【実施例】
【0036】
図1に示すように、冷温水システム10は、第1ヒートポンプ回路30を内蔵し地中熱などの熱源を利用するヒートポンプ装置11と、第2ヒートポンプ回路50を内蔵し大気熱を利用する空気熱ヒートポンプ装置40と、ファンコイル等の室内端末70と、これらを結ぶ管路群とからなる。
【0037】
熱源は、地熱の他、河川の水、海水、井戸水、貯水などが利用可能であり、種類は問わない。
【0038】
ヒートポンプ装置11の例えば左の側板12に、熱源往き接続口13と熱源戻り接続口14と冷温水往き接続口15と冷温水戻り接続口16が、まとめて設けられている。
冷温水往き接続口15から筐体17内へ第1内部管路21が延びており、冷温水戻り接続口16から筐体17内へ第2内部管路22が延びており、熱源戻り接続口14から筐体17内へ第3内部管路23が延びており、熱源往き接続口13から筐体17内へ第4内部管路24が延びている。第4内部管路24が熱源へ向かう管路であり、第3内部管路23が熱源から戻る管路となる。
【0039】
そして、熱源往き接続口13と熱源戻り接続口14とに、熱源中熱交換器25の一端及び他端が接続される。なお、熱源としての河川の水、海水、井戸水、貯水を汲み上げて利用する場合は、熱源中熱交換器25は省くことができる。また、一定温度の水を供給する冷水器を熱源として利用してもよい。この場合も熱源中熱交換器25は不要となる。
【0040】
第1ヒートポンプ回路30は、閉ループ状の第1冷媒配管31と、この第1冷媒配管31に介設される第1圧縮機32と、第1四方弁33、第1熱源側熱交換器34、第1膨張弁35及び第1負荷側熱交換器36とからなる。
【0041】
第1熱源側熱交換器34に第3内部管路23と第4内部管路24が接続され、第3内部管路23には熱源側循環ポンプ37と熱源側シスターン38とが設けられている。熱源側シスターン38は、循環液(不凍液、水など)を貯えるタンク又はリザーバーである。
【0042】
第1負荷側熱交換器36に第1内部管路21と第2内部管路22が接続され、第2内部管路22には負荷側循環ポンプ39と冷暖房用シスターン41とが設けられている。冷暖房用シスターン41は、循環液(不凍液、水など)を貯えるタンク又はリザーバーである。
【0043】
空気熱ヒートポンプ装置40は、第1接続口42と第2接続口43を備えている。内蔵する第2ヒートポンプ回路50は、閉ループ状の第2冷媒配管51と、この第2冷媒配管51に介設される第2圧縮機52、第2四方弁53、第2熱源側熱交換器54、第2膨張弁55及び第2負荷側熱交換器56とからなる。
【0044】
冷温水往き接続口15から第1管路57が延び、この第1管路57が第1接続口42に接続される。また、第2接続口43から第2管路58が延び、この第2管路58が往きヘッダー59に接続される。この往きヘッダー59から複数本の第3管路61が延びて室内端末70に接続される。
室内端末70から延びる第4管路62は戻りヘッダー63に接続される。戻りヘッダー63から延びる第5管路64は冷温水戻り接続口16に接続される。
【0045】
以上の構成からなる冷温水システム10において、冷房設定での冷温水システム10の作用を説明する。
冷房設定では、第1ヒートポンプ回路30の冷媒は、第1四方弁33の流路切り換え作用により、図面時計方向に第1冷媒配管31内を回される。
冷媒の保有熱は、第1熱源側熱交換器34で第3内部管路23から流入する循環液に与えられ、暖まった循環液は第4内部管路24を通って、熱源往き接続口13に向かう。
【0046】
一方、第1熱源側熱交換器34で冷やされた冷媒は、第1膨張弁35で断熱膨張され、さらに温度が下がる。低温の冷媒が第2内部管路22から流入する循環液を冷却する。冷やされた循環液は第1内部管路21から第1管路57を通って空気熱ヒートポンプ装置40に向かう。冷温水往き接続口15付近での温度t1は例えば17℃である。
【0047】
第2ヒートポンプ回路50も同様であり、第2熱源側熱交換器54で大気へ放熱しつつ、第2負荷側熱交換器56で第1管路57から流入する循環液を更に冷やす。冷やされた循環液は第2管路58、往きヘッダー59及び第3管路61を通って室内端末70に至り、室内端末70で冷気を室内へ放出する。放出により暖まった循環液は第4管路62、戻りヘッダー63及び第5管路64を通ってヒートポンプ装置11に戻る。冷温水戻り接続口16付近での温度t2は温度t1よりは高くなり、例えば19℃である。
【0048】
第1熱源側熱交換器34で暖められた循環液は、第4内部管路24、熱源往き接続口13を通って熱源中熱交換器25に至り、この熱源中熱交換器25を介して地中に熱を放出する。熱源往き接続口13付近での温度t4は、例えば25℃である。
この放出により低温になった循環液は、熱源戻り接続口14、第3内部管路23を通って第1熱源側熱交換器34に戻る。熱源戻り接続口14付近での温度t3は、温度t4よりも低くなり、例えば23℃である。
【0049】
暖房設定の場合は、第1・第2ヒートポンプ回路30、50において、冷媒を反時計方向に循環させる。よって、冷温水システム10は、冷房設定と暖房設定の何れもが可能となる。
【0050】
以上に述べたヒートポンプ装置11の具体的構成、特に、熱源往き接続口13と熱源戻り接続口14と冷温水往き接続口15と冷温水戻り接続口16の配置について詳しく説明する。
図2に示すように、ヒートポンプ装置11は、筐体17の左の側板12に、熱源往き接続口13と熱源戻り接続口14と冷温水往き接続口15と冷温水戻り接続口16とをまとめて備えている。筐体17は、底板66と、この底板66から上に延びる4つの側板(左の側板12、右の側板67、前面側板68及びこの前面側板68の後ろに配置される後面側板(
図4、符号69))と、天板71とからなる六面体(ボックス)である。
【0051】
図3に示すように、左の側板12に設けられる熱源往き接続口13と熱源戻り接続口14とは左右に並べられている。これらの熱源往き接続口13と熱源戻り接続口14の上方に冷温水戻り接続口16が配置され、この冷温水戻り接続口16の上方に冷温水往き接続口15が配置されている。
4つの接続口13〜16が左の側板12に集約されているため、接続配管工事が効率よく行える。4つの接続口13〜16が、上下左右に適度に離れているため、配管の接続が容易になる。よって、配管工事時間を短縮することができる。
【0052】
図4は、
図2の3−3線断面図、すなわち、筐体17の内部から見た図であり、底板66と、前面側板68と、後面側板69と、左の側板12などで囲われた略密閉空間に、熱源往き接続口13と熱源戻り接続口14と冷温水往き接続口15と冷温水戻り接続口16とが配置されている。図中に示すt1〜t4は温度であって、t1<t2<t3<t4の関係にあり、例えばt1は17℃、t2は19℃、t3は23℃、t4は25℃である。
【0053】
下位の熱源往き接続口13及び熱源戻り接続口14は、同一高さ(ほぼ同じ高さを含む。)に左右に配置されている。
そして、熱源往き接続口13の外側面に接する第1垂線72と、熱源戻り接続口14の外側面に接する第2垂線73とで規定される範囲を、左右幅Wとした場合に、好ましくは冷温水往き接続口15は、左右幅Wの範囲に配置する。その理由を
図5で説明する。
【0054】
図5に示すように、最も低温の冷温水往き接続口15で冷却された空気は、重くなり下降流となって底板66へ向かう。一方、最も高温である熱源往き接続口13と次に高温である熱源戻り接続口14の付近には、暖気帯74ができる。
熱源往き接続口13と熱源戻り接続口14が左右に並んでいるため、暖気帯74は横長になる。この横長の暖気帯74で下降流が暖められ、軽くなる。結果、上昇流に変化する。
【0055】
冷温水戻り接続口16も比較的低温であるが、冷温水往き接続口15よりは温度が高いため、下降流は弱い。そのため、冷温水戻り接続口16が左右幅Wから外れていても、暖気帯74で暖められる。
このようにして、冷たい下降流が底板66に到達しないため、底板66が冷やされることはなく、底板66の下面に結露が発生する心配もない。
よって、底板66の上に断熱材を敷くことなく、結露対策を講じることができた。
【0056】
なお、ヒートポンプ装置11の能力が小さくて、温度t1が17℃よりも十分に高い場合には、冷温水往き接続口15も冷温水戻り接続口16と同様に、左右幅Wの外に配置することができる。すなわち、下位に熱源往き接続口13と熱源戻り接続口14を配置し、上位に冷温水往き接続口15や冷温水戻り接続口16を配置することで、結露の発生を防止することができる。
【0057】
一方、ヒートポンプ装置11の能力が大きくて、温度t1が17℃よりも遙かに低い場合には、強い下降流が暖気帯74を貫通する心配があるため、冷温水往き接続口15の真下(ほぼ真下を含む。)に、最も温度の高い熱源往き接続口13を配置することが推奨される。
【0058】
すなわち、
図5に示すように、平面視で(上から見て)、冷温水往き接続口15と下位の熱源往き接続口13が、全部又は少なくとも一部が重なるようにする。重なり代δは、大きいほどよく、冷温水往き接続口15又は熱源往き接続口13の外径の1/4以上、好ましくは1/2以上にする。
これにより、強い下降流が直接熱源往き接続口13に当たって弱められ、その上で熱源往き接続口13で暖められる。
【0059】
なお、冷温水往き接続口15の真下に、熱源戻り接続口14を配置することでも、作用効果は期待できる。すなわち、冷温水往き接続口15の真下に、熱源往き接続口13の代わりに熱源戻り接続口14を配置してもよい。
【0060】
また、
図1にて、熱源戻り接続口14から筐体17内へ延びる下位の第3内部管路23や熱源往き接続口13から筐体17内へ延びる下位の第4内部管路24は比較的高温であるため、これらも暖気帯を形成する。上位の第1内部管路21や第2内部管路22は低温であって、これらが発生する冷気は、下降流となって底板(
図4、符号66)に向かうが、暖気帯で阻止され、底板66に到達することはない。よって、底板66下面で結露が発生する心配はない。
【0061】
尚、熱源往き接続口13と熱源戻り接続口14と冷温水往き接続口15と冷温水戻り接続口16は、左の側板12にまとめて設ける他、別の側板(右の側板67、前面側板68又は後面側板69)の一つにまとめて設けてもよい。
【0062】
また、本発明のヒートポンプ装置11は、空気熱ヒートポンプ装置40と組み合わせて使用するほか、単独で使用することは差し支えない。この場合、冷温水システム10は、ヒートポンプ装置11と、熱源中熱交換器25と、室内端末70と、管路群とで構成される。