(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。しかし、本発明がこのような実施例に限定されるものではなく、多様な形態に変形可能であるのは言うまでもない。
【0010】
図面では、本発明を明確で簡略に説明するために、説明と関係ない部分の図示を省略し、明細書全般にわたって同一又は極めて類似の部分に対しては同一の参照符号を付ける。そして、図面では、より明確な説明のために、厚さ、広さなどを拡大又は縮小して示したが、本発明の厚さ、広さなどは図面に示したものに限定されない。
【0011】
そして、明細書全般にわたってある部分が他の部分を“含む”というとき、特に反対の記載がない限り、さらに他の部分を排除するものではなく、さらに他の部分をもっと含むことができる。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“上に”あるというとき、これは他の部分の“真上に”ある場合だけではなく、その間にさらに他の部分が位置する場合も含む。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“真上に”あるというときには、その間にさらに他の部分が位置しないことを意味する。この明細書で、第1、第2などの用語は相互間の区別のために使うものであるだけ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0012】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施例による太陽電池及びその製造方法を詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施例による太陽電池を示す断面図、
図2は
図1に示す太陽電池の部分後面平面図である。
【0014】
図1及び
図2を参照すると、本実施例による太陽電池100は、ベース領域110を含む半導体基板10と、半導体基板10の一面(以下“後面”)上に形成される保護膜層20と、保護膜層20上に位置し、結晶質構造を有する半導体で構成され、第1導電型を有する第1導電型領域32及び第1導電型と反対の第2導電型を有する第2導電型領域34と、第1導電型領域32及び第2導電型領域34にそれぞれ連結される第1電極42及び第2電極44とを含む。この際、本実施例は、第1導電型領域32が保護膜層20上に位置し、第1結晶粒大きさ(一例として、第1平均結晶粒大きさ)を有する第1部分321と、第1部分321上に保護膜層20から離隔して位置し、第1結晶粒大きさより大きい第2結晶粒大きさ(一例として、第2平均結晶粒大きさ)を有する第2部分322とを含む。そして、太陽電池100は、パッシベーション膜24、40、反射防止膜26などをさらに含むことができる。これをより詳細に説明する。
【0015】
半導体基板10は、第1又は第2導電型ドーパントを相対的に低いドーピング濃度で含んで第1又は第2導電型を有するベース領域110を含むことができる。ベース領域110は第1又は第2導電型ドーパントを含む結晶質半導体でなることができる。一例として、ベース領域110は第1又は第2導電型ドーパントを含む単結晶又は多結晶半導体(一例として、単結晶又は多結晶シリコン)でなることができる。特に、ベース領域110は第1又は第2導電型ドーパントを含む単結晶半導体(例えば、単結晶半導体ウエハー、より具体的には、半導体シリコンウエハー)でなることができる。このように結晶性が高くて欠陥が少ないベース領域110又は半導体基板10を基にすれば、電気的特性に優れる。
【0016】
そして、半導体基板10は、半導体基板10の他面(以下“前面”)側に位置する前面電界領域(又は電界領域)130を含むことができる。前面電界領域130はベース領域110と同一の導電型を有するとともにベース領域110より高いドーピング濃度を有することができる。
【0017】
本実施例では、前面電界領域130が半導体基板10に第1又は第2導電型を有するドーパントを相対的に高いドーピング濃度でドープして形成されたドーピング領域でなったものを例示した。これにより、前面電界領域130が第1又は第2導電型を有する結晶質(単結晶又は多結晶)半導体を含んで半導体基板10の一部を構成するようになる。一例として、前面電界領域130は第1又は第2導電型を有する単結晶半導体基板(一例として、単結晶シリコンウエハー基板)の一部を構成することができる。
【0018】
この際、前面電界領域130のドーピング濃度は同一の第1又は第2導電型を有する第1又は第2導電型領域32、34のドーピング濃度より低くてもよい。前面電界領域130は半導体基板10の前面側にキャリアが流れることを防止するかあるいはキャリアが水平移動することができるほどにのみドープされれば良いので、相対的にドーピング濃度が低くても構わないからである。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0019】
前面電界領域130に含まれたドーパントは第1又は第2導電型領域31、34に含まれた第1又は第2導電型ドーパントと同一の導電型を有し、第2導電型領域34に含まれた第1又は第2導電型ドーパントと同一の物質であっても、違う物質であってもよい。
【0020】
しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、半導体基板10とは違う別個の半導体層(例えば、非晶質半導体層、微細結晶半導体層、又は多結晶半導体層)に第1又は第2導電型ドーパントをドープして前面電界領域130を形成することもできる。若しくは、前面電界領域130が半導体基板10に隣接して形成された層(例えば、前面パッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26)の固定電荷によってドープされたものと類似の役目をする電界領域でなることもできる。例えば、ベース領域110がn型の場合には、前面パッシベーション膜24が固定負電荷を有する酸化物(例えば、アルミニウム酸化物)でなり、ベース領域110の表面に反転領域(inversion layer)を形成し、これを電界領域として用いることができる。この場合には、半導体基板10が別個のドーピング領域を備えずにベース領域110のみでなって、半導体基板10の欠陥を最小化することができる。その以外の多様な方法で多様な構造の前面電界領域130を形成することができる。
【0021】
本実施例において、半導体基板10の前面はテクスチャリング(texturing)されてピラミッド状などの凹凸を有することができる。半導体基板10に形成されたテクスチャリング構造は半導体の特定結晶面(一例として、(111)面)に沿って形成された外面を有する一定の形状(一例として、ピラミッド状)を有することができる。このようなテクスチャリングによって半導体基板10の前面などに凹凸が形成されて表面粗さが増加すれば、半導体基板10の前面を通じて入射する光の反射率を低めることができる。したがって、ベース領域110と第1又は第2導電型領域32、34によって形成されたpn接合まで到逹する光の量を増加させることができ、光損失を最小化することができる。
【0022】
そして、半導体基板10の後面は鏡面研磨などによって前面より低い表面粗さを有する相対的に滑らかで平坦な面でなることができる。本実施例のように半導体基板10の後面側に第1及び第2導電型領域32、34が共に形成される場合には、半導体基板10の後面の特性によって太陽電池100の特性が大きく変わることができるからである。よって、半導体基板10の後面にはテクスチャリングによる凹凸を形成しなくてパッシベーション特性を向上させることができ、よって太陽電池100の特性を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、場合によって半導体基板10の後面にテクスチャリングによる凹凸を形成することもできる。その以外の多様な変形も可能である。
【0023】
半導体基板10の後面上には保護膜層20が形成されることができる。一例として、保護膜層20は半導体基板10の後面に接触するように半導体基板10上に全体的に形成されることにより、構造を単純化し、トンネリング効果を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0024】
保護膜層20は電子及び正孔に一種のバリア(barrier)として作用して、少数キャリア(minority carrier)が通過しないようにし、保護膜層20に隣接した部分に蓄積された後、一定量以上のエネルギーを有する多数キャリア(majority carrier)のみが保護膜層20を通過するようにする。この際、一定量以上のエネルギーを有する多数キャリアはトンネリング効果によって容易に保護膜層20を通過することができる。また、保護膜層20は導電型領域32、34のドーパントが半導体基板10に拡散することを防止する拡散バリアとしての役目をすることができる。このような保護膜層20は多数キャリアがトンネリングすることができる多様な物質を含むことができ、一例として、非晶質シリコン、酸化物、窒化物、半導体、伝導性高分子などを含むことができる。例えば、保護膜層20は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸化窒化物、真性非晶質シリコン、真性多結晶シリコンなどを含むことができる。一例として、保護膜層20は、酸化物、窒化物などの絶縁物質であってもよく、特に、シリコン酸化物を含むシリコン酸化物層でなることができる。シリコン酸化物層はパッシベーション特性に優れ、キャリアがトンネリングし易い膜であるからである。
【0025】
トンネリング効果を十分に具現することができるように、保護膜層20の厚さは後面パッシベーション膜40の厚さより小さくてもより。一例として、保護膜層20の厚さが5nm以下(より具体的には、2nm以下、一例として、0.5nm〜2nm)であってもよい。保護膜層20の厚さが5nmを超えれば、トンネリングが円滑でなくて太陽電池100が作動しないこともあり、保護膜層20の厚さが0.5nm未満であれば、所望の品質の保護膜層20を形成することに難しさがあり得る。トンネリング効果をより向上させるためには、保護膜層20の厚さが2nm以下(より具体的に0.5nm〜2nm)であってもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、保護膜層20の厚さが多様な値を有することができる。
【0026】
保護膜層20上には導電型領域32、34を含む半導体層30が位置することができる。一例として、半導体層30は保護膜層20に接触するように形成されて構造を単純化し、トンネリング効果を最大化することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0027】
本実施例において、半導体層30は、第1導電型ドーパントを持って第1導電型を示す第1導電型領域32と、第2導電型ドーパントを持って第2導電型を示す第2導電型領域34とを含むことができる。第1導電型領域32と第2導電型領域34が保護膜層20上の同一平面上に位置することができる。すなわち、第1及び第2導電型領域32、34と保護膜層20の間に互いに同様に他の層が位置しないか、第1及び第2導電型領域32、34と保護膜層20の間に他の層が位置する場合には、他の層は同一の積層構造を有することができる。そして、第1導電型領域32と第2導電型領域34の間にこれらと同一平面上にバリア領域36が位置することができる。
【0028】
一例として、本実施例において、ベース領域110は第2導電型を有することができる。この際、第1導電型領域32が保護膜層20を挟んでベース領域110とpn接合(又はpnトンネル接合)を形成し、光電変換によってキャリアを生成するエミッタ領域を構成する。第2導電型領域34が裏面電界(back surface field)を形成して、半導体基板10の表面(より正確に、半導体基板10の後面)で再結合によってキャリアが失われることを防止する裏面電界領域を構成する。
【0029】
しかし、本発明がこれに限定されるものではない。ベース領域110が第1導電型を有することもできる。この場合には、第2導電型領域34が保護膜層20を挟んでベース領域110とpn接合(又はpnトンネル接合)を形成して、光電変換によってキャリアを生成するエミッタ領域を構成する。第1導電型領域32が裏面電界(back surface field)を形成し、半導体基板10の表面(より正確に、半導体基板10の後面)で再結合によってキャリアが失われることを防止する裏面電界領域を構成する。
【0030】
この際、第1導電型領域32は第1導電型ドーパントを含む結晶質構造の半導体(一例として、シリコン)を含むことができる。そして、第2導電型領域34は第2導電型ドーパントを含む結晶質構造の半導体(一例として、シリコン)を含むことができる。
【0031】
本実施例では、第1及び第2導電型領域32、34が半導体基板10上(より明確に、保護膜層20上)に半導体基板10とは別個に形成され、第1又は第2導電型ドーパントがドープされた半導体層でなる。例えば、第1及び第2導電型領域32、34は蒸着などの多様な方法で容易に製造可能な多結晶半導体(一例として、多結晶シリコン)などに第1又は第2導電型ドーパントをドープして形成されることができる。第1又は第2導電型ドーパントは半導体層を形成する工程で半導体層と一緒に含まれるか、あるいは半導体層を形成した後に熱拡散法、イオン注入法などの多様なドーピング法によって半導体層に含まれることもできる。
【0032】
この際、第1又は第2導電型ドーパントがp型の場合には、硼素B、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素が使える。第1又は第2導電型ドーパントがn型の場合には、リン(P)、ヒ素(As)、ビズマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素が使える。一例として、第1導電型ドーパントはp型を示す硼素Bであってもよく、第2導電型ドーパントはn型を示すリン(P)であってもよい。
【0033】
そして、第1導電型領域32と第2導電型領域34の間にバリア領域36が位置して第1導電型領域32と第2導電型領域34を互いに隔離させる。第1導電型領域32と第2導電型領域34が互いに接触する場合には、シャント(短絡)(shunt)が発生して太陽電池100の性能を低下させることができる。したがって、この実施例では、第1導電型領域32と第2導電型領域34の間にバリア領域36を位置させて不要なシャントを防止することができる。
【0034】
バリア領域36は、第1導電型領域32と第2導電型領域34の間でこれらを実質的に絶縁することができる多様な物質を含むことができる。すなわち、バリア領域36として、ドープされていない(すなわち、非ドープの)絶縁物質(一例として、酸化物、窒化物)などが使える。若しくは、バリア領域36が真性(intrinsic)半導体を含むこともできる。この際、第1導電型領域32及び第2導電型領域34とバリア領域36は互いに側面が接触して連続的に形成される同一半導体(一例として、多結晶半導体、より具体的には、多結晶シリコン)でなり、バリア領域36は実質的にドーパントを含まないi型(真性)半導体物質であってもよい。一例として、半導体物質を含む半導体層を形成した後、半導体層の一部領域に第1導電型ドーパントをドープして第1導電型領域32を形成し、他の領域の一部に第2導電型ドーパントをドープして第2導電型領域34を形成すれば、第1導電型領域32及び第2導電型領域34が形成されなかった領域がバリア領域36を構成することができる。これによると、第1導電型領域32及び第2導電型領域34とバリア領域36の製造方法を単純化することができる。
【0035】
しかし、本発明がこれに限定されるものではない。よって、バリア領域36を第1導電型領域32及び第2導電型領域34とは別個に形成した場合には、バリア領域36の厚さが第1導電型領域32及び第2導電型領域34と違うこともある。一例として、第1導電型領域32及び第2導電型領域34のショートをより効果的に防止するために、バリア領域36が第1導電型領域32及び第2導電型領域34より大きい厚さを有することもできる。若しくは、バリア領域36を形成するための原料を節減するために、バリア領域36の厚さを第1導電型領域32及び第2導電型領域34の厚さより小さくすることもできる。その外の多様な変形が可能であるのは言うまでもない。また、バリア領域36の基本構成物質が第1導電型領域32及び第2導電型領域34とは違う物質を含むこともできる。
【0036】
そして、この実施例では、バリア領域36が第1導電型領域32と第2導電型領域34の間を全体的に離隔するものを例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、バリア領域36が第1導電型領域32及び第2導電型領域34の境界部分の一部のみを離隔させるように形成されることもできる。これによると、第1導電型領域32及び第2導電型領域34の境界の他の一部は互いに接触することもできる。
【0037】
本実施例では、一例として、ベース領域110が第2導電型を有することができる。この際、ベース領域110と同一の導電型を有する第2導電型領域34の面積よりベース領域110とは違う導電型を有する第1導電型領域32の面積を広く形成することができる。これにより、ベース領域110と第1導電型領域32の間で保護膜層20を介して形成されるpn接合をより広く形成することができる。この際、ベース領域110及び第2導電型領域34がn型の導電型を有し、第1導電型領域32がp型の導電型を有する場合、広く形成された第1導電型領域32によって移動速度が相対的に遅い正孔を効果的に収集することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0038】
第1導電型領域32及び第2導電型領域34、そしてバリア領域36の平面構造は後で
図2を参照してより詳細に説明する。
【0039】
半導体基板10の後面において第1及び第2導電型領域32、34及びバリア領域36上に後面パッシベーション膜40が形成されることができる。一例として、後面パッシベーション膜40は第1及び第2導電型領域32、34及びバリア領域36に接触するように形成されて構造を単純化することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0040】
後面パッシベーション膜40は、第1導電型領域32と第1電極42の連結のための開口部402と、第2導電型領域34と第2電極44の連結のための開口部404とを備える。これにより、後面パッシベーション膜40は第1導電型領域32及び第2導電型領域34が連結されてはいけない電極(すなわち、第1導電型領域32の場合には第2電極44、第2導電型領域34の場合には第1電極42)と連結されることを防止する役目をする。また、後面パッシベーション膜40は第1及び第2導電型領域32、34及び/又はバリア領域36をパッシベーションする効果を有することができる。
【0041】
半導体基板10の前面上(より正確に、半導体基板10の前面に形成された前面電界領域130上)に前面パッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26が位置することができる。実施例によっては、半導体基板10上に前面パッシベーション膜24のみ形成されることもでき、半導体基板10上に反射防止膜26のみ形成されることもでき、あるいは半導体基板10上に前面パッシベーション膜24及び反射防止膜26が順に位置することもできる。図面では、半導体基板10上に前面パッシベーション膜24及び反射防止膜26が順に接触するように形成され、半導体基板10が前面パッシベーション膜24と接触するように形成されるものを例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、半導体基板10が反射防止膜26に接触するように形成されることも可能であり、その以外の多様な変形が可能である。
【0042】
後面パッシベーション膜40、前面パッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26は保護膜層20より大きい厚さを有することができる。これにより、絶縁特性及びパッシベーション特性を向上させることができる。その以外の多様な変形が可能である。
【0043】
後面パッシベーション膜40は、第1及び第2電極42、44が貫く開口部402、404を除き、半導体基板10の後面に全体的に形成されることができる。そして、前面パッシベーション膜24及び反射防止膜26は実質的に半導体基板10の前面に全体的に形成されることができる。ここで、全体的に形成されたと言うのは物理的に完全に全て形成されたものだけではなく、不可避的に一部が除かれた部分がある場合も含む。
【0044】
前面又は後面パッシベーション膜24、40は半導体基板10の前面又は第1及び第2導電型領域32、34に接触するように形成されることで、半導体基板10又は第1及び第2導電型領域32、34の表面又はバルク内に存在する欠陥を不動化させる。これにより、少数キャリアの再結合サイトを除去して太陽電池100の開放電圧を高めることができる。反射防止膜26は半導体基板10の前面に入射する光の反射率を減少させる。よって、ベース領域110と第1又は第2導電型領域32、34によって形成されたpn接合まで到達する光量を増加させることができる。したがって、太陽電池100の短絡電流(Isc)を増加させることができる。このように、前面又は後面パッシベーション膜24、40及び反射防止膜26によって太陽電池100の開放電圧と短絡電流を増加させて太陽電池100の効率を向上させることができる。
【0045】
後面パッシベーション膜40、前面パッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26は多様な物質で形成されることができる。一例として、後面パッシベーション膜40、前面パッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26は、シリコン窒化膜、水素を含むシリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、シリコン炭化膜、MgF
2、ZnS、TiO
2及びCeO
2からなる群から選択されたいずれか1種の単一膜又は二種以上の膜が組み合わせられた多層膜の構造を有することができる。一例として、前面パッシベーション膜24は半導体基板10上に形成されたシリコン酸化膜であってもよく、反射防止膜26はシリコン窒化膜及びシリコン炭化膜が順に積層された構造を有することができる。そして、一例として、後面パッシベーション膜40はシリコン窒化膜とシリコン炭化膜が順に積層された構造を有することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、後面パッシベーション膜40が多様な物質を含むことができるのは言うまでもない。
【0046】
一例として、本実施例において、前面パッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26、40は、優れた絶縁特性、パッシベーション特性などを有するようにドーパントなどを備えないこともある。
【0047】
半導体基板10の後面に位置する電極42、44は、第1導電型領域32に電気的及び物理的に連結される第1電極42と、第2導電型領域34に電気的及び物理的に連結される第2電極44とを含む。
【0048】
この際、第1電極42は後面パッシベーション膜40の開口部402を貫いて第1導電型領域32に連結され、第2電極44は後面パッシベーション膜40の開口部404を貫いて第2導電型領域34に連結される。このような第1及び第2電極42、44としては多様な金属物質を含むことができる。一例として、第1及び第2電極42、44は金属でなり、第1及び第2導電型領域32、34にそれぞれ接触するように形成されることができる。
【0049】
以下では、
図1及び
図2を参照して、第1導電型領域32及び第2導電型領域34、バリア領域36、及び第1及び第2電極42、44の平面形状の一例を詳細に説明する。
【0050】
図1及び
図2を参照すると、本実施例では、第1導電型領域32と第2導電型領域34はそれぞれストライプ状を成すように長く形成され、長手方向と交差する方向に互いに交互に位置している。第1導電型領域32と第2導電型領域34の間にはこれらを離隔させるバリア領域36が位置することができる。図面に示されていないが、互いに離隔した複数の第1導電型領域32が一側縁部で互いに連結されることができ、互いに離隔した複数の第2導電型領域34が他側縁部で互いに連結されることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0051】
この際、第1導電型領域32の面積が第2導電型領域34の面積より大きくてもよい。一例として、第1導電型領域32及び第2導電型領域34の面積はこれらの幅を変更することによって調節することができる。すなわち、第1導電型領域32の幅(W1)が第2導電型領域34の幅(W2)より大きくてもよい。これは第1導電型領域32にエミッタ領域として機能する場合を例示したものであり、第2導電型領域34がエミッタ領域として機能する場合には、第2導電型領域34が第1導電型領域32より大きくてもよい。
【0052】
そして、第1電極42が第1導電型領域32に対応してストライプ状に形成され、第2電極44が第2導電型領域34に対応してストライプ状に形成されることができる。開口部(
図1の参照符号402、404、以下同じ)のそれぞれが第1及び第2電極42、44に対応して第1及び第2電極42、44の全長にわたって形成されることもできる。これによると、第1及び第2電極42、44と第1導電型領域32及び第2導電型領域34の接触面積を最大化してキャリア収集効率を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。開口部402、404が第1及び第2電極42、44の一部のみを第1導電型領域32及び第2導電型領域34にそれぞれ連結するように形成されることも可能であるのは言うまでもない。例えば、開口部402、404が複数のコンタクトホールでなることができる。そして、図面に示されていないが、第1電極42が一側縁部で互いに連結されるように形成され、第2電極44が他側縁部で互いに連結されるように形成されることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0053】
本実施例による太陽電池100に光が入射すれば、ベース領域110と第1導電型領域32の間に形成されたpn接合での光電変換によって電子と正孔が生成され、生成された正孔及び電子は保護膜層20をトンネリングしてそれぞれ第1導電型領域32及び第2導電型領域34に移動してから第1及び第2電極42、44に移動する。これによって電気エネルギーを生成することになる。
【0054】
本実施例のように半導体基板10の後面に電極42、44が形成され、半導体基板10の前面には電極が形成されていない後面電極構造の太陽電池100では、半導体基板10の前面でシェーディング損失(shading loss)を最小化することができる。したがって、太陽電池100の効率を向上させることができる。
【0055】
そして、第1及び第2導電型領域32、34が保護膜層20を挟んで半導体基板10上に形成されるので、半導体基板10とは違う別個の層でなる。これによって半導体基板10にドーパントをドープして形成されたドーピング領域を導電型領域として使う場合より再結合による損失を最小化することができる。
【0056】
本実施例では、第1導電型領域32が、保護膜層20上に位置し、第1結晶粒大きさを有する第1部分321と、第1部分321上に位置して保護膜層20か離隔し、第1結晶粒大きさより大きい第2結晶粒大きさを有する第2部分322とを含む。ここで、結晶粒大きさは平均結晶粒大きさを意味することができる。そして、この実施例では、第2導電型領域34が保護膜層20上に位置し、第1結晶粒大きさを有する第1部分341と、第1部分341上に位置し、保護膜層20から離隔し、第1結晶粒大きさより大きい第2結晶粒大きさを有する第2部分342とを含む。同様に、バリア領域36も、保護膜層20上に位置し、第1結晶粒大きさを有する第1部分361と、第1部分361上に位置し、保護膜層20から離隔し、第1結晶粒大きさより大きい第2結晶粒大きさを有する第2部分362とを含む。すなわち、本実施例では、半導体層30の第1部分301が、第1導電型領域32の第1部分321、第2導電型領域34の第1部分341及びバリア領域36の第1部分361を含み、半導体層30の第2部分302が第1導電型領域32の第1部分321、第2導電型領域の第2部分342及びバリア領域36の第2部分362を含むことができる。
【0057】
このように、保護膜層20上に位置する第1及び第2導電型領域32の第1部分321、341より第2部分322、342の結晶粒大きさが大きければ、第2部分322、342を介してドープされるドーパントの拡散速度が高くなくて第2部分322、342に多量のドーパントが位置することになり、第1部分321、341には第2部分322、342より相対的に少量のドーパントが位置することになる。これにより、電極42、44に近く位置(一例として、接触)する第1及び第2導電型領域32、34の第2部分322、342に相対的に多量のドーパントが位置して表面濃度を高めることができ、電極42、44との接触抵抗を低めることができる。そして、保護膜層20に隣接した第1及び第2導電型領域32、34の第1部分321、341に相対的に少量のドーパントが位置して、保護膜層20又はこれに隣接した半導体基板10まで拡散するドーパントの量を減らして優れたパッシベーション特性を維持することができる。
【0058】
一方、第1及び第2導電型領域32、34の実質的に同じ大きさの結晶粒大きさを有する部分のみでなれば、ドーピングプロファイルを調節して接触抵抗、パッシベーション特性及びキャリア移動度を一緒に向上しにくいことがあり得る。例えば、第1及び第2導電型領域32、34が第2部分322、342なしに相対的に小さい第1結晶粒大きさを有する第1部分321、341のみでなれば、結晶粒界(grain boundary)が多くてキャリアの移動度が高くないこともある。他の例として、第1及び第2導電型領域32、34が第1部分321、341なしに相対的に大きい第2結晶粒大きさを有する第2部分322、342のみでなれば、ドーパント拡散速度が低くなって第1及び第2導電型領域32、34が十分なドーピング濃度を有しにくいこともある。これによると、電極42、44との接触抵抗が増加することができる。そして、キャリアの移動度を高くするための他の方法として、ドーパントの量を増加させれば、過量のドーパントが保護膜層20又はこれに隣接した半導体基板10まで拡散してパッシベーション特性を低下させることができる。
【0059】
一例として、第1部分301の第1結晶粒大きさが10nm〜1μmであり、第2部分302の第2結晶粒大きさが第1結晶粒大きさより大きい20nm〜600μmであってもよい。この際、第1又は第2結晶粒大きさは、厚さ方向に見るときの平均結晶粒大きさ及び平面で見るときの平均結晶粒大きさの中で大きいものであってもよい。第1結晶粒大きさが10nm未満であれば、第1部分321を介してドーパントが容易に拡散して保護膜層20の界面でのパッシベーション特性が低下することができ、この程度の結晶粒大きさの第1部分321を形成しにくいこともある。そして、第1結晶粒大きさが1μmを超えれば、第1部分321に充分にドーパントが拡散しなくて抵抗が増加することができる。第2結晶粒の大きさが20nm未満であれば、第1部分301に比べて結晶粒大きさが十分ではなくて上述した第1部分301及び第2部分302による効果が充分に具現しにくいこともある。第2結晶粒の大きさが600μmを超えれば、ドーパントがほとんど拡散しなくて所望のドーピング濃度を有する第1及び第2導電型領域32、34を形成しにくいし、これを形成するための工程が実質的に難しいこともある。
【0060】
より具体的には、第1部分301の第1結晶粒大きさが20nm〜50nmであってもよく、第2部分302の第2結晶粒大きさが200nm〜500nm(一例として、200nm〜300nm)であってもよい。このような第1及び第2結晶粒大きさによって上述した第1部分301及び第2部分302による効果を効果的に具現することができる。
【0061】
若しくは、第1部分301の結晶粒大きさと第2部分302の結晶粒大きさの差が10nm〜600μmであってもよい。上述した結晶粒大きさの差が10nm未満であれば、上述した第1部分301及び第2部分302による効果が十分でないこともある。上述した結晶粒大きさの差が600μmを超えるように第2部分302を形成しにくいこともある。より具体的に、第1部分301の結晶粒大きさと第2部分302の結晶粒大きさの差が10nm〜500nm(一例として、100nm〜300nm)であってもよい。このような範囲内で上述した第1部分301及び第2部分302による効果を効果的に具現することができる。
【0062】
若しくは、第1部分301の第1結晶粒大きさに対する第2部分302の第2結晶粒大きさの割合が1.5倍〜100倍(例えば、2倍〜40倍、一例として、6倍〜20倍)であってもよい。上述した割合が1.5倍未満であれば、上述した第1部分301及び第2部分302による効果が十分でないこともある。上述した割合が100倍以上であれば、工程上具現が難しく、第1及び第2導電型領域32、34が所望のドーピング濃度などを有しにくいこともある。上述した割合が2倍〜40倍であれば、第1部分301及び第2部分302の結晶粒の差による効果を十分に具現しながら工程上容易に具現することができる。そして、上述した割合が6倍〜20倍であるとき、結晶粒の差による効果を最大化しながら工程上容易に製造することができる。
【0063】
しかし、本発明が上述した数値範囲に限定されるものではなく、多様な変形が可能である。
【0064】
本実施例において、第1及び第2導電型領域32、34は、保護膜層20に接触するように形成される第1部分321、341と、電極42、44に接触するように形成される第2部分322、342とからなることができる。このように、第1及び第2導電型領域32、34が二つの層である第1及び第2部分321、341、322、342のみでなって構造を単純化することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1及び第2部分321、341、322、342以外の他の層をさらに備えることもできる。
【0065】
第1及び第2導電型領域32、34の全厚(又は半導体層30)に対する第2部分322、342の厚さ(又は第2部分302)の割合が20%〜90%であってもよい。前記の割合が20%未満であれば、第2部分322、342の厚さが十分ではないため、電極42、44との接触抵抗を低下させるのに限界があり得る。そして、前記の割合が90%を超えれば、第1部分321、341の厚さが小さくてドーピングが十分でないこともあり、保護膜層20に隣接した部分で第1及び第2導電型領域32、34の抵抗が高いこともある。
【0066】
一例として、第2部分322、342の厚さが第1部分321、341の厚さと等しいかそれより大きくてもよい。特に、第2部分322、342の厚さが第1部分321、341の厚さより大きくてもよい。これにより、第1及び第2導電型領域32、34の全厚に対する第2部分322、342の厚さの割合が50%〜90%(より具体的に、50%を超えながら90%以下)であってもよい。第2部分322、342の厚さが相対的に大きくなればキャリアの移動度が増加して電気的特性を向上させることができるからである。
【0067】
本実施例では、バリア領域36が第1部分361と第2部分362を含み、保護膜層20に隣接又は接触する部分に小さな結晶粒を有する第1部分361が位置することができる。これにより、キャリア移動が多い保護膜層20に隣接した部分で第1及び第2導電型領域32、34の側面からバリア領域36を通じてキャリアが移動することを効果的に防止することができる。このように、第1部分361及び第2部分362を備えるバリア領域36は、半導体層30にドープして第1及び第2導電型領域32、34を形成するとき、一部の領域をドープしないことにより、未ドーピング領域に形成することによって容易に形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、多様な方法によって第1部分361及び第2部分362を備えるバリア領域36を形成することができる。
【0068】
本明細書では、第1部分301を構成する第1導電型領域32の第1部分321、第2導電型領域34の第1部分341及びバリア領域36の第1部分361が同一の第1結晶粒大きさを有し、第2部分302を構成する第1導電型領域32の第2部分322、第2導電型領域34の第2部分342及びバリア領域36の第2部分361が同一の第2結晶粒大きさを有するものを例示した。これは同じ工程で連続的に形成された半導体層30に第1導電型領域32、第2導電型領域34及びバリア領域36を備えるので、結晶粒大きさを判断するときにこれらの全てで平均結晶粒大きさを求めたからである。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。よって、第1導電型領域32の第1部分321、第2導電型領域34の第1部分341及びバリア領域36の第1部分361が異なる結晶粒大きさを有し、第1導電型領域32の第2部分322、第2導電型領域34の第2部分342及びバリア領域36の第2部分361が異なる結晶粒大きさを有することができる。この場合にも、第1導電型領域32の第1部分321より第2部分322がもっと大きい結晶粒大きさを有し、第2導電型領域34の第1部分341より第2部分342がもっと大きい結晶粒大きさを有し、バリア領域36の第1部分361より第2部分362がもっと大きい結晶粒大きさを有することができる。
【0069】
上述した構造の第1及び第2導電型領域32、34及び/又はバリア領域36は多様な方法で形成することができる。
【0070】
一例として、第1及び第2導電型領域32、34を構成する半導体層30を形成するとき、全体的に第1結晶粒大きさを有する第1半導体部分(
図3bの参照符号310)を有する半導体層を形成し、その後に第2結晶粒大きさを有する第2半導体部分(
図3cの参照符号320)を形成することができる。ドーピングは半導体層30を形成する工程で遂行することもでき、その後の別個のドーピング工程で遂行することもできる。これを
図3a〜
図3gに基づいてより詳細に説明する。
【0071】
若しくは、均一な第1結晶粒大きさを有する第1半導体部分(
図4b又は
図5bの参照符号310a、以下同じ)を有する半導体層310aを形成した後、前記半導体層の一部にレーザーを照射して第1半導体部分上に位置する第2半導体部分を形成することができる。具体的に、第1半導体部分310aの厚さ方向への一部に局部的な熱処理を行って第1半導体部分310a上に第2結晶粒大きさを有する第2半導体部分(
図4cの参照符号320又は
図5dの参照符号320)を形成することもできる。これを
図4a〜
図4c、及び
図5a〜
図5dに基づいてより詳細に説明する。
【0072】
図3a〜
図3gは本発明の一実施例による太陽電池の製造方法を示す断面図である。
【0073】
まず、
図3aに示すように、ベース領域110でなる半導体基板10上に保護膜層20を形成する。保護膜層20は、化学的酸化、熱的酸化、蒸着などの多様な方法で形成することができる。
【0074】
ついで、
図3b及び
図3cに示すように、半導体基板10上に(より正確には、半導体基板10上に形成された保護膜層20上に)結晶質構造及び真性を有する半導体層300を形成する。
【0075】
この時、本実施例では、
図3bに示すように、保護膜層20上に第1工程条件で第1結晶粒大きさを有する第1半導体部分310を含む半導体層を形成することができる。その後、
図3cに示すように、第1部分310上に、第1工程条件とは違う第2工程条件で、第1半導体部分310上に位置するとともに第2結晶粒大きさを有する第2半導体部分320を形成することができる。これにより、異なる結晶粒大きさを有する第1半導体部分310と第2半導体部分320を備える半導体層300を形成することができる。
【0076】
この時、第1半導体部分310を形成する段階と第2半導体部分320を形成する段階は工程条件のみを変更して同じ装置内で連続的な工程で行うその場(in−situ)工程で遂行することができる。これによって工程を単純化することができる。また、第1半導体部分310を形成する工程と第2半導体部分320を形成する工程の間に半導体基板を装置の外部へ取り出せば、半導体層300が不純物に汚染されるかあるいは酸化によって第1半導体部分310と第2半導体部分320の間に酸化層が形成されることができる。本実施例では、異なる結晶粒大きさを有する第1半導体部分310と第2半導体部分320を同じ装置内で連続して形成するので、半導体層300が形成工程中に外部に露出されて発生し得る問題を防止することができる。
【0077】
一例として、本実施例において、真性の半導体層300は低圧化学気相蒸着によって形成することができる。すなわち、半導体層300を構成する半導体物質を含む気体(例えば、シラン気体)を含むことができる。本実施例では、真性を有するように半導体層300を蒸着するので、気体雰囲気が半導体物質を含む気体のみでなることができる。これにより、供給気体を単純化することができ、形成される半導体層300の純度を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、半導体層300の蒸着工程を促進するか、半導体層300の特性を向上させるための別個の気体などをさらに使うことができる。また、半導体層300の蒸着工程で第1及び/第2導電型ドーパントのドーピングを一緒に行う場合には、第1又は第2導電型ドーパントを含む気体(例えば、B
2H
6、PH
3など)をさらに含むこともできる。
【0078】
この時、第1半導体部分310と第2半導体部分320は工程温度を互いに異ならせることによって異なる結晶粒大きさを有することができる。一例として、第1半導体部分310を形成する工程の工程温度より第2半導体部分320を形成する工程の工程温度が高いこともある。すると、高い工程温度によって第2半導体部分320の結晶粒成長が促進され、第2半導体部分320が相対的に大きい第2結晶粒大きさを有することができる。一例として、第1半導体部分310を形成する工程の工程温度より第2半導体部分320を形成する工程の工程温度が10℃〜300℃程度高くすることができる。前記温度差が10℃未満であれば、温度差が十分ではないため、結晶粒大きさを異ならせるのに限界があり得る。そして、前記温度差が300℃を超えれば、温度を変化させるための時間、費用などが増加し、第1又は第2半導体部分310、320の特性が低下することがある。
【0079】
若しくは、第1半導体部分310と第2半導体部分320は使用原料気体の量、種類などを異ならせることによって異なる結晶粒大きさを有することができる。一例として、第1半導体部分310を形成する工程の半導体物質含有気体量より第2半導体部分320を形成する工程の半導体物質含有気体量をもっと多くすることができる。すると、相対的に多量の半導体物質含有気体によって第2半導体部分320の結晶粒成長が促進され、第2半導体部分320が相対的に大きな第2結晶粒大きさを有することができる。若しくは、半導体物質含有気体のような原料気体の外に他の気体などをさらに注入して第2半導体部分320の第2結晶粒大きさを相対的に大きくすることができる。
【0080】
図面は保護膜層20及び/又は半導体層300が半導体基板10の後面にのみ形成されたものを示した。しかし、実際には保護膜層20及び/又は半導体層300が半導体基板10の前面及び/又は側面にも形成されることができ、前面及び/又は側面に形成された保護膜層20及び/又は半導体層300は追後の工程で除去することができる。
【0081】
ついで、
図3dに示すように、半導体層300上に第1ドーピング層324、及びマスク層328を形成することができる。そして、第1ドーピング層324とマスク層328の間に同一形状の非ドープ層326をさらに備えることができる。
【0082】
第1ドーピング層324は第1導電型ドーパントを含み、第1導電型領域32に対応するパターンを有することができる。この際、第1ドーピング層324上に第1ドーピング層324と同一のパターンを有する非ドープ層326が一緒に位置することができる。このような第1ドーピング層324及び非ドープ層326は全体的に形成された後にパターニングすることによってパターンを有することができる。一例として、エッチングペースト又はマスクを用いるエッチングにより、第1ドーピング層324及び非ドープ層326から必要な部分を除去することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1ドーピング層324及び非ドープ層326がパターンを有する状態に形成されることもできる。
【0083】
第1ドーピング層324は第1導電型ドーパントを含み、ドーピング工程(
図3eに示す工程)で拡散によって第1導電型ドーパントを半導体層300に提供する役目をする。非ドープ層326は、ドーピング工程で第1ドーピング層322に含まれた第1導電型不純物が外部拡散(out−diffusion)することを防止する役目をする。
【0084】
第1ドーピング層324は第1導電型ドーパントを含む多様な物質でなることができる。そして、非ドープ層326は第1及び第2ドーパントを含まない多様な物質でなることができる。一例として、第1ドーピング層324は硼珪酸塩ガラス(boron silicate glass、BSG)を含み、非ドープ層326は非ドープ珪酸塩ガラス(undoped silicate glass、USG)を含むことができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、第1ドーピング層324、非ドープ層326の物質がその以外の多様な物質を含むことができる。一例として、第1ドーピング層324がn型を有する場合には、第1ドーピング層324がリン珪酸塩ガラス(phosphorus silicate glass、PSG)であってもよい。
【0085】
第1ドーピング層324及び非ドープ層326は蒸着などの多様な方法で形成することができる。この時、本実施例において、第1ドーピング層324と非ドープ層326は同じ装置内で連続的な工程で行われるその場(in−situ)工程で形成することができる。上述したように、第1ドーピング層324が硼珪酸塩ガラスでなり、非ドープ層326が非ドープ珪酸塩ガラスでなる場合には、第1導電型ドーパントを含む気体を供給する状態で蒸着を行って第1ドーピング層324を形成してから第1導電型ドーパントを含む気体を供給しないことによって非ドープ層326を形成することができる。このように、気体を変更することによって第1ドーピング層324と非ドープ層326を連続的に形成することができ、工程を単純化することができる。
【0086】
図面では、第1導電型領域32に対応する第1ドーピング層324が形成され、その上にマスク層328が形成されたものを例示した。これによると、この実施例の一例のように第2導電型領域34及び前面電界領域130が同じ第2導電型を有する場合、第2導電型ドーパントを熱拡散方法で拡散させて第2導電型領域34及び前面電界領域130を一緒に形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、第2導電型領域34及び前面電界領域130の形成に他の方法を使うこともできる。若しくは、第2導電型領域34に対応する第2ドーピング層を形成し、その上にマスク層328を形成することも可能である。その外の多様な変形が可能である。
【0087】
マスク層328はドーピング工程でマスク層328が形成された部分にドーパントが拡散することを防止する役目をする。マスク層328は第1及び第2導電型ドーパントを含まない非ドープ物質で、ドーパント拡散を防止することができる多様な物質でなることができる。一例として、マスク層328はシリコン炭化膜(SiC)でなることができる。シリコン炭化膜はドーパントの拡散を効果的に防止することができる。そして、レーザーによって所望の形状を有するように容易に加工することができ、ドーピング工程後には食刻溶液(一例として、酸性溶液、例えば希釈された弗酸(HF))で容易に除去することができる。
【0088】
マスク層328は第1ドーピング層324及び非ドープ層326を覆いながら第2導電型領域34が形成される部分に対応する部分を露出するように形成されることができる。このようなマスク層328は、第1ドーピング層324、非ドープ層326及び半導体基板10の後面上に全体的に形成してからパターニングすることによってパターンを有することができる。一例として、レーザーアブレーションなどによってマスク層328から所望の部分を除去することができる。レーザーを用いてマスク層328をパターニングし、所望の幅、間隔などを有するように第2導電型領域34が形成される部分に対応する開口部を形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、マスク層328がパターンを有する状態に形成することもできる。
【0089】
本実施例では、マスク層328は第1ドーピング層324及び非ドープ層326の周りで第1ドーピング層324及び非ドープ層326に形成された開口部を部分的に覆うバリア部分Bを含むことができる。一例として、バリア部分Bは第1ドーピング層324に形成された開口部の縁部において第1ドーピング層324の縁部に沿って形成されることができる。これにより、マスク層328の開口部の面積が第1ドーピング層324及び非ドープ層326に形成された開口部の面積より小さいことができる。このようなバリア部分Bはバリア領域(
図3eの参照符号36)を形成するためのものである。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、マスク層328の開口部が第1ドーピング層324及び非ドープ層326の開口部と等しい形状及び面積を有することで、バリア部分Bを備えないこともできる。
【0090】
ついで、
図3eに示すように、半導体層(
図3dの参照符号300、以下同じ)にドーパントを拡散することにより、第1及び第2導電型領域32、34を含む半導体層30を形成する。一例として、第2導電型ドーパントを含む気体雰囲気で熱処理を行うことができる。気体雰囲気としては、第2導電型ドーパントを含む多様な気体を使うことができる。この際、
図1の拡大円で示すように、半導体層30が第1部分(
図1の参照符号301、以下同じ)と第2部分(
図1の参照符号302、以下同じ)を有するようになる。
図3e〜
図3gでは、簡略な図示のために、第1部分301及び第2部分302を図面に表示しなかった。
【0091】
より具体的に、第1ドーピング層324内に位置する第1導電型ドーパントが半導体層300に拡散して第1導電型領域32を形成する。そして、第2導電型ドーパントが熱拡散によって半導体基板10の後面側からマスク層328の開口部を通じて半導体層300に拡散して第2導電型領域34を形成する。
【0092】
このように、本実施例において、第1導電型ドーパントは第1ドーピング層324を用いてドープして第1導電型領域32を形成し、第2導電型ドーパントを含む気体を用いて第2導電型ドーパントを熱拡散することによって第2導電型領域32、34を形成する。したがって、簡単な工程で第1及び第2導電型領域32、34を形成することができる。
【0093】
そして、バリア部分Bに対応する半導体層300の部分には第1導電型ドーパント及び第2導電型ドーパントが拡散しないので、真性を有する多結晶構造の半導体でなるバリア領域36が位置することになる。これにより、バリア領域36を備える半導体層30を簡単な工程で形成することができる。
【0094】
本実施例では第2導電型ドーパントを熱拡散で形成するものを例示したが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0095】
他の例として、マスク層328を形成した後、第2導電型ドーパントを含む第2ドーピング層(図示せず)を少なくともマスク層328の開口部内を満たすように形成することができる。一例として、第2ドーピング層は半導体層300及びマスク層328上に全体的に形成することができる。そして、第2ドーピング層はプラズマ化学気相蒸着によって形成されたリン珪酸塩ガラス(phosphorus silicate glass)でなることができる。この場合には、熱処理を行えば、第2ドーピング層に含まれた第2導電型ドーパントが半導体層300に拡散して第2導電型領域34を形成する。
【0096】
この時、半導体基板10の前面をテクスチャリングし、前面電界領域130を形成することができる。一例として、熱拡散前に半導体基板10の前面をテクスチャリングした後、第2導電型ドーパントを熱拡散する熱処理を行うことにより、前面電界領域130を第2導電型領域34と一緒に形成することができる。若しくは、第1及び第2導電型領域32、34を形成した後、半導体基板10の前面をテクスチャリングし、半導体基板10の前面に第2導電型ドーパントをドープすることにより、前面電界領域130を形成することもできる。この場合には、前面電界領域130を第2導電型領域34のドーピング工程とは違う工程で形成して前面電界領域130のドーピングプロファイルを精密に制御することができる。この時、保護膜層20、半導体層300などが半導体基板10の前面にも形成される場合には、テクスチャリング工程で除去することができる。
【0097】
半導体基板10の前面のテクスチャリングとしては多様な方法が使える。例えば、アルカリ溶液(例えば、KOH溶液)に半導体基板10の前面部分のみを浸漬することによって遂行することができる。このような工程によれば、工程時間が短い利点がある。若しくは、片面食刻である反応性イオン食刻(RIE)などによって半導体基板10の前面のみをテクスチャリングすることもできる。反応性イオン食刻によれば、片面のみを容易に食刻することができ、均一な凹凸を有するテクスチャリング構造を形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0098】
ついで、
図3fに示すように、第1ドーピング層324、非ドープ層326及びマスク層328を除去し、半導体基板10の前面上に前面パッシベーション膜24及び反射防止膜26を形成し、半導体基板10の他面上に(より正確には、導電型領域32、34を含む半導体層30上に)後面パッシベーション膜40を形成する。
【0099】
前面パッシベーション膜24、反射防止膜26及び/又は後面パッシベーション膜40は、真空蒸着法、化学気相蒸着法、スピンコーティング、スクリーン印刷又はスプレーコーティングなどの多様な方法で形成することができる。そして、第1ドーピング層324、非ドープ層326及びマスク層328を除去した後、前面パッシベーション膜24、反射防止膜26及び/又は後面パッシベーション膜40を形成することができる。若しくは、第1ドーピング層324、非ドープ層326及びマスク層328の除去前に前面パッシベーション膜24及び反射防止膜26を形成し、その後に第1ドーピング層324、非ドープ層326及びマスク層328を除去し、その後に後面パッシベーション膜40を形成することができる。すると、第1ドーピング層324、非ドープ層326及びマスク層328の除去時に前面パッシベーション膜24及び反射防止膜26がマスクの役目をすることにより、半導体基板10の前面が損傷されるか特性が低下することを防止することができる。
【0100】
ついで、
図3gに示すように、第1及び第2導電型領域32、34にそれぞれ連結される第1及び第2電極42、44を形成する。
【0101】
一例として、後面パッシベーション膜40に開口部402、404を形成した後、開口部402、404内を満たしながら後面パッシベーション膜40上に電極層を形成することによって第1及び第2電極42、44を形成することができる。電極層はメッキ法、蒸着法などの多様な方法で形成することができる。この時、電極層をマスクによってパターンを有する状態に形成するか、全体的に形成された後にパターニングすることによってパターンを有することができる。電極層のパターニングとしては周知の多様な方法を用いることができる。
【0102】
若しくは、第1及び第2電極形成用ペーストを後面パッシベーション膜40上にそれぞれスクリーン印刷などで塗布した後、ファイアスルー(fire through)又はレーザー焼成コンタクト(laser firing contact)などを行って上述した形状の第1及び第2電極42、44を形成することも可能である。この場合には、焼成工程時に開口部402、404が形成されるので、別に開口部402、404を形成する工程を付け加えなくても良い。
【0103】
本実施例によると、優れた効果を有する太陽電池100を単純な工程で製造して太陽電池100の効率及び生産性を一緒に向上させることができる。より具体的に、工程条件を異にする簡単な方法によって第1部分321、322及び第2部分341、342をそれぞれ含む第1及び第2導電型領域32、34を形成することができる。第1部分321、322と第2部分341、342は同じ装置内で連続的に行われるその場(in−situ)工程よって形成することができ、工程を効果的に単純化することができる。
【0104】
以下では、
図4a〜
図4cに基づいて本発明の他の実施例による太陽電池の製造方法を詳細に説明する。
図3a〜
図3gを参照して説明した部分と同一又は極めて類似の部分に対しては詳細な説明を省略し、違う部分を詳細に説明する。
【0105】
図4a〜
図4cは本発明の他の実施例による製造方法の一部を示す断面図である。
【0106】
図4aに示すように、半導体基板10の後面上に保護膜層20を形成し、保護膜層20上に第1結晶粒大きさを有する第1半導体部分310でなる半導体層300を形成する。第1半導体部分310を形成する工程は
図3bに示す第1半導体部分310を形成する工程の説明をそのまま適用することができる。ただ、
図3bの工程では第1半導体部分310が第1部分301に対応するように半導体層(
図3cの参照符号300又は
図3eの参照符号30)より小さい厚さに形成されるが、
図4aの工程では第1半導体部分310が半導体層300に対応するようにこれと実質的に等しい厚さに形成される。さらに、第1半導体部分310を有する半導体層を形成し、後述する第2半導体部分320を形成する前、第1半導体部分310を有する半導体層上にドーパント層を形成し、後述する第2半導体部分320の形成時にレーザーが前記ドーパント層に照射されることにより、前記ドーパント層に含まれたドーパントが第1半導体部分310を有する半導体層に拡散することができる。
【0107】
ついで、
図4bに示すように、レーザー330を用いる熱処理によって第1半導体部分310の厚さ方向に保護膜層20から離隔した一部部分に第2半導体部分320を形成する。レーザー330を用いて熱処理を行えば、高温によって結晶粒が成長し、第1半導体部分310の第1結晶粒大きさより大きい第2結晶粒大きさを有する第2半導体部分320が形成されることができる。
【0108】
第1半導体部分310aの厚さ、特性などを考慮してレーザー330の出力、エネルギー密度、周波数、パルスなどを調節することにより、保護膜層20に隣接した部分で第1半導体部分310を一部残した状態で第2半導体部分320を形成することができる。レーザー330としては短波長レーザーが使える。第1半導体部分310は短波長レーザーを容易に吸収するので、第1半導体部分310の一部のみを容易に結晶化することができる。これにより、第1半導体部分310が残留した状態で第2半導体部分320を形成することができる。一例として、レーザー330としては紫外線レーザー(UV laser)又はグリーンレーザー(green laser)が使える。
【0109】
このとき、
図4cに示すように、第2半導体部分320を形成する前、第1半導体部分310を含む半導体層上に別個のレーザー吸収膜320aを形成した状態でレーザー330を照射することができる。すると、レーザー吸収膜320aでレーザー330の一部を吸収し、レーザー330が第1半導体部分310を含む半導体層の一部に照射され、具体的に第1半導体部分310の厚さ方向に全体的に結晶粒大きさを増加させることで、第1半導体部分310がなくなることを防止することができる。特に、レーザー吸収膜320aは第1半導体部分310aの厚さ、特性などを考慮して厚さを調節することにより、容易に第1半導体部分310の厚さ方向への一部の結晶粒大きさのみを増加させることができる。レーザー吸収膜320aはレーザー330を吸収することができ、レーザー330が照射されるとき、第1半導体部分310に悪影響を及ぼさない多様な物質が使える。一例として、レーザー吸収膜320aは絶縁層又は非晶質半導体層(一例として、非晶質シリコン層)を含むことができる。すると、容易に形成可能であり、基本的に第1半導体部分310と等しい物質を含むことにより、異種物質によって発生し得る汚染、特性変化などを防止することができる。レーザー330の照射によって第2半導体部分320が形成された後、レーザー吸収膜320aを多様な方法で除去することができる。
【0110】
本実施例によると、レーザー330がレーザー吸収膜320aに一部吸収され、保護膜層20に隣接した部分に安定的に第1半導体部分310が残留して第1部分321、341、361を形成することができる。そして、レーザー吸収膜320aの厚さを調節することによって第1部分321、341、361の厚さを容易に調節することができる。
【0111】
しかし、このようなレーザー吸収膜320aが必須なものではなく、レーザー吸収膜320aを使わずに第1半導体部分310上に直接レーザー330を照射することも可能である。これによると、レーザー吸収膜320aを形成する工程などを省略することができ、工程を単純化することができる。
【0112】
ついで、
図3d〜
図3gに示す工程を遂行して太陽電池100を製造することができる。
【0113】
このような製造方法によると、レーザー330によって第2半導体部分320を簡単に形成することができる。特に、平面上でレーザー330が照射される部分を調節することができるので、平面上で半導体層300の一部にのみレーザー330を照射して
図6のような構造の太陽電池を形成することもできる。これについては
図6を参照して詳細に説明する。
【0114】
以下では、
図5a〜
図5dに基づいて本発明のさらに他の実施例による太陽電池の製造方法を詳細に説明する。
図3a〜
図3gを参照して説明した部分及び/又は
図4a〜
図4cを参照して説明した部分と同一又は極めて類似の部分についての詳細な説明を省略し、違う部分を詳細に説明する。
【0115】
図5a〜
図5dは本発明のさらに他の実施例による製造方法の一部を示す断面図である。
【0116】
図5aに示すように、半導体基板10の後面上に保護膜層20を形成する。
【0117】
ついで、
図5bに示すように、保護膜層20上に第1結晶粒大きさを有する第1半導体部分310でなる半導体層300を形成する。第1半導体部分310を形成する工程は
図3bに示す第1半導体部分310を形成する工程の説明をそのまま適用することができる。ただ、
図3bの工程では第1半導体部分310が第1部分301に対応するように半導体層(
図3cの参照符号300又は
図3eの参照符号30)より小さい厚さに形成されるが、
図4aの工程では第1半導体部分310が半導体層300に対応するようにこれと実質的に等しい厚さに形成される。
【0118】
ついで、
図5cに示すように、第1半導体部分310上に第1ドーピング層324、マスク層328及び第2ドーピング層329を形成する。この時、第1ドーピング層324とマスク層328の間に非ドープ層326が位置することもできる。第1ドーピング層324、マスク層328、非ドープ層326に対しては
図3dを参照した説明をそのまま適用することができるので、これについての説明を省略する。
【0119】
第2ドーピング層329は第2導電型ドーパントを含み、半導体層300、ドーピング層324、非ドープ層326及びマスク層328上に全体的に形成されることができる。第2ドーピング層329は第2導電型ドーパントを含み、ドーピング工程(
図5dに示す工程)で拡散によって第2導電型ドーパントを半導体層300に提供する役目をする。
【0120】
第2ドーピング層329は第2導電型ドーパントを含む多様な物質でなることができる。一例として、第2ドーピング層329はリン珪酸塩ガラス(phosphorus silicate glass、BSG)を含むことができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、第2ドーピング層329がその以外の多様な物質を含むことができる。一例として、第2ドーピング層329がp型を有する場合には、第2ドーピング層329が硼珪酸塩ガラス(boron silicate glass、PSG)であってもよい。第2ドーピング層329は蒸着などの多様な方法で形成することができる。
【0121】
上述した説明及び図面では、第1ドーピング層324が第1導電型領域32に対応するパターンを有し、その上に非ドープ層326及びマスク層328が位置し、その上に第2ドーピング層329が全体的に形成されるものを示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。一例として、第2ドーピング層329が第2導電型領域34に対応するパターンを有し、その上に非ドープ層326及びマスク層328が位置し、その上に第1ドーピング層324が全体的に形成されることもできる。若しくは、第1ドーピング層324及び第2ドーピング層329がそれぞれ第1導電型領域32及び第2導電型領域34に対応するパターンを有することもできる。
【0122】
ついで、
図5dに示すように、レーザー330による熱処理を遂行する。すると、第1ドーピング層324の第1導電型ドーパント及び第2ドーピング層329の第2導電型ドーパントが半導体層300に拡散するドーピング工程によって第1及び第2導電型領域32、34を形成する。その外の領域がバリア領域36を形成する。また、保護膜層20に隣接した部分に第1半導体部分310が残留し、ドーピング工程によって第1部分321、341、361が形成され、半導体層300において保護膜層20で隣接した一部でレーザー330の熱によって結晶粒が成長して形成された第2半導体部分にドーピング工程を遂行することによって第2部分322、341、361が形成される。
【0123】
本実施例によると、レーザー330が第1又は第2ドーピング層324、329などによって一部吸収され、保護膜層20に隣接した部分に安定的に第1半導体部分310が残留して第1部分321、341、361を形成することができる。そして、第1又は第2ドーピング層324、329の厚さを調節することによって第1部分321、341、361の厚さを容易に調節することができる。そして、ドーピング工程に必要な第1又は第2ドーピング層324、329をレーザー吸収膜として用いることにより、別個のレーザー吸収膜を形成及び除去する工程を省略することができる。
【0124】
図5dでは、第2ドーピング層329を形成し、平面で見るときに半導体層300に全体的にレーザー330を照射することを例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第2ドーピング層329が備えられなく、及び/又は第2導電型領域34が他のドーピング工程によって形成されることもできる。この場合には、平面上で半導体層300の一部にのみレーザー330を照射して
図6のような構造の太陽電池を形成することもできる。これについては
図6を参照して詳細に説明する。
【0125】
そして、半導体基板10の前面にテクスチャリングを行い、前面電界領域130を形成することができる。これについての説明は
図3eを参照した説明をそのまま適用することができるので、詳細な説明を省略する。
【0126】
ついで、
図3f〜
図3gに示す工程を遂行して太陽電池100を製造することができる。
【0127】
本実施例では、レーザー330によるドーピングのための熱処理と第2結晶粒大きさを有する第2部分322、342、362を形成する熱処理を1回の工程で同時に遂行することができる。したがって、簡単な工程によってドーピング工程及び第2部分322、342を形成する工程を一緒に行うことで工程を単純化することができる。
【0128】
以下、
図6〜
図8に基づいて本発明の他の実施例による太陽電池を詳細に説明する。上述した部分で説明したものと同一又は類似の部分に対しては詳細な説明を省略し、違う部分を詳細に説明する。そして、上述した実施例及びその変形例と、以下の実施例及びその変形例は互いに結合されることができ、これも本発明の範囲に属する。
【0129】
図6は本発明の他の実施例による太陽電池を示す断面図である。
【0130】
図6を参照すると、本実施例において、第1導電型領域32は第1結晶粒大きさを有する第1部分321及び第1結晶粒大きさより大きい第2結晶粒大きさを有する第2部分322を含み、第2導電型領域34は第1結晶粒大きさを有する第1部分341でなる。すなわち、第2導電型領域34の第1部分341が第1導電型領域32の第1部分321より大きい厚さを有し、第1導電型領域32の厚さと同一又は類似の差(10%以下の差)を有することができる。そして、第2導電型領域34は全体的に第1結晶粒大きさを有し、第2導電型領域34の第1結晶粒大きさが第1導電型領域32の第1部分321の第1結晶粒大きさと実質的に同一又は類似(一例として、10%以下の差)であり、第1導電型領域32の第2部分322の第2結晶粒大きさより小さくてもよい。
【0131】
また、バリア領域36も第1結晶粒大きさを有する第1部分361でなることができる。したがって、バリア領域36の第1部分361が第1導電型領域32の第1部分321より大きい厚さを有し、第1導電型領域32の厚さと同一又は類似の差(10%以下の差)を有することができる。そして、バリア領域36は全体的に第1結晶粒大きさを有し、バリア領域36の第1結晶粒大きさが第1導電型領域32の第1部分321の第1結晶粒大きさと実質的に同一又は類似(一例として、10%以内の差)であり、第1導電型領域32の第2部分322の第2結晶粒大きさより小さくてもよい。
【0132】
このような太陽電池100は
図4c又は
図5dの工程で第1導電型領域32に相当する部分にのみレーザー330を照射することによって容易に製造することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、多様な方法で太陽電池100を製造することができる。
【0133】
この際、第1部分321及び第2部分322を有する第1導電型領域32がp型であってもよい。第1導電型領域32がp型の場合にはドーパントとして硼素Bなどを含むことができる。これは、硼素は非常に小さい元素大きさを有し、n型を有するリン(P)などより保護膜層20を通じてもっと容易に保護膜層20及び半導体基板10に拡散して特性を低下させることができるからである。これを考慮し、第1導電型領域32が第1部分321及び第2部分322を有するようにするものである。
【0134】
しかし、本発明がこれに限定されるものではない。第1導電型領域32がn型を有することもできる。そして、バリア領域36は実施例によって第1部分361のみでなることもでき、第1部分361及び第2部分362を備えることができる。
【0135】
図7は本発明のさらに他の実施例による太陽電池を示す断面図である。
【0136】
図7を参照すると、本実施例では、半導体基板10の後面に全体的に保護膜層20及び第1導電型領域32が形成され、半導体基板10の前面に全体的に第2導電型領域34が形成されることができる。そして、第1電極42が半導体基板10の後面側で第1導電型領域32に電気的に連結され、第2電極44が半導体基板の前面側で第2導電型領域34に電気的に連結される。
【0137】
この時、第1導電型領域32は半導体基板10とは別個の半導体層でなり、第1部分321と第2部分322を有することができる。これに対しては第1部分321及び第2部分322についての上述した説明をそのまま適用することができる。そして、第2導電型領域34は半導体基板10の一部を構成するドーピング領域でなることができる。すなわち、第2導電型領域34は半導体基板10の一部にドーパントをドープすることによって形成された領域であってもよい。このような第2導電型領域34はベース領域110の導電型とは違う導電型を有するか、あるいはベース領域110と同一の導電型を有するとともにこれより高いドーピング濃度を有することができる。
【0138】
一例として、本実施例において、第2導電型領域34がベース領域110と同一の導電型を有するとともにこれより高いドーピング濃度を有することができる。すると、ベース領域110とは違う導電型を有し、エミッタ領域として機能する第1導電型領域32が保護膜層20を挟んで半導体基板10とは別個に形成されてパッシベーション特性を向上させることができる。そして、別個の半導体層でなった第1導電型領域32が後面に位置し、ドーピング領域でなった第2導電型領域34が前面に位置するので、前面に入射する光が別個の半導体層によって吸収されるなどの問題を防止することができる。これにより、光損失を最小化することができる。
【0139】
このように第1及び第2導電型領域32、34のいずれか一方のみが第1部分321及び第2部分322を含むことができる。図面及び詳細な説明では、半導体基板10の後面に保護膜層20、及び第1部分321と第2部分322を含む第1導電型領域32が位置し、半導体基板10の前面に第2導電型領域34が位置するものを例示したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、半導体基板10の前面に保護膜層20、及び第1部分321と第2部分322を含む第1導電型領域32が位置し、半導体基板10の後面に第2導電型領域34が位置することもできる。
【0140】
図8は本発明のさらに他の実施例による太陽電池を示す断面図である。
【0141】
図8を参照すると、本実施例では、保護膜層20が半導体基板10の後面に全体的に位置する第1保護膜層20aと半導体基板10の前面に全体的に位置する第2保護膜層20bとを含み、導電型領域32、34が第1保護膜層20a上に全体的に位置する第1導電型領域32と第2保護膜層20b上に全体的に位置する第2導電型領域34とを含むことができる。そして、第1電極42が半導体基板10の後面側で第1導電型領域32に電気的に連結され、第2電極44が半導体基板の前面側で第2導電型領域34に電気的に連結される。
【0142】
この時、第1導電型領域32及び第2導電型領域34は半導体基板10とは別個の半導体層30a、30bでなることができる。図面では第1及び第2導電型領域32、34がそれぞれ第1部分321、341と第2部分322、342を有するものを例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1及び第2導電型領域32、34の少なくとも一方が第1部分321、341と第2部分322、342を有することができる。第1部分321、341及び第2部分322、342についての説明は
図1を参照した説明をそのまま適用することができる。
【0143】
図面では、一例として、第1電極42が、第1導電型領域32上に全体的に形成される第1透明電極層421と、第1透明電極層421上に所定のパターンを有する第1金属電極層422とを含むものを例示した。そして、一例として、第2電極44が、第2導電型領域34上に全体的に形成される第2透明電極層441と、第2透明電極層441上に所定のパターンを有する第2金属電極層422とを含むものを例示した。このように、第1及び第2透明電極層421、441をさらに含めば、水平方向への抵抗を減らしてキャリアの移動度を向上させることができる。このような電極構造は
図7に示した実施例にも適用することができる。
【0144】
しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1及び第2電極42、44の少なくとも一方が、
図1又は
図7に示すように、第1及び第2導電型領域32、34に直接接触し、所定のパターンを有する金属電極のみでなることもできる。
【0145】
以下、本発明の製造例に基づいて本発明をより詳細に説明する。以下の製造例は本発明を例示するものに過ぎなく、本発明がこれに限定されるものではない。
【0147】
n型単結晶半導体基板の一面にシリコン酸化膜でなる保護膜層を形成した。保護膜層上に、低圧化学気相蒸着によって、多結晶シリコンを含むとともに第1結晶粒大きさを有する第1半導体部分を形成した。真性半導体層にレーザーを照射することで、保護膜層から離隔した真性半導体層の一部の結晶粒を成長させ、保護膜層に隣接した部分に第1半導体部分を残して第2結晶粒大きさを有する第2半導体部分を形成した。この際、第1結晶粒大きさが50nm、第2結晶粒大きさが250nmで、第1結晶粒大きさと第2結晶粒大きさの差が200nmであり、第1結晶粒大きさに対する第2結晶粒大きさの割合が5倍であった。そして、第1及び第2半導体部分の一部領域にp型ドーパントをドープし、他の領域にn型ドーパントをドープすることにより、それぞれ第1部分及び第2部分を含む第1導電型領域及び第2導電型領域を備える半導体層を形成して第1太陽電池を製造した。導電型領域の全厚に対する第2部分の厚さの割合は50%であった。そして、製造例1の第1太陽電池と同様な製造方法によるが、第1及び第2導電型領域内のドーピング濃度を製造例1の第1太陽電池と異ならせて第2、第3及び第4太陽電池を製造した。
【0149】
第2半導体部分を形成するレーザー照射工程を遂行しなくて第1及び第2導電型領域を含む半導体層が全体的に第1結晶粒大きさを有する第1部分のみでなることを除き、製造例1の比較太陽電池と同様な方法で第1比較太陽電池を製造した。そして、第1比較太陽電池と同様な製造方法によるが、第1及び第2導電型領域内のドーピング濃度を第1比較太陽電池と異ならせて第2及び第3比較太陽電池を製造した。
【0150】
製造例1の第1太陽電池の断面写真を
図9に示し、比較例1の第1比較太陽電池の断面写真を
図10に示した。そして、製造例1による第1〜第4太陽電池の第1導電型領域の面抵抗及び第1〜第4太陽電池の暗示開放電圧(implied Voc、 Vimp)を測定し、これを
図11に示し、比較例1による第1〜第3比較太陽電池の第1導電型領域の面抵抗及び第1〜第3太陽電池の暗示開放電圧を
図12に示した。
【0151】
図9を参照すると、製造例1による太陽電池では、半導体層が結晶粒大きさの異なる第1部分及び第2部分を有することが分かる。一方、
図10を参照すると、比較例1による太陽電池では、半導体層が均一又は類似の結晶粒大きさを有する第1部分のみでなったことが分かる。
【0152】
図11を参照すると、製造例1による太陽電池は、面抵抗値に差があっても暗示開放電圧は類似の値を有することが分かる。一方、比較例1による太陽電池は、面抵抗値が低くなれば、これに比例して暗示開放電圧も一緒に低くなることが分かる。比較例1では、ドーピング濃度を増加させて面抵抗を減少させれば、保護膜層までドーパントが移動して保護膜層の界面でのパッシベーション特性を低下させるからであると予測される。一方、製造例1では、第1部分上に相対的に大きい第2結晶粒大きさを有する第2部分を位置させてドーパントの拡散速度を低め、表面濃度を高めながら保護膜層に隣接して位置する第1部分のドーピング濃度を低下させることができると予測される。このように、製造例1によると、第2部分によってドーパントが保護膜層の界面まで移動してパッシベーション特性を低下させることを防止することができ、高いドーピング濃度を有する第2部分と第2電極の間の抵抗を低下させることができる。これにより、低い面抵抗でも高い開放電圧を有することができ、太陽電池の効率を効果的に向上させることができる。
【0154】
第1結晶粒大きさが50nm、第2結晶粒大きさが58nmで、第1結晶粒大きさと第2結晶粒大きさの差が8nmであり、第1結晶粒大きさに対する第2結晶粒大きさの割合が1.16倍であることを除き、製造例1の第1太陽電池と同様な方法で太陽電池を製造した。
【0156】
導電型領域の全厚に対する第2部分の厚さの割合が10%であることを除き、製造例1の第1太陽電池と同様な方法で太陽電池を製造した。
【0158】
導電型領域の全厚に対する第2部分の厚さの割合が83%であることを除き、製造例1の第1太陽電池と同様な方法で太陽電池を製造した。
【0160】
導電型領域の全厚に対する第2部分の厚さの割合が88%であることを除き、製造例1の第1太陽電池と同様な方法で太陽電池を製造した。
【0161】
製造例1の第1太陽電池、比較例1の第1比較太陽電池、及び比較例2と製造例2〜4による太陽電池の第1導電型領域でのキャリア移動度の相対値を
図13に示した。
【0162】
図13を参照すると、製造例1による第1太陽電池では、比較例1による第1太陽電池より高いキャリア移動度を有することが分かる。一方、比較例2による太陽電池は比較例1による第1太陽電池と類似のキャリア移動度を有することから、結晶粒大きさが一定水準(一例として、10nm)未満であるか第1部分に対する第2部分の結晶粒大きさの割合が一定水準(一例として、1.5倍)未満であれば、第1部分及び第2部分を持っていると言ってもその効果がほとんど現れないことが分かる。そして、製造例2による太陽電池は比較例1による第1太陽電池よりキャリア移動度が高くはあるがその程度が大きくないことが分かる。そして、製造例3及び4による太陽電池は比較例1による第1太陽電池及び製造例1による太陽電池に比べて非常に優れたキャリア移動度を有することが分かる。これから、第1結晶粒大きさと第2結晶粒大きさが一定水準(一例として、10nm以上)の差を有するか、第1結晶粒大きさに対する第2結晶粒大きさの割合が一定水準(一例として、1.5倍以上)の場合に効果が明確に現れることができ、第1部分に比べて第2部分の厚さが大きくなるほどキャリア移動度が大きく高くなることができることが分かる。ただ、第2部分の厚さがあまりにも大きくなる場合(例えば、導電型領域の全厚の90%を超える場合)には導電型領域の全体にドーピングが十分になされなくて導電型領域の特性がむしろ低下することもできる。
【0163】
前述したような特徴、構造、効果などは本発明の少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも一実施例にのみ限定されるものではない。また、各実施例で例示した特徴、構造、効果などは実施例が属する分野の通常の知識を有する者によって他の実施例と組み合わせられて実施されるか変形実施されることができる。したがって、このような組合せ及び変形実施に係わる内容は本発明の範囲に含まれるものに解釈されなければならない。