(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記合流位置で前記第1作動油路及び前記第2作動油路の回路圧を第1設定圧力に設定するリリーフ弁であって、前記独立位置で前記第1作動油路の回路圧を前記第1設定圧力よりも高い第2設定圧力に設定変更可能な第1リリーフ弁と、
前記独立位置で前記第2作動油路の回路圧を前記第2設定圧力と同じ設定圧力に設定するリリーフ弁であって、合流位置では前記第2作動油路の回路圧の前記設定を解除する第2リリーフ弁と、
を備えている請求項1〜5のいずれか1項に記載の作業機の油圧システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る作業機の好適な実施形態について、適宜図面を参照しつつ説明する。
図8は、本実施形態に係る作業機1の全体構成を示す概略側面図である。本実施形態では、作業機1として旋回作業機であるバックホーが例示されている。
<作業機の全体構成>
先ず、作業機1の全体構成を説明する。
【0012】
図8に示すように、作業機1は、機体(旋回台)2と、走行装置3と、作業装置4とを有している。機体2上にはキャビン5が搭載されている。キャビン5内には運転席6が設けられている。
本発明の実施形態において、作業機1の運転席6に着座した運転者の前側(
図8の左側)を前方、運転者の後側(
図8の右側)を後方、運転者の左側(
図8の手前側)を左方、運転者の右側(
図8の奥側)を右方として説明する。また、前後方向K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。
【0013】
図8に示すように、走行装置3は、該走行装置3のフレームの左側に設けられた第1走行装置3Lと、フレームの右側に設けられた第2走行装置3Rとを有する。言い換えると、第1走行装置3Lは、機体2の下部の左側に設けられている。第2走行装置3Rは、機体2の下部の右側に設けられている。第1走行装置3L及び第2走行装置3Rは、本実施形態では、クローラ式走行装置から構成されている。第1走行装置3Lは、第1走行モータM1で駆動される。第2走行装置3Rは、第1走行モータM1とは異なる第2走行モータM2で駆動される。第1走行モータM1及び第2走行モータM2は油圧モータ(油圧アクチュエータ)によって構成されている。
【0014】
走行装置3の前部には、ドーザ装置7が装着されている。ドーザ装置7は、ドーザシリンダC1を伸縮することにより昇降(ブレードを上げ下げ)させることができる。
機体2は、走行装置3のフレーム上に旋回ベアリング8を介して縦軸(上下方向に延伸する軸心)回りに旋回自在に支持されている。機体2は、油圧モータ(油圧アクチュエータ)からなる旋回モータM3によって旋回駆動される。機体2は、縦軸回りに旋回する基板(以下、旋回基板という)9と、ウエイト10とを有している。旋回基板9は、鋼板等から形成されており、旋回ベアリング8に連結されている。ウエイト10は、機体2の後部に設けられている。機体2の後部には、エンジンE1が搭載されている。
【0015】
機体2は、機体幅方向中央のやや右寄りの前部に支持ブラケット13を有している。支持ブラケット13には、スイングブラケット14が、縦軸回りに揺動自在に取り付けられている。スイングブラケット14には、作業装置4が取り付けられている。
図8に示すように、作業装置4は、ブーム15と、アーム16と、バケット(作業具)17とを有している。ブーム15の基部は、スイングブラケット14に横軸(機体幅方向の軸心)回りに回動自在に枢着されている。これによって、ブーム15が上下に揺動自在とされている。アーム16は、ブーム15の先端側に横軸回りに回動自在に枢着されている。これによって、アーム16が前後或いは上下に揺動自在とされている。バケット17は、アーム16の先端側にスクイ動作及びダンプ動作可能に設けられている。作業機1は、バケット17に代えて或いは加えて、油圧アクチュエータにより駆動可能な他の作業具(油圧アタッチメント)を装着することが可能である。他の作業具としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等が例示できる。
【0016】
スイングブラケット14は、機体2内に備えられたスイングシリンダC2の伸縮によって揺動自在とされている。ブーム15は、ブームシリンダC3の伸縮によって揺動自在とされている。アーム16は、アームシリンダC4の伸縮によって揺動自在とされている。バケット17は、バケットシリンダ(作業具シリンダ)C5の伸縮によってスクイ動作及びダンプ動作自在とされている。ドーザシリンダC1、スイングシリンダC2、ブームシリンダC3、アームシリンダC4、バケットシリンダC5は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成されている。
【0017】
なお、ブーム15は、ツーピース仕様としてもよい。ツーピース仕様とは、ブーム15を前ブームと後ブームの2部材で構成し、前ブームと後ブームの連結部で折り曲げ可能とした仕様である。ツーピース仕様の場合は、ブームシリンダC3とは別に、ブーム15を前記連結部で折り曲げる動作を行うための第2ブームシリンダが追加で装着される。
<油圧システム>
次に、
図1〜
図7を参照して作業機1に装備された各種油圧アクチュエータM1〜3,C1〜5及び別途装備される油圧アクチュエータを作動させるための油圧システム(作業機の油圧システム)について説明する。
【0018】
図1に示すように、油圧システムは、コントロールバルブCV1と、圧油供給ユニットSU1と、油圧用の油を貯留するタンクT1とを有する。タンクT1内に貯留された作動油は、油圧アクチュエータを駆動したり、制御用として用いられたり、信号用として用いられる。説明の便宜上、制御用又は信号用に用いられる作動油のことを「パイロット油」、パイロット油の圧力のことを「パイロット圧」という。また、作動油のことを「圧油」ということがある。
油圧システムは、ロードセンシングシステムが採用されている。
【0019】
ロードセンシングシステムは、作業機1に装備された油圧アクチュエータM1〜3,C1〜5の複数を同時操作したとき、該油圧アクチュエータM1〜3,C1〜5間の負荷の調整として機能し(負荷の調整として後述する圧力補償弁E1〜11が機能し)、低負荷圧側の制御弁V1〜11に最高負荷圧との差圧分の圧力損失を発生させ、負荷の大きさによらず、制御弁V1〜11を操作する操作量に応じた流量を操作された制御弁V1〜11に流す(配分する)ことができるシステムである。
【0020】
また、ロードセンシングシステムは、作業機1に装備された各油圧アクチュエータM1〜3,C1〜5の負荷圧に応じて後述する第1ポンプ27から吐出される作動油の吐出量を制御(ロードセンシング制御)して、負荷に必要とされる油圧動力を第1ポンプ27から吐出させることにより、動力の節約と操作性を向上することができるシステムである。<コントロールバルブ概要>
コントロールバルブCV1は、複数の制御弁V1〜V11、複数のエンドブロックB1,B2、複数のバルブブロックB3,B4を一方向に並べて配置して集約したバルブユニットである。また、コントロールバルブCV1は、バルブブロックB4に設けられたバルブブロックB5を有する。
【0021】
制御弁V1〜V11、エンドブロックB1、バルブブロックB3,B4は、
図1において、右から、制御弁V1、制御弁V2、バルブブロックB3、バルブブロックB4、制御弁V3、制御弁V4、制御弁V5、制御弁V6、制御弁V7、制御弁V8、制御弁V9、制御弁V10、制御弁V11、エンドブロックB2の順で配置されて相互に接合されている。
【0022】
複数の制御弁V1〜V11は、作業機1に装備された各種油圧アクチュエータM1〜M3,C1〜C5及び別途装備される油圧アクチュエータを作動させるためのバルブである。
制御弁V1は、ドーザシリンダC1を制御する第1ドーザ弁である。制御弁V2は、第1走行モータM1を制御する第1走行弁である。制御弁V3は、第2走行モータM2を制御する第2走行弁である。制御弁V4は、ドーザシリンダC1を制御するバルブであって、制御弁V1とは異なる第2ドーザ弁である。制御弁V5は、別途装着される油圧アタッチメントを制御する第1予備弁である。制御弁V6は、アームシリンダC4を制御するアーム弁である。制御弁V7は、バケットシリンダC5を制御するバケット弁(作業具弁)である。制御弁V8は、ブームシリンダC3を制御するブーム弁である。制御弁V9は、旋回モータM3を制御する旋回弁である。制御弁V10は、別途装着される油圧アタッチメントを制御するバルブであって、制御弁V5とは異なる第2予備弁である。制御弁V11は、スイングシリンダC2を制御するスイング弁である。
【0023】
制御弁V1と制御弁V2とは、第1制御弁を構成する。即ち、第1制御弁は、油圧アクチュエータ(ドーザシリンダC1、第1走行モータM1)を制御するバルブである。また、第1制御弁は、少なくとも第1走行弁V2を含み、本実施形態では、第1ドーザ弁V1をも含む。
制御弁V3〜V11は、第2制御弁を構成する。即ち、第2制御弁は、油圧アクチュエータ(第2走行モータM2、ドーザシリンダC1、油圧アタッチメント、アームシリンダC4、バケットシリンダC5、ブームシリンダC3、旋回モータM3、スイングシリンダC2)を制御するバルブである。また、第2制御弁は、少なくとも第2走行弁V3を含み、本実施形態では、第2ドーザ弁V4、第1予備弁V5、アーム弁V6、バケット弁V7、ブーム弁V8、旋回弁V9、第2予備弁V10、スイング弁V11をも含む。
【0024】
なお、第1予備弁V5、アーム弁V6、バケット弁V7、ブーム弁V8、旋回弁V9、第2予備弁V10、スイング弁V11は、第1制御弁及び第2制御弁のいずれかに設けられていればよい。
コントロールバルブCV1は、入力ポート18〜22、出力ポート23,24を有する。入力ポート18及び入力ポート19は、後述の第1ポンプ27から吐出された作動油が入力されるポートであって、バルブブロックB5に設けられている。入力ポート20は、エンドブロックB1に設けられている。入力ポート21は、エンドブロックB2に設けられている。入力ポート22は、バルブブロックB4に設けられている。出力ポート23及び出力ポート24は、バルブブロックB3に設けられている。出力ポート23は、各種油圧アクチュエータM1〜3,C1〜5の内の最高負荷圧であるPLS信号圧(PLS:Pressure of Load Sensing)を出力するポートである。出力ポート24は、第1ポンプ27の吐出圧であるPPS信号圧(PPS:Pressure of Pump Sensing)を出力するポートである。
<圧油供給ユニット>
圧油供給ユニットSU1は、ユニットボディ26と、第1ポンプ27と、第2ポンプ28と、制御部29とを有する。第1ポンプ27、第2ポンプ28、制御部29はユニットボディ26内に組み込まれている。
【0025】
第1ポンプ27は、タンクT1内の油を吸引して、各種油圧アクチュエータM1〜M3,C1〜C5を作動させる作動油を吐出する(作動油を供給する)油圧ポンプである。第2ポンプ28は、パイロット油を吐出する油圧ポンプである。第1ポンプ27と第2ポンプ28は、エンジンE1によって駆動される。
第1ポンプ27は、独立した2つの吐出ポートから等しい量の圧油(作動油)を吐出する等流量ダブルポンプの機能を有する油圧ポンプであって、吐出容量を可変できる斜板形可変容量アキシャルポンプで構成されている。詳しくは、第1ポンプ27は、1つのピストン・シリンダバレルキットからバルブプレートの内外に形成した吐出溝へ交互に圧油を吐き出す機構をもったスプリットフロー式の油圧ポンプが採用されている。
【0026】
この第1ポンプ27から作動油が吐出される2つの吐出ポートのうち、一方の吐出ポートを第1ポンプポートP1といい、他方の吐出ポートを第2ポンプポートP2という。なお、第1ポンプ27を独立した2つの油圧ポンプによって構成してもよい。この場合、2つの油圧ポンプの内の一方の油圧ポンプの吐出ポートが第1ポンプポートであり、他方の油圧ポンプの吐出ポートを第2ポンプポートである。
【0027】
第2ポンプ28は、定容量形のギヤポンプによって構成されている。第2ポンプ28は、タンクT1内の油を吸引して、パイロット油を吐出する油圧ポンプである。
ユニットボディ26には、出力ポート30〜32、入力ポート33〜35が設けられている。出力ポート30は、第1ポンプポートP1から吐出される作動油を出力する。この出力ポート30は、入力ポート18に供給油路36を介して接続されている。出力ポート31は、第2ポンプポートP2から吐出される作動油を出力する。出力ポート31は、供給油路37を介して入力ポート19に接続されている。出力ポート32は、第2ポンプ28から吐出される作動油を出力する。この出力ポート32は、供給油路38、供給油路39を介して入力ポート20に接続されている。また、出力ポート32は、供給油路38、供給油路40、供給油路41を介して入力ポート21に接続されている。また、出力ポート32は、供給油路38、供給油路39、供給油路58を介して入力ポート22に接続されている。また、出力ポート32は、供給油路38、供給油路40、供給油路42を介して入力ポート35に接続されている。入力ポート33は、信号油路(PPS信号油路)47を介して出力ポート24に接続されている。即ち、入力ポート33にPPS信号圧が入力される。入力ポート34は、信号油路(PLS信号油路)48を介して出力ポート23に接続されている。即ち、入力ポート34にPLS信号圧が入力される。
【0028】
制御部29は、第1ポンプ27から吐出される作動油の流量を制御する装置である。言い換えると、流量制御部29は、第1ポンプ27の斜板制御を行う装置である。
制御部29は、第1ポンプ27の斜板を押圧する押圧装置43と、第1ポンプ27の斜板を制御する流量補償用の斜板制御装置44とを有する。第1ポンプ27は、該第1ポンプ27の自己圧によって押圧装置43を介して斜板がポンプ流量を増加する方向に押圧されるよう構成されている。また、この押圧装置43の押圧力に対抗する力を斜板制御装置44によって斜板に作用させるように構成されている。この斜板制御装置44に作用する圧力を制御することにより、該第1ポンプ27の吐出流量が制御される。
【0029】
制御ピストン44に作用する圧力が抜けると、第1ポンプ27は、斜板角がMAXとなって最大流量を吐出する。
また、制御部29は、流量補償用の制御弁V12を有する。この制御弁V12によって斜板制御装置44に作用する圧力を制御することにより、第1ポンプ27の斜板制御が行われる。
【0030】
制御弁V12のスプールの一側に、油路49を介して入力ポート33が接続されている。即ち、制御弁V12のスプールの一端側に第1ポンプ27の吐出圧(PPS信号圧)が作用する。また、制御弁V12のスプールの他側に、油路50を介して入力ポート34が接続されている。即ち、制御弁V12のスプールの他端側に油圧アクチュエータの最高負荷圧(PLS信号圧)が作用する。また、制御弁V12のスプールの他端側には、該制御弁V12に制御差圧を与えるバネ51と差圧シリンダ52とが設けられている。
【0031】
制御弁V12は、PLS信号圧及びPPS信号圧に基づいて斜板制御装置43を制御する。斜板制御装置43は、PPS信号圧とPLS信号圧との圧力差が制御差圧となるように(PPS信号圧とPLS信号圧との差を設定値に維持するように)第1ポンプ27の吐出流量(吐出圧)を自動制御(ロードセンシング制御)する。
即ち、油圧システム(ロードセンシングシステム)は、第1ポンプ27(第1ポンプポートP1又は第2ポンプポートP2)の吐出圧と油圧アクチュエータの負荷圧に基づいて第1ポンプポートP1及び第2ポンプポートP2から吐出する作動油の流量を制御する制御部29を有する。
【0032】
また、制御部29には、第1ポンプ27のポンプ馬力(トルク)制御用のバネ45とスプール46とが設けられている。このバネ45とスプール46とによって、第1ポンプ27の吐出圧が、予め設定していた圧力になると、第1ポンプ27がエンジンE1から吸収する馬力(トルク)を制限するよう構成されている。
次にコントロールバルブCV1の詳細を説明する。
【0033】
図2〜
図4に示すように、各制御弁V1〜V11は、バルブボディ内に方向切換弁D1〜D11と圧力補償弁E1〜E11とを組み込んでいる。
方向切換弁D1〜D11は、制御対象となる油圧アクチュエータM1〜M3,C1〜C5に対して圧油の方向を切り換えるバルブである。方向切換弁D1〜D11は、直動スプール形の3位置切換弁である。また、方向切換弁D1〜D11は、パイロット圧(パイロット油)によって切換操作されるパイロット(操作)切換弁である。方向切換弁D1〜D11のスプールは、制御弁V1〜V11のメインスプールを構成している。したがって、制御弁V1〜V11は、パイロット圧によって切換操作されるパイロット(操作)切換弁と言える。また、方向切換弁D1〜D11は、当該方向切換弁D1〜D11を操作する操作装置の操作量に比例してスプールが動かされる。そして、該スプールの動かされた量に比例する量の圧油を制御対象の油圧アクチュエータM1〜M3,C1〜C5に供給するように構成されている(各操作装置の操作量に比例して操作対象の油圧アクチュエータM1〜M3,C1〜C5の作動速度が変速可能とされている)。
【0034】
圧力補償弁E1〜11は、方向切換弁D1〜D11に対する圧油供給下流側で且つ制御対象となる油圧アクチュエータM1〜M3,C1〜C5に対する圧油供給上流側に配備されている。即ち、本実施形態のロードセンシングシステムは、圧力補償弁E1〜E11が方向切換弁D1〜D11に対する圧油供給下流側に配備されたアフターオリフィス型のロードセンシングシステムが採用されている。
【0035】
圧力補償弁E1〜E11は、油圧アクチュエータM1〜M3,C1〜C5の複数を同時操作したとき、該油圧アクチュエータM1〜M3,C1〜C5間の負荷の調整として機能し、低負荷圧側の制御弁V1〜V11に最高負荷圧との差圧分の圧力損失を発生させ、負荷の大きさによらず、方向切換弁D1〜D11のスプールの操作量に応じた流量を流す(配分する)ことができる。
<ドーザ弁のパイロット油路のエア抜き回路>
図3に示すように、油圧システムは、ドーザ装置7を操作するリモコン弁(操作装置)56を備えている。このリモコン弁56は、ドーザレバー(操作部材)56Aを有する。また、リモコン弁56は、運転席6の近傍に設けられている。また、リモコン弁56は、ドーザレバー56Aを操作することにより、制御弁V1(第1ドーザ弁)と制御弁V4(第2ドーザ弁)とをパイロット操作するパイロット弁である。また、リモコン弁56は、ドーザレバー56Aを操作することによって、方向切換弁D1と方向切換弁D4とにパイロット油を同時に出力する。これによって、方向切換弁D1と方向切換弁D4とが同時に作動する(同時に操作される)。以下、説明の便宜上、方向切換弁D1のことを、「第1パイロット切換弁」といい、方向切換弁D4のことを「第2パイロット切換弁」ということがある。
【0036】
油圧システムは、リモコン弁56から制御弁V1(第1パイロット切換弁D1)、及び、制御弁V4(第2パイロット切換弁D4)に対してパイロット油を供給するパイロット回路53を有する。このパイロット回路53は、制御弁V1及び制御弁V4に対して、方向切換弁D1及び方向切換弁D4を切り換える切換指令用のパイロット油をリモコン弁56から供給する回路である。即ち、パイロット回路53は、リモコン弁56(操作装置)から第1パイロット切換弁D1及び第2パイロット切換弁D4に対して供給するパイロット油を流す作動油流路を構成している。
【0037】
パイロット回路53は、制御弁V1に対してパイロット油を供給する第1供給回路54と、制御弁V4に対してパイロット油を供給する第2供給回路55とを有する。第1供給回路54は、第1パイロット油路54Aと、第2パイロット油路54Bとを有する。第2供給回路55は、第3パイロット油路55Aと、第4パイロット油路55Bとを有する。
第1パイロット油路54Aは、一端がリモコン弁56に接続され、他端が方向切換弁D1の受圧部(第1受圧部)57Aに接続されている。第2パイロット油路54Bは、一端がリモコン弁56に接続され、他端が方向切換弁D1の受圧部(第2受圧部)57Bに接続されている。第3パイロット油路55Aは、一端が第1パイロット油路54Aに接続され、他端が方向切換弁D4の受圧部(第3受圧部)57Cに接続されている。第4パイロット油路55Bは、一端が第2パイロット油路54Bに接続され、他端が方向切換弁D4の受圧部(第4受圧部)57Dに接続されている。本実施形態では、第1供給回路54は、リモコン弁56(操作装置)から第1パイロット切換弁D1にパイロット油を供給する回路である。また、第2供給回路55は、第1供給回路54から第2パイロット切換弁D4にパイロット油を供給する回路である。なお、第1供給回路54がリモコン弁56から第2パイロット切換弁D4にパイロット油を供給する回路で、第2供給回路55が第1供給回路55から第1パイロット切換弁D1にパイロット油を供給する回路であってもよい。即ち、パイロット回路53は、操作装置56から第1パイロット切換弁D1又は第2パイロット切換弁D4の一方にパイロット油を供給する第1供給回路54と、第1供給回路54から第1パイロット切換弁D1又は第2パイロット切換弁D4の他方にパイロット油を供給する第2供給回路55とを有する。
【0038】
本実施形態では、ドーザレバー56Aを前方に揺動すると、第1パイロット油路54Aを介して第1受圧部57Aにパイロット圧が作用すると共に第3パイロット油路55Aを介して第3受圧部57Cにパイロット圧が作用する。これによって、ドーザ装置7が上げ動作する方向に方向切換弁D1と方向切換弁D4が切り換えられる。また、ドーザレバー56Aを後方に揺動すると、第2パイロット油路54Bを介して第2受圧部57Bにパイロット圧が作用すると共に第4パイロット油路55Bを介して第4受圧部57Dにパイロット圧が作用する。これによって、ドーザ装置7が下げ動作する方向に方向切換弁D1と方向切換弁D4が切り換えられる。
【0039】
また、制御弁V1(第1パイロット切換弁D1)と、制御弁V4(第2パイロット切換弁D4)とのうち、制御弁V4にエア抜き回路59が設けられ、制御弁V1には、エア抜き回路が設けられていない。即ち、エア抜き回路59は、第1パイロット切換弁D1と第2パイロット切換弁D4に対して(複数のパイロット切換弁に対して)共通のエア抜き回路59である。また、方向切換弁(第1パイロット切換弁)D1及び方向切換弁(第2パイロット切換弁)D4を切り換える切換指令用のパイロット油が流れる油流路の下流側の制御弁4(パイロット切換弁D4)にエア抜き回路59が設けられている。言い換えると、エア抜き回路59は、第1パイロット切換弁D1又は第2パイロット切換弁D2のうち(複数のパイロット切換弁のうち)、操作装置56から供給されるパイロット油を流す油流路の下流側のパイロット切換弁側に設けられている。
【0040】
なお、エア抜き回路59は、パイロット油の油流路の下流側に限定されることはなく、パイロット油の油流路の上流側に設けられてもよい。即ち、制御弁V1(第1パイロット切換弁D1)と、制御弁V4(第2パイロット切換弁D2)とのうちの一方に設けられていればよい。
パイロット油路54A、54B、55A、55Bを構成する油圧ホース等の油圧配策部材を組み付けるときにパイロット油路54A、54B、55A、55B内にエアが混入する場合がある。また、制御弁V1,V2の不使用時等にパイロット油路54A、54B、55A、55B内で油(作動油)が停滞すると、油に含有する気体が微細な泡となって析出する場合がある。パイロット油路54A、54B、55A、55B内にエアがあるとドーザシリンダC1(油圧アクチュエータ)の動きが悪くなる。エア抜き回路59は、パイロット油路54A、54B、55A、55B内のパイロット油をタンクT1に戻すことにより、パイロット油路54A、54B、55A、55B内のエア(気泡)を抜く回路である。
【0041】
エア抜き回路59は、第1逃がし路59A、第2逃がし路59B、第1絞り59C、第2絞り59Dを有する。第1逃がし路59Aは、一端が第3パイロット油路55Aに接続され、他端がドレン油路60に接続されている。第1逃がし路59Aの一端は、受圧部57Cの近傍に接続される。第2逃がし路59Bは、一端が第4パイロット油路55Bに接続され、他端が第1逃がし路59Aに接続されている。第2逃がし路59Bの一端は、受圧部57Dの近傍に接続される。
【0042】
第1絞り59Cは、第1逃がし路59Aに設けられている。第1絞り59Cは、第3パイロット油路55Aと第1逃がし路59Aとの接続部の近傍に設けるのがよい。第2絞り59Dは、第2逃がし路59Bに設けられている。第2絞り59Dは、第4パイロット油路55Bと第2逃がし路59Bとの接続部の近傍に設けるのがよい。
ドレン油路60は、コントロールバルブCV1に設けられ、エンドブロックB3から制御弁V11〜V1及びバルブブロックB4,B3内を通ってエンドブロックB1に至る。ドレン油路60はエンドブロックB1にてリリーフ弁V22を介してタンクT1に連通している。また、ドレン油路60は、制御バルブV8にて油路61を介してタンクT1に連通している。
【0043】
パイロット油路54A、54B、55A、55Bにパイロット油が流れると、該パイロット油の一部が、第1絞り59C又は第2絞り59Bを通ってドレン油路60に流れ、タンクT1に戻される。これによって、パイロット油路54A、54B、55A、55B内にエアがある場合に、該エアが排出される。
制御弁V1(第1パイロット切換弁D1)と、制御弁V4(第2パイロット切換弁D2)との両方にエア抜き回路を設けると、パイロット油の漏れ量が多くなることからパイロット油路54A、54B、55A、55Bが昇圧しにくくなる場合がある。パイロット油路54A、54B、55A、55Bが十分に昇圧しないと、方向切換弁のD1,D4のスプールを押し切れずに、ドーザ装置7の動作速度が遅くなる。制御弁V1(第1ドーザ弁)と、制御弁V4(第2ドーザ弁)との一方に、エア抜き回路59を設けることにより、パイロット油路54A、54B、55A、55B内のエアを適切に抜くとともに、パイロット油路54、54B、55A、55Bを十分に昇圧させ、ドーザ装置7の動作速度を適正にすることができる。
【0044】
また、制御弁V1(第1パイロット切換弁D1)と、制御弁V4(第2パイロット切換弁D2)との一方に、エア抜き回路59を設けるにあたって、制御弁V4にエア抜き回路59を設けている。即ち、方向切換弁D1及び方向切換弁D4を切り換える切換指令用のパイロット油が流れる油流路の下流側の制御弁4にエア抜き回路59が設けられている。これによって、パイロット油路54A、54B、55A、55B内の上流側に存在するエアも良好に抜くことができる。即ち、エア抜きを良好に行える(エア抜け性を確保することができる)。
【0045】
なお、本実施形態では、ドーザ装置用の2つの制御弁の一方にエア抜き回路を設けているが、ドーザ装置用に限定されることはない。要するに、同一対象の(1つの)油圧アクチュエータを、同時にパイロット操作される複数のパイロット切換弁によって制御する油圧システムにおいて、複数のパイロット切換弁に対して共通のエア抜き回路を設けるようにすればよい。
【0046】
また、本実施形態では、第1パイロット切換弁を第1制御弁のバルブボディに設け、第2パイロット切換弁を第2制御弁のバルブボディに設けているがこれに限定されることはない。1つのバルブボディ内に複数のパイロット切換弁を組み付け、複数のパイロット切換弁に対して共通のエア抜き回路を設けるようにしてもよい。
<ロードセンシングシステムの負荷圧の戻し回路>
図2、
図3、
図4に示すように、エンドブロックB1には、第1リリーフ弁V21が組み込まれている。バルブブロックB3には、第1シャトル弁V14、第2シャトル弁V15、第1アンロード弁V18、第2アンロード弁V19が組み込まれている。バルブブロックB4には、第1切換弁V13、第2切換弁V20、第2リリーフ弁V17、第1戻し回路66が組み込まれている。バルブブロックB5には、バイパス弁V16が組み込まれている。エンドブロックB2には、第2戻し回路67が組み込まれている。
【0047】
コントロールバルブCV1は、第1ポンプポートP1からの作動油を流す第1作動油路68と、第2ポンプポートP2からの作動油を流す第2作動油路69とを有する。第1作動油路69の一端は、入力ポート18に接続されている。第1作動油路68は、バルブブロックB5を通過してバルブブロックB4に入り、B4から制御弁V2、制御弁V1を経てエンドブロックB1に至る。このエンドブロックB1で、第1作動油路68の他端がドレン油路60に接続されている。また、エンドブロックB1において、第1作動油路68に第1リリーフ弁V21が備えられている。この第1リリーフ弁V21は、設定圧力を、第1設定圧力と、この第1設定圧力よりも高い設定圧力である第2設定圧力に変更可能な可変リリーフ弁である。また、本実施形態では、第1リリーフ弁V21は、パイロット圧によって設定圧力が変更されるパイロット作動形の可変リリーフ弁である。
【0048】
図5、
図6に示すように、第1リリーフ弁V21は、受圧部64と、設定バネ65とを有する。第1リリーフ弁V21は、受圧部64にパイロット圧が作用しない時には、設定バネ65で設定された第1設定圧力となる。また、受圧部64にパイロット圧が作用すると、第2設定圧力に変更される。
図2、
図3、
図4に示すように、第1作動油路68は、方向切換弁D1,D2にそれぞれ油路によって接続されており、第1作動油路68から方向切換弁D1,D2に作動油が供給可能とされている。
【0049】
第2作動油路69の一端は、入力ポート19に接続されている。第2作動油路69は、バルブブロックB5を通過してバルブブロックB4に入り、B4から制御弁V3〜V10を経て制御弁V11に至る。第2作動油路69の他端は、閉じられている。第2作動油路69は、方向切換弁D3〜D11にそれぞれ油路によって接続されており、第2作動油路69から方向切換弁D3〜D11に作動油が供給可能とされている。
【0050】
バイパス弁V16は、パイロット圧によって操作される直動スプール形3位置切換弁である。バイパス弁V16は、第1作動油路68と第2作動油路69とを並列的に接続する油路104及び油路105に備えられている。このバイパス弁V16は、油路104及び油路105の圧油流通を遮断する遮断位置(中立位置)106と、油路104の圧油流通を許容し且つ油路105を遮断する第1位置107と、油路104を遮断し且つ油路105の圧油流通を許容する第2位置104とに切換自在である。
【0051】
制御弁V3を操作する操作弁(操作装置)V26から出力されるパイロット圧がバイパス弁V16を遮断位置106から第1位置107に切り換える方向に作用する。また、制御弁V2を操作する操作弁(操作装置)V27から出力されるパイロット圧がバイパス弁V16を遮断位置106から第2位置108に切り換える方向に作用する。また、バイパス弁V16は、操作弁V26と操作弁V27とのパイロット圧に所定圧以上の差圧が発生した場合に、高圧側のパイロット圧によって遮断位置106から第1位置107又は第2位置108に切り換えられる。
【0052】
第1作動油路68は、第1連結油路71によって第1切換弁V13に接続されている。第2作動油路69は、第2連結油路72によって第1切換弁V13に接続されている。
また、第1作動油路68は、信号油路79によって第1シャトル弁V14の一方の入力ポートに接続され、第1作動油路68の作動油が第1シャトル弁V14に入力される。第2作動油路69は、第2連結油路72及び信号油路80を介して第1シャトル弁V14の他方の入力ポートに接続され、第2作動油路69の作動油が第1シャトル弁V14に入力される。第1シャトル弁V14は入力ポートから入力された作動油のうち圧力が高い方の作動油を出力ポートから出力する(同圧の場合は、開いている側の入力ポートからの作動油が出力される)。第1シャトル弁V14の出力ポートは、出力ポート24に接続されている。これによって、出力ポート24からPPS信号圧(第1ポンプポートP1、第2ポンプポートP2の吐出圧)が出力される。
【0053】
また、信号油路79は、油路86を介して第1アンロード弁V18に接続されている。信号油路80は、油路87を介して第2アンロード弁V19に接続されている。第1アンロード弁V18はバネの付勢力で閉じる方向に付勢され且つ油路86が閉じる方向に作用している。第2アンロード弁V19はバネの付勢力で閉じる方向に付勢され且つ油路87が閉じる方向に作用している。
【0054】
第1切換弁V13は、直動スプール形2位置切換弁である。また、第1切換弁V13は、パイロット圧によって切換操作されるパイロット操作切換弁である。
図5、
図6に示すように、第1切換弁V13は、6つのポート73a〜73fを有する。ポート73aに第1連結油路71が接続されている。ポート73bに第2連結油路72が接続されている。ポート73cには、第1伝達油路74の一端が接続されている。ポート73dには、第2伝達油路75の一端が接続されている。ポート73eには、リリーフ油路76の一端が接続されている。ポート73fには、排油路77の一端が接続されている。
【0055】
図2、
図3に示すように、第1伝達油路74は、バルブブロックB4から制御弁V2を経て制御弁V1に至るように設けられている。第1伝達油路74の他端は閉じられている。第1伝達油路74は、圧力補償弁E1,E2が負荷伝達油路Y1,Y2を介して接続されている。この負荷伝達油路Y1,Y2によって、制御弁V1,V2の制御対象の油圧アクチュエータ(ドーザシリンダC1、第1走行モータM1)の負荷圧が第1伝達油路74に伝達される。
【0056】
図2、
図4に示すように、第2伝達油路75は、バルブブロックB4から制御弁V3〜V11を経てエンドブロックB2に至る。第2伝達油路75の他端に第2戻し回路67が接続されている。第2戻し回路67は、エンドブロックB2にてドレン油路60に接続されている。第2伝達油路75には、圧力補償弁E3〜E11が負荷伝達油路Y3〜Y11を介して接続されている。この負荷伝達油路Y3〜Y11によって、制御弁V3〜V11の制御対象の油圧アクチュエータ(第2走行モータM2、ドーザシリンダC1、油圧アタッチメント、アームシリンダC4、バケットシリンダC5、ブームシリンダC3、旋回モータM3、スイングシリンダC2)の負荷圧が第1伝達油路74に伝達される。
【0057】
第2戻し回路67は、接続油路(第2接続油路)67Aと、絞り67Bと、オイルフィルタ67Cとを有する。第2接続油路67Aは、一端が第2伝達油路75の他端に接続され、他端がドレン油路60に接続されている。絞り67Bとオイルフィルタ67Cとは、第2接続油路67Aに備えられている。絞り67Bは、オイルフィルタ67Cの下流側に設けられている。第2戻し回路67は、第2伝達油路75の圧油をタンクT1に戻す回路である。
【0058】
リリーフ油路76には、第2リリーフ弁V17が備えられている。この第2リリーフ弁V17は、設定バネ91によって設定圧力が決定されるリリーフ弁である。この第2リリーフ弁V17の設定圧力は、第1リリーフ弁V21の第2設定圧力と同じ設定圧力である。リリーフ油路76の他端はドレン油路60に接続されていて、タンクT1に連通されている。
【0059】
排油路77の他端は、油路78を介してリリーフ油路76に接続されている。また、排油路77の他端は、リリーフ油路76における第2リリーフ弁V17より下流側に接続されている。これによって、排油路77は、タンクT1に連通している。
また、第1伝達油路74は、信号油路81を介して第2シャトル弁V15の一方の入力ポートに接続され、第1伝達油路74の圧油が第2シャトル弁V15に入力される。第2伝達油路75は、信号油路82を介して第2シャトル弁V15の他方の入力ポートに接続され、第2伝達油路75の圧油が第2シャトル弁V15に入力される。第2シャトル弁V15は入力ポートから入力された作動油のうち圧力が高い方の作動油を出力ポートから出力する(同圧の場合は、開いている側の入力ポートからの作動油が出力される)。第2シャトル弁V15の出力ポートは出力ポート23に接続されている。これによって、出力ポート23からPLS信号圧(油圧アクチュエータの最高負荷圧)が出力される。
【0060】
図3、
図5、
図6に示すように、第1切換弁V13は、合流位置83と、独立位置84とに切換自在とされている。第1切換弁V13は、バネ85によって合流位置83に切り換えられる方向に付勢されている。
第1切換弁V13が合流位置83であると(
図5参照)、第1連結油路71と第2連結油路72とが接続される。即ち、第1作動油路68と第2作動油路69とが第1連結油路71と第2連結油路72とを介して連通(接続)される。これによって、第1ポンプポートP1の吐出油と第2ポンプポートP2の吐出油とが合流されて各制御弁V1〜V11の方向切換弁D1〜D11に供給可能とされる。また、合流位置83では、第1伝達油路74と第2伝達油路75とが接続される。即ち、第1切換弁V13は、合流位置83では、第1ポンプポートP1と第2ポンプポートP2からの作動油を合流して第1制御弁及び第2制御弁に供給可能とし且つ第1伝達油路74と第2伝達油路75とを接続する。
【0061】
第1切換弁V13が独立位置84であると(
図6参照)、第1連結油路71と第2連結油路72との接続が解除(遮断)される。即ち、第1作動油路68と第2作動油路69との連通が解除される。これによって、第1ポンプポートP1の吐出油が制御弁(第1走行弁バルブ)V2、制御弁(第1ドーザ弁)V1の各方向切換弁D2,D1に供給可能とされ、第2ポンプポートP2からの圧油が制御弁(第2走行弁)V3、制御弁(第2ドーザ弁)V4の各方向切換弁D3,D4に供給可能とされる。また、独立位置84では、制御弁V5〜V11の方向切換弁D5〜D11に第2ポンプポートP2からの圧油が供給可能である。
【0062】
また、独立位置84では、第1伝達油路74と第2伝達油路75との接続が解除される。即ち、独立位置84では、第1ポンプポートP1からの作動油を第1制御バルブに、第2ポンプポートP2からの作動油を第2制御バルブにそれぞれ独立して供給可能とし且つ第1伝達油路74と第2伝達油路75との連通を解除する。
図5、
図6に示すように、第1切換弁V13は、連通油路88と、第1戻し回路66とを有する。連通油路88は、独立位置84でポート73bとポート73eとを連結する。これによって、独立位置84で第2連結油路72(第2作動油路69)とリリーフ油路76とが接続される。また、合流位置83では、連通油路88は、ポート73bとポート73eとから外れる(第2連結油路72とリリーフ油路76とから外れる)。これによって、連通油路88によるポート73bとポート73eとの連結は解除され、第2連結油路72(第2作動油路69)とリリーフ油路76との接続が解除される。
【0063】
第1戻し回路66は、接続油路(第1接続油路)66Aと、絞り66Bと、オイルフィルタ66Cとを有する。絞り66Bとオイルフィルタ66Cとは、第1接続油路66Aに備えられている。絞り66Bは、オイルフィルタ66Cの下流側に設けられている。
第1接続油路66Aは、第1切換弁V13のスプールに設けられ、例えば、第スプールに形成された溝や穴等に構成される。
【0064】
独立位置84では、第1接続油路66Aの一端が第1伝達油路74(ポート73c)に接続され、第1接続油路66Aの他端が排油路77(ポート73f)に接続される。即ち、第1接続油路66Aは、独立位置84で第1伝達油路74と排油路77とを接続する。これによって、独立位置84において、第1伝達油路74が、第1接続油路66A、排油路77、油路78、リリーフ油路76、ドレン油路60等を介してタンクT1に連通する。
【0065】
また、合流位置83では、第1接続油路66Aが、第1伝達油路74(ポート73c)及び排油路77(ポート73f)から外れる。即ち、第1接続油路66Aは、合流位置83で、第1伝達油路74と排油路77との接続を解除する。言い換えると、合流位置83では、第1接続油路66A(第1戻し回路66)による第1伝達油路74と排油路77との接続が解除される。
【0066】
第1戻し回路66は、独立位置83で第1伝達油路74に接続して第1伝達油路74の圧油をタンクT1に戻す回路であって、合流位置84で第1伝達油路74との接続が解除される回路である。
また、第2戻し回路67は、合流位置83及び独立位置84で第2伝達油路75の圧油をタンクT1に戻す回路である。
【0067】
第1戻し回路66は、合流位置83で第1伝達油路74との接続が解除されるので、第1伝達油路74と第2伝達油路75とが接続されているときには、第2戻し回路67だけが、第1伝達油路74と第2伝達油路75の圧油をタンクT1に戻す戻し回路として機能する。したがって、第1伝達油路74及び第2伝達油路75内の圧油をタンクT1に戻し過ぎることがなく、第1伝達油路74及び第2伝達油路75内の負荷圧が良好に昇圧する。これによって、第1伝達油路74と第2伝達油路75とを接続したときにおける第1ポンプ27の吐出油の流量制御(ロードセンシング制御)を良好に行うことができる。
【0068】
また、第1戻し回路66は、独立位置84で第1伝達油路74と接続されるので、第1伝達油路74と第2伝達油路75との連通が解除されているときには、第1伝達油路74の圧油が第1戻し回路66によってタンクT1に戻され、且つ第2伝達油路75の圧油が第2戻し回路67によってタンクT1に戻される。これによって、第1伝達油路74と第2伝達油路75とを遮断したときにおける第1ポンプ27の吐出油の流量制御(ロードセンシング制御)を良好に行うことができる。
【0069】
また、第1戻し回路66を第1切換弁V13に設けることにより、第1戻し回路66を簡単に構成でき、油圧回路を簡素化することができる。
図3、
図5、
図6に示すように、第1切換弁V13は、第2切換弁V20によって切り換えられる。第2切換弁V20は、直動スプール形2位置切換弁から構成されている。また、第2切換弁V20は、パイロット圧によって切換操作されるパイロット操作切換弁によって構成されている。
【0070】
第2切換弁V20は、解除位置89と切換位置90とを有する。第2切換弁V20は、バネ92によって、解除位置89に切り換えられる方向に付勢されている。第2切換弁V20は、供給油路93を介して入力ポート22に接続されていて、第2切換弁V20に第2ポンプ28から吐出する吐出油(パイロット油)が供給可能である。また、第2切換弁V20は、パイロット油路94を介して第1切換弁V13の受圧部95に接続されている。受圧部95は、第1切換弁V13を独立位置84に切り換える切換圧(パイロット圧)を作用させる受圧部である。解除位置89では、供給油路93とパイロット油路94との連通が解除(連通が遮断)され且つパイロット油路94がタンクT1に連通する。したがって、解除位置89では、供給油路93からの切換圧(パイロット油)が出力されないので、(受圧部95には、パイロット圧が作用しないので)、第1切換弁V13は合流位置83である。また、切換位置90では、供給油路93がパイロット油路94に接続される。したがって、解除位置89では、供給油路93からの切換圧がパイロット油路94に出力される。これによって、受圧部95に切換圧が作用し、第1切換弁V13が独立位置84に切り換えられる。
【0071】
即ち、第2切換弁V20は、第1切換弁V13を合流位置から独立位置84に切り換える切換圧を出力する切換位置90と、前記切換圧を出力しない解除位置89とを有する。
第2切換弁V20は、受圧部96と受圧部97とを有する。受圧部96には、パイロット油路98の一端が接続され、受圧部97には、パイロット油路99の一端が接続されている。
図3に示すように、パイロット油路98の他端は、エンドブロックB1にて、第1検知油路100に接続されている。第1検知油路100の一端は、入力ポート20に接続されている。また、第1検知油路100は、エンドブロックB1から制御弁V4にわたって設けられている。また、第1検知油路100は、方向切換弁D1、方向切換弁D2、方向切換弁D3、方向切換弁D4を通過して設けられている。第1検知油路100の他端は、制御弁V4にて油路102を介してドレン油路60に接続されている。
【0072】
図4に示すように、パイロット油路99の他端は、エンドブロックB2にて、第2検知油路101に接続されている。また、第2検知油路101は、エンドブロックB2から制御弁V4にわたって設けられている。また、第2検知油路101は、方向切換弁D11、方向切換弁D10、方向切換弁D9、方向切換弁D8、方向切換弁D7、方向切換弁D6、方向切換弁D5を通過して設けられている。第2検知油路101の他端は、制御弁V4にて第1検知油路100の他端に接続され且つ油路102を介してドレン油路60に接続されている。
【0073】
全ての方向切換弁D1〜D11が中立位置であるとき(全ての方向切換弁D1〜D11が操作されていないとき)には、第1検知油路100、第2検知油路101、パイロット油路98及びパイロット油路99にパイロット圧は発生しない。この場合、第2切換弁V20は解除位置89であり、第1切換弁V13は合流位置83である(
図5参照)。
この状態から方向切換弁D1〜D4(ドーザ装置7、第1走行装置3L、第2走行装置3R)のいずれか一つ以上が操作されると、第1検知油路100の中途部が遮断される。これにより、パイロット油路98にパイロット圧が発生し、第2切換弁V20が切換位置90に切り換えられる。すると、受圧部95にパイロット圧が作用し、第1切換弁V13が独立位置84に切り換えられる(
図6参照)。
【0074】
この第1切換弁V13が独立位置84に切り換えられた状態で、方向切換弁D5〜11(油圧アタッチメント、アーム16、バケット17、ブーム15、旋回台2、スイングブラケット14)のいずれか一つ以上が操作されると、第2検知油路101の中途部が遮断される。これにより、パイロット油路99にパイロット圧が発生し、パイロット油路98のパイロット圧に対応するパイロット圧が受圧部97に作用する。すると、第2切換弁V20が解除位置89に切り換えられ、第1切換弁V13が合流位置83に切り換えられる。
【0075】
また、方向切換弁D1〜D4を操作しないで、方向切換弁D5〜D11のいずれか一つ以上を操作した場合も第1切換弁V13は合流位置83である。
以上のように、油圧システムは、作業装置4を駆動させるときには、第1切換弁V13は、合流位置である。また、作業装置4を駆動させないで走行装置3を駆動する際であって、第1走行装置3L又は第2走行装置3Rの少なくとも1つを作動させるときには独立位置84に切り換えられる。
【0076】
なお、作業装置4を駆動させるときに、独立位置84となり、走行装置3を駆動するときに合流位置83となるように構成されていてもよい。
<リリーフ弁の設定圧力の切換え>
図3、
図5、
図6に示すように、パイロット油路94には、切換油路103の一端が接続されている。切換油路103の他端は、第1リリーフ弁V21の受圧部64に接続されている。パイロット油路94にパイロット圧が作用しない場合には、切換油路103及び受圧部64にパイロット圧が作用しないので、第1リリーフ弁V21の設定圧力は、第1設定圧力である。パイロット油路94にパイロット圧が作用すると、切換油路103及び受圧部64にパイロット圧が作用し、第2設定圧力に変更される。即ち、第1リリーフ弁V21は、第2切換弁V20から出力された切換圧によって第2設定圧力に切り換えられる可変リリーフ弁である。
【0077】
図5に示すように、合流位置83では、第2連結油路72(第2作動油路69)とリリーフ油路76との接続が解除されているので(リリーフ油路76の一端が閉じているので)、第2リリーフ弁V17は第2作動油路69の回路圧を設定しない。(第2リリーフ弁V17は、第2作動油路69の回路圧を設定するリリーフ弁として機能しない)。また、第1作動油路68と第2作動油路69とは連通し、第1リリーフ弁V21は第1作動油路68に備えられている。したがって、この場合、第1作動油路68及び第2作動油路69の回路圧(第1ポンプ27の吐出回路の回路圧)を設定するリリーフ弁は第1リリーフ弁V21である。また、このときの第1リリーフ弁V21の設定圧力は第1設定圧力である。即ち、作業装置4を駆動させるときには、第1作動油路68及び第2作動油路69の回路圧は、第1リリーフ弁V21の第1設定圧力である。旋回台2、スイングブラケット14及び油圧アタッチメントを駆動させるときも同様である。
【0078】
図6に示すように、独立位置84では、第2作動油路69が、第2連結油路72及び連通油路88を介してリリーフ油路76に接続する。この場合は、第2リリーフ弁V17が第2作動油路69の回路圧(第2ポンプポートP2の吐出回路の回路圧)を設定するリリーフ弁として機能する。また、独立位置84では、第1リリーフ弁V21が第1作動油路68の回路圧を設定するリリーフ弁として機能する。このときの第1リリーフ弁V21の設定圧力は第1設定圧力よりも高い第2設定圧力となる。また、第2リリーフ弁V17の設定圧力は、第2設定圧力と同じ設定圧力である。即ち、走行装置3のみを駆動するときには、作業装置4を駆動させるときよりも高い設定圧力によって回路圧が設定される。ドーザ装置7のみ、走行装置3及びドーザ装置7のみを駆動するときも同様である。
【0079】
以上のように、第1リリーフ弁V21は、合流位置83で第1作動油路68及び第2作動油路69の回路圧を第1設定圧力に設定可能なリリーフ弁であって、独立位置84で第1作動油路68の回路圧を第1設定圧力よりも高い第2設定圧力に設定変更可能な可変リリーフ弁である。
また、第2リリーフ弁V17は、独立位置84で第2作動油路69の回路圧を第2設定圧力と同じ設定圧力に設定するリリーフ弁であって、合流位置83では第2作動油路69の回路圧の設定を解除するリリーフ弁である。
【0080】
従来の作業機では、作業装置を駆動するときのためのリリーフ弁の他に、走行装置の牽引力を維持するために、第1走行装置用のリリーフ弁と、第2走行装置用のリリーフ弁とを設けている。即ち、3つのリリーフ弁を設けている。しかしながら、コントロールバルブ周りは油圧ホースが集中するため、ホース配策のスペースはできる限り広くしたいという要望がある。また、構成部品も減らして安価にしたいという要望もある。
【0081】
本実施形態では、作業装置4を駆動するときには、第1リリーフ弁V21が機能する一方第2リリーフ弁V17は機能せず、作業装置4を駆動させないで走行装置3L,3Rを駆動するときには、第1リリーフ弁V21および第2リリーフ弁V17の両方が機能する。第1リリーフ弁V21は、作業装置4を駆動させるときと、作業装置4を駆動させないで走行装置3を駆動するときとにおいて、兼用されている。なお、第1リリーフ弁V21は、作業装置4を駆動させるときと作業装置4を駆動させないで走行装置3を駆動するときとで設定圧力が変更される。これにより、リリーフ弁の数を削減でき、コントロールバルブCV1をコンパクトに形成することができる。コントロールバルブCV1をコンパクトに形成することでホース配策のスペースを広く採ることができる。また、部品点数の削減により、コントロールバルブCV1を安価に製作することができる。また、重量の異なる作業機に油圧システムを兼用する場合であっても、重い作業機の走行牽引力を確保することができる。
【0082】
なお、図例の油圧回路では、第1リリーフ弁V21を切り換えるパイロット圧をパイロット油路94からとっているが、これに限定されることはない。第1切換弁V13が独立位置84となった場合に、第1リリーフ弁V21が第2設定圧力に変更されるようになっていればよい。例えば、制御弁V2を操作する操作弁V27及び制御弁V3を操作する操作弁V26から出力されるパイロット圧を第1リリーフ弁V21に作用させて、第1リリーフ弁V21の設定圧力を変更するようにしてもよい。
【0083】
また、第1リリーフ弁V21を電磁弁によって設定圧力を電気的に切り換えるようにしてもよいし、電磁弁からのパイロット圧によって第1リリーフ弁V21の設定圧力が切り換えられるようにしてもよい。
<油圧アクチュエータの戻り油の戻り経路>
図7に示すように、油圧システムは、ライン切換弁V23を有する。このライン切換弁V23は、第1切換位置109と、第2切換位置110とに切換自在な2位置切換弁である。第1切換位置109は、制御弁V5に接続される油圧アクチュエータから戻る戻り油を制御弁V5に戻す位置である。第1切換位置109は、制御弁V5に接続される油圧アクチュエータから戻る戻り油を制御弁V5を通さずにタンクT1に戻すことを可能とする位置である。
【0084】
ライン切換弁V23には、戻し油路(第1戻し油路)111と、戻し油路(第2戻し油路)112とが接続されている。第1戻し油路111は、油圧アクチュエータからの戻り油を制御弁V5に戻す油路である。第2戻し油路112は、油圧アクチュエータからの戻り油を制御弁V5を通さずにタンクT1に戻す油路である。第2戻し油路112は、旋回モータM3の排油ポート(メイクアップポート)113に接続された油路114に接続されている。油路114には、戻し油路(第3戻し油路)115と戻し油路(第4戻し油路)116とが接続されている。
【0085】
第3戻し油路115は、オイルクーラ117を介してタンクT1に連通している。第3戻し油路115には、チェック弁V24が備えられている。第4戻し油路116は、
図4に示すように、制御弁V8に設けられたタンクポート118に接続されている。タンクポート118は、ドレン油路60に連通している。
従来は、油圧アクチュエータからの戻り油を制御弁V5を通さずにタンクT1に戻す場合、直接タンクT1に戻るようにしている。そうすると、ヒートバランスが悪くなる場合がある。そこで、油圧アクチュエータからの戻り油を制御弁V5を通さずにタンクT1に戻す場合に、オイルクーラ117を通してタンクT1に戻すことにより、ヒートバランスの悪化を防止することができる。
【0086】
また、旋回モータM3に第2戻し油路112を接続することにより、旋回モータM3とコントロールバルブCV1との間の広い空間に第2戻し油路112を構成する油圧ホースを通すことができる。これにより、ブレーカ等を使用した場合に、油圧ホースが脈動、振動することによって油圧ホースが周囲の部位に接当して損傷するのを防止することができる。
【0087】
なお、第2戻し油路112に選択弁V25を設けてもよい。この選択弁V25は、油圧アクチュエータの戻り油を第3戻し油路115に流す第1位置119と、油圧アクチュエータの戻り油を直接(オイルクーラ117を通さずに)タンクT1に戻す第2位置120とに切換自在な2位置切換弁である。
《旋回ブレーキのブレーキ解除回路》
図7に示すように、油圧システムは、ブレーキ解除回路121を有する。このブレーキ解除回路121は旋回モータM3に設けられた旋回ブレーキ122を解除するパイロット圧をブレーキ切換弁V28に出力する回路である。
【0088】
旋回ブレーキ122は、ネガティブブレーキであって、ブレーキディスク123と、ブレーキシリンダ(油圧シリンダ)124と、ブレーキバネ125とを有する。ブレーキディスク123は、旋回モータM3の出力軸126と一体回転自在に設けられている。ブレーキシリンダ124は、伸長することでブレーキディスク123を押圧して旋回モータM3を制動する。また、ブレーキシリンダ124は、収縮することでブレーキディスク123に対する押圧を解除して旋回モータM3の制動を解除する。ブレーキバネ125は、ブレーキシリンダ124に組み込まれていて、該ブレーキシリンダ124を伸長方向に付勢する。ブレーキシリンダ124は、油圧によって収縮される。
【0089】
ブレーキ切換弁V28は、ポート127と、ポート128と、ポート129とを有する。
図1に示すように、ポート127は、供給油路130、供給油路40、供給油路38を介して出力ポート32に接続されている。したがって、ポート127に第2ポンプ28から吐出するパイロット圧(パイロット油)が供給される。ポート128は、ブレーキシリンダ124のロッド側(バネ125が設けられている側とは反対側)に連通している。ポート129はタンクT1に連通している。
【0090】
ブレーキ切換弁V28は、制動位置131と、解除位置132とを有する。制動位置131は、ポート128とポート129とを接続してブレーキシリンダ124から油圧を抜く位置である。即ち、旋回ブレーキ122を、作動させる位置である。解除位置132は、ポート127とポート128とを接続してブレーキシリンダ124に油圧を供給する位置である。即ち、旋回ブレーキ122を解除する位置である。
【0091】
旋回ブレーキ122は、ブレーキ解除状態からブレーキ作動状態にするときに、数秒はブレーキ解除状態を維持する遅延機能を有する。この遅延機能は、例えば、制動位置131でブレーキシリンダ124から油圧を抜く流路に設けられた絞り162によって構成される。これによれば、ブレーキ切換弁V28を解除位置132から制動位置131に切り換えたとき(旋回ブレーキ122を解除状態から作動状態にするとき)において、絞り162によってブレーキシリンダ124からの圧抜けが遅れる。これによって、数秒はブレーキ解除状態を維持する。
【0092】
また、ブレーキ切換弁V28は、バネ133によって制動位置131に切り換えられる方向に付勢され、受圧ポート134に作用するパイロット圧によって解除位置132に切り換えられる。
ブレーキ解除回路121は、1つの出力ポート135と、5つの入力ポート136〜140と、4つのシャトル弁V30〜33とを有する。出力ポート135はパイロット油路140を介して受圧ポート134に接続されている。入力ポート136〜139には、リモコン弁(操作装置)141からのパイロット圧が入力される。入力ポート140には、リモコン弁(操作装置)152からのパイロット圧が入力される。
【0093】
リモコン弁141は、制御弁V9(旋回台2)及び制御弁V6(アーム16)を操作する装置である。リモコン弁141は操作レバー141Aを有する。操作レバー141Aを前に揺動すると、アーム16がダンプ動作(旋回台2から遠ざかる方向に或いは上方に揺動)するように制御弁V6にパイロット圧が出力される。操作レバー141Aを後に揺動すると、アーム16がクラウド動作(旋回台2に近づく方向に或いは下方に揺動)するようにパイロット油路142を介して制御弁V6にパイロット圧が出力される。操作レバー141Aを右に揺動すると旋回台2が右旋回するようにパイロット油路144を介して制御弁V9にパイロット圧が出力される。操作レバー141Aを左に揺動すると旋回台2が左旋回するようにパイロット油路146を介して制御弁V6にパイロット圧が出力される。
【0094】
入力ポート136は、パイロット油路143を介してパイロット油路142に接続されている。入力ポート137は、パイロット油路145を介してパイロット油路144に接続されている。入力ポート138は、パイロット油路147を介してパイロット油路146に接続されている。
リモコン弁152は、制御弁V11(スイングブラケット14)を操作する装置である。リモコン弁152は操作レバー152Aを有する。操作レバー152Aを右に揺動するとスイングブラケット14が右に揺動するようにパイロット油路148を介して制御弁V11にパイロット圧が出力される。操作レバー152Aを左に揺動するとスイングブラケット142が左に揺動するようにパイロット油路150を介して制御弁V11にパイロット圧が出力される。
【0095】
入力ポート139は、パイロット油路149を介してパイロット油路148に接続されている。入力ポート140は、パイロット油路151を介してパイロット油路150に接続されている。
シャトル弁V30〜V33は、2つの入力ポートと1つの出力ポートとを有し、入力ポートから入力されたパイロット圧のうち、高い側のパイロット圧を出力ポートから出力する(同圧の場合は、開いている側の入力ポートからの作動油が出力される)。
【0096】
シャトル弁V30の一方の入力ポートは、パイロット油路153を介して入力ポート136に接続されている。シャトル弁V30の他方の入力ポートは、パイロット油路156を介してシャトル弁V31の出力ポートに接続されている。シャトル弁V30の出力ポートは、パイロット油路157を介してシャトル弁V33の一方の入力ポートに接続されている。シャトル弁V31の一方の入力ポートは、パイロット油路154を介して入力ポート137に接続されている。シャトル弁31の他方の入力ポートは、パイロット油路155を介して入力ポート138に接続されている。シャトル弁32の一方の入力ポートは、パイロット油路158を介して入力ポート139に接続されている。シャトル弁32の他方の入力ポートは、パイロット油路159を介して入力ポート140に接続されている。シャトル弁32の出力ポートは、パイロット油路160を介してシャトル弁V33の他方の入力ポートに接続されている。
【0097】
以上のことから、旋回台2の旋回操作、アーム16のクラウド操作及びスイングブラケット14の揺動操作を行わないときには、旋回ブレーキ122が作動する。また、旋回台2の旋回操作、スイングブラケット14の揺動操作、アーム16のクラウド操作のいずれか1つ以上をすると、旋回ブレーキ122が解除される。
旋回ベアリング8は、走行装置3のフレームに固定されたアウターレースと、旋回台2に固定されたインナーレースを有し、インナーレースの内周面に内歯歯車が形成されている。旋回モータM3は、旋回ベアリング8の内歯歯車に噛み合うピニオンを有し、ピニオンを駆動することにより、旋回台2を旋回させる。
【0098】
スイングブラケット14を揺動させる場合、旋回ブレーキ122が作動状態であると、内歯歯車とピニオンとの噛み合い部に力がかかる。本実施形態では、スイングブラケット14を操作する場合に、旋回ブレーキ122を解除することにより、内歯歯車とピニオンとの噛み合い部にかかる力を逃がすことができる。また、作業装置4は、旋回台2の中心から一側(右側)にオフセットされて設けられている。これにより、アーム16をクラウド動作(掻込み動作)する場合も、旋回ブレーキ122が作動状態であると、内歯歯車とピニオンとの噛み合い部に力がかかるので、この場合も旋回ブレーキ122を解除するようにしている。
【0099】
また、スイングブラケット14を操作しているときにおいて、大きな慣性力が発生している状態(例えば、バケット17に土を山積みしている場合や、ブーム15、アーム16を前方に延ばしている場合)で、スイングブラケット14の揺動を急停止した場合に、旋回ブレーキ122が作動状態であると、内歯歯車とピニオンとの噛み合い部に大きな力がかかる。この場合も内歯歯車とピニオンとの噛み合い部にかかる力を逃がすことができる。即ち、スイングブラケット14の操作を停止すると旋回ブレーキ122は解除状態から作動状態に切り換わろうとするが、旋回ブレーキ122が解除状態から作動状態に切り換わる際には旋回ブレーキ122は数秒は解除状態であるので、内歯歯車とピニオンとの噛み合い部にかかる力を逃がすことができる。
<作用効果>
本実施形態の作業機の油圧システムは、油圧アクチュエータを制御する第1制御弁V1,V2と、油圧アクチュエータを制御する第2制御弁V3〜V11と、作動油を貯留するタンクT1と、作動油を第1制御弁V1,V2に供給可能とする第1作動油路68と、作動油を第2制御弁V3〜V11に供給可能とする第2作動油路69と、第1制御弁V1,V2で制御される油圧アクチュエータの負荷圧が伝達される第1伝達油路74と、第2制御弁V3〜V11で制御される油圧アクチュエータの負荷圧が伝達される第2伝達油路75と、第1作動油路68と第2作動油路69とを連通し且つ第1伝達油路74と第2伝達油路75とを連通する合流位置83と、第1作動油路68と第2作動油路69との連通を解除し且つ第1伝達油路74と第2伝達油路75との連通を解除する独立位置84とに切り換え自在な第1切換弁V13と、独立位置84で第1伝達油路74に接続して第1伝達油路74の作動油をタンクT1に戻す回路であって、合流位置83で第1伝達油路74との接続が解除される第1戻し回路66と、合流位置83及び独立位置84で第2伝達油路75の作動油をタンクT1に戻す第2戻し回路67と、を備えている。
【0100】
これにより、第1戻し回路66は、合流位置83で第1伝達油路74との接続が解除されるので、第1伝達油路74と第2伝達油路75とが接続されているときには、第2戻し回路67だけが、第1伝達油路74と第2伝達油路75の作動油をタンクT1に戻す戻し回路として機能する。したがって、第1伝達油路74と第2伝達油路75の作動油をタンクT1に戻し過ぎることなく、第1伝達油路74及び第2伝達油路75内の負荷圧が良好に昇圧する。
【0101】
また、前記第1作動油路に作動油を吐出する第1ポンプポートP1と、前記第2作動油路に作動油を吐出する第2ポンプポートP2と、前記第1ポンプポート又は前記第2ポンプポートの吐出圧と前記第1伝達油路又は前記第2伝達油路の負荷圧とに基づいて前記第1ポンプポート及び前記第2ポンプポートから吐出する作動油の流量を制御する制御部とを備えていてもよい。これにより、第1戻し回路66は、合流位置83で第1伝達油路74との接続が解除されるので、第1伝達油路74と第2伝達油路75とが接続されているときには、第2戻し回路67だけが、第1伝達油路74と第2伝達油路75の作動油をタンクT1に戻す戻し回路として機能する。したがって、第1伝達油路74と第2伝達油路75の作動油をタンクT1に戻し過ぎることなく、第1伝達油路74及び第2伝達油路75内の負荷圧が良好に昇圧する。第1伝達油路74及び第2伝達油路75内の負荷圧が良好に昇圧することにより、第1伝達油路74と第2伝達油路75とが接続されているときにおいて、第1ポンプポートP1及び第2ポンプポートP2から吐出する作動油の流量制御を良好に行うことができる。
【0102】
また、第1戻し回路66を第1切換弁V13に設けることにより、油圧システム(油圧回路)を簡素化することができる。
また、タンクT1に連通する排油路77を備え、第1戻し回路66は、独立位置84において第1伝達油路74と排油路77とを接続し、且つ合流位置83において第1伝達油路74と排油路77との接続を解除する接続油路66Aと、接続油路66Aに介装された絞り66Bとを有する。これにより、第1戻し回路66を簡単に構成でき、油圧システム(油圧回路)を簡素化することができる。
【0103】
また、ブーム15を駆動するブームシリンダC3と、アーム16を駆動するアームシリンダC4と、作業具17を駆動する作業具シリンダC5とを有する作業装置4と、第1走行モータM1によって駆動される第1走行装置3Lと、第2走行モータM2によって駆動される第2走行装置3Rとを有する走行装置3と、ブームシリンダC3を制御するブーム弁V8と、アームシリンダC4を制御するアーム弁V6と、作業具を制御する作業具弁V7と、第1走行モータM1を制御する第1走行弁V2と、第2走行モータM2を制御する第2走行弁V3と、を備え、第1制御弁V1,V2は、第1走行弁V2を含み、第2制御弁V3〜V11は、第2走行弁V3を含み、ブーム弁V8、アーム弁V6、作業具弁V7は、第1制御弁V1,V2及び第2制御弁V3〜V11のいずれかに含まれ、ブーム弁V8、アーム弁V6、作業具弁V7の少なくとも1つを作動させるときに合流位置83に切り換えられ、作業装置4を駆動させないで走行装置3を駆動する際であって、第1走行弁V2又は第2走行弁V3の少なくとも1つを作動させるときに独立位置84に切り換えられる。これにより、作業時において、第1伝達油路74及び第2伝達油路75内の負荷圧が良好に昇圧する。したがって、作業時において、第1ポンプポートP1及び第2ポンプポートP2から吐出する作動油の流量制御を良好に行うことができ、作業性の確保を図ることができる。
【0104】
また、合流位置83で第1作動油路68及び第2作動油路69の回路圧を第1設定圧力に設定するリリーフ弁であって、独立位置84で第1作動油路68の回路圧を第1設定圧力よりも高い第2設定圧力に設定変更可能な第1リリーフ弁V21と、独立位置84で第2作動油路69の回路圧を第2設定圧力と同じ設定圧力に設定するリリーフ弁であって、合流位置83では第2作動油路69の回路圧の設定を解除する第2リリーフ弁V17と、を備えている。これにより、第1リリーフ弁V21を、合流位置83で第1作動油路68及び第2作動油路69の回路圧を設定するリリーフ弁と、独立位置84で第1作動油路68の回路圧を設定するリリーフ弁とに兼用することができ、リリーフ弁の数の削減を図ることができる。
【0105】
また、第1切換弁V13を合流位置83から独立位置84に切り換える切換圧を出力する切換位置90と、切換圧を出力しない解除位置89とを有する第2切換弁を備え、第1リリーフ弁V21は、第2切換弁から出力された切換圧によって第2設定圧力に切り換えられる可変リリーフ弁である。第2切換弁から出力された切換圧を、第1リリーフ弁V21を第2設定圧力に切り換える圧力として利用することにより、油圧システム(油圧回路)を簡素化することができる。
【0106】
また、第2リリーフ弁V17が介装されたリリーフ油路76を備え、第1切換弁V13は、独立位置84で第2作動油路69とリリーフ油路76とを連通し、合流位置83で、第2作動油路69とリリーフ油路76との連通を解除する連通油路88を有する。言い換えれば、第1切換弁V13に連通油路88を設け、この連通油路88によって、第2リリーフ弁V17を使用状態と不使用状態とに切り換えるように構成している。これにより、油圧システム(油圧回路)を簡素化することができる。
【0107】
また、本実施形態の作業機の油圧システムは、作動油を貯留するタンクT1と、油圧アクチュエータC1と、作動油によって駆動される油圧アクチュエータC1を制御する複数のパイロット圧切換弁D1,D4と、複数のパイロット圧切換弁D1,D4を作動油によって操作可能な操作装置56と、複数のパイロット圧切換弁D1,D4を操作する作動油の一部をタンクT1に戻す回路であって、複数のパイロット圧切換弁D1,D4に対して共通のエア抜き回路59と、を備えている。これによって、エア抜き回路59からのパイロット油の漏れ量を適正にすることができ、複数のパイロット圧切換弁D1,D4に対して作動油を供給するパイロット回路53を十分に昇圧することができる。その結果、油圧アクチュエータC1の動作の安定性を向上させることができる。
【0108】
また、エア抜き回路59は、複数のパイロット圧切換弁D1,D4のうち、操作装置56から供給される作動油を流す作動油流路の下流側のパイロット圧切換弁D4に対して設けられている。これによって、操作装置56から供給される作動油を流す作動油流路内の上流側に存在するエアも良好に抜くことができる。即ち、エア抜きを良好に行える(エア抜け性を確保することができる)
また、複数のパイロット圧切換弁D1,D4は、第1パイロット圧切換弁D1と、第2パイロット圧切換弁D4とを含み、エア抜き回路59は、第1パイロット圧切換弁D1又は第2パイロット圧切換弁D4の一方側に設けられている。これによって、エア抜き回路59からのパイロット油の漏れ量を適正にすることができ、第1パイロット圧切換弁D1及び第2パイロット切換弁D4に対して作動油を供給するパイロット回路53を十分に昇圧することができる。その結果、油圧アクチュエータC1の動作の安定性を向上させることができる。
【0109】
また、操作装置56から第1パイロット圧切換弁D1又は第2パイロット圧切換弁D4の一方に作動油を供給する第1供給回路54と、第1供給回路54から第1パイロット圧切換弁D1又は第2パイロット圧切換弁D4の他方に作動油を供給する第2供給回路55とを有するパイロット回路53を備え、エア抜き回路59は、第2供給回路55に接続されている。これによって、パイロット回路53内の上流側の第1供給回路54に存在するエアも良好に抜くことができる。
【0110】
また、ドーザ装置7を備え、油圧アクチュエータC1は、ドーザ装置7を駆動するドーザシリンダである。これによって、ドーザ装置7の動作の安定性を向上させることができる。
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。