特許第6538802号(P6538802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6538802呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6538802
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3504 20140101AFI20190625BHJP
【FI】
   G01N21/3504
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-208165(P2017-208165)
(22)【出願日】2017年10月27日
(65)【公開番号】特開2018-77222(P2018-77222A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2017年10月27日
(31)【優先権主張番号】10 2016 012 970.0
(32)【優先日】2016年10月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】308011030
【氏名又は名称】ドレーゲルヴェルク アクチェンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Draegerwerk AG & Co.KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ドライアー
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター シュタイナート
(72)【発明者】
【氏名】ベアント−ミヒャエル ディックス
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ−ペーター ヤコビ
【審査官】 伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−081261(JP,A)
【文献】 米国特許第06469303(US,B1)
【文献】 特表2014−509383(JP,A)
【文献】 特開2003−172700(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0330893(US,A1)
【文献】 特開2010−139298(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102010055182(DE,A1)
【文献】 特表2009−526217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/61
G01N 33/48−33/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物の吸気ガスまたは呼気ガス中のガス成分の濃度特定のための装置(1,1’)であって、
放射方向にλ1=2.5μm〜λ2=14.0μmの波長領域で光放射または熱放射の放射(31)を行うために適した構成の放射源(30)と、
前記放射源(30)によって生成された光放射または熱放射を取得するために適した構成の少なくとも2つの検出要素(50,60)を備えた検出システム(40,41)と、
前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)と、
前記放射源(30)の動作の制御および前記少なくとも2つの検出要素(50,60)の信号取得を行うためのコントロールユニット(9)と、
を備えており、
前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)のうち少なくとも1つは、測定ガスによって吸収される赤外線に対して光透過性に構成されており、
前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)のうち少なくとも1つは、前記測定ガスによって吸収されない赤外線に対して光透過性に構成されており、
前記2つの検出要素(50,60)のうち、前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された前記バンドパスフィルタ要素(51,61)のうち少なくとも1つを有する少なくとも1つの検出要素が、前記放射源(30)の放射(31)の方向に対して平行または前記放射源(30)の放射(31)の方向と同一方向に前記放射源(30)を貫通して延在する軸(32)に対して20°〜80°の範囲内の角度(53,63)での角度配置体(52,62)で配置されており、
前記放射源(30)は、面放射源として、膜放射源として、または実質的に平坦に構成された放射面を備えた放射素子(300)として、または実質的に平坦に構成された放射面を備えた発光ダイオード(LED)として構成されており、
前記放射面は、前記放射面全体にわたって実質的に均質に放射(31)するように構成されている、
装置(1,1’)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの各検出要素(50,60)は、前記少なくとも2つの角度配置体(52,62)の間に延在する垂直方向の前記軸(32)から、0.1mm〜10.0mmの範囲内の第1の距離l(34,34’)をおいて配置されており、
前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された前記少なくとも2つの各バンドパスフィルタ要素(51,61)は、前記少なくとも2つの角度配置体(52,62)の間に延在する垂直方向の前記軸(32)から、0.1mm〜10.0mmの範囲内の第2の距離l(35’)をおいて配置されている、
請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記少なくとも2つの検出要素(50,60)と、前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)と、を備えた前記検出システム(41)は、前記放射源(30)と対向する側に、0.1mm〜10.0mmの範囲の第3の距離l(33)をおいて配置されており、前記第3の距離l(33)は、前記少なくとも2つの角度配置体(52,62)間に延在する前記軸(32)の領域内の直接の距離、または前記軸(32)に沿った距離として求められるものであり、
前記放射源(30)は、前記少なくとも2つの角度配置体(52,62)間に延在する前記軸(32)上において、前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)を備えた前記少なくとも2つの検出要素(50,60)間の中央に配置されている、
請求項1または2記載の装置(1)。
【請求項4】
前記少なくとも2つの検出要素(50,60)と、前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)と、を備えた前記検出システム(40)は、前記放射源(30)と同一の側において隣り合って配置されており、
前記放射源(30)に対向し、かつ前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)を備えた前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に対向する側に、面状の光反射性の少なくとも1つの反射要素(39)が、0.1mm〜5.0mmの範囲の第3の距離lをおいて配置されており、前記第3の距離lは、前記少なくとも2つの角度配置体(52,62)間に延在する前記軸(32)の領域内の直接の距離、または前記軸(32)に沿った距離として求められるものである、
請求項1または2記載の装置(1)。
【請求項5】
前記バンドパスフィルタ要素(51,61)は、2.5μm〜14μmの波長領域の透過領域の赤外光の光学フィルタリングを行うように構成されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項6】
前記検出要素(50,60)は、焦電検出器、ボロメータ、半導体検出器、サーモパイルまたはサーモカップルとして構成されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項7】
前記検出システム(40)は、検出要素とバンドパスフィルタ要素とを備えた2つより多くの角度配置体(52,62,72,72’)を、中心点(2)まわりに方形または正方形の角錐台の側面の形態に空間的に配置したものを有する、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項8】
前記検出システム(40,41)は、前記放射源(30)と共に、吸気ガスおよび/または呼気ガスを流すために適した導流要素(100,100’)を構成することにより、測定ガスを前記導流要素(100,100’)内に主流として流して、前記主流においてガス濃度を検出することができる、
請求項1から7までのいずれか1項記載の装置(1,1’)。
【請求項9】
前記検出システム(40)は、前記放射源(30)と共に、吸気ガスおよび/または呼気ガスを流すための部品(97)として適した導流要素(100’’)として構成されていることにより、前記導流要素(100’’)の実質的に中央において主流の一部として、副流またはサイドフローとして前記部品(97)内に流れて前記副流またはサイドフローにおいて検出できるガス量を表す測定ガスが、濃度測定に用いられる、
請求項1から7までのいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項10】
前記検出システム(41)は、前記放射源(30)と共に、前記導流要素(100’’)内の側方に配置される部品(12)として、吸気ガスおよび/または呼気ガスを流すために適した前記導流要素(100’’)内に設けられることにより、前記導流要素(100’’)の実質的に側方の縁部領域において主流の一部としての副流またはサイドフローで前記部品(12)内に流れて前記副流またはサイドフローにおいて検出できるガス量を表す測定ガスが、濃度測定に用いられる、
請求項9記載の装置(1)。
【請求項11】
生物の吸気ガスまたは呼気ガス中のガス成分の濃度特定のための装置(1,1’)であって、
放射方向にλ1=2.5μm〜λ2=14.0μmの波長領域で光放射または熱放射の放射(31)を行うために適した構成の放射源(30)と、
前記放射源(30)によって生成された光放射または熱放射を取得するために適した構成の少なくとも2つの検出要素(50,60)を備えた検出システム(40,41)と、
前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)と、
前記放射源(30)の動作の制御および前記少なくとも2つの検出要素(50,60)の信号取得を行うためのコントロールユニット(9)と、
を備えており、
前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)のうち少なくとも1つは、測定ガスによって吸収される赤外線に対して光透過性に構成されており、
前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)のうち少なくとも1つは、前記測定ガスによって吸収されない赤外線に対して光透過性に構成されており、
前記2つの検出要素(50,60)のうち、前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された前記バンドパスフィルタ要素(51,61)のうち少なくとも1つを有する少なくとも1つの検出要素が、前記放射源(30)の放射(31)の方向に対して平行または前記放射源(30)の放射(31)の方向と同一方向に前記放射源(30)を貫通して延在する軸(32)に対して20°〜80°の範囲内の角度(53,63)での角度配置体(52,62)で配置されており、
前記少なくとも2つの検出要素(50,60)と、前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)と、を備えた前記検出システム(40)は、前記放射源(30)と同一の側において隣り合って配置されており、
前記放射源(30)に対向し、かつ前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)を備えた前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に対向する側に、面状の光反射性の少なくとも1つの反射要素(39)が、0.1mm〜5.0mmの範囲の第3の距離l’をおいて配置されており、前記第3の距離l’は、前記少なくとも2つの角度配置体(52,62)間に延在する前記軸(32)の領域内の直接の距離、または前記軸(32)に沿った距離として求められるものであり、
前記放射源(30)は、面放射源として、膜放射源として、または実質的に平坦に構成された放射面を備えた放射素子(300)として、または実質的に平坦に構成された放射面を備えた発光ダイオード(LED)として構成されており、
前記放射面は、前記放射面全体にわたって実質的に均質に放射(31)するように構成されている、
装置(1,1’)。
【請求項12】
生物の吸気ガスまたは呼気ガス中のガス成分の濃度特定のための装置(1,1’)であって、
放射方向にλ1=2.5μm〜λ2=14.0μmの波長領域で光放射または熱放射の放射(31)を行うために適した構成の放射源(30)と、
前記放射源(30)によって生成された光放射または熱放射を取得するために適した構成の少なくとも2つの検出要素(50,60)を備えた検出システム(40,41)と、
前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)と、
前記放射源(30)の動作の制御および前記少なくとも2つの検出要素(50,60)の信号取得を行うためのコントロールユニット(9)と、
を備えており、
前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)のうち少なくとも1つは、測定ガスによって吸収される赤外線に対して光透過性に構成されており、
前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)のうち少なくとも1つは、前記測定ガスによって吸収されない赤外線に対して光透過性に構成されており、
前記2つの検出要素(50,60)のうち、前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された前記バンドパスフィルタ要素(51,61)のうち少なくとも1つを有する少なくとも1つの検出要素が、前記放射源(30)の放射(31)の方向に対して平行または前記放射源(30)の放射(31)の方向と同一方向に前記放射源(30)を貫通して延在する軸(32)に対して20°〜80°の範囲内の角度(53,63)での角度配置体(52,62)で配置されており、
前記放射源(30)は、面放射源として、膜放射源として、または実質的に平坦に構成された放射面を備えた放射素子(300)として、または実質的に平坦に構成された放射面を備えた発光ダイオード(LED)として構成されており、
前記放射面は、前記放射面全体にわたって実質的に均質に放射(31)するように構成されており、
前記平坦に構成された放射面は、軸(32)に対して垂直であり、
前記放射面は、2.0mm〜10mmの範囲の面積を備える、
装置(1,1’)。
【請求項13】
前記少なくとも2つの各検出要素(50,60)は、前記軸(32)から、0.1mm〜10.0mmの範囲内の第1の距離l(34,34’)をおいて配置されており、
前記少なくとも2つの各バンドパスフィルタ要素(51,61)は、前記軸(32)から、0.1mm〜10.0mmの範囲内の第2の距離l(35’)をおいて配置されている、
請求項12記載の装置(1)。
【請求項14】
前記少なくとも2つの検出要素(50,60)と、前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)と、を備えた前記検出システム(41)は、前記放射源(30)と対向する側に、0.1mm〜10.0mmの範囲の第3の距離l(33)をおいて配置されており、前記第3の距離l(33)は、前記少なくとも2つの角度配置体(52,62)間に延在する前記軸(32)の領域内の直接の距離、または前記軸(32)に沿った距離として求められるものであり、
前記放射源(30)は、前記少なくとも2つの角度配置体(52,62)間に延在する前記軸(32)上において、前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)を備えた前記少なくとも2つの検出要素(50,60)間の中央に配置されている、
請求項13記載の装置(1)。
【請求項15】
前記少なくとも2つの検出要素(50,60)と、前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)と、を備えた前記検出システム(40)は、前記放射源(30)と同一の側において隣り合って配置されており、
前記放射源(30)に対向し、かつ前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に配置された前記少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素(51,61)を備えた前記少なくとも2つの検出要素(50,60)に対向する側に、面状の光反射性の少なくとも1つの反射要素(39)が、0.1mm〜5.0mmの範囲の第3の距離l’をおいて配置されており、前記第3の距離l’は、前記少なくとも2つの角度配置体(52,62)間に延在する前記軸(32)の領域内の直接の距離、または前記軸(32)に沿った距離として求められるものである、
請求項12記載の装置(1)。
【請求項16】
前記バンドパスフィルタ要素(51,61)は、2.5μm〜14μmの波長領域の透過領域の赤外光の光学フィルタリングを行うように構成されている、
請求項13記載の装置(1)。
【請求項17】
前記検出要素(50,60)は、焦電検出器、ボロメータ、半導体検出器、サーモパイルまたはサーモカップルとして構成されている、
請求項13記載の装置(1)。
【請求項18】
前記検出システム(40)は、検出要素とバンドパスフィルタ要素とを備えた2つより多くの角度配置体(52,62,72,72’)を、中心点(2)まわりに方形または正方形の角錐台の側面の形態に空間的に配置したものを有する、
請求項13記載の装置(1)。
【請求項19】
前記検出システム(40,41)は、前記放射源(30)と共に、吸気ガスおよび/または呼気ガスを流すために適した導流要素(100,100’)を構成することにより、測定ガスを前記導流要素(100,100’)内に主流として流して、前記主流においてガス濃度を検出することができる、
請求項13記載の装置(1,1’)。
【請求項20】
前記検出システム(40)は、前記放射源(30)と共に、吸気ガスおよび/または呼気ガスを流すための部品(97)として適した導流要素(100’’)として構成されていることにより、前記導流要素(100’’)の実質的に中央において主流の一部として、副流またはサイドフローとして前記部品(97)内に流れて前記副流またはサイドフローにおいて検出できるガス量を表す測定ガスが、濃度測定に用いられる、
請求項13記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置に関する。呼吸ガス混合気中のガス成分の濃度特定のための装置は特に、患者から吐き出された二酸化炭素の濃度値を特定するために使用される。独国特許発明第10047728号明細書(DE10047728 B4)に、二酸化炭素、笑気および麻酔ガスを測定するためのセンサが記載されている。同文献では、4つの光学フィルタ要素から成る検出システムが示されており、これに対して検出要素が設けられている。フィルタ要素と検出要素とをこのように組み合わせたものは、光線混合システムの周囲に配置されている。かかる光線混合システムをマルチスペクトルセンサに構成したものが、欧州特許第0536727号明細書(EP 0 536 727 B1)に記載されている。このようなセンサシステムは、臨床現場ではたとえばカプノグラフにおいて使用され、また、いわゆるCOメインストリームセンサまたはCOサイドストリームセンサ等においても使用される。米国特許第5261415号明細書(US 5 261 415 B2)に、COメインストリームカプノグラフィセンサが記載されている。呼吸ガスを送るキュベット内にインサート部品が配置されており、このインサート部品にも赤外光測定システムが配置されている。欧州特許第0536727号明細書(EP 0 536 727 B1)から、有効な光線混合を達成するために必要な光学部品の構成および配置が、どの程度複雑になってしまうかが明らかである。この光線混合の役割は、局所的に生じたコンタミネーションを参照チャネルおよび測定チャネルの双方において対称的に作用させることである。このことは、コンタミネーション、水蒸気、および検出要素の経時現象を動作中に持続的に補償できるように、測定チャネルと参照チャネルとの比がどの動作点においても保証するために必要なことである。欧州特許第0536727号明細書に記載されているような解決手段の欠点は、光線混合によって、赤外光を測定キュベット内において複数回偏向および反射しなければならないことにより、信号減衰が生じることである。かかる信号減衰によって、信号雑音比(SNR)が悪くなる。必要な測定値分解能を達成するためには、吸収長を長くすることによって測定現象の増大を補償しなければならない。吸収長が長くなることにより、構造上の構成が大型化する結果となる。光線混合が必要であることと、これに関与する構成要素が多数であることは、さらに、欧州特許第0536727号明細書の形式のマルチスペクトルセンサに係る複雑性の観点と、これら関与する構成要素の公差要求が厳しくなること(公差連鎖)の観点と、これにより製造コストが高くなる観点と、において、悪影響を及ぼすものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
上掲の従来技術と、これについて記載された欠点とを背景として、本発明の課題は、簡単かつ効果的な光線混合と、小さい所要スペースかつ比較的低い製造コストとの点で優れている、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分のガス濃度特定のための装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
前記課題は、請求項1の発明特定事項を具備する、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置によって解決される。
【0004】
従属請求項から、本発明の有利な実施形態が明らかであり、以下の記載においてこれらの実施形態について、部分的に図面を参照して詳細に説明する。
【0005】
本発明では、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置において、以下の構成要素が設けられている:
・λ1=3000nm〜λ2=10000nmの波長領域の光放射または熱放射の放射に適した構成の放射源と、
・放射源によって生成された光放射または熱放射を取得するために適した構成の少なくとも2つの検出要素と、
・検出要素に配置された少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素と、
・コントロールユニット。
【0006】
放射源から放射された光は、当該放射源の放射面から実質的に直角の放射方向で、本装置の垂直軸の方向に放出される。
【0007】
放射源のλ1=2.5μm〜λ2=14.0μmの波長領域によって、笑気濃度、二酸化炭素濃度の赤外光測定、また、たとえば揮発性麻酔ガスまたはメタン等の種々の炭化水素の赤外光測定を行うことができる。
【0008】
検出要素はたとえば半導体検出器、焦電検出器(パイロディテクタ)、熱電検出器(サーモパイル、サーモカップル)として、熱型検出器(ボロメータ)として、また、半導体検出器と熱型検出器との組合せとしても構成される。検出要素は、赤外線波長領域の赤外線の場合に光を検出するように構成されている。この赤外線波長領域は典型的には、ガスによる吸収、たとえば二酸化炭素による吸収が生じる波長領域である。
【0009】
バンドパスフィルタ要素はたとえば、基板上に設けられた干渉層の形態の光干渉フィルタとして構成されている。これは、決まった波長領域の光を送出する。
【0010】
バンドパスフィルタ要素の配置は、放射源から放射された赤外線が直接的な光路で、または、たとえば光路上の反射要素またはミラーシステムを用いて赤外線を偏向することによって迂回する光路で、検出要素の上流のバンドパスフィルタ要素を通過するようになされている。少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素のうち少なくとも1つは、測定ガスによって吸収される波長領域の赤外線に対して光透過性に構成されている。
【0011】
このバンドパスフィルタ要素が配置された検出要素は、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置におけるいわゆる測定チャネルとなる。
【0012】
少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素のうち少なくとも1つは、測定ガスによって吸収されないかまたはほとんど吸収されない波長領域の赤外線に対して、光透過性に構成されている。
【0013】
このバンドパスフィルタ要素が配置された検出要素は、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置におけるいわゆる参照チャネルとなる。
【0014】
測定ガス(「ターゲットガス」とも称されることが多い)は、たとえば二酸化炭素または笑気、また、たとえばメタンまたは揮発性麻酔ガス等の多数の気体有機化合物、たとえばハロタン、イソフルレン、デスフルラン、エンフルレン等である。
【0015】
呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置では、コントロールユニットを用いて測定チャネルおよび参照チャネルの各測定値が取得され、互いに比較される。通常は、測定チャネルの取得された測定値と参照チャネルの取得された測定値とから商が形成され、この商が、濃度特定のための装置における測定ガスの濃度を表す尺度、すなわち、光路上に存在するガス量の濃度の尺度を示唆するものとなる。
【0016】
放射源ないしはその放射軸を基準とした、少なくとも2つの検出要素およびバンドパスフィルタ要素の空間的配置は、2つの検出要素のうち、少なくとも2つの検出要素に配置されたバンドパスフィルタ要素のうち少なくとも1つを有する少なくとも1つの検出要素が、放射源の放射の方向に対して平行または当該放射源の放射の方向と同一方向に当該放射源を貫通して延在する軸に対して5°〜80°の範囲内の角度での角度配置体で配置されるようになされている。
【0017】
その際には、少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素が配置された少なくとも2つの検出要素は、放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対する少なくとも2つの角度配置体となる。少なくとも2つの検出要素と、当該少なくとも2つの検出要素に配置されたバンドパスフィルタ要素とを備えた、上述の2つの角度配置体は、1つの検出システムを構成する。少なくとも2つの角度配置体は、放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対して、当該放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸が当該少なくとも2つの角度配置体の間に延在するような角度で配置されている。
【0018】
その際には、角度配置体のうち少なくとも1つの角度配置体は、放射源の放射平面に対して平行な向きでは配置および構成されておらず、放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対して、当該放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸が当該少なくとも2つの角度配置体の間に延在し、かつ当該少なくとも1つの角度配置体が、当該放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対して角度を成して斜めになるような角度で配置されている。
【0019】
有利な一実施形態では、角度配置体のうち少なくとも1つの角度配置体は、放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸が当該少なくとも2つの角度配置体の間に延在するように、かつ当該少なくとも1つの角度配置体が、当該放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対して90°の角度で直角に配置されるように、当該放射源の放射平面に対して平行な向きで配置されている。
【0020】
特殊な一実施形態では、少なくとも2つの角度配置体の全てが、当該放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対して、放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸が当該少なくとも2つの角度配置体の間に延在するように、かつ当該少なくとも2つの角度配置体がいずれも、当該放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対してそれぞれ角度を成して斜めになるような角度で配置されている。その際には、放射源の放射平面から垂直方向に少なくとも2つの角度配置体間に延在する軸に対する少なくとも2つの各角度配置体の角度の各傾きは相違することができ、または略等しいことが可能である。したがって、少なくとも2つの角度配置体のうち一方については、当該少なくとも2つの角度配置体間において放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対して60°とし、少なくとも2つの角度配置体のうち他方については30°とすることができ、また、少なくとも2つの両角度配置体について45°とすることもできる。
【0021】
少なくとも2つの角度配置体の上述の構成によって、当該少なくとも2つの角度配置体が相互に斜めになる。このように斜めであることは、少なくとも2つの検出要素間の、放射源から検出要素までの光路間に、重なり領域が生じるという利点を奏する。
【0022】
当該重なり領域は、検出要素の配置の平面から鉛直方向に、放射源の方向に得られる。上述の角度に起因して、たとえばガス分子、水蒸気、凝縮水または他の不純物、たとえば塵埃等が、両検出要素の光路上に存在することとなり、水蒸気、凝縮水または他の不純物によって測定信号に及ぼされる影響が、たとえば測定値の振幅減衰として、測定チャネルおよび参照チャネルのいずれにおいても現れる。このことから、参照チャネルの信号と測定チャネルの信号との比を形成することにより、水分(水蒸気、凝縮水)または他の不純物の影響を消失させることができる。測定チャネル検出要素/バンドパスフィルタ要素および参照チャネル検出要素/バンドパスフィルタ要素の角度配置体の相互間の各角度の選択と、当該少なくとも2つの角度配置体間に延在する軸に対する各角度配置体の角度の選択との双方によって、重なりの領域を画定することができる。
【0023】
放射源と角度配置体との間の垂直方向の距離の選択と協働して、重なり領域の構成を空間的寸法と、面状の重なりと、測定ガスの有効重なり容積とによって、さらに変化させて定めることができる。
【0024】
角度配置体と垂直方向の距離との上述の構成により、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置において、たとえば、測定対象の測定ガスの吸収特性を考慮することができ、なおかつ、測定ガスの所望の濃度測定範囲を調整できるという利点が奏される。
【0025】
有利な一実施形態では少なくとも2つの各検出要素は、少なくとも2つの角度配置体の間の有利には中間に延在する垂直軸から、0.1mm〜10mmの範囲内の第1の距離lをおいて配置されている。
【0026】
有利な一実施形態では少なくとも2つの各検出要素に配置された少なくとも2つの各バンドパスフィルタ要素は、少なくとも2つの角度配置体の間の有利には中間に延在する垂直軸から、0.1mm〜10mmの範囲内の第2の距離lをおいて配置されている。
【0027】
有利な一実施形態では、少なくとも2つの角度配置体は、相互間に0.1mm〜10mmの範囲の距離をおいて配置されている。
【0028】
さらに有利な一実施形態では、少なくとも2つの検出要素と、当該少なくとも2つの検出要素に配置された少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素とを備えた検出システムは、放射源と対向する側に、0.1mm〜10.0mmの範囲の第3の距離lの場所に配置されている。この第3の距離lは、少なくとも2つの角度配置体間に延在する軸の領域内の直接の距離、または当該軸に沿った距離として求められるものである。
【0029】
有利な一実施形態では、少なくとも2つの検出要素と、当該少なくとも2つの検出要素に配置された少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素とを備えた検出システムは、放射源と同一の側に隣り合って配置されており、放射源は、少なくとも2つの角度配置体間に延在する軸上に、少なくとも2つの検出要素に配置された少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素を備えた当該少なくとも2つの検出要素間の中心に配置されている。
【0030】
本実施形態では、放射源に対向し、かつ少なくとも2つの検出要素に配置された少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素を備えた当該少なくとも2つの検出要素に対向する側に、光反射性の、有利には面状の少なくとも1つの反射要素が、0.1mm〜5.0mmの範囲の第3の距離l3’の場所に配置されている。この第3の距離l3’は、少なくとも2つの角度配置体間に延在する軸の領域内の直接の距離、または当該軸に沿った距離として求められるものである。
【0031】
バンドパスフィルタ要素は、2.5μm〜14μmの波長領域の透過領域の赤外光の光学フィルタリングを行うように構成されている。
【0032】
よって、上述のバンドパスフィルタ要素を用いることにより、以下の表1に示されたようなガスに対応する透過領域を得ることができる。
【0033】
【表1】
【0034】
笑気、ハロタン、イソフルレン、セボフルランおよびデスフルランのガスは、麻酔を行っている間、たとえば外科処置を行うときに患者に麻酔をかけるために使用され、アセトンは、患者の可能な代謝生成物として得られるものであるから、たとえば糖尿病患者の呼気中に含まれている。エタノールは、たとえばアルコールを摂取した患者の場合に呼気中に存在し得るものである。
【0035】
放射源は、さらに有利な一実施形態では、面放射源として、または膜放射源として、または実質的に平坦な放射面を有する発光ダイオード(LED)として構成されている。平坦な放射素子を備えた上述の面放射源もしくは膜放射源または発光ダイオード(LED)は、放射面全体にわたって均質な放射を行うため、実質的に平坦な放射面を有するように構成されている。
【0036】
面放射源または膜放射源の放射面、および発光ダイオードの実質的に平坦に構成された光出射面の放射面はいずれも、有利には2.0mm〜10mmの範囲内である。
【0037】
さらに有利な一実施形態では、検出要素はサーモパイルまたはサーモカップルとして構成されている。
【0038】
さらに有利な一実施形態では、検出要素は半導体検出器として、たとえばInAsSb検出器(インジウムヒ素アンチモン検出器)として構成されている。
【0039】
さらに有利な一実施形態では、検出要素は焦電検出器として構成されている。
【0040】
さらに有利な一実施形態では、検出要素はボロメータとして構成されている。
【0041】
サーモカップル、サーモパイル、焦電検出器およびボロメータの利点としては、これらは低コストで製造することができ、熱型検出器として3〜10μmの幅広い波長領域において使用できることが挙げられる。
【0042】
半導体検出器の利点としては、その測定感度を所望の波長領域に非常に良好に合わせて調整できることが挙げられる。
【0043】
さらに有利な一実施形態では、2つより多い複数の検出要素にそれぞれバンドパスフィルタ要素を配置したものが、共に1つの中心点まわりに円形配置または方形配置となるように、たとえば角錐台形の側面の方形配置となるように配置される。
【0044】
上述の角錐台形の形状は、これがいわば漏斗体として角錐台形を逆さにした形状、またはクローバーの葉もしくはチューリップの花の形状を有するようになっている。さらに有利な本実施形態の特殊な一態様では、検出システムは、検出要素とバンドパスフィルタ要素とを備えた4つの角度配置体を、方形または正方形の角錐台の4側面の形態に空間的に配置したものを有する。かかる態様により、たとえば参照チャネルを参照する3つの測定チャネルを用いることにより、複数の測定ガスを含む測定結果を取得することができる。
【0045】
たとえば、上述の構成によって有利には、参照チャネルを参照する、二酸化炭素(CO)、笑気(NO)および揮発性麻酔ガス、たとえばハロタン(CHBrClF)、イソフルレン(COClF)の測定が、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための1つの装置で実現することができる。
【0046】
さらに有利な一実施形態では、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置において、検出システムと放射源とが、吸気ガスおよび/または呼気ガスを流すために適した、流路内での導流のための導流要素を構成する。導流要素内には吸気ガスおよび/または呼気ガスが主流として流され、放射源と、2つの検出要素およびこれらに配置されたバンドパスフィルタ要素を備えた少なくとも2つの角度配置体との間の光路を通過する。本実施形態では、ガス濃度の検出はこの主流で行われる。
【0047】
かかる実施形態の一態様は、たとえば、患者の口領域に直接配置されるものとしての、患者の呼気ガス中の二酸化炭素測定のための装置であり、これはしばしば、いわゆる「メインストリームCOセンサ」とも称されることが多い。
【0048】
上述の実施形態の他の一形式は、たとえば、二酸化炭素および他の呼気ガス、特に麻酔ガスを測定するための分析装置である。この測定は患者の呼気ガスにおいて、分析装置に配置されたポンプによって口領域において直接、口領域から小径のホースを介して分析装置へガス量を連続的に吸い出し、または移送して、当該ガス量のガス組成およびガス濃度を分析する構成体を用いて行われる。かかる測定手法はしばしば、いわゆる「吸出式ガス測定」、またはいわゆる「サイドストリーム麻酔ガスモニタリング」とも称されることが多い。
【0049】
さらに有利な一実施形態では、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置は、流路内にて導流を行うための導流要素を備えており、この流路内部または流路外部に、検出システムと、放射源と、光反射要素とが配置されている。導流要素は、流路内に突出している部品を備えている。この部品内に吸気ガスおよび/または呼気ガスの一部が導流要素において副流またはサイドフローとして流され、光反射要素と、2つの検出要素およびこれらに配置されたバンドパスフィルタ要素を備えた少なくとも2つの角度配置体との間の光路を通過する。本実施形態では、ガス濃度の検出は副流またはサイドフローにおける主流のこの一部で行われる。
【0050】
上述の構成の部品(たとえばいわゆるT字部品の形態)は、導流要素の中央におけるガス量を表す測定ガスが濃度測定のために使用されるように、導流要素内の中央において主流の一部を流すことができる。
【0051】
上述の構成の部品(たとえば、導流要素の側方に配置されたインサート部品または導流要素の縁部に設けられたスライド挿入部品の形態)は、導流要素の側縁部におけるガス量を表す測定ガスが濃度測定のために使用されるように、導流要素内の中央において主流の一部を流すことができる。
【0052】
麻酔環境下でのガス測定の適用に際しては、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置のサイズが果たす役割は(特に「サイドストリーム」使用時において)決して小さくない。放射源と検出要素ないしはバンドパスフィルタ要素との間の距離lを0.1mm〜10mmの有利な範囲内とすること、および放射源と反射要素(ミラー)との間の距離l3’を0.1mm〜5.0mmの範囲内とすると共に、2.0mm〜10.0mmの有利な範囲内の放射面を有する放射源、0.5mm〜20mmの有利な範囲内の面積を有する検出要素(ボロメータ、マイクロボロメータ、マイクロボロメータアレイ、焦電検出器、サーモカップル、サーモパイル、半導体検出器)およびバンドパスフィルタ要素の各サイズと、10mm未満の有利な範囲内の距離をおく少なくとも2つの検出要素の相互間の配置とによって、0.4ml未満の範囲内、たとえば0.05ml〜0.2mlの小さい測定容積を有する、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置のサイズが可能になる。
【0053】
装置に配置されたポンプを用いて50ml/min〜200ml/minの吸出体積流量で行われる「吸出式ガス測定」の場合、ここで呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置において測定容量の交換にかかる時間は0.1s〜0.5sとなる。
【0054】
毎分約6回〜24回の範囲内である人間の呼吸数(毎秒0.1〜0.4回に相当)と比較して、本発明により開示された、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置は、サンプリングレートの適切な選択も共に行うことにより、呼吸ガス中の濃度変化を1呼吸ごとの分解能の測定データとして取得できる時間分解能を可能にするものである。
【0055】
一般的に、また、たとえば副流またはサイドフローを導流するための部品としての上述のT字部品の形態であるいわゆる「メインストリーム測定」についても、距離によって小さい測定容量を可能にするだけでなく、検出要素と放射源との間の光路長も短く抑えることができるので、サイズはさらに重要な役割を果たす。これによって、信号雑音比(SNR)が良好である十分な信号レベルを示す測定データを検出要素において取得できるようになり、これによって、ロバストな信号品質で高い測定感度が達成され、これと共に、適切な増幅回路と高品質のアナログデジタル変換器(A/Dコンバータ)とを用いることによって、たとえば16ビット以上の分解能の量子化(20ビット、24ビット)による十分にノイズフリーの高い測定分解能が可能になる。
【0056】
測定チャネルと参照チャネルとが重なり合うことにより、有利には、たとえば測定ガス温度変化、不純物、水蒸気、水分、放射源または反射要素の汚れ等の、測定チャネルと参照チャネルとの双方に対して同様に影響を及ぼす現象の、1呼吸ごとの分解能の取得された測定データが、後続の信号処理や測定データ補正の非常に面倒な処理、たとえば外部調達された水分データおよび/または温度データに基づく水分補償および/または温度補償等を行わずに、直接的に、かつ実際の物理的な測定の時点でリアルタイムに得ることができるようになる。
【0057】
ここで記載されている各実施形態は、各自で、また相互間での組合せにおいても、呼吸ガス混合気中のガス成分の濃度特定のための装置の具体的な実施形態となる。本発明の実施形態の全ての可能な組合せがそれぞれ詳細に記載されていなくても、全ての実施形態、および複数の実施形態の組合せによって実現される他の可能な実施形態、およびその利点も同様に、本発明の思想に共に包含される。
【0058】
以下、下記の図面と当該図面の説明とを参照して、本発明の一般的思想を限定することなく、本発明について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1a】濃度特定のための装置の第1の概略図である。
図1b】濃度特定のための装置の他の第2の概略図である。
図1c図1aまたは図1bの濃度特定のための装置の一態様を示す概略図である。
図2】導流要素における濃度測定のための装置の配置を示す図である。
図3】導流要素における濃度測定のための装置の他の一配置を示す図である。
図4】濃度特定のための装置が設けられた導流要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1aは、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置1の第1の概略図である。図中の装置1は、放射素子300を有する放射源30を備えている。垂直方向の距離l33をおいて放射源30に対向して、検出要素50および検出要素60が配置されている。検出要素50,60にはバンドパスフィルタ要素51,61が配置されている。バンドパスフィルタ要素51,61は有利には、放射源30から放射された、予め決まった波長領域の放射31を通過させるバンドパスフィルタ要素として構成されている。図1aでは、垂直方向の参照軸32と水平方向の参照軸36とを有する座標系が示されており、各構成要素の相互間の位置の記述と、空間における位置と、については、この座標系を参照する。したがって、放射源30からの放射31は、水平方向の参照軸36に対して平行である、水平方向の放射平面37から出ていく。
【0061】
コントロールユニット9が設けられており、これは制御線路93,93’を用いて放射素子300に接続されている。さらに、コントロールユニット9は、制御線路96,96’を用いて検出要素60に接続されている。また、コントロールユニット9は制御線路95,95’を用いて検出要素50にも接続されている。検出要素50と、これに対して設けられているフィルタ要素51と、は、1つの角度配置体52を構成する。検出要素60と、これに対して設けられているフィルタ要素61と、は、1つの角度配置体62を構成する。角度配置体52と62とが合わさって1つの検出システム40を成し、これは、放射源30およびコントロールユニット9と共に、ガス成分の濃度特定のための装置1を機能的に構成する。垂直軸32および水平方向の参照軸36を基準とする検出システム40の配置は、角度配置体52,62の距離および角度によって定まる。
【0062】
角度配置体52は図1aでは、水平方向の参照軸36と水平方向の放射平面37との双方に対して平行な配置で設けられている。よって、角度配置体52と垂直方向の参照軸32との角度α53は90°になる。検出システム40では、検出要素50から中心軸32まで水平方向の距離l34がある。検出システム40では、検出要素60から中心軸32まで距離l34’がある。検出システム40では、バンドパスフィルタ要素51から中心軸32まで距離l35がある。検出システム40ではさらに、フィルタ要素61から中心軸32まで距離l35’がある。角度配置体52が中心軸32に対して90°の角度に配置されていることから、検出要素50とフィルタ要素51とについては、中心軸32までの距離l34およびl35が等しい。
【0063】
角度配置体62は、中心軸32に対して角度α63で斜めに設けられている。角度α63は、中心軸32に対して90°より顕著に小さい角度範囲内で規定されている。検出要素60とフィルタ要素61とを備えた角度配置体62が角度α63で傾いていることにより、放射源30と検出システム40との間の垂直方向の距離l 33に沿って当該放射源30から放射された放射31について、放射31の重なり領域65が生じる。この重なり領域65は、角度配置体62の平面から鉛直方向に、放射源30の方向に得られる。角度α53およびα63によって、たとえばガス分子または凝縮水(水蒸気または水滴等の水分)400について、放射源の放射31がこのガス分子400を通過して、このときに検出要素50および検出要素60のいずれに対しても放射31として働く状況が生じる。図1aではガス分子または凝縮水400は、一例として中心軸32上において放射源30の付近に示されている。このことによって、たとえば水分(凝縮水)400が検出要素50および検出要素60の双方に対して同様に放射を減衰させることが保証される。このことから、検出要素50の信号と検出要素60の信号との比を形成することにより、水分の影響を消失させることができる。角度α53および角度α63の相互間の選択と、垂直方向の中心軸32に対する両角度α53およびα63の選択と、により、重なりの領域を画定することができる。放射源30と検出システム40との間の垂直方向の距離l 33の選択も共に行うことにより、重なり領域65の寸法がさらに画定される。
【0064】
コントロールユニット9は、適切な電子部品11(増幅器、アナログデジタル変換器、マイクロコントローラ)を使用して検出要素50,60の信号を処理して出力信号99を出力する。この出力信号99は、検出要素50,60によって取得された信号と、これらの取得された信号の比と、を表すものであり、よって、当該両信号ないしは信号比から導出されるガス濃度を表すものでもある。
【0065】
図1bは、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置1’の他の第2の概略図である。図1aと図1bとにおいて同一の要素には、図1bにおいて、図1a中の対応する同種の要素と同一の符号を付している。
【0066】
図1bは、図1aを変更した態様を、他の第2の概略図で示すものである。図1aとの相違点として、図1bでは放射源30は、光学部品および検出器と同一の側に配置されている。図中の装置1’は、放射素子300を有する放射源30を備えている。放射源30に直接隣接して、検出要素50および他の検出要素60が配置されている。検出要素50,60にはバンドパスフィルタ要素51,61が配置されている。放射源30に対向して、反射光学系として反射器39、たとえば平面鏡が配置されている。反射器39は、放射源30から放射された放射31に対してミラーとして作用し、反射される放射31’をバンドパスフィルタ要素51,61および検出要素50,60に向けて反射させる。バンドパスフィルタ要素51,61は、予め決まった波長領域の光を通過させる。図1bでは、垂直方向の参照軸32、水平方向の参照軸36を有する座標系が示されている。これらの軸は、図1aの説明と同様に、各構成要素の相互間の位置および空間内における各位置の参照として使用される。コントロールユニット9が設けられており、これは放射源30の放射素子300に接続されている。コントロールユニット9と検出要素60,50とを接続するために制御線路93,93’ないしは96,96’および95,95’を用いた本構成は、図1aと、対応する説明とに記載の構成に相当し、これらを参照されたい。検出要素50と、これに対して設けられているフィルタ要素51と、は、1つの角度配置体52を構成する。検出要素60と、これに対して設けられているフィルタ要素61と、は、同様に1つの角度配置体62を構成する。これらの角度配置体52,62は、放射源30と共に1つの検出システム41を成し、これは、コントロールユニット9および反射器39と共に、ガス成分の濃度特定のための装置1’を機能的に構成する。軸32,36を基準とする検出システム41の配置は、角度配置体52,62の距離および角度によって定まる。検出システム41では、検出要素50から中心軸32まで水平方向の距離l34がある。検出システム41では、検出要素60から中心軸32まで距離l34’がある。検出システム41では、バンドパスフィルタ要素51から中心軸32まで距離l35がある。検出システム41ではさらに、フィルタ要素61から中心軸32まで距離l35’がある。
【0067】
図1bでは、角度配置体52は中心軸32に対して角度α53で、角度配置体62は中心軸32に対して角度α63で、それぞれ傾いて設けられている。
【0068】
角度α53およびα63は、中心軸32に対して90°より顕著に小さい角度範囲となっている。角度α63およびα53は、図1bでは一例としてそれぞれ異なる角度の大きさで設けられているが、本発明の思想には、α63とα53とを中心軸32に対して等しい角度の大きさにできることも包含されている。検出要素50とフィルタ要素51とを備えた角度配置体52が角度α53で傾いており、かつ検出要素60とフィルタ要素61とを備えた角度配置体62が角度α63で傾いていることにより、放射源30と検出システム41との間の垂直方向の距離に沿って当該放射源30から放射された放射31について、反射器39を用いた反射により、反射された放射31’の重なり領域が生じる。角度配置体52,62は、水平方向の参照軸36と中心軸32と、当該水平方向の参照軸36に対して平行に配置された、水平方向の光反射平面37’と、を基準として設けられている。角度配置体52および62に基づいて得られる重なり領域によって、たとえば反射された放射31内において反射器39の付近に存在する不純物または凝縮水が、検出要素50と検出要素60との双方に同様に放射に影響を及ぼす、すなわち、場合によっては放射を減衰することとなる。このことから、図1aにおいて説明したように、検出要素50の信号と検出要素60の信号との比から、水分400(図1a)または不純物の影響を消失させることができる。重なり領域は、角度α53および角度α63の相互間の選択と、垂直方向の中心軸32に対する両角度α53およびα63の選択と、によって画定することができる。図1aとの相違点として図1bでは、反射器39までの放射31の経路と、検出要素50,60までの反射された放射31’の反射経路と、について、光路が延長されており、最も簡単な事例では2倍になっている。このように光路が延長している結果、検出要素50,60に入射した光線が、図1aより小さい強度となる。このことによって、図1bにおいてガス成分の濃度特定のための装置1’の感度に差異が生じる。コントロールユニット9における検出要素50,60の信号の処理は、適切な電子部品11を用いて、図1aにおいて説明したのと同様の態様で行われる。コントロールユニットは、検出要素50,60の信号または検出要素50,60の信号の比を表す出力信号99を出力する。よって出力信号99は、検出要素50,60の取得した信号に基づいて当該信号から導出されるガス濃度を後続処理へ、たとえば表示ユニット94(図2)へ提供するものである。
【0069】
図1cは、図1aまたは図1bの濃度特定のための装置の一態様を示す概略図である。図1a,図1bと図1cにおいて同一の要素には、図1cにおいて、図1aおよび図1b中の対応する同種の要素と同一の符号を付している。
【0070】
図1cは、図1aまたは図1bの発展形態を示す図である。図1aないしは図1bは、反射器37を備えた検出要素50,60、放射源30の構成と、反射器37を有しない検出要素50,60、放射源30の構成と、の2つの基本的な態様を示している。図1cは、ガス測定のための装置として2つの検出要素50,60のみが示されているだけではなく、全体的に2つより多くの検出要素が円形構成または方形構成に並んで配列されている一態様を示している。複数の検出要素を備えた上述の構成により、複数の測定ガス、たとえば3つ以上のガスと、当該各測定ガスに対して設けられた3つ以上の検出要素と、を用いる測定が、参照を基準として参照検出要素を用いて行うことができることとなる。幾何学的形態として図1cでは、方形ないしは正方形の底面ないしは錐台面を有する角錐台形を逆さにした形状である漏斗形が示されている。
【0071】
これについては、図1cは以下の構成となっている。
【0072】
中心点2まわりに全部で4つの角度配置体52,62,72,72’の構造的な構成は、中心軸32に対して角度α52、α62、α73、α3’73’で斜めの配置でなされている。図1cの空間的構成を明確に見やすくするため、水平軸36ならびに36’および垂直軸32は、図1cではそれぞれ角度配置体52,62,72,72’に配置されているのが示されている。軸32,32’,36,36’は、図1aおよび図1bと同一の空間座標系を示している。
【0073】
図1bに基づく図1cの、ガス成分の濃度特定のための装置1’を備えた構成では、放射源30が角度配置体52,62,72,72’の間の中央に配置されているのが、破線で示されている。図1cでは示されていないが、この放射源30に対向して反射要素も設ける必要がある。かかる構成は、図1bに示されているように、放射源30に対向する壁に水平方向の光反射平面37’(図1b)が来るように反射器39(図1b)を配置することによって達成される。放射源30はここでは、放射素子300が中心点2に直接来るように示されており、この放射素子300は、同図ではコイル体として破線で示されている。
【0074】
図1aに示されているガス成分の濃度特定のための装置1を備えた図1cの構成では、中心点2に設けられる放射源30は省略されている。かかる構成では、放射源は角度配置体52,62,72,72’に対向して配置されており、中心点2まわりの領域には測定技術的または光学的な構成要素(52,62,72,72’,30)は配置されていない。これに代えて、中心点2まわりのこの領域を空けておかない構成も可能である。その際には、この領域に他の角度配置体を設けることができる構成を一態様として設けることができる。この他の角度配置体は図1cでは詳細に示されていないが、検出要素とフィルタ要素とを備えたあらゆる構成を包含しており、参照検出要素として、水平面36ないしは36’に対して平坦に配置されている。かかる他の角度配置体は、たとえば参照信号を生成するために使用することができる。これにより、角度配置体52,62,72,72’を用いて、他の4つの検出要素間の中央に配置された1つの参照検出要素を参照して、3つではなく4つの異なるガスを検出できる態様が達成される。これにより、参照検出要素を用いて、当該参照検出要素と4つ全ての角度配置体52,62,72,72’との同一の重なり領域65(図1a)(図1cでは概観しやすくするため示されていない)によって、妨害の補償が達成される。
【0075】
このことによって有利には、妨害、不純物、凝縮水、および放射中に存在する他の不純物が、3つ全ての測定信号と参照信号とについて同様に作用する実施形態が達成され、これにより、これらの影響の最大限の補償が達成される。
【0076】
図2図3図4は、導流要素における図1a,図1b,図1cの濃度特定のための装置の配置を示している。図2図3図4については、互いに共通する構成に関しては同じ図面説明で、また相違点に関しても説明する。
【0077】
図2図3図4図1a,図1b,図1cとにおいて同一の要素には同一の符号を付しており、図2図3図4図1a,図1b,図1cとにおいて対応する同種の要素についても同様である。
【0078】
図2には、導流要素100内に設けられたガス成分の濃度特定のための装置1’(図1b)が示されている。導流要素100は、ガス量80を有する流れを、装置1’(図1b)による測定に供するために構成されている。角度配置体52,62が放射源、放射要素とコントロールユニット9とに接続されているのが示されている。放射源とコントロールユニット9とを備えた角度配置体52,62は保持要素97に配置されており、この保持要素97はシーリング部材98を用いて導流要素100に結合されている。図2に示されている構成の動作については、図1bについて説明した通りである。
【0079】
図4には、流路100’’にガス成分の濃度特定のための装置1’を設けた、図2と同様の配置が示されている。同図でも保持要素97が設けられており、この保持要素97はシーリング部材98を用いて導流要素100’’内に入れられている。図4では図2と異なり、導流要素100’’では、導流要素100’’内に流れるガス量のうち副流またはサイドフローの形態の部分量のみが、ガス成分の濃度特定のための装置1’(図1b)内に達する。よって同図4は、いわゆるバイパスでの測定を示すものである。図4では、放射源30と対向する側に図2と同様に反射器39’が配置されており、この反射器39’は、同図では湾曲した形態で示されており、保持要素97の一部として配置されている。
【0080】
図4では、バイパス路内の副流またはサイドフロー中のガス成分の濃度特定のための装置1’(図1b)が、保持要素97をインサート部品として導流要素100’’(「T字部品」の形態に構成されている)内に取り付けて、当該導流要素100’’のほぼ流れ中央に、すなわち導流要素100’’の実質的に中心に配置されており、測定技術により働く。これに代えて、またこれと共に、図4では、ガス成分の濃度特定のための装置1’(図1b)を流れ中央ではなく導流要素100’’の縁部領域に配置して測定技術により働かせる、保持要素97の配置も示されている。これにより、導流要素100’’の縁部領域の周囲流の領域におけるバイパス路の構成が達成される。
【0081】
図3には、図2および図4とは異なり、図1aに示したガス成分の濃度特定のための装置1が流路100’内に設けられているのが示されている。放射源30は、導流要素100’の、2つの角度配置体52,62と対向する側に配置されている。検出システム52,62と放射源30とは、導流要素100の、流れ断面がベンチュリ管の形状に縮小している場所に、対向するように配置される。図3の本構成では、2つの側からコントロールユニット9の要素を設ける必要がある。このことによって、検出要素50,60を備えた角度配置体52,62(図1a)を動作させて信号を増幅することが可能になる。コントロールユニット9はさらに、放射源30の駆動制御および出力信号99の出力のためにも使用される。
【0082】
図2図3図4では、上記にて図1aおよび図1bで説明したように、取得されたガス濃度を表す出力信号99が設けられている。
【0083】
図3および図2の両図は、図4とは異なり、ガス量80のガス濃度の測定をバイパス流においてではなく、主流において直接行うように構成されている。図2には、医療機器200および表示ユニット94がそれぞれオプションの構成要素として破線で示されている。これらのオプションの構成要素は、出力信号99を後続の処理や使用に供することができる手段例である。
【0084】
図3および図4には上述のオプションの構成要素200,94は示されていないが、本発明の思想により、図3および図4の構成にも同様に採用できるとみなすべきものである。
【符号の説明】
【0085】
1,1’ ガス成分の濃度特定のための装置
2 中心点(軸32’および36’の交点)
9 コントロールユニット
11 電子部品
30 放射源
31 放射
31’ 反射された放射
32,32’ 垂直軸、中心軸、垂直方向の参照軸
33 l,l3’ 垂直方向の距離
34 l 検出要素50から中心軸32までの距離
34’ l 検出要素60から中心軸32までの距離
35 l フィルタ要素51から中心軸32までの距離
35’ l フィルタ要素61から中心軸32までの距離
36,36’ 水平方向の参照軸
37 水平方向の放射平面
37’ 水平方向の光反射平面
38 壁
39,39’ 反射器、ミラー要素
40 検出システム
41 検出システム、反射型
50 検出要素
51 バンドパスフィルタ要素
52 角度配置体
53 角度α
60 検出要素
61 バンドパスフィルタ要素
62 角度配置体
63 角度α
65 重なり領域
72 角度配置体
72’ 角度配置体
73 角度α
73’ 角度α3’
80 ガス量、ガス濃度
93,93’ 放射素子300への制御線路
94 表示ユニット
95,95’ データ伝送路、信号伝送路
96,96’ データ伝送路、信号伝送路
97 保持要素
98 インサート部品、シーリング部材
99 出力信号
100,100’,100’’ 導流要素
200 医療機器、人工呼吸機器、麻酔機器
300 放射要素(膜、コイル)
400 ガス分子、凝縮水
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4