特許第6538282号(P6538282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6538282白血病治療用医薬組成物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6538282
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】白血病治療用医薬組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/537 20060101AFI20190625BHJP
   A61K 36/315 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 36/195 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 36/36 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 33/36 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 31/404 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 31/216 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20190625BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20190625BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   A61K36/537
   A61K36/315
   A61K36/195
   A61K36/36
   A61K33/36
   A61K31/404
   A61K31/343
   A61K31/216
   A61K9/20
   A61K9/28
   A61K9/48
   A61K9/16
   A61P35/02
   A61P43/00 121
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-532173(P2018-532173)
(86)(22)【出願日】2016年4月8日
(65)【公表番号】特表2018-538319(P2018-538319A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】CN2016078911
(87)【国際公開番号】WO2017101236
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2018年6月15日
(31)【優先権主張番号】201510955934.5
(32)【優先日】2015年12月17日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518210421
【氏名又は名称】イー ファン ファーマシューティカル アカデミー(ベイジン)カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】518210432
【氏名又は名称】イーファン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チェン シェンフォン
(72)【発明者】
【氏名】ツォー ウェンイェン
(72)【発明者】
【氏名】リャン シァオドン
(72)【発明者】
【氏名】チェン リーピン
【審査官】 鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第1615970(CN,A)
【文献】 Proc.Nat.Acad.Sci.,2008年,Vol.105,No.12,pp.4826-4831
【文献】 ONCOLOGY LETTERS,2015年 6月 2日,Vol.10,No.1184-1190
【文献】 Journal of Clinical Oncology ,2013年,Vol.31,No.33,pp.4215-4221
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−36/9068
A61K 9/00−9/72
A61K 31/00−31/80
A61K 33/00−33/44
A61P 35/02
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白血病治療用医薬組成物であって、
重量百分率で、鶏冠石2%〜8%、青黛25%〜42%、丹参50%〜60%、太子参6%〜10%の原料で製造される、白血病治療用医薬組成物。
【請求項2】
重量百分率で、鶏冠石3%〜5%、青黛27%〜35%、丹参52%〜57%、太子参7%〜9%である、請求項1に記載の白血病治療用医薬組成物。
【請求項3】
前記青黛は、上級品又は特級品の青黛である、請求項1又は2に記載の白血病治療用医薬組成物。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の白血病治療用医薬組成物の製造方法であって、
鶏冠石粉末、太子参粉末及び青黛粉末を均一に混合して混合物を取得するステップと、
丹参に8〜9倍量の水を添加して、毎回50〜55分間で、1〜2回煎じた後、濾過して濾過液を取得し、温度48〜54℃条件下で、濃縮させて濃縮物を取得するステップと、
前記濃縮物中に前記混合物を添加した後に、均一に混合し、医薬品の剤形を製造するステップと、
を含み、
前記医薬品の剤形は、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤のいずれか1種類である、製造方法。
【請求項5】
前記鶏冠石を粉末状に製造することは、具体的に、鶏冠石を精選して、水中での研削を経た後、沈殿物を取得し、乾燥し粉砕することである、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記太子参を粉末状に製造することは、具体的に、
先ず、太子参を粉砕して、超微粉末を製造し、
その後、前記超微粉末を極微粉末に粉砕することである、請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
前記医薬品の剤形は、錠剤であり、
前記濃縮とは、
50℃で測定された相対密度が1.15〜1.20であるエキスとなるように濃縮し、
その後、前記エキスと前記混合物とを均一に混合させた後、造粒、乾燥、整粒、打錠、コーティングを経て錠剤を取得することである、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記医薬品の剤形は、丸剤であり、
前記濃縮とは、
濃いエキスとなるように濃縮した後、減圧下で乾燥エキスとなるように乾燥させ、それを微粉末に粉砕させて、乾燥エキス微粉末を取得し、
前記乾燥エキス微粉末と前記混合物とを均一に混合させた後、製丸機中に置いて水で丸剤を作り、乾燥させて、丸剤を取得することである、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記医薬品の剤形は、カプセル剤であり、
前記濃縮とは、
50℃で測定された相対密度が1.15〜1.20であるエキスとなるように濃縮し、
前記エキスと前記混合物とを均一に混合させた後、造粒、乾燥、整粒、カプセル充填を行うことである、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白血病医薬品の分野に属し、具体的に、白血病治療用医薬組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、現行四大漢方薬国家基準に正式に登録されている鶏冠石含有配合製剤は190種類以上であって、大体全ての処方製剤の2.78%である。長期間鶏冠石が過量に含有されている医薬品製剤を服用すると、慢性砒素中毒を引き起こしやすく、死亡ケースまで現れていたため、鶏冠石は過量に、長期間服用してはいけない。《中国薬典》2010年版の規定によると、1日の鶏冠石の摂取量は、0.1gを超えてはならない。人体が長期間大量の鶏冠石を服用すると、砒素などの重金属が体内に蓄積し、重度の肝臓や腎臓の機能障害を引き起こし、人の血液系や神経系を傷つける可能性がある。鶏冠石の毒性について、複数の本草著作にはいずれにもそれに関する記載があり、古代人が単一の薬草の大量の摂取を禁じていたことも記載されていた。従来技術によると、鶏冠石の処方は、量が多く、正常の服用量によれば、毎回3錠で、毎日3回服用する。即ち、毎日の服用量の最小量は9錠であって、鶏冠石が基準を大幅に上回るため、鶏冠石の量を調整する必要がある。
【0003】
特許出願番号が200410050453.1の特許出願に開示された白血病の漢方薬製剤の複方黄黛片(Huangdai tablets)及びその製造方法において、複方黄黛片の成分には、鶏冠石が含有され、鶏冠石の主成分は、二硫化二砒素又は四硫化四砒素である。また、鶏冠石にはさらに不純物が含有され、主要不純物は毒性の高い三酸化二砒素(一般的に亜ひ酸と呼ばれる)であるため、鶏冠石は毒を有し、国家28種類の毒性薬草に属し、毒性の比較的強い漢方薬に属する。従来の複方黄黛片は、服用量が比較的高くすることで、白血病を治療する目的に達するが、複方黄黛片が比較的強い毒性を有するため、大量且つ長期間服用すると、肝臓や腎臓に大きい障害を与える。
【0004】
また、従来の製造工程は、エキスの製造過程で、通常濃度が大き過ぎるため、次の工程ステップに進むことができず、非常に不便である。
【0005】
同時に、従来の複方黄黛片とレチノイン酸(白血病を治療するために使用される医薬品であって、通常、砒素と併用することで白血病を治療する)とは、一定の交差耐性を有し、白血病の治療に不利である。
【0006】
上記問題点に鑑みて、特に本発明を提出する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の目的とは、白血病治療用医薬組成物を提供することであって、上記医薬組成物は、従来の複方黄黛片を基に、鶏冠石の含有量を大幅に減少させ、丹参の用量を向上できる。臨床検証によると、治療効果に明らかな向上及び改善があることが見出された。
【0008】
本発明の第2の目的とは、上記白血病治療用医薬組成物の製造方法を提供することであって、当該方法は、従来の複方黄黛片を基に、丹参の製造方法を改善し、丹参中に添加される水の量を減少させ、煎じる回数を減少させ、煎じる時間を短くし、丹参の有効成分が損傷していないことを保証できる。実験結果から、丹参の有効成分はいずれも良好に維持され、抽出率は比較的高いレベルを維持することが見出された。
【0009】
丹参は、血液停滞の解消による鎮痛、血液を活性化することによる経路の促進、心身の落ち着けといった機能を有し、これは、心筋虚血の防止、大脳虚血の防止、抗血栓、微小循環の改善、組織修復及び再生の促進、及び鎮静と鎮痛などの複数種類の薬理学的効果に関連する。丹参の有効成分の丹参ケトン、Danshensu(丹参素)は、薬理作用を発揮する重要な物質基礎である。
【0010】
研究によると、丹参ケトンは、丹参における主要な抗腫瘍の活性成分である。丹参はEhrich腹水癌マウスの生存期間を延長でき、カンプトテシン、シクロホスファミドの抗腫瘍の活性を増加させる作用を有することが既に報告されていた。その後、丹参がマウスEhrich腹水癌に対しても死滅作用を有することが報告されていた。丹参ケトン類が複数種類のフェナントラキノン構造を有することは、細胞毒性作用の基礎であって、フェナントレン環構造はDNA分子に結合され、フラン環、キノン類構造はフリーラジカルを生じてDNA損傷を引き起こし、腫瘍細胞DNAの合成を抑制する。結果によると、無毒の用量の丹参ケトンIIA(0.5μg/ml)及びATRA(0.5μg/ml)の処理を経た後、細胞形態は良性分化され、増殖が遅くなり、コロニー形成率及び3H〜TdR取り込み率は明らかに減少され、ヌードマウス上の腫瘍形成時間が延長され、腫瘍形成能力は明らかに減少される。統計学の処理によると、丹参ケトンIIA及びATRAは、ME180細胞に対していずれも比較的良好な分化誘導作用を有し、両者の差は、顕著な意味がない(P>0.05)。無毒の用量の丹参ケトンIIA(0.5μg/ml)によってME180細胞株を処理し、細胞RNAドットブロッティングを行った後、c−myc、H−ras癌遺伝子の発現が明らかに減少されることを見出し、丹参ケトンIIAのME180細胞に対する分化誘導作用メカニズムは、細胞増殖関連の癌遺伝子発現に対する抑制であることを推測した。正常細胞の増殖、分化及びアポトーシスの間にバランスがあるが、腫瘍細胞は無限に増殖され、分化が阻止され、アポトーシスが抑制される。現在の研究によると、多くの抗癌剤は、腫瘍細胞の増殖を抑制することによって、腫瘍細胞の分化及び(又は)アポトーシスを誘導して抗癌効果を発揮する。研究によると、無毒の用量の丹参ケトンIIA(0.5μg/ml)は、HL−6細胞に作用して、腫瘍細胞の分化成熟を誘導でき、細胞アポトーシスの生成を伴う。フローサイトメトリー分析によると、S期の細胞が明らかに減少し、細胞はG0/G1期に停止し、細胞増殖指数が低下し、一部の細胞でアポトーシスが生じ、低二倍体のアポトーシスのピークが現れ、細胞癌遺伝子の発現がc−fosで向上され、c−myc及びbcl−2で減少された。
【0011】
したがって、丹参ケトンの抗腫瘍作用は、腫瘍細胞の分化を誘導すると同時に、アポトーシスを誘導するか又は腫瘍細胞の分化成熟を誘導して、最終的にアポトーシスに至る可能性がある。丹参ケトンIIAは、体外培養によるSGC7901 ヒト胃腺癌細胞の増殖に対して明らかな抑制作用及びアポトーシス誘導作用を有し、可能なメカニズムとは、丹参ケトンIIAが細胞をG0/G1期に停止できることで、当該細胞がS期に進まないようにすることである。
【0012】
高フィブリノゲン血症は、腫瘍の血液うっ滞を悪化させるが、腫瘍の血液うっ滞の本質は、血液凝固線維素溶解血小板の機能障害である。丹参ケトンが有する血液循環促進作用・血液うっ滞除去作用は、漢方薬による腫瘍の治療の終始を貫く。
【0013】
上述を纏めると、丹参の抽出物である丹参ケトンは、天然の抗酸化作用、抗菌及び抗炎症の作用、性ホルモン作用だけでなく、心血管、脳血管、糖尿病においても重要な作用を果たしており、もっと重要なのは明らかな抗腫瘍効果があり、臨床内、臨床外、婦人科及び耳鼻咽喉科の疾患の治療に広く応用され得り、確実な効果を取得した。丹参ケトン製剤は、使用しやすく、安全で、経済的であり、経口で腸で吸収され、全身に迅速に広がり、作用が強く、排泄が遅延し、耐薬品性及び副作用がなく、幅広い応用に価値がある。
【0014】
本発明の上記目的を実現するために、特に以下の技術案を採用する。
【0015】
白血病治療用医薬組成物は、主として、重量百分率で、鶏冠石2%〜8%、青黛25%〜42%、丹参50%〜60%、太子参6%〜10%の原料で製造される。
【0016】
従来の技術によると、丹参の用量は少なめであって、《中国薬典》2010年版に規定の丹参の1日の摂取量は10〜15gである。正常の服用量によると、毎回3錠で、毎日3回服用し、即ち、毎日の服用量は9錠であって、丹参の1日の服用量は、薬典に規定の量の半分にも達せず、血液停滞の解消、血液の活性化、抗腫瘍といった作用を果たさないため、丹参の量を調整する必要がある。従来技術を基に、本発明は、丹参の量を、36%〜46%から50%〜60%まで向上させ、鶏冠石を、12%〜18%から2%〜8%まで減少させた。臨床実験により、従来技術に基づいて改善された医薬組成物が臨床で白血病を治療でき、完全寛解率が92.9%に達し、治療効果が明らかに向上且つ改善され、副作用が大幅に減少されることを見出した。
【0017】
原料間の相乗効果を高めるために、重量百分率で、鶏冠石3%〜5%、青黛27%〜35%、丹参52%〜57%、太子参7%〜9%であることが好ましい。
【0018】
さらに、前記青黛は、上級品又は特級品の青黛である。従来方法を基に、特に特級品青黛を選び、特級品青黛は、洗浄及び精製を経て、滅菌を経て成るものであって、特級品青黛自体は、インジルビン(indirubin)の含有量が向上され、臣薬(minister drug)の配合治療効果が向上された。
【0019】
本発明はさらに、
鶏冠石粉末、太子参粉末及び青黛粉末を均一に混合して混合物を取得して、予備用とするステップと、
丹参に8〜9倍量の水を添加して、毎回50〜55分間で1〜2回煎じた後、濾過して濾過液を取得し、温度48〜54℃の条件下で、濃縮させて濃縮物を取得するステップと、
前記濃縮物中に前記混合物を添加した後に、均一に混合させ、ニーズに応じる医薬品剤形を製造するステップと、を含む白血病治療用医薬組成物の製造方法を提供する。
【0020】
丹参の有効成分は、例えば、丹参ケトン、サルビアノール酸などであって、長時間の高熱条件では不安定になり、従来技術での抽出時間は1〜2時間であるが、この条件下で、丹参のほとんどの有効成分は破損されてしまう。丹参の有効成分の非破損を保証するために、丹参の抽出時間に厳しい要求がある。本発明で提供する白血病治療用医薬組成物の製造方法は、従来の複方黄黛片の製造方法を基に、丹参の製造方法を改善し、丹参中に添加された水の量を減少させ、煎じる回数を減少させ、煎じる時間を減少させて、丹参の有効成分の非破損を保証できる。実験結果によると、丹参の有効成分は、丹参ケトンIIA(C19183)、丹参ケトンI(C18123)、丹参ケトンIIB(C19184)などを含み、いずれも良好に抽出できることを見出した。高速液体クロマトグラフィーによって指標を制御する有効成分の丹参ケトンIIAを検出した結果、抽出率が75%に達し、各有効成分の活性が良好に維持され、抽出率が比較的高いレベルに維持される。
【0021】
不純物を良好に除去し、毒性を減少させ、取得された鶏冠石粉末をさらに細かくするために、さらに、前記鶏冠石を粉末状に製造する。具体的に、鶏冠石を精選して、水中での研削を経た後、沈殿物を取得し、乾燥し粉砕させばよい。
【0022】
太子参を粉末状に製造することは、次第に粉砕する方式を採用し、さらに、前記太子参を粉末状に製造することは、下記の通りである。具体的に、先ず、太子参を粉砕して、超微粉末を製造し、その後、前記超微粉末を極微粉末に粉砕すればいい。
【0023】
そのうち、超微粉末とは、6号篩を全部通過できるが、7号篩を通過できるものが割合で95%以上になる粉末であり、極微粉末とは、8号篩を全部通過できるが、9号篩を通過できるものが割合で95%以上になる粉末である。
【0024】
さらに、前記医薬品の剤形は、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤のいずれか1種類である。
【0025】
具体的に、前記医薬品の剤形は、錠剤であり、前記濃縮とは、相対密度が1.15〜1.20(50℃)であるエキスとなるように濃縮し、その後、前記エキスと前記混合物とを均一に混合させた後、造粒、乾燥、整粒、打錠、コーティングを経て錠剤を取得することである。
【0026】
さらに、前記医薬品の剤形は、丸剤であり、前記濃縮とは、濃いエキスとなるように濃縮した後、減圧下で乾燥エキスとなるように乾燥させ、微粉末に粉砕させて、乾燥エキス微粉末を取得し、前記乾燥エキス微粉末と前記混合物とを均一に混合させた後、製丸機中に置いて水で丸剤を作り、乾燥させて、丸剤を取得することである。
【0027】
さらに、前記医薬品の剤形は、カプセル剤であり、前記濃縮とは、相対密度が1.15〜1.20(50℃)であるエキスに濃縮し、前記エキスと前記混合物とを均一に混合させた後、造粒、乾燥、整粒、カプセル充填を行うことである。
【0028】
また、本発明で提供する白血病治療用医薬組成物の医薬品の剤形は上記4種類に限定されるものではなく、常用の医薬品製剤の方法でも別の剤形を形成できる。
【0029】
本発明で提供する白血病治療用医薬組成物は、臨床で主に、急性前骨髄球性白血病又は慢性骨髄性白血病に用いられる。
【0030】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0031】
(1)本発明で提供する白血病治療用医薬組成物は、丹参の量を、36%〜46%から50%〜60%まで向上させ、鶏冠石を、12%〜18%から2%〜8%まで減少させ、臨床実験により、従来技術に基づいて改善した医薬組成物が臨床で白血病を治療でき、主に急性前骨髄球白血病及び慢性粒細胞白血病に用いられ、治療効果に明らかな向上及び改善があり、副作用が大幅に減少され、服用の安全性が明らかに保証されることを見出した。
【0032】
(2)本発明はさらに、各原料間の配合比率を限定して、各原料間の相乗効果を高めた。
【0033】
(3)本発明はさらに、前記白血病治療用医薬組成物の製造方法を提供して、丹参の製造方法を改善し、丹参中に添加された水の量を減少させ、煎じる回数を減少させ、煎じる時間を減少させ、丹参の有効成分の非破損を保証する。実験結果により、丹参の有効成分がいずれも良好に維持され、抽出率が一つの比較的高いレベルに維持されることを見出した。
【0034】
(4)本発明で提供する白血病治療用医薬組成物に適用する剤形は、錠剤、カプセル、顆粒剤、丸剤などを含むが、これらに限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、実施例と組み合わせて、本発明の実施案を具体的に説明するが、当業者であれば、以下の実施例は本発明を説明するだけで、本発明の範囲を制限するものではないことを理解すべきである。実施例において、具体的な条件が記載されていない場合、常用の条件又はメーカーの提案による条件で行われ、使用される試薬又は機器は、メーカーが記載されていない場合、いずれも市販の常用の製品である。
【0036】
実施例1
鶏冠石、青黛、丹参、太子参の4種類の医薬品を成分として、重量百分率で、それぞれ鶏冠石2%、青黛42%、丹参50%、太子参6%の比率で、鶏冠石、青黛、丹参、太子参を準備した。
【0037】
鶏冠石を精選して、エルトリエーションにより、水中での研削を経た後、沈殿物を取得し、乾燥し粉砕させた後、予備用とした。
【0038】
先ず、太子参を粉砕して超微粉末を形成し、その後、それを極微粉末に粉砕し、滅菌して予備用とした。
【0039】
特級品の青黛粉末を精選して、洗浄且つ精製し、乾燥させ、滅菌して、予備用とした。
【0040】
上記3種類の医薬品成分の微粉末を均一に混合して予備用とした。
【0041】
丹参に8倍量の水を添加して、毎回50分間で2回煎じ、濾過させ、濾過液を合わせ、温度48〜54℃条件で、相対密度が1.15〜1.24(50℃)であるエキスとなるように濃縮した。
【0042】
エキス中に上記3種類の医薬品成分の均一に混合後の微粉末を添加し、造粒、乾燥、整粒、打錠(重量が0.25g)させ、コーティングを行って得られた。
【0043】
実施例2
鶏冠石、青黛、丹参、太子参の4種類の医薬品を成分として、重量百分率で、それぞれ鶏冠石8%、青黛25%、丹参60%、太子参7%の比率で、鶏冠石、青黛、丹参、太子参を準備した。
【0044】
鶏冠石を精選して、エルトリエーションにより、水中での研削を経た後、沈殿物を取得し、乾燥し粉砕させた後、予備用とした。
【0045】
先ず、太子参を粉砕して超微粉末を形成し、その後、それを極微粉末に粉砕し、滅菌して予備用とした。
【0046】
特級品の青黛粉末を精選して、洗浄且つ精製し、滅菌して、予備用とした。
【0047】
上記3種類の医薬品成分の微粉末を均一に混合して予備用とした。
【0048】
丹参に9倍量の水を添加して、毎回55分間で2回煎じ、濾過させ、濾過液を合わせ、温度48〜54℃条件で、相対密度が1.15〜1.24(50℃)であるエキスとなるように濃縮した。
【0049】
エキス中に上記3種類の医薬品成分の均一に混合後の微粉末を添加し、造粒、乾燥、整粒、打錠(重量が0.25g)させ、コーティングを行って得られた。
【0050】
実施例3
鶏冠石、青黛、丹参、太子参の4種類の医薬品を成分として、重量百分率で、それぞれ鶏冠石5%、青黛27%、丹参58%、太子参10%の比率で、鶏冠石、青黛、丹参、太子参を準備した。
【0051】
鶏冠石を精選して、エルトリエーションにより、水中での研削を経た後、沈殿物を取得し、乾燥し粉砕させた後、予備用とするした。
【0052】
先ず、太子参を粉砕して超微粉末を形成し、その後、それを極微粉末に粉砕し、滅菌して予備用とした。
【0053】
特級品の青黛粉末を精選して、洗浄且つ精製し、滅菌して、予備用とした。
【0054】
上記3種類の医薬品成分の微粉末を均一に混合して予備用とした。
【0055】
丹参に8倍量の水を添加して、毎回55分間で2回煎じ、濾過させ、濾過液を合わせ、温度48〜54℃条件で、濃いエキスとなるように濃縮し、乾燥させ、微粉末に粉砕した。
【0056】
丹参微粉末を上記3種類の医薬品成分の均一に混合後の微粉末に添加し、均一に混合した後、製丸機中に置いて水で丸剤を作り、乾燥させると、重量が0.25gの丸剤が得られた。
【0057】
実施例4
鶏冠石、青黛、丹参、太子参の4種類の医薬品を成分として、重量百分率で、それぞれ鶏冠石4%、青黛35%、丹参52%、太子参9%の比率で、鶏冠石、青黛、丹参、太子参を準備した。
【0058】
鶏冠石を精選して、エルトリエーションにより、水中での研削を経た後、沈殿物を取得し、乾燥し粉砕させた後、予備用とした。
【0059】
先ず、太子参を粉砕して超微粉末を形成し、その後、それを極微粉末に粉砕し、滅菌して予備用とした。
【0060】
特級品の青黛粉末をを精選して、洗浄且つ精製し、乾燥させ、滅菌して、予備用とした。
【0061】
上記3種類の医薬品成分の微粉末を均一に混合して予備用とした。
【0062】
丹参に9倍量の水を添加して、毎回50分間で2回煎じ、濾過させ、濾過液を合わせ、温度48〜54℃条件で、相対密度が1.15〜1.24(50℃)であるエキスとなるように濃縮した。
【0063】
エキス中に上記3種類の医薬品成分の均一に混合後の微粉末を添加し、造粒、乾燥、整粒、カプセル充填(重量が0.25g)を経て得られた。
【0064】
実施例5
鶏冠石、青黛、丹参、太子参の4種類の医薬品を成分として、重量百分率で、それぞれ鶏冠石3%、青黛32%、丹参57%、太子参8%の比率で、鶏冠石、青黛、丹参、太子参を準備した。
【0065】
鶏冠石を精選して、エルトリエーションにより、水中での研削を経た後、沈殿物を取得し、乾燥し粉砕させた後、予備用とした。
【0066】
先ず、太子参を粉砕して超微粉末を形成し、その後、それを極微粉末に粉砕し、滅菌して予備用とした。
【0067】
特級品の青黛粉末をを精選して、洗浄且つ精製し、滅菌して、予備用とした。
【0068】
上記3種類の医薬品成分の微粉末を均一に混合して予備用とした。
【0069】
丹参に9倍量の水を添加して、毎回55分間で2回煎じ、濾過させ、濾過液を合わせ、温度48〜54℃条件で、相対密度が1.15〜1.24(50℃)であるエキスとなるに濃縮した。
【0070】
エキス中に上記3種類の医薬品成分の均一に混合後の微粉末を添加し、造粒、乾燥、整粒、カプセル充填(重量が0.25g)を経て得られた。
【0071】
実施例1〜5で製造された異なる剤形の白血病治療用医薬品を臨床検証に使用するとともに、出願番号が200410050453.1の実施例で製造された複方黄黛片を対照群とした。合計600名の患者を選び、各群にランダムでに100人ずつ患者を分配した。患者の体質及び耐性を考慮すると、試験群は、投与量を徐々に増加させることによって治療を実施し、治療の最初の日には、3〜5錠又は丸又は粒で、1日3回服用する。約10日間経った後、30錠又は丸又は粒/日になり、3回に分けて服用した。対照群は、引用文献での服用方法に従って服用した。
【0072】
治療効果基準(1987年蘇州全国白血病化学治療検討会基準を参照):
完全寛解(CR):臨床的白血病細胞の浸潤による病症、身体的症状がなく、生活が正常に戻すか又は正常に近く、血液図:Hb≧100g/L(男)又は≧90g/L(女)であり、中性粒細胞絶対値≧1.5×109/Lであり、血小板≧100×109/Lであり、末梢血分類には白血病細胞がなく、骨髓図:骨髄芽球+前骨髄球≦5%であり、赤血球及び巨核球は正常であった。
【0073】
部分寛解(PR):骨髓中の骨髄芽球+前骨髄球>5%であるが≦20%である、又は臨床、血液図の一つの項目が完全寛解基準に達していなかった。
【0074】
完全寛解率=各群完全寛解人数/各群総患者人数;部分寛解率=1−完全寛解率。具体的な結果を、表1に示す。
【0075】
【表1】
表1から分かるように、本発明で提供する白血病治療用医薬組成物は、治療効果は対照群より明らかに高かった。また、本発明で提供する白血病治療用医薬組成物は、副作用が小さく、より安全で効果的であった。
【0076】
具体的な実施例によって、本発明を説明したが、本発明の趣旨及び範囲を遺脱しない場合、他の変更及び修正を多く行うことができる。したがって、添付された特許請求の範囲は、本発明の範囲内の全ての変更及び修正を含む。