【実施例】
【0069】
その実施例において、装置は、第2回転速度で切断ヘッド300を駆動する第2駆動機構を備え、第2回転速度は、インペラの第1回転速度とは異なる。
【0070】
図1は、ホルダー100上に斜め方向に位置付けられた波形切刃101を具備する先行技術の刃組立体を示す。切刃101は、クランプ102と複数の締結具103とによって刃ホルダー100に固定される。クランプは、先端が(締付線120に沿って)切刃101に接するように配置される複数のフィンガーを有する。
【0071】
図25は、他の先行技術の刃組立体を示す。各部品(ホルダー、刃及びクランプ)は、プレス成形によって直線状から波形状に形成される。クランプと刃とは、前線に沿って部分的にのみ接する。刃とクランプとの間には、間隙127が存在する。この間隙には食品が無理に押し込まれてしまうのを許容するという欠点があり、最終的には間隙が広がってしまうという、望ましくない事態が知られている。
【0072】
図2は、本開示に係る刃組立体の実施例を示す。本実施例において、クランプ102は、より長い接触面に亘って切刃101と係合するように配置させることができ、それにより、食品切断時の切刃101の移動(揺動)を大幅に抑制又は排除できる。
【0073】
図2に示す刃組立体は、波形状の切刃101を支持するように配置された波形状を有するホルダー100と、ホルダー100上に切刃101をクランプするクランプ102とを備える。切刃101は、複数の固定要素103、例えば適合する孔と協働するように配置されるボルトを有する締結機構によって、クランプ102とホルダー100との間に固定させることができる。また、
図14,15に示す切断装置のような切断装置の摺動部104に、刃組立体を取り付けてもよい。
図3に示すように、ホルダー100に、クランプ102とホルダー100との間に切刃を固定する締結機構の固定要素103を受容するように配置される孔106を設けてもよい。切刃は、
図2、更に
図10に示すように、ホルダーの端から所定の距離だけ延出するように配置されてもよい。通常、この距離によって、スライスされた食品の厚みが決まるため、食品が不均一に切断されて生産収率が著しく低下しないように、一定の長さを保つ必要がある。ホルダーから延出する切刃の距離を維持するために、ホルダー100上の特定の位置に複数の停止要素107を設けてもよい。停止要素107は、
図5に示すように、ホルダー100上の切刃101の移動の範囲を制限するように、切刃の後縁部108と係合するように使用できる。言い換えれば、停止要素107は、食品の切断時に少なくとも一方向、例えば横方向の切刃101の移動を防ぐバックストップとして機能する。停止要素107には更に、切刃101の後縁部108と係合し切刃101をホルダー100に押し下げることにより、ホルダー100上での切刃101の移動の範囲を制限するように配置されるテーパ部109が設けられてもよい。停止要素107の形状は更に、ホルダー100に設けられた適合する孔110の相補的形状に対応するように配置されてもよい。これにより、停止要素107をホルダー100上の所定の場所に係止することができ、食品の切断時にも緩まないことが確実となる。本開示に係る実施例において、停止要素107は、締結機構の一部であってもよい。
【0074】
本開示の実施例において、
図4に示すように、ホルダー100には、切刃101の波形状に適合するように配置された波形状を有する裏面111が更に設けられてもよい。更に、摺動部104にも、ホルダー100の波形状に好適に適合する波形状が設けられてもよい。このホルダー100の裏面と摺動部104の構成は、スライスされる生産品と一緒に切断装置内に石が侵入するのを低減し、そうした石による切刃への損傷を防ぐことができる。また、波形状の溝によって、切断装置の内部を回転する生産品とホルダーの裏面との間に生じる摩擦が低減しうる。
【0075】
図6及び
図7に、ホルダー100の代替の実施例を示す。
図2〜4に示した上述の実施例に対する主な違いは、この場合の摺動部104がホルダー100に組み込まれており、それにより、
図14及び
図15に示すような切断装置に取り付けることのできる単一の部分を形成する点である。この一体化による解決手段の更なる利点として、この場合におけるホルダー100は、更に後方に延出する、すなわち、締結ねじ103から後方への延出部分を有するクランプ(不図示)(
図2の実施例では、クランプの背後の隆起により、そうした延長は不可能である)を収容する空間を有していることである。これは、締結ねじ103の支点がより良い位置にあるという利点も有している。一般的な先行技術の刃組立体においては、ねじは約70:30の比率の位置にあり、すなわち、前縁部よりもクランプの後部の方に近い。これは、ねじが、クランプの最前部にその力の30%しか付与しないことを意味する。
図6及び
図7のホルダー100は、より大きなクランプ、すなわち更に後方に延出するクランプを受容することができ、そして比率を例えば50:50まで向上させることができ、クランプの後部と最前部との略中間にねじ103を配置することができる。
【0076】
図8,9に、本開示に係るクランプ102の実施例を示す。クランプ102は、クランプ状態において所定の位置で切刃と係合するように配置される、平坦部114から突出した傾斜部分113を備える。クランプの平坦部114には、ホルダー100とクランプ102との間に切刃101を固定する締結機構の固定要素103を受容するように配置される孔106を設けてもよい。クランプ102は、例えば切刃101の相補的接触面に対応する締付面を画成しうる内向斜切部分として画成することができる締付幾何学的要素115を備える。
図10及び
図11の断面図に示すように、内向斜切部分115は一定の長さに延在してもよい。
【0077】
本開示に係る実施例において、内向斜切部分115の長さ(前縁部に対して垂直の方向において計測される)は、少なくとも1mm、好適には最大で20mm、より好適には最大で15mm、更により好適には最大で10mmである。
【0078】
本開示に係る実施例において、内向斜切部分115、あるいは全般的に幾何学的要素は、クランプ102が内向斜切部分115の全長に亘って、切刃101の対応する接触面と係合するように、クランプ状態において切刃101の接触面と適合するように配置させることができる。このクランプ102の構造により、切刃を長い方の接触面に確実にクランプすることが可能となり、先行技術に対して食品切断時の切刃の移動が著しく抑制される。
【0079】
本開示の実施例において、クランプがホルダーにクランプされていない非クランプ状態における内向斜切部分115は、切刃の接触面からオフセットしていてもよい。このオフセットは、締結手段をクランプ状態へ締めたときに、斜切部分115が切刃の対応する接触面に、略全体的且つ連続的に接触するように選択される、所定のものである(例えば
図11及び
図21を参照)。
【0080】
本開示に係る実施例において、
図2及び
図10に示すように、クランプ102は、締付幾何学的要素115,215,450及び650のそれぞれが切刃の谷部とそれぞれ係合するように配置されてもよい。この構成により、等しい量の圧力を切刃101の全面に亘って確実に与えられる。
【0081】
本開示に係る代替の実施例(不図示)において、当業者に知られる他の締付構成についても検討する。例えば、内向斜切部分115が、切刃101の谷部と1つおきに係合する交互締付構造や、同様の構造を用いてもよい。
【0082】
本開示の実施例において、クランプ102には、切刃101の波形状に対応する内向波形状を更に設けてもよい。この波形状は、
図8及び
図9に示すように、傾斜部分105の一部にかかるクランプ102の裏面に設けることができる。この構成により、クランプ状態において、クランプ102を、切刃101の谷部以外の位置、例えば山部及び/又はそれらの間の傾斜部分と係合させることができる。従って、先行技術に対して切刃101をホルダー100によりよく固定することができる。
【0083】
図12及び
図13に、本開示に係る刃組立体の代替の実施例を示す。本実施例において、切刃200の波形状は、大きな振幅の断面を有する略台形状である。例えば、切刃200の波形の振幅は、少なくとも1.0mm、好適には最大で20.0mm、より好適には最大で10.0mmである。ホルダー201には、切刃200を支持するのに適した波形状を設けてもよい。本開示の前述の実施例のように、クランプ202は、複数の固定要素、例えばボルトを備える締結機構203により切刃200をホルダー201上に固定するのに用いられてもよい。本実施例のクランプ202には、
図13に示すように、切刃200の後縁部と係合するように配置される停止部204を設けてもよい。停止部204は、食品の切断時に少なくとも一方向、例えば横方向の切刃101の移動を防ぐバックストップとして機能する。本開示に係る実施例において、停止部204は停止要素107と組み合わせて用いてもよい。本開示の前述の実施例のように、クランプ202には、切刃の接触面に対応する締付面を画成する内向斜切部分を設けてもよい。これにより、切刃200を、クランプ202によって、より大きな接触面に亘ってクランプすることができる。
【0084】
図16〜18は、平面切刃をクランプするための、孔601を有する、本開示に係るクランプ600を示す。
図16,17はそれぞれ、切刃全体に接する半径を有する部分602(ホルダーは相補的に湾曲している)を示し、
図18は、斜切部分603の先端620とヒール部625とにおける2本の線に接する平坦部602を示す。
図19,22及び23に、
図12,13のクランプ202と同様のクランプ700の異なる図を示す。クランプは、締結機構のための孔701が設けられたクランプ700の平坦部から外へ向かって斜め方向に延出するフィンガー710を有する。フィンガー710には、所定の位置で波形切刃702と係合するように配置される締付幾何学的要素715が設けられる。
図20及び
図21は、
図8〜11のクランプ102と同様のクランプ650の異なる図を示す。クランプは、ホルダー670に締結されるクランプをホルダー670に締結する締結機構のための孔651が設けられたクランプ650の平坦部から外へ向かって斜め方向に延出するフィンガー660を有する。フィンガー660には、所定の場所で波形切刃601と係合するように配置される締付幾何学的要素、具体的には斜面665,667及び先端面666が設けられる。これらすべての場合において、クランプの最前縁部における単一の締付線だけに刃が沿う代わりに、少なくとも2箇所で刃が保持される。
【0085】
図23に、本開示に係る刃組立体の実施例、具体的には
図19及び
図22のクランプ700の実施例の断面上面図を示す。示されているように、クランプは、クランプ状態において全幅に亘って切刃に堅く嵌合する形状を有する。具体的には、クランプ700には、先端(不図示)において波形切刃702と係合するように配置されるフィンガー710が設けられ、切刃702の波形状によって形成される谷部の側壁に波形切刃と係合するように配置される締付幾何学的要素115を有する。フィンガー710は、ギャップ717がクランプ700の後縁部の近くで切刃702とクランプ700との間に存在するように、斜め方向に配置され得る。このギャップ717は、先端とその側面が切刃に接するフィンガー710によって、その上側を略封鎖されている。言い換えれば、この嵌合によって、切断される生産品とクランプとの接触の第1線において、切断された生産品の小片がギャップに入るのを防止する。また、図示される本開示の他の実施例において、クランプは、切刃とクランプとの間を切断された生産品の小片が貫通するのを防ぐ程度に、切刃上に堅く嵌合する。
【0086】
本開示の実施例に係る刃組立体は、
図14及び
図15に示すように、切断装置の切断ヘッドに更に嵌合させてもよい。
【0087】
図14及び
図15は、切断装置(不図示)の切断ヘッド300を示す。切断ヘッド300は、切断ヘッドに供給される生産品を切断するために切断ヘッド300の円周に沿って位置付けられた複数の刃組立体301を備える。切断ヘッドは、切断装置の基部(不図示)に回転可能に嵌合する。切断装置は、切断ヘッド300と同心円状に回転し、切断ヘッド300に供給される生産品を遠心力によって切断ヘッド300の円周に向かわせるようになっているインペラ(不図示)を更に備えてもよい。インペラは、第1駆動機構(不図示)によって第1回転速度で駆動してもよい。本開示に係る実施例において、切断ヘッドは更に、第2駆動機構(不図示)によって第2回転速度で駆動させてもよい。ある実施例において、インペラの回転速度は切断ヘッド300の回転速度と異なっていてもよい。
【0088】
本開示の実施例において、切断ヘッド300には、第1形状の切刃を有する第1刃組立体301と、第1刃組立体とは異なっていてもよい第2形状の切刃を有する第2刃組立体302とを取り付けてもよい。例えば、第1刃組立体301は波形切刃を有してもよい一方で、第2刃組立体302には平坦形状切刃を具備させてもよい。更なる例において、第1組立体301の切刃は波形状を有してもよく、第2刃組立体302の切刃の波形状とは異なるように配置されてもよい。この切断ヘッド構成は、その面のそれぞれが異なる形状の印象を有する食品を製造するために用いられる。
【0089】
本開示の上述の実施例において、食品の切断時に、具体的にはクランプ及び刃に、且つ/又は、刃及びホルダーに完全に相補的な形状を設けることで、より具体的には切刃、クランプ、ホルダーのいずれかの要素同士の空間に挟まる食品の量を著しく削減、又は取り除くように改善された、切刃の刃組立体が提供されうる。その更なる実施例において、研削を用いることによって、具体的には、嵌合が略相補的となるまで上述の形状を得るために研削プロセスの使用をプログラムし、ひいてはその形状をプログラムすることによって完璧な嵌合が実現する。
【0090】
その更なる実施例において、特に波状のような頂部及び底部において対称的な形状を有する切刃を用いる場合、クランプ及びホルダーに対して、更に、切断システム又はヘッド若しくはドラムの内側にも溝を形成したい場合は、切断システム又はヘッド若しくはドラムの部品に対しても単一且つ同一の研削ディスクを用いることができる。
【0091】
図26は、切断システム(ヘッド又はドラム)用の刃組立体の代替の可能性を示す。この可能性において、刃組立体は、刃801が取り付けられた切断ステーション800を備える。刃801は、実際には、本明細書に記載の他の実施例で説明した刃ホルダー201であるが、研削作業によって尖らせられているため、それ自体が刃となっている。研削作業を、台形の波形状が得られた後に上側で終了することで、前方切断縁部の後ろに山部が得られる。この刃の利点は、切断中に、刃の山部803よりも先に、刃の谷部802が食品に接触して、食品がより連続的に切断されるため、食品の切断の品質が向上し、刃の摩耗が抑制されることである。この原理は、三角形の波形状(例えば刃ホルダー100を尖らせ、それ自体が刃となっているような)、正弦波形の波形状、又は他の反復的若しくは非反復的形状といった他の形状の刃にも適用することができる。
【0092】
図27〜29は、ホルダー902上の位置決めピン904,905と、切刃901及びクランプ900における対応する孔906,907とを有する、本開示に係る刃組立体の更なる実施例を示す。これらのピン及び孔は、この実施例での、クランプ900における正確な位置決めができるように成形されたスロット909にボルト908を通すことで形成される締結機構を締める前に、ホルダー902上に切刃901とクランプ900を正確に位置付ける位置付け手段として機能する。これらの、
図27〜29に示すピン及び孔以外の手段によっても実現できる位置付け手段は、上述の切刃へのクランプの堅い嵌合の実現、すなわち、クランプと切刃の間を食品の小片が貫通するのを防ぐのに有益である。
図27〜29において、位置付け手段は平面切刃を用いた実施例に示されるが、ここに説明したような波形切刃を用いた実施例にもこのような位置付け手段を設けられることは明白である。
【0093】
本開示に係る更なる実施例において、刃組立体は、一般に切断ホイールと、切断ホイールに向けて食品を供給するコンベヤーとを備える、欧州特許公開第1584429号A1明細書に記載される型式の切断装置に嵌合するように設けられてもよい。切断ホイールはキャップの下の切断空間に回転可能に取り付けられ、この切断空間内で(通常は)水平軸線回りに回転する。食品は、例えば二重エンドレスベルト、V字状コンベヤー、又は平坦エンドレスコンベヤーベルトといったコンベヤーによって、キャップの下の切断空間へ向けて搬送される。このような装置の切断ホイールは、切断ホイールの径方向に延びる複数の切断要素によって相互接続されたハブと外縁とを備える。本開示によれば、これらの切断要素は、当業者に知られている固定手段を用いてハブと外縁に取り付けられるように設けられたホルダーと共に、ここに記載した刃組立体として具体化される。
【0094】
本開示に係る更なる実施例において、刃組立体は、当業者に知られる他の型式の切断装置に嵌合するように設けられてもよい。
【0095】
本開示に係る更なる実施例において、刃組立体は、所謂千切りタブ(julienne tabs)を有する切刃(平坦又は波形)と共に用いられてもよい。このような切刃を用いると、食品が一度で2方向に切断される。このような切刃は、例えば、じゃがいもからフライドポテトを切り出す時や、レタスを切断する時、又は他の食品を切断する時に用いることができる。本実施例における切刃は、大きな刃と、例えば切刃に対して略垂直で、切刃に対して角度を有して延びる多数の小さな刃(千切りタブ)とを備える。千切りタブは、切刃の屈曲セクションとして設けられるか、追加の刃として大きな刃に対して溶接若しくは永久に固定されるように設けられてもよい。大きな刃と千切りタブの刃先は同一平面上であってもなくてもよく、千切りタブの刃先は、例えば大きな刃の切刃の後に続くようにしてもよい(つまり、大きな刃が先に切断する)。千切りタブの前方切断縁部は、大きな刃の前方切断縁部からの距離が全て同じであってもよいし、例えば千鳥状に又は交互に配置された構成で、大きな刃の前方切断縁部からの距離が異なるように位置してもよい。本明細書に記載したような刃組立体のクランプには、作業圧力を緩めたり、所望の切断がより維持されたりするように、千切りタブを収容し安定させるためのスロットを設けてもよい。
図14,15に示すような型式及び/又は例えば国際公開第2012/139988号に記載される例の切断ヘッド及び/又は切断装置の場合、千切りタブは、後続の切断ステーションのスロットによっても、あるいは更に安定させてもよい。