【課題を解決するための手段】
【0003】
前記課題は、請求項1の発明特定事項を具備する、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置によって解決される。
【0004】
従属請求項から、本発明の有利な実施形態が明らかであり、以下の記載においてこれらの実施形態について、部分的に図面を参照して詳細に説明する。
【0005】
本発明では、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置において、以下の構成要素が設けられている:
・λ1=3000nm〜λ2=10000nmの波長領域の光放射または熱放射の放射に適した構成の放射源と、
・放射源によって生成された光放射または熱放射を取得するために適した構成の少なくとも2つの検出要素と、
・検出要素に配置された少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素と、
・コントロールユニット。
【0006】
放射源から放射された光は、当該放射源の放射面から実質的に直角の放射方向で、本装置の垂直軸の方向に放出される。
【0007】
放射源のλ1=2.5μm〜λ2=14.0μmの波長領域によって、笑気濃度、二酸化炭素濃度の赤外光測定、また、たとえば揮発性麻酔ガスまたはメタン等の種々の炭化水素の赤外光測定を行うことができる。
【0008】
検出要素はたとえば半導体検出器、焦電検出器(パイロディテクタ)、熱電検出器(サーモパイル、サーモカップル)として、熱型検出器(ボロメータ)として、また、半導体検出器と熱型検出器との組合せとしても構成される。検出要素は、赤外線波長領域の赤外線の場合に光を検出するように構成されている。この赤外線波長領域は典型的には、ガスによる吸収、たとえば二酸化炭素による吸収が生じる波長領域である。
【0009】
バンドパスフィルタ要素はたとえば、基板上に設けられた干渉層の形態の光干渉フィルタとして構成されている。これは、決まった波長領域の光を送出する。
【0010】
バンドパスフィルタ要素の配置は、放射源から放射された赤外線が直接的な光路で、または、たとえば光路上の反射要素またはミラーシステムを用いて赤外線を偏向することによって迂回する光路で、検出要素の上流のバンドパスフィルタ要素を通過するようになされている。少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素のうち少なくとも1つは、測定ガスによって吸収される波長領域の赤外線に対して光透過性に構成されている。
【0011】
このバンドパスフィルタ要素が配置された検出要素は、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置におけるいわゆる測定チャネルとなる。
【0012】
少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素のうち少なくとも1つは、測定ガスによって吸収されないかまたはほとんど吸収されない波長領域の赤外線に対して、光透過性に構成されている。
【0013】
このバンドパスフィルタ要素が配置された検出要素は、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置におけるいわゆる参照チャネルとなる。
【0014】
測定ガス(「ターゲットガス」とも称されることが多い)は、たとえば二酸化炭素または笑気、また、たとえばメタンまたは揮発性麻酔ガス等の多数の気体有機化合物、たとえばハロタン、イソフルレン、デスフルラン、エンフルレン等である。
【0015】
呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置では、コントロールユニットを用いて測定チャネルおよび参照チャネルの各測定値が取得され、互いに比較される。通常は、測定チャネルの取得された測定値と参照チャネルの取得された測定値とから商が形成され、この商が、濃度特定のための装置における測定ガスの濃度を表す尺度、すなわち、光路上に存在するガス量の濃度の尺度を示唆するものとなる。
【0016】
放射源ないしはその放射軸を基準とした、少なくとも2つの検出要素およびバンドパスフィルタ要素の空間的配置は、2つの検出要素のうち、少なくとも2つの検出要素に配置されたバンドパスフィルタ要素のうち少なくとも1つを有する少なくとも1つの検出要素が、放射源の放射の方向に対して平行または当該放射源の放射の方向と同一方向に当該放射源を貫通して延在する軸に対して5°〜80°の範囲内の角度での角度配置体で配置されるようになされている。
【0017】
その際には、少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素が配置された少なくとも2つの検出要素は、放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対する少なくとも2つの角度配置体となる。少なくとも2つの検出要素と、当該少なくとも2つの検出要素に配置されたバンドパスフィルタ要素とを備えた、上述の2つの角度配置体は、1つの検出システムを構成する。少なくとも2つの角度配置体は、放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対して、当該放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸が当該少なくとも2つの角度配置体の間に延在するような角度で配置されている。
【0018】
その際には、角度配置体のうち少なくとも1つの角度配置体は、放射源の放射平面に対して平行な向きでは配置および構成されておらず、放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対して、当該放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸が当該少なくとも2つの角度配置体の間に延在し、かつ当該少なくとも1つの角度配置体が、当該放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対して角度を成して斜めになるような角度で配置されている。
【0019】
有利な一実施形態では、角度配置体のうち少なくとも1つの角度配置体は、放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸が当該少なくとも2つの角度配置体の間に延在するように、かつ当該少なくとも1つの角度配置体が、当該放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対して90°の角度で直角に配置されるように、当該放射源の放射平面に対して平行な向きで配置されている。
【0020】
特殊な一実施形態では、少なくとも2つの角度配置体の全てが、当該放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対して、放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸が当該少なくとも2つの角度配置体の間に延在するように、かつ当該少なくとも2つの角度配置体がいずれも、当該放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対してそれぞれ角度を成して斜めになるような角度で配置されている。その際には、放射源の放射平面から垂直方向に少なくとも2つの角度配置体間に延在する軸に対する少なくとも2つの各角度配置体の角度の各傾きは相違することができ、または略等しいことが可能である。したがって、少なくとも2つの角度配置体のうち一方については、当該少なくとも2つの角度配置体間において放射源の放射平面から垂直方向に延在する軸に対して60°とし、少なくとも2つの角度配置体のうち他方については30°とすることができ、また、少なくとも2つの両角度配置体について45°とすることもできる。
【0021】
少なくとも2つの角度配置体の上述の構成によって、当該少なくとも2つの角度配置体が相互に斜めになる。このように斜めであることは、少なくとも2つの検出要素間の、放射源から検出要素までの光路間に、重なり領域が生じるという利点を奏する。
【0022】
当該重なり領域は、検出要素の配置の平面から鉛直方向に、放射源の方向に得られる。上述の角度に起因して、たとえばガス分子、水蒸気、凝縮水または他の不純物、たとえば塵埃等が、両検出要素の光路上に存在することとなり、水蒸気、凝縮水または他の不純物によって測定信号に及ぼされる影響が、たとえば測定値の振幅減衰として、測定チャネルおよび参照チャネルのいずれにおいても現れる。このことから、参照チャネルの信号と測定チャネルの信号との比を形成することにより、水分(水蒸気、凝縮水)または他の不純物の影響を消失させることができる。測定チャネル検出要素/バンドパスフィルタ要素および参照チャネル検出要素/バンドパスフィルタ要素の角度配置体の相互間の各角度の選択と、当該少なくとも2つの角度配置体間に延在する軸に対する各角度配置体の角度の選択との双方によって、重なりの領域を画定することができる。
【0023】
放射源と角度配置体との間の垂直方向の距離の選択と協働して、重なり領域の構成を空間的寸法と、面状の重なりと、測定ガスの有効重なり容積とによって、さらに変化させて定めることができる。
【0024】
角度配置体と垂直方向の距離との上述の構成により、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置において、たとえば、測定対象の測定ガスの吸収特性を考慮することができ、なおかつ、測定ガスの所望の濃度測定範囲を調整できるという利点が奏される。
【0025】
有利な一実施形態では少なくとも2つの各検出要素は、少なくとも2つの角度配置体の間の有利には中間に延在する垂直軸から、0.1mm〜10mmの範囲内の第1の距離l
1をおいて配置されている。
【0026】
有利な一実施形態では少なくとも2つの各検出要素に配置された少なくとも2つの各バンドパスフィルタ要素は、少なくとも2つの角度配置体の間の有利には中間に延在する垂直軸から、0.1mm〜10mmの範囲内の第2の距離l
2をおいて配置されている。
【0027】
有利な一実施形態では、少なくとも2つの角度配置体は、相互間に0.1mm〜10mmの範囲の距離をおいて配置されている。
【0028】
さらに有利な一実施形態では、少なくとも2つの検出要素と、当該少なくとも2つの検出要素に配置された少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素とを備えた検出システムは、放射源と対向する側に、0.1mm〜10.0mmの範囲の第3の距離l
3の場所に配置されている。この第3の距離l
3は、少なくとも2つの角度配置体間に延在する軸の領域内の直接の距離、または当該軸に沿った距離として求められるものである。
【0029】
有利な一実施形態では、少なくとも2つの検出要素と、当該少なくとも2つの検出要素に配置された少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素とを備えた検出システムは、放射源と同一の側に隣り合って配置されており、放射源は、少なくとも2つの角度配置体間に延在する軸上に、少なくとも2つの検出要素に配置された少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素を備えた当該少なくとも2つの検出要素間の中心に配置されている。
【0030】
本実施形態では、放射源に対向し、かつ少なくとも2つの検出要素に配置された少なくとも2つのバンドパスフィルタ要素を備えた当該少なくとも2つの検出要素に対向する側に、光反射性の、有利には面状の少なくとも1つの反射要素が、0.1mm〜5.0mmの範囲の第3の距離l
3’の場所に配置されている。この第3の距離l
3’は、少なくとも2つの角度配置体間に延在する軸の領域内の直接の距離、または当該軸に沿った距離として求められるものである。
【0031】
バンドパスフィルタ要素は、2.5μm〜14μmの波長領域の透過領域の赤外光の光学フィルタリングを行うように構成されている。
【0032】
よって、上述のバンドパスフィルタ要素を用いることにより、以下の表1に示されたようなガスに対応する透過領域を得ることができる。
【0033】
【表1】
【0034】
笑気、ハロタン、イソフルレン、セボフルランおよびデスフルランのガスは、麻酔を行っている間、たとえば外科処置を行うときに患者に麻酔をかけるために使用され、アセトンは、患者の可能な代謝生成物として得られるものであるから、たとえば糖尿病患者の呼気中に含まれている。エタノールは、たとえばアルコールを摂取した患者の場合に呼気中に存在し得るものである。
【0035】
放射源は、さらに有利な一実施形態では、面放射源として、または膜放射源として、または実質的に平坦な放射面を有する発光ダイオード(LED)として構成されている。平坦な放射素子を備えた上述の面放射源もしくは膜放射源または発光ダイオード(LED)は、放射面全体にわたって均質な放射を行うため、実質的に平坦な放射面を有するように構成されている。
【0036】
面放射源または膜放射源の放射面、および発光ダイオードの実質的に平坦に構成された光出射面の放射面はいずれも、有利には2.0mm
2〜10mm
2の範囲内である。
【0037】
さらに有利な一実施形態では、検出要素はサーモパイルまたはサーモカップルとして構成されている。
【0038】
さらに有利な一実施形態では、検出要素は半導体検出器として、たとえばInAsSb検出器(インジウムヒ素アンチモン検出器)として構成されている。
【0039】
さらに有利な一実施形態では、検出要素は焦電検出器として構成されている。
【0040】
さらに有利な一実施形態では、検出要素はボロメータとして構成されている。
【0041】
サーモカップル、サーモパイル、焦電検出器およびボロメータの利点としては、これらは低コストで製造することができ、熱型検出器として3〜10μmの幅広い波長領域において使用できることが挙げられる。
【0042】
半導体検出器の利点としては、その測定感度を所望の波長領域に非常に良好に合わせて調整できることが挙げられる。
【0043】
さらに有利な一実施形態では、2つより多い複数の検出要素にそれぞれバンドパスフィルタ要素を配置したものが、共に1つの中心点まわりに円形配置または方形配置となるように、たとえば角錐台形の側面の方形配置となるように配置される。
【0044】
上述の角錐台形の形状は、これがいわば漏斗体として角錐台形を逆さにした形状、またはクローバーの葉もしくはチューリップの花の形状を有するようになっている。さらに有利な本実施形態の特殊な一態様では、検出システムは、検出要素とバンドパスフィルタ要素とを備えた4つの角度配置体を、方形または正方形の角錐台の4側面の形態に空間的に配置したものを有する。かかる態様により、たとえば参照チャネルを参照する3つの測定チャネルを用いることにより、複数の測定ガスを含む測定結果を取得することができる。
【0045】
たとえば、上述の構成によって有利には、参照チャネルを参照する、二酸化炭素(CO
2)、笑気(N
2O)および揮発性麻酔ガス、たとえばハロタン(C
2HBrClF
3)、イソフルレン(C
3H
2OClF
5)の測定が、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための1つの装置で実現することができる。
【0046】
さらに有利な一実施形態では、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置において、検出システムと放射源とが、吸気ガスおよび/または呼気ガスを流すために適した、流路内での導流のための導流要素を構成する。導流要素内には吸気ガスおよび/または呼気ガスが主流として流され、放射源と、2つの検出要素およびこれらに配置されたバンドパスフィルタ要素を備えた少なくとも2つの角度配置体との間の光路を通過する。本実施形態では、ガス濃度の検出はこの主流で行われる。
【0047】
かかる実施形態の一態様は、たとえば、患者の口領域に直接配置されるものとしての、患者の呼気ガス中の二酸化炭素測定のための装置であり、これはしばしば、いわゆる「メインストリームCO
2センサ」とも称されることが多い。
【0048】
上述の実施形態の他の一形式は、たとえば、二酸化炭素および他の呼気ガス、特に麻酔ガスを測定するための分析装置である。この測定は患者の呼気ガスにおいて、分析装置に配置されたポンプによって口領域において直接、口領域から小径のホースを介して分析装置へガス量を連続的に吸い出し、または移送して、当該ガス量のガス組成およびガス濃度を分析する構成体を用いて行われる。かかる測定手法はしばしば、いわゆる「吸出式ガス測定」、またはいわゆる「サイドストリーム麻酔ガスモニタリング」とも称されることが多い。
【0049】
さらに有利な一実施形態では、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置は、流路内にて導流を行うための導流要素を備えており、この流路内部または流路外部に、検出システムと、放射源と、光反射要素とが配置されている。導流要素は、流路内に突出している部品を備えている。この部品内に吸気ガスおよび/または呼気ガスの一部が導流要素において副流またはサイドフローとして流され、光反射要素と、2つの検出要素およびこれらに配置されたバンドパスフィルタ要素を備えた少なくとも2つの角度配置体との間の光路を通過する。本実施形態では、ガス濃度の検出は副流またはサイドフローにおける主流のこの一部で行われる。
【0050】
上述の構成の部品(たとえばいわゆるT字部品の形態)は、導流要素の中央におけるガス量を表す測定ガスが濃度測定のために使用されるように、導流要素内の中央において主流の一部を流すことができる。
【0051】
上述の構成の部品(たとえば、導流要素の側方に配置されたインサート部品または導流要素の縁部に設けられたスライド挿入部品の形態)は、導流要素の側縁部におけるガス量を表す測定ガスが濃度測定のために使用されるように、導流要素内の中央において主流の一部を流すことができる。
【0052】
麻酔環境下でのガス測定の適用に際しては、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置のサイズが果たす役割は(特に「サイドストリーム」使用時において)決して小さくない。放射源と検出要素ないしはバンドパスフィルタ要素との間の距離l
3を0.1mm〜10mmの有利な範囲内とすること、および放射源と反射要素(ミラー)との間の距離l
3’を0.1mm〜5.0mmの範囲内とすると共に、2.0mm
2〜10.0mm
2の有利な範囲内の放射面を有する放射源、0.5mm
2〜20mm
2の有利な範囲内の面積を有する検出要素(ボロメータ、マイクロボロメータ、マイクロボロメータアレイ、焦電検出器、サーモカップル、サーモパイル、半導体検出器)およびバンドパスフィルタ要素の各サイズと、10mm未満の有利な範囲内の距離をおく少なくとも2つの検出要素の相互間の配置とによって、0.4ml未満の範囲内、たとえば0.05ml〜0.2mlの小さい測定容積を有する、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置のサイズが可能になる。
【0053】
装置に配置されたポンプを用いて50ml/min〜200ml/minの吸出体積流量で行われる「吸出式ガス測定」の場合、ここで呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置において測定容量の交換にかかる時間は0.1s〜0.5sとなる。
【0054】
毎分約6回〜24回の範囲内である人間の呼吸数(毎秒0.1〜0.4回に相当)と比較して、本発明により開示された、呼吸ガス混合気中の少なくとも1つのガス成分の濃度特定のための装置は、サンプリングレートの適切な選択も共に行うことにより、呼吸ガス中の濃度変化を1呼吸ごとの分解能の測定データとして取得できる時間分解能を可能にするものである。
【0055】
一般的に、また、たとえば副流またはサイドフローを導流するための部品としての上述のT字部品の形態であるいわゆる「メインストリーム測定」についても、距離によって小さい測定容量を可能にするだけでなく、検出要素と放射源との間の光路長も短く抑えることができるので、サイズはさらに重要な役割を果たす。これによって、信号雑音比(SNR)が良好である十分な信号レベルを示す測定データを検出要素において取得できるようになり、これによって、ロバストな信号品質で高い測定感度が達成され、これと共に、適切な増幅回路と高品質のアナログデジタル変換器(A/Dコンバータ)とを用いることによって、たとえば16ビット以上の分解能の量子化(20ビット、24ビット)による十分にノイズフリーの高い測定分解能が可能になる。
【0056】
測定チャネルと参照チャネルとが重なり合うことにより、有利には、たとえば測定ガス温度変化、不純物、水蒸気、水分、放射源または反射要素の汚れ等の、測定チャネルと参照チャネルとの双方に対して同様に影響を及ぼす現象の、1呼吸ごとの分解能の取得された測定データが、後続の信号処理や測定データ補正の非常に面倒な処理、たとえば外部調達された水分データおよび/または温度データに基づく水分補償および/または温度補償等を行わずに、直接的に、かつ実際の物理的な測定の時点でリアルタイムに得ることができるようになる。
【0057】
ここで記載されている各実施形態は、各自で、また相互間での組合せにおいても、呼吸ガス混合気中のガス成分の濃度特定のための装置の具体的な実施形態となる。本発明の実施形態の全ての可能な組合せがそれぞれ詳細に記載されていなくても、全ての実施形態、および複数の実施形態の組合せによって実現される他の可能な実施形態、およびその利点も同様に、本発明の思想に共に包含される。
【0058】
以下、下記の図面と当該図面の説明とを参照して、本発明の一般的思想を限定することなく、本発明について詳細に説明する。