2は、コアネットワーク制御装置としてMMEを適用した本発明のシーケンス図である。
【0038】
eNB13(基地局)は、第1の移動網識別子としてPLMN-ID(Public Land Mobile Network-IDentifier)-MNO1を報知するものであるとする。
一方で、端末2は、第2の移動網識別子PLMN-ID-MNO2に基づく第2の事業者網と契約したものであるとする。
【0039】
MNO(Mobile Network Operator)は、通信事業者を識別する。加入者サーバ12は、通常、通信事業者毎に運用管理されており、自社の加入者サーバが、他社のMMEやCSCFと接続されることによって、例えば他社間のローミングを実現することができる。
【0040】
端末2は、PLMN-ID-MNO2を受信した基地局へ登録要求を送信する場合、第2の事業者によって運用される加入者サーバには、その端末2の加入者情報は既に登録されている。
ここで、端末2が、PLMN-ID-MNO2を発見できない場合がある。端末2が、例えばeNB13から報知されるPLMN-ID-MNO1しか発見できない場合、そのeNB13へ登録要求を送信しても、その第1の事業者によって運用される加入者サーバには、通常、その端末2の加入者情報は登録されていない。
【0041】
コアネットワーク制御装置11は、一時的な加入者候補として1つ以上の移動網識別子を登録した「加入者候補リスト」を予め保持する。加入者候補リストを設定することによって、一時的な加入者情報を生成すべき端末を選択することができる。その上で、加入者情報を新たに登録するために、例えば以下のような3つのパターンがある。
【0042】
<加入者情報登録の第1のパターン>
全ての端末の加入者情報を、加入者サーバ12に登録する。
加入者候補リスト :PLMN-ID-ALL(全ての移動網識別子を対象とする)
第1の移動網識別子 :PLMN-ID-MNO99(実在しない非常用移動網識別子)
<加入者情報登録の第2のパターン>
基地局を運用する自らの事業者網以外の他の事業者網と契約した端末に対して、その端末の加入者情報を加入者サーバ12に新たに登録する。
加入者候補リスト :PLMN-ID-ALL(全ての移動網識別子を対象とする)
第1の移動網識別子 :PLMN-ID-MNO1
<加入者情報登録の第3のパターン>
基地局を運用する自らの事業者網以外の他の事業者網と契約した端末であって、加入者候補リストに登録された事業者網と契約した端末に対してのみ、その端末の加入者情報を加入者サーバ12に新たに登録する。
加入者候補リスト :PLMN-ID-MNO1, PLMN-ID-MNO3
第1の移動網識別子 :PLMN-ID-MNO1
【0043】
[S1:第1のステップ]
eNB13は、第1の移動網識別子としてPLMN-ID-MNO1を、端末2へ向けて報知する。
但し、全ての端末の加入者情報を、加入者サーバ12に登録する場合、第1の移動網識別子としてPLMN-ID-MNO99を報知するものであってもよい。
【0044】
[S2:第2のステップ]
(S21)端末2は、自ら契約したPLMN-ID-MNO2(第2の移動網識別子)を報知するeNB13を発見できない場合に、第1の移動網識別子を報知するeNB13との間で、無線コネクション(RRC Connection)を確立する。このとき、端末は、要求種別を示すため、パラメータEstablishmentCauseにhighPriorityAccessやemergencyを含める。
一方で、端末2は、自ら契約したPLMN-ID-MNO2を報知するeNB13を発見できた場合、通常シーケンスに基づく。
【0045】
(S22)端末2は、第1の移動網識別子を報知するeNB13へ向けて、第2の移動網識別子を含む登録要求を送信する。EPCに基づく登録要求は、NAS:Attach Requestである。端末2は、Attach Requestのパラメータに、以下の情報を含めることも好ましい。
(パラメータ) (情報)
EPS mobile identity -> IMSI
UE network capability -> 端末能力情報
Voice domain preference and UE's usage setting -> 端末設定情報
ここで、具体的には、EPS mobile identityのIMSIに含まれるMCC(Mobile Country Code)/MNC((Mobile Network Code)が第2の移動網識別子に相当する。
そして、登録要求を受信したeNB13は、その登録要求をS1AP:INITIAL UE MESSAGEに含めてMME111(コアネットワーク制御装置)へ転送する。ここでeNB13は、INITIAL UE MESSAGEのパラメータに、以下の情報にRRC ConnectionのパラメータEstablishmentCauseの値を含める。
(パラメータ) (情報)
RRC Establishment Cause -> 要求種別
災害時の利用では要求が集中する一方で、システム全体として収容能力に限界がある。その場合、優先加入者からの発信や緊急通報だけに制限するために、要求種別を備えている。
【0046】
[S3:第3のステップ]
(S31)MME111は、登録要求に含まれる第2の移動網識別子が、第1の移動網識別子と異なるか否かを判定する。具体的には、MME111は、EPS mobile identityのIMSIに含まれるMCC/MNCと、第1の移動網識別子とを比較する。
両方の移動網識別子が一致している場合には、本発明の対象外として、通常シーケンスを実行する。
【0047】
MME11は、更に、登録要求に含まれる第2の移動網識別子が加入者候補リストに含まれている場合にのみ、当該端末の加入者情報を登録対象とする。具体的には、MME111は、EPS mobile identityのIMSIに含まれるMCC/MNCと、加入者候補リストとを比較する。
【0048】
ここでは、前述した3つのパターン毎に、その判定について説明する。
<加入者情報登録の第1のパターン>
第1の移動網識別子PLMN-ID-MNO99に対し、加入者候補リストPLMN-ID-ALLである。そのために、端末2を含めてどのような端末でも、加入者情報の登録対象となる。
<加入者情報登録の第2のパターン>
第1の移動網識別子PLMN-ID-MNO1に対し、加入者候補リストPLMN-ID-ALLである。そのために、端末2が、移動網識別子PLMN-ID- MNO2を含む登録要求を送信した場合であっても、加入者情報の登録対象となる。
<加入者情報登録の第3のパターン>
ここでは、第1の移動網識別子PLMN-ID-MNO1に対して、加入者候補リストPLMN-ID-MNO1, PLMN-ID-MNO3である。
端末2が、PLMN-ID-MNO2を含む登録要求を送信した場合、当加入者候補リストPLMN-ID-MNO1, PLMN-ID-MNO3と一致せず、当該端末2の加入者情報は登録しない。
一方で、例えば、端末2が、PLMN-ID-MNO3に基づく事業者と契約しているものであれば、PLMN-ID-MNO3を含む登録要求を送信するため、当加入者候補リストPLMN-ID-MNO3と一致し、その端末2の加入者情報を加入者サーバ12に新たに登録する。
【0049】
(S32)MME111は、アクセス可能な端末候補として1つ以上の端末能力情報及び/又は要求種別を登録した「受容能力リスト」を更に有するものであってもよい。
この場合、MME111(コアネットワーク制御装置)は、更に、登録要求に含まれる端末能力情報及び/又は要求種別が受容能力リストに含まれている場合にのみ、当該端末の加入者情報を登録対象とする。
【0050】
即ち、MME111は、登録要求を送信してきた端末の端末能力情報及び/又は要求種別が、自網によって提供可能なサービスに対応した場合にのみ、アクセス許可と判定する。逆に、自網によって提供できない端末能力情報及び/又は要求種別の端末に対しては、アクセス規制と判定し、エラー応答を返信する。これによって、コアネットワークに対する負荷軽減にもつながる。
【0051】
MME111は、具体的には、UE network capabilityやVoice domain preference and UE's usage settingという端末能力情報及び/又は要求種別の一部又は全部を見て、自網が提供可能なサービスに対応した端末のみアクセス許可と判定する。
自網が提供可能なサービスが、VoIP (Voice over IP)で且つ要求種別が優先加入者又は緊急通報の場合、
・UE's usage settingがdata centric → アクセス規制
・UE's usage settingがvoice centric → Voice domain preferenceを見る。
−Voice domain preferenceが CS Voice only → アクセス規制
−Voice domain preferenceが PS Voice only → アクセス許可
−Voice domain preferenceがCS voice preferred,
IMS PS Voice as secondary → アクセス許可(CS登録は失敗させる)
−Voice domain preferenceがIMS PS voice preferred,
CS Voice as secondary → アクセス許可
上記のアクセス許可のケースに対して、
・RRC Establishment CauseがhighPriorityAccess又はemergency
→ アクセス許可
・RRC Establishment CauseがhighPriorityAccessとemergency以外
→ アクセス規制
【0052】
(S33)MME111は、加入者情報要求(S6a:ULR)を、加入者サーバ12へ送信する。パラメータVisited-PLMN-ID AVPに、専用移動網識別子を記述する(通常、MMEを管理する事業者の移動網識別子が記述される)。尚、専用移動網識別子は、非常用移動網識別子(例えばPLMN-ID-MNO99)として実在しない識別子であってもよい。
また、MME111は、登録要求のRRC Establishment Causeに、highPriorityAccess(優先加入者フラグ)が含まれている場合には、優先加入者であることを示すパラメータを、加入者情報要求に含める。
【0053】
[S4:第4のステップ]
(S41)加入者サーバ12は、Visited-PLMN-ID AVPに、専用移動網識別子が設定されていることを確認する。その上で、そのユーザの加入者情報が未登録であった場合に、当該端末の一時的な加入者情報を生成して登録する。
また、加入者サーバ12は、加入者情報要求に優先加入者であることを示すパラメータを確認した場合には、生成する一時的な加入者情報に優先加入者識別子を含める。
【0054】
(S42)加入者サーバ12は、加入者情報応答(S6a: ULA)を、MME111へ返信する。加入者情報応答には、生成した加入者情報も含められる。
(S43)MME111は、加入者情報応答に含まれる加入者情報を記憶する。そして、MME111は、登録成功応答(NAS: Attach accept)を、端末2へ返信する。
【0055】
図3は、認証シーケンスを含む本発明におけるシーケンス図である。
【0056】
端末2と加入者サーバ12との間で、事前に共通の認証鍵を保持していることとする。
また、図3によれば、図2のS1〜S32のシーケンスは同じである。
【0057】
(S33)図2によれば、MME111は、加入者情報要求(S6a:ULR)を、加入者サーバ12へ送信するのに対し、図3によれば、MME111は、認証情報要求(S6a: AIR)を、加入者サーバ12へ送信する。パラメータVisited-PLMN-ID AVPに、専用移動網識別子を記述する。
【0058】
(S41)加入者サーバ12は、認証情報要求に含まれるVisited-PLMN-ID AVPに専用移動網識別子が設定されていることを確認する。且つ、そのユーザの加入者情報が未登録であることを確認する。その場合、当該端末の加入者情報を一時的に生成して登録する。ここで、認証情報は、予め端末2との間で共有しているものを用いる。
【0059】
(S42)加入者サーバ12は、認証情報応答(S6a:AIA)を、MME111へ返信する。
【0060】
(S43)MME111は、認証パラメータを載せた認証要求(NAS: Authentication Request)を、eNB13を介して端末2へ送信する。
(S44)端末2は、認証計算を実行し、その結果を含む認証応答 (NAS: Authentication Response)を、eNB13を介してMME111へ返信する。
【0061】
(S45)MME111は、認証応答に含まれる認証結果が正当であれば、加入者サーバ12へ、加入者情報要求(S6a:ULR)を送信する。パラメータVisited-PLMN-ID AVPには、専用移動網識別子を記述する。尚、専用移動網識別子は、非常用移動網識別子(例えばPLMN-ID-MNO99)として実在しない識別子であってもよい。
【0062】
(S46)加入者サーバ12は、Visited-PLMN-ID AVPよって一時加入者ユーザと認識する。その上で、そのユーザの加入者情報が既に登録されていることも確認する。そして、加入者サーバ12は、加入者情報応答(S6a:ULA)を、MME111へ返信する。加入者情報応答には、生成した加入者情報も含める。
(S47)MME111は、加入者情報応答に含まれる加入者情報を記憶する。そして、MME111は、登録成功応答(NAS: Attach accept)を、eNB13を介して端末2へ送信する。
【0063】
図4は、コアネットワーク制御装置としてCSCFを適用した本発明のシーケンス図である。
【0064】
図4によれば、図2と比較して、コアネットワーク制御装置の機能を、MME111ではなく、CSCF112で実現しようとしたものである。基本的に、前述したMME111と同じシーケンスをCSCF112によって実現する。
尚、以下では、図2と比較して相違する点のみについて説明する。
【0065】
[S1:第1のステップ]
eNB13は、第1の移動網識別子を、端末2へ向けて報知する。
【0066】
[S2:第2のステップ]
(S21)端末2は、自ら契約したPLMN-ID-MNO2(第2の移動網識別子)を報知するeNB13を発見できない場合に、第1の移動網識別子を報知するeNB13との間で、無線コネクション(RRC Connection)を確立し、IMS向けのPDN(Packet Data Network)コネクションを確立する。
【0067】
(S22)端末2は、第1の移動網識別子を報知するeNB13へ向けて、第2の移動網識別子を含む登録要求を送信する。IMSに基づく登録要求は、SIP:REGISTERである。端末2は、SIP:REGISTERのパラメータに、以下の情報を含めることも好ましい。
(パラメータ) (情報)
Request-URI -> SIMに含まれる自網ID (home network domain name)
Authorizationヘッダ -> IMPI (IP Multimedia Private Identity)
FromヘッダやToヘッダ-> IMPU (IP Multimedia PUblic identity)
Contactヘッダ
ICSI (IMS Communication Service Identifier) -> 端末能力情報
Feature-tag -> 端末能力情報
ここでhome network domain nameやIMPIは以下の形式であることを想定し、<MCC>, <MNC>の組合せにより第2の移動網識別子を表す。
Home network domain name: ims.mnc<MNC>.mcc<MCC>.3gppnetwork.org
IMPI: <IMSI>@ims.mnc<MNC>.mcc<MCC>.3gppnetwork.org
そして、登録要求を受信したeNB13は、その登録情報を、GWを介してP-CSCFへ転送する。
【0068】
[S3:第3のステップ]
(S31)登録要求を受信したP-CSCFは、Request-URI に含まれるhome network domain name、又は、Authorizationヘッダに含まれるIMPIの第2の移動網識別子と、加入者候補リスト及び第1の移動網識別子とを比較する。
(S32)P-CSCFは、ContactヘッダのパラメータICSIやFeature-tagの端末能力情報及び/又は要求種別の一部又は全部と、受容能力リストとを比較して、自網が提供可能なサービスに対応した端末のみアクセス許可と判定する。
自網が提供可能なサービスがTelephonyサービスで且つ要求種別が優先加入者又は緊急通報の場合、
・ICSIにurn:urn-7:3gpp-service.ims.icsi.mmtelを含む → アクセス許可
・ICSIにurn:urn-7:3gpp-service.ims.icsi.mmtelを含まない → アクセス規制
上記のアクセス許可のケースに対して、
・端末のIPアドレスが優先加入者用のIPアドレスである → アクセス許可
・端末のIPアドレスが優先加入者用のIPアドレスでない → アクセス規制
又は、
・Contactヘッダにsosパラメータを含む → アクセス許可
・Contactヘッダにsosパラメータを含まない → アクセス規制
【0069】
次に、P-CSCFは、I-CSCFに対して登録要求(SIP: REGISTER)を送信する。ここで、パラメータP-Visited-Network-IDヘッダには、専用移動網識別子を記述する(通常、P-CSCFを管理する事業者の移動網識別子が記述される)。
パラメータP-Visited-Network-IDヘッダ -> 専用移動網識別子
またP-CSCFは、登録要求の端末のIPアドレスが優先加入者用のIPアドレスである場合には、優先加入者であることを示すSIPパラメータを登録要求に含める。
【0070】
(S33)次に、I-CSCFは、加入者サーバ12へ、ユーザ承認要求(Cx: UAR)を送信する。I-CSCFは、受信した登録要求のP-Visited-Network-IDヘッダに含まれる専用移動網識別子を、Cx:UARのVisited-Network-Identifier AVPに記述する。
Visited-Network-Identifier AVP -> 専用移動網識別子
また、I-CSCFは、登録要求に優先加入者であることを示すSIPパラメータが含まれている場合には、優先加入者であることを示すパラメータをユーザ承認要求に含める。
【0071】
[S4:第4のステップ]
(S41)ユーザ承認要求を受信した加入者サーバ12は、Visited-Network-Identifier AVPに専用移動網識別子が設定されていることを確認することによって一時加入者と認識する。そして、そのユーザのIMS加入者情報(Cx Service Profile)が未登録であった場合に、一時的なIMS加入者情報を生成して登録する。更に、加入者サーバ12は、一時的なAS加入者情報(Sh Data)も生成する。
また、加入者サーバ12は、ユーザ承認要求に優先加入者であることを示すパラメータを確認した場合には、生成する一時的な加入者情報に優先加入者識別子を含める。
【0072】
(S42)加入者サーバ12は、I-CSCFにユーザ承認応答(Cx: UAA)を返信する。
I-CSCFは、UAAに含まれるサーバ情報に基づいて、S-CSCFを決定する。そして、I-CSCFは、そのS-CSCFへ、登録要求(SIP: REGISTER)を転送する。P-Visited-Network-IDヘッダをそのまま載せる。
【0073】
(S43)S-CSCFは、加入者サーバ12へ、加入者情報要求 (Cx: SAR)を送信する。
これに対し、加入者サーバ12は、一時的なIMS加入者情報を含む加入者情報応答 (Cx:SAA)を、S-CSCFへ返信する。
S-CSCFは、受信した一時的なIMS加入者情報を記憶する。
【0074】
(S44)そして、S-CSCFは、端末2に対して、登録成功応答 (SIP: 200)を返信する。
【0075】
(S45)S-CSCFは、3rd Party登録のための登録要求(SIP: REGISTER)を、アプリケーションサーバ14へ送信する。このとき、受信したP-Visited-Network-IDヘッダをそのまま載せる。
また、S-CSCFは、S42で受信した登録要求に優先加入者であることを示すSIPパラメータが含まれること、又は、S43で記憶した一時的なIMS加入者情報に優先加入者識別子が含まれることを確認した場合には、優先加入者であることを示すSIPパラメータを登録要求に含める。
【0076】
(S46)アプリケーションサーバ14は、加入者サーバ12へ、AS加入者情報の必要情報を取得するため加入者情報要求(Sh:UDR)を送信する。必要情報の例としては、Sh:UDRの信号パラメータData-Reference AVPにIMSPublicIdentity (10)を設定するID情報と、RepositoryData (0)を設定するサービス情報とがある。IMSPublicIdentity等は、加入者サーバが生成することができるが、RepositoryData等は加入者サーバがその中身を見ることができないAS加入者情報であるため、ASが過去に生成していない場合には当該AS加入者情報は存在しない。
加入者サーバ12は、Data-Reference AVPで指定されたAS加入者情報が生成されていない場合はASに加入者情報なしのエラー応答 (Sh: UDA)を送信する。
【0077】
(S47)アプリケーションサーバ14は、P-Visited-Network-IDヘッダをチェックして一時加入者であることを確認する。そして、アプリケーションサーバ14は、新たに一時的なAS加入者情報を生成する。
また、アプリケーションサーバ14は、S44の登録要求に優先加入者であることを示すSIPパラメータを確認した場合には、一時的なAS加入者情報に優先加入者識別子を含める。
【0078】
(S48)アプリケーションサーバ14は、生成したAS加入者情報を含む加入者情報更新 (Sh: PUR)を、加入者サーバ12へ送信する。Data-Reference AVPで種別を指定し、User-Data AVPにその内容を指定する。
加入者サーバ12は、指定されたAS加入者情報を更新した後に、加入者情報更新応答 (Sh: PUA)をアプリケーションサーバ14へ返信する。
【0079】
(S49)そして、アプリケーションサーバ14は、S-CSCFへ、登録成功応答 (SIP: 200) を返信する。
【0080】
図5は、図4に認証シーケンスを加えた本発明のシーケンス図である。
【0081】
図5によれば、図4におけるS42及びS43の間で、認証シーケンスを実行する点のみが相違する。
(S421)S-CSCFは、加入者サーバ12へ、認証要求(Cx: MAR)を送信する。
これに対し、加入者サーバ12は、一時的なIMS加入者情報から認証情報を取得し、認証応答 (Cx: MAA)を返信する。
(S422)次に、S-CSCFは、認証情報を含む認証要求 (SIP: 401)を、端末2へ送信する。
これに対し、端末2は、認証計算結果を含む認証応答 (SIP: REGISTER)を、IMSへ送信する。
【0082】
前述した実施形態によれば、EPC/IMSネットワークについて説明したが、コアネットワーク制御装置としては、MMEやCSCFに限るものでなく、加入者サーバと通信
可能な他のサーバであってもよい。勿論、既存の3G (Third Generation)移動通信システムに適用することもできるし、将来的な移動通信システム(例えば5G移動通信システム等)に適用することもできる。
【0083】
以上、詳細に説明したように、本発明の加入者情報登録方法、通信サービス装置及びプログラムによれば、加入者情報が未登録の端末であっても、加入者情報を自動的に登録することができる。
本発明によれば、自然災害が発生した地域や、広域ネットワークとの通信が遮断された特定のイベント会場で、そこに滞在するユーザに通信サービスを提供することができる。また、例えば自然災害が発生した場合に、通信事業設備が未復旧の他事業者のユーザの通信を救済するために、通信事業設備が復旧済の事業者が、一時的に当該ユーザへ通信サービスを提供することもできる。
【0084】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0085】
1 通信サービス装置
11 コアネットワーク制御装置
111 MME
112 CSCF
12 加入者サーバ
13 eNB
14 アプリケーションサーバ
2 端末
図1
図2
図3
図4
図5