特許第6538169号(P6538169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6538169自動車のブレーキシステムの圧力生成装置のためのピストンアッセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6538169
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】自動車のブレーキシステムの圧力生成装置のためのピストンアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/138 20060101AFI20190625BHJP
   B60T 13/74 20060101ALI20190625BHJP
   B60T 17/00 20060101ALI20190625BHJP
   F16J 1/24 20060101ALI20190625BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20190625BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20190625BHJP
   F16H 25/24 20060101ALI20190625BHJP
   F04B 9/02 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   B60T13/138 A
   B60T13/74 Z
   B60T17/00 D
   F16J1/24
   F16H25/22 B
   F16H25/20 E
   F16H25/24 B
   F04B9/02 C
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-531399(P2017-531399)
(86)(22)【出願日】2015年10月19日
(65)【公表番号】特表2018-502762(P2018-502762A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】EP2015074140
(87)【国際公開番号】WO2016091437
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2017年6月9日
(31)【優先権主張番号】102014225590.2
(32)【優先日】2014年12月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】ヴェー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】タンドラー,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】マイール,マティアス
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−030599(JP,A)
【文献】 特開2002−257165(JP,A)
【文献】 特開2012−067888(JP,A)
【文献】 特表2005−512000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/00−13/74
B60T 17/00
F04B 9/02
F16H 25/20
F16H 25/22
F16H 25/24
F16J 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のブレーキシステム(1)の圧力生成装置(12)のためのピストンアッセンブリ(5)において、
前記ブレーキシステム(1)の液圧装置(20)に形成された開口部(14)内へ少なくとも部分的に差し込み可能で、該開口部(14)内で軸線方向に変位可能であるピストン(10)と、
前記ピストン(10)を軸線方向に変位させるためのボールスクリュードライブ(16)と、
を備え、
前記ボールスクリュードライブ(16)が、電動機により伝動装置を介して回転運動させることのできるナット(23)と、スピンドル(17)とを有し、該スピンドル(17)が、前記ナット(23)の回転運動と、前記ナット(23)と前記スピンドル(17)との間で循環系内を周回する前記ボールスクリュードライブ(16)のボールを介して生じる動力伝達とによって軸線方向に変位可能であり、前記ピストン(10)は、前記ボールスクリュードライブ(16)の軸線方向に変位可能な前記スピンドル(17)と次のように結合され、すなわち該ピストンが前記ボールスクリュードライブ(16)の軸線方向に変位可能な前記スピンドル(17)と一緒に運動し、その際に前記ピストン(10)の第1の走入位置(P1)で該ピストン(10)が少なくとも前記ナット(23)の第1の部分領域(T1)を取り囲み、且つ前記ピストン(10)の第2の走出位置(P2)で該ピストン(10)が前記ナット(23)の第2の部分領域(T2)を取り囲むように、結合され、前記第1の部分領域(T1)が前記第2の部分領域(T2)よりも大きいピストンアッセンブリ。
【請求項2】
前記ナット(23)の長さが軸線方向に変位可能な前記ピストン(10)の変位軸線に沿って定義され、前記ナット(23)の前記第1の部分領域(T1)が前記ナット(23)の長さの少なくとも75%を有し、前記ナット(23)の前記第2の部分領域(T2)が前記ナット(23)の長さの25%以下を有していることを特徴とする、請求項1に記載のピストンアッセンブリ。
【請求項3】
前記ピストン(10)がねじ結合部および/または溶接結合部によって前記ボールスクリュードライブ(16)の前記スピンドル(17)と結合されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のピストンアッセンブリ。
【請求項4】
前記ピストン(10)が外周面に少なくとも1つの成形部(10b)を有し、該成形部は、フランジ(18)および/または前記液圧装置(20)に形成された繰り抜き部内で、該ピストン(10)が回転不能に軸線方向に変位可能であるように受容可能であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載のピストンアッセンブリ。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一つに記載のピストンアッセンブリ(5)とフランジ(18)とを備え、該フランジが前記ブレーキシステム(1)の前記液圧装置(20)に固定可能であり、且つ前記フランジが、前記ピストンアッセンブリ(5)側に、前記液圧装置(20)の前記開口部(14)に対し合同な中空筒状の成形部(22)を有し、該成形部内で、前記ピストン(10)が前記ボールスクリュードライブ(16)によって少なくとも部分的に軸線方向に変位可能である圧力生成装置(12)。
【請求項6】
前記ナット(23)の長さが軸線方向に変位可能な前記ピストン(10)の変位軸線に沿って定義され、前記ナット(23)の前記第1の部分領域(T1)が前記ナット(23)の長さの少なくとも75%を有し、前記ナット(23)の前記第2の部分領域(T2)が前記ナット(23)の長さの25%以下を有していることを特徴とする、請求項5に記載の圧力生成装置。
【請求項7】
前記ピストン(10)がねじ結合部および/または溶接結合部によって前記ボールスクリュードライブ(16)の前記スピンドル(17)と結合されていることを特徴とする、請求項5または6に記載の圧力生成装置。
【請求項8】
前記ピストン(10)が外周面に少なくとも1つの成形部(10b)を有し、該成形部は、フランジ(18)および/または前記液圧装置(20)に形成された繰り抜き部内で、該ピストン(10)が回転不能に軸線方向に変位可能であるように受容可能であることを特徴とする、請求項5から7までのいずれか一つに記載の圧力生成装置。
【請求項9】
請求項5から8までのいずれか一つに記載の圧力生成装置(12)と協働する液圧装置(20)において、該液圧装置が開口部(14)を備え、該開口部は、前記圧力生成装置(12)の前記ピストン(10)が前記ボールスクリュードライブ(16)によって少なくとも部分的に前記開口部(14)内で軸線方向に変位可能であるように形成されている液圧装置。
【請求項10】
前記液圧装置(20)が、前記開口部(14)に配置される少なくとも1つの繰り抜き部を有し、該繰り抜き部は、前記ピストン(10)の外周面に形成された少なくとも1つの成形部(10b)を、前記ピストン(10)が回転不能に軸線方向に変位可能であるように受容するために形成されていることを特徴とする、請求項9に記載の液圧装置。
【請求項11】
前記成形部がピン状要素によって形成され、該ピン状要素が、前記ピストン(10)に形成された前記繰り抜き部と形状拘束的に結合可能であることを特徴とする、請求項9または10に記載の液圧装置。
【請求項12】
請求項5から8までのいずれか一つに記載の圧力生成装置(12)と、該圧力生成装置(12)と協働する、請求項9から11までのいずれか一つに記載の液圧装置(20)とを備えた自動車用ブレーキシステム(1)。
【請求項13】
自動車のブレーキシステム(1)の圧力生成装置(12)のためのピストンアッセンブリ(5)を組み立てるための方法において、
ストン(10)を、予め組み立てられたボールスクリュードライブ(16)のスピンドル(17)と結合させるステップ(S1)と、
前記ピストン(10)を前記ボールスクリュードライブ(16)とともに前記圧力生成装置(12)のフランジ(18)に固定するステップであって、前記ピストンが回転不能に軸線方向に変位可能であるように、前記ピストン(10)に形成される成形部(10b)を、前記フランジ(18)に形成される繰り抜き部内で受容可能であるようなステップ(S2)と、
前記ピストン(10)および該ピストン(10)と結合されている前記ボールスクリュードライブ(16)を支持するための軸受要素(26)を設けるステップ(S3)と、
を備えた方法。
【請求項14】
前記ピストン(10)および該ピストン(10)と結合されている前記ボールスクリュードライブ(16)にプレストレスをかけるための支持要素(28)を設け(S4)、該支持要素(28)が、前記ピストン(10)および該ピストン(10)と結合されている前記ボールスクリュードライブ(16)を支持するための前記軸受要素(26)のためのスラスト面を提供していることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のブレーキシステムの圧力生成装置のためのピストンアッセンブリに関するものである。本発明は、さらに、本発明によるピストンアッセンブリを備えた圧力生成装置に関する。また、本発明は、圧力生成装置と協働するための液圧装置に関する。本発明は、さらに、自動車用ブレーキシステムに関する。さらに本発明は、自動車のブレーキシステムの圧力生成装置のためのピストンアッセンブリを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液圧式車両ブレーキ装置は、ブレーキ圧を生成するために従来のピストンポンプを有している。
【0003】
特許文献1は、液圧式車両ブレーキ装置において特にブレーキ圧をコントロールするためにピストンポンプを開示している。このピストンポンプは、圧力媒体の流れを制御するために、バルブカバー内に収納される排出弁を有している。ピストンポンプの排流通路は、ポンプハウジングの圧力媒体通路に開口している。この圧力媒体通路は、ピストンポンプの長手軸線方向に見て、バルブカバーの、ポンプハウジングの内部にある端部の上方に配置されている。
【0004】
さらに、これとは択一的に圧力を生成するため、シリンダ・ピストン装置を設けることができ、シリンダ・ピストン装置の場合、ピストンのために設けられる液圧装置の開口部内で該ピストンを軸線方向に変位させるために形成された駆動機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008002740A1号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明は、自動車のブレーキシステムの圧力生成装置のためのピストンアッセンブリにおいて、前記ブレーキシステムの液圧装置に形成された開口部内へ少なくとも部分的に差し込み可能で、該開口部内で軸線方向に変位可能であるピストンと、前記ピストンを軸線方向に変位させるためのボールスクリュードライブとを備え、前記ボールスクリュードライブが、電動機により伝動装置を介して回転運動させることのできるナットと、スピンドルとを有し、該スピンドルが、前記ナットの回転運動と、前記ナットと前記スピンドルとの間で循環系内を周回する前記ボールスクリュードライブのボールを介して生じる動力伝達とによって軸線方向に変位可能であり、前記ピストンは、前記ボールスクリュードライブの軸線方向に変位可能な前記スピンドルと次のように結合され、すなわち該ピストンが前記ボールスクリュードライブの軸線方向に変位可能な前記スピンドルと一緒に運動し、その際に前記ピストンの第1の走入位置で該ピストンが少なくとも前記ナットの第1の部分領域を取り囲み、且つ前記ピストンの第2の走出位置で該ピストンがたかだか前記ナットの第2の部分領域を取り囲むように、結合され、前記第1の部分領域が前記第2の部分領域よりも大きいピストンアッセンブリを提供する。
【0007】
本発明は、さらに、本発明によるピストンアッセンブリとフランジとを備え、該フランジが前記ブレーキシステムの前記液圧装置に固定可能であり、且つ前記フランジが、前記ピストンアッセンブリ側に、前記液圧装置の前記開口部に対し合同な中空筒状の成形部を有し、該成形部内で、前記ピストンが前記ボールスクリュードライブによって少なくとも部分的に軸線方向に変位可能である圧力生成装置を提供する。
【0008】
本発明は、さらに、請求項5から8までのいずれか一つに記載の圧力生成装置と協働する液圧装置において、該液圧装置が開口部を備え、該開口部は、前記圧力生成装置の前記ピストンが前記ボールスクリュードライブによって少なくとも部分的に前記開口部内で軸線方向に変位可能であるように形成されている液圧装置を提供する。
【0009】
本発明は、さらに、本発明による圧力生成装置と、該圧力生成装置と協働する本発明による液圧装置とを備えた自動車用ブレーキシステムを提供する。
【0010】
本発明は、さらに、自動車のブレーキシステムの圧力生成装置のためのピストンアッセンブリを組み立てるための方法を提供する。この方法は、前記ピストンを、予め組み立てられたボールスクリュードライブのスピンドルと結合させるステップを含んでいる。この方法は、さらに、前記ピストンを前記ボールスクリュードライブとともに前記圧力生成装置のフランジに固定するステップであって、前記ピストンが回転不能に軸線方向に変位可能であるように、前記ピストンに形成される成形部を、前記フランジに形成される繰り抜き部内で受容可能であるような前記ステップを含んでいる。この方法は、さらに、前記ピストンおよび該ピストンと結合されている前記ボールスクリュードライブを支持するための軸受要素を設けるステップとを含んでいる。
【0011】
本発明のコンセプトは、ボールスクリュードライブをピストン内で受容することである。これにより、圧力生成装置の電動機を通過して延在しているピストンを用いて液圧で圧力を生成するようにしたブレーキシステムのボックスボリュームを達成できる。
【0012】
有利な実施態様および更なる構成は、従属請求項および図を参照した説明から明らかである。
【0013】
有利な更なる構成によれば、ナットの長さは軸線方向に変位可能なピストンの変位軸線に沿って定義され、ナットの第1の部分領域はナットの長さの少なくとも50%、好ましくはナットの長さの少なくとも75%を有し、ナットの第2の部分領域はナットの長さの50%以下、好ましくはナットの長さの25%以下を有している。これにより、ピストンの第1の位置では、ピストンのストローク長さだけブレーキシステムのボックスボリュームの短縮が達成できるので有利である。
【0014】
他の有利な更なる構成によれば、ピストンはねじ結合部および/または溶接結合部によってボールスクリュードライブのスピンドルと結合されている構成になっている。このようにして、ピストンを簡単で確実にスピンドルに相対回転不能に固定することができる。
【0015】
他の有利な更なる構成によれば、ピストンは外周面に少なくとも1つの成形部を有し、該成形部は、フランジおよび/または液圧装置に形成された繰り抜き部内で、該ピストンが回転不能に軸線方向に変位可能であるように受容可能である構成になっている。このようにして、ピストンがボールスクリュードライブのナットと一緒に回転するのを阻止することができる。
【0016】
他の有利な更なる構成によれば、液圧装置は、開口部に配置される少なくとも1つの繰り抜き部を有し、該繰り抜き部は、ピストンの外周面に形成された少なくとも1つの成形部を、ピストンが回転不能に軸線方向に変位可能であるように受容するために形成されている構成になっている。このようにして、ピストンがボールスクリュードライブのナットと一緒に回転するのを阻止することができる。
【0017】
他の有利な更なる構成によれば、成形部はピン状要素によって形成され、該ピン状要素は、ピストンに形成された繰り抜き部と形状拘束的に結合可能である構成になっている。このようにして、ピストンがボールスクリュードライブのナットと一緒に回転するのを阻止することができる。
【0018】
他の有利な更なる構成によれば、ピストンおよび該ピストンと結合されているボールスクリュードライブにプレストレスをかけるための支持要素を設け、該支持要素は、ピストンおよび該ピストンと結合されているボールスクリュードライブを支持するための軸受要素のためのスラスト面を提供している構成になっている。このようにして、自動車のブレーキシステムのためのコンパクトな圧力生成装置を設けることができる。
【0019】
上述した構成および更なる構成は、互いに任意に組み合わせることができる。
【0020】
本発明の他の可能な構成、更なる構成、実施態様は、明示しないが、本発明の上述した構成要件または以下で実施形態に関し説明する構成要件の組み合わせをも含んでいる。
【0021】
添付の図面は、本発明の実施形態をさらに理解するためのものである。これらの図面はいくつかの実施形態をわかりやすく説明するもので、本発明の原理およびコンセプトの明確な説明と関連して用いる。
【0022】
他の実施形態および上述の利点の多くは、図面を考慮して明らかになる。図面の図示した要素は、必ずしも互いに縮尺どおりに示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の1つの有利な実施形態による自動車のブレーキシステムの1つの部分領域の図である。
図2】本発明の前記有利な実施形態によるピストンアッセンブリの展開図である。
図3】本発明の他の有利な実施形態によるピストンアッセンブリの展開図である。
図4】本発明の前記有利な実施形態による圧力生成装置の展開図である。
図5】本発明の前記有利な実施形態による圧力生成装置の1つの部分領域の図である。
図6】本発明の前記有利な実施形態によるブレーキシステムの図である。
図7】本発明の前記有利な実施形態によるブレーキシステムの図である。
図8】本発明の前記有利な実施形態および前記他の有利な実施形態にしたがって圧力生成装置を組み立てる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面の図において、反対のものが記載されていない限り、同じ参照符号は同じまたは機能が同じ要素、構成部材または構成要素を表している。
【0025】
図1は、本発明の有利な1実施形態による自動車のブレーキシステムの部分領域の図である。
【0026】
ブレーキシステム1は、圧力生成装置12と液圧装置20とを有している。ブレーキシステム1の他の構成要素は、簡単にするためにさらに説明しない。圧力生成装置12は、該圧力生成装置を液圧装置20に固定可能であるように形成されている。液圧装置20は開口部14を有し、該開口部は、圧力生成装置12のピストン(図1には図示していない)を受容するために形成されている。圧力生成装置12と液圧装置20との間には、組み立て状態で、圧力生成装置12と液圧装置20との間の結合部を密封するための密封要素30が配置されている。
【0027】
図2は、本発明の有利な1実施形態によるピストンアッセンブリの展開図である。
【0028】
ピストンアッセンブリ5はピストン10と、ボールスクリュードライブ16と、軸受要素26とを有している。ピストン10は好ましくは筒状に形成されている。これとは択一的に、ピストン10は他の適当な形状を有していてもよい。ボールスクリュードライブ16はスピンドル17と、多数のボール19と、ナット23とを有している。ボール19は、ボールスクリュードライブの組み立て状態で、スピンドル17とナット23との間に次のように配置されており、すなわち位置固定して配置されているナット23の回転がスピンドル17の並進運動を生じさせるように配置されている。さらに、ナット23は転向部材23aを有している。転向部材はボールの転向を生じさせ、その結果ナット23に対するスピンドル17の軸線方向前進変位が可能になる。
【0029】
軸受要素26は、ピストン10と、圧力生成装置12の組み立て状態でピストン10と結合されているスピンドル17とを支持している。スピンドル17は、有利な態様ではねじ結合部によってピストン10と結合されている。このため、ピストン10の狭い側面に、(図2には示していない)ねじ山が形成され、このねじ山にスピンドル17が対応するねじ山によって結合されている。これとは択一的に、たとえば溶接結合部によってスピンドル17がピストン10と結合されていてもよい。
【0030】
図3は、本発明の他の有利な実施形態によるピストンアッセンブリの展開図である。
【0031】
ピストン10の外周面には、好ましくは1つの成形部10b(本実施形態では3つの成形部10b)が形成されている。成形部10bはピストン10のカラー10aに配置されている。ピストン10のカラー10aは、圧力が側面に作用したときの安定化のために用いる。
【0032】
成形部10bは、ピストン10が軸線方向に変位した場合、(図3には示していない)フランジおよび/または(図3には示していない)液圧装置に形成した繰り抜き部で次のように受容可能であり、すなわちピストン(10)が回転せずに軸線方向に変位可能であるように受容可能である。したがって成形部10bは、圧力生成装置の電動機の回転により、および、これによって生じる圧力生成装置のナットの回転により、スピンドルおよびこれと結合されているピストンが一緒に回転するのを阻止している。
【0033】
図4は、本発明の有利な1実施形態による圧力生成装置の展開図である。
【0034】
ピストン10は、図4では、その中に配置されるボールスクリュードライブとともに図示されている。フランジ18は中空筒状の成形部22を有し、該成形部は、ピストン10がその中に組み込まれているボールスクリュードライブとともに成形部22内で受容可能であるように形成されている。
【0035】
さらに、複数の密封部31と、軸受要素26と、他の軸受要素32と、支持要素28とが設けられている。密封要素31は、圧力生成装置12の組み立て状態で、ピストン10を取り囲んで、ピストン10とフランジ18の中空筒状の成形部22との間に配置されている。軸受要素26はフランジ18の中空筒状の成形部22を取り囲み、したがってフランジ18の中空筒状の成形部22の外周面に配置されている。他の軸受要素32はピストン10を支持するために用いる。支持要素28は、ピストン10および該ピストン10と結合されているボールスクリュードライブのプレストレスのために用いる。その際支持要素28は、ピストン10および該ピストン10と結合されているボールスクリュードライブを支持するための軸受要素26用のスラスト面を提供する。支持要素28は回転不能に且つ脱落不能に固定されており、その結果ピストン10のピストン空間内の圧力によって生じるスラスト力を吸収することができる。支持要素28はねじによってフランジ18と結合されている。これとは択一的に、支持要素28を溶接結合部を介して、または、他の適当な結合部を介してフランジ18と結合させてもよい。
【0036】
図5は、本発明の前記有利な実施形態による圧力生成装置の部分領域の図である。
【0037】
軸受要素26と支持要素28とは、図5ではフランジ18の中空筒状の成形部22上に差し込まれている。フランジ18の中空筒状の成形部22は、好ましくは孔によって形成される。これとは択一的に、中空筒状の成形部22を他の種類および態様で製造してもよい。
【0038】
図6は、本発明の前記実施形態によるブレーキシステムの図である。
【0039】
図6に示した図では、圧力生成装置12はフランジ18を用いて液圧装置20に取り付けられている。ピストン10は、ブレーキシステム1の液圧装置20に形成された開口部の中に部分的に差し込まれ、この開口部内でボールスクリュードライブによって軸線方向に変位可能である。ボールスクリュードライブは、電動機によって伝動装置を介して回転運動させることのできるナット23と、スピンドルとを有し、この場合スピンドルは、ナット23の回転運動と、ナット23とスピンドルとの間で循環系内を周回運動するボールスクリュードライブのボールとを介して生じる動力伝達により、軸線方向に変位可能である。
【0040】
ピストン10は、軸線方向に変位可能なボールスクリュードライブのスピンドルと次のように結合されており、すなわちピストン10が軸線方向に変位可能なボールスクリュードライブのスピンドルとともに一緒に運動し、その際図6に示した、ピストン10の第1の走入位置P1で、ピストン10がナット23の第1の部分領域T1を取り囲むように、結合されている。ナット23の長さは、軸線方向に変位可能なピストン10の変位軸線に沿って定義されている。好ましくは、ナット23の第1の部分領域T1はナット23の長さの少なくとも50%である。これとは択一的に、ナット23の第1の部分領域T1はナット23の長さの少なくとも75%を有していてもよい。
【0041】
図7は、本発明の前記有利な実施形態によるブレーキシステムの図である。
【0042】
図7に示した図では、ピストン10は第2の走出位置P2に配置されており、この第2の走出位置でピストン10はナット23の第2の部分領域T2を取り囲んでいる。ナット23の第1の部分領域T1は、好ましくはナット23の第2の部分領域(T2)よりも大きい。ナット23の長さは、軸線方向に変位可能なピストン10の変位軸線に沿って定義されている。好ましくは、ナット23の第2の部分領域T2はナット23の長さの最大で50%を有している。これとは択一的に、ナット23の第1の部分領域T1はナット23の長さの最大で25%を有していてもよい。
【0043】
図8は、本発明の前記有利な実施形態および前記他の有利な実施形態による圧力生成装置を組み立てるための方法のフローチャートである。
【0044】
ブレーキシステムの圧力生成装置のためのピストンを組み立てる方法は、ピストンを、予め組み立てられたボールスクリュードライブのスピンドルと結合させるステップS1を含んでいる。この方法は、さらに、ボールスクリュードライブとともにピストンを圧力生成装置のフランジに固定するステップS2を含んでおり、この場合ピストンに形成されている成形部は、フランジに形成されている繰り抜き部内で次のように受容可能であり、すなわちフランジに対するピストンの角度配向が固定されるように受容可能である。この方法は、さらに、ピストンおよび該ピストンと結合されているボールスクリュードライブを支持するための軸受要素を設けるステップを含んでいる。この方法は、さらに、ピストンおよび該ピストンと結合されているボールスクリュードライブにプレストレスをかけるための支持要素を設けるステップを含み、この場合支持要素は、ピストンおよび該ピストンと結合されているボールスクリュードライブを支持するための軸受要素に対するスラスト面を提供する。
【0045】
本発明をいくつかの有利な実施形態に関して上述したが、本発明はこれに限定されるものではなく、多面的に修正可能である。特に本発明は、本発明の本質を逸脱しなければ多様に変更または修正することができる。
【0046】
たとえば、フランジまたは該フランジに形成されている中空筒状の成形部は、有利な態様でピストンに整合されている他の適当な形状を有していてよい。さらに、ピストンのガイドは、他の種類および態様で且つ他の適当な軸受要素を備えるように設けることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 ブレーキシステム
5 ピストンアッセンブリ
10 ピストン
10b 成形部
12 圧力生成装置
14 開口部
16 ボールスクリュードライブ
17 スピンドル
18 フランジ
20 液圧装置
22 中空筒状の成形部
23 ナット
26 軸受要素
28 支持要素
P1 ピストンの第1の走入位置
P2 ピストンの第2の走出位置
T1 ナットの第1の部分領域
T2 ナットの第2の部分領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8