(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、使い捨てオムツの着用者から排泄される便は、オムツの着用者身体側内部で受けられて、その全部または大部分が着用者身体とオムツとの間に留め置かれる。この留め置かれた排泄便によって着用者身体は汚れてしまう。また、排泄後におけるオムツ替えの作業時には、その作業者の手など身体が、オムツ内に留め置かれた排泄便によって汚れてしまう場合がある。
【0005】
本発明は、以上のような事情のもとで考え出されたものであって、その目的は、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに適した使い捨てオムツを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面により提供される使い捨てオムツは、本体部と、臀裂対向部と、収容部と、送便管路とを備える。本体部は、外装内側シートおよび外装外側シートを含む多層構成を有する。外装外側シートよりも外装内側シートはオムツの内方側に位置する。臀裂対向部は、着用者の臀裂部に当接可能であり、且つ、排泄便を受けるための先端開口部を有する。収容部は、着用者身体から隔てて排泄便を収容するためのものであり、外装内側シートおよび外装外側シートの間に位置する。送便管路は、臀裂対向部の先端開口部から収容部まで排泄便を導くためのものであり、収容部に臨む開口端部を有する。この開口端部は、その開口端側から延びる一つ又は複数のスリットないし切れ込みを有する。また、送便管路は、例えば、樹脂フィルムなど柔軟素材よりなるフレキシブル管路である。このような構成の使い捨てオムツは、着用者の肛門に臀裂対向部の先端開口部が対向する位置および姿勢で臀裂対向部が着用者の臀裂部に当接するように、使用者に着用される。また、本発明の使い捨てオムツは、パンツタイプとして構成されたものであってもよいし、いわゆるテープタイプとして構成されたものであってもよいし、これら両タイプ兼用のタイプとして構成されたものであってもよい。
【0007】
このような使い捨てオムツの着用者から排泄される便は、着用者の臀裂部に当接する臀裂対向部の先端開口部に受容され、送便管路を通って排泄物の収容部に至りうる。本体部の外装内側シートと外装外側シートとの間に排泄物の収容部を本オムツが備えるという上記構成は、着用者からの排泄便を着用者身体から隔てた状態で留め置くのに適し、従って、着用者ないしその身体が排泄便で汚れることを抑制するのに適する。そして、本オムツについて、収容部内に排泄便が収容された状態でオムツ替え作業が行われる場合、作業者の手など身体は、汚れにくい。
【0008】
また、排泄便受容口である先端開口部を有して着用者臀裂部に当接可能な臀裂対向部を本オムツが備えるという上記構成は、着用者からの排泄便を収容部に導くうえで好適であり、ひいては、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに資する。
【0009】
加えて、送便管路において収容部に臨む開口端部が、その開口端側から延びるスリットを有するという上記構成は、収容部から送便管路への排泄便の逆流を抑制するのに適する。送便管路の開口端部は、柔軟素材よりなるうえに切れ込みであるスリットを有するため、形状が保持されにくい。このような開口端部は、送便管路内を収容部に向けて移動する排泄便の通過時には開口してその通過を許容しやすいものの、外部からの接触作用を受ける場合には開口しにくい。そのため、送便管路の当該開口端部に対して開口端部外の収容部から排泄便は入りにくい。収容部に一旦収まった排泄便は、形状保持性の低い開口端部を介しては、送便管路内に逆流しにくいのである。収容部から送便管路への排泄便の逆流を抑制するのに適したこのような構成は、収容部に収容された排泄便の当該収容状態を維持するうえで好適であり、ひいては、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに資する。
【0010】
以上のように、本発明の第1の側面に係る使い捨てオムツは、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに適するのである。
【0011】
本発明の第1の側面に係る使い捨てオムツにおいて、好ましくは、臀裂対向部はその先端開口部とは反対の側に当該開口部よりも大きな後端開口部ないし基端開口部を有し、送便管路は当該基端開口部を通って収容部側へと延びる。このような構成によると、送便管路が上述のフレキシブル管路である場合に、当該フレキシブル管路における臀裂対向部先端開口部側の端部(始端)よりも収容部側の端部(終端)が下方の位置をとりやすい。送便管路の終端が始端よりも下方の位置をとりやすいことは、送便管路内での排泄便の逆流を抑制するうえで好ましい。
【0012】
本発明の第2の側面により提供される使い捨てオムツは、本体部と、臀裂対向部と、収容部と、少なくとも一つの開閉弁膜とを備える。本体部は、外装内側シートおよび外装外側シートを含む多層構成を有する。外装外側シートよりも外装内側シートはオムツの内方側に位置する。臀裂対向部は、着用者の臀裂部に当接可能であり、且つ、排泄便を受けるための先端開口部と、これとは反対の側に位置する基端開口部とを有する。収容部は、着用者身体から隔てて排泄便を収容するためのものであり、外装内側シートおよび外装外側シートの間に位置する。送便管路は、臀裂対向部の先端開口部から収容部まで排泄便を導くためのものであり、例えば、樹脂フィルムなど柔軟素材よりなるフレキシブル管路である。開閉弁膜は、臀裂対向部における基端開口部側に対向して配される要素であって、当該基端開口部を収容部に連通させる開状態に変形可能である。各開閉弁膜は、例えば舌片形状を有する。複数の開閉弁膜が臀裂対向部の基端開口部に対向して配される場合、各開閉弁膜は、その自由端側に他の開閉弁膜と重なりうる領域を有するように配されるのが好ましい。このような構成の使い捨てオムツは、着用者の肛門に臀裂対向部の先端開口部が対向する位置および姿勢で臀裂対向部が着用者の臀裂部に当接するように、使用者に着用される。また、本発明の使い捨てオムツは、パンツタイプとして構成されたものであってもよいし、いわゆるテープタイプとして構成されたものであってもよいし、これら両タイプ兼用のタイプとして構成されたものであってもよい。
【0013】
このような使い捨てオムツの着用者から排泄される便は、着用者の臀裂部に当接する臀裂対向部の先端開口部に受容され、送便管路を通って排泄物の収容部に至りうる。本体部の外装内側シートと外装外側シートとの間に排泄物の収容部を本オムツが備えるという上記構成は、着用者からの排泄便を着用者身体から隔てた状態で留め置くのに適し、従って、着用者ないしその身体が排泄便で汚れることを抑制するのに適する。そして、本オムツについて、収容部内に排泄便が収容された状態でオムツ替え作業が行われる場合、作業者の手など身体は、汚れにくい。
【0014】
また、排泄便受容口である先端開口部を有して着用者臀裂部に当接可能な臀裂対向部を本オムツが備えるという上記構成は、着用者からの排泄便を収容部に導くうえで好適であり、ひいては、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに資する。
【0015】
加えて、臀裂対向部における基端開口部側に対向して配され、且つ当該基端開口部を収容部に連通させる開状態に変形可能である開閉弁膜を、本オムツが備えるという上記構成は、収容部から臀裂対向部の先端開口部側(即ち、オムツの着用者身体側内部)への排泄便の逆流を抑制するのに適する。臀裂対向部の基端開口部と収容部との間を区切るような態様で臀裂対向部における基端開口部側に対向して配されている開閉弁膜は、臀裂対向部内にその先端開口部を介して受容された排泄便が基端開口部および開閉弁膜を通過する時には変形してその通過を許容しやすい。その一方、当該開閉弁膜は、収容部側からの接触作用によっては、基端開口部と収容部とを連通させる開状態に至るほどの変形を生じにくい。臀裂対向部におけるその基端開口部まわりの壁部が、開閉弁膜に当接して、収容部側からの接触作用による開閉弁膜のそのような変形を阻む作用を発揮しうるからである。そのため、臀裂対向部の基端開口部に対して収容部側から排泄便は入りにくい。収容部に一旦収まった排泄便は、臀裂対向部における基端開口部ひいては先端開口部側に逆流しにくいのである。排泄便の逆流を抑制するのに適したこのような構成は、収容部に収容された排泄便の当該収容状態を維持するうえで好適であり、ひいては、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに資する。
【0016】
以上のように、本発明の第2の側面に係る使い捨てオムツは、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに適するのである。
【0017】
本発明の第1および第2の側面において、臀裂対向部は、好ましくは、肛門周りに貼着するための粘着部を先端開口部の周りに有する。このような構成は、着用者からの排泄便を、臀裂対向部の先端開口部によって受容するうえで好適であり、従って、収容部に導くうえで好適である。
【0018】
好ましくは、外装内側シートは組付け用開口部を有し、臀裂対向部は、組付け用開口部において、伸縮性を有する伸縮材を介して外装内側シートに組み付けられている。伸縮材は、例えば、ひも状ゴム材または伸縮シート材である。このような構成によると、本発明の使い捨てオムツの着用時において、着用者臀裂部に対する臀裂対向部の良好な当接状態ないし密着状態を伸縮材に因る付勢力を利用して実現しやすく、従って、着用者からの排泄便を臀裂対向部の先端開口部によって受容しやすい。
【0019】
伸縮材として伸縮シート材が採用される場合、当該伸縮シート材および臀裂対向部は、好ましくは、外装内側シートの組付け用開口部を閉塞している。このような構成は、着用者からの排泄便を着用者身体から隔てた状態で収容部内に留め置くのに適し、従って、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに資する。
【0020】
臀裂対向部は、好ましくは、先端開口部の形成された先端頂辺部と当該先端頂辺部を介して繋がる一対の傾斜面部とを含む。このような構成の臀裂対向部は、その先端開口部を着用者の肛門に対向させつつ、着用者身体において窪んでいる臀裂部に当接しやすい。したがって、このような構成の臀裂対向部は、その先端開口部にて着用者からの排泄便を受容しやすい。
【0021】
臀裂対向部における一対の傾斜面部は、好ましくは、開閉脚動作可能に構成されている。すなわち、臀裂対向部において先端頂辺部を介して繋がる一対の傾斜面部の開き角度が大きくなる開脚動と、開脚後に当該開き角度が小さくなる閉脚動との、両動作が可能なように、一対の傾斜面部は構成されているのが好ましい。このような臀裂対向部においては、一対の傾斜面部が開くほど、即ち、一対の傾斜面部の開き角度が大きくなるほど、先端頂辺部にて開口している先端開口部の開口サイズは大きくなる傾向にある。このような臀裂対向部が外装内側シートの組付け用開口部において伸縮材を介して当該外装内側シートに組み付けられている場合、着用者臀裂部の肛門から排泄されつつある便が臀裂対向部の先端頂辺部ないし先端開口部に対して押圧作用を及ぼすと、伸縮材を介して外装内側シートに組み付けられている臀裂対向部における一対の傾斜面部が開脚動して先端開口部の開口サイズが大きくなり、従って、当該開口部にて排泄便が受容されやすくなる。
【0022】
収容部は、好ましくは、本体部における外装内側シートと外装外側シートとの間に配される収容袋体を有する。このような構成において、本オムツの着用者からの排泄便は、収容袋体内に収容されることとなる。当該構成は、着用者からの排泄便を着用者身体から隔てた状態で留め置くのに適し、従って、オムツ着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに資する。
【0023】
本発明の使い捨てオムツにおける本体部は、上述の外装内側シートおよび外装外側シートとともにトップシートを更に含む多層構成を有するのが好ましい。当該多層構成において、両外装シートよりもトップシートはオムツの内方側すなわち着用者側に位置する。そして、本オムツは、排泄尿など排泄物を吸収する機能を担う吸収ユニットをトップシートと外装内側シートの間に更に備えるのが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1から
図5は、本発明の一の実施形態であるオムツX1を表す。
図1はオムツX1の斜視図であり、
図2はオムツX1の展開平面図であり、
図3はオムツX1の一部省略展開平面図である。
図4は、
図2の線IV−IVに沿った断面模式図である。また、
図5はオムツX1の概念断面構成図である。
【0026】
オムツX1は、本体部10と、吸収ユニット20と、山型パッド30と、チューブ40と、収容部50とを備える使い捨てオムツであり、本実施形態ではパンツタイプとして構成されている。オムツX1の使用にあたっては、山型パッド30が着用者の臀裂部に当接するように、オムツX1は使用者に着用される。
【0027】
本体部10は、本実施形態では
図1に示すように、ウエスト開口部10aと脚開口部10b,10bとを伴うパンツ型の形状を有する。この本体部10は、展開状態にて
図2や
図3に示す平面視形状を有するシート体であって、
図4や
図5に表れているように、トップシート11(
図3にて省略)と、外装内側シート12と、外装外側シート13とを含む多層構成を有する。この多層シート体における
図2に示す端部E,Eどうしの接合、および、
図2に示す端部E',E'どうしの接合を経て、本体部10ないしオムツX1は立体化されたものである。
【0028】
トップシート11は、本体部10において着用者側最表層をなし、且つ、液透過性を有する。また、トップシート11は、山型パッド30の配設箇所にて開口する開口部11aを有し、例えばこの開口部11aまわりなど所定の箇所が外装内側シート12と接合されている。この接合には、例えばホットメルト型接着剤を利用することができる。このようなトップシート11の素材としては、例えば、不織布、織布、メッシュシート、および、液透過孔の形成されたプラスチックフィルムが、挙げられる。トップシート用素材の不織布や織布をなすための繊維の構成材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、セルロース、レーヨン、およびコットンが挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレンが挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。また、トップシート用素材の不織布や織布をなすための繊維は、好ましくは、界面活性剤での表面処理によって表面の親水化が図られた疎水性繊維、または親水性繊維である。
【0029】
本体部10における外装内側シート12および外装外側シート13は、排泄物における液分がオムツX1の内側から外側に透過するのを防止するための液不透過性を有し、且つ、それらの外縁端部どうしが本実施形態では全周にわたって接合されている。この接合には、例えばホットメルト型接着剤を利用することができる。外装内側シート12は、山型パッド30の組付け箇所である開口部12a(組付け用開口部)を有する。各外装シートの素材としては、例えば、不織布、プラスチックフィルム、および、不織布とプラスチックフィルムとのラミネート材が、挙げられる。外装シート用素材の不織布をなすための繊維の構成材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、およびナイロンが挙げられる。外装シート用素材の不織布をなすための繊維は、好ましくは疎水性繊維である。このような外装内側シート12および外装外側シート13は、防水処理が施されていてもよい。
【0030】
吸収ユニット20は、オムツX1において排泄物中の排泄尿など液分を吸収する機能を担うものであり、
図4に示すように、本体部10におけるトップシート11と外装内側シート12との間に配されている。また、吸収ユニット20は、トップシート11および/または外装内側シート12に対して接合されている。この接合には、例えばホットメルト型接着剤を利用することができる。
【0031】
このような吸収ユニット20は、例えば、水分吸収容量の大きなシート状の高分子吸水材と、この高分子吸水材を被覆して保持するための液透過性シートとを有する。高分子吸水材の構成材料としては、例えば、ポリアクリル酸系樹脂、ポリアスパラギン酸系樹脂、およびセルロース系樹脂が挙げられる。液透過性シートとしては、例えば綿状パルプが挙げられる。また、吸収ユニット20ないしその表面の液透過性シートと上述のトップシート11との間には、吸収ユニット20に向けての液分移動速度を高める目的で例えば、吸水紙が配されてもよい。
【0032】
山型パッド30は、着用者臀裂部に当接可能な臀裂対向部であり、
図6から
図8によく表れているように、頂辺部31と、これを介して繋がり且つ開閉脚動作可能な一対の傾斜面部32とを有する。頂辺部31を介して繋がる一対の傾斜面部32は、具体的には、その開き角度が大きくなる開脚動と、開脚後に当該開き角度が小さくなる閉脚動とが可能なように、構成されている。一対の傾斜面部32の閉状態にあっては開口部30a,30bを開口端として山型パッド30内を貫通する貫通路が形成される形状を、山型パッド30は有する。開口部30aは、頂辺部31側にて排泄便を受けるための先端開口部である。開口部30bは、山型パッド30において頂辺部31とは反対の側に位置する基端開口部であり、開口部30aよりも大きい(開口部30aの最大径よりも開口部30bの最大径の方が大きい)。このような山型パッド30は、好ましくは、柔軟性と形状復帰性とを併せもつスポンジ材よりなる。スポンジ材としては、例えば、セルローススポンジ、ポリウレタンスポンジ、およびメラミンスポンジが挙げられる。また、山型パッド30の頂辺部31における開口部30a周りには、肛門周りに貼着するための粘着部33が設けられている。
【0033】
また、山型パッド30は、
図3に示すように、上述の本体部10の外装内側シート12に対し、その開口部12aにて伸縮材14を介して組み付けられている。伸縮材は、本実施形態では伸縮シート材である。これら山型パッド30および伸縮シート材は、外装内側シート12の開口部12aを閉塞している。伸縮シート材としては、例えば、フィルム状弾性素材またはネット状弾性素材とその片面または両面ともに貼り合わせられた不織布との積層構造を有するシート体が挙げられる。このような伸縮シート材の代わりにひも状ゴム材を伸縮材として用いてもよい。
【0034】
チューブ40は、送便管路であって、山型パッド30の開口部30aから後述の収容部50まで排泄便を導くための経路をなし、当該経路の始端側の始端部41および終端側の開口端部42を有する。チューブ40の始端部41は山型パッド30の開口部30aと連結され、当該チューブ40は、山型パッド30に形成され得る開口部30bを通って収容部50の側へと延び、チューブ40の開口端部42は収容部50に臨む。この開口端部42は、その開口端側から延びる複数のスリット42a(切れ込み)を有する。各スリット42aの長さは、チューブ40の全長に応じて例えば1〜4cmである。このような構成のチューブ40は、柔軟素材よりなるフレキシブル管路であり、例えば、プラスチックフィルムなど樹脂フィルムよりなるか、或いはゴムよりなる。チューブ40が樹脂フィルムよりなる場合、フィルム表面間の静電吸着作用に因ってチューブ40の開口端部42が
図7(b)に示すように閉状態をとりやすくなることがある。
【0035】
収容部50は、着用者身体から隔てて排泄便を収容するためのものであって、
図4や
図5に表れているように、外装内側シート12および外装外側シート13の間に設けられる。本実施形態において、収容部50は、外装内側シート12の上述の開口部12a周りに沿って開口部周りが接合されている収容袋体51を備える。接合には、例えばホットメルト型接着剤を利用することができる。
【0036】
以上のような構成を有するオムツX1の使用にあたっては、着用者の肛門に山型パッド30の開口部30aが対向する位置・姿勢で山型パッド30が着用者の臀裂部に当接するように、オムツX1は使用者に着用される。そして、着用者から排泄される便は、着用者の臀裂部に当接する山型パッド30の開口部30aに受容され、チューブ40を通って収容部50に至りうる。その排泄便は、収容袋体51内に収容されることとなる。
【0037】
本体部10の外装内側シート12と外装外側シート13との間に排泄物の収容部50をオムツX1が備えるという上述の構成は、着用者からの排泄便を着用者身体から隔てた状態で留め置くのに適し、従って、着用者ないしその身体が排泄便で汚れることを抑制するのに適する。そして、オムツX1について、収容部50内に排泄便が収容された状態でオムツ替え作業が行われる場合、作業者の手など身体は、汚れにくい。
【0038】
また、排泄便受容口である開口部30aを有して着用者臀裂部に当接可能な山型パッド30をオムツX1が備えるという上述の構成は、着用者からの排泄便を収容部50に導くうえで好適であり、ひいては、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに資する。
【0039】
加えて、チューブ40において収容部50に臨む開口端部42が、その開口端側から延びるスリット42aを有するという上述の構成は、収容部50からチューブ40への排泄便の逆流を抑制するのに適する。チューブ40の開口端部42は、柔軟素材よりなるうえに切れ込みであるスリット42aを有するため、形状が保持されにくい。このような開口端部42は、チューブ40内を収容部50に向けて移動する排泄便の通過時には開口してその通過を許容しやすいものの、外部からの接触作用を受ける場合には開口しにくい。チューブ40の開口端部42が
図7(b)を参照して上述したように閉状態をとりやすい場合には なお更、そのような開口端部42は、外部からの接触作用を受けても開口しにくい。そのため、チューブ40の開口端部42に対して開口端部42外の収容部50から排泄便は入りにくい。収容部50に一旦収まった排泄便は、開口端部42を介しては、チューブ40内に逆流しにくいのである。収容部50からチューブ40への排泄便の逆流を抑制するのに適したこのような構成は、収容部50に収容された排泄便の当該収容状態を維持するうえで好適であり、ひいては、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに資する。
【0040】
以上のように、オムツX1は、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに適する。このようなオムツX1は、乳幼児用オムツとして構成されてもよいし、大人用オムツとして構成されてもよい。また、オムツX1は、上述のようなパンツタイプの使い捨てオムツとして構成されるのに代えて、オムツ止着用の例えば一対のファスニングテープを伴うテープタイプの使い捨てオムツとして構成されてもよい。
【0041】
山型パッド30は、上述のように、外装内側シート12の開口部12aにて、伸縮材14を介して外装内側シート12に組み付けられている。このような構成によると、オムツX1の着用時において、着用者臀裂部に対する山型パッド30の良好な当接状態ないし密着状態を伸縮材14に因る付勢力を利用して実現しやすく、従って、着用者からの排泄便を山型パッド30の開口部30aによって受容しやすい。
【0042】
伸縮材14として伸縮シート材が採用される本実施形態では、当該伸縮材14および山型パッド30は、上述のように、外装内側シート12の開口部12aを
図3に示すように閉塞している。このような構成は、着用者からの排泄便を着用者身体から隔てた状態で収容部50内に留め置くのに適し、従って、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに資する。
【0043】
山型パッド30は、上述のように、開口部30aの形成された頂辺部31と当該頂辺部31を介して繋がる一対の傾斜面部32とを含む。このような構成の山型パッド30は、その開口部30aを着用者の肛門に対向させつつ、着用者身体において窪んでいる臀裂部に当接しやすい。したがって、このような構成の山型パッド30は、その開口部30aにて着用者からの排泄便を受容しやすい。
【0044】
山型パッド30は、上述のように、その開口部30a(先端開口部)とは反対の側に当該開口部30aよりも大きな開口部30b(基端開口部)を有し、チューブ40は開口部30bを通って収容部50側へと延びる。このような構成によると、柔軟素材よりなるチューブ40における収容部50側の開口端部42(終端)が山型パッド30開口部30a側の始端部41(始端)よりも鉛直方向下方の位置をとりやすい。チューブ40の終端が始端よりも鉛直方向下方の位置をとりやすいことは、チューブ40内での排泄便の逆流を抑制するうえで好ましい。
【0045】
山型パッド30における一対の傾斜面部32は、上述のように、開閉脚動作可能に構成されている。このような山型パッド30においては、一対の傾斜面部32が開くほど、即ち、一対の傾斜面部32の開き角度が大きくなるほど、頂辺部31にて開口している開口部30aの開口サイズは大きくなる傾向にある。このような山型パッド30が外装内側シート12の開口部12aにて伸縮材14を介して当該外装内側シート12に組み付けられている本実施形態では、着用者臀裂部の肛門から排泄されつつある便が山型パッド30の頂辺部31ないし開口部30aに対して押圧作用を及ぼすと、伸縮材14を介して外装内側シート12に組み付けられている山型パッド30における一対の傾斜面部32が開脚動して開口部30aの開口サイズが大きくなり、従って、当該開口部30aにて排泄便が受容されやすくなる。
【0046】
図9および
図10は、本発明の一の実施形態であるオムツX2を表す。
図9は、オムツX2の概念断面構成図である。
図10(a)および
図10(b)は、それぞれ、オムツX2が備える山型パッド30およびその近傍の一断面図であり、上述のオムツX1にとっての
図8の断面図に相当する。
【0047】
オムツX2は、本体部10と、吸収ユニット20と、山型パッド30と、収容部50と、開閉弁膜60とを備える使い捨てオムツであり、チューブ40に代えて開閉弁膜60を備える点において上述のオムツX1と異なる。また、本実施形態のオムツX2は、上述のオムツX1と同様に、パンツタイプとして構成されている。
【0048】
オムツX2における開閉弁膜60は、山型パッド30における開口部30b(基端開口部)側に対向して配される要素であって、例えば
図10(b)に示すように、開口部30bを収容部50に連通させる開状態に排泄便の自重などに因って変形可能である。本実施形態では、2枚の開閉弁膜60が協働して開口部30bを閉じ得るように、即ち、各開閉弁膜60がその自由端側に他の開閉弁膜60と重なりうる領域を有するように、各開閉弁膜60は、伸縮材14における山型パッド30まわりの領域に接合されている。この接合には、例えばホットメルト型接着剤を利用することができる。各開閉弁膜60は、例えば舌片形状を有する。このような開閉弁膜60の構成材料としては、例えば、柔軟なプラスチックフィルムなど樹脂フィルム、および、柔軟な紙材が挙げられる。
【0049】
開閉弁膜60は、
図10に示す態様に代えて
図11に示す態様で、山型パッド30における開口部30b(基端開口部)側に対向して配されてもよい。
図11(a)および
図11(b)は、それぞれ、オムツX2が備える山型パッド30およびその近傍の一断面図であり、上述のオムツX1にとっての
図7(a)や
図7(b)の断面図に相当する。
図11に示す態様においても、
図10に示す態様と同様に、2枚の開閉弁膜60が協働して開口部30bを閉じ得るように、各開閉弁膜60は伸縮材14に接合されている。
【0050】
オムツX2における本体部10、吸収ユニット20、山型パッド30、および収容部50の各構成については、オムツX1に関して上述した本体部10、吸収ユニット20、山型パッド30、および収容部50の各構成と同様である。
【0051】
以上のような構成を有するオムツX2の使用にあたっては、着用者の肛門に山型パッド30の開口部30aが対向する位置・姿勢で山型パッド30が着用者の臀裂部に当接するように、オムツX2は使用者に着用される。そして、着用者から排泄される便は、着用者の臀裂部に当接する山型パッド30の開口部30aに受容され、山型パッド30を通過して収容部50に至りうる。その排泄便は、収容袋体51内に収容されることとなる。
【0052】
本体部10の外装内側シート12と外装外側シート13との間に排泄物の収容部50をオムツX2が備えるという構成は、着用者からの排泄便を着用者身体から隔てた状態で留め置くのに適し、従って、着用者ないしその身体が排泄便で汚れることを抑制するのに適する。そして、オムツX2について、収容部50内に排泄便が収容された状態でオムツ替え作業が行われる場合、作業者の手など身体は、汚れにくい。
【0053】
また、排泄便受容口である開口部30aを有して着用者臀裂部に当接可能な山型パッド30をオムツX2が備えるという構成は、着用者からの排泄便を収容部50に導くうえで好適であり、ひいては、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに資する。
【0054】
加えて、山型パッド30における開口部30b(基端開口部)側に対向して配され、且つ当該開口部30bを収容部50に連通させる開状態に排泄便の自重などに因って変形可能である開閉弁膜60を、オムツX2が備えるという上述の構成は、収容部50から山型パッド30の開口部30a(先端開口部)側への排泄便の逆流を抑制するのに適する。山型パッド30の開口部30bと収容部50との間を区切る態様で山型パッド30における開口部30b側に対向して配されている開閉弁膜60は、山型パッド30内にその開口部30aを介して受容された排泄便が開口部30bおよび開閉弁膜60を通過する時には変形してその通過を許容しやすい。その一方、当該開閉弁膜60は、収容部50側からの接触作用によっては、開口部30bと収容部50とを連通させる開状態に至るほどの変形を生じにくい。山型パッド30におけるその開口部30bまわりの壁部が、開閉弁膜60に当接して、収容部50側からの接触作用による開閉弁膜60のそのような変形を阻む作用を発揮しうるからである。そのため、山型パッド30の開口部30bに対して収容部50側から排泄便は入りにくい。収容部50に一旦収まった排泄便は、山型パッド30における開口部30bひいては開口部30a側に逆流しにくいのである。排泄便の逆流を抑制するのに適したこのような構成は、収容部50に収容された排泄便の当該収容状態を維持するうえで好適であり、ひいては、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに資する。
【0055】
以上のように、オムツX2は、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに適する。このようなオムツX2は、乳幼児用オムツとして構成されてもよいし、大人用オムツとして構成されてもよい。また、オムツX2は、上述のようなパンツタイプの使い捨てオムツとして構成されるのに代えて、オムツ止着用の例えば一対のファスニングテープを伴うテープタイプの使い捨てオムツとして構成されてもよい。
【解決手段】本発明の使い捨てのオムツX1は、本体部10と、山型パッド30(臀裂対向部)と、チューブ40(送便管路)と、収容部50とを少なくとも備える。本体部10は、外装内側シート12および外装外側シート13を含む多層構成を有する。山型パッド30は、着用者の臀裂部に当接可能であり、且つ排泄便を受けるための開口部30aを有する。チューブ40は、山型パッド30の開口部30aから収容部50まで排泄便を導くためのものであり、収容部50に臨む開口端部42を有する。この開口端部42にはスリット42aが設けられている。収容部50は、着用者身体から隔てて排泄便を収容するためのものであり、外装内側シート12および外装外側シート13の間に位置する。