(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有し、前記第1面側に設けられた第1導電形の第1領域と、前記第1領域の前記第1面側において、前記第1面に沿った方向に並んだ第2導電形の2つの第2領域と、を有する第2導電形の半導体基板と、
前記半導体基板の第1面側において、前記2つの第2領域の間の前記第1領域の一部の上に設けられた制御電極と、
前記第1面側において前記半導体基板上に選択的に設けられ、前記第1領域を囲む第1絶縁層と、
を備え、
前記第1領域は、前記2つの第2領域が設けられた主部と、前記主部から前記第1面に沿って外側に延出し、前記第1面からの深さが前記主部の前記第1面からの深さよりも浅い周縁部と、を有し、
前記周縁部は、前記第1絶縁層に接し、前記主部の表面における第1導電形不純物の濃度よりも低い第1導電形不純物の濃度を有する半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
以下の実施例は例示であり、各実施形態は、これらに限定される訳ではない。以下の例では、第1導電形をN形とし、第2導電形をP形として説明するが、別の実施例では、第1導電形をP形、第2導電形をN形としても良い。また、各実施例に記載された要素は、技術的に可能であれば、他の実施例に適用されても良い。
【0010】
[第1実施形態]
図1(a)および(b)は、第1実施形態に係る半導体装置1の一部を示す模式図である。
図1(a)は、
図1(b)中に示すA−A線に沿った部分断面図である。
図1(b)は、半導体装置1の上面図である。
【0011】
半導体装置1は、例えば、半導体基板10と、制御電極(以下、ゲート電極20)と、を備える。半導体基板10は、例えば、P形シリコン基板であり、第1面10Fと、第2面10Bと、を有する。
【0012】
図1(a)に示すように、半導体基板10は、第1面10F側に設けられたN形の第1領域(以下、N形ウエル13)と、N形ウエル13の第1面10F側において、第1面10Fに沿った方向(Y方向)に並んだ2つの第2領域(以下、ソース領域31およびドレイン領域33)と、を有する。ソース領域31およびドレイン領域33は、N形ウエル13のN形不純物よりも高濃度にドープされたP形不純物を含む。
【0013】
ゲート電極20は、第1面10F側において、ソース領域31とドレイン領域33との間のN形ウエル13の一部(以下、チャネル領域13c)の上に設けられる。チャネル領域13cとゲート電極20との間には、ゲート絶縁層21が設けられる。
【0014】
半導体装置1は、半導体基板10の第1面10F側に設けられた絶縁層(以下、Shallow Trench Isolation:STI)をさらに備える。STI23、25および27は、それぞれ第1面10Fから−Z方向に所定の深さを有するように設けられる。STI23、25および27のそれぞれの深さは、N形ウエル13の第1面10Fからの深さよりも浅く、P形ウエル15の第1面10Fからの深さよりも浅い。
【0015】
図1(b)に示すように、STI23は、N形ウエル13の上に選択的に設けられ、チャネル領域13c、ソース領域31およびドレイン領域33を囲む。ゲート電極20は、チャネル領域13cの上をX方向に延びる。STI23は、例えば、ソース領域31に隣接したN形コンタクト領域17も囲む。N形コンタクト領域17は、N形ウエル13のN形不純物よりも高濃度のN形不純物を含む。
【0016】
STI25は、半導体基板10の第1面10F側に選択的に設けられ、N形ウエル13を囲む。STI25は、STI23から離間した位置に設けられ、STI23とSTI25との間には、N形ウエル13の一部が露出する。N形ウエル13は、主部13aと、周縁部13bと、を有する。主部13aには、ソース領域31およびドレイン領域33が設けられる。周縁部13bは、第1面10Fに沿って主部13aから外側に延出する。STI23とSTI25との間には、例えば、主部13aの外周部と周縁部13bとが露出する。周縁部13bは、例えば、STI25に接するように設けられる。
【0017】
STI27は、STI25を囲むように設けられる。STI27は、STI25から離間した位置に設けられ、STI25とSTI27との間には、P形コンタクト領域35が露出する。P形コンタクト領域35は、P形ウエル15の上に選択的に設けられる。P形コンタクト領域35は、P形ウエル15のP形不純物よりも高濃度のP形不純物を含む。また、P形ウエル15のエッジ15eは、STI25の下に位置する。
【0018】
図1(a)および(b)は、例えば、高電圧型のPMOSトランジスタ30を示しており、そのソース領域31、ドレイン領域33およびN形コンタクト領域には、それぞれソース電圧V
S、ドレイン電圧V
Dおよびバックゲート電圧V
BGが印加される。これらの電圧は、例えば、30V程度の高電圧である。一方、ゲート電極20には、ゲート電圧V
Gが印加され、P形コンタクト領域35には、ソース電圧V
SSが印加される。ゲート電圧V
Gおよびソース電圧V
SSは、数ボルトの低電位である。したがって、N形ウエル13とP形ウエル15の間には、高電位差が生じる。このため、N形ウエル13の絶縁耐圧が低いと、N形ウエルとP形ウエルの間のリーク電流が大きくなる。また、PMOSトランジスタ30を高電圧下で動作させることができなくなる場合がある。
【0019】
図2は、N形ウエル13のN形不純物プロファイルを示すグラフである。縦軸は、N形不純物濃度(cm
−3)であり、横軸は、基板表面(第1面10F)から−Z方向の深さ(μm)である。
図2中に示すIP
1およびIP
2は、主部13aのN形不純物プロファイルであり、IP
3は、周縁部13bのN形不純物プロファイルである。
【0020】
主部13aは、例えば、2回のイオン注入により形成される。プロファイルIP
1により表されるN形不純物は、プロファイルIP
2で表されるN形不純物よりも高エネルギーでイオン注入される。プロファイルIP
1は、プロファイルIP
2よりも深い位置にピークを有し、そのピーク濃度N
MAX1は、プロファイルIP
2のピーク濃度N
MAX2よりも高い。また、プロファイルIP
2のピークは、第1面10Fの近傍に位置する。
【0021】
図2に示すように、プロファイルIP
3は、第1面10Fの近傍にピークを有し、そのピーク濃度N
MAX3は、プロファイルIP
2のピーク濃度N
MAX2よりも低い。すなわち、N形ウエル13の周縁部13bは、主部13aの第1面10Fからの深さよりも浅い第1面10Fからの深さを有する。また、周縁部13bにおけるN形不純物濃度は、N形ウエル13におけるN形不純物の表面濃度よりも低い。
【0022】
このような周縁部13bを設けることにより、N形ウエル13の絶縁耐圧を向上させることができる。すなわち、周縁部13bは、N形ウエル13のエッジ13eにおける空乏層の広がりを助長し、エッジ13eの電界を緩和する。これにより、N形ウエル13のリーク電流を低減し、PMOSトランジスタ30を安定して動作させることができる。
【0023】
図3は、半導体装置1の一例を示すブロック図である。半導体装置1は、例えば、NAND型半導体記憶装置である。半導体装置1は、例えば、メモリセルユニット110と、ロウデコーダ120と、センスアンプ130と、電源ユニット140と、コントローラ150と、を備える。
【0024】
メモリセルユニット110は、例えば、X方向、Y方向およびZ方向に3次元配置された複数のメモリセルMCを含む。ロウデコーダ120は、ワード線WSを介してメモリセルMCに電気的に接続される。センスアンプ130は、フックアップ部160およびステップダウンユニット170を介してビット線BLに電気的に接続される。ビット線BLは、それぞれ複数のメモリセルMCを含むNANDストリングに電気的に接続される。
【0025】
電源ユニット140は、ロウデコーダ120、センスアンプ130、フックアップ部160およびステップダウンユニット170に所定の電圧を供給する。コントローラ150は、ロウデコーダ120、センスアンプ130および電源ユニット140を駆動し、メモリセルユニット110を動作させる。
【0026】
例えば、ロウデコーダ120は、メモリセルMCへのデータの書き込み時において、ワード線WSに高電圧を印加する。そして、ロウデコーダ120は、例えば、
図1(a)および(b)に示す高電圧型のPMOSトランジスタ30を含む。
【0027】
次に、
図4(a)〜
図7(c)を参照して、半導体装置1の製造方法を説明する。
図4(a)〜
図7(c)は、半導体装置1の製造過程を順に示す模式断面図である。
図4(a)〜
図7(c)は、
図1(b)中に示すA−A線に沿った断面図である。
【0028】
図4(a)に示すように、半導体基板10の第1面10F上にイオン注入マスク103を形成し、例えば、N形不純物であるリン(P)または砒素(As)を選択的にイオン注入する。半導体基板10は、例えば、P形不純物を1×10
15cm
−3程度ドープしたP形シリコン基板である。イオン注入は、例えば、注入エネルギーを変えて2回行う。続いて、半導体基板10を熱処理することによりイオン注入されたN形不純物を活性化し、N形ウエル13の主部13aを形成する。
【0029】
図4(b)に示すように、第1面10F上にイオン注入マスク105を形成し、例えば、P形不純物であるボロン(B)を選択的にイオン注入する。続いて、半導体基板10を熱処理することによりイオン注入されたP形不純物を活性化し、P形ウエル15を形成する。
【0030】
図4(c)に示すように、第1面10F上に絶縁層113および導電層115を形成する。絶縁層113は、例えば、酸化シリコン層であり、シリコン基板の表面を熱酸化することにより形成される。導電層115は、例えば、導電性を有するポリシリコン層であり、CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いて絶縁層113の上に堆積される。
【0031】
図5(a)に示すように、導電層115の上に絶縁層121およびエッチングマスク123を形成する。絶縁層121は、例えば、窒化シリコン層である。エッチングマスク123は、例えば、酸化シリコンを用いて形成される。続いて、エッチングマスク123を用いて、絶縁層121、導電層115、絶縁層113および半導体基板10を選択的に除去し、トレンチ131、133および135を形成する。
【0032】
トレンチ131は、絶縁層121の表面からN形ウエル13の主部13aに至る深さに形成される。トレンチ133は、P形ウエル15のエッジ15eの上に形成される。トレンチ135は、絶縁層121の表面からP形ウエル15に至る深さに形成される。
【0033】
図5(b)に示すように、半導体基板10の上にSTI23、25および27を形成する。STI23、25および27は、例えば、酸化シリコンであり、それぞれトレンチ131、133および135の内部に埋め込まれる。
【0034】
例えば、トレンチ131、133および135を埋め込み、絶縁層121の表面を覆う酸化シリコン層をCVDを用いて半導体基板10の上に形成する。続いて、CMP(Chemical Mechanical Polishing)を用いて、トレンチ131、133および135の内部に埋め込まれた部分を残し、絶縁層121の上に堆積された酸化シリコン層を除去する。絶縁層121は、CMPのストッパ層として機能する。
【0035】
図5(c)に示すように、絶縁層121を選択的に除去する。絶縁層121に窒化シリコン層を用いた場合、例えば、リン酸を用いたウェットエッチングにより、STI23、25、27および導電層115をエッチングすることなく絶縁層121を除去することができる。
【0036】
図6(a)に示すように、例えば、等方性のドライエッチングを用いてSTI23、25および27をエッチングし、好ましくは、その表面と導電層115の表面のレベルを合わせる。
【0037】
図6(b)に示すように、導電層115の上に導電層141を形成し、導電層141の上に金属層143を形成する。導電層141は、STI23、25および27を覆う。導電層141は、例えば、導電性を有するポリシリコン層である。金属層143は、例えば、タングステン(W)、タングステンシリサイド(WSi)、コバルトシリサイド(CoSi)およびニッケルシリサイド(NiSi)のうちの少なくとも1つを含む。
【0038】
図6(c)に示すように、金属層143の上にエッチングマスク145を形成し、金属層143、導電層141、115および絶縁層113を選択的に除去する。これにより、N形ウエル13の主部13aの表面13s上にゲート絶縁層21およびゲート電極20が形成される。
【0039】
エッチングマスク145は、例えば、窒化シリコンであり、CVDを用いて形成される。さらに、エッチングマスク145は、フォトリソグラフィを用いて形成されたレジストマスク147により所定の形状(
図1(b)参照)に加工される。続いて、例えば、異方性ドライエッチングを用いて、金属層143、導電層141、115および絶縁層113を選択的に除去し、ゲート電極20を形成する。さらに、例えば、等方性ドライエッチングを用いてSTI23、25および27をエッチングし、好ましくは、その上面を半導体基板10の第1面10Fのレベルに合わせる。また、同時に、絶縁層113を選択的に除去し、ゲート絶縁層21を形成する。
【0040】
図7(a)に示すように、例えば、P形不純物であるボロン(B)を選択的にイオン注入し、ソース領域31、ドレイン領域33およびP形コンタクト領域35を形成する。例えば、半導体基板10上にイオン注入マスク107を形成し、N形ウエルの表面13sと、P形ウエル15の表面15sと、にP形不純物を選択的にイオン注入する。これにより、ゲート電極20の下には、チャネル領域13cが形成される。
【0041】
図7(b)に示すように、N形ウエルの表面13sに隣接する表面13qにN形不純物であるリン(P)または砒素(As)を選択的にイオン注入し、N形コンタクト領域17を形成する。例えば、半導体基板10の上に開口109aを有するイオン注入マスク109を形成する。開口109aは、N形ウエル13の主部13aの表面13qに連通する。続いて、主部13aの表面13qにN形不純物を選択的にイオン注入する。
【0042】
図7(c)に示すように、半導体基板10の第1面10FにN形不純物をイオン注入し、N形ウエル13の周縁部13bを形成する。この工程におけるN形不純物のイオン注入は、例えば、別の領域に形成されるトランジスタのチャネルイオン注入時に同時に実施することができる。
【0043】
周縁部13bにおけるN形不純物の濃度は、ソース領域31、ドレイン領域33およびP形コンタクト領域35のP形不純物濃度よりも低濃度である。また、周縁部13bは、N形ウエル13を形成する際のドーズ量よりも低いドーズ量で形成することができる。このため、周縁部13bは、例えば、イオン注入マスクを形成することなく、N形不純物の全面注入により形成しても良い。
【0044】
以下、半導体基板10の第1面10Fを覆う層間絶縁層を形成した後、ゲート電極20、ソース領域31、ドレイン領域33、N形コンタクト領域17およびP形コンタクト領域35にそれぞれ電気的に接続される配線を形成し、半導体装置1を完成する。
【0045】
図8(a)および(b)は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置2を示す模式図である。
図8(a)は、
図8(b)中に示すB−B線に沿った部分断面図である。
図8(b)は、半導体装置2の上面図である。
【0046】
図8(a)に示すように、半導体装置2は、N形ウエル13とP形ウエル15とを有する半導体基板10と、ゲート電極20と、を備える。N形ウエル13には、ソース領域31、ドレイン領域33およびN形コンタクト領域17が設けられる。P形ウエル15には、P形コンタクト領域35が設けられる。そして、半導体装置2は、半導体基板10の第1面10F側において、N形ウエル13の周縁部13bの上に選択的に設けられた導電層45をさらに備える。導電層45は、絶縁層47を介して周縁部13bの上に設けられ、ゲート電極20と同じ材料を含む。
【0047】
図8(b)に示すように、導電層45は、N形ウエル13の周縁部13b上において、N形ウエル13を囲むように設けられる。
【0048】
周縁部13bは、例えば、
図4(a)および
図4(b)に示すN形ウエルの主部13aおよびP形ウエル15を形成する過程において形成される。例えば、
図4(a)および
図4(b)に示すイオン注入過程において、N形不純物の全面注入を加えることにより形成できる。その後、
図6(c)に示すゲート電極20の形成過程において、周縁部13bの上に導電層45を残すことにより、半導体装置2を形成することができる。
【0049】
導電層45は、
図6(c)に示す工程の後において、イオン注入マスクとして機能し、N形ウエル13の周縁部13bにおける不純物濃度プロファイルを維持する。これにより、N形ウエル13の絶縁耐圧を向上させることができる。
【0050】
[第2実施形態]
図9(a)〜(c)は、第2実施形態に係る半導体装置3の製造方法を示す模式断面図である。
図9(a)〜(c)は、
図1(b)中に示すA−A線に沿った断面図である。
図10は、第2実施形態に係るN形ウエル13の不純物プロファイルを示すグラフである。縦軸は、不純物濃度(cm
−3)であり、横軸は、基板表面(第1面10F)から−Z方向の深さ(μm)である。
【0051】
例えば、
図5(a)に示す工程において、トレンチ131、133および135を形成した後、
図9(a)に示すように、各トレンチの内面にP形不純物であるボロン(B)をイオン注入する。さらに、P形ウエル15とは別のP形ウエル18に形成されたトレンチ137の内面にもP形不純物をイオン注入する。続いて、半導体基板10を熱処理することにより、P形不純物を活性化させる。
【0052】
図9(b)は、トレンチ131を埋め込んだSTI23、トレンチ133を埋め込んだSTI25、トレンチ135を埋め込んだSTI27およびトレンチ137を埋め込んだSTI29を示している。
【0053】
図9(b)に示すように、STI25と半導体基板10とが接する部分には、P形領域63が形成される。同様に、STI27とP形ウエル15とが接する部分には、P形領域65が形成され、STI29とP形ウエル18とが接する部分には、P形領域67が形成される。一方、STI23の底部においてN形ウエル13と接する部分には、P形領域61が形成される。すなわち、半導体基板10は、STI125、127および129の底面に近づくにつれてP形不純物の濃度が高くなる不純物分布を有する。
【0054】
続いて、
図5(c)〜
図7(c)に示す製造過程により、N形ウエル13の周縁部13b、N形コンタクト領域17、ゲート電極20、ソース領域31、ドレイン領域33およびP形コンタクト領域35を形成する。これにより、
図9(c)に示すPMOSトランジスタ40を完成させる。一方、P形ウエル18上には、ゲート絶縁層73を介してゲート電極75が形成される。これにより、P形ウエル18には、NMOSトランジスタ50が形成される。NMOSトランジスタ50は、Y方向に延在するチャネル領域18cを有する。
【0055】
例えば、NMOSトランジスタ50においてP形領域67を形成しない場合、逆ショートチャネル効果(Reverse Narrow Chanel Effect)により閾値電圧が低下し、ドレイン電流のサブスレショルド特性にキンク、所謂Humpが生じる。そこで、P形領域67を形成して逆ショートチャネル効果を抑制することが好ましい。しかしながら、P形領域67を形成することにより、N形ウエル13中にもP形領域61が形成される不利益が生じる。
【0056】
図10において、P
MAXで示す破線は、各トレンチの内面にイオン注入されたP形不純物のピーク濃度を示している。この例では、N形不純物のプロファイルIP
1とIP
2との間においてP形不純物の濃度がN形不純物の濃度よりも高くなる領域が生じる。このため、N形ウエル13の内部にP形領域61が形成される。
【0057】
図11(a)および(b)は、第2実施形態の比較例に係る半導体装置4を表す模式図である。
図11(a)は、
図11(b)中に示すC−C線に沿った部分断面図である。
図11(b)は、半導体装置4の上面図である。
【0058】
図11(a)に示すように、半導体装置4は、N形ウエル13とP形ウエル15とを有する半導体基板10と、ゲート電極20と、を備える。N形ウエル13には、ソース領域31、ドレイン領域33およびN形コンタクト領域17が設けられている。P形ウエル15には、P形コンタクト領域35が設けられている。N形ウエル13の上には、STI153が設けられる。
【0059】
図11(b)に示すように、STI153は、ソース領域31、ドレイン領域33およびチャネル領域13cを囲むように形成される。また、STI153は、N形コンタクト領域17を囲む。さらに、STI153は、N形ウエル13上からP形ウエル15上に広がるように設けられる。言い換えれば、STI153の外周部は、N形ウエル13のエッジ13eおよびP形ウエル15のエッジ15eの上に設けられる。そして、STI153の底部には、P形領域163が形成される。
【0060】
P形領域163は、例えば、N形ウエル13と半導体基板10との間のPN接合を短絡するリークパスとなり、N形ウエル13の絶縁耐圧を低下させる。すなわち、N形ウエル13に高電圧が印加された場合、N形コンタクト領域17と、それに近接するP形領域163の端と、の間において、空乏層のパンチスルーによるリーク電流が流れるおそれがある。また、N形ウエル13と半導体基板10との間のPN接合の耐圧低下も生じる。これにより、例えば、メモリセルMCへ印加される電圧が低下し、データの書き込み不良を生じさせることがある。
【0061】
例えば、
図9(a)に示すイオン注入工程においてN形ウエル13をイオン注入マスクで覆うことにより、P形領域163の形成を回避することができる。しかしながら、イオン注入マスクを付加することは、製造工程のTAT(Turn Around Time)を長くし、コストを上昇させる。
【0062】
これに対し、
図9(c)に示す半導体装置3では、STI23は、N形ウエル13の上に選択的に設けられ、その外側には広がらない。したがって、N形ウエル13のエッジ13eの上にはSTIが設けられない。これにより、STIの底部においてN形ウエル13と半導体基板10との間のPN接合を短絡するP形領域は形成されない。また、N形ウエル13に周縁部13bを設けることによりPN接合の耐圧を向上させることができる。
【0063】
図12は、第2実施形態の変形例に係る半導体装置5を示す模式図である。
図12(a)は、
図12(b)中に示すD−D線に沿った部分断面図である。
図12(b)は、半導体装置5の上面図である。
【0064】
図12(a)に示すように、半導体装置5は、N形ウエル13とP形ウエル15とを有する半導体基板10と、ゲート電極20と、を備える。N形ウエル13には、ソース領域31、ドレイン領域33、N形コンタクト領域17およびN形領域19が設けられる。P形ウエル15には、P形コンタクト領域35が設けられる。N形ウエル13の上には、STI253が選択的に設けられる。
【0065】
図12(b)に示すように、STI253は、ソース領域31、ドレイン領域33およびチャネル領域13cを囲むように形成される。また、STI253は、N形コンタクト領域17を囲む。N形領域19は、STI253を囲むように設けられる。さらに、N形ウエル13とP形ウエル15との間には、STI255が設けられる。STI255は、N形ウエル13のエッジ13eおよびP形ウエル15のエッジ15eの上に設けられる。そして、STI253の底部には、P形領域263が形成され、STI255の底部には、P形領域265が形成される。
【0066】
N形領域19には電圧が印加されることはなく、N形領域19は、所謂フローティングノードとなる。そして、N形ウエル13と半導体基板10との間のPN接合に跨がるP形領域265は、N形コンタクト領域17に近接するP形領域263から分離される。すなわち、P形領域265を介して流れるリーク電流は、N形領域19により抑制され、N形ウエル13の絶縁耐圧を向上させることができる。
【0067】
図13は、第2実施形態の別の変形例に係る半導体装置6を示す模式図である。
図13(a)は、
図13(b)中に示すE−E線に沿った部分断面図である。
図13(b)は、半導体装置6の上面図である。
【0068】
図13(a)に示すように、半導体装置6は、N形ウエル13とP形ウエル15とを有する半導体基板10と、ゲート電極20と、を備える。N形ウエル13は、主部13aと周縁部13bとを有する。主部13aには、ソース領域31、ドレイン領域33、N形コンタクト領域17およびN形領域19が設けられる。主部13aの上には、STI253が選択的に設けられる。P形ウエル15には、P形コンタクト領域35が設けられる。
【0069】
図13(b)に示すように、STI253は、ソース領域31、ドレイン領域33およびチャネル領域13cを囲むように形成される。また、STI253は、N形コンタクト領域17を囲む。N形領域19は、STI253を囲むように設けられる。さらに、N形ウエル13を囲むSTI255が設けられる。STI255は、STI253から離間して設けられ、P形ウエル15のエッジ15e上に位置する。周縁部13bは、STI253とSTI255の間において、主部13aから外側に延出する。
【0070】
STI253の底部には、P形領域263が形成され、STI255の底部には、P形領域265が形成される。P形領域265は、N形ウエル13の主部13aの外周部および周縁部13bによりP形領域263から分離され、P形領域を介した電流のリークパスは形成されない。また、この例では、N形コンタクト領域17と同じバックゲート電圧V
BGがN形領域19に印加される。そして、N形ウエル13の周縁部13bにより半導体基板10への空乏層への広がりが助長され、N形ウエル13のエッジ13eにおける電界が低減される。これにより、N形ウエル13の接合耐圧を向上させることができる。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。