(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の実施例に係る建設機械としてのショベルの側面図である。ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して機体としての上部旋回体3が搭載される。上部旋回体3には、アタッチメントが取り付けられる。具体的には、上部旋回体3にはブーム4が取り付けられ、ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられる。エンドアタッチメントは、ブレーカ、グラップル等であってもよい。作業要素としてのブーム4、アーム5、及びバケット6は、掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。なお、アタッチメントは浚渫アタッチメント等であってもよい。また、上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン等の動力源が搭載される。また、上部旋回体3の前端部分には二次元走査型距離計測装置40が取り付けられ、上部旋回体3の後端上部には測位装置41が取り付けられる。また、キャビン10内にはコントローラ30及び表示装置50が設置される。
【0009】
図2は、
図1のショベルに搭載される地形検知システム100の構成例を示すブロック図である。地形検知システム100は、主に、コントローラ30、二次元走査型距離計測装置40、測位装置41、姿勢検出装置42、記憶装置43、及び表示装置50を含む。
【0010】
コントローラ30は、地形検知システム100の全般的な制御を行う制御装置である。本実施例では、コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、内部メモリに格納された制御用のプログラムをCPUに実行させて各種機能を実現する。
【0011】
具体的には、コントローラ30は、各種装置の出力に基づいて地形を検知し、その検知結果を表示装置50に表示させる。本実施例では、コントローラ30は、二次元走査型距離計測装置40、測位装置41、姿勢検出装置42、及び記憶装置43のそれぞれの出力を受け、地形取得部31及び座標変換部32のそれぞれに対応するソフトウェアプログラムを実行する。そして、その実行結果に応じて表示装置50に各種情報を表示させる。
【0012】
二次元走査型距離計測装置40は、ショベルの周囲に存在する反射体までの距離を計測する装置であり、計測データをコントローラ30に対して出力する。本実施例では、二次元走査型距離計測装置40は、半導体レーザを用いた二次元走査型レーザレンジファインダである。具体的には、二次元走査型距離計測装置40は、半導体レーザ発生器が発生させたレーザ光を回転ミラーで反射させて走査面上で放射状(例えば270度の範囲で0.2度毎)にレーザ光を出射する(
図1の破線参照。)。そして、所定距離(例えば30メートル)の範囲内に存在する反射体からの反射光の時間遅れ又は位相遅れを検出してその反射体までの距離(以下、「反射体距離」とする。)を導き出す。また、二次元走査型距離計測装置40は、反射体距離に加え、そのときの回転ミラーの回転角度をコントローラ30に対して出力する。レーザ光の出射方向、すなわち反射体の存在方向(以下、「反射体方向」とする。)をコントローラ30が導出できるようにするためである。
【0013】
図3は、掘削アタッチメントの作業空間範囲WSと二次元走査型距離計測装置40の走査面との関係を示す図である。具体的には、
図3(A)はショベルの上面図であり、
図3(B)はショベルの側面図である。
【0014】
図3の太点線で表される空間範囲はショベルの作業空間範囲WSである。作業空間範囲WSは、掘削アタッチメントを動作させることでバケット6が到達可能な空間範囲である。具体的には、作業空間範囲WSは、
図3(A)に示すように、バケット6のX軸方向における幅と同じ幅を有し、
図3(B)に示すような側面WSFを+X側及び−X側に有する。
【0015】
図3(A)の一点鎖線で示す平面SPは、二次元走査型距離計測装置40の走査面を含む仮想平面である。
図3(A)に示すように、平面SPは、作業空間範囲WSをX軸方向(幅方向)で2つに分割するように設定される。バケット6で掘削しようとする地面の表面に二次元走査型距離計測装置40のレーザ光が確実に当たるようにするためである。本実施例では、平面SPは、掘削アタッチメントの中心面と一致し、作業空間範囲WSを幅方向に二等分するように設定される。したがって、平面SPは、ショベルが水平面上に位置する場合には鉛直面を構成する。なお、掘削アタッチメントの中心面は掘削アタッチメントを幅方向に二等分する仮想平面である。そのため、二次元走査型距離計測装置40は、例えば、掘削アタッチメントの真下の空間内における上部旋回体3とブーム4との連結部分のところで上部旋回体3のフレームに取り付けられる。なお、平面SPは、望ましくは掘削アタッチメントの中心面に平行となるように設定される。しかしながら、本発明は、平面SPと中心面との間に角度が形成される構成を排除しない。
【0016】
測位装置41は、ショベルの位置及び向き(方位)を測定する装置である。本実施例では、測位装置41は、GPS(Global Positioning System)受信機及び電子コンパスを含み、コントローラ30に対してショベルの位置及び向きに関する情報を出力する。電子コンパスは、例えば3軸磁気センサで構成される。また、測位装置41は、2つのGPS受信機で構成されるGPSコンパスであってもよい。
【0017】
姿勢検出装置42は、ショベルの姿勢を検出する装置である。本実施例では、姿勢検出装置42は、機体傾斜センサ、ブーム角度センサ、アーム角度センサ、及びバケット角度センサを含む。具体的には、機体傾斜センサは、水平面に対する機体の傾斜を検出する角度センサである。また、ブーム角度センサは、上部旋回体3に対するブーム4の回動角度を検出する角度センサである。また、アーム角度センサは、ブーム4に対するアーム5の回動角度を検出する角度センサである。また、バケット角度センサは、アーム5に対するバケット6の回動角度を検出する角度センサである。そして、姿勢検出装置42は、検出した値をコントローラ30に対して出力する。なお、ブーム角度センサ、アーム角度センサ、及びバケット角度センサの少なくとも1つは、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ等の他のセンサで置き換えられてもよい。
【0018】
記憶装置43は、各種情報を記憶する装置である。本実施例では、記憶装置43は、施工完了時の地形に関する情報である目標地形情報を記憶する。地形検知システム100は、各種記憶媒体、通信ネットワーク等を介して目標地形情報を取得して記憶装置43に記憶する。また、目標地形情報は、例えば世界測地系を用いて生成される。
【0019】
記憶装置43は、さらに、後述する二次元走査型距離計測装置40が取得した地形に関する情報を世界測地系における位置情報に変換したものを記憶する。なお、この地形に関する情報は、世界測地系における位置情報に変換する前のものであってもよい。
【0020】
表示装置50は、各種情報を表示する装置であり、例えば、各種画像情報を表示する車載ディスプレイを含む。本実施例では、表示装置50は、コントローラ30からの制御指令に応じて各種情報を表示する。
【0021】
次に、コントローラ30が有する各種機能要素について説明する。
【0022】
地形取得部31は、ショベルの前方における現在の地形に関する情報を取得する機能要素である。本実施例では、地形取得部31は、二次元走査型距離計測装置40の出力に基づいてショベルの前方における現在の地形に関する情報を取得する。具体的には、地形取得部31は、二次元走査型距離計測装置40が出力する反射体距離及び反射体方向に基づいて現在の地形に関する情報を取得する。なお、現在の地形に関する情報は、二次元走査型距離計測装置40が計測した各計測点の座標を結ぶことで描画される反射体形状を含む。そして、地形取得部31は、その反射体形状の全部又は一部を、ショベルの前方にある地面の形状を表す地形として認識する。
【0023】
また、地形取得部31は、取得した反射体形状から、掘削アタッチメントの形状に関する部分を除外して地形を導き出してもよい。具体的には、地形取得部31は、取得した反射体形状に、掘削アタッチメントの輪郭形状として予め記憶された所定の形状に対応する形状部分が含まれる場合、反射体形状からその形状部分を取り除いて地形を導き出してもよい。或いは、地形取得部31は、姿勢検出装置42の出力に基づいて現在の掘削アタッチメントの輪郭形状を導き出し、反射体形状からその輪郭形状に対応する形状部分を取り除いて地形を導き出してもよい。
図1の太点線で示す形状ASは、二次元走査型距離計測装置40の出力に基づいて取得される反射体形状に含まれる掘削アタッチメントの輪郭形状を表す。また、
図1の太実線で示す形状GSは、二次元走査型距離計測装置40の出力に基づいて取得される反射体形状から掘削アタッチメントの輪郭形状を取り除くことで導き出された地形を表す。なお、
図1の一点鎖線で示す形状TSは、目標地形情報に含まれる施工完了時の地形を表す。
【0024】
座標変換部32は、現在の地形に関する情報を所望の測地基準系における位置情報に変換する機能要素である。本実施例では、座標変換部32は、測位装置41が出力する世界測地系におけるショベルの位置及び向きに関する情報と、地形取得部31が取得した二次元走査型距離計測装置40の位置を基準とする現在の地形に関する情報と、二次元走査型距離計測装置40及び測位装置41の所定の相対位置関係に関する情報とを取得する。そして、それら3種類の情報に基づいて、地形取得部31が取得した現在の地形に関する情報を世界測地系における位置情報に変換する。現在の地形に関する情報と目標地形情報とを比較できるようにするためである。
【0025】
図4は、座標変換部32が現在の地形に関する情報を世界測地系における位置情報に変換する際に用いる計測座標系の構成例を示す。具体的には、
図4(A)はショベルの側面図であり、
図4(B)はショベルの上面図である。なお、世界測地系は、地球の重心に原点をおき、X軸をグリニッジ子午線と赤道との交点の方向に、Y軸を東経90度の方向に、そしてZ軸を北極の方向にとる三次元直交XYZ座標系である。
【0026】
計測座標系は、測位装置41の位置P41に原点をおき、U軸をショベルの幅方向(左右方向)、V軸をショベルの前後方向に、そしてW軸をショベルの高さ方向(上下方向)にとる三次元直交UVW座標系である。また、W軸は、
図4(A)の二点鎖線で示すショベルの旋回軸に平行であり、VW平面は、二次元走査型距離計測装置40の走査面を含む仮想平面である平面SPを含む。また、二次元走査型距離計測装置40の位置P40のUVW座標系における座標値は設計で決まる値であるため予め設定される。そのため、座標変換部32は、二次元走査型距離計測装置40の位置P40のUVW座標系における座標と、地形取得部31が取得した二次元走査型距離計測装置40の位置P40を基準とする現在の地形に関する情報とに基づき、現在の地形を表す各反射点のUVW座標系における座標を取得できる。
【0027】
具体的には、1つの反射点DPのUVW座標系における座標値は、反射体方向によって決まる角度θと反射体距離Dと位置P40の座標値とに基づいて決定される。
【0028】
また、座標変換部32は、機体傾斜センサの出力に基づいてXYZ座標系に対するUVW座標系の傾きを導き出す。そして、その傾きを補正する演算、すなわちU軸、V軸、W軸をX軸、Y軸、Z軸に一致させる座標変換を行うことで反射点DPのXYZ座標系における座標を取得できる。
【0029】
その後、座標変換部32は、世界測地系における位置情報に変換された現在の地形に関する情報を記憶装置43に記憶すると共に、現在の地形に関する情報と目標地形情報とを比較できるように両者を表示装置50に表示させる。例えば、座標変換部32は、
図1に示すような関係を表示装置50に表示させる。具体的には、掘削対象となっている地面の現在の地形と施工完了時の目標地形とを断面表示させる。
【0030】
次に、
図5を参照し、ショベルの周囲におけるより広い地面領域の形状を検知する方法について説明する。なお、
図5(A)は、旋回動作を利用してより広い地面領域の形状を検知する場合のショベルの動きを示すショベルの上面図であり、
図5(B)は、走行動作を利用してより広い地面領域の形状を検知する場合のショベルの動きを表すショベルの上面図である。
【0031】
図5(A)に示すように、下部走行体1を停止させた状態で上部旋回体3を時計回りに旋回させてショベルの向きを変えることで、地形検知システム100は、ドットハッチングで表される領域の地形を検知できる。この場合、地形検知システム100は、電子コンパス、GPSコンパス等の旋回角度検出装置の出力を用い、地形取得部31が取得した現在の地形に関する情報を補正してもよい。なお、地形検知システム100は、下部走行体1によりショベルをピボットターン(超信地旋回)させた場合にも同様の領域の地形を検知できる。
【0032】
また、
図5(B)に示すように、下部走行体1と上部旋回体3との間の相対角度が90度の状態で上部旋回体3を固定したまま下部走行体1を図の右側に移動させてショベルの位置を変えることで、地形検知システム100は、ドットハッチングで表される領域の地形を検知できる。この場合、地形検知システム100は、GPS受信機等の走行距離検出装置の出力を用い、地形取得部31が取得した現在の地形に関する情報を補正してもよい。
【0033】
これにより、地形検知システム100は、より広い地面領域の形状を空間的(三次元的)に簡易且つ迅速に検知でき、記憶装置43に記憶することができる。そして、そのような広い地面領域の形状に関する情報により、例えば、掘削対象となっている地面の現在の地形を示す等高図を表示させることができる。また、掘削対象となっている地面の現在の地形を示す等高図と施工完了時の目標地形を示す等高図とを同時に表示させることができる。
【0034】
以上の構成により、地形検知システム100は、掘削の対象となる地面の現在の地形を掘削直前に且つ掘削毎に検知して表示する。そのため、ショベルの操作者は、目標地形情報と現在の地形に関する情報とを比較し、どの程度埋めるのか或いは掘るのかをその都度確認できる。また、掘削作業中の現在の地形が目標地形と一致しているか否かを確認できる。また、地形検知システム100は、二次元走査型距離計測装置40を用いた単純な構成を採用するため、三次元レーザスキャナを採用する場合に比べ、掘削の対象となる地面の現在の地形の検知を低コストで実現できる。
【0035】
次に、
図6を参照し、二次元走査型距離計測装置40の別の取り付け例について説明する。なお、
図6(A)は、二次元走査型距離計測装置40の別の取り付け例を示すショベルの側面図であり、
図1に対応する。また、
図6(B)は、座標変換部32が座標変換の際に用いる計測座標系の構成例を示す図であり、
図4(A)に対応する。また、
図6(A)の太点線で示す形状ASは、二次元走査型距離計測装置40の出力に基づいて取得される反射体形状に含まれる掘削アタッチメントの輪郭形状を表す。また、
図6(A)の太実線で示す形状GSは、反射体形状から掘削アタッチメントの輪郭形状を取り除くことで導き出された地形を表す。なお、
図6(A)の一点鎖線で示す形状TSは、目標地形情報に含まれる施工完了時の地形を表す。
【0036】
図6(A)において、二次元走査型距離計測装置40は、ブーム4の腹面(図の+Y側の面)の所定位置に取り付けられる。そのため、二次元走査型距離計測装置40の位置は、ブーム4の姿勢の変化に応じて変化する。そのため、座標変換部32は、姿勢検出装置42の出力に基づいて二次元走査型距離計測装置40と測位装置41との間の相対位置関係を導き出す。なお、二次元走査型距離計測装置40は、ブーム4の側面(+X側の面又は−X側の面)に取り付けられてもよい。
【0037】
本実施例では、座標変換部32は、ブーム角度センサの出力から導き出される上部旋回体3に対するブーム4の姿勢に基づいてその相対位置関係を導き出す。具体的には、二次元走査型距離計測装置40の位置P40のUVW座標系における座標値は、
図6(B)に示すように、ブームフートピンPbの位置のUVW座標系における座標値と、ブームフートピンPbから二次元走査型距離計測装置40の取り付け位置までの距離L1と、角度αとに基づいて決定される。なお、ブームフートピンPbの位置のUVW座標系における座標値及び距離L1は設計で決まる値であるため予め設定される。また、角度αは、例えば、ブーム角度センサの出力値である。
【0038】
そのため、座標変換部32は、二次元走査型距離計測装置40の位置P40のUVW座標系における座標と、地形取得部31が取得した二次元走査型距離計測装置40の位置P40を基準とする現在の地形に関する情報とに基づき、現在の地形を表す各反射点のUVW座標系における座標を取得できる。
【0039】
具体的には、1つの反射点DPのUVW座標系における座標値は、反射体方向によって決まる角度θと反射体距離Dと位置P40の座標値とに基づいて決定される。
【0040】
また、座標変換部32は、機体傾斜センサの出力に基づいてXYZ座標系に対するUVW座標系の傾きを導き出す。そして、その傾きを補正する演算、すなわちU軸、V軸、W軸をX軸、Y軸、Z軸に一致させる座標変換を行うことで反射点DPのXYZ座標系における座標を取得できる。
【0041】
なお、座標変換部32は、二次元走査型距離計測装置40の出力に基づいて二次元走査型距離計測装置40と測位装置41との間の相対位置関係を導き出してもよい。具体的には、二次元走査型距離計測装置40が取得する、上部旋回体3とブーム4との連結部分の輪郭形状から上部旋回体3に対するブーム4の姿勢を導き出し、その上で、二次元走査型距離計測装置40と測位装置41との間の相対位置関係を導き出す。
【0042】
その後、座標変換部32は、測位装置41が出力する世界測地系におけるショベルの位置及び向きに関する情報と、地形取得部31が取得した二次元走査型距離計測装置40の位置を基準とする現在の地形に関する情報と、二次元走査型距離計測装置40及び測位装置41の相対位置関係とに基づいて、二次元走査型距離計測装置40が取得した地形に関する情報を世界測地系における位置情報に変換し、記憶装置43に記憶する。
【0043】
次に、
図7を参照し、二次元走査型距離計測装置40のさらに別の取り付け例について説明する。なお、
図7(A)は、二次元走査型距離計測装置40のさらに別の取り付け例を示すショベルの側面図であり、
図1及び
図6(A)に対応する。また、
図7(B)は、座標変換部32が座標変換の際に用いる計測座標系の構成例を示す図であり、
図4(A)及び
図6(B)に対応する。また、
図7(A)の太点線で示す形状ASは、二次元走査型距離計測装置40の出力に基づいて取得される反射体形状に含まれる掘削アタッチメントの輪郭形状を表す。また、
図7(A)の太実線で示す形状GSは、反射体形状から掘削アタッチメントの輪郭形状を取り除くことで導き出された地形を表す。なお、
図7(A)の一点鎖線で示す形状TSは、目標地形情報に含まれる施工完了時の地形を表す。
【0044】
図7(A)において、二次元走査型距離計測装置40は、アーム5の腹面(図の−Z側の面)の所定位置に取り付けられる。そのため、二次元走査型距離計測装置40の位置は、ブーム4及びアーム5の少なくとも一方の姿勢の変化に応じて変化する。そのため、座標変換部32は、姿勢検出装置42の出力に基づいて二次元走査型距離計測装置40と測位装置41との間の相対位置関係を導き出す。なお、二次元走査型距離計測装置40は、アーム5の側面(+X側の面又は−X側の面)に取り付けられてもよい。
【0045】
本実施例では、座標変換部32は、ブーム角度センサの出力から導き出される上部旋回体3に対するブーム4の姿勢と、アーム角度センサの出力から導き出されるブーム4に対するアーム5の姿勢とに基づいてその相対位置関係を導き出す。具体的には、二次元走査型距離計測装置40の位置P40のUVW座標系における座標値は、
図7(B)に示すように、ブームフートピンPbの位置のUVW座標系における座標値と、ブームフートピンPbからアーム連結ピンPaまでの距離L2と、角度αと、アーム連結ピンPaから二次元走査型距離計測装置40までの距離L3と、角度βとに基づいて決定される。なお、ブームフートピンPbの位置のUVW座標系における座標値、距離L2、及び距離L3は設計で決まる値であるため予め設定される。また、角度αは、例えば、ブーム角度センサの出力値であり、角度βは、例えば、アーム角度センサの出力値である。
【0046】
そのため、座標変換部32は、二次元走査型距離計測装置40の位置P40のUVW座標系における座標と、地形取得部31が取得した二次元走査型距離計測装置40の位置P40を基準とする現在の地形に関する情報とに基づき、現在の地形を表す各反射点のUVW座標系における座標を取得できる。
【0047】
具体的には、1つの反射点DPのUVW座標系における座標値は、反射体方向によって決まる角度θと反射体距離Dと位置P40の座標値とに基づいて決定される。
【0048】
また、座標変換部32は、機体傾斜センサの出力に基づいてXYZ座標系に対するUVW座標系の傾きを導き出す。そして、その傾きを補正する演算、すなわちU軸、V軸、W軸をX軸、Y軸、Z軸に一致させる座標変換を行うことで反射点DPのXYZ座標系における座標を取得できる。
【0049】
なお、座標変換部32は、二次元走査型距離計測装置40の出力に基づいて二次元走査型距離計測装置40と測位装置41との間の相対位置関係を導き出してもよい。具体的には、二次元走査型距離計測装置40が取得する、上部旋回体3とブーム4との連結部分の輪郭形状から上部旋回体3に対するブーム4の姿勢を導き出す。また、二次元走査型距離計測装置40が取得する、ブーム4の輪郭形状からブーム4に対するアーム5の姿勢を導き出す。その上で、二次元走査型距離計測装置40と測位装置41との間の相対位置関係を導き出す。
【0050】
その後、座標変換部32は、測位装置41が出力する世界測地系におけるショベルの位置及び向きに関する情報と、地形取得部31が取得した二次元走査型距離計測装置40の位置を基準とする現在の地形に関する情報と、二次元走査型距離計測装置40及び測位装置41の相対位置関係とに基づいて、二次元走査型距離計測装置40が取得した地形に関する情報を世界測地系における位置情報に変換し、記憶装置43に記憶する。
【0051】
このように、二次元走査型距離計測装置40がブーム4又はアーム5に取り付けられた場合、地形検知システム100は、上述の効果に加え、機体の近くを深掘りするときでも深掘りした地形を確実に検知して表示できるという追加的な効果を奏する。そのため、ショベルの操作者は、ショベル又は地面の死角に入って見えないところにある地形を認識できる。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0053】
例えば、上述の実施例では、二次元走査型距離計測装置40は、上部旋回体3のフレーム又は掘削アタッチメントに1つだけ取り付けられる。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、二次元走査型距離計測装置40は、上部旋回体3のフレーム又は掘削アタッチメントに複数個取り付けられてもよい。
【0054】
また、二次元走査型距離計測装置40は、上部旋回体3のフレーム又は掘削アタッチメントにおける複数の所定の取り付け位置の1又は複数に取り外し可能に取り付けられてもよい。この場合、利用者は必要に応じて二次元走査型距離計測装置40の取り付け位置を変更できる。
【0055】
また、二次元走査型距離計測装置40は、上部旋回体3のフレーム又は掘削アタッチメントにおける任意の位置に取り外し可能に取り付けられてもよい。この場合、利用者は、二次元走査型距離計測装置40の取り付け位置とアーム連結ピンPa、ブームフートピンPb、又は測位装置41との間の相対位置関係をコントローラ30に事前に入力すればよい。