特許第6538049号(P6538049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6538049波形切刃の刃組立体及びそれを備える切断システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6538049
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】波形切刃の刃組立体及びそれを備える切断システム
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/26 20060101AFI20190625BHJP
   B26D 1/36 20060101ALI20190625BHJP
   B26D 3/28 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   B26D3/26 604
   B26D1/36 D
   B26D1/36 C
   B26D3/28 620K
【請求項の数】17
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-531995(P2016-531995)
(86)(22)【出願日】2014年11月21日
(65)【公表番号】特表2016-537213(P2016-537213A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】EP2014075275
(87)【国際公開番号】WO2015075180
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2017年11月10日
(31)【優先権主張番号】61/907,073
(32)【優先日】2013年11月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14153723.3
(32)【優先日】2014年2月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513254992
【氏名又は名称】ファム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バックス、ブレント
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04523503(US,A)
【文献】 特許第5135327(JP,B2)
【文献】 米国特許第05819628(US,A)
【文献】 特開2003−285295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/26 − 3/28
B26D 1/00 − 1/24
B26D 1/25 − 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前縁部が刃先である波形切刃(101,200,400)であって、一定の距離に亘って山部及び谷部の周期的パターンを画成する連続した形状を有する波形部を有する切刃(101,200,400)と、
前記切刃(101,200,400)を支持するように構成されたホルダー(100,201,430)と、
前記ホルダー(100,201,430)上に前記切刃(101,200,400)をクランプするように配置されたクランプ(102,202,420,600)と、
前記ホルダー(100,201,430)及び前記クランプ(102,202,420,600)と協働して、前記切刃(101,200,400)を、その刃先が前側に突出するように、前記クランプ(102,202,420,600)と前記ホルダー(100,201,430)との間に固定してクランプする締結機構(103,203)とを備え、前記クランプ(102,202,420,600)が、前記クランプの前側で、第1の締付線(120,220,440)に沿って配置され、前記切刃の前縁部よりも後方の前記切刃(101,200,400)上の相補的接触線において、前記切刃(101,200,400)と係合する第1のクランプ部有する刃組立体において、
前記クランプ(102,202,420,600)が、前記切刃(101,200,400)のものと相補的な内向波形状(116)を有するとともに、前記切刃(101,200,400)の相補的接触に対応する形状を有する前記クランプの内向斜切部分によって形成される1つ以上の第2のクランプ部(115,215,615)を備え、前記第2のクランプ部(115,215,615)が、前記第1の締付線(120,220,440)よりも後方の一定の距離まで延在する第2のクランプ領域(115,202,420,600)に配置され、クランプ状態において、前記クランプ(102,202,420,600)が前記切刃(101,200,400)を、前記第1の締付線(120,220,440)に沿う第1のクランプ部と、前記第1の締付線よりも後方の前記一定の距離までの前記第2のクランプ領域(450)の前記第2のクランプ部とに係合するように、クランプ状態において、前記補的接触面で前記切刃に係合する、ことを特徴とする刃組立体。
【請求項2】
前記第1の締付線(120,220,440)とその相補的接触線との係合、及び、前記1つ以上の第2のクランプ部(115,215,615)とその対応する接触との係合が、前記クランプ(102,202,420,600)及び前記ホルダー(100,201,430)の関係する部分に所定の形状を用いることで確立される、請求項1に記載の刃組立体。
【請求項3】
前記クランプが、非クランプ状態において、前記第2のクランプ部(115,215,615)が前記切刃(101,200,400)の対応する接触面からオフセットし、且つ、クランプ状態において、前記第2のクランプ部(115,215,615)が前記切刃(101,200,400)の対応する接触面と所定の締付力で係合するように構築された、請求項1又は2に記載の刃組立体。
【請求項4】
前記第2のクランプ部(115,215,615)が、クランプ状態において均一に広がる締付力が前記切刃の対応する接触に加えられるように配置された、請求項1〜3のいずれか一項に記載の刃組立体。
【請求項5】
前記クランプが、先端が前記締付線(120,220,440)上に前記第1のクランプを形成し、後方部同士が前記第2のクランプ領域(450)の前記第2のクランプ部(115,215,615)を形成する複数のフィンガーを備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の刃組立体。
【請求項6】
前記第2のクランプ部(115,215,615)のうち少なくとも幾つかは平面であり、前記平面は、前記クランプの前記内向斜切部分、好適には前記フィンガーの前記後方部によって画成され、前記切刃(101,200,400)の谷部の一部と係合するように配置され、前記内向斜切部分(115,215,615)が、少なくとも1mm、好適には最大で20mm、より好適には最大で15mm、更により好適には最大で10mmの長さを好適には有する、請求項5に記載の刃組立体。
【請求項7】
前記後方部が、前記切刃の傾斜部分に接するように配置された前記フィンガーの側面を備える、請求項5に記載の刃組立体。
【請求項8】
前記クランプが、切断された生産品の小片が前記クランプと前記切刃との間に入るのを防止するように、クランプ状態において全幅に亘って前記切刃に密に嵌合するように成形される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の刃組立体。
【請求項9】
前記クランプ(102,202,420,600)が、前記切刃(101,200,400)の後縁部(108,205)と係合するように配置される停止部(204)を備え、クランプ状態において、前記停止部(204)が、前記刃ホルダー(100,201,430)上での前記切刃(101,200,400)の移動の範囲を制限するようになっている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の刃組立体。
【請求項10】
前記切刃の前記後縁部(108,205)と係合するように配置された停止要素(107)が設けられて、クランプ状態において、前記停止要素(107)が、前記ホルダー(100,201,430)上の前記切刃(101,200,400)の移動の範囲を制限し、前記停止要素(107)のそれぞれが、所定の場所で前記切刃(101,200,400)の前記後縁部(108,205)と係合してそれを押し下げるように配置された拡張部分(109)を好適には備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の刃組立体。
【請求項11】
切断システム(300)に供給される生産品を切断するために、切断システム(300)の円周に沿って位置付けられた、請求項1〜10のいずれか一項に記載の刃組立体を少なくとも1つ有する切断システム(300)
【請求項12】
前記切断システム(300)に供給される生産品を切断するように前記切断システム(300)の前記円周に沿って位置付けられた少なくとも1つの第2刃組立体(302)を更に備え、前記切断システム(300)が、切断される生産品が遠心力によってその円周に向かって動くように構成され、前記少なくとも1つの第2刃組立体(302)がそれぞれ、略平坦形状を有する切刃(400)を備える、請求項11に記載の切断システム(300)。
【請求項13】
前記第1及び第2刃組立体(301,302)が、前記切断システム(300)の円周に沿って交互に配置された、請求項12に記載の切断システム。
【請求項14】
前記切断システム(300)に供給される生産品を切断するように前記切断システム(300)の前記円周に沿って位置付けられた請求項1〜10のいずれか一項に記載の第2刃組立体(302)を少なくとも1つ備え、前記切断システム(300)が、切断される生産品が遠心力によってその円周に向かって動くように構成され、前記少なくとも1つの第2刃組立体(302)がそれぞれ、前記少なくとも1つの第1刃組立体(301)のものとは異なる第2波形状を有する切刃(101,200)を備える、請求項11に記載の切断システム(300)。
【請求項15】
前記第1及び第2刃組立体(301,302)が、前記切断システム(300)の前記円周に沿って交互に配置された、請求項14に記載の切断システム。
【請求項16】
前記内向斜切部分(115,215,615)が前記第1の締付線(110,220)まで、前方に延在する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の刃組立体。
【請求項17】
前記第2のクランプ領域は前記第1の締付線(110,220)に隣接する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の刃組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置の刃組立体に関し、更に、食品を切断するためのそのような刃組立体を具備する切断装置、又はその切断ヘッド若しくは装置等の部品、並びに、その使用に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の刃組立体を採用した切断装置が、例えば特許文献1により知られている。このような装置に用いられる刃組立体を、図1に示す。他の既知の刃組立体を、図25に示す。
【0003】
これらの刃組立体は、食品切断用の所定の形状を有する切刃を備える。この切刃は、刃ホルダー上に配置でき、締結機構を用いた刃クランプによって所望の位置に固定できる。また、食品を所望の形状及び大きさに切断するプロセスを自動化且つ迅速化する機械駆動式の切断装置に、この刃組立体を嵌合してもよい。
【0004】
既知の刃組立体によって生産されるスライスされた食品の生産量及び外観は食品切断時の切刃の移動により著しく影響され得ることが分かっている。従って、食品切断時の切刃の移動を最小限に抑制する又は排除することが非常に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2013/101621号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、食品切断時の切刃の移動を著しく抑制又は排除できるよう改良された、切刃の刃組立体を提供することである。
【0007】
本発明の更なる目的は、食品切断時に、切刃と、クランプと、ホルダーとの間の空間に挟まる食品の量を著しく抑制又は排除できるよう改良された、切刃の刃組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様によれば、前縁部が刃先である切刃と、切刃を支持するように構成されたホルダーと、ホルダー上に切刃をクランプするように配置されたクランプと、ホルダー及びクランプと協働して、切刃を、刃先が前側に突出するようにクランプとホルダーとの間に固定する締結機構とを備え、それにより、クランプは、切刃における相補的接触線に対応する前縁部よりも後方に締付線を有する刃組立体において、クランプが、切刃の相補的接触幾何学的要素に対応する1つ以上の締付幾何学的要素を備え、このクランプが、クランプ状態においてそのクランプが切刃の対応する接触幾何学的要素と係合するように、少なくとも部分的に、前縁部から締付線とは異なる距離、好適には更に後方に位置付けられることを特徴とする刃組立体が提供される。
【0009】
本開示では、切刃とは、金属板のブランクから典型的に構成され、少なくとも一部を尖らせた刃を意味する。切刃は直線状でも湾曲状でもよく、一般に、切刃を尖らせた後の形成工程によって形成される。
【0010】
本開示では、非クランプ状態とは、切刃をクランプするために締結手段を締結する、又は締めることなく、ホルダー上に切刃を位置付け、切刃上にクランプを位置付ける状態を意味する。クランプ状態とは、締結手段を完全に締結する、又は締めている状態を意味する。
【0011】
その実施例において、刃組立体は、一定の長さに亘る1つ以上の締付幾何学的要素を有する。
【0012】
その実施例において、刃組立体は、先端又は先端状の、1つ以上の締付幾何学的要素を有する。
【0013】
本開示によれば、第1締付線を画成する切刃の相補的接触線及び第2締付線である一つの締付幾何学的要素に対応する締付線を有する刃組立体が、更に提供されうる。
【0014】
その実施例において、第1及び第2線は、少なくとも部分的に互いに平行である。
【0015】
その更なる実施例において、第1及び第2線は、少なくとも部分的に、片方向に直線である。
【0016】
本開示によれば、締付線が切刃の相補的接触線に対応して、第1締付線を画成し、且つ、一つの締付幾何学的要素が、第1締付線をその一部とする締付面である刃組立体が提供されうる。
【0017】
本開示によれば、クランプが、締付線を画成する第1部分及び1つ以上の幾何学的要素を画成する第2部分を備える刃組立体が提供される。
【0018】
本開示によれば、締付線とその相補的接触線との係合、及び、1つ以上の締付幾何学的要素とその対応する接触幾何学的要素との係合が、刃、クランプ、及びホルダーの関係する部分に、選択した形状を用いることで確立される刃組立体が提供される。
【0019】
本開示によれば、幾何学的要素が、クランプ状態において、切刃の対応する接触幾何学的要素にわたって等しい量の締付力が加えられるように配置された刃組立体が提供される。
【0020】
本開示の実施例において、切刃は、一定の長さに亘って山部及び谷部の周期的パターンを画成する連続した形状を有する波形部を覆う、波形切刃である。
【0021】
その更なる実施例において、クランプは切刃の波形状に相補的な内向波形状を有し、好適には、クランプは、先端同士が(第1締付線上に)第1部分を形成し、後方部同士が第2部分を形成する複数のフィンガーを備え、そのフィンガーと先端が波形状を画成する。
【0022】
その実施例において、締付幾何学的要素の一つにおける少なくとも一部は平面である。
【0023】
その更なる実施例において、平面は、クランプの内向斜切部分、好適には、フィンガーの後方部によって画成される。
【0024】
本開示の実施例において、クランプの他の内向斜切部分も設けられてもよい。
【0025】
本開示によれば、幾何学的要素に関係するクランプの一部と、ホルダーの対応する一部とは、切刃を引っ張るように相補的に形成されてもよい(例えば、凹凸湾曲状、又は2本若しくは3本の接触線を有するクランプと凹状のホルダー)。
【0026】
本開示によれば、クランプは、切断された生産品の小片がクランプと切刃との間に入るのを防止するように、クランプ状態において全幅に亘って切刃に密に嵌合するように成形される。クランプがフィンガーを備える実施例においては、クランプと切刃との間のあらゆるギャップが上側からこれらのフィンガーにより充分に封鎖されるように、これらのフィンガーをクランプ状態においてフィンガーの先端において且つ側面に沿って切刃に接するように、すなわち、嵌合により切断された生産品の小片がギャップに入るのを防止するように成形することで実現する。
【0027】
本開示の実施例において、クランプは、切刃の後縁部と係合するように配置される停止部を備え、クランプ状態において、その停止部が、刃ホルダー上での切刃の移動の範囲を制限するようになっている。
【0028】
本開示の実施例において、締結機構は、ホルダー及び/又はクランプに設けられた複数の孔と協働する、複数の固定要素を備える。
【0029】
本開示によれば、ホルダーは、切刃の波形状に対応する連続的な波形状を一定の長さに亘って有する裏面を備えてもよい。
【0030】
本開示の実施例において、切刃の波形状と、クランプ及び/又はホルダーの相補的部分と、ホルダー及び/若しくは「摺動部(shoe)」の裏面又は刃組立体が取り付けられる切断ステーションの相補的部分とは、V字状、波状、正弦波形状、台形状若しくはこれらのいずれかの組合せ、又は、当業者に知られるその他の波形形状のうちいずれか1つの形状を備えてもよい。
【0031】
本明細書に記載の他の実施例と組み合わせ得る本開示の他の態様は、少なくとも1つの刃組立体が切断システムの円周に沿って位置付けられた切断システムを提供する。
【0032】
その実施例において、ドラムとも呼ばれるこの切断システムは、1つの刃組立体を有し、固定され、食品をドラムに供給して例えばインペラを用いて回転させることで、その食品を遠心力によりドラムの円周に押し付けて刃組立体により切断する。更に食品を細かくするために、刃組立体の下流側に他の切断ツールを配置してもよい。
【0033】
本明細書に記載の他の実施例と組み合わせ得る本開示の他の実施例において、例えば(しかし非限定的に)上述のような実施例によれば、更に切断ヘッドと呼ばれてもよい切断システムであって、切断ヘッドに供給され遠心力によって切断ヘッドの円周に押し付けられる生産品を切断するために、切断ヘッドの円周に沿って位置付けられた少なくとも2つの刃組立体を有する、そのような切断システムを提供する。このような切断ヘッドは、基部と、基部に固定するように、又は回転可能に嵌合され、切断ヘッドに供給される生産品を切断するために切断ヘッドの円周に沿って配置される刃組立体を有する、上述のような切断ヘッドと、切断ヘッドと同心円状に回転し、切断ヘッドに供給される生産品を遠心力によって切断ヘッドの円周に向かわせるためのインペラと、少なくともインペラを第1回転速度で駆動し、可能であれば切断ヘッドも第2回転速度で駆動し、第1回転速度と第2回転速度の差によって切断速度を設定する駆動機構とを備える、生産品切断用の装置に用いられてもよい。
【発明の効果】
【0034】
この切断ヘッド構造は、各面が異なる形状の印象をもつ食品を生成することを可能とする。
【0035】
本開示は、以下の説明と添付の図面によって更に明確となろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】先行技術の刃組立体を示す。
図2】本開示に係る刃組立体の実施例を示す。
図3図2の刃組立体の切刃、ホルダー及び摺動部を示す。
図4図3のホルダー及び摺動部の裏面を示す。
図5図2の刃組立体の一部の詳細を示す。
図6】本開示に係るホルダーの代替の実施例の図を示す。
図7】本開示に係るホルダーの代替の実施例の異なる図を示す。
図8図2の刃組立体のクランプの図を示す。
図9図2の刃組立体のクランプの異なる図を示す。
図10図2の刃組立体の断面図を示す。
図11図10の詳細を示す。
図12】本開示に係る刃組立体の代替の実施例を示す。
図13】本開示に係る刃組立体の代替の実施例を示す。
図14】本開示の実施例に係る刃組立体を用いた切断装置の切断ヘッドを示す。
図15】本開示の実施例に係る刃組立体を用いた切断装置の切断ヘッドを示す。
図16】平面切刃と共に用いることに適した、本開示の実施例に係るクランプの図を示す。
図17】平面切刃と共に用いることに適した、本開示の実施例に係るクランプの図を示す。
図18】平面切刃と共に用いることに適した、本開示の実施例に係る代替のクランプを示す。
図19】本開示の実施例に係るクランプを示す。
図20】本開示の実施例に係るクランプを示す。
図21】クランプ状態にある、本開示の実施例に係る刃組立体の断面図を示す。
図22】本開示の実施例に係るクランプを示す。
図23図12及び13の刃組立体の断面図を示す。
図24】本開示の全体的な概説を示す。
図25】他の先行技術の刃組立体を示す。
図26】刃組立体の他の可能性の実施例を示す。
図27】本開示の刃組立体の更なる実施例を示す。
図28】本開示の刃組立体の更なる実施例を示す。
図29】本開示の刃組立体の更なる実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明を、特定の実施例について、幾つかの図面を参照しながら説明するが、本発明は、これらに限定されず、請求項によってのみ限定される。説明する図面は、単に概略的で非限定なものである。図面において、幾つかの要素の大きさは、例示の目的で誇張されていたり、尺度の通りに描かれていなかったりすることがある。寸法や相対寸法は、本発明の現実の実施化に対応せずともよい。
【0038】
また、本明細書及び請求項における第1、第2、第3等の用語は、類似要素を区別するためのものであり、連続的あるいは時系列的順序を必ずしも説明するものではない。これらの用語は適当な環境下において置換可能であり、本発明の実施例は、ここに記載又は示す順序と異なる順序での作用が可能である。
【0039】
また、本明細書及び請求項における頂部、底部、上方、下方等の用語は、便宜的なものであり、相対位置を必ずしも説明するものではない。こうして使用される用語は適当な環境下において置換可能であり、本発明の実施例は、ここに記載又は示す配置と異なる配置での作用が可能である。
【0040】
また、様々な実施例が「好適な」として言及されているが、それらは本発明の範囲を限定するものとしてよりも、本発明を実施する代表的なものとして解釈されるべきである。
【0041】
請求項において使用される用語「備える」は、その前に列記された要素又は工程に制限されると解釈されるべきでなく、その他の要素又は工程を排除するものではない。当該用語は、記載された特徴、要素、工程又は構成要素の存在を言及した通りに明記するものと解釈されるべきだが、1つ以上の特徴、要素、工程若しくは構成要素又はそれらの群の存在又は追加を除外するものであってはならない。つまり、「AとBとを備えるデバイス」という表現の範囲は、構成要素AとBのみからなるデバイスに限定されるべきでなく、むしろ本発明については、デバイスの構成要素として列挙されたのがA及びBであるというだけであり、更に、請求項は、これらの構成要素の均等物をも含むと解釈されるべきである。
【0042】
明細書全体を通じて、クランプは、本開示でいえばホルダー上の切刃のような機械的又は構造的部品を、結合、把持、支持又は圧迫するのに使用される様々なデバイスのいずれかを意味する。ホルダーは、本開示でいえばホルダー上の切刃のような機械的又は構造的部品を、保持又は支持するのに使用される様々なデバイスのいずれかを意味する。締付幾何学的要素は、切刃の対応する接触幾何学的要素と係合するように配置されるクランプの任意の点、線、領域、概して表面部又は部分を意味する。図24は、本発明の全体的な概略図を示し、前縁部410が刃先である切刃400、図示のように若干凹状であってもよく切刃400を支持するように構成されたホルダー430、及び、ホルダー上に切刃400をクランプするように配置されることにより、切刃の相補的接触線に対応して前縁部よりも後方において図面に垂直な方向で(従ってここでは点で表される)締付線440を有するクランプ420のみを、仮想寸法及び形状によって示す。クランプは、この締付線440において切刃400に接触してそれをクランプするクランプ部(例えば、ここで説明するフィンガーの先端)を備える。クランプは、切刃の相補的接触幾何学的要素450に対応する少なくとも1つの締付幾何学的要素450を備え、この締付幾何学的要素450は、少なくとも部分的に、前縁部410から締付線440とは異なる距離、好適には前縁部から締付線よりも更に後方に、位置付けられている。クランプ部及び締付幾何学的要素450は、クランプ状態において、締付線440及び切刃400の対応する締付幾何学的要素450で、クランプ420が切刃400と係合するように、配置される。
【0043】
以下、平面切刃の刃組立体及び波形刃組立体の刃組立体の実施例を説明する。平面切刃の刃組立体は、それ自体は本請求項の範囲外にあるが、比較例として含まれる。更に、平面切刃の刃組立体の多くの特徴が波形刃の刃組立体に存在してもよく、その逆もまた然りであり、例えば(これらに限定はされないが)、斜切部とその長さ、複数の孔と協働する複数の固定要素を備える締結機構、クランプ状態においてホルダー上の切刃の移動範囲を制限するように切刃の後縁と係合するように配置された停止部と停止要素、及び、締結機構を締める前にホルダー上の切刃及びクランプを正確に位置付けするための位置付け手段等がある。
【0044】
本開示によれば、提供される刃組立体は、前縁部410が刃先である切刃101,200,400と、切刃101,200,400を支持するように構成されたホルダー100,201,430と、ホルダー100,201,430上に切刃101,200,400をクランプするように配置されたクランプ102,202,420,600と、ホルダー100,201,430及びクランプ102,202,420,600と協働して、切刃101,200,400を、刃先410が前側に突出するように、クランプ102,202,420,600とホルダー100,201,430との間に固定する締結機構103,203とを備え、それにより、クランプ102,202,420,600は、切刃101,200,400における相補的接触線に対応する前縁部よりも後方に締付線120,220,440,620を有する。クランプ102,202,420,600は、切刃101,200,400の相補的接触幾何学的要素に対応する1つ以上の締付幾何学的要素115,215,450,615を備え、このクランプ102,202,420,600は、クランプ状態においてそのクランプ102,202,420,600が切刃101,200,400の対応する接触幾何学的要素115,215,450,615と係合するように、少なくとも部分的に、前縁部から締付線120,220,440,620とは異なる距離、好適には更に後方に位置付けられる。
【0045】
本開示によれば、刃組立体は、組み立てられているが、非クランプ状態において、クランプ102,202,600の締付幾何学的要素115,215,450,615が、切刃101,200,400の対応する接触幾何学的要素115,215,450,615と係合せず、且つ、クランプ状態、すなわち締結機構が締められている状態において、クランプ102,202,600の締付幾何学的要素115,215,450,615が、切刃101,200,400の対応する接触幾何学的要素115,215,450,615と係合するように配置されてもよい。
【0046】
本開示によれば、図18に例示するように、締付線120,220,440,620が、切刃101,200,400の相補的接触線に対応して、第1締付線120,220,440,620を画成し、且つ、1つ以上の締付幾何学的要素115,215,450,615が、第2締付線625、及び、場合により第1締付線と第2締付線との間の1つ以上の第3締付線(不図示)となる、刃組立体が更に提供される。これらの締付線は、好適には、互いに平行である。
【0047】
本開示によれば、図8〜11及び図16,17に例示するように、締付線120,620が、切刃101の相補的接触線に対応して、第1締付線120,620を画成し、且つ、締付幾何学的要素115,615が、第1締付線120,620をその一部とする締付面115,615である刃組立体が提供される。
【0048】
本開示によれば、クランプ102,202,420,600が、締付線120,220,440,620を画成する第1部分と、1つ以上の幾何学的要素115,215,450,615を画成する第2部分とを備える、刃組立体が提供される。
【0049】
本開示によれば、クランプ102,202,420,600が、非クランプ状態において、締付幾何学的要素115,215,450,615が切刃101,200,400の対応する接触面からオフセットし、且つ、クランプ状態において、締付幾何学的要素115,215,450,615が切刃101,200,400の対応する接触面と所定の締付力で係合するように構築された刃組立体が提供される。
【0050】
本開示の実施例において、切刃101,200は、一定の長さに亘って山部及び谷部の周期的パターンを画成する連続した形状を有する波形部を覆う、波形切刃101,200である。
【0051】
本開示の更なる実施例において、クランプ101,202は、切刃101,200のものと相補的な内向波形状116を有し、好適には、クランプは、先端同士が第1部分を形成し、後方部同士が第2部分を形成する複数のフィンガーを備え、そのフィンガー及び先端が波形状を画成する。
【0052】
本開示の実施例において、クランプ101,202は、切刃101,200のものと相補的な内向波形状116を持ち、好適には、クランプは、複数のフィンガーを備え、その後方部は、切刃の傾斜部分に接するように配置されるフィンガーの側面を備える。
【0053】
本開示の代替の実施例において、刃組立体は、平面切刃101,200,400である切刃101,200,400を提供する。
【0054】
本開示によれば、締付幾何学的要素115,215,450,615は、クランプ状態において、クランプ102,202,420,600が、切刃101,200,400の対応する接触幾何学的要素と、締付幾何学的要素115,215,450,615の全長に亘って連続的に係合するように配置されてもよい。
【0055】
本開示の実施例において、刃組立体は、切刃101,200,400の谷部と係合するように配置される内向斜切部分115を有する。
【0056】
その実施例において、内向斜切部分115は、少なくとも1mm、好適には最大で20mm、より好適には最大で15mm、より好適には最大で10mmの長さを有する。
【0057】
本開示の実施例において、クランプ102,202は、クランプ状態において刃ホルダー100,201上の切刃101,200の移動の範囲を制限するように、切刃101,200の後縁部108,205と係合するように配置される停止部204を備える。
【0058】
本開示の実施例において、締結機構103,203は、ホルダー100,201及び/又はクランプ102,202に設けられる複数の孔106と協働する複数の固定要素を備える。
【0059】
その実施例において、固定要素は、クランプ状態においてホルダー100,201上の切刃101,200の移動の範囲を制限するように、切刃の後縁部108,205と係合するように配置される停止要素107を設ける。
【0060】
その更なる実施例において、停止要素107のそれぞれは、所定の場所で切刃101,200の後縁部108,205と係合するように配置され、それをホルダー100,201に押し下げるように成形された部分109を備える。実施例において、この成形された部分はテーパ部でもよく、係合される切刃の形状に応じて、軸方向に凹状又は軸方向に凸状とすることができる。
【0061】
本開示に係る実施例において、クランプは、非クランプ状態において、締付幾何学的要素、特に斜切部分115が切刃101,200の対応する接触面からオフセットし、クランプ状態において、締付幾何学的要素、特に斜切部分115が切刃101,200の対応する接触面と所定の締付力で係合するように構成される。このオフセットは、締結手段をクランプ状態へ締めたときに、斜切部分115が切刃の対応する接触面に、略全体的且つ連続的に接触するように選択される、所定のものである。
【0062】
本開示に係る実施例において、クランプ状態における切刃101,200,400は、ホルダー100,201,430の縁部から所定の長さだけ延出する。
【0063】
その更なる実施例において、クランプ状態における切刃101,200,400は、ホルダー100,201,430の縁部から、少なくとも1mm、好適には最大で4mm、より好適には最大で3mm、より好適には2.5mmだけ延出する。
【0064】
本開示によれば、ホルダー100,201,430は、切刃101,200,400の波形状に対応して、一定の長さに亘る連続的な波形状を有する裏面111を備えてもよい。
【0065】
本開示は、その円周に沿って位置付けられた少なくとも1つの刃組立体を有する切断システム300を更に提供する。
【0066】
その実施例において、ドラムとも呼ばれるこの切断システムは、1つの刃組立体を有し、固定され、食品をドラムに供給して例えばインペラを用いて回転させることで、その食品を遠心力によりドラムの円周に押し付けて刃組立体により切断するようになっている。更に食品を細かくするために、刃組立体の下流側に他の切断ツールを配置してもよい。
【0067】
本開示は、例えば上述のように、切断ヘッド300に供給された生産品を切断するように切断ヘッド300の円周に沿って位置付けられた少なくとも二つの刃組立体301,302を有し、基部に回転可能に嵌合させるようになっている切断ヘッド300を更に提供する。
【0068】
本開示は、基部と、切断ヘッド300に供給された生産品を切断するように切断ヘッド300の円周に沿って位置付けられた刃組立体を有し、基部に回転可能に嵌合された上述のような切断ヘッド300と、切断ヘッド300と同心円状に回転し、切断ヘッドに供給される生産品を遠心力によって切断ヘッド300の円周に向かわせるためのインペラと、少なくともインペラを第1回転速度で駆動する駆動機構とを備える、生産品切断用の装置を更に提供する。
【実施例】
【0069】
その実施例において、装置は、第2回転速度で切断ヘッド300を駆動する第2駆動機構を備え、第2回転速度は、インペラの第1回転速度とは異なる。
【0070】
図1は、ホルダー100上に斜め方向に位置付けられた波形切刃101を具備する先行技術の刃組立体を示す。切刃101は、クランプ102と複数の締結具103とによって刃ホルダー100に固定される。クランプは、先端が(締付線120に沿って)切刃101に接するように配置される複数のフィンガーを有する。
【0071】
図25は、他の先行技術の刃組立体を示す。各部品(ホルダー、刃及びクランプ)は、プレス成形によって直線状から波形状に形成される。クランプと刃とは、前線に沿って部分的にのみ接する。刃とクランプとの間には、間隙127が存在する。この間隙には食品が無理に押し込まれてしまうのを許容するという欠点があり、最終的には間隙が広がってしまうという、望ましくない事態が知られている。
【0072】
図2は、本開示に係る刃組立体の実施例を示す。本実施例において、クランプ102は、より長い接触面に亘って切刃101と係合するように配置させることができ、それにより、食品切断時の切刃101の移動(揺動)を大幅に抑制又は排除できる。
【0073】
図2に示す刃組立体は、波形状の切刃101を支持するように配置された波形状を有するホルダー100と、ホルダー100上に切刃101をクランプするクランプ102とを備える。切刃101は、複数の固定要素103、例えば適合する孔と協働するように配置されるボルトを有する締結機構によって、クランプ102とホルダー100との間に固定させることができる。また、図14,15に示す切断装置のような切断装置の摺動部104に、刃組立体を取り付けてもよい。図3に示すように、ホルダー100に、クランプ102とホルダー100との間に切刃を固定する締結機構の固定要素103を受容するように配置される孔106を設けてもよい。切刃は、図2、更に図10に示すように、ホルダーの端から所定の距離だけ延出するように配置されてもよい。通常、この距離によって、スライスされた食品の厚みが決まるため、食品が不均一に切断されて生産収率が著しく低下しないように、一定の長さを保つ必要がある。ホルダーから延出する切刃の距離を維持するために、ホルダー100上の特定の位置に複数の停止要素107を設けてもよい。停止要素107は、図5に示すように、ホルダー100上の切刃101の移動の範囲を制限するように、切刃の後縁部108と係合するように使用できる。言い換えれば、停止要素107は、食品の切断時に少なくとも一方向、例えば横方向の切刃101の移動を防ぐバックストップとして機能する。停止要素107には更に、切刃101の後縁部108と係合し切刃101をホルダー100に押し下げることにより、ホルダー100上での切刃101の移動の範囲を制限するように配置されるテーパ部109が設けられてもよい。停止要素107の形状は更に、ホルダー100に設けられた適合する孔110の相補的形状に対応するように配置されてもよい。これにより、停止要素107をホルダー100上の所定の場所に係止することができ、食品の切断時にも緩まないことが確実となる。本開示に係る実施例において、停止要素107は、締結機構の一部であってもよい。
【0074】
本開示の実施例において、図4に示すように、ホルダー100には、切刃101の波形状に適合するように配置された波形状を有する裏面111が更に設けられてもよい。更に、摺動部104にも、ホルダー100の波形状に好適に適合する波形状が設けられてもよい。このホルダー100の裏面と摺動部104の構成は、スライスされる生産品と一緒に切断装置内に石が侵入するのを低減し、そうした石による切刃への損傷を防ぐことができる。また、波形状の溝によって、切断装置の内部を回転する生産品とホルダーの裏面との間に生じる摩擦が低減しうる。
【0075】
図6及び図7に、ホルダー100の代替の実施例を示す。図2〜4に示した上述の実施例に対する主な違いは、この場合の摺動部104がホルダー100に組み込まれており、それにより、図14及び図15に示すような切断装置に取り付けることのできる単一の部分を形成する点である。この一体化による解決手段の更なる利点として、この場合におけるホルダー100は、更に後方に延出する、すなわち、締結ねじ103から後方への延出部分を有するクランプ(不図示)(図2の実施例では、クランプの背後の隆起により、そうした延長は不可能である)を収容する空間を有していることである。これは、締結ねじ103の支点がより良い位置にあるという利点も有している。一般的な先行技術の刃組立体においては、ねじは約70:30の比率の位置にあり、すなわち、前縁部よりもクランプの後部の方に近い。これは、ねじが、クランプの最前部にその力の30%しか付与しないことを意味する。図6及び図7のホルダー100は、より大きなクランプ、すなわち更に後方に延出するクランプを受容することができ、そして比率を例えば50:50まで向上させることができ、クランプの後部と最前部との略中間にねじ103を配置することができる。
【0076】
図8,9に、本開示に係るクランプ102の実施例を示す。クランプ102は、クランプ状態において所定の位置で切刃と係合するように配置される、平坦部114から突出した傾斜部分113を備える。クランプの平坦部114には、ホルダー100とクランプ102との間に切刃101を固定する締結機構の固定要素103を受容するように配置される孔106を設けてもよい。クランプ102は、例えば切刃101の相補的接触面に対応する締付面を画成しうる内向斜切部分として画成することができる締付幾何学的要素115を備える。図10及び図11の断面図に示すように、内向斜切部分115は一定の長さに延在してもよい。
【0077】
本開示に係る実施例において、内向斜切部分115の長さ(前縁部に対して垂直の方向において計測される)は、少なくとも1mm、好適には最大で20mm、より好適には最大で15mm、更により好適には最大で10mmである。
【0078】
本開示に係る実施例において、内向斜切部分115、あるいは全般的に幾何学的要素は、クランプ102が内向斜切部分115の全長に亘って、切刃101の対応する接触面と係合するように、クランプ状態において切刃101の接触面と適合するように配置させることができる。このクランプ102の構造により、切刃を長い方の接触面に確実にクランプすることが可能となり、先行技術に対して食品切断時の切刃の移動が著しく抑制される。
【0079】
本開示の実施例において、クランプがホルダーにクランプされていない非クランプ状態における内向斜切部分115は、切刃の接触面からオフセットしていてもよい。このオフセットは、締結手段をクランプ状態へ締めたときに、斜切部分115が切刃の対応する接触面に、略全体的且つ連続的に接触するように選択される、所定のものである(例えば図11及び図21を参照)。
【0080】
本開示に係る実施例において、図2及び図10に示すように、クランプ102は、締付幾何学的要素115,215,450及び650のそれぞれが切刃の谷部とそれぞれ係合するように配置されてもよい。この構成により、等しい量の圧力を切刃101の全面に亘って確実に与えられる。
【0081】
本開示に係る代替の実施例(不図示)において、当業者に知られる他の締付構成についても検討する。例えば、内向斜切部分115が、切刃101の谷部と1つおきに係合する交互締付構造や、同様の構造を用いてもよい。
【0082】
本開示の実施例において、クランプ102には、切刃101の波形状に対応する内向波形状を更に設けてもよい。この波形状は、図8及び図9に示すように、傾斜部分105の一部にかかるクランプ102の裏面に設けることができる。この構成により、クランプ状態において、クランプ102を、切刃101の谷部以外の位置、例えば山部及び/又はそれらの間の傾斜部分と係合させることができる。従って、先行技術に対して切刃101をホルダー100によりよく固定することができる。
【0083】
図12及び図13に、本開示に係る刃組立体の代替の実施例を示す。本実施例において、切刃200の波形状は、大きな振幅の断面を有する略台形状である。例えば、切刃200の波形の振幅は、少なくとも1.0mm、好適には最大で20.0mm、より好適には最大で10.0mmである。ホルダー201には、切刃200を支持するのに適した波形状を設けてもよい。本開示の前述の実施例のように、クランプ202は、複数の固定要素、例えばボルトを備える締結機構203により切刃200をホルダー201上に固定するのに用いられてもよい。本実施例のクランプ202には、図13に示すように、切刃200の後縁部と係合するように配置される停止部204を設けてもよい。停止部204は、食品の切断時に少なくとも一方向、例えば横方向の切刃101の移動を防ぐバックストップとして機能する。本開示に係る実施例において、停止部204は停止要素107と組み合わせて用いてもよい。本開示の前述の実施例のように、クランプ202には、切刃の接触面に対応する締付面を画成する内向斜切部分を設けてもよい。これにより、切刃200を、クランプ202によって、より大きな接触面に亘ってクランプすることができる。
【0084】
図16〜18は、平面切刃をクランプするための、孔601を有する、本開示に係るクランプ600を示す。図16,17はそれぞれ、切刃全体に接する半径を有する部分602(ホルダーは相補的に湾曲している)を示し、図18は、斜切部分603の先端620とヒール部625とにおける2本の線に接する平坦部602を示す。図19,22及び23に、図12,13のクランプ202と同様のクランプ700の異なる図を示す。クランプは、締結機構のための孔701が設けられたクランプ700の平坦部から外へ向かって斜め方向に延出するフィンガー710を有する。フィンガー710には、所定の位置で波形切刃702と係合するように配置される締付幾何学的要素715が設けられる。図20及び図21は、図8〜11のクランプ102と同様のクランプ650の異なる図を示す。クランプは、ホルダー670に締結されるクランプをホルダー670に締結する締結機構のための孔651が設けられたクランプ650の平坦部から外へ向かって斜め方向に延出するフィンガー660を有する。フィンガー660には、所定の場所で波形切刃601と係合するように配置される締付幾何学的要素、具体的には斜面665,667及び先端面666が設けられる。これらすべての場合において、クランプの最前縁部における単一の締付線だけに刃が沿う代わりに、少なくとも2箇所で刃が保持される。
【0085】
図23に、本開示に係る刃組立体の実施例、具体的には図19及び図22のクランプ700の実施例の断面上面図を示す。示されているように、クランプは、クランプ状態において全幅に亘って切刃に堅く嵌合する形状を有する。具体的には、クランプ700には、先端(不図示)において波形切刃702と係合するように配置されるフィンガー710が設けられ、切刃702の波形状によって形成される谷部の側壁に波形切刃と係合するように配置される締付幾何学的要素115を有する。フィンガー710は、ギャップ717がクランプ700の後縁部の近くで切刃702とクランプ700との間に存在するように、斜め方向に配置され得る。このギャップ717は、先端とその側面が切刃に接するフィンガー710によって、その上側を略封鎖されている。言い換えれば、この嵌合によって、切断される生産品とクランプとの接触の第1線において、切断された生産品の小片がギャップに入るのを防止する。また、図示される本開示の他の実施例において、クランプは、切刃とクランプとの間を切断された生産品の小片が貫通するのを防ぐ程度に、切刃上に堅く嵌合する。
【0086】
本開示の実施例に係る刃組立体は、図14及び図15に示すように、切断装置の切断ヘッドに更に嵌合させてもよい。
【0087】
図14及び図15は、切断装置(不図示)の切断ヘッド300を示す。切断ヘッド300は、切断ヘッドに供給される生産品を切断するために切断ヘッド300の円周に沿って位置付けられた複数の刃組立体301を備える。切断ヘッドは、切断装置の基部(不図示)に回転可能に嵌合する。切断装置は、切断ヘッド300と同心円状に回転し、切断ヘッド300に供給される生産品を遠心力によって切断ヘッド300の円周に向かわせるようになっているインペラ(不図示)を更に備えてもよい。インペラは、第1駆動機構(不図示)によって第1回転速度で駆動してもよい。本開示に係る実施例において、切断ヘッドは更に、第2駆動機構(不図示)によって第2回転速度で駆動させてもよい。ある実施例において、インペラの回転速度は切断ヘッド300の回転速度と異なっていてもよい。
【0088】
本開示の実施例において、切断ヘッド300には、第1形状の切刃を有する第1刃組立体301と、第1刃組立体とは異なっていてもよい第2形状の切刃を有する第2刃組立体302とを取り付けてもよい。例えば、第1刃組立体301は波形切刃を有してもよい一方で、第2刃組立体302には平坦形状切刃を具備させてもよい。更なる例において、第1組立体301の切刃は波形状を有してもよく、第2刃組立体302の切刃の波形状とは異なるように配置されてもよい。この切断ヘッド構成は、その面のそれぞれが異なる形状の印象を有する食品を製造するために用いられる。
【0089】
本開示の上述の実施例において、食品の切断時に、具体的にはクランプ及び刃に、且つ/又は、刃及びホルダーに完全に相補的な形状を設けることで、より具体的には切刃、クランプ、ホルダーのいずれかの要素同士の空間に挟まる食品の量を著しく削減、又は取り除くように改善された、切刃の刃組立体が提供されうる。その更なる実施例において、研削を用いることによって、具体的には、嵌合が略相補的となるまで上述の形状を得るために研削プロセスの使用をプログラムし、ひいてはその形状をプログラムすることによって完璧な嵌合が実現する。
【0090】
その更なる実施例において、特に波状のような頂部及び底部において対称的な形状を有する切刃を用いる場合、クランプ及びホルダーに対して、更に、切断システム又はヘッド若しくはドラムの内側にも溝を形成したい場合は、切断システム又はヘッド若しくはドラムの部品に対しても単一且つ同一の研削ディスクを用いることができる。
【0091】
図26は、切断システム(ヘッド又はドラム)用の刃組立体の代替の可能性を示す。この可能性において、刃組立体は、刃801が取り付けられた切断ステーション800を備える。刃801は、実際には、本明細書に記載の他の実施例で説明した刃ホルダー201であるが、研削作業によって尖らせられているため、それ自体が刃となっている。研削作業を、台形の波形状が得られた後に上側で終了することで、前方切断縁部の後ろに山部が得られる。この刃の利点は、切断中に、刃の山部803よりも先に、刃の谷部802が食品に接触して、食品がより連続的に切断されるため、食品の切断の品質が向上し、刃の摩耗が抑制されることである。この原理は、三角形の波形状(例えば刃ホルダー100を尖らせ、それ自体が刃となっているような)、正弦波形の波形状、又は他の反復的若しくは非反復的形状といった他の形状の刃にも適用することができる。
【0092】
図27〜29は、ホルダー902上の位置決めピン904,905と、切刃901及びクランプ900における対応する孔906,907とを有する、本開示に係る刃組立体の更なる実施例を示す。これらのピン及び孔は、この実施例での、クランプ900における正確な位置決めができるように成形されたスロット909にボルト908を通すことで形成される締結機構を締める前に、ホルダー902上に切刃901とクランプ900を正確に位置付ける位置付け手段として機能する。これらの、図27〜29に示すピン及び孔以外の手段によっても実現できる位置付け手段は、上述の切刃へのクランプの堅い嵌合の実現、すなわち、クランプと切刃の間を食品の小片が貫通するのを防ぐのに有益である。図27〜29において、位置付け手段は平面切刃を用いた実施例に示されるが、ここに説明したような波形切刃を用いた実施例にもこのような位置付け手段を設けられることは明白である。
【0093】
本開示に係る更なる実施例において、刃組立体は、一般に切断ホイールと、切断ホイールに向けて食品を供給するコンベヤーとを備える、欧州特許公開第1584429号A1明細書に記載される型式の切断装置に嵌合するように設けられてもよい。切断ホイールはキャップの下の切断空間に回転可能に取り付けられ、この切断空間内で(通常は)水平軸線回りに回転する。食品は、例えば二重エンドレスベルト、V字状コンベヤー、又は平坦エンドレスコンベヤーベルトといったコンベヤーによって、キャップの下の切断空間へ向けて搬送される。このような装置の切断ホイールは、切断ホイールの径方向に延びる複数の切断要素によって相互接続されたハブと外縁とを備える。本開示によれば、これらの切断要素は、当業者に知られている固定手段を用いてハブと外縁に取り付けられるように設けられたホルダーと共に、ここに記載した刃組立体として具体化される。
【0094】
本開示に係る更なる実施例において、刃組立体は、当業者に知られる他の型式の切断装置に嵌合するように設けられてもよい。
【0095】
本開示に係る更なる実施例において、刃組立体は、所謂千切りタブ(julienne tabs)を有する切刃(平坦又は波形)と共に用いられてもよい。このような切刃を用いると、食品が一度で2方向に切断される。このような切刃は、例えば、じゃがいもからフライドポテトを切り出す時や、レタスを切断する時、又は他の食品を切断する時に用いることができる。本実施例における切刃は、大きな刃と、例えば切刃に対して略垂直で、切刃に対して角度を有して延びる多数の小さな刃(千切りタブ)とを備える。千切りタブは、切刃の屈曲セクションとして設けられるか、追加の刃として大きな刃に対して溶接若しくは永久に固定されるように設けられてもよい。大きな刃と千切りタブの刃先は同一平面上であってもなくてもよく、千切りタブの刃先は、例えば大きな刃の切刃の後に続くようにしてもよい(つまり、大きな刃が先に切断する)。千切りタブの前方切断縁部は、大きな刃の前方切断縁部からの距離が全て同じであってもよいし、例えば千鳥状に又は交互に配置された構成で、大きな刃の前方切断縁部からの距離が異なるように位置してもよい。本明細書に記載したような刃組立体のクランプには、作業圧力を緩めたり、所望の切断がより維持されたりするように、千切りタブを収容し安定させるためのスロットを設けてもよい。図14,15に示すような型式及び/又は例えば国際公開第2012/139988号に記載される例の切断ヘッド及び/又は切断装置の場合、千切りタブは、後続の切断ステーションのスロットによっても、あるいは更に安定させてもよい。
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