特許第6538894号(P6538894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6538894
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】基板同士をボンディングする方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20190625BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20190625BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20190625BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   H01L21/02 B
   H01L21/68 A
   H01L21/304 648J
   H01L21/60 311Q
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-1984(P2018-1984)
(22)【出願日】2018年1月10日
(62)【分割の表示】特願2015-514355(P2015-514355)の分割
【原出願日】2012年5月30日
(65)【公開番号】特開2018-82204(P2018-82204A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2018年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート レープハン
【審査官】 安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−105786(JP,A)
【文献】 特開2001−351892(JP,A)
【文献】 特開2002−324829(JP,A)
【文献】 特開2008−300567(JP,A)
【文献】 特開2000−150836(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/028793(WO,A2)
【文献】 特開2009−043975(JP,A)
【文献】 特表2010−503210(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0111925(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/67−687
B23K 20/00−26
H01L 21/304
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール群を有するボンディング装置において、第1の基板のボンディング面を第2の基板のボンディング面にボンディングする方法であって、前記モジュール群が、中央モジュール、還元モジュール、ボンディングモジュール及びプロセスモジュールを有し、前記中央モジュールが、内部に配置される運動装置を有しており、
前記モジュール群から分離して配置されている外部の洗浄モジュールにより、前記第1の基板及び前記第2の基板の酸化物を粗く洗浄するステップと、
洗浄後の前記第1の基板及び前記第2の基板を、前記モジュール群の作業室内にローディングするステップと、
前記運動装置によって前記作業室から前記還元モジュールに前記両基板を移動するステップと、
前記中央モジュールに密に接続された前記還元モジュール内で前記両基板の前記両ボンディング面を還元するステップと、
前記運動装置によって前記両基板を前記還元モジュールから前記ボンディングモジュールに移動するステップと、
前記中央モジュールに密に接続された前記ボンディングモジュール内で第1の基板を第2の基板にボンディング面にボンディングするステップと、を備え、
前記還元モジュール内の還元室および/または前記ボンディングモジュール内のボンディング室が、前記中央モジュールから、密に分離可能であり、
前記還元するステップにおいて、前記中央モジュールから気密に分離して、前記還元室を所定の温度分布および/または圧力分布にさらす、ことを特徴とする、ボンディングする方法。
【請求項2】
前記還元するステップにおいて、還元媒体により前記還元室を複数回フラッシングする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記還元するステップにおいて、前記還元室を、前記中央モジュールから気密に分離して、還元性の雰囲気にさらす、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセスモジュールが、アライメントモジュールであり、前記基板相互の位置合わせを行うことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の基板のボンディング面を第2の基板のボンディング面にボンディングする請求項1記載の装置ならびに請求項7記載の相応の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に金属製のまたは金属化された基板同士または金属製の表面を備えた基板同士のボンディング時には、ボンディングすべき基板のボンディング面の酸化が、ボンディングプロセスを困難にすることにより、顕著な問題となる。酸化物は、機械的にかつ/または電気的に高価値のコンタクトの形成を阻止するかもしくは減少させる。これに相俟って、特に長い高加熱時間および冷却時間に基づき、スループットが悪化し、ボンディング時の温度が高いほどまたは高くなければならないほど、基板相互のアライメントもしくは位置調整精度に与えられる温度差による膨張の影響がますます大きくなる。さらに、たとえば所定のMEMS装置および/またはHL装置は、高いプロセス温度を許容しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、ボンディングする装置および方法を改良して、ボンディング工程をより効率よく、アライメント精度に与えられる影響をより少なくして実施することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1および7の特徴によって解決される。本発明の有利な改良態様は、従属請求項に記載してある。本発明の範囲内には、明細書、特許請求の範囲および/または図面に記載した複数の特徴のうちの少なくとも2つから成る全ての組み合わされた特徴も含まれている。記載した数値範囲では、記載した限度の範囲内にある数値も限界値とすることができ、任意に組み合わせて請求することができる。
【0005】
本発明の根底には、第1の基板のボンディング面と第2の基板のボンディング面とに形成された酸化物層を、基板同士の接触およびボンディングまでに可能な限り連続的にかつ完全に還元することによって、有効なかつ/または加速させられたボンディングを保証するという思想がある。これは、本発明により共通の、大気に対して閉鎖可能な1つの作業室を備えたモジュール群が設けられており、作業室内で、ボンディング面の還元だけでなく、基板のボンディングも行われることにより解決される。大気に対する分離によって、ボンディング面に形成されているかまたは存在する酸化物の化学的なかつ/または物理的な特性に関連して、作業室内の相応の媒体組成を調整することができる。
【0006】
本発明による基板は、特にSi基板である。このSi基板では、ボンディング面にCu−Cu接合層が存在しており、このCu−Cu接合層が、プロセスの後続の過程においてボンディングされる。択一的には、本発明によれば、別の金属層、たとえばAu、W、Ni、Pb、Pt、Sn等またはこれらの金属の組合せから成る金属層を備えた基板が使用されてよい。これに対する例は、Alで被覆されたSiウェーハであってもよいし、CuおよびSnで被覆されたSiウェーハであってもよいし、Tiで被覆されたSiウェーハであってもよいし、Cuと、このCuの下側に位置しかつ当業者に公知である、たとえばTi、Ta、W、TiN、TaN、TiW等から成っていて、Si内へのCuの拡散を阻止する工業的に慣用のバリヤ層とで被覆されたSi基板であってもよい。このような拡散バリヤは当業者に公知である。
【0007】
したがって、本発明によれば、周辺、すなわち、酸化性の雰囲気から、特に密に、好ましくは気密に閉鎖可能な1つの作業室を設け、この作業室内で、ボンディング面、好ましくは基板全体に存在し得る酸化物層の還元だけでなく、ボンディングも実施することができることが重要である。したがって、本発明によれば、1回の還元とボンディングプロセスとの間でボンディング面の再度の酸化が生じることを阻止することができる。基板、特に基板に存在する金属被覆層の特質に応じて、大気の種々異なる成分が基板を酸化させてしまう。しかし、たいていは、酸素と、酸素を含んだ化合物とが、酸化作用を有している。したがって、特に作業室内では、還元性の媒体組成の利用のほかに、酸素および水/水蒸気の濃度が大幅に減少させられているかまたは、好適にはほぼゼロである。
【0008】
本発明によれば、特に更なるプロセス最適化のために、特に作業室内でのボンディングすべき基板の前処理および/または後処理および/または基板の物理的なかつ/または化学的な特性の測定のための付加的なモジュールを作業室に接続することが可能である。この場合、主要な方法ステップは、加熱、還元、アライメント(位置合わせ)、冷却、層厚さ測定等であってよい。
【0009】
特に有利には、このことは、本発明に係る装置によれば、特に運動装置を有する中央モジュールを中心として、本発明による別のモジュール、たとえば特に還元モジュールおよびボンディングモジュールが配置されている場合に実現することができる。この還元モジュールとボンディングモジュールとは、特に中央モジュールに連結可能である。運動装置は、好適には、相応のエンドエフェクタを備えた、市場において慣用の産業用ロボットである。モジュールは、特に中央モジュールを中心として放射状にまたはクラスタ状に配置されていてもよいし、配置可能であってもよい。
【0010】
還元モジュールは、好ましくは、複数のボンディングチャックを同時に収容することができるように形成されている。最も理想的な態様では、還元モジュールとボンディングモジュールとは、これらのプロセスステップに関連して設備全体のスループットが最大化されるように形成されている。特に有利な態様では、ボンディングモジュールに少なくとも2つのモジュールが前置されている。これらのモジュールのうち、1つは、少なくとも1つの還元モジュールであり、第2のモジュールは、一種の蓄えモジュールである。ボンディングチャックは、搭載されたウェーハと共に還元モジュール内にローディングされ、処理される。その後、ボンディングチャックは蓄えモジュール内に一時的に蓄えられてよく、常時、即座のボンディング使用のために提供される。特殊な態様では、蓄えモジュールが還元モジュールとして形成されていてもよい。
【0011】
本発明の有利な態様によれば、還元モジュール内の還元室および/またはボンディングモジュール内のボンディング室が、好ましくは作業室の分割によって、この作業室から、特に密に分離可能であることが提案されている。したがって、還元および/またはボンディングを作業室の相応の部分に限定することができる。これによって、更なる効率向上および加速が可能になる。分離は、特に中央モジュールと作業室および/またはボンディング室との間のゲートバルブによって行うことができる。付加的には、還元室および/またはボンディング室を断熱しかつ/または電磁的に遮蔽することが可能である。
【0012】
1つの態様によれば、還元室が、特に作業室から分離されて、還元性の雰囲気、特にプラズマ還元および/またはガス還元にさらされるようになっていて、還元性の雰囲気、特にプラズマ還元および/またはガス還元によって、特にフラッシング可能であると有利である。特にフラッシング工程を、好ましくは排気と交互に複数回繰り返すことによって、酸化物層の減少/還元が最適化される。理想的には、酸化物層が完全に除去される。好適には、還元室内での還元が、少なくとも主に等温、特に還元温度(RT)〜400℃の温度、好ましくはRT〜300℃の温度、さらに好適にはRT〜200℃の温度、最も好適にはRT〜100℃の温度、特に最も好適にはRTで行われる。
【0013】
最適な結果を得るためには、還元温度が、還元すべき各酸化物に関連して選択されてよい加熱勾配によって始まる。したがって、還元室内では、本発明によれば、好ましくは(中央の)制御装置により制御されて、所定の温度分布および/または圧力分布が進行するようになっている。
【0014】
還元室および/またはボンディング室が、特に作業室から分離されて、特に別個の加熱手段によって還元温度(還元室)またはボンディング温度(ボンディング室)に加熱可能である限り、各プロセスにおける温度を個別に制御することができる。このことは、より小さな容積を加熱しさえすればよいという利点に結び付けられている。これによって、プロセスが加速させられる。有利には、ボンディングチャックおよび/またはウェーハが所定のモジュール内で加熱され、その熱をモジュール間での短い搬送の間に失わないようになっている。したがって、好適には、ボンディングチャックが高い熱容量を有している。
【0015】
本発明によれば、還元室が、特に還元媒体での還元室(12)の、好ましくは複数回のフラッシングに関連して、特に単独で所定の温度分布および/または圧力分布にさらされるようになっていると有利である。
【0016】
本発明の改良態様では、作業室が、特に還元室の分離時にかつ/またはボンディング室の分離時に、還元性の雰囲気にさらされるようになっていることが提案されている。したがって、還元室またはボンディング室の分離時、特に単独の制御時に作業室に単独で影響を与えることもできる。
【0017】
作業室を通じての還元モジュールとボンディングモジュールとの間でのウェーハのハンドリングは、周辺/大気における圧力よりも少ない圧力で実施することができる。この時点での作業室内の媒体、特にガスまたは混合ガスの少ない圧力によって、この搬送の間のウェーハの温度損失が大幅に減少させられる。なぜならば、もはや対流損失がほとんど生じないからである。したがって、基板が100℃よりも高い温度に保たれることを保証することができる。このことは、作業室内に位置する万が一の残存湿分によって、ウェーハが再度酸化されることを阻止する。好適には、この低い圧力の場合でも、作業室は不活性のかつ/または還元性のガス、特にフォーミングガスで満たされている。
【0018】
これ以前にかつ/またはこれ以後の図面説明に装置特徴が開示されている限り、この装置特徴を方法特徴としても開示したものと見なし、逆に、方法特徴が開示されている限り、この方法特徴を装置特徴としても開示したものと見なすことにする。
【0019】
本発明の更なる利点、特徴および詳細は、好適な実施の形態の以下の説明ならびに図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る装置の概略的な平面図である。
図2】本発明による還元室内での還元のための本発明に係る方法ステップのフローチャートである。
図3】本発明の第2の実施の形態に係る装置の概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面には、本発明の複数の利点および特徴が、これらの利点および特徴にそれぞれ合致する、本発明の実施の形態に記載の符号で示してある。同一の機能または同様に作用する機能を有する構成部材もしくは特徴は、同じ符号で示してある。
【0022】
本発明によれば、第1の実施の形態(図1参照)による(粗い)酸化物除去は、まず、第1の基板と第2の基板とが、特に順次、まず、外部の洗浄モジュール1内で洗浄されるようにして実現される。この外部の洗浄モジュール1内では、特に場合により存在する酸化物のエッチングによって、粗還元または粗除去をすでに行うことができる。基板は、特にウェーハであってよい。
【0023】
その後、両基板はアライメントモジュール2内で互いにアライメントされる。アライメントは、本発明によれば、互いにアライメントされる基板を搭載しかつ位置固定するボンディングチャック(図示せず)上で行われる。位置固定後、このボンディングチャックと基板とはモジュール群9内にローディングされ、特に運動装置10によって、以下に説明する各モジュールの間で運動させることができる。
【0024】
クラスタ状にまたは放射状に配置されたモジュール群9は、好ましくは直ぐ近くに位置している。本発明に係る装置の主な役割は、基板同士のボンディングにある。モジュール群9の作業室11は、この作業室11内にモジュール群9の外部から、特に酸化性のガスが進入し得ないようにするために、モジュール群9の外部の周辺から気密に隔絶されている。これは、モジュール群9の雰囲気を意図的に調整することができることを意味している。
【0025】
洗浄モジュール1および/またはアライメントモジュール2は、第1の実施の形態によれば、少なくとも1つのボンディングモジュール5を有するモジュール群9から分離されている。位置固定されてアライメントされた両基板から成るスタック(英語:stack)を有するボンディングチャックは、ゲートバルブ3を介してモジュール群9内にもたらされる。ボンディングすべき表面(ボンディング面)がモジュール群9への搬送の間に大気にさらされている限り、金属表面(ボンディング面)は再度酸化してしまう。酸化物の厚さは、室温の場合、特に大気(空気湿度、温度等)と酸化性の雰囲気内での基板の滞留時間とに左右される。したがって、本発明によれば、アライメントモジュール2とモジュール群9との間でのボンディングチャック上のウェーハの移送を可能な限り迅速に実施することが有利である。
【0026】
別の実施の形態では、洗浄モジュール1および/またはアライメントモジュール2のほかに、さらに、パッシベーションモジュール(図示せず)を使用することも可能である。このパッシベーションモジュールは、のちにボンディングすべきウェーハの表面を極めて薄膜の保護層で被覆する。この保護層は、表面の更なる酸化を遅らせ、好ましくは阻止する。これによって、モジュール群9内へのウェーハの引渡しが、表面の僅かな酸化を伴って、好ましくは表面の酸化を全く伴わずに可能となる。
【0027】
パッシベーション層が前もって被着されている形態では、アライメントされたウェーハを備えたボンディングチャックをモジュール群9内にもたらした後、パッシベーション層の除去が、所定のモジュール内で熱エネルギおよび/またはプラズマおよび/またはガスおよび/または液体によって行われる。特別な実施の形態では、パッシベーション層除去モジュールが還元モジュール4と同一であってもよい。
【0028】
アライメントされたウェーハがパッシベーション層で被覆されていない形態では、モジュール群9において、まず、還元モジュール4の還元室12内で熱処理が行われる。本発明の思想は、前もって形成された酸化物をポンプパージプロセスにより、この酸化物を崩壊させるか、還元するか、除去するかまたは減少させることができるあらゆる方法に関連して、還元性の雰囲気内でかつ還元モジュール4内の温度を高めて除去することにある。このようなプロセスでは、内部で基板がボンディングチャック上に位置している還元室12が、プログラミング可能な間隔を置いて、特にプログラミング可能な時間的に一定の間隔を置いて排気され、還元性のガスでフラッシングされる。したがって、好適には、モジュール群9の内部の還元モジュール4の雰囲気をモジュール群9の大気に対して隔絶することができる。各フラッシング工程は、表面における酸化物を還元し、各排気工程は、還元生成物を除去する。本発明によれば、この排気・フラッシング工程の複数回の利用によって、最大の割合の酸化物、好適には酸化物全てを金属表面から除去することが可能となる。本発明によるこのプロセスは、還元モジュール4の内部において還元室12内で行われるので、同モジュール群9の別のモジュール(5,6,7,8)内への基板のアンローディング後、もはや再度の酸化は生じ得ない。なお、還元室12は、大気に対して気密に隔離されたモジュール群9の一部であり、さらに、それ自体、還元性の雰囲気、好適には真空を有している。
【0029】
図2には、温度変化および複数回のポンプパージサイクルがシンボリックに示してある。基板が還元モジュール4の還元室12内へのローディング時に過度に急速な加熱によって破壊されないように選択された初期温度Tを起点として、基板のローディング後、温度は値T(還元温度)に上昇している。Cu表面では、Tに対する値が、理想的には約195℃である。正確な温度は経験的に求められなければならないかまたは算出されなければならない。この正確な温度は、種々異なる酸化物に対して大幅に変化し得る。プロセスは、少なくともほぼ等温、特に所定の加熱時間後には完全に等温で実施される。図2では、左側の縦座標が温度目盛りである。右側の縦座標は、第2のグラフで図示された還元ガスの分圧に対する圧力目盛りである。まず、理想的には0Paへの圧力の減少が行われることを認めることができる。これは、還元室12が排気されることを意味している。その後、この還元室12が還元ガスでフラッシングされ、再度排気される。このポンプパージサイクルは、本発明によれば、金属表面の残存酸化物を還元しかつ還元生成物を還元室12から導出するために最適である。モジュール群9の作業室11全体は、少なくとも不活性ガスで満たされるかまたは、理想的には周期的に排気すらされているので、特に1つのモジュールから次のモジュールへの作業室11の内部での基板の運動時にも、全く酸化は生じないかまたは無視できる程度の酸化しか生じない。
【0030】
ポンプパージサイクル後、さらに、等温での熱処理ステップが実施されてよい。この等温での熱処理の意義は、ウェーハをボンディングモジュール5のボンディング室13内にローディングする前に、ウェーハをすでにボンディング温度にもたらすことにある。これによって、スループットを犠牲にしてしまう恐れがある不必要な加熱・冷却サイクルによるボンディング室13の負担が取り除かれる。Cu表面の場合には、等温が、本発明によれば200℃未満、好適には150℃未満、より好適には100℃未満、最も好適には50℃未満、特に最も好適には室温である。
【0031】
ボンディングすべきウェーハは、モジュール群9の内部でボンディングモジュール5に案内され、そこで、互いに接合される。本発明によれば、ボンディング工程は可能な限り低い温度、最良には200℃未満、好適には150℃未満、より好適には100℃未満、最も好適には50℃未満、特に最も好適には室温で行われる。ボンディング工程に際して、最適な形態では、酸化物が完全に除去された2つの金属表面が互いに結合される。両金属表面は、好適にはCu表面である。ボンディングの間の拡散工程は、好適には等温条件下で実施される。十分に長い時間インターバルの選択によって、相応の金属ボンディングが行われる。以前の酸化物は完全に除去されており、ボンディングの間の温度は一定に保たれるので、ボンディングプロセスは、主として、選択された時間インターバルに左右される。Cu−Cuボンディングでは、ボンディング時間が60分未満、好適には30分未満、より好適には10分未満、最も好適には5分未満、特に最も好適には1分未満である。
【0032】
ボンディング結果に対する加熱工程および/または冷却工程の間の拡散の寄与は、等温でのボンディングプロセス時に生じる拡散に比べて無視することができる。
【0033】
その後、任意の別のプロセスステップ、たとえば、冷却モジュール6内での冷却と、これに続く検査モジュール7(計測ツール)および場合によっては更なる検査モジュール8(計測ツール)内でのボンディングの種々異なる検査とを行うことができる。ボンディング工程の成功後、ボンディングされた基板を備えたボンディングチャックがモジュール群9から取り出される。
【0034】
接合された構造体におけるアニーリング・拡散プロセス、応力緩和または再結晶化プロセスを可能にするモジュール、たとえば炉も、可能なかつ有利な更なる後処理モジュールである。
【0035】
モジュール群9の内部の雰囲気は、好適にはフォーミングガス雰囲気、さらに好適には不活性ガス雰囲気、最も好適には真空、特に最も好適には超高真空(UHV)であるかまたは前述した雰囲気の組合せである。フォーミングガス雰囲気は、たとえば以下の混合ガス:すなわち、
・N+H
・Ar+H
・He+H
・Ne+H
・Kr+H
から成っていてよい。
【0036】
不活性ガス雰囲気またはフォーミングガス雰囲気(媒体組成)では、作業室11の大部分が、酸素と、特に作業室11のハウジングの表面に付着していることがある水もしくは水蒸気とによる前もったポンプパージ洗浄によって洗浄される。作業室11内の圧力は、好ましくは10Pa未満、好適には10Pa未満、より好適には10Pa未満、最も好適には約1Paである。
【0037】
還元室12内の雰囲気は、除去すべき酸化物の化学的なかつ/または物理的な特性に相応して選択される。好適には、還元性の雰囲気が存在しており、より好適には、プラズマ還元が行われ、特に最も好適には、プラズマとガス還元とが組み合わされる。酸化物除去の別の可能性は、スパッタリングである。この場合、スパッタリングプロセスとは、除去式の物理的なスパッタリングプロセスを意味している。還元性の雰囲気として、以下のガスまたは混合ガス:すなわち、
・H
・ギ酸蒸気
・N+H
・Ar+H
・He+H
・Ne+H
・Kr+H
・N+ギ酸蒸気
・Ar+ギ酸蒸気
・He+ギ酸蒸気
・任意の別種の還元性のガス/混合ガス
が使用されてよい。
【0038】
還元室12内でのポンプパージサイクルは可能な限り頻繁に繰り返されるものの、プロセス時間を最小限に保つために必要となる程度しか繰り返されない。本発明によれば、特に少なくとも3回の繰返し、好ましくは少なくとも6回の繰返し、さらに好適には少なくとも9回の繰返し、最も理想的には、別のモジュール、特にボンディングモジュール5のプロセス時間によって設定された期間内で可能となる限り多くの回数の繰返しが提案されている。
【0039】
還元モジュール4内で使用される還元ガスは、好適には、ウェーハ表面上の酸化物の還元時に表面粗さの増加が生じないように選択される。
【0040】
本発明の第2の実施の形態では、洗浄モジュール1’とアライメントモジュール2’とが、モジュール群9’の構成要素である、すなわち、作業室11に接続されている。洗浄モジュール1’内では、表面の予洗浄もしくは粗洗浄または、理想形態では、酸化物の完全なまたはほぼ完全な還元すら実施される。この完全なまたはほぼ完全な酸化物還元の理想形態では、続くモジュール4内での精還元が容易になる。この変化形態では、アライメントがアライメントモジュール2’内で行われ、このアライメントモジュール2’はすでに作業室11の一部であるので、ウェーハボックスを、いわゆる「SMIF(Standard Mechanical InterFace)」または「FOUP(Front Opening Unified PodもしくはFront Opening Universal Pod)」によって基板モジュール接続部3’(Ports)を介してローディングすることが可能となる。ウェーハボックスは、ウェーハを搬送する規格化されたウェーハボックスである。この変化形態の利点は明白である。全自動化して全ウェーハバッチをローディングしかつ作業室11に供給することができる。アライメントは、全自動化されて、作業室11に接続されたアライメントモジュール2’内で行われる。
【0041】
本発明の全般的な特徴
・前処理、洗浄を湿式化学的に行うことができるかまたはプラズマ、スパッタリング、機械的な力または還元ガスによって行うことができる。
・ボンディングモジュール5以後、基板が、好ましくは熱処理炉内に運動させられ、次いで、選択的に冷却モジュール6内に運動させられる。
・ボンディングモジュール5以前のかつ/または以後のモジュールの順序および種類は任意であるものの、好ましくは、まず、粗い洗浄が行われ(洗浄モジュール1,1’)、その後、アライメントが行われ(アライメントモジュール2,2’)、その後、ボンディングが行われ(ボンディングモジュール5)、その後、熱処理および冷却が行われる(冷却モジュール6)。
・特別な形態では、洗浄モジュール1が炉であってもよい。この形態では、洗浄の前処理が、フォーミングガスおよび/または還元性のガスによって実施される。
【符号の説明】
【0042】
1,1’ 洗浄モジュール
2,2’ アライメントモジュール
3 ゲートバルブ
3’ 基板モジュール接続部
4 還元モジュール
5 ボンディングモジュール
6 冷却モジュール
7 検査モジュール
8 検査モジュール
9 モジュール群
10 運動装置
11 作業室
12 還元室
13 ボンディング室
Ti 初期温度
Tf 還元温度
図1
図2
図3