(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6538863
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】ベント装置
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20190625BHJP
B32B 3/24 20060101ALI20190625BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20190625BHJP
B29C 65/02 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
B32B27/30 D
B32B3/24 Z
B32B15/08 A
B29C65/02
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-542070(P2017-542070)
(86)(22)【出願日】2016年2月12日
(65)【公表番号】特表2018-505801(P2018-505801A)
(43)【公表日】2018年3月1日
(86)【国際出願番号】US2016017727
(87)【国際公開番号】WO2016130906
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2017年9月26日
(31)【優先権主張番号】62/115,789
(32)【優先日】2015年2月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ジョン イー.バチーノ
【審査官】
清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−140738(JP,A)
【文献】
特開2009−078866(JP,A)
【文献】
特開2003−318557(JP,A)
【文献】
特開2013−146730(JP,A)
【文献】
特開2010−122605(JP,A)
【文献】
特表2015−536075(JP,A)
【文献】
特開2014−191901(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/133099(WO,A1)
【文献】
特開2000−176262(JP,A)
【文献】
特開2009−136863(JP,A)
【文献】
特開平08−072178(JP,A)
【文献】
特開平05−138741(JP,A)
【文献】
特開平11−058575(JP,A)
【文献】
特開平04−119837(JP,A)
【文献】
特表2013−526762(JP,A)
【文献】
特開平08−230118(JP,A)
【文献】
特開昭56−098164(JP,A)
【文献】
特開2004−249198(JP,A)
【文献】
特開2014−123937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B29C 63/00−63/48
65/00−65/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)内部に開口部を有する基材、
(b)前記開口部の上に配置されたフルオロポリマーメンブレン、及び
(c) 前記基材と前記フルオロポリマーメンブレンとの間に配置された熱可塑性材料
を含み、
前記基材は、ガラス充填ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、アセタールホモポリマー、熱硬化エポキシ及びこれらの組合せからなる群より選ばれたプラスチック材料を含み、かつ
前記フルオロポリマーメンブレンは、前記熱可塑性材料によって、前記基材に対して熱結合されていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記フルオロポリマーメンブレンは、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン及びペルフルオロアルコキシポリマーからなる群より選ばれる、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記フルオロポリマーメンブレンは延伸ポリテトラフルオロエチレンである、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記熱可塑性材料は、ポリ(エチレン-コ-テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレン(EFEP)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデンフルオリド(THV)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)、ペルフルオロアルコキシポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)及びポリ塩化ビニル(PVC)樹脂とニトリルゴムとのブレンドからなる群より選ばれる、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記熱可塑性材料は前記フルオロポリマーメンブレンに少なくとも部分的に湿潤浸入されている、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記熱可塑性材料は着色剤を含む、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記熱可塑性材料は前記基材の前記開口部と位置合わせされた開口部を含む、請求項1記載の装置。
【請求項8】
フルオロポリマーメンブレンと、内部に開口部を有する基材との間に熱可塑性材料を提供すること、及び、
前記熱可塑性材料を250℃〜500℃の温度で加熱することにより前記フルオロポリマーメンブレンを前記基材に熱結合させること、
を含み、前記基材は、ガラス充填ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、アセタールホモポリマー、熱硬化エポキシ及びこれらの組合せからなる群より選ばれたプラスチック材料を含むことを特徴とする、ベント装置を組み立てる方法。
【請求項9】
前記熱結合工程は15秒以下である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
(a)内部に開口部を有する金属基材、
(b)前記開口部の上に配置されたフルオロポリマーメンブレン、及び
(c)前記基材と前記フルオロポリマーメンブレンとの間に配置された熱可塑性材料
を含み、
前記フルオロポリマーメンブレンは、前記熱可塑性材料によって、前記基材に対して熱結合されていることを特徴とする、装置。
【請求項11】
フルオロポリマーメンブレンと、内部に開口部を有する金属基材との間に熱可塑性材料を提供すること、及び
前記熱可塑性材料を250℃〜500℃の温度で加熱することにより前記フルオロポリマーメンブレンを前記基材に熱結合させることを特徴とする、ベント装置を組み立てる方法。
【請求項12】
前記金属基材は、アルミニウム、カーボンスチール及びステンレススチールからなる群より選ばれる、請求項10記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本特許出願は2015年2月13日に出願された「ベント装置(Venting Apparatus)」という発明の名称の米国仮出願第62/115,789号の優先権を主張し、その開示はその全体が参照により本明細書中に取り込まれる。
【0002】
発明の分野
本開示は、基材に結合されたフルオロポリマーメンブレンを有するベント装置に関し、より詳細には、150℃以上などの高温に耐えることができる基材にしっかりと結合された延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)メンブレンを有するベント装置に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ベントは多くの用途に使用を見い出す。例えば、自動車産業では、電気部品ハウジング、ギヤハウジング、ブレーキハウジング、さらに車体は、ハウジング又はボディ内部と周囲環境との間で圧力を均等化させるためにベントを使用する。他の用途では、ベントの機能は圧力均等化のためのバルクフローではなく、選択された構成成分を媒体にわたって輸送する目的での拡散であり、例えば、湿分制御のための媒体を横切る水の拡散である。これらのタイプの用途では、駆動力は圧力ではなく、温度、濃度勾配、浸透圧、静電引力又は反発力、又は他の駆動力である。ベントは、電気及び機械装置ハウジング又は化学容器などの他の多くの用途にも使用される。このようなハウジング、エンクロージャ又は容器は、本明細書中で集合的に「ハウジング」と呼ばれる。
【0004】
多くの用途において、ベントは、圧力均等化を可能にするためにガス透過性でなければならないだけでなく、内部の装置又は構成要素を損傷してハウジングを腐食させることがある湿分、液体又は汚染物からハウジングの内部をシールするために液体不透過性でなければならない。
【0005】
既知の接着剤ベントは、両面感圧接着剤のリング上に多孔性延伸PTFE(ePTFE)を含み、接着剤の一方の側はePTFEメンブレンに結合され、他方の側はハウジングに結合される。
【0006】
成形されたポリマー又はプラスチックボディ、及び、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン又はポリエチレンから形成された多孔性メンブレンを含む、圧入型ベントは知られている。既知のポリマーベントは、例えば、ブリーザ弁、フィルタ、ダイアフラムデバイスなどの空気ベントデバイスとして使用される。圧入型ベントは、典型的に、周囲状に配置された孔を有するメンブレンを含み、それらの孔は、周囲状に配置された孔を通して結合された硬質樹脂部分の間にある。この硬質部材は軟質樹脂によって包囲されて、圧入型物品を形成する。
【0007】
成形ポリマー又はプラスチックベントの他の多くの構成は知られているが、いずれも重大な欠点がある。ポリマー又はプラスチックベント及び接着剤ベントは、各々耐久性ならびに耐熱及び耐薬品性に欠けている。したがって、これらのベントは、高温(150℃以上)、紫外線(「UV」)又は化学的劣化又は衝撃を受ける可能性のある特定の用途では使用できない。圧入型ベントの欠点は薄型(low profile)を有しないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
金属ベントは幾つかの用途において改善された耐久性を提供することが知られている。また、エポキシ又はその他の熱硬化プラスチックなどの幾つかの特殊プラスチック材料は耐久性を提供することができる。多孔性ePTFEメンブレンに結合されたこのような金属又は特殊プラスチック材料を含有する一体型ベントは望ましいが、これまで達成不可能であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
1つの実施形態において、内部に開口部を有する基材、及び、前記開口部上に配置され、前記基材に熱可塑性材料を使用して熱結合されたフルオロポリマーメンブレンを含むベント装置は提供される。フルオロポリマーメンブレンは、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン及びペルフルオロアルコキシポリマーからなる群より選ばれる。熱可塑性材料は、ポリ(エチレン-コ-テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレン(EFEP)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデンフルオリド(THV)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)及びポリ塩化ビニル(PVC)樹脂とニトリルゴムとのブレンドからなる群より選ばれる。
【0010】
別の実施形態において、内部に開口部を有する金属基材、及び、前記開口部上に配置され、前記金属基材に熱可塑性材料を使用して熱結合されたフルオロポリマーメンブレンを含むベント装置は提供される。金属基材は、アルミニウム、カーボンスチール及びステンレススチールからなる群より選ばれる。1つの実施形態において、内部に開口部を有する金属基材、及び、前記開口部上に配置され、前記金属基材に熱可塑性材料を使用して熱結合されたePTFEメンブレンを含む装置は提供される。
【0011】
さらに別の実施形態において、内部に開口部を有する特殊プラスチック基材、及び、前記開口部上に配置され、前記特殊プラスチック基材に熱可塑性材料を使用して熱結合されたフルオロポリマーメンブレンを含むベント装置は提供される。特殊プラスチック基材は、ガラス充填ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフタルアミド(PPA)、アセタールホモポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、熱硬化エポキシ及び熱硬化エラストマーからなる群より選ばれる。1つの実施形態において、内部に開口部を有する特殊プラスチックを含む基材、及び、前記開口部上に配置され、前記特殊プラスチックに熱可塑性材料を使用して熱結合されたePTFEメンブレンを含む装置は提供される。
【0012】
1つの実施形態において、フルオロポリマーメンブレンと基材との間に熱可塑性材料を提供すること、及び、250℃〜500℃の温度で前記熱可塑性材料を加熱することによって、前記フルオロポリマーメンブレンを前記基材に熱結合させることを含む、ベント装置を組み立てる方法は提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面の簡単な説明
【
図1】
図1は本開示の1つの実施形態によるベント装置の斜視図である。
【0014】
【
図2】
図2はラインA−Aに沿って取った
図1のベント装置の断面図である。
【0015】
【0016】
【0017】
【
図5】
図5は本開示の例示の実施形態を作製するために使用されるデバイスの斜視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
1つの実施形態において、本開示は
図1及び
図2に示すベント装置100を提供する。ベント装置100は基材102を含み、基材102における少なくとも1つの開口部104を覆うようにフルオロポリマーメンブレン106を基材上に熱可塑性材料110を使用して結合させることができる。開口部104の包囲された縁108に沿って示されるように、フルオロポリマーメンブレン106は基材102に対して同一平面内にある。さらに、熱可塑性材料110はフルオロポリマーメンブレン106に少なくとも部分的に湿潤浸入され(すなわち、その細孔を充填し)、基材102との確実な結合を提供することができる。有利には、この確実な結合は、ベント装置を薄型に維持することを可能にし、かさ高い成形層、テープ又は接着剤層を回避する。
【0019】
1つの実施形態において、ベント装置は150℃〜300℃などの150℃以上の温度を伴う用途に使用することができる。ベント装置は、限定するわけではないが、モータ、エンジン、自動車部品、センサ、医療デバイス、電子機器、電子部品又はデバイスのためのハウジング、又は、電子制御ユニットを含む、幾つかの異なる用途に使用することができる。自動車部品は、AC/ヒータ部品、ブレーキシステム、コネクタ、シリンダヘッドカバー、ドライブシャフト、エンジンエアクリーナ、エンジンカバー、エンジンマウント、エンジンスロットルボディ、エンジンバルブカバー、排気システム、ファンシュラウド/ラジエータ、ファン、燃料ポンプ、ヒューズ及びインジェクションシステム、点火部品、インテークマニホールド、オイルパン、オイルポンプ、他のポンプ、伝導機構部品、ラジエータ部品、リザーバ、ロッカーアームカバー、スイッチ及びソケット、トランスミッション部品、アンダーボディ/ヒートシールド及びウォータポンプに広く応用される。
【0020】
他に規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似又は同様の任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料は本明細書に記載される。
【0021】
基材は、変形することなく150℃以上などの高温に少なくとも耐えることができる耐久性材料で構成されている。基材は、任意の形状又はサイズをとることができ、接着剤又は機械的手段を用いてハウジングに取り付けることができる。別の実施形態において、基材はハウジングであることができる。基材は1つ以上の開口部を有してよく、各開口部は、本明細書に記載されるように開口部の周囲の外側に熱結合されたフルオロポリマーメンブレンを有することができる。開口部のサイズ及び形状は特定の用途の要件に応じて変化することができ、適切な形状としては、円形、楕円形、正方形、矩形、ダイヤモンド、三角形又は他の任意の形状が挙げられる。さらに、開口部のサイズは特に限定されず、用途に応じて変更可能である。例示の目的で、開口部は、0.5cm〜10cm、1cm〜5cmの最大直径を有することができる。他の開口部サイズもまた、本明細書に開示された実施形態で使用されうる。
【0022】
1つの実施形態において、基材は、金属基材などの適切な耐熱性及び/又は耐薬品性材料であることができる。金属基材は、ステンレススチール、カーボンスチール、打ち抜き金属又はアルミニウムで構成することができる。適切なステンレススチール基材は、ニッケル、クロム、バナジウム、モリブデン又はマンガン及びそれらの組み合わせを含む鉄合金であってよい。適切なカーボンスチール基材は鉄及び炭素を含むことができる。1つの実施形態において、上記の金属基材で構成されたハウジングに熱結合されたフルオロポリマーメンブレンは提供される。
【0023】
さらに別の実施形態において、本開示は特殊プラスチック基材で構成された基材を提供する。特殊プラスチック基材は、ガラス充填ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)(Ultradur(商標)HR PBT; BASF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PPA)(Amodel(商標)PPA; Solvay)、アセタールホモポリマー(Delrin(商標); DuPont)、ポリエチレンテレフタレート(PET)(Arinte(商標)A-X07455; DSM)、熱硬化エポキシ、例えば、炭素繊維強化熱可塑性樹脂及び、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、シリコーン及びフルオロエラストマー(Viton; DuPont)などの熱硬化エラストマーなどの材料であることができる。1つの実施形態において、基材は、PET、PBT、ポリプロピレン、ポリアミド、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ポリ(p−フェニレンオキシド)(PPO)/ポリアミド、ビニルエステル、ポリアセタール、PPO/HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、ポリエチレンイミン(PEI)、エポキシ、高密度ポリエチレン(HDPE)、PPS及びポリ塩化ビニル(PVC)からなる群より選ばれる。1つの実施形態において、上記の特殊プラスチック材料で構成された基材に熱結合されたフルオロポリマーメンブレンは提供される。
【0024】
別の考えられる実施形態は、ePTFEメンブレンが熱可塑性材料、より具体的には熱可塑性フルオロポリマー材料を使用して熱結合された特殊プラスチックから製造された基材を含むベントを含む。
【0025】
フルオロポリマーメンブレンは、デバイスの機能を妨げることなく機械的又は環境的損傷からデバイスの内部を保護するために、開口部の上に配置される。フルオロポリマーメンブレンは、開口部を完全に覆うのに十分なサイズであるべきであり、フルオロポリマーメンブレンが基材に熱結合されうるように、各方向に開口部を通って延在している。言い換えれば、フルオロポリマーの最大直径は、少なくとも、基材の開口部の最大直径よりも大きい。フルオロポリマーメンブレンは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)又はペルフルオロアルコキシポリマー(PFA)であることができる。1つの実施形態において、フルオロポリマーメンブレンは、一軸又は二軸に延伸されうる延伸PTFE(ePTFE)であることができ、米国特許第3,953,566号明細書の教示により製造されうる。その全内容及び開示を参照により本明細書中に取り込む。単層又は多層のePTFEメンブレンを使用することができる。ePTFEメンブレンは、場合により、当該分野で公知の方法を使用して疎油性にすることができる。疎油性コーティングの例としては、例えば、フルオロアクリレートなどのフルオロポリマー及び米国特許出願公開第2007/0272606号明細書に教示されるような他の材料が挙げられ、その全内容及び開示を参照により本明細書中に取り込む。
【0026】
フルオロポリマーメンブレンは、多孔性かつ透過性の物品を製造するために延伸させることができる任意のフルオロポリマーから製造することができる。適切な材料としては、限定するわけではないが、延伸PTFEなどの延伸フルオロポリマー、及び、米国特許第5,708,044号、同第6,541,589号、同第7,531,611号、同第8,637,144号;及び同第9,139,669号明細書に記載されているとおりのポリマーから製造された延伸製品が挙げられ、その全内容及び開示を参照により本明細書中に取り込む。
【0027】
フルオロポリマーメンブレンは用途に特有の特性を有するように製造することができる。フルオロポリマーメンブレンは、5psiより大きい、25psiより大きい、50psiより大きい、75psiより大きい、100psiより大きい、又は5psi〜150psiのバブルポイントを有するように製造することができる。フルオロポリマーメンブレン層は厚さ約1μmなど、非常に薄く、又は、厚さ10mmを超えるなど、厚く製造することができる。ベント装置の薄型を達成するために、より薄いフルオロポリマーメンブレンを使用することができる。フルオロポリマーメンブレン層は特定の用途によって所望される広範囲の透過性又は特定の流れ抵抗を有するように製造することができる。
【0028】
フルオロポリマーメンブレンを、金属基材又は特殊プラスチック基材のいずれかの基材に結合するために使用される熱可塑性材料は、高溶融熱可塑性物質である。1つの実施形態において、熱可塑性材料は、熱可塑性フルオロポリマー材料である。熱可塑性材料としては、ポリ(エチレン-コ-テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレン(EFEP)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデンフルオリド(THV)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロ-プロピレン)(FEP)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)及びPVC樹脂とニトリルゴムとのブレンド(Elastamax(商標)HTE; PolyOne)を挙げることができる。1つの実施形態において、熱結合を示すために熱可塑性材料に着色剤を添加することができる。
【0029】
熱可塑性材料は開口部の周囲の外側付近に配置されるようにサイズ決めされる。1つの実施形態において、熱可塑性材料はまた、フルオロポリマーメンブレンの閉塞を回避するために、基材の開口部と位置合わせされた開口部を含む。1つの実施形態において、熱可塑性材料はリングであってよい。
【0030】
1つの実施形態において、熱可塑性材料の組み合わせを使用することができる。例えば、第一の熱可塑性材料を第一の部分の付近に使用し、第二の熱可塑性材料を第二の部分の付近に使用することができる。追加の熱可塑性材料は、基材の開口部の付近の周囲を完全に取り囲むために残りの部分に必要に応じて使用されてよい。
【0031】
熱可塑性材料を使用することの1つの利点は、このことにより、接着剤層を使用せずにフルオロポリマーメンブレンを基材に直接結合させることができることである。これにより、ベント装置を薄型に維持することができる。さらに、接着剤層がないために、ベント装置は高温用途に使用でき、接着剤層よりも紫外線又は化学分解に対して耐性がありうる。
【0032】
熱可塑性材料の合着した(コヒーレントな)不規則なネットワークを有するePTFEメンブレンを有する多孔性物品も使用することができる。そのような物品は、米国特許第8,808,848号明細書に記載されており、その全体の内容及び開示を参照により本明細書中に取り込む。
【0033】
1つの実施形態において、フルオロポリマーベントは基材に熱結合されてもよい。熱結合は、熱溶接、レーザ溶接、超音波溶接又はインパルス溶接などの幾つかの溶接方法を含むことができる。本明細書中に記載の実施形態の1つの利点は、15秒以下又は5秒〜15秒、又は、10秒〜15秒などの合理的な時間内に溶接を実施することができることである。1つの実施形態において、溶接のための結合温度は、250℃〜500℃、275℃〜400℃又は360℃〜390℃の範囲でありうる。
【0034】
別の実施形態において、本開示は熱可塑性材料を使用してハウジングに直接熱結合されるePTFEメンブレンを提供する。ハウジングは、アルミニウム又はカーボンスチール又はステンレススチールなどの金属基材で構成することができる。
【0035】
1つ以上の実施形態の詳細は本明細書の説明に示されている。他の特徴、目的及び利点は明細書及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。以下の実施例は本明細書に記載の方法及び組成物の特定の態様をさらに例示することを意図しており、特許請求の範囲を限定することは意図しない。
【実施例】
【0036】
例1
EFEPのリング(1/2ミル
(0.0127mm)の厚さ、1インチ
(25.4mm)の内径)をアルミニウムキャスティングにある開口部(直径約1インチ
(25.4mm))の上に置いた。次いで、ePTFEメンブレンをEFEPリングの上に置いた。ほぼEFEPのリングのサイズの金属ワッシャをePTFEメンブレンの上に置いた。金属クランプを使用して、キャスティング、FEPリング、ePTFEメンブレン及び金属ワッシャをクランプ留めし、次に、275℃のオーブンに20分間置いた。得られた構造を
図3に示す。ePTFEメンブレンは、開口部の縁の周りで良好に結合していた。EFEPがePTFE構造に湿潤浸入しているように見えた。縁は非常に明瞭に見えた。ePTFEメンブレンはアルミニウムキャスティングと同一平面上で結合され、それによって低プロファイル又は薄型ファクターベント装置が得られた。
【0037】
例2
第一の熱可塑性物質のリング(黒色のFEP、厚さ1/2ミル
(0.0127mm)、内径1インチ
(25.4mm))を半分に切断し、リング402の半分をアルミニウムキャスティングの開口部(直径約1インチ
(25.4mm))上に置いた。第二の熱可塑性物質のリング(青色のTHV、厚さ1/2ミル
(0.0127mm)、内径1インチ
(25.4mm))を半分に切断し、リング404の半分を上記の黒色FEPリング402に隣接して配置した。これら2種の熱可塑性材料の2つの半分部分を一緒にして開口部の周りにリングを形成した。次いで、これらの2つの半リング及びカプトン剥離フィルムの上にePTFEメンブレンを置いた。ほぼ完全リングのサイズの金属ワッシャをカプトン剥離フィルムの上に置いた。金属クランプを使用して、キャスティング、FEP/THV半分、ePTFEメンブレン及び金属ワッシャをクランプ留めし、次いで325℃のオーブンに20分間置いた。この結果得られた構造を
図4に示す。ePTFEメンブレンは開口部の縁の周りで良好に結合しているように見えた。FEP及びTHVはePTFE構造に湿潤浸入しているように見えた。 THV及びFEP縁はそれぞれ青色及び黒色に見えた。本例は溶接品質の指標として色を使用することができることを示す。
【0038】
例3
アルミニウムキャスティング502における開口部504(直径1/8インチ
(3.175mm))の上にTHVのリング510(厚さ2ミル
(0.0508mm)、外径3/4インチ
(19.05mm)、内径1/4インチ
(6.35mm))を置いた。次いで、一軸延伸ePTFEメンブレン506を、THVリング510の上に置いた。上記構造は、
図5に示すように、熱溶接機520を使用して上面と下面の両側から一緒に溶接された。熱溶接機520は、上面側から溶接する第一の溶接チップ524を有する第一の溶接源522と、下面側から溶接する第二の溶接チップ528を有する第二の溶接源526とを有する。
【0039】
溶接条件は以下の通りである:滞留時間:10秒、底部チップの温度:390℃、上部チップの温度:120℃、溶接部での荷重:1392psi。得られた溶接部は幅が約0.1インチ
(2.54mm)であった。
【0040】
ePTFEメンブレンは開口部の周りで金属に良好に結合していた。水浸入圧力(WEP)は22psiと測定された。破裂圧力は、WEPよりも少なくとも約2倍大きい40psiを超えるものと測定され、それによって溶接領域における良好なシールを示した。ePTFEメンブレンはアルミニウムキャスティングと同一平面上で結合され、それによって低プロファイル又は薄型ファクターベント装置が得られた。
【0041】
水の浸入圧力
これは、メンブレンを通る水の浸入を測定するための試験方法である。ベント装置(金属表面上のePTFEメンブレン)を一対の固定具の間にクランプ留めした。下側固定具はサンプルの一部を水で加圧する能力を有していた。サンプルを通って水のブレークスルーが観察されるまで、サンプルを少しずつの圧力増分で加圧した。対応するブレークスルー圧力又は浸入圧力を水浸入圧力として記録した。
【0042】
破裂圧力
ベント装置(金属表面上のePTFEメンブレン)を、底面側又は金属側からの水を用いてメンブレンの水浸入圧力よりも高い圧力まで加圧した。圧力傾斜は水浸入圧力の少なくとも約2倍までであった。この条件下で溶接領域の周りに水漏れが観察されなければ、そのことを溶接領域における良好なシールの指標として記録された。