特許第6538510号(P6538510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6538510
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】プログラマブルコントローラ
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20190625BHJP
【FI】
   G05B19/05 L
   G05B19/05 N
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-194628(P2015-194628)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-68663(P2017-68663A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 淳一
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−133924(JP,A)
【文献】 特開平06−324722(JP,A)
【文献】 特開平10−039904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/04−19/05
H05K 5/00− 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPUモジュールまたは基本ユニットと接続した増設制御モジュールと、I/Oモジュールとがベースユニットに接続され、前記CPUモジュールと前記I/Oモジュールとが信号の伝達を行うプログラマブルコントローラであって、
前記I/Oモジュールが接続されるそれぞれのスロットには、一のシリーズ用のコネクタと他のシリーズ用のコネクタを備え、
前記スロットに、一のシリーズのI/Oモジュールまたは他のシリーズのI/Oモジュールを選択して接続可能とし、
前記一のシリーズ用のコネクタと接続された一のシリーズ用のデータバスと、
前記他のシリーズ用のコネクタと接続された他のシリーズ用のデータバスと、
データバス方向制御回路を備え、
前記データバス方向制御回路の制御により、前記一のシリーズ用のデータバスと前記他のシリーズ用のデータバスとを切り替え、前記スロットに接続された一のシリーズのI/Oモジュールまたは他のシリーズのI/Oモジュールを選択して前記CPUモジュールと信号のやり取りを行い、
前記一のシリーズのI/Oモジュールおよび他のシリーズのI/Oモジュールの一方は、モジュールセレクト要求信号に応答してモジュールセレクト応答信号を出力するものであり、
前記データバス方向制御回路は、前記モジュールセレクト応答信号の有無に応じて、前記一のシリーズ用のデータバスと前記他のシリーズ用のデータバスとを切り替えることを特徴とするプログラマブルコントローラ。
【請求項2】
CPUモジュールまたは基本ユニットと接続した増設制御モジュールと、I/Oモジュールとがベースユニットに接続され、前記CPUモジュールと前記I/Oモジュールとが信号の伝達を行うプログラマブルコントローラであって、
前記I/Oモジュールが接続されるそれぞれのスロットには、一のシリーズ用のコネクタと他のシリーズ用のコネクタを備え、
前記スロットに、一のシリーズのI/Oモジュールまたは他のシリーズのI/Oモジュールを選択して接続可能とし、
前記一のシリーズ用のコネクタと接続された一のシリーズ用のデータバスと、
前記他のシリーズ用のコネクタと接続された他のシリーズ用のデータバスと、
データバス方向制御回路を備え、
前記データバス方向制御回路の制御により、前記一のシリーズ用のデータバスと前記他のシリーズ用のデータバスとを切り替え、前記スロットに接続された一のシリーズのI/Oモジュールまたは他のシリーズのI/Oモジュールを選択して前記CPUモジュールと信号のやり取りを行い、
前記一のシリーズ用のコネクタと前記他のシリーズ用のコネクタの一方または両方は、前記I/Oモジュールが接続されたか否かを検出する接続検出手段を備え、
前記データバス方向制御回路は、前記一のシリーズのI/Oモジュールと前記他のシリーズのI/Oモジュールの何れが接続されたかに応じて、前記一のシリーズ用のデータバスと前記他のシリーズ用のデータバスとを切り替えることを特徴とするプログラマブルコントローラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプログラマブルコントローラにおいて、
前記一のシリーズのI/Oモジュールは新シリーズのI/Oモジュールであり、前記他のシリーズのI/Oモジュールは旧シリーズのI/Oモジュールであることを特徴とするプログラマブルコントローラ。
【請求項4】
CPUモジュールと、I/Oモジュールとが、ベース基板に接続されたプログラマブルコントローラであって、
前記ベース基板には、一の端子と他の端子を有しており、
前記一の端子または前記他の端子のいずれか一方に前記I/Oモジュールが接続され、
前記CPUモジュールは、前記一の端子に信号を送信し、
送信された前記信号に対して応答がある場合には、前記一の端子に接続された前記I/Oモジュールと通信し、
送信された前記信号に対し応答がない場合には、前記他の端子に接続された前記I/Oモジュールと通信すること
を特徴とするプログラマブルコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の機械の制御に用いられるプログラマブルコントローラ(プログラマブルロジックコントローラとも呼ばれる。)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図2に、ビルディングブロックタイプと呼ばれる一般的なプログラマブルロジックコントローラ(以下、PLCと記載する。)のブロック図を示す。以降、特に断りのない場合、本書でのPLCはビルディングブロックタイプを示すものとする。
【0003】
ベースユニット(基本)1、ベースユニット(増設)10、電源モジュール2、CPUモジュール3、I/Oモジュール4、増設制御モジュール5などにはコネクタが付いており、各モジュールをベースユニットへ装着できるようになっている。ベースユニット(基本)1とベースユニット(増設)10とは、増設制御モジュール5を介して、増設接続ケーブル6で接続されている。ユーザは、所望の制御システムを実現する機能を持つI/Oモジュールを使い分けて、かつ、それらのI/Oモジュールを制御するためのプログラムをCPUモジュール3へプログラミングすることで、制御システムを実現する。
【0004】
電源モジュール2からは、ベースユニット(基本)1やベースユニット(増設)10を介して、CPUモジュール3やI/Oモジュール4へ電力が供給される。CPUモジュール3では、PLCを使用するユーザによってプログラミングされたプログラムが演算処理される。CPUモジュール3内のプログラムは、I/Oモジュール4からの入力信号を受けて演算処理したり、逆にCPUモジュール3での演算処理結果をI/Oモジュール4から出力したりすることによって、ユーザが希望する制御動作を実行する。
【0005】
例えば特許文献1には、「所定のプログラムを実行する中央演算処理ユニットにベースユニットを介して複数の入出力ユニットを接続して構成されるプログラマブルコントローラにおいて、特殊機能を実行するプログラマブルコントローラボードモジュールを設け、該プログラマブルコントローラボードモジュールを上記中央演算処理ユニットに装着可能に構成したことを特徴とするプログラマブルコントローラ。」(請求項1)と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−324722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、ビルディングブロックタイプのPLCは、様々な機能を持つモジュールと呼ばれる単位の機器を自由に組み合わせて、使用者が必要とする制御システムを構築するのに適している。
【0008】
PLCに限らず、一般的な製品にはシリーズという概念があり、その製品シリーズが市場へ供給される期間が永久に続くことは稀である。特に、PLCのようにICなどの電子部品にて構成されている製品では、電子部品の技術革新のスピードが速いため、数年で製品のラインナップが一新される傾向にある。また一般に、新旧シリーズ間の製品仕様は異なることが多く、たとえば、処理速度が向上したり、製品の設置面積を少なくする目的で製品の大きさが数分の一になったりすることが数多くある。
【0009】
一方ここで、PLCを使う側の立場になって考える。ユーザが「シリーズX」というPLC製品群で制御システムを構築しているときに、何らかの理由によりPLC製品群をリニューアルしなければならなくなった場合、「シリーズX」がすでに生産中止されていて、後継製品として「シリーズY」が市場へ供給されているということがあり得る。「シリーズX」と「シリーズY」両シリーズ間で、ラダープログラムなどの機能的な互換性が保たれていることは多い一方で、製品寸法が異なっていたり、PLCの演算機能を実現する内部処理速度が大幅にスピードアップされていたりする。そのため、「シリーズX」で構築されたPLCシステムへ「シリーズY」のモジュールをそのまま使用できないという問題がある。この問題は、新シリーズへの更新に伴う多額のコスト負担をユーザへ強いることになったり、リニューアル作業期間に生産設備が長期間使用できないことが起こったりする。そのため、ユーザの機会損失を招くなどの恐れがある。
【0010】
特許文献1では、シリーズの異なるモジュールを組み合わせて使用することは、考慮されていない。
【0011】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、シリーズの異なるプログラマブルコントローラにおいて、旧シリーズのモジュールを新シリーズの製品と組み合わせてそのまま使用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、この課題を解決すために、新旧シリーズ間で設置面積が相違しないように、新シリーズのベースユニット寸法を旧シリーズと同一寸法とし、新旧シリーズのI/Oモジュールをベースユニットへ装着できるようにし、新旧シリーズのI/Oモジュールが混在してベースユニットへ装着されてもCPUモジュールがそれらのI/Oモジュールを制御できるようにする。
【0013】
本願は上記課題を解決するための手段を複数備えているが、本発明のプログラマブルコントローラの一例を挙げるならば、CPUモジュールまたは基本ユニットと接続した増設制御モジュールと、I/Oモジュールとがベースユニットに接続され、前記CPUモジュールと前記I/Oモジュールとが信号の伝達を行うプログラマブルコントローラであって、前記I/Oモジュールが接続されるそれぞれのスロットには、一のシリーズ用のコネクタと他のシリーズ用のコネクタを備え、前記スロットに、一のシリーズのI/Oモジュールまたは他のシリーズのI/Oモジュールを選択して接続可能とし、前記一のシリーズ用のコネクタと接続された一のシリーズ用のデータバスと、前記他のシリーズ用のコネクタと接続された他のシリーズ用のデータバスと、データバス方向制御回路を備え、前記データバス方向制御回路の制御により、前記一のシリーズ用のデータバスと前記他のシリーズ用のデータバスとを切り替え、前記スロットに接続された一のシリーズのI/Oモジュールまたは他のシリーズのI/Oモジュールを選択して前記CPUモジュールと信号のやり取りを行い、前記一のシリーズのI/Oモジュールおよび他のシリーズのI/Oモジュールの一方は、モジュールセレクト要求信号に応答してモジュールセレクト応答信号を出力するものであり、前記データバス方向制御回路は、前記モジュールセレクト応答信号の有無に応じて、前記一のシリーズ用のデータバスと前記他のシリーズ用のデータバスとを切り替えるものである。
【0014】
また、本発明のプログラマブルコントローラの他の一例を挙げるならば、CPUモジュールと、I/Oモジュールとが、ベース基板に接続されたプログラマブルコントローラであって、前記ベース基板には、一の端子と他の端子を有しており、前記一の端子または前記他の端子のいずれか一方に前記I/Oモジュールが接続され、前記CPUモジュールは、前記一の端子に信号を送信し、送信された前記信号に対して応答がある場合には、前記一の端子に接続された前記I/Oモジュールと通信し、送信された前記信号に対し応答がない場合には、前記他の端子に接続された前記I/Oモジュールと通信するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シリーズの異なるプログラマブルコントローラにおいて、旧シリーズのモジュールを新シリーズの製品と組み合わせてそのまま使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態である、プログラマブルコントローラの説明図である。
図2】一般的なビルディングブロックタイプのPLCの構成を示す説明図である。
図3】新旧シリーズのI/Oモジュール製品の外観を示す説明図である。
図4】本発明の実施形態である、新旧シリーズのI/Oモジュールが混在してベースユニットへ装着されたPLCの外観を示す説明図である。
図5】旧シリーズPLCのアクセス仕様を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態を説明する前に、一般的なPLCの使用手順や製品構成について説明する。
【0018】
図2は、ビルディングブロックタイプのPLCシステムの構成を示すもので、PLCシステムは、基本ベースユニット1、電源モジュール2、CPUモジュール3、I/Oモジュール4と呼ばれる機器で構成される。基本ベースユニット1は、電源モジュール2、CPUモジュール3、I/Oモジュール4を固定して取り付けることと、電源モジュール2から供給される電力をCPUモジュール3やI/Oモジュール4へ供給することと、CPUモジュール3とI/Oモジュール4との間で制御信号を伝達することが主な役割である。
【0019】
基本ベースユニット1には、電源モジュール2とCPUモジュール3が少なくとも1台ずつ装着される一方で、I/Oモジュール4は制御される設備の規模に応じて1台から複数台が装着される。このCPUモジュール3が装着された基本ベースユニット1を基本ユニットと呼ぶ。
【0020】
基本ベースユニット1に装着できるI/Oモジュール4の台数は10台程度が一般的である。基本ベースユニット1へ装着するI/Oモジュール4の数が、基本ベースユニット1へ装着できる台数を超える場合、増設ベースユニット10を追加し、CPUモジュール3の代わりに増設制御モジュール5を装着し、基本ユニットの基本ベースユニット1と増設制御モジュール5を増設接続ケーブル6で接続することで、増設ベースユニット10上にI/Oモジュール4の装着数を拡張できるようになっているのが一般的である。増設された増設ベースユニット10を増設ユニットと呼ぶ。
【0021】
制御規模に応じて構成されたPLCシステムは、CPUモジュール3に登録されたプログラムによって動作する。PLC使用者は、I/Oモジュール4の入力端子から取り込まれる入力情報に基づいて制御対象の次の動作を決定するための演算をしたり、逆にそれらの演算結果をI/Oモジュール4の出力端子から制御信号として伝達したりすることで制御対象の設備を制御する。これらの入出力制御信号は、CPUモジュール3内に設けられたI/Oメモリを介してI/Oモジュール4と授受される。基本ベースユニット1上に装着されているI/Oモジュールの装着位置や、I/Oモジュールが扱える入出力信号点数の情報によってI/Oメモリ内の配置を割り当てる必要があり、これを一般にI/O割付と呼び、PLC使用者がプログラミングする前に登録する。
【0022】
図3は、本発明が解決しようとする課題で述べた、PLC製品群の新旧シリーズにおいて同等の機能を有するI/Oモジュールの寸法比較について示した図である。左側の図は旧シリーズI/Oモジュール7を、右側の図は新シリーズI/Oモジュール8を示している。電子部品の小型化や高密度実装技術の向上などにより、PLC製品は年々ダウンサイジングが図られ、新旧シリーズ間の容積比では50%以下を実現しているものも少なくない。
【0023】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0024】
図4は、新旧シリーズいずれかのI/Oモジュールを合計3つ装着できるタイプの基本ベースユニット1へ、電源モジュール2、CPUモジュール3、旧シリーズI/Oモジュール7、新シリーズI/Oモジュール8が装着された様子を示す図である。この図に示されるように、I/Oモジュールが装着されるスロットには、旧シリーズI/Oモジュール7か新シリーズI/Oモジュール8のいずれかが装着されるスロットと、いずれのシリーズのI/Oモジュールも装着されないスロットが存在する。
【0025】
図1は、本実施例の基本ベースユニット1を構成するコネクタや信号線などを図示したブロック図であり、破線部は新旧いずれかのI/Oモジュールが装着されるスロットを示している。
【0026】
ベース基板20には、電源モジュール2が装着されるコネクタ21、CPUモジュール3が装着されるコネクタ22、旧シリーズのI/Oモジュールが装着されるコネクタ23、新シリーズのI/Oモジュールが装着されるコネクタ24が設けられている。また、旧シリーズI/OモジュールとCPUモジュール3間で情報を授受するための旧シリーズI/Oデータバス25、新シリーズI/OモジュールとCPUモジュール3間で情報を授受するための新シリーズI/Oデータバス26、CPUモジュール3の制御に基づいて、旧シリーズデータバス25と新シリーズデータバス26の入出力方向を切り替えるデータバス方向制御回路27、CPUモジュール3と新旧シリーズI/Oモジュール間で情報を授受するためのアドレスデータ混合データバス28、CPUモジュール3がI/Oモジュールと情報をやり取りする際に指定するアドレス信号をデコードし、各スロットに対するアクセスなのかを示すモジュールセレクト要求信号(MS信号)30〜32を生成するデコーダ29が設けられている。33は旧シリーズI/OモジュールとCPUモジュール3間で使用されるモジュールセレクト応答信号(MSACK信号)である。
【0027】
図5は、旧シリーズPLCにおけるCPUモジュールとI/Oモジュール間でのアクセス仕様を示すタイムチャートである。CPUモジュールがI/Oモジュールの情報を受け取る場合はリードアクセス、逆に、CPUモジュールがI/Oモジュールへ情報を渡す場合をライトアクセスである。図において、左側がリードアクセスを、右側がライトアクセスを示している。
【0028】
旧シリーズのCPUモジュールは、I/Oモジュールへリード/ライトアクセスする場合、アクセスしたいスロットに該当する要求信号MS_N信号をLowアクティブにしつつ、I/Oメモリ内の所定のアドレスをアドレスバスへ出力する。該当するMS_N信号に装着されたI/Oモジュールは、自身へのアクセスであると判断すると、応答信号MSACK_N信号をCPUモジュールへ出力する。このような手順によってCPUモジュールとI/Oモジュールはお互いの状態を確認しつつ情報をやり取りしている。
【0029】
一方、新シリーズのCPUモジュールとI/Oモジュール間では、旧シリーズで使用されている応答信号MSACK_N信号に該当する制御信号は実装されておらず、一般的な非同期アクセスの手段を用いて情報をやり取りしている。
【0030】
本実施例では、この新旧シリーズ間におけるハンドシェイク手段の違いを吸収して、新シリーズのCPUモジュールが、新旧シリーズのI/Oモジュールが混在した状態で情報をやり取りできるようにするための方法について図1および図4を用いて説明する。
【0031】
I/Oモジュールが装着される、左から1番目のスロットに旧シリーズI/Oモジュール7、2番目のスロットに新シリーズのI/Oモジュール8、3番目のスロットにはI/Oモジュールが装着されていない状況で、基本ベースユニット1上の動作を説明する。
【0032】
CPUモジュール3が1番目のスロット(スロット0)に装着されたI/Oモジュールから情報を受け取る場合、CPUモジュール3はアドレスバスにI/Oアドレスを出力し、さらにスロット0のMS信号30をアクティブにする。スロット0には旧シリーズI/Oモジュール7が実装されているため、ある時間経過すると、旧シリーズI/Oモジュール7からMSACK信号33がアクティブになる。データバス方向制御回路27は、MSACK信号33がアクティブになったことを検知すると、スロット0に旧シリーズI/Oモジュールが装着されていると判断して、旧シリーズI/Oデータバス25に出力されるデータがアドレスデータ混合データバス28へ接続されるように制御されて、旧シリーズI/Oモジュール7のデータがCPUモジュール3へ伝達される。
【0033】
一方、CPUモジュール3が2番目のスロット(スロット1)に装着されたI/Oモジュールから情報を受け取る場合、CPUモジュール3はアドレスバスにI/Oアドレスを出力し、さらにスロット1のMS信号31をアクティブにする。ある時間が経過しても、MSACK信号31がアクティブにならないため、データバス方向制御回路27は、スロット1には新シリーズI/Oモジュールが装着されていると判断して、新シリーズI/Oデータバス26に出力されるデータがアドレスデータ混合データバス28へ接続されるように制御されて、新シリーズI/Oモジュール8のデータがCPUモジュール3へ伝達される。
【0034】
図1においては、CPUモジュールを備える基本ベースユニットについて説明したが、増設制御モジュールを備える増設ベースユニットについても、同様に適用できる。
【0035】
本実施例では、CPUモジュールと、I/Oモジュールとがベースユニットに接続され、前記CPUモジュールと前記I/Oモジュールとが信号の伝達を行うプログラマブルコントローラであって、前記I/Oモジュールが接続されるそれぞれのスロットには、一のシリーズ用のコネクタと他のシリーズ用のコネクタを備え、前記スロットに、一のシリーズのI/Oモジュールまたは他のシリーズのI/Oモジュールを選択して接続可能とした。そのため、シリーズの異なるプログラマブルコントローラにおいて、旧シリーズのモジュールを新シリーズの製品と組み合わせてそのまま使用することができる。
【0036】
また、モジュールセレクト応答信号の有無に応じて、データバス方向制御回路により、一のシリーズ用のデータバスと他のシリーズ用のデータバスとを切り替え、スロットに接続された一のシリーズのI/Oモジュールまたは他のシリーズのI/Oモジュールを選択してCPUモジュールと信号のやり取りを行うようにしたので、何れのシリーズのI/Oモジュールが接続されたかの検出が容易である。
【実施例2】
【0037】
実施例1は、応答信号MSACK信号の有無によって、新シリーズのI/Oモジュールが接続されたか旧シリーズのI/Oモジュールが接続されたかを検出するものであるが、実施例2は、スロットに設けたコネクタにI/Oモジュールの接続を検出する接続検出手段を設けるものである。
【0038】
新シリーズ用のコネクタ24と旧シリーズ用のコネクタ23の一方または両方に、I/Oモジュールが接続されたか否かを検出する接続検出手段を設ける。接続検出手段としては、電気的なスイッチ手段、光学的な検出手段などの何れの手段でも良い。
【0039】
データバス方向制御回路は、接続検出手段からの検出信号により、新シリーズのI/Oモジュールと旧シリーズのI/Oモジュールの何れが接続されているかを判断し、実施例1と同様に、新シリーズ用のデータバス26と旧シリーズ用のデータバス25とを切り替えてアドレスデータ混合データバス28へ接続する。
【0040】
本実施例によれば、スロットに設けたコネクタにI/Oモジュールの接続を検出する接続検出手段を設けたので、何れも応答信号MSACK信号を有しない、2つのシリーズを組み合わせて使用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 基本ベースユニット
2 電源モジュール
3 CPUモジュール
4 I/Oモジュール
5 増設制御モジュール
6 増設接続ケーブル
7 旧シリーズI/Oモジュール
8 新シリーズI/Oモジュール
10 増設ベースユニット
20 ベース基板
21 電源モジュールコネクタ
22 CPUモジュールコネクタ
23 旧シリーズI/Oモジュールコネクタ
24 新シリーズI/Oモジュールコネクタ
25 旧シリーズI/Oデータバス
26 新シリーズI/Oデータバス
27 データバス方向制御回路
28 アドレス/データ混合バス
29 デコーダ
30,31,32 モジュールセレクト要求信号(MS信号)
33 モジュールセレクト応答信号(MSACK信号)
図1
図2
図3
図4
図5