特許第6538596号(P6538596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6538596電子部品の製造方法及び電子部品の製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6538596
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】電子部品の製造方法及び電子部品の製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20190625BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20190625BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20190625BHJP
   H01L 25/04 20140101ALI20190625BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20190625BHJP
   H01L 25/065 20060101ALI20190625BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   H01L21/60 311Q
   H01L21/60 311T
   H05K13/04 B
   H05K3/34 507C
   H01L25/04 Z
   H01L25/08 C
   H01L25/08 E
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-49686(P2016-49686)
(22)【出願日】2016年3月14日
(65)【公開番号】特開2017-168503(P2017-168503A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2018年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】東芝メモリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】本間 荘一
(72)【発明者】
【氏名】小牟田 直幸
【審査官】 安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−105119(JP,A)
【文献】 特開2011−066287(JP,A)
【文献】 特開2013−179169(JP,A)
【文献】 特開昭63−056922(JP,A)
【文献】 特開平11−274226(JP,A)
【文献】 特開2008−277677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60−607
H01L 23/12−15
H01L 25/00−18
H05K 3/34
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パッドが設けられた第1面を有する第1部品の前記第1面と、第2パッドが設けられた第2面を有する第2部品の前記第2面と、を、前記第1パッド及び前記第2パッドの少なくともいずれかに個体状の金属部材が設けられた第1状態で互いに対向させ、
前記金属部材を溶融させ、前記溶融した前記金属部材が前記第1パッド及び前記第2パッドと接するまで、前記第1部品と前記第2部品とを近づけ、
前記第1部品と前記第2部品とを近づけた後、前記溶融した前記金属部材が前記第1パッド及び前記第2パッドと接している状態で、前記第1部品及び前記第2部品の少なくともいずれかを前記第1面に沿って移動させ、
前記第1部品及び前記第2部品の前記少なくともいずれかを移動させた後に前記金属部材を固体状にして前記第1パッド及び前記第2パッドが前記固体状の前記金属部材により互いに電気的に接続された第2状態を形成する電子部品の製造方法であって、
前記第1状態における前記第1パッドの平面形状の第1幾何学的重心と、前記第1状態における前記第2パッドの平面形状の第2幾何学的重心と、の間の前記第1面に沿う方向における第1距離は、前記第2状態における前記第1幾何学的重心と、前記第2状態における前記第2幾何学的重心と、の間の前記第1面に沿う方向における第2距離よりも長い、電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記第1状態において、前記金属部材は、前記第1パッドの面上及び前記第2パッドの面上のいずれかに設けられたバンプを含む、請求項1記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記第1パッドは、前記第1幾何学的重心を含む第1中側領域と、前記第1中側領域の周りの第1外縁領域と、を含み、前記第1中側領域は、前記第1外縁領域に対して後退している、請求項1または2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記第1部品及び前記第2部品の前記少なくともいずれかを移動させる際には、前記第1部品及び前記第2部品の前記少なくともいずれかを前記第1面に沿う移動方向に沿って移動し、
前記移動の距離は、前記第1パッドの前記平面形状の前記移動方向に沿う長さの最大値と、前記第2パッドの前記平面形状の前記移動方向に沿う長さの最大値と、の平均値の10%以上90%以下である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記第1部品及び前記第2部品の前記少なくともいずれかを移動させる際には、前記第1部品をヘッドで保持して、前記第1部品を前記第1面に沿って移動させることを含む、請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
第1パッドが設けられた第1面を有する第1部品が載せられるステージと、
第2パッドが設けられた第2面を有する第2部品を保持できるヘッドと、
前記ステージ及び前記ヘッドの相対的な位置と、前記ステージ及び前記ヘッドの少なくともいずれかの温度を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記ステージ及び前記ヘッドの少なくともいずれかに、
前記第1パッド及び前記第2パッドの少なくともいずれかに個体状の金属部材が設けられた第1状態で前記第1面と前記第2面とを互いに対向させる動作と、
前記金属部材を溶融させ、前記溶融した前記金属部材が前記第1パッド及び前記第2パッドと接するまで、前記第1部品と前記第2部品とを近づける動作と、
前記第1部品と前記第2部品とを近づける動作の後に、前記溶融した前記金属部材が前記第1パッド及び前記第2パッドと接している状態で、前記第1部品及び前記第2部品の少なくともいずれかを前記第1面に沿って移動させる動作と、
前記第1部品及び前記第2部品の前記少なくともいずれかを移動させる動作の後に前記金属部材を固体状にして前記第1パッド及び前記第2パッドが前記固体状の前記金属部材により互いに電気的に接続された第2状態を形成する動作と、
を実施させ、
前記第1状態における前記第1パッドの平面形状の第1幾何学的重心と、前記第1状態における前記第2パッドの平面形状の第2幾何学的重心と、の間の前記第1面に沿う方向における第1距離は、前記第2状態における前記第1幾何学的重心と、前記第2状態における前記第2幾何学的重心と、の間の前記第1面に沿う方向における第2距離よりも長い、電子部品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子部品の製造方法及び電子部品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品において、例えば、部品が基板などにフリップチップ接続などにより接続される。より低抵抗な接続が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4901933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、低抵抗な接続が可能な電子部品の製造方法及び電子部品の製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、電子部品の製造方法は、第1パッドが設けられた第1面を有する第1部品の前記第1面と、第2パッドが設けられた第2面を有する第2部品の前記第2面と、を、前記第1パッド及び前記第2パッドの少なくともいずれかに個体状の金属部材が設けられた第1状態で互いに対向させることを含む。本製造方法は、前記金属部材を溶融させ、前記溶融した前記金属部材が前記第1パッド及び前記第2パッドと接するまで、前記第1部品と前記第2部品とを近づけることを含む。本製造方法は、前記第1部品と前記第2部品とを近づけた後、前記溶融した前記金属部材が前記第1パッド及び前記第2パッドと接している状態で、前記第1部品及び前記第2部品の少なくともいずれかを前記第1面に沿って移動させることを含む。本製造方法は、前記第1部品及び前記第2部品の前記少なくともいずれかを移動させた後に前記金属部材を固体状にして前記第1パッド及び前記第2パッドが前記固体状の前記金属部材により互いに電気的に接続された第2状態を形成することを含む。前記第1状態における前記第1パッドの平面形状の第1幾何学的重心と、前記第1状態における前記第2パッドの平面形状の第2幾何学的重心と、の間の前記第1面に沿う方向における第1距離は、前記第2状態における前記第1幾何学的重心と、前記第2状態における前記第2幾何学的重心と、の間の前記第1面に沿う方向における第2距離よりも長い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)〜図1(g)は、実施形態に係る電子部品の製造方法を例示する模式的断面図である。
図2】実施形態に係る電子部品の製造装置を例示する模式図である。
図3図3(a)〜図3(d)は、実施形態に係る電子部品の製造方法で用いられる部品を示す模式的断面図である。
図4図4(a)〜図4(d)は、実施形態に係る電子部品の製造方法で用いられる部品を示す模式的平面図である。
図5】実施形態に係る電子部品の製造方法を示すグラフ図である。
図6図6(a)〜図6(c)は、実施形態に係る電子部品の製造方法を例示する模式的断面図である。
図7図7(a)〜図7(c)は、実施形態に係る電子部品の製造方法を例示する模式的断面図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、実施形態に係る電子部品の製造方法を例示する模式的断面図である。
図9】実施形態に係る電子部品の製造方法を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1(a)〜図1(g)は、実施形態に係る電子部品の製造方法を例示する模式的断面図である。
図2は、実施形態に係る電子部品の製造装置を例示する模式図である。
【0009】
図2に示すように、実施形態に係る電子部品の製造装置110は、ステージ50と、ヘッド60と、制御部70と、を含む。製造装置110は、例えばフリップボンダである。
【0010】
ステージ50には、第1部品10が載せられる。第1部品10は、第1面10aを有する。第1面10aには、第1パッド11が設けられている。例えば、第1部品10に、第1基板10sが設けられ、第1基板10sの1つの面(第1面10a)に第1パッド11が設けられる。この例では、ステージ50には、孔52が設けられる。孔52の内部が減圧可能である。孔52により、第1部品10が吸着され、固定される。
【0011】
この例では、ステージ50は、第1温度制御部51を含む。第1温度制御部51は、例えば、セラミックヒータなどを含む。例えば、第1温度制御部51により、第1部品10の温度が制御される。
【0012】
ヘッド60は、第2部品20を保持できる。第2部品20は、第2面20aを有する。第2面20aには、第2パッド21が設けられている。例えば、第2部品20に、第2基板20sが設けられ、第2基板20sの1つの面(第2面20a)に第2パッド21が設けられる。
【0013】
ヘッド60に例えば、孔62が設けられ、孔62の内部が減圧可能である。孔62により、第2部品20が吸着され、第2部品20が保持される。
【0014】
この例では、ヘッド60は、第2温度制御部61を含む。第2温度制御部61は、例えば、セラミックヒータなどを含む。例えば、第2温度制御部61により、第2部品20の温度が制御される。
【0015】
ヘッド60に保持された第2部品20の第2面20aが、第1部品10の第1面10aに対向させられる。
【0016】
ヘッド60は、例えば支持部65に支持される。支持部65が動かされ、それにより、ヘッド60の位置が変更可能である。
【0017】
ステージ50の上面に対して垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0018】
制御部70は、ステージ50及びヘッド60の相対的な位置を制御する。相対的な位置は、Z軸方向の位置を含む。相対的な位置は、X−Y平面内の少なくとも1つの方向を含む。相対的な位置は、例えば、X軸方向の位置、及び、Y軸方向の位置を含んでも良い。
【0019】
制御部70は、ステージ50及びヘッド60の少なくともいずれかの温度をさらに制御する。例えば、制御部70は、上記の第1温度制御部51及び第2温度制御部61を制御する。これにより、ステージ50の温度、及び、ヘッド60の温度が制御される。さらに、これにより、第1部品10の温度、及び、第2部品20の温度が制御される。
【0020】
第1部品10及び第2部品20の少なくともいずれかは、金属部材30を有する。金属部材30は、例えば、はんだを含む。第1部品10及び第2部品20の少なくともいずれかの温度を制御することで、金属部材30が固体状から液体状に変化する。温度の制御により、金属部材30が、液体状から固体状に変化する。例えば、金属部材30の温度が、金属部材30の融点を超えると、金属部材30は融解し(溶融し)、金属部材30は、液相である。金属部材30の温度が、金属部材30の融点未満のときに、金属部材30は、固相である。
【0021】
この例では、製造装置110は、撮像部55(例えばカメラ)をさらに含む。例えば、第1部品10と第2部品20との間の相対的な位置が撮像部55により検出され、アライメントが行われる。
【0022】
アライメントの後に、第1部品10と第2部品20とが金属部材30を介して近接させられる。金属部材30が融解し、その後、金属部材30が固相となる。これにより、第1部品10と第2部品20とが互いに接合される。第1パッド11と第2パッド21とが、金属部材30により電気的に接続される。
【0023】
以下、製造装置110を用いた電子部品の製造方法の例について、図1(a)〜図1(g)を参照して説明する。
【0024】
図1(a)に示すように、第2部品20が準備される。第2部品20は、第2パッド21が設けられた第2面20aを有する。この例では、第2面20aには、別のパッド22がさらに設けられている。
【0025】
この例では、図1(b)に示すように、第2パッド21(及び別のパッド22)に個体状の金属部材30(第2金属部材32)が設けられている。後述するように、金属部材30は、第1パッド11及び第2パッド21の少なくともいずれかに設けられても良い。
【0026】
金属部材30は、例えば、バンプ(例えば、はんだバンプ)である。金属部材30は、はんだを含む。はんだは、例えば錫を含む。金属部材30は、錫と、他の金属の合金を含んでも良い。金属部材30の例については後述する。
【0027】
一方、図1(c)に示すように、第1部品10が準備される。第1部品10は、第1パッド11が設けられた第1面10aを有する、この例では、第1面10aには、別のパッド12がさらに設けられている。
【0028】
図1(d)に示すように、ステージ50(図1(d)では図示しない)の上に載せられた第1部品10の上に、ヘッド60により保持された第2部品20が配置される。第1面10aと、第2面20aと、が、互いに対向させる。このとき、第1パッド11及び第2パッド21の少なくともいずれかに個体状の金属部材30が設けられている。この例では第2パッド21に個体状の金属部材30(第2金属部材32)が設けられている。
【0029】
例えば、図1(d)の状態(ステージ50とヘッド60との間の距離が遠い状態)において、第1部品10と第2部品20との間の相対的な位置が撮像部55により検出される。撮像部55の検出結果(相対的な位置に関する情報)に基づいて、第1部品10と第2部品20との間のアライメントが行われる。アライメントは、ステージ50及びヘッド60の少なくともいずれかの位置の制御(X−Y平面内の位置の制御)により行われる。
【0030】
図1(e)に示すように、撮像部55が第1部品10と第2部品20との間の空間から移動される。そして、第1部品10と第2部品20とが金属部材30を介して近接させられる。例えば、図1(d)の状態から、Z軸方向の位置が変更される。この位置の変更は、ステージ50及びヘッド60の少なくともいずれかの制御により行われる。図1(e)に示す状態を第1状態ST1とする。第1状態ST1においては、第1パッド11及び第2パッド21の少なくともいずれかに、個体状の金属部材30が設けられている。図1(d)の状態から図1(e)の状態に移行する際に、X−Y方向の位置が実質的に変更されない場合は、図1(d)の状態を第1状態ST1としても良い。
【0031】
このように、実施形態においては、第1部品10の第1面10aと、第2部品20の第2面20aと、を、第1状態ST1(第1パッド11及び第2パッド21の少なくともいずれかに、個体状の金属部材30が設けられている状態)で、互いに対向させる(第1工程、第1動作)。
【0032】
第1状態ST1のときの金属部材30の温度は、融点よりも低い。例えば、金属部材30の融点が200℃である場合、第1状態ST1のときの金属部材30の温度は、50℃である。
【0033】
図1(e)に示すように、実施形態においては、この第1状態ST1における第1パッド11の平面形状の第1幾何学的重心11cと、第1状態ST1における第2パッド21の平面形状の第2幾何学的重心21cと、の間の距離を第1距離d1とする。第1距離d1は、比較的大きい。すなわち、2つパッドがシフトされている。幾何学的重心については、後述する。
【0034】
図1(f)に示すように、上記の第1工程(第1動作)の後に、金属部材30を溶融させる。そして、溶融した金属部材30が第1パッド11及び第2パッド21の両方に接する状態になるまで、第1部品10の第1面10aと、第2部品20の第2面20aと、を互いに近づける。溶融した金属部材30が第1パッド11及び第2パッド21と接している状態で、第1部品10及び第2部品20の少なくともいずれかを、第1面10aに沿って移動させる(第2工程、第2動作)。この第2工程(第2動作)では、例えば、第1部品10をヘッド60で保持して、第1部品10を第1面10aに沿って移動させる。例えば、金属部材30の融点が200℃である場合、第2工程における金属部材30の温度は、250℃である。
【0035】
上記の溶融は、ステージ50及びヘッド60の少なくともいずれかを制御部70により制御することにより行われる。例えば、移動は、X−Y平面内の方向に沿って行われる。上記の移動は、X軸方向及びY軸方向の少なくともいずれかの成分を有する方向に沿って行われる。この移動は、ステージ50及びヘッド60の少なくともいずれかを制御部70により制御することにより行われる。
【0036】
これにより、第1部品10と第2部品20との間の相対的な位置関係は、第1状態ST1とは異なる状態となる。
【0037】
図1(g)に示すように、第2工程(第2動作)の後に、金属部材30を固体状にする。第1パッド11及び第2パッド21が固体状の金属部材30により、互いに電気的に接続された第2状態ST2が形成される(第3工程、第3動作)。第3工程においては、例えば、第2工程により移動させられた第1部品10及び第2部品20の相対的な位置関係が、実質的に維持される。例えば、金属部材30の融点が200℃である場合、第3工程における金属部材30の温度は、100℃である。
【0038】
図1(g)に示すように、第2状態ST2における、2つパッドの相対的な距離は、第1状態ST1に比べて縮小される。第2状態ST2における第1幾何学的重心11cと、第2状態における第2幾何学的重心21cと、の間の第1面10aに沿う方向における距離を第2距離d2とする。第2距離d2は、第1距離d1よりも短い。換言すると、第1距離d1は、第2距離d2よりも長い。
【0039】
すなわち、実施形態においては、金属部材30が溶融する前の第1状態ST1において、例えば、第1パッド11及び第2パッド12が、所定の位置からシフトされている。シフトされたアライメントが行われる。そして、金属部材30が溶融している状態で、2つの部品をX−Y面内で相対的に移動する。その後、金属部材30が固相とされる。シフトされて行われたアライメントの位置から、位置が変更されることで、例えば、第1パッド11と第2パッド21との位置関係が、所定の関係(設計位置)に近づけられる。
【0040】
図1(f)に示すように、金属部材30が融解している状態において、ボイド35が生じる場合があることが分かった。このボイド35が残ったまま金属部材30が固相になると、第1パッド11と第2パッド21との間の電気的接続における電流経路が狭くなる。これにより、接続の電気抵抗が高くなる。このようなボイド35は、例えば、パッドが凹状である場合(後述)に、特に発生し易いことが分かった。
【0041】
発明者らの実験によると、金属部材30が融解している状態において、第1部品10及び第2部品20を相対的に移動させると、抵抗値の上昇が抑えられることが分かった。相対的な移動により、ボイド35が消失し、または、ボイド35の量が減少すると考えられる。
【0042】
このとき、金属部材30を融解させる前の状態(第1状態ST1)において最終的な目標位置(設計位置)のアライメントが行われると、その後に金属部材30が融解している状態で部品を相対的に移動させると最終的な位置が、目標位置設計位置から、シフトしてしまう。
【0043】
これに対して、実施形態においては、例えば、金属部材30を融解させる前の状態(第1状態ST1)において、所定の位置からシフトして、アライメントを行う。これにより、その後の金属部材30が融解しているときの部品の移動の後に、位置は、所定の位置に近づく。これにより、例えば、設計位置での接続が行われる。
【0044】
実施形態においては、電気的な接続後において、ボイド35の発生が抑制される。これにより、低抵抗な接続が可能な電子部品の製造方法及び電子部品の製造装置が提供できる。
【0045】
接合の際に例えば振動(超音波など)を印加する参考例がある。参考例においては、液相の金属部材30に振動が印加される。このような参考例においては、第1距離d1は、第2距離d2と実質的に同じである。振動を印加した場合においては、ボイド35の抑制は不十分である。実施形態においては、第1状態ST1において第1部品10と第2部品20との間の第1距離d1が、振動などによって得られる距離よりも大きくできる。これにより、ボイド35の抑制が効果的に行われる。
【0046】
実施形態においては、図1(f)に例示した第2工程における移動(金属部材30が融解している状態における第1部品10及び第2部品20の相対的な移動)は、例えば、第1状態ST1における第1部品10と第2部品20との間の相対的な位置に関する情報に基づいて実施しても良い。第2工程(第2動作)における移動は、例えば、第1部品10及び第2部品20の位置に関する情報を取得する撮像部55により取得された情報に基づいて実施されても良い。
【0047】
以下、第1部品10及び第2部品20の例について説明する。
図3(a)〜図3(d)は、実施形態に係る電子部品の製造方法で用いられる部品を示す模式的断面図である。
図3(a)に示すように、第1部品10において、例えば、第1基板10sの上に、配線11e及び配線12eが設けられる。これらの配線の一部の上に、開口部13oを有する絶縁層13が設けられる。例えば、開口部13oで露出する配線11eの上、及び、絶縁層13の一部の上に、第1パッド11が設けられる。開口部13oで露出する配線12eの上、及び、絶縁層13の別の一部の上に、別のパッド12が設けられる。
【0048】
図3(a)の例においては、第1パッド11は、凹状である。例えば、第1パッド11は、第1中側領域11iと、第1外縁領域11oと、を含む。第1中側領域11iは、第1パッド11の平面形状の第1幾何学的重心11cを含む。第1外縁領域11oは、第1中側領域11iの周りに設けられる。第1中側領域11iは、第1外縁領域11oに対して後退している。このような凹状のパッドにおいて、ボイド35が発生し易い。特に、フラックスが用いられる場合に、ボイド35の発生がより顕著になる。
【0049】
図3(b)に示すように、第1部品10において、例えば、第1基板10sの上に、第1パッド11及び別のパッド12のそれぞれとなる導電層が設けられる。これらの導電層の一部の上に、開口部14oを有する絶縁層14が設けられる。この場合、第1パッド11の平面形状は、絶縁層14の開口部14oから露出する導電層の平面形状に対応する。すなわち、第1パッド11の平面形状は、第1パッド11の一部の上に設けられる絶縁層14の開口部14oの平面形状となる。別のパッド12においても同様である。
【0050】
図3(c)に示すように、第2部品20において、例えば、第2基板20sの上に、配線21e及び配線22eが設けられる。これらの配線の一部の上に、開口部23oを有する絶縁層23が設けられる。例えば、開口部23oで露出する配線21eの上、及び、絶縁層23の一部の上に、第2パッド21が設けられる。開口部23oで露出する配線22eの上、及び、絶縁層23の別の一部の上に、別のパッド22が設けられる。
【0051】
図3(c)の例においては、第2パッド21は、凹状である。例えば、第2パッド21は、第2中側領域21iと、第2外縁領域21oと、を含む。第2中側領域21iは、第2パッド21の平面形状の第2幾何学的重心21cを含む。第2外縁領域21oは、第2中側領域21iの周りに設けられる。第2中側領域21iは、第2外縁領域21oに対して後退している。このような凹状のパッドにおいて、ボイド35が発生し易い。
【0052】
図3(d)に示すように、第2部品20において、例えば、第2基板20sの上に、第2パッド21及び別のパッド22のそれぞれとなる導電層が設けられる。これらの導電層の一部の上に、開口部24oを有する絶縁層24が設けられる。この場合、第2パッド21の平面形状は、絶縁層24の開口部24oから露出する導電層の平面形状に対応する。すなわち、第2パッド21の平面形状は、第2パッド21の一部の上に設けられる絶縁層24の開口部24oの平面形状となる。別のパッド22においても同様である。
【0053】
図4(a)〜図4(d)は、実施形態に係る電子部品の製造方法で用いられる部品を示す模式的平面図である。
これらの図は、パッドの平面形状を例示している。
【0054】
図4(a)及び図4(b)に示すように、第1パッド11の平面形状は、例えば、Z軸方向に沿ってみた形状である。図4(c)及び図4(d)に示すように、第2パッド21の平面形状は、例えば、Z軸方向に沿ってみた形状である。平面形状は、例えば、円形(偏平円形)を含む。平面形状は、例えば、略四角形(正方形及び長方形など)を含む。コーナ部が曲線状でも良い。
【0055】
これらの平面形状の幾何学的重心が、第1幾何学的重心11c及び第2幾何学的重心21cとなる。
【0056】
例えば、第2工程(第2動作)における移動は、Z軸方向に対して垂直な方向(X−Y平面に沿う移動方向D1)に沿って行われる。第1パッド11の平面形状の、移動方向D1に沿う長さの最大値を第1長さL1とする。第2パッド21の平面形状の、移動方向D1に沿う長さの最大値を第2長さL2とする。
【0057】
以下、図1(f)に例示した第2工程(第2動作)における移動の距離の例について、説明する。
図5は、実施形態に係る電子部品の製造方法を示すグラフ図である。
図5の横軸は、第2工程(第2動作)における移動の距離Ds(相対値)である。移動は、X−Y平面に沿う移動方向D1に沿って行われる。距離Dsは、第1長さL1(第1パッド11の平面形状の移動方向D1に沿う長さの最大値)と、第2長さL2(第2パッド21の平面形状の移動方向D1に沿う長さの最大値の平均値で、規格化している。平均値は、(L1+L2)/2である。すなわち、距離Ds(相対値)は、(”移動の距離(絶対値)”/”平均値”)である。この例では、第1パッド11及び第2パッド21の平面形状は円形であり、それぞれの円の大きさは互いに同じである。
【0058】
図5に示すように、距離Dsが大きくなると、ボイド35の量Vbが減少する。距離Dsが0.6以上において、ボイド35が実質的に生じない。距離Dsが、0.1以上において、ボイド35の量Vbが効果的に減少する。量Vbが減少することで、低い抵抗が得られる。
【0059】
一方、距離Dsが1に近づくと、例えば、金属部材30とパッドとの接続が困難になりやすい。例えば、距離Dsが0.9以下において、良好な接続が得やすい。さらに、距離Dsが0.8以下において、良好な接続がさらに得やすくなる。
【0060】
実施形態において、第2工程(第2動作)における移動の距離は、例えば、第1長さL1(第1パッド11の平面形状の移動方向D1に沿う長さの最大値)と、第2長さL2(第2パッド21の平面形状の移動方向D1に沿う長さの最大値)と、の平均値(算術平均)の10%以上90%以下であることが好ましい。例えば、移動の距離は、上記平均値の25%以上75%以下であることがさらに好ましい。低い抵抗と、良好な接続が得られる。例えば、移動の距離は、上記平均値の40%以上60%以下であることがさらに好ましい。
【0061】
実施形態において、第1パッド11のサイズが、第2パッド21のサイズとは異なっても良い。
【0062】
実施形態においては、ボイド35の発生が抑制される。これにより、例えば、信頼性が向上できる。ボイド35の発生が抑制されることで、例えば、発熱が抑制できる、良好な動作特性が得やすい。
【0063】
図6(a)〜図6(c)は、実施形態に係る電子部品の製造方法を例示する模式的断面図である。
図6(a)に示すように、この例においては、金属部材30(第1金属部材31)は、第1部品10の第1パッド11に設けられている。図6(a)に示すように、第1部品10の第1面10aと、第2部品20の第2面20aと、を、第1状態ST1(第1パッド11に個体状の金属部材30が設けられている状態)で、互いに対向させる(第1工程、第1動作)。
【0064】
この第1状態ST1における第1パッド11の平面形状の第1幾何学的重心11cと、第1状態ST1における第2パッド21の平面形状の第2幾何学的重心21cと、の間の距離(第1距離d1)は、第1距離d1は、比較的大きい。
【0065】
図6(b)に示すように、上記の第1工程(第1動作)の後に、金属部材30を溶融させる。溶融した金属部材30が第1パッド11及び第2パッド21と接している状態で、第1部品10及び第2部品20の少なくともいずれかを、第1面10aに沿って移動させる(第2工程、第2動作)。
【0066】
図6(c)に示すように、第2工程(第2動作)の後に、金属部材30を固体状にする。第1パッド11及び第2パッド21が固体状の金属部材30により、互いに電気的に接続された第2状態ST2が形成される(第3工程、第3動作)。
【0067】
図6(c)に示すように、第2状態ST2における第1幾何学的重心11cと、第2状態における第2幾何学的重心21cと、の間の第1面10aに沿う方向における第2距離d2は、第1距離d1よりも短い。換言すると、第1距離d1は、第2距離d2よりも長い。これにより、ボイド35が抑制される。これにより、低抵抗な接続が可能となる。
【0068】
図7(a)〜図7(c)は、実施形態に係る電子部品の製造方法を例示する模式的断面図である。
図7(a)に示すように、この例においては、金属部材30の一部となる第1金属部材31が、第1部品10の第1パッド11に設けられている。金属部材30の別の一部となる第2金属部材32が、第2部品20の第2パッド21に設けられている。この場合も、図6(a)〜図6(c)と同様の第1〜第3工程(第1〜第3動作)が実施される。ボイド35が抑制される。これにより、低抵抗な接続が可能となる。
【0069】
このように、実施形態においては、第1状態ST1において、金属部材30は、第1パッド11の面上及び第2パッド12の面上のいずれかに設けられたバンプ(第1金属部材31または第2金属部材32)を含む(図1(e)及び図6(a)参照)。
【0070】
実施形態において、第1状態ST1において、金属部材30は、第1パッド11の面上に設けられた第1バンプ(第1金属部材31)と、第2パッド21の面上に設けられた第2バンプ(第2金属部材32)と、を含んでも良い(図7(a)参照)。
【0071】
以下、図1(a)〜図1(g)を再び参照して、第1部品10及び第2部品20の例についてさらに説明する。
例えば、第2基板20sとなる12インチの半導体ウェーハが用意される。半導体ウェーハに、パッド(第2パッド21など)が形成される。例えば、半導体ウェーハの半導体チップ(例えば第2基板20s)の表面に、Ti/Cuなどのシード層(金属膜)が、例えば、スパッタなどにより形成される。Ti膜の厚さは、例えば、0.03μm以上0.5μm以下である。Cu膜の厚さは、例えば、0.1μm以上1.0μmである。シード層は、Ti、Cu、Ni、Cr、Au及びPdの少なくともいずれかを含んでも良い。シード層は、これらの金属の2対状を含む合金を含んでも良い。パッドは、これらの金属の複数の膜を含む複合膜を含んでも良い。パッドとなる金属膜の上に、レジスト(厚さが約80μm)を形成し、所定の形状に加工する。例えば、半導体チップに設けられているAlパッド(図示しない)に対応する位置に、開口(例えば100μmの径)を形成する。開口部分に、例えば、電気めっきにより、Cu膜(厚さが1μm以上10μm以下、例えば5μm)を形成する。例えば、Cu膜が、第2パッド21となる。
【0072】
例えば、電気めっきにより、Cu膜の上に、はんだの層(例えば厚さが約50μm)を形成する。例えば、レジストを剥離し、シード層(Ti/Cu)をエッチングする。Cuのエッチング液は、例えば、硫酸とHとを含む。Tiのエッチング液において、例えば、HFまたはHに、KOHが添加される。電気めっきで形成したはんだにフラックスを塗布後、リフローを行う。これにより、金属部材30(第2金属部材32が得られる。)(図1(b))。
【0073】
金属部材30は、例えば、はんだを含む。はんだは、例えば、Sn、Pb、Ag、Cu、Ni、Au、Bi、In、Sb、Ge及びZnの少なくともいずれかを含む。金属部材30は、これらの2つ以上を含む合金を含んでも良い。金属部材30は、これらの2つ以上の複合膜を含んでも良い。
【0074】
実施形態において、第2パッド21は、半導体チップのAlパッド上に、無電解めっきにより形成されても良い。例えば、無電解めっきにより、Ni/Pd/Auの金属膜が形成される。Ni膜の厚さは、例えば、1μm以上5μm以下である。Pd膜の厚さは、例えば、0.01μm以上1μm以下である。Au膜の厚さは、例えば、0.01μm以上3μm以下である。
【0075】
パッド(例えば第2パッド21)に、はんだボールを搭載することにより、金属部材30(バンプ)を形成しても良い。パッド(例えば第2パッド21)に、はんだペーストを印刷することにより、金属部材30(バンプ)を形成してもよい。半導体チップのAlパッド上に形成するパッド(第2パッド21)の形成には、例えば、電気めっき法、蒸着法及びスパッタ法の少なくともいずれかが用いられても良い。
【0076】
図1(c)に示すように、第1パッド11が形成された第1基板10s(第1部品10)が用意される。第1パッド11は、例えば、Cu、Ni、Au、Pd及びAgの少なくともいずれかを含む。第1パッド11は、これらの2つ以上を含む合金を含んでも良い。第1パッド11は、これらの2つを含む複合膜を含んでも良い。第1パッド11は、これらの2つ以上を含む積層膜を含んでも良い。
【0077】
第1基板10s(第1部品10)は、例えば、シリコン基板、樹脂基板及びセラミック基板の少なくともいずれかを含んでも良い。第1基板10s(第1部品10)は、半導体チップを含んでも良い。
【0078】
図1(d)〜図1(g)に示すように、第2部品20が、第1部品10上に、例えば、フリップボンダ(製造装置110)により、フリップチップ実装される。実装前に、金属部材30、第1パッド11及び第2パッド21の少なくともいずれかに、フラックスが塗布されても良い。
【0079】
例えば、第2部品20(例えば半導体チップ)のはんだバンプ(第2金属部材32)と、第1部品10の第1パッド11とが、位置合わせされる。この後、第1部品10及び第2部品20の少なくともいずれかが所定量だけ移動(シフト)される。搭載時に、荷重が印加されても良い。この状態(図1(d)及び図1(e))において、金属部材30は固体状である。
【0080】
その後、ヘッド60及びステージ50の少なくともいずれかの温度を上げる。これにより、金属部材30の温度が、金属部材30の融点よりも高くなる。これにより、金属部材30が溶融する。このとき、Z軸方向の位置を制御して、第1部品10と第2部品20との間の距離が実質的に一定になるようにしてもよい。
【0081】
ヘッド60及びステージ50の少なくともいずれかを相対的に移動させる。金属部材30が溶融している状態において、ヘッド60及びステージ50の相対的な位置関係を変化させる。すなわち、移動させる(図1(f)参照)。金属部材30が溶融している状態で移動させることにより、はんだバンプの形状が安定する。
【0082】
その後、ヘッド60及びステージ50の少なくともいずれかの温度を下げる。これにより、金属部材30により、第1パッド11と第2パッド21とが電気的に接続される(図1(g)参照)。
【0083】
このような方法で作製された電子部品においては、ボイド35の発生が抑制される。電子部品の電気的接続部が、例えば、X線検査装置により観察される。ボイド35は、例えば、実質的に観察されない。
【0084】
所定の位置からシフトさせて第2部品20を第1部品10上に搭載し、その後の移動により、パッドの凹部などに含まれる空気またはフラックス成分などの少なくとも一部が除去されると考えられる。これにより、ボイド35の発生が抑制されると考えられる。
【0085】
実施形態において、図1(g)に例示した状態の後に、第2部品20と第1部品10との間に、樹脂が充填されても良い。例えば、アンダーフィル樹脂が充填される。例えば、モールド樹脂が充填される。アンダーフィルの後に、さらに、モールド樹脂でチップ全体を覆ってもよい。
【0086】
上述の工程で作製された電子部品(例えば半導体装置)においては、高い信頼性が得られる。例えば、温度サイクル試験において、−55℃(30min)〜25℃(5min)〜125℃(30min)の温度変化が、1サイクルとされる。電子部品において、3000サイクル後において、接続箇所に、破断の発生は、観察されない。
【0087】
図1(a)〜図1(g)の例においては、例えば、半導体チップ側にはんだバンプが設けられ、基板側にパッドが設けられて、フリップチップ接続が行われる。
【0088】
図6(a)〜図6(c)の例においては、例えば、半導体チップ側にパッドが設けられ、基板側に、はんだバンプが設けられて、同様のプロセスが行われる。
【0089】
図7(a)〜図7(c)の例においては、半導体チップ側と、基板側と、の両方に、はんだバンプが設けられて、同様のプロセスが行われる。
【0090】
既に説明したように、例えば、第1部品10の第1パッド11及び第2部品20の第2パッド21の少なくともいずれかは、凹状でも良い。凹状である場合に、金属部材30(例えば、はんだ)の量が変動した場合においても、良好な接続が得やすい。一方、凹状である場合には、ボイド35が発生し易い。実施形態においては、パッドが凹状である場合においても、ボイド35の発生を抑制できる。
【0091】
パッドが凹状である場合において、凹状部の深さは、例えば、0.5μm以上50μm以下である。深さが0.5μm以上において、金属部材30(例えば、はんだ)の量における変動の許容幅が大きくできる。深さが50μmを超えると、安定した接続が得難くなる。
【0092】
図8(a)及び図8(b)は、実施形態に係る電子部品の製造方法を例示する模式的断面図である。
図8(a)に示すように、この例では、第2部品20は、積層された複数の半導体チップ(半導体チップ26a〜26d)を含む。例えば、基板25の表面に、半導体チップ26a〜26dが積層される。半導体チップ26a〜26dは、ワイヤ20wにより電気的に接続される。半導体チップ26a〜26dどうしの間に、樹脂フィルム26fなどが設けられても良い。半導体チップ26a〜26dどうしの間に液状樹脂を設け、硬化したものを用いても良い。例えば、最上層の半導体チップ(この例では、半導体チップ26d)に、はんだバンプ(金属部材30)が形成される。
【0093】
この例においても、図1(d)〜図1(g)に関して説明した工程と同様の工程が行われる。
【0094】
図8(b)に示すように、この例では、第2基板20sは、積層された複数の半導体チップ(半導体チップ26a〜26d)を含む。第2部品20は、第2基板20sの中に設けられたビア導電部21v(及びビア導電部22v)と、を含む。ビア導電部21vは、第2パッド21と電気的に接続される。ビア導電部22vは、別のパッド22と電気的に接続される。
【0095】
例えば、基板25の表面に、貫通電極(ビア導電部21v及び22vなど)を備えた半導体チップ(半導体チップ26a〜26d)が設けられる。複数の半導体チップの間には、樹脂が設けられても良い。貫通電極(ビア導電部21v及び22vなど)は、例えば、Cu、Ni、Au、Ag、及び、はんだの少なくともいずれかを含んでも良い。貫通電極は、半導体部分のみ(例えばシリコンのみ)を貫通しても良い。この例において、複数の半導体チップが、バンプで互いに接続されても良い。
【0096】
図8(a)及び図8(b)の例において、半導体チップは、例えば、メモリチップ、コントローラチップ、システムLSI、アナログIC、デジタルIC、ディスクリート半導体及び光半導体の少なくともいずれかを含んでも良い。
【0097】
これらの例においても、上記の温度サイクル試験において、3000サイクル後において、接続箇所に、破断の発生は、観察されない。
【0098】
図9は、実施形態に係る電子部品の製造方法を例示する模式的断面図である。
図9に示す例においては、第2部品20は、半導体パッケージである。半導体パッケージの面(第2面20a)に第2パッド21が設けられる。第2部品20(半導体パッケージ)は、例えば、ファンインタイプのウェーハレベルCSP(Wafer level Chip Size Package)である。第2部品20(半導体パッケージ)は、例えば、ファンアウトタイプのウェーハレベルCSPでも良い。
【0099】
この例においても、図1(d)〜図1(g)に関して説明した工程と同様の工程が行われる。上記の温度サイクル試験において、3000サイクル後において、接続箇所に、破断の発生は、観察されない。
【0100】
上記において、第1部品10と第2部品20とを互いに入れ替えても良い。
【0101】
上記のように、第1部品10及び第2部品20の少なくともいずれかは、シリコン基板、樹脂基板及びセラミック基板の少なくともいずれかを含んでも良い。第1部品10及び第2部品20の少なくともいずれかは、積層された複数の半導体チップを含んでも良い。第1部品10及び第2部品20の少なくともいずれかは、基板(第1基板10s及び第2基板20sなど)と、基板の中に設けられたビア導電部(ビア導電部21v及び22vなど)と、を含んでも良い。第1部品10及び第2部品20の少なくともいずれかは、半導体パッケージを含んでも良い。第1部品10及び第2部品20の少なくともいずれかは、抵抗素子、フィルタ素子、コンデンサ素子またはコイル素子のような非能動部品でも良い。
【0102】
例えば、半導体チップのはんだバンプと、基板のパッドと、を接続する際に、はんだバンプ内にボイド35が生じる場合がある。特に、フラックスが用いられる場合に、ボイド35の発生が顕著になる。実施形態においては、例えば、はんだバンプとパッドとが、シフトした状態で搭載され、その後、平面内での移動が行われる。例えば、はんだが溶融している状態で、所定の搭載位置に向けて移動させる。これにより、ボイド35の発生が抑制される。バンプ形状が安定する。例えば、温度サイクル試験における信頼性が向上する。
【0103】
実施形態によれば、低抵抗な接続が可能な電子部品の製造方法及び電子部品の製造装置を提供できる。
【0104】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれは良い。
【0105】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、電子部品の製造装置に含まれるステージ、ヘッド及び制御部、並びに、電子部品の製造方法において使用される第1部品、第2部品及び金属部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0106】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0107】
その他、本発明の実施の形態として上述した電子部品の製造方法及び電子部品の製造装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての電子部品の製造方法及び電子部品の製造装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0108】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
10…第1部品、 10a…第1面、 10s…第1基板、 11…第1パッド、 11c…第1幾何学的重心、 11e…配線、 11i…第1中側領域、 11o…第1外縁領域、 12…パッド、 12e…配線、 13…絶縁層、 13o…開口部、 14…絶縁層、 14o…開口部、 20…第2部品、 20a…第2面、 20s…第2基板、 20w…ワイヤ、 21…第2パッド、 21c…第2幾何学的重心、 21e…配線、 21i…第2中側領域、 21o…第2外縁領域、 21v…ビア導電部、 22…パッド、 22e…配線、 22v…ビア導電部、 23…絶縁層、 23o…開口部、 24…絶縁層、 24o…開口部、 25…基板、 26a〜26d…半導体チップ、 26f…樹脂フィルム、 30…金属部材、 31、32…第1、第2金属部材、 35…ボイド、 50…ステージ、 51…第1温度制御部、 52…孔、 55…撮像部、 60…ヘッド、 61…第2温度制御部、 62…孔、 65…支持部、
70…制御部、 110…製造装置、 Ds…距離、 L…最大値、 ST1、ST2…第1、第2状態、 Vb…ボイドの量(相対値)、 d1、d2…第1、第2距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9