(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書における説明では、本発明の実施形態の十分な理解を提供するために、構成要素、材料、部分、構造および/または方法の例等の多数の具体的な詳細が提供される。然しながら、当業者であれば、本発明の一実施形態は、これらの具体的な詳細のうちの1つまたは複数がなくても実施することができるし、他の装置、システム、方法、構成要素、材料、部分、構造等を用いて実施することもできることを認識するであろう。それ以外の場合には、よく知られた構成要素、材料、部分、構造、方法または動作は、本発明の実施形態の態様を不明瞭にしないように、詳細に図示も説明もされていない。加えて、図は、本質的に代表的なものであり、それらの形状は、いずれの要素の正確な形状も正確なサイズも示すことを意図しておらず、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0018】
当業者であれば、図面内の要素または部分が、別の要素「上に(on)」ある(または別の要素に「接続されている」または「結合されている」または「取り付けられている」)として言及されるとき、その要素または部分が、その別の要素の上に直接ある(またはその別の要素に直接取り付けられている)可能性もあるし、介在する要素が存在する場合もあることを理解するであろう。さらに、「内部」、「外部」、「上側」、「上」、「下側」、「真下」、「下」、「下方」、「上方」、「に向けて」および「から離れて」等の相対的な用語並びに同様の用語は、本明細書においては、或る要素の、別の要素に対する相対的な関係を記述するのに用いられる場合がある。これらの用語は、図に示す向きに加えてデバイスの異なる向きも包含することを意図していることが理解される。
【0019】
様々な要素、構成要素、部分、領域、層、チャンバーおよび/またはセクションを記述するのに、第1、第2等の用語が本明細書において用いられる場合があるが、これらの要素、構成要素、部分、領域、層、チャンバーおよび/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、或る要素、構成要素、部分、領域、層、チャンバーまたはセクションを別の要素、構成要素、部分、領域、層、チャンバーまたはセクションと区別するのに用いられているにすぎない。そのため、以下で論述する第1の要素、第1の構成要素、第1の部分、第1の領域、第1の層、第1のチャンバーまたは第1のセクションは、本発明の教示から逸脱することなく、第2の要素、第2の構成要素、第2の部分、第2の領域、第2の層、第2のチャンバーまたは第2のセクションと呼ぶこともできる。
【0020】
加えて、図に示された要素は、本質的に概略であり、それらの形状は、デバイスの要素の正確な形状を示すことを意図しておらず、本発明の範囲を限定することを意図していない。さらに、本明細書において提示された本発明の実施形態の論述に基づくと、当業者であれば、図面内の構成要素の位置および/または構成は、異なるサイズ、異なる形状、異なる位置および/または異なる構成に変更することができることを認識するであろう。従って、図面に示された様々な構成要素は、図面に示されたとおりの構成と異なる他の位置に配置することができる。図面内の構成要素は、本発明の実施形態の機能を説明することを目的として、非限定的な例示の位置に示され、図面内のこれらの構成要素は、他の例示の位置に構成することができる。
【0021】
本発明の一実施形態による帯電デバイスモデル事象監視システム(または装置)は、一般に、半導体ツール処理チャンバーが、本質的には、周囲の金属エンクロージャ要素に起因して比較的高い電気雑音レベルを有するエコーチャンバーであることを考慮して開発された。
【0022】
実際面では、各ツールは、静電気放電事象によって引き起こされる内部電磁場放射を反射する際に固有の特性(例えば、EMIランドスケープ)を有する。CDM事象についての一般的なシナリオは、帯電ICデバイスが、異なる電位のツールまたはプロセス要素と接触したときに放電されるということである。誘電体ギャップ(通常は空気)を横切るこの放電は、異なる電位によって形成されたダイポールを崩壊させるか、或いは、帯電IC部分とツール部分との間に形成されたキャパシターを崩壊させる。本発明の一実施形態は、ESD事象モニターも提供する。このESD事象モニターは、本明細書において「ミニパルス」またはミニパルス検出器またはESD検出器とも呼ばれる。このモニターは、例えば、ワークステーション、電子機器生産ツール、プロセスおよびモバイルアプリケーション用の低コストの事象モニターである。その結果得られる放射パルス電磁波形(放射信号)は、例えば、ミニパルス検出器と、このミニパルス検出器に通信可能に結合されたアンテナとによって検出される。このパルス波形の検出された場の電圧レベルが、帯電デバイスモデル事象シミュレーター(CDMES)機器を用いて較正された閾値を越えている場合、ミニパルス検出器は、重大なCDM事象を登録する。
【0023】
CDM事象は、例えば、電磁場の短い(通常、約4ナノ秒未満の)継続時間の変化によって特徴付けられ、高いスルーレートを有する誘導電圧(誘導電流)立ち上がり信号をアンテナに生成する。従って、ツール内ESD監視に関して、用いられる検出システムは、対象となるCDM信号をエコーチャンバー環境内の一般的なツール雑音と区別すべきである。
【0024】
本発明の様々な実施形態によれば、ESD検出器のための較正方法が提供される。例えば、当該技術分野で知られているCDMESデバイス等の好適な機器を用いて、CDM事象をシミュレーションすることができ、その場合、較正方法が、本発明の一実施形態に従って実行される。例えば、CDM事象の現場での監視は、実際のツール内でICデバイスが導電性ツール要素と接触するポイントにおける一群のスパークギャップ放電をシミュレーションすることによって容易になる。崩壊する帯電キャパシター放電は、所与のICデバイスについて事前に選択された電圧閾値におけるCDM事象をシミュレーションする。この手順が完了すると、ツールは、指定レベルにおけるIC CDM ESD事象検出用に較正されていると言うことができる。
【0025】
既知の、または今後開発される種々のタイプのCDMESデバイスを用いて、CDM事象をシミュレーションすることができ、本発明の一実施形態による較正方法が、CDM事象または種々の放電エネルギーをシミュレーションした後に実行される。
【0026】
CDMESは、幾つかの実施形態では、放電ギャップ内のオープン移動電極または水銀若しくはRFリレー若しくは高電圧RFリレー、例えばリードリレーを有するデバイスとして構成されている。
【0027】
CDM事象のシミュレーションされた放電は、監視デバイス(ミニパルス)の受信アンテナにおいてインターセプトされて検出される信号を生成する。ミニパルスアンテナ(マイクロESDアンテナ)は、ミニパルスに結合され(
図3b参照)、ミニパルスが、ESD事象に起因する波形を受信することを可能にしている。CDMES放電電圧および/または予想されるCDM事象発生源に対するミニパルスアンテナの位置を変更することによって、ミニパルスを現場で較正することができる。
【0028】
従って、CDMESは、帯電デバイスがソケットに接近または接触しているときの放電発生と同様の既知の放射スパークを生成する帯電デバイスシミュレーターである。このCDMESは、ミニパルスを較正するのに用いられる。DC電源がCDMESに結合され、任意の好適な電源電圧値(例えば、100V、200V、500Vまたは他の値)が、CDMES内に駆動される。ESD事象がシミュレーションされるとき、アンテナは、CDMESが生成した放電から波形を検出し、ミニパルスは、アンテナによって検出された波形を捕捉して処理する。CDMESが生成した放電に起因する波形の一例は、例えば、
図1bに示されるように、また、以下でも論述されるように、オシロスコープにおいて観測される。
【0029】
較正プロットおよび既知の製品CDM障害閾値に基づくと、ESD閾値電圧レベルをミニパルス検出器用にセットアップ(または別の方法で構成)することができる。CDM事象がツール内の実際のIC放電事象の閾値レベルを越えている場合、ミニパルスからの出力アラーム信号が生成され、ツール制御システムに送信することができる。
【0030】
CDM事象シミュレーターは、CDM事象が発生するツールおよびプロセスの内部でESDモニター(検出器)を較正することを可能にするように設計されている。このシミュレーションデバイスは、生産デバイスが最も脆弱であるとともにESD監視センサーが配置されているポイントにおいて生成される種々の電圧振幅の較正されたCDM事象の生成を可能にする。この手法は、損傷を受け易いデバイスのための最高レベルの操作安全性を可能にする。
【0031】
CDM事象シミュレーター(CDMES)
ICデバイスは、通常、様々なデバイス入力接続部および出力接続部における放電をシミュレーションするように設計された形式的なテストベッドおよび機械における障害閾値について特徴付けられる。この情報は、デバイス製造およびシステム統合の全ての段階の間のリスクを評価するのに用いられる。本発明の一実施形態では、ESD事象監視デバイスおよび障害閾値情報をCDM事象シミュレーター(CDMES)とともに用いることによって方法が提供される。
【0032】
例えば、半導体、ディスクドライブ、FPD、自動ICハンドリングおよび他の製造プロセスのホストにおける多くのアプリケーションが、直接放電(ICピンと接地導体との間の静電気放電)が発生する可能性があるロケーションにおいて損傷を受け易い製品を取り扱っている(一例として
図1a、1b参照)。
【0033】
監視するポイント(またはエリア)におけるCDM事象をシミュレーションすることは、実際の帯電デバイスの使用を試みるときに課題を提起してきた。この難題の一部分は、放電事象自体の再現性に関係している。他の難題は、プロセスポイント自体の材料および構成によって放射電場波形に課される条件に起因して存在する。CDM事象シミュレーターの2つのバージョンは、特徴付けられていないロケーション条件を考慮に入れたプロセスポイントにおける再現可能なCDM較正事象を提供する(CDM事象シミュレーターバージョン1の全体像は
図2に示されている)。
【0034】
本明細書において論述されるシステムおよび方法(様々なCDMESおよびミニパルス検出器を有する)は、ツールまたは処理チャンバーにおいて用いることができ、また、ESD検出器を較正する目的で、較正されたCDMが放射(生成)および検出されるオープンワークベンチ、任意のテーブルトップ、実際の環境または他の任意の好適な環境においても用いることができることにも留意されたい。
【0035】
CDMESバージョン1:CDM事象を生成する機械的ギャップ
CDM事象シミュレーター(CDMES)の第1のバージョンは、機械的ギャップ制御を用いて、崩壊するキャパシター事象をシミュレーションし、帯電ICと、異なる電位にある対象物(ターゲット)または接地基準のいずれかとの間で発生する静電気放電をシミュレーションする。具体的には、この実施形態は、デバイスと接地との間の転送電流の高速単一ピークパルス波形によって特徴付けられる帯電デバイスモデル(CDM)放電タイプをモデル化する。CDMES電源回路は、高抵抗(例えば、約100メガオーム以上まで)を組み込んで、ギャップ間の電圧が高くなる(約25V〜約3000Vの範囲)とともに、印加電流がこの範囲にわたって10マイクロアンペア未満となるようにしている。
【0036】
静電気放電は、任意の帯電接触および一般的な接地接触について発生する(
図1a、1b参照)。従って、CDMESが電源電圧によって帯電しているとき、CDMESは、オシロスコープによって検出可能であるとともにオシロスコープにおいて再現されるパルス波形を生成するESD事象をシミュレーションすることになる。
【0037】
オシロスコープ上に再現されるようなCDMパルスは、電流パルス波形のグラフであり、全ての標準規格文書(IEC61000-4-2、ISO10605、JESD22-C101E)において参照されるこれまでのCDM波形に対応する。生成された波形は、形式的なデバイステスト機械(例えば、上記標準規格の文献参照)がデバイスESD感受性を評価するのに用いる入力CDMパルス波形にも対応する。
【0038】
図2は、外部のHVPS(高電圧電源)205およびスコープ210に電気的に結合された放電ヘッド202を有する帯電デバイスモデル事象シミュレーター200の全体像である。
【0039】
図3aは、CDMESがトリガーされたときに生成される放電電流パルスを表す一般的なCDMESパルス波形である。オシロスコープスクリーンショット300のこの例では、例えば、HVPS205からの約100Vの電圧放電は、CDMESをトリガーして、波形310の一般的な電流パルス305を生成する。この一般的な電流パルス305は、放電が2つの導電性部分の間でスパークの形態で生じる静電気事象を引き起こす。
【0040】
図3bは、帯電デバイスモデル事象シミュレーター352(またはCDMES352若しくはCDMESユニット352)を備えるシステム350(または装置350)の図であり、システム350は、本発明の一実施形態による、ESD事象検出器355のための較正方法も提供するように構成されている。従って、
図3bは、ミニパルスESD事象検出器355のためのCDMES ESD較正を描写したものを示している。CDMES352によって実行されるESDシミュレーションおよびESD事象検出器355のための較正方法は、実際のツールまたは処理チャンバー362(現場)において行うことができる。一方、上述したように、CDMESの実施形態は、代わりに、ESD検出器を較正する目的で、較正されたCDMが生成および検出されるオープンワークベンチ、任意のテーブルトップ、実際の環境または他の任意の好適な環境において用いることができる。
【0041】
図2を参照して同様に論述されるように、CDMES352は、HVPS205およびスコープ210と結合されている(そして、これらとともに動作する)。CDMES352は、電圧をCDMES352に供給するための電源205に電気リンク266(例えば、ケーブル)を介して電気的に結合されている。CDMES352は、以下で更に論述されるように、CDMESデバイス352によって生成される出力信号(電流パルス)(
図3aにおける出力信号310参照)を検出および測定するオシロスコープ210にも電気リンク267(例えば、ケーブル)を介して電気的に結合されている。トリガーボタンが押下されると、CDMES352(CDMESユニット352)は、HVPS205からの電圧および内部のESD事象生成メカニズムを用いて、電流パルス事象を生成する。
【0042】
(CDMES352の)放電ヘッドは、HVPS205からの電圧によって帯電する。アンテナ382(ESD検出器355に結合されている)は、CDMES352内で生成された放電事象の放射380(または電磁波380)をインターセプトする。アンテナ382は、放射380における種々の放電エネルギーを検出するように構成されている。同様に上述したように、CDMES352および対応する要素(例えば、HVPS205、スコープ210およびESD検出器355)の使用によるESD事象のシミュレーションは、チャンバー362内で実行することもできるし、チャンバー362の外部で実行することもできる(すなわち、ESD検出器355を較正する目的で、較正されたCDMが生成および検出されるオープンワークベンチ、任意のテーブルトップ、実際の環境または他の任意の好適な環境において実行することもできる)。
【0043】
アンテナ382は、CDMES352の放射要素(放電ヘッド)の軸に沿っているとともに、この放射要素に対して垂直であるので、
図3bのこの図面は、NULL場の方向への放射380を示している。いずれの信号も反射に大きく起因している。CDMES352が、約90度CCWに回転された場合、信号は大きな影響を受ける。
【0044】
CDMES352は、通常のデバイスハンドリングが行われるポイントで放電され、デバイスCDM放電事象をシミュレーションする。ESD検出器355(ミニパルス355)は、ツール制御システムにESD事象を通知するリレー出力を有する。
【0045】
ESD検出器355内のゲート検出入力は、ミニパルス355のESDトリガー閾値レベルをセットアップするのに利用することができるテストポイントである。ここで、ESDトリガー閾値レベルは、対象となるESD事象を区別するものである。
【0046】
ESD検出器355のリレー出力は、(ミニパルス355の)ミニパルスアラームステータスを監視するのに用いることができる。このリレー出力は、例えば、ミニパルス355からの可聴アラーム音響と同時に接地に引き込まれるオープンコレクタードライバーである。
【0047】
ミニパルス検出器355(
図3b)を較正するプロセスの間、様々な供給電圧値(例えば、約20V、約100V、約500Vまたは他の値)およびCDMES352の崩壊するキャパシターによって、ユーザーは、所望のESD事象の強度をシミュレーションすることが可能になる。
【0048】
本明細書において本発明の一実施形態で開示されたCDM較正のこの方法は、以下のうちの1つまたは複数とすることができる複数の実現可能な利益を有する。
・ESDセンサーを、検査室での較正または粗い近似ルーチンを通じてだけでなく、それらのセンサーが用いられるツールおよびプロセス内で較正することが可能である。
・現場でのCDMシミュレーションが、センサー較正に影響を与える可変の条件を自動的に考慮する。
・高い繰り返し事象シミュレーションを容易にすることによって、ESDセンサーの有効性の統計的な検証が可能になる。
・ツール開発プロセスの間にデバイスハンドリングツールをCDM放電事象用に較正することが可能になる。
・適所でのESD検出器の定期的な較正が可能になり、検査室での較正に備えてツールまたはプロセスから検出器を取り外す必要性がなくなる。
【0049】
CDMESのこのバージョンの主な利点は、以下のうちの1つまたは複数を含む。
・より小さな放射アンテナによって、より制約されたツールスペースでの使用が可能になる。
・CDMがシミュレーションする事象は、CDMESの第1のバージョンの手動トリガーインターフェースの除去に起因して変動が少ない(すなわち、トリガーは、離散時間スイッチを用いて行われる)。
【0050】
ESD事象検出器
半導体、ディスクドライブ、FPD、自動ICハンドリングおよび他の製造プロセスのホストにおける多くのアプリケーションが、直接監視/制御するのが困難なロケーションにおいてESDによる損傷を受け易い製品とともに動作する。加えて、これらの環境の多くは、それらの性質によって、HVDC供給源、電気モーターおよびアクチュエーターから広帯域通信(RF)ユニットに及ぶEMI雑音発生源で飽和している。製品ハンドリングに関係した特定のポイントにおいてESD事象を検出することは、困難なものになる可能性がある。
【0051】
新規なESD事象検出器の4つの主な特徴は、以下のとおりである。
1.パルススルーレートおよびナノ秒の範囲の継続時間によるESD検出の制御。「ミニパルス」検出器355(
図3b)は、異なるパルス事象タイプを弁別することができる。これによって、この検出器は、他のEMI(電磁妨害または電磁放出)パルスパケット信号(例えば、モーター、スイッチングデバイス、携帯電話、テレビ、WiFi、環境雑音等からの信号放電)から有効なESDタイプの事象を決定および選択することが可能になる。従って、ミニパルス検出器355は、ESDパルス事象が、選択されたパルス事象閾値内に収まるか否かを判断し、ミニパルス検出器355が、そのESDパルス事象が、機械モデルおよび人体モデルの代わりにCDM帯電デバイスモデルに含まれるか否かを判断することができるようにする。当業者に知られているように、帯電デバイスモデル、機械モデルおよび人体モデルにおけるESD事象は、抵抗因子、キャパシタンス因子およびシグネチャが異なる。ミニパルス検出器355の一実施形態は、CDMタイプのESD事象、HBMタイプのESD事象およびMMタイプのESD事象の間の相違を実際に示していないが、ミニパルス検出器355は、トリガー閾値を越えた信号振幅と、パルス事象が時間バッファー内に収まっている(すなわち、パルスとして適格である)か否かとに基づいてトリガーの有効性を判定する。
【0052】
2.調整可能な放電エネルギー閾値制御。距離に伴う電磁場減衰に起因して、多くのより広いエリアのESD事象は、局所的な事象振幅(例えば、1ボルト、100ボルト、500ボルトまたは他の値の閾値)に整合するように電圧感度閾値を調整することによってフィルタリング除去することができる。
【0053】
3.ここでは、本発明の一実施形態によるESD検出方法を論述する。ESD事象は電磁パルスを生成する。このパルスは、形式的には、発生源から外方に球状に放射する電磁放射フラックス密度として記述され、放射エネルギーは、波が発生源から進行して遠ざかるにつれて減少する。ミニパルス355は、この拡大する場を、誘導場結合を通じたダイポールアンテナとの相互作用によってサンプリングする。拡大する電場のエネルギーは、アンテナケーブル上に信号を生成するアンテナに結合する。ミニパルス検出器ユニット355は、ケーブル上の着信信号を復調し、様々な周波数をそれらの電力成分に分解する。ミニパルス355は、放射パルス過渡現象の組み合わさった電力(ワット)を測定して、その電力が、設定された検出閾値よりも大きいか否かを判断する。大きい場合、ミニパルス355は、対象となる事象をトリガーする。電力レベルが、検出用に設定された閾値よりも小さい場合、その事象は無視される。加えて、ミニパルス検出器355は、比較器回路(
図5、6における比較器508参照)を用いてパルス継続時間の間の着信信号もサンプリングして、そのパルスがESD事象の可能性があるものとして適格であるか否かを判断する。パルス継続時間が、CDMおよび他のESD事象(HBMおよびMM)にとって一般的な時間間隔境界内にある場合、そのパルスは、検出器をトリガーする。この検出方法は、標準的な時間領域(周波数領域に対する)信号解析とは異なる。高速広帯域幅オシロスコープを用いて行うような時間領域測定は、通常、ピーク電圧レベルを抽出する。ミニパルス355は、ESD事象信号の電力を抽出するスペクトル解析器とより類似した動作を行う。この手法の主な利点は、検出ハードウェアの経済性にある。高速サンプリングの必要性(時間領域方法と同様)は決定的ではない。信号周波数にわたる放射パルス電力は、信号電力の非常に良好な1次近似を与え、異なるESD事象振幅間で比較を行うことを可能にする。
【0054】
4.「ミニパルス」のエネルギー閾値制御感度は、取得エリアを非常に小さくする微調節を可能にする。これは、検出されるESD事象を、決定的に重要なもののみ、および/または、ユーザーに関心のあるもののみに限定する重要な態様である。
【0055】
5.アンテナ構成。特定のプロセスポイントに対するESD事象検出における別の重要な因子は、アンテナ382(
図3b)の形態および配置である。アンテナ382の物理的な利得特性は、ESD信号取得を制御する際の重大な役割を果たす。特別に設計されたアンテナ(ミニパルス検出器355に結合されている)の方向性利得の特徴は、ユーザーに関心のある所与のESD事象についてミニパルス検出器355を較正するのに用いることができる。
【0056】
6.アンテナ性能および雑音不感性。マイクロESDアンテナ382(またはマイクロアンテナ382)は、静電気放電(ESD)事象検出用に特別に設計されたものである。それらの工学的に作り出された特性によって、ESD放射エネルギーを、発生源のロケーションについて指向性をもって検出するとともに、対象でない他の近くの事象を無視することが可能になる。
【0057】
従来の技術(米国特許第6,563,316号および米国特許出願公開第2009/0167313号)および他の利用可能なESD事象監視製品を上回る本発明の実施形態の具体的な改良点
【0058】
1.復調対数増幅器505(
図5)が、検出されたESD信号からマルチ周波数増幅レベルを抽出する。これによって、「ミニパルス」355は、閾値制御のための信号レベルをより正確に弁別することが可能になる。従って、本発明の実施形態は、測定モードで動作して、信号レベルを弁別するための選択された閾値と整合した出力信号を生成する復調対数増幅器505を提供する。この技術は、市場における他の検出器製品によって用いられていない。
【0059】
2.この製品(「マイクロESD」アンテナ382)とともに用いられる特別に設計されたアンテナ382は、指定された範囲における最適な検出のための工学的に作り出された利得特性を用いるとともに、望ましくない信号発生源を排除する。このアンテナの物理次元および構成は、静電気放電(ESD)放射パルス過渡現象信号用に最適化された帯域幅である。市場における他の検出器は、不要な広帯域特性を有する標準的な多目的RFアンテナを用いる。市場における検出器によるこの手法によって、ESDパルス過渡事象と他のEMI信号発生源との間の信号分離は、非常に問題の多いものとなる。
【0060】
3.特定のタイプのESD事象を検出する現場でのESDモニター較正のための方法が現在可能である。従って、本発明の実施形態は、特定のパルス事象を検出するとともに対象でない他の信号を排除するために、ツールおよびアプリケーション(または他の特定のエリア)内に配置することができる。これとは対照的に、現在のESD事象検出器は、一般に本発明の実施形態の上述した利点を伴うことなくESD事象を検出するように設計されている。
【0061】
図3cは、本発明の別の実施形態によるシステム(または装置)388の図である。システム388は、論述を明確にする目的で上面図に示されている。
図3aにおけるシステム350に関して同様に論述したように、システム388は、静電気放電(ESD)事象監視用に構成され、帯電デバイスモデル事象シミュレーター(CDMES)ユニットを組み込んでいる。
【0062】
本発明の一実施形態では、システム388は、プロセスエリア389aに位置決めされた少なくとも1つのアンテナ382aと、アンテナ382aに結合されたESD検出器355とを備える。アンテナ382aは、CDMESユニット352からの放射380を受信するように構成されているので、アンテナ382aは、CDMESユニット352に無線で結合されている。ESD検出器355は、CDMESユニット352によって生成された種々の放電エネルギーについて較正される。
【0063】
プロセスエリア389aは、例えば、ツールプロセスエリアとすることもできるし、ツールプロセスエリアの外部のエリアとすることもできる。
【0064】
本発明の別の実施形態では、プロセスエリア(エリア389として一般的に示される)は、第1のプロセスエリア389aおよび第2のプロセスエリア389bを備える。第1のアンテナ382aは、第1のプロセスエリア382aに位置決めされ、第2のアンテナ382bは、第2のプロセスエリア389bに位置決めされている。
【0065】
本発明の一実施形態では、第1のアンテナ382aは、ESD検出器355に結合され、第2のアンテナ382bも、ESD検出器355に結合されている。本発明の別の実施形態では、第2のアンテナ382bは、別のESD検出器356に結合され、ESD検出器355には結合されていない。
【0066】
通常、第1のプロセスエリア389aは、距離391によって第2のプロセスエリア389bから分離され、第1のアンテナ382aおよび第2のアンテナ382bは、マルチチャネルを形成する。距離391は調整可能である。
【0067】
1つの実施形態では、第1のアンテナ382aおよび第2のアンテナ382bは、アンテナ応答感度を同様にすることができる。別の実施形態では、第1のアンテナ382aおよび第2のアンテナ382bは、アンテナ応答感度が異なる。
【0068】
プロセスエリア389は、1または複数のプロセスエリアから数を変更することができる。従って、3つ以上のプロセスエリアがシステム388に含まれる場合がある。
【0069】
プロセスエリア389のうちの少なくとも1つは、半導体チップ125(
図1a)を収容するように構成されたソケット373(
図3b)を備えることもできるし、複数の半導体チップを収容するように構成された複数のソケット373を備えることもできる。
【0070】
プロセスエリア389のうちの少なくとも1つは、参照符号396によって最もよく特定されるような別の実施形態では、ウェハー393を収容するように構成されたピンセット392を備えることができる。もちろん、ピンセット392は、別のタイプのウェハー処理ツール392とすることもできる。
【0071】
プロセスエリア389のうちの少なくとも1つ(またはウェハー393)は、参照符号397によって最もよく特定されるような一実施形態では、テストプローブ395によってアクセス可能な導電性トレース394を備えることができる。プロセスエリア389のうちの任意のものは、別の好適なタイプのエリアとすることができる。
【0072】
マイクロESDアンテナ
ESD放射パルス過渡現象を検出するのに用いられるアンテナは、これまで、非常に高い利得を有する標準的なアンテナとされてきた。これによって、ESD事象の検出がかなり容易になるのに対して、事象の出所を求めることが実質的に不可能になっていた。この弱点によって、従来のアンテナは、重要なプロセスの監視にほとんど用いられていなかった。
【0073】
アンテナに関係した挙動に関係する追加の背景情報を提供するために、以下の参考文献も引用する。
【0074】
1.T. J. Maloney「Easy Access to Pulsed Hertzian Dipole Fields Through Pole-Zero Treatment」(cover article, IEEE EMC Society Newsletter, Summer 2011, pp. 34-42)
2.T. J. Maloney「Antenna Response to CDM E-fields」(2012 EOS/ESD Symposium, Sept. 2012, pp.269-278)
3.T. J. Maloney「Pulsed Hertzian Dipole Radiation and Electrostatic discharge Events in Manufacturing」(2013 IEEE Electromagnetic Compatibility Magazine, Vol. 2, Quarter 3, pages 49-57)
【0075】
「マイクロESD」アンテナ382(例えば、
図3bにおけるミニパルス検出器355に結合されたアンテナ382)は、ESD事象をそれらの発生源に極めて近接して検出することのみを目的として開発されたものである。マイクロESDアンテナ382は、
図4aに例示のアンテナ405、410、415、420および/または425で示されているように、設計されたマイクロストリップアンテナの様々なバージョンのものが実施されている。これらのアンテナは、優れたESD近接場放射パルス受信を有する一方で、工学的に作り出された指向性利得特性によって他の近接場および非近接場のパルスシグネチャを拒否する。これによって、局所化された対象となるESD事象を特定する際に、他のアンテナは動作しないのに対して、マイクロESDアンテナは良好に動作することが可能になる。
【0076】
加えて、このアンテナの設計された特性によって、飽和効果によるESD検出において共通に用いられる一般的なアンテナに当てはまらない非常に幅広い信号弁別範囲(10V〜3000V)が可能になる。減衰器とともに用いられると、非常に大きなESD事象を効果的に捕捉することができる。
【0077】
ESD事象は、好ましくは、それらの予想される発生源のできるだけ近くで監視されるべきである。アンテナ設置用の通常の監視距離は、例えば、約2.54cm(1inch)から約15cm(6inch)の範囲であるが、他の距離に対応することもできる。マイクロESDアンテナ382は、信号振幅削減および検出閾値設定に起因して発生源からの距離が大きくなるとともに効率が意図的に低下する。
【0078】
図4aには、本発明の様々な実施形態による複数アンテナ構成が開示されている。ミニパルス355を複数の並存するアンテナとともに用いて、異なる場所におけるESD信号を同時にまたは別々に検出することができる。同じESD信号サンプリング方法が用いられ、唯一の相違は、複数のアンテナフィードポイント430である。これらのフィードポイント430は、ミニパルス検出器355に通信可能に結合されている。ライン伝播するESD過渡現象の性質およびアンテナケーブル配線の低い抵抗損に起因して、信号劣化は、検出および振幅弁別の目的には重要ではない。
【0079】
複数のアンテナは、ほぼいずれの構成でもダイポール構造のアレイとして展開することができる。
図4aには、5つのアンテナ405〜425が示されている。ただし、
図4aに構造化されたダイポールのアレイは、6つ以上のアンテナまたは4つ以下のアンテナを有することもできる。
【0080】
図4bは、本発明の一実施形態によるマイクロESDアンテナ組立体450を示す図である。組立体450は、ESD検出器355(
図3b)に取り外し可能に接続される電気リンク460(例えば、ケーブル460)に結合されたマイクロESDアンテナ455を備える。
【0081】
ミニパルス回路の説明
次に、
図5のブロック図および
図6の回路図を参照する。
図5は、本発明の一実施形態によるESD検出器500(ミニパルス500)のブロック図である。
図6は、本発明の一実施形態による
図5のESD検出器600内のESDモニター回路600の概略図である。ミニパルス500は、
図3bには、ESD検出器355としても示されている(説明されている)。
【0082】
ミニパルス500は、時間領域においてEMI事象を解析することと、或る特定の電磁エネルギーのパルス静電気放電を検出する閾値弁別とによる2次元アルゴリズムを用いる。監視されている対象物に対する特定のアンテナ構成およびアンテナ配置を用いることによって、ミニパルス500は、対象となる特定の小さなエリア或いはより広いエリアカバレッジのためのESD事象検出を提供することができる。
【0083】
ESD事象信号501は、シールドケーブルに接続されて入力コネクター(例えば、入力SMAコネクター、J1)に取り付けられたアンテナ502によって検出される。信号501は、真のESD事象に特徴的である歪んだ周波数(>100MHz)を通過させ、その範囲外の信号を拒絶するように調節された入力フィルター/積分器503(例えば、6次ハイパスフィルター)によって処理される。(フィルター/積分器503からの)フィルタリングされた信号501は、次に、対数増幅器505(U2)に渡される。この対数増幅器は、非常に高速の6段階復調対数アンプ(アナログデバイスAD8310)である。対数増幅器の出力信号506(U2の出力信号506)は、静止電圧(入力信号なし)が約2.5Vであるという点において反転される。この回路がフィルタリングした着信信号506は、電力、継続時間および振幅によって弁別される。
【0084】
入力ESD事象信号の強度が強いほど、対数増幅器の出力電圧506(U2の出力電圧506)は低くなる。通常、この信号506は、約2.5ボルトと約1.0ボルトとの間の範囲にある。出力電圧506(U2の出力電圧506)は、次に、超高速比較器508(U3)(アナログデバイスAD8561)を用いて、事前に設定されたDC電圧507(TP_Comp507)と比較される。
【0085】
出力電圧506(U2の出力電圧506)は、約1.5ボルトの振れに圧縮されるので、TP_Comp507は、分離回路(
図5におけるレベル設定ブロック510)によって生成され、容易に設定可能なアラームレベルが提供される。約2.0ボルトの最大TP_Comp電圧507は、R12ポテンショメーターと、TP2において検査することができるQ4 NPN電圧発生源とによって設定される。約1.0ボルトの最小TP_Comp電力507は、ポテンショメーターR10によって設定され、TP1において検査することができる。ポテンショメーターR13は、その後、その機械的範囲全体にわたって調整されて、対数増幅器505の出力範囲に整合する約2.0ボルトと約1.0ボルトとの間のTP_Comp507を生成することができる。
【0086】
比較器(AD8561)508であるU3が、(「+」または正の入力上の)TP_Comp507未満に下がる(「−」または負の入力上の)信号を検出した場合、ネガティブトゥルー状態が瞬間的に比較器508の出力上に生成される。このパルスは、次に、一対のワンショットマルチバイブレーターであるU4aまたはU4bに渡される。U4aは、オンにクロック制御され、Q=真となる(J入力は真であると仮定する)。U4aのワンショットがリセットするとき(R11*C13タイムアウトに起因して約250nSec)、U3の出力は単一の十分に高速のパルスであるので、U3の出力がハイ(high)を返した場合にのみ、第2のワンショットU4bは、Q=真に設定される。パルスが過度に長く、例えば、対象となるESD事象でないことを示す500nSecよりも長い場合、そのパルスは無視される。
【0087】
従って、パルスが、対象となるESD事象であると判断されただけで、U4bは、Q=真に設定される。アラーム状態は、例えば、可聴音、視覚的な赤色LEDおよびオープンコレクター出力が「ON」にトリガーされることによって示される。
【0088】
ミニパルス500(
図5)の以下のブロック図および概略は、その基本動作要素を示している。直接または同軸ケーブル若しくは3軸ケーブルを介してリモートに取り付けることができるアンテナ502は、EMI信号(例えば、信号501)を検出する。アンテナ502は、例えば、アンテナ382(
図3b)と同じタイプである。EMI信号は、対象となる周波数レンジにある信号のみを検出するように処理される。所望の信号は、非常に大きなダイナミックレンジを有するので、対数アンプ505は、使用可能な信号506を生成するように増幅を行う。次いで、信号506が高速比較器508に渡され、この比較器において、この信号は、所定の閾値電圧レベル507と比較される。次いで、この閾値507を越えている信号は弁別器512に渡され、この弁別器は、対象となるEMIパルスの時間定義を満たす信号を除く全ての信号を無視する。この弁別器/生成器512は、EMIパルスの傾斜を調べることによって、EMIパルスが有効な事象であるか否かを判断する。回路512は、トリガーされるとパルス514を生成する。このパルスは、EMI事象を聴覚的、視覚的(例えば、聴覚および/または視覚インジケーター515を介して)、および、オープンコレクター出力ドライバートランジスター516を通じてリモートに示すのに用いられる。アラーム出力ドライバー516は、所定の閾値電圧レベルを越えた事象が発生したことを示すために、出力事象発生信号をツールまたはコンピューターに送信する。
【0089】
図7は、本発明の1つの実施形態において外部から見たミニパルスESD検出器355の全体像を示している。ただし、ESD検出器355は、
図7とは異なる別のタイプの構成を有することもできる。
【0090】
図8は、本発明の一実施形態によるESD検出器のための較正方法800および実施態様のフローチャートである。方法800におけるステップの順序は変更することができ、幾つかの特定のステップは、同時に実行することもできることに留意されたい。較正方法800における801において、形式的な検査室デバイスCDMテストが、ランダムにサンプリングされた候補デバイスに対して実行される。802において、ESD事象の存在の有無を監視するための重要な製造プロセスポイント(例:テスター、ハンドラー)についての決定が行われる。803において、現場でのESD事象較正プロセスは、CDM事象シミュレーター(CDMES)を用いて行われる。現場でのESD事象較正プロセスの例は、
図3bにおける装置350を参照して上記で説明している。804において、連続ESD監視プロトコルを、ミニパルスESD検出器を用いて開始し、品質コンプライアンスを保証することができる。
【0091】
ミニパルスESD検出器355が特定のデバイス耐電圧閾値について較正されるとき、この電圧閾値は、通常、そのデバイスの実際の電圧障害レベル未満の電圧レベルに設定される。例えば、デバイスが約200ボルトの実際の電圧障害レベルを有する場合、電圧閾値は、例えば、その電圧障害レベルの約50%、すなわち約100ボルト等の、200ボルト未満に設定される。この手法によって、デバイス内で発生する実際の損傷が防止される。従って、805において、許容印加電圧閾値は、テストされるデバイスタイプごとに決定される。
【0092】
808において、最小統計サンプルが、ロケーションごとのPASS/FAIL(合格/不合格) ESD事象検出の確認のために適用される。例えば、約20個若しくは30個のショットまたは他の数のショットが適用されて、正確な較正が取得される。
【0093】
806において、ESD検出器355(例えば、ミニパルス検出器)が、特定のデバイス耐電圧閾値について較正される。ブロック803、805、および/または808における手順が実行された後、次に、ブロック806における手順を実行することができることに留意されたい。
【0094】
807において、較正ショットの精度を確認するために、較正CDMES電流パルス波形が、オシロスコープの使用によって確認される。ただし、オシロスコープの使用は、較正プロセスにおけるこのステップの間、省略することもできる。
【0095】
以下の論述は、本発明の1つの実施形態における較正プロセスの上記シーケンスに関する追加の詳細を提供する。
【0096】
1.ミニパルスモニタ(ESD検出器355)のマイクロESDアンテナ382を、損傷を受け易いICデバイスが配置されるツール内のプロセスポイントの可能な限り近接したポイントに配置する。
【0097】
2.マイクロESDアンテナケーブルを、電力が供給されたミニパルスモニタ355に接続する。
【0098】
3.CDMES用のDC電源電圧を、必要とされる閾値電圧レベル(通常、ICデバイス障害閾値の約50%)に設定する。
【0099】
4.CDMESを、損傷を受け易いICデバイスの監視アプリケーション用に選ばれた指定プロセスポイントに位置決めする。
【0100】
5.ミニパルス355に必要とされるESD事象検出閾値に達するまで、ミニパルス検出閾値制御を調整しながら、CDMESをトリガーする。
【0101】
6.ICデバイス指定閾値電圧においてCDMES放電の最小統計グループ(例えば、12〜24)を生成して、ミニパルス検出器性能を検証する。
【0102】
7.CDMES DC電圧レベルの形態の成功した較正データと、統計サンプリンググループの間に成功したミニパルス検出の数と、デジタルマルチメーターを有するフロントパネルテストポイントを介したミニパルス閾値設定とを記録する。
【0103】
本発明の一実施形態による他のシステムは、他の形態を有することができ、他の方法または他の向きで配置される他の異なる構成要素を有することができることも理解される。
【0104】
上記で説明した実施形態および方法の他の変形および変更が、本明細書において論述した教示を考慮すると可能である。
【0105】
本発明の図示された実施形態の上記説明は、要約書に記載されたものを含めて、網羅的であることも、本発明を開示された正確な形態に限定することも意図していない。本発明の特定の実施形態および本発明の例が、本明細書において例示の目的で説明されているが、当業者が認識するように、様々な均等な変更が、本発明の範囲内で可能である。
【0106】
これらの変更は、上記の詳細な説明を考慮して本発明に対して行うことができる。添付の特許請求の範囲において用いられる用語は、本明細書および特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に本発明を限定するように解釈されるべきではない。それとは逆に、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって完全に決定されるべきである。特許請求の範囲は請求項解釈の確立されたドクトリンに従って解釈されるべきである。
本発明は、以下の特徴を以って実施することができる。
[特徴1]
帯電デバイスモデル事象シミュレーター(CDMES)ユニットを組み込んだ静電気放電(ESD)事象監視のための装置であって、
プロセスエリアに位置決めされた少なくとも1つのアンテナと、
前記少なくとも1つのアンテナに結合されたESD検出器と、
前記CDMESユニットに無線で結合された前記ESD検出器と、
前記CDMESユニットによって生成された種々の放電エネルギーについて較正された前記ESD検出器とを備える、帯電デバイスモデル事象シミュレーターユニットを組み込んだ静電気放電事象監視のための装置。
[特徴2]
前記プロセスエリアはツールプロセスエリアを含む特徴1に記載の装置。
[特徴3]
前記プロセスエリアは、ツールプロセスエリアの外部のエリアを含む特徴1に記載の装置。
[特徴4]
前記プロセスエリアは、第1のプロセスエリアおよび第2のプロセスエリアを備え、
前記少なくとも1つのアンテナは、前記ESD検出器に結合された第1のアンテナと、前記ESD検出器に結合された第2のアンテナとを備え、
前記第1のアンテナは、前記第1のプロセスエリアに位置決めされ、前記第2のアンテナは、前記第2のプロセスエリアに位置決めされている特徴1に記載の装置。
[特徴5]
前記第1のプロセスエリアは前記第2のプロセスエリアから分離され、前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナはマルチチャネルを形成する特徴4に記載の装置。
[特徴6]
前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナはアンテナ応答感度が同様である特徴4に記載の装置。
[特徴7]
前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナはアンテナ応答感度が異なる特徴4に記載の装置。
[特徴8]
前記プロセスエリアは半導体チップを収容するように構成されたソケットを備える特徴1に記載の装置。
[特徴9]
前記プロセスエリアは複数の半導体チップを収容するように構成された複数のソケットを備える特徴1に記載の装置。
[特徴10]
前記プロセスエリアはウェハーを収容するように構成されたピンセットを備える特徴1に記載の装置。
[特徴11]
前記プロセスエリアはテストプローブによってアクセス可能な導電性トレースを備える特徴1に記載の装置。
[特徴12]
前記ESD検出器は、
放射パルス電磁信号を検出するように構成され、異なるパルス事象タイプを弁別するように構成され、かつCDM事象が、較正された閾値を越えている場合に、該CDM事象を登録するように構成された静電気放電検出器を備える特徴1に記載の装置。
[特徴13]
前記検出器は、調整可能なパルス事象閾値に基づいて異なるパルス事象タイプを弁別するように構成されている特徴1に記載の装置。
[特徴14]
前記検出器は、パルス継続時間のような時間領域においてEMI(電磁妨害)事象を解析することと、閾値弁別を行って或る特定の電磁エネルギーのパルス静電気放電を検出することとによる2次元アルゴリズムを用いるように構成されている特徴1に記載の装置。
[特徴15]
前記検出器は、前記CDM事象の1または複数のシミュレーションに基づいて特定のデバイス耐電圧閾値について較正される特徴1に記載の装置。
[特徴16]
前記少なくとも1つのアンテナは、
前記検出器に結合されたマイクロアンテナを備え、
前記マイクロアンテナは、望ましくない信号発生源を排除するとともに、指定された範囲における最適な検出のためのアンテナ利得特性を備える特徴1に記載の装置。
[特徴17]
帯電デバイスモデル事象シミュレーター(CDMES)ユニットを組み込んだ静電気放電(ESD)事象監視のための方法であって、
放電エネルギーを検出することと、
種々の放電エネルギーについて静電検出器を較正することとを含む、帯電デバイスモデル事象シミュレーターユニットを組み込んだ静電気放電事象監視のための方法。
[特徴18]
前記検出することは、
調整可能なパルス事象閾値に基づいて、異なるパルス事象タイプを弁別することを含む特徴17に記載の方法。
[特徴19]
前記検出することは、
パルス継続時間のような時間領域においてEMI(電磁妨害)事象を解析することと、閾値弁別を行って或る特定の電磁エネルギーのパルス静電気放電を検出することとによる2次元アルゴリズムを用いることを含む特徴17に記載の方法。
[特徴20]
望ましくない信号発生源を排除するとともに、指定された範囲における最適な検出のためのアンテナ利得特性を設定することを更に含む特徴17に記載の方法。