(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
交流入力電圧を供給するAC電源に接続するための入力端子と、充電されるべきバッテリに接続するための出力端子と、前記入力端子と前記出力端子との間に接続されるPFC回路とを備えるバッテリ充電器であって、入力電流が3次高調波注入したサイン波、クリップしたサイン波、および台形波から選択される波形を有するように、前記PFC回路が前記AC電源から引き込まれる前記入力電流を調整し、前記バッテリ充電器が前記出力端子において出力電流を生成し、前記出力電流が、前記入力電流と前記入力電圧の積により規定される波形を有し、少なくとも50%のリップルを有する、バッテリ充電器。
前記PFC回路が、前記出力電流の平均値が一定であるように、前記バッテリの前記電圧の変化に応じて、前記入力電流の前記平均値を調節する、請求項2または3に記載のバッテリ充電器。
前記PFC回路が、前記バッテリの前記電圧の増加に応じて、前記波形を規定するパラメータを減少させ、前記パラメータが前記3次高調波の相対的な振幅、前記クリップの百分率、または内側の台形の角度から選択される、請求項5に記載のバッテリ充電器。
前記バッテリの電圧が閾値より低いと前記バッテリ充電器が第1のモードで動作し、前記バッテリの電圧が前記閾値を超えると前記バッテリ充電器が第2のモードに切り替わり、前記第1のモードで動作するときに、前記入力電圧の各半サイクル期間で、前記PFC回路が前記入力電流を前記AC電源から引き込ませ、前記第2のモードで動作するときに、前記入力電圧の単にいくつかの前記半サイクル期間で、前記PFC回路が前記入力電流を前記AC電源から引き込ませる、請求項1から6のいずれか一項に記載のバッテリ充電器。
前記バッテリの電圧が閾値より低いと前記バッテリ充電器が第1のモードで動作し、前記バッテリの電圧が前記閾値を超えると前記バッテリ充電器が第2のモードに切り替わり、前記第1のモードで動作するときの前記入力電流の前記波形が、3次高調波注入したサイン波、クリップしたサイン波、および台形波のうちの1つであり、前記第2のモードで動作するときの前記入力電流の前記波形が、前記第1のモードで動作するときのものと異なる、請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリ充電器。
前記入力電圧のピーク値を前記バッテリの最小電圧で除算したものより大きい電圧変換比を有するステップダウンDC-DC変換器を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のバッテリ充電器。
一定周波数でスイッチングする、1つまたは複数の一次側スイッチを有するステップダウンDC-DC変換器を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のバッテリ充電器。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、交流入力電圧を供給するAC電源に接続するための入力端子と、充電されるべきバッテリに接続するための出力端子と、入力端子と出力端子との間に接続されるPFC回路とを備えるバッテリ充電器を提供しており、PFC回路がAC電源から引き込まれる入力電流を調整し、入力電流が3次高調波注入したサイン波、クリップしたサイン波、および台形波から選択される波形を有し、バッテリ充電器が出力端子において出力電流を生成し、出力電流が、入力電流と入力電圧の積により規定される波形を有し、少なくとも50%のリップルを有する。
【0004】
出力電流の波形が入力電流と入力電圧の積により規定されるため、波形は、入力電流の周波数の2倍の周波数で周期的となる。出力電流は、少なくとも50%のリップルを有する。従来の知識では、比較的大きいリップルを有する電流でバッテリを充電すると、バッテリの寿命を縮めるといわれている。特に、時間変動する電流は発熱を増加させ、そのことが、電解質の導電率ならびに電極-電解質界面における電気化学反応に悪い影響を及ぼす。本発明は、従来の知識とは反対に、比較的大きいリップルを有する電流でバッテリを充電することが可能であるという認識に基づく。一定の出力電流を生成するために、従来型のバッテリ充電器のPFC回路は、典型的には、大きい容量のコンデンサを必要とする。一方、本発明のバッテリ充電器では、PFC回路は、はるかに小さい容量のコンデンサを採用する、または全くコンデンサを採用しないことができ、そのことによって、バッテリ充電器のコストおよびサイズを減少させることができる。
【0005】
本発明は、3次高調波注入したサイン波、クリップしたサイン波、および台形波のうちの1つである入力電流を引き込むことによって、所与の平均入力電力について、バッテリ充電器のピーク入力電力および/またはピーク入力電流を減少できるという認識にさらに基づく。このことには、ここで、バッテリ充電器がより小さい電力および/または電流用に定格化した構成要素を採用し、それによって、バッテリ充電器のサイズ、重さ、および/またはコストを減少できるという利益がある。正弦曲線からの何らかのずれは、入力電流の高調波成分を増加させることになる。しかし、入力電流用に選択された特定の波形は、高調波成分を過剰に増加させることなく、ピーク入力電力および/またはピーク入力電流の著しい減少を実現することが可能である。
【0006】
PFC回路は、バッテリの電圧の変化に応じて、入力電流の平均値を調節することができる。バッテリ電圧の変化に応じて入力電流の平均値を調節することによって、バッテリ充電器は、充電速度を制御することがより良好に可能となる。PFC回路は、バッテリの電圧の増加に応じて、入力電流の平均値を増加することができる。その結果、充電期間に、同様の充電速度を達成することができる。PFC回路は、出力電流の平均値が一定となるように、バッテリの電圧の変化に応じて、入力電流の平均値を調節することができる。このことには、ここで、一定の充電速度を達成できるという利点がある。
【0007】
追加または代替として、PFC回路は、バッテリの電圧の変化に応じて、入力電流の波形を調節することができる。特に、PFC回路は、入力電流の3次高調波の相対的な振幅、クリップの百分率、または内側の台形の角度を調整することができる。バッテリの電圧が変わると、特定の充電速度を達成するのに必要な入力電力が変わる。入力電流の波形が変わらない場合、必要な入力電力が変わると、入力電流の高調波成分が変わることになる。バッテリの電圧の変化に応じて入力電流の波形を調節することによって、入力電流の高調波成分を規制の制限内に保つことができる。PFC回路は、バッテリの電圧の増加に応じて、3次高調波の相対的な振幅、クリップの百分率、または内側の台形の角度を減少することができる。このことには、ここで、より小さい入力電力(すなわちより低いバッテリ電圧)で、より小さいピーク電流を達成することができるが、それでも、より大きい入力電力(すなわちより高いバッテリ電圧)で、過剰な高調波成分を回避できるという利点がある。
【0008】
バッテリの電圧が閾値より低いとバッテリ充電器は第1のモードで動作することができ、バッテリの電圧が閾値を超えるとバッテリ充電器は第2のモードに切り替えることができる。
【0009】
PFC回路は、第1のモードで動作すると、入力電圧のあらゆる半サイクル期間で、入力電流をAC電源から引き込ませるが、第2のモードで動作すると、入力電圧の単にいくつかの半サイクル期間で、入力電流をAC電源から引き込ませることができる。結果として、バッテリ充電器は、第1のモードで動作するとき連続的な出力電流を生成し、第2のモードで動作するとき不連続的な出力電流を生成する。第1のモードで動作するとき、連続的な出力電流によって、バッテリの比較的急速な充電を達成することができる。第2のモードで動作するとき、出力電流が生成されない休止期間が導入される。これらの休止期間によって、充電を再開する前に、バッテリ内の化学反応、したがってバッテリの電圧を安定化することが可能になる。したがって、第1のモードは、バッテリを電圧閾値に迅速に充電するために使用することができ、第2のモードは、バッテリが電圧緩和を受けるとバッテリを補充するために使用することができる。
【0010】
第1のモードで動作するときの入力電流の波形は、3次高調波注入したサイン波、クリップしたサイン波、および台形波のうちの1つであってよく、第2のモードで動作するときの入力電流の波形は、第1のモードで動作するときのものと異なってよい。第1のモードで動作するとき、必要な平均入力電力は、第2のモードで動作するときよりも大きい可能性がある。たとえば、第1のモードは、(比較的大きい平均入力電力を必要とする)バッテリを電圧閾値に迅速に充電するために使用することができ、第2のモードは、(比較的小さい平均入力電力を必要とする)バッテリを補充するために使用することができる。第1のモードで動作するとき、入力電流用に上述の波形のうちの1つを採用することにより、バッテリ充電器のピーク入力電力および/またはピーク入力電流を減少させることができ、したがって、より小さい電力および/または電流用に定格化された構成要素を使用することができる。第2のモードで動作するとき、より小さい平均入力電力のために、異なる波形を採用することができる。たとえば、入力電流の波形がサイン波であってよく、サイン波には、バッテリ充電器の力率を増加させる利点がある。サイン波は、入力電力および入力電流について、より高いピーク-平均比を有するが、より小さい平均入力電力は、第2のモードで動作するとき、ピーク入力電力および/またはピーク入力電流がより小さいことを意味する可能性がある。あるいは、入力電流の波形は、バッテリ充電器のピーク入力電流、したがってI
2R損失をさらに減少させるように、正方形波であってよい。正方形波の使用は、入力電流の全高調波歪みを増加させることになるが、より小さい平均入力電力のために、入力電流の絶対値の高調波成分を、規制の制限内に依然として保つことができる。
【0011】
バッテリ充電器は、PFC回路と出力端子との間に配置されるステップダウンDC-DC変換器を備えることができる。DC-DC変換器の電圧変換比は、ここで、ステップダウンしたときに、入力電圧のピーク値がバッテリの最低電圧よりも低くなるように規定することができる。このことによって、ここで、連続的な電流制御を実現するためにPFC回路がブーストモードで動作できるという利点がある。
【0012】
DC-DC変換器は、一定の周波数でスイッチングされる1つまたは複数の一次側スイッチを有する共振変換器とすることができる。共振変換器を採用することには、トランスの巻数比を通して、所望の電圧変換比を達成できるという利点がある。加えて、共振変換器は、同等のPWM変換器よりも高いスイッチング周波数で動作することが可能であり、ゼロ電圧スイッチングをすることができる。一定の周波数で一次側スイッチをスイッチングすることにより、比較的簡単なコントローラを、DC-DC変換器が採用することができる。DC-DC変換器は、出力電圧を調整すること、さもなければ制御することが必要ないために、一定の周波数でスイッチングすることが可能となっている。対照的に、従来型電源のDC-DC変換器は、一般的に、出力電圧を調整することが必要であり、したがって、スイッチング周波数を変えるために、より複雑で高価なコントローラが必要である。
【0013】
DC-DC変換器は、一次側スイッチのものと同じ一定の周波数でスイッチングされる1つまたは複数の二次側スイッチを有することができる。したがって、比較的簡単で安価なコントローラを、二次側に採用することができる。さらに、一次側と二次側のスイッチの両方を制御するために、単一のコントローラを採用することがおそらくできる。
【0014】
わかりやすくするために、以下の用語が以下の意味を有することを理解するべきである。「波形」という用語は、信号の形状のことをいい、信号の振幅または位相とは無関係である。「振幅」と「ピーク値」という用語は同義語であり、信号の最大値の絶対値のことをいう。「リップル」という用語は、本明細書では、信号の最大値のピークとピークとの間の百分率として表される。「平均値」という用語は、1サイクルにわたる信号の瞬時値の絶対値の平均のことをいう。最後に、「全高調波歪み」という用語は、基本波成分の百分率として表される、信号の全高調波成分の和のことをいう。
【0015】
本発明をより容易に理解することができるため、本発明の実施形態を、ここで、例として添付図面を参照して記載することになる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1および
図2のバッテリ充電器1は、AC電源2に接続するための入力端子8、および充電されるべきバッテリ3に接続するための出力端子9を備える。バッテリ充電器1は、電磁干渉(EMI)フィルタ10、AC-DC変換器11、力率補正(PFC)回路12、および入力端子8と出力端子9との間に接続されるDC-DC変換器13をさらに備える。
【0018】
EMIフィルタ10は、AC電源2から引き込まれる入力電流中の高周波数高調波を減衰させるために使用される。
【0019】
AC-DC変換器11は、全波整流を実現するブリッジ整流器D1〜D4を備える。
【0020】
PFC回路12は、AC-DC変換器11とDC-DC変換器13との間に配置されるブーストコンバータを備える。ブーストコンバータは、インダクタL1、コンデンサC1、ダイオードD5、スイッチS1、および制御回路を備える。インダクタ、コンデンサ、ダイオード、およびスイッチは、従来の配置で配置される。その結果、インダクタL1は、スイッチS1が閉であるときに通電され、インダクタL1からのエネルギーは、スイッチS1が開であるときにコンデンサC1に伝達される。スイッチS1の開閉は、ここで、制御回路により制御される。
【0021】
制御回路は、電流センサR1、電圧センサR2、R3、およびPFCコントローラ20を備える。電流センサR1は、AC電源2から引き込まれる入力電流の測定値を提供する、信号I_INを出力する。電圧センサR2、R3は、AC電源2の入力電圧の測定値を提供する、信号V_INを出力する。電流センサR1および電圧センサR2、R3は、AC-DC変換器11のDC側に配置される。その結果、I_INおよびV_INは、入力電流および入力電圧の整流した形である。両方の信号は、PFCコントローラ20に出力される。PFCコントローラ20は、電流基準値を生成するために、V_INをスケーリングする。PFCコントローラ20は、ここで、電流基準値を使用して、入力電流I_INを調整する。入力電流を調整するためにPFCコントローラ20が採用することができる、様々な制御方式が存在する。たとえば、PFCコントローラ20は、ピーク、平均、または履歴電流制御を採用することができる。そのような制御方式は、よく知られており、したがって、特定の方式を何らかの詳細にわたって記載することは、本明細書では意図されない。PFCコントローラ20は、バッテリ3の電圧の測定値を提供し、さらなる電圧センサR4、R5により出力される、信号V_BATも受信する。下で記載されるように、PFCコントローラ20は、バッテリ電圧の変化に応じて、AC電源2から引き込まれる入力電流を調整する。これは、V_BATの変化に応じて、電流基準値の振幅を調整すること(すなわち、V_INをスケーリングすること)により達成される。
【0022】
DC-DC変換器13は、1対の一次側スイッチS2、S3、一次側スイッチを制御するための一次側コントローラ(図示せず)、共振ネットワークCr、Lr、トランスTx、1対の二次側スイッチS4、S5、二次側スイッチを制御するための二次側コントローラ(図示せず)、および低域通過フィルタC2、L2を備えるハーフブリッジLLC直列共振変換器を備える。一次側コントローラは、CrとLrの共振により規定される固定周波数で一次側スイッチS2、S3をスイッチングする。同様に、二次側コントローラは、同期整流を達成するように、同じ固定周波数で二次側スイッチS4、S5をスイッチングする。低域通過フィルタC2、L2は、ここで、変換器13のスイッチング周波数により生じる高周波数電流リップルを除去する。
【0023】
DC-DC変換器13のインピーダンスは比較的低い。その結果として、PFC回路12の出力における電圧は、バッテリ3の電圧により規定されるレベルに保持される。より詳細には、PFC回路12の出力における電圧は、バッテリ電圧にDC-DC変換器13の巻数比をかけたものに保持される。以下の議論を簡略化するために、バッテリ電圧V_BATに巻数比Np/Nsをかけたものに言及するとき、「ステップ状バッテリ電圧」という用語を使用することとする。
【0024】
PFC回路12のスイッチS1を開にすると、インダクタL1からのエネルギーは、コンデンサC1に伝達され、コンデンサ電圧を上げさせる。コンデンサ電圧がステップ状バッテリ電圧に到達するとすぐに、インダクタL1からのエネルギーは、バッテリ3に伝達される。DC-DC変換器13の比較的低いインピーダンスのために、コンデンサC1の電圧は、もはや上がらないが、代わりにステップ状バッテリ電圧に保持される。PFC回路12のスイッチS1を閉にすると、コンデンサ電圧とステップ状バッテリ電圧との間に差違があるときにだけ、コンデンサC1が放電する。結果として、スイッチS1が閉となった後、コンデンサC1は、ステップ状バッテリ電圧に保持され続ける。したがって、バッテリ3の電圧がPFC回路12に戻して反映される。
【0025】
AC電源2から引き込まれる入力電流をPFC回路12が連続的に制御することができるためには、AC電源2の入力電圧のピーク値よりも高いレベルにコンデンサ電圧を維持することが必要である。コンデンサC1がステップ状バッテリ電圧に保持されるため、入力電圧のピーク値よりも高いレベルにステップ状バッテリ電圧を維持することが必要である。さらに、この条件は、バッテリ3の全電圧範囲にわたって満たされなければならない。その結果、DC-DC変換器13の巻数比は、次式で規定することができる。
Np/Ns>V_IN(ピーク)/V_BAT(最小)
ここで、Np/Nsは巻数比であり、V_IN(ピーク)はAC電源2の入力電圧のピーク値であり、V_BAT(最小)はバッテリ3の最小電圧である。
【0026】
PFC回路12は、AC電源2から引き込まれる入力電流が実質的に正弦曲線であることを確実にする。AC電源2の入力電圧が正弦曲線であるため、バッテリ充電器1によりAC電源2から引き込まれる入力電力は、サイン二乗波形を有する。バッテリ充電器1が非常に小さい蓄積容量を有するため、バッテリ充電器1の出力電力は、入力電力と実質的に同じ形状を有する、すなわち、出力電力もサイン二乗波形を有する。バッテリ充電器1の出力端子9は、バッテリ電圧に保持される。その結果、バッテリ充電器1は、サイン二乗波形を有する出力電流を出力する電流源として働く。したがって、出力電流の波形は、入力電流の周波数の2倍の周波数および100%のリップルで、周期的である。
【0027】
バッテリ充電器1は、バッテリ3の電圧に応じて、2つの充電モードのうちの1つで動作する。バッテリ3の電圧が満充電閾値より低いと、バッテリ充電器1は、第1のモードまたは連続充電モードで動作し、バッテリ3の電圧が満充電閾値より高いと、バッテリ充電器1は、第2のモードまたは不連続充電モードで動作する。
【0028】
連続充電モードで動作すると、PFC回路12は、入力電圧のあらゆる半サイクル期間で、AC電源2から入力電流を引き込む。結果として、バッテリ充電器1の出力電流の波形は、連続である。加えて、PFCコントローラ20は、出力電流の平均値が一定であるように、入力電流を調整する。バッテリ充電器1が一定の平均入力電流を引き込む場合、出力電流の平均値は、バッテリ3の電圧に依存することになる。特に、バッテリ3の電圧が増加する場合、出力電流の平均値は減少することになる。したがって、出力電流について一定の平均値を達成するために、PFCコントローラ20は、バッテリ3の電圧の変化に応じて、AC電源2から引き込まれる入力電流を調整する。より詳細には、バッテリ3の電圧が増加すると、PFCコントローラ20は、出力電流の平均値が一定であるように、入力電流の平均値を増加させる。結果として、バッテリ3は、一定の平均電流で充電される。
【0029】
不連続充電モードで動作するとき、PFC回路12は、入力電圧の半サイクルのうちの単にいくつかの期間に、AC電源2から入力電流を引き込む。ここで、入力電圧の残りの半サイクル期間には、入力電流は引き込まれない。結果として、バッテリ充電器1の出力電流は不連続である。
【0030】
バッテリ充電器1が不連続充電モードに切り替わると(すなわち、バッテリ3の電圧が最初に満充電閾値を超えると)、PFC回路12は、AC電源2から入力電流を引き込むのを迅速に停止する。結果として、バッテリ充電器1が電流を出力せず、したがってバッテリ3の充電が休止される。以降では休止期間と呼ばれることになる時間の設定期間の後に、PFCコントローラ20が、V_BAT信号を介してバッテリ3の電圧を測定する。バッテリ電圧が補充閾値より低い場合、PFC回路12は、電流がバッテリ充電器1により再び出力されるように、入力電流を引き込むのを再開する。したがって、バッテリ3の電圧が上がり、電圧がその後満充電閾値を超えると、PFC回路12は、入力電流を引き込むのを再び停止し、休止期間待つ。休止期間の最後において、バッテリ電圧が補充閾値よりも低い場合、PFC回路12は、バッテリ充電器1によって電流が出力されるように、入力電流を引き込む。しかし、休止期間の最後において、バッテリ電圧が補充閾値より高い場合、PFCコントローラ20は、さらなる休止期間を待ち、その後、バッテリ電圧を再度サンプリングする。3回の休止期間の後に、バッテリ電圧が補充閾値より高い場合、PFCコントローラ20は、バッテリ3が十分に充電され充電を終了すると結論する。
【0031】
各休止期間は、充電が再開される前に、バッテリ3の電圧を緩和することを可能にする。結果として、バッテリ3の充電の状態は、バッテリ3を過剰な電圧にかけることなく増加させることができる。バッテリ3の充電の状態が増加すると、各休止期間の間の電圧緩和の程度が減少する。最終的に、電圧緩和が非常に小さいので、バッテリ3が満充電されていると考えられる時点がくる。本実施形態では、3回の休止期間の後に、バッテリ3の電圧が補充閾値より下に落ちていない場合に、このことが起こったと見なされる。
【0032】
各休止期間は、入力電圧の半サイクルの整数に対応する。結果として、バッテリ充電器1は、入力電圧におけるゼロ交差と同期して、入力電流を引き込むのを停止および開始する。このことが、ここで、比較的大きい入力電流をいきなり引き込むのを回避し、このことが、高い力率および小さい全高調波歪みを維持する助けとなる。
【0033】
不連続モードで動作するとき、PFC回路12は、同じバッテリ電圧で、連続モードで引き込まれる入力電流と比較して、より小さい入力電流を引き込む。結果として、バッテリ充電器1は、より小さい出力電流を出力する。したがって、満充電閾値の過剰なオーバシュートに起因するバッテリ3の過充電を、回避することができる。加えて、より小さい充電電流に起因して、バッテリ3内でより低い温度を達成することができる。連続モードと対照的に、PFC回路12は、AC電源2から、一定の平均入力電流を引き込む。結果として、バッテリ充電器1の出力電流は、バッテリ3の電圧が増加すると、減少する。このことが、ここで、満充電閾値をオーバシュートする危険をさらに減少させる。
【0034】
図3は、充電期間にバッテリ3の電圧がどのように時間とともに変わり得るかを図示するが、
図4は、(a)連続モードおよび(b)不連続モードで動作するときのバッテリ充電器1の出力電流を図示する。
【0035】
上に記載される実施形態では、PFCコントローラ20は、波形が正弦曲線であるように、入力電流を調整する。このことによって、ここで、バッテリ充電器1が比較的高い力率を有するという利点がある。しかし、正弦曲線の入力電流を引き込むことの欠点は、所与の平均入力電力について、ピーク入力電力およびピーク入力電流が比較的大きいことである。したがって、PFCコントローラ20は、ピーク入力電力対平均入力電力の比および/またはピーク入力電流対平均入力電力の比を減少させる代替波形を入力電流が有するように、入力電流を調整することができる。これらの比の一方または両方を減少させることにより、より小さいピーク入力電力および/またはより小さいピーク入力電流について、同じ平均入力電力を達成することができる。このことによって、ここで、バッテリ充電器1がより小さい電力および/または電流用に定格化した構成要素を採用し、それによって、バッテリ充電器1のサイズ、重さ、および/またはコストを減少できるという利益がある。もちろん、ピーク入力電力またはピーク入力電流を減少させることは、その欠点がないわけではない。特に、正弦曲線からの何らかのずれは、力率を減少させ入力電流の高調波成分を増加させることとなる。多くの国は、主電源から引き込むことができる電流の高調波成分に厳しい制限を課している規制(たとえば、IEC61000-3-2)を有する。したがって、PFCコントローラ20は、規制により課されるものを超えて高調波成分を増加させることなく、上述の比のうちの一方または両方を減少させるように、入力電流を調整することができる。このタスクに特に好適な入力電流についての3つの波形をここで記載する。波形の各々は、各々自体の利点と欠点を有する。
【0036】
図5は、入力電流についての第1の代替波形を図示する。波形は、3次高調波を追加または注入したサイン波を含み、次式で規定することができる。
I=sin(θ)+A.sin(3θ), 0<θ≦2π
ここで、Aは、3次高調波の相対的な振幅を規定するスケーリング係数である。3次高調波の導入は、入力電流の平均値に影響を及ぼさない。すなわち、入力電流の平均値は、3次高調波の導入または振幅により変わらない。
図6に図示されるように、しかし、3次高調波の振幅は、ピーク入力電力、ピーク入力電流、全高調波歪み、および力率に影響する。
【0037】
PFCコントローラ20により採用される3次高調波の振幅は、いくつかの要因に依存することになる。これらの中の最重要なものは、必要な平均入力電力および規制により許容される高調波成分である。3次高調波の所与の振幅について、平均入力電力が増加すると、全高調波歪みが増加する。その結果、より大きい平均入力電力では、PFCコントローラ20は、3次高調波についてより小さい振幅を採用することが必要とされる場合がある。PFCコントローラ20により採用される3次高調波の振幅は、所望の力率、および/または入力電流がピーク入力電力、ピーク入力電流、またはそれら2つの組合せについて最適化されるべきであるかどうかにも依存する場合がある。たとえば、入力電流がピーク入力電力について最適化される場合、PFCコントローラ20は、3次高調波の相対的な振幅を35.8%(すなわち、A = 0.358)に設定することができる。あるいは、入力電流がピーク入力電流について最適化される場合、PFCコントローラ20は、3次高調波の相対的な振幅を17.5%(すなわち、A = 0.175)に設定することができる。3次高調波について、20%と30%との間(すなわち、0.2 ≦ A ≦ 0.3)の相対的な振幅が、ピーク入力電力、ピーク入力電流、および全高調波歪みといった競合する要因間に良好なバランスをもたらす。
【0038】
図7は、入力電流についての第2の代替波形を図示する。波形は、クリップしたサイン波を含み、次式で規定することができる。
【0040】
ここで、Aはサイン波の振幅であり、Bはサイン波がクリップした値である。
【0041】
サイン波がクリップするため、入力電流により生成される平均入力電力は、正弦曲線の入力電流により生成されるものと比較して減少する。したがって、クリップしたサイン波の振幅は、補償するために増加される。このことは
図7で見ることができ、
図7では、クリップしたサイン波が、同じ平均入力電力を有するサイン波と一緒に図示される。クリップの量が増加すると(すなわち、Bの値が増加すると)、サイン波の振幅(すなわち、Aの値)は、同じ平均入力電力を維持するように、やはり増加しなければならない。
【0042】
図8に図示されるように、サイン波がクリップする量(すなわち、B/Aの比)は、ピーク入力電力、ピーク入力電流、全高調波歪み、および力率に影響する。PFCコントローラ20により採用されるクリップの量は、必要な入力電力、許容される高調波成分、および所望の力率などのいくつかの要因に再び依存することになる。第1の代替波形と対照的に、ピーク入力電力とピーク入力電流は、クリップ量における変化に対し、同様の様式で挙動する。したがって、ピーク入力電力とピーク入力電流のうちのただ1つのために入力電流を最適化する必要はない。
【0043】
図9は、入力電流についての第3の代替波形を図示する。波形は、台形波を含み、次式で規定することができる。
【0045】
ここで、αは台形の内側の鋭角であり、Aはスケーリング定数、Bは台形の高さである。
【0046】
波形により生成される平均入力電力は、台形の面積により規定され、台形の面積が今度は、内側の角度(α)および台形の高さ(B)により規定される。その結果、所与の入力電力について、波形を、内側の角度または高さだけで規定することができる。これは、クリップしたサイン波形と同様であり、クリップしたサイン波形では、所与の入力電力について、波形を、振幅またはクリップ量のいずれかで規定することができる。
【0047】
図10に図示されるように、内側の角度の大きさは、ピーク入力電力、ピーク入力電流、全高調波歪み、および力率に影響する。他の波形に関して上に記載したように、PFCコントローラ20により採用される内側の角度は、必要な入力電力、許容される高調波歪み、および所望の力率などのいくつかの要因に依存することになる。クリップしたサイン波形でのように、ピーク入力電力とピーク入力電流は、内側の角度における変化に対し、同様の様式で挙動する。結果として、ピーク入力電流とピーク入力電力のうちのただ1つのために入力電流を最適化する必要はない。
【0048】
上で記載した主な実施形態では、PFC回路12が正弦曲線波形を有する入力電流を引き込むが、PFCコントローラ20は、バッテリ3の電圧の変化に応じて入力電流の平均値を調整する。これは、AC電源2から引き込まれる入力電流の振幅を調整することにより達成される。同様に、PFC回路12が代替波形を有する入力電流を引き込む場合、PFCコントローラ20がバッテリ3の電圧の変化に応じて入力電流の平均値を調整する。この場合も、これは、AC電源2から引き込まれる入力電流の振幅を調整することにより達成される。入力電流の振幅に加えて、PFCコントローラ20は、3次高調波の相対的な振幅、クリップの量、または入力電流の内側の角度を調整する場合がある。これらのパラメータが固定される場合、平均入力電力が増加すると、高調波歪みの振幅の絶対値が増加する。したがって、PFCコントローラ20は、必要な入力電力が増加すると、これらのパラメータを減少させる場合がある。このことによって、ここで、より小さい入力電力で、より小さいピーク電流(したがって、より小さいI
2R損失)を達成することができるが、それでも、より大きい入力電力で、過剰な高調波歪みを回避できるという利点がある。そのため、たとえば、バッテリ充電器1が連続電流モードで動作するとき、PFCコントローラ20は、バッテリ3の電圧が増加すると、3次高調波の振幅を減少させる場合がある。
【0049】
図11に図示される表は、入力電流についての4つの異なる波形の比較を提供する。波形の振幅は、同じ平均入力電力を生成するようにスケーリングされ、ピーク入力電力およびピーク入力電流についての値は、サイン波のそれらの値に対して正規化されている。同様の全高調波歪みおよび力率を達成するように、高調波注入の量(25%)、クリップの量(60%)、および内側の角度(65度)が選択された。結果として、各波形について、ピーク入力電力およびピーク入力電流の、より公平な比較を行うことができる。
図11により実証されるように、サイン波は、より高い力率およびより小さい高調波歪みを提供する利点があるが、より大きいピーク入力電力およびより大きいピーク入力電流を提供する欠点がある。他の3つの波形の各々は、より小さいピーク入力電力およびより小さいピーク入力電流を提供する利点があるが、より大きい高調波歪みおよびより低い力率を提供する欠点がある。代替波形の各々は、それ自体の利点および欠点を有し、利点および欠点をここで記載することとする。
【0050】
図11から明らかなように、高調波を注入した波形は、ピーク入力電力において最大の減少を実現するが、ピーク入力電流において最小の減少を実現する。3次高調波の振幅がピーク入力電流について最適化される(たとえば、17.5%に設定される)場合でさえ、ピーク入力電流は、クリップしたサイン波形および台形波形について
図11でリスト化されたものよりも依然として大きいことになる。高調波注入した波形は、したがって、ピーク入力電力の減少が主な関心事である場合に、特に有利である。ピーク入力電力を減少させることによって、DC-DC変換器13のトランスTxについて、著しいサイズの減少を達成し、そのことによって、バッテリ充電器1のサイズおよび重さを減少させることができる。高調波注入した波形の欠点は、他の波形との比較において、実装するのがより難しいことである。高調波注入した波形を生成するために、最初に3次高調波を生成し、次いでそれを基本波に追加することが必要である。これは、PFCコントローラ20内で、デジタル的に行うことができる。たとえば、PFCコントローラ20は、時間でインデックス付けされるルックアップテーブル中に、高調波注入した波形を記憶することができる。しかし、このことは、ここで、PFCコントローラ20が追加の周辺部およびより大きいメモリを有することを必要とする。
【0051】
クリップしたサイン波形および台形波形について
図11でリスト化された値は、ほとんど区別できない。これは驚くことではない。というのは、
図7および
図9でわかるように、2つの波形は、特に、クリップ量が60%であり内側の角度が65度であるときに、形状が同様であるためである。2つの波形は、各々、ピーク入力電力およびピーク入力電流に対して、著しい減少を実現する。したがって、ピーク入力電力とピーク入力電流の両方の減少が望ましい場合、いずれかの波形を採用することができる。クリップしたサイン波形は、アナログで実装するのが比較的簡単であるという利点を有する。たとえば、電流基準値を生成するために、比較器を使用して、V_IN信号をクリップすることができる。台形波形は、アナログで実装するのが比較的容易であるという利点をやはり有する。たとえば、電流基準値は、入力電圧に同期した方形波信号生成器、およびスルーレートを制限した増幅器を使用して生成することができる。あるいは、クリップしたサイン波形および台形波形を、たとえば、ルックアップテーブルを使用してデジタル的に生成することができる。
【0052】
PFC回路12により引き込まれる入力電流は、連続モードと不連続モードで動作するときに、異なる波形を有する場合がある。たとえば、連続モードで使用される波形にかかわらず、PFC回路12は、不連続モードで動作するときに電流基準値について正方形または矩形波を採用することができる。これらの波形の両方には、ピーク入力電流を著しく減少させる利点がある。しかし、欠点は、力率が著しく減少し、全高調波歪みが著しく増加することである。それにもかかわらず、不連続モードで動作すると、AC電源2から引き込まれる入力電流は、比較的小さい。したがって、正方形または矩形波を採用する一方、規制により課される高調波の制限に準拠することが可能な場合がある。
【0053】
連続モードと不連続モードで動作するとき異なる波形を採用することに加えて、PFC回路12は、各モードで動作するとき、入力電流について異なる波形を採用することができる。たとえば、連続モードで動作するとき、PFC回路12は、バッテリ3の電圧が比較的低いとき第1の波形を、バッテリ3の電圧が比較的高いとき第2の波形を有する入力電流を引き込むことができる。第1の波形は、ここで、全高調波歪みを犠牲にして、ピーク入力電流を減少させるように選択することができる。バッテリ電圧が増加すると、同じ充電速度を達成するために、入力電流が増加しなければならない。入力電流の波形に何ら変更なしで、絶対項で表したときに、全高調波歪みが、より大きい入力電流において、規制の制限を超える可能性がある。第2の波形は、したがって、ピーク入力電流を犠牲にして、全高調波歪みを減少させるように選択することができる。さらなる例として、第1の波形は、クリップしたサイン波または台形波であってよく、これらは、ピーク入力電流に著しい減少を実現する。バッテリ3の電圧が増加すると、同じ充電速度を達成する場合、入力電力が増加しなければならない。第2の波形は、したがって、高調波注入した波であってよく、これは、ピーク入力電力において、改善した減少を実現する。結果として、バッテリ充電器1の構成要素を、より小さい電力用に定格化することができる一方、より低いバッテリ電圧において、より小さい電流したがってより少ない損失を達成することができる。
【0054】
充電期間にバッテリ3の電圧を測定するとき、バッテリ3の内部インピーダンスに起因して、測定電圧と実際の電圧との間に不一致がある。このことに加えて、PFCスイッチS1のスイッチングに起因して、V_BAT信号に小さいリップルがある。連続モードで動作するとき、測定電圧と実際の電圧との間のこの不一致は重要ではない。しかし不連続モードで動作するとき、不一致は、特に補充閾値と満充電閾値が互いに近いときに、不利な結果をもたらす可能性がある。したがって、バッテリ電圧のより正確な測定値を取得するために、PFC回路12は、各サイクル期間に、1つまたは複数のオフ期間を含む波形を有する入力電流を引き込むことができる。入力電流の振幅は、各オフ期間の間にゼロである、すなわち、各オフ期間の間に、AC電源2から入力電流を引き込まない。PFCコントローラ20は、ここで、オフ期間のうちの1つまたは複数の間に、バッテリ3の電圧を測定する(すなわち、V_BAT信号をサンプリングする)。結果として、バッテリ電圧のより正確な測定値を得ることができる。
【0055】
図12は、バッテリ充電器1が不連続モードで動作するときの、入力電流についての可能性のある波形を図示する。波形の各半サイクルが、2つのオフ期間の間に配置される単一の矩形パルスを含む。上で言及したように、矩形パルスの使用には、ピーク入力電流したがってI
2R損失を著しく減少させる利益がある。2つのオフ期間の間に配置される単一のパルスを採用することによって、比較的良好な力率を達成することができる。ここで、バッテリ3の電圧を、PFCコントローラ20が、入力電圧における各ゼロ交差で測定することができる。
【0056】
これまで具体的な実施形態を記載してきたが、請求項により規定されるような本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更形態が可能である。たとえば、EMIフィルタ10をもうけることには、特定の利益があり、規制の遵守のために実際に必要な場合があるが、EMIフィルタ10は本質的ではなく、省略できることが、上の議論から明らかとなろう。
【0057】
上に記載した実施形態では、PFC回路12は、DC-DC変換器13の一次側に配置される。しかし、考えられるところでは、
図13に図示されるように、PFC回路12を二次側に配置することができる。PFC回路12を二次側に配置することができるが、電流したがって損失は、必然的により高くなることになる。
【0058】
バッテリ充電器1は、ブリッジ整流器の形でAC-DC変換器11を備える。しかし、PFC回路12がDC-DC変換器13の一次側に配置される場合、AC-DC変換器11およびPFC回路12を、単一のブリッジレスPFC回路で置き換えることができる。
【0059】
図2および
図13に図示されるPFC回路12はブーストコンバータを備える。しかしPFC回路12は、
図14に図示されるように、等しく、バックコンバータを備えることができる。したがって、PFC回路12についての代替構成が可能であることが、当業者には明らかとなろう。
【0060】
DC-DC変換器13は、センタタップ型二次巻線を有し、センタタップ型二次巻線には、4つの二次側デバイスではなく2つの二次側デバイスを使用して整流を達成できるという利点がある。二次側での整流は、ここで、ダイオードではなく、スイッチS4、S5を使用して達成される。スイッチS4、S5には、より小さい電力損失という利点があるが、コントローラが必要という欠点がある。しかし一次側スイッチS2、S3が固定周波数で動作するため、二次側スイッチS4、S5も固定周波数で動作することができる。その結果、比較的簡単で安価なコントローラを、二次側で採用することもできる。さらに、一次側スイッチと二次側スイッチの両方を制御するために、単一の、比較的安価なコントローラを使用することがおそらくできる。これらの利点にもかかわらず、DC-DC変換器13がタップのない二次巻線を備えることができ、および/または二次側デバイスをダイオードとすることができる。さらに、DC-DC変換器13は、LLC共振変換器ではなく、LC直列もしくは並列共振変換器、または直並列共振変換器を備えることができる。
【0061】
上に記載した実施形態では、バッテリ充電器1は、力率補正を実現するPFC回路12、およびPFC回路12により出力される電圧をステップダウンするDC-DC変換器13を備える。
図15は、単一の変換器14がPFC回路とDC-DC変換器の両方として働く、代替実施形態を図示する。変換器14は、一般的にフライバックコンバータと呼ばれ、1つの例外があるが、従来型の構成を有する。フライバックコンバータ14は、二次側コンデンサを備えない。フライバックコンバータ14は、一次側スイッチS1を制御するためのPFCコントローラ20を備える。PFCコントローラ20の動作は、上に記載したものから大きく変わらない。上に記載した実施形態では、PFCコントローラ20は、連続導通モードで動作する。対照的に、フライバックコンバータ14のPFCコントローラ20は、不連続導通モードで動作する。しかし、他のすべての点では、PFCコントローラ20の動作は変わらない。フライバックコンバータ14の利点(たとえば、より少ない構成要素およびより簡単な制御)にもかかわらず、変換器14は、トランスTxが、一次側から二次側に伝達されるすべてのエネルギーを貯蔵する役目を果たすという欠点がある。その結果、バッテリ充電器1の必要な出力電力が増加すると、トランスのサイズおよび/またはスイッチング周波数が増加しなければならない。フライバックコンバータ14をもうけることは、したがって、比較的小さい出力電力(たとえば、200W未満)で有利である。より大きい出力電力が必要な場合、
図2、
図13、または
図14に図示されるものなどの代替トポロジが好ましい。
【0062】
図2、
図13、および
図14に図示される実施形態に戻って、DC-DC変換器13をもうけることには、入力電圧のピーク値より低い電圧を有するバッテリ3を充電するために、バッテリ充電器1を使用できるという利点がある。しかし、DC-DC変換器13を省略できる用途がある場合がある。
図16は、DC-DC変換器13が省略される実施形態を図示する。DC-DC変換器13が省略されるために、PFC回路12は、もはやコンデンサを必要としない。PFC回路12が電流を連続的に制御し続けることができるためには、バッテリ3の最小動作電圧は、AC電源2の入力電圧のピーク値よりも高くなければならない。すなわち、V_BAT(最小)>V_IN(ピーク)。その結果、AC電源2が、120Vのピーク電圧を提供する主電源である場合、バッテリ3は、少なくとも120Vの最小電圧を有さなければならない。そのような配置構成は、高い電圧のバッテリを充電するためにのみ好適である一方、この配置構成が現実的であることと有利であることの両方であるいくつかの用途が存在する場合がある。
【0063】
上に記載した実施形態のすべてにおいて、バッテリ充電器1の出力電流は、100%のリップルを有する。このことは、バッテリ充電器1が蓄積コンデンサをほとんどまたは全く持たないことにより生じる。考えられるところでは、バッテリ充電器1は、より小さいリップルを有する出力電流を出力することができる。このことは、少なくとも2つの理由から望ましい場合がある。第1に、より小さい電流リップルは、バッテリ3の寿命を延ばすのを助けることができる。第2に、同じ平均出力電力では、出力電流のピーク値がより小さく、したがってより小さい電流定格を有するより小さい、および/または安価なフィルタインダクタL2を使用することができる。出力電流におけるリップルを減少させることは、DC-DC変換器13を共振よりも高い周波数で動作させることにより達成することができる。このことによって、ここで、DC-DC変換器13のインピーダンスが増加し、それによって、PFC回路12とバッテリ3との間に、電位差が生じることが可能になる。この電位差は、ここで、電流が100%より低いリップルを有するように、バッテリ充電器1により出力される電流を形成するために使用することができる。しかし、リップルを減少させるには、追加のコンデンサを必要とすることになる。したがって、出力電流が最小50%のリップルを有するように、バッテリ充電器1が構成されることが好ましい。