特許第6538903号(P6538903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6538903薬剤送達器材用の針アセンブリの針の再使用の防止
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6538903
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】薬剤送達器材用の針アセンブリの針の再使用の防止
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20190625BHJP
   A61M 5/50 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   A61M5/32 510D
   A61M5/50 530
   A61M5/32 510Z
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-24130(P2018-24130)
(22)【出願日】2018年2月14日
(62)【分割の表示】特願2016-160725(P2016-160725)の分割
【原出願日】2010年2月4日
(65)【公開番号】特開2018-86320(P2018-86320A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2018年3月8日
(31)【優先権主張番号】61/150,671
(32)【優先日】2009年2月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルアン ティエミン
【審査官】 杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−137687(JP,A)
【文献】 特表2007−510465(JP,A)
【文献】 特表2005−530597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 3/00− 9/00
A61M 31/00
A61M 39/00−39/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
針アセンブリであって、
移動可能にニードルハブに連結されるように構成された不透明な内カバーと、
移動可能に前記不透明な内カバーに連結されるように構成された半透明な外カバーと
を備え、
前記ニードルハブは可視的なインディケータを有し、
前記不透明な内カバーは、この不透明な内カバーが前記ニードルハブに連結されているときは、前記ニードルハブの前記可視的なインディケータを視覚的に隠すようにさらに構成され、
前記半透明な外カバーは、前記不透明な内カバーが前記ニードルハブから取り外されていて、かつ、この半透明な外カバーが前記ニードルハブに連結されているときは、前記ニードルハブの前記可視的なインディケータ視覚的に見せるようにさらに構成されていること特徴とする針アセンブリ。
【請求項2】
前記ニードルハブの使用のために、前記半透明な外カバーは、前記不透明な内カバーから取り外されるようにさらに構成され、および、前記不透明な内カバーは、前記ニードルハブから取り外されるようにさらに構成され、ならびに、
前記ニードルハブの使用後に、前記半透明な外カバーは、前記ニードルハブに連結されるようにさらに構成されることを特徴とする請求項1に記載の針アセンブリ。
【請求項3】
前記可視的なインディケータは、前記ニードルハブの着色されたグルーウェル、前記ニードルハブの構成物質、および、前記ニードルハブのカバーのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項に記載の針アセンブリ。
【請求項4】
前記半透明な外カバーは、さらに、
前記不透明な内カバーを受けるための、および、前記ードルハブを受けるための外カバーキャビティと、
前記外カバーキャビティ内に配置された柔軟部材であって、前記半透明な外カバーが前記ニードルハブに連結されているときに、前記ニードルハブを前記外カバーキャビティ内に固定するように構成されている柔軟部材と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の針アセンブリ。
【請求項5】
前記ニードルハブはフランジを備え、前記フランジは、前記半透明な外カバーの前記柔軟部材によって固定されるように構成されることを特徴とする請求項に記載の針アセンブリ。
【請求項6】
前記不透明な内カバーは、さらに、
前記ニードルハブの一部を受けるための内カバーキャビティと、
前記内カバーキャビティを囲む基底部材であって、前記不透明な内カバーが前記ニードルハブに連結されているときに、前記内カバーキャビティ内での前記ニードルハブの挿入深さを制限するように構成されている基底部材と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の針アセンブリ。
【請求項7】
薬物送達デバイスと共に使用するための針アセンブリの針の再使用を防止する方法において、
ニードルハブの可視的なインディケータを、不透明な内カバーと半透明な外カバーの少なくとも一方の内部に収容されているときに観察するステップであって、前記半透明な外カバーは移動可能に前記不透明な内カバーに連結されるように構成され、前記ニードルハブの前記可視的なインディケータは、前記不透明な内カバーが前記ニードルハブに連結されているとき、前記不透明な内カバーによって視覚的に隠されるようになっており、および、前記ニードルハブの前記可視的なインディケータは、前記半透明な外カバーが前記ニードルハブに連結されていて、かつ、前記不透明な内カバーが前記ニードルハブから取り外されているとき記半透明な外カバーによって視覚的に見えるようにされる、観察するステップ、
前記ニードルハブの前記可視的なインディケータが、記半透明な外カバーによって視覚的に見えるようにされている場合に、前記ニードルハブを処分するステップ、および、
前記ニードルハブの前記可視的なインディケータが、前記不透明な内カバーおよび前記半透明な外カバーによって視覚的に隠されている場合に、使用のために前記ニードルハブを準備するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
使用した後に前記ニードルハブを、前記ニードルハブの前記可視的なインディケータが記半透明な外カバーによって視覚的に見えるようにされるように、前記半透明な外カバーへ戻すステップをさらに含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、再使用防止機能付使い捨てペンニードルに関する。より詳しくは、本発明は、外カバーのキャップがタブを有し、このタブはキャップに連結されて、ペンニードルの再使用を防止する、使い捨てペンニードルに関する。本発明はまた、ペンニードルの再使用を防止するために、外カバーの中にロック可能なペンニードルに関する。
【背景技術】
【0002】
インシュリンおよびその他の注入可能な薬剤は一般に、薬物送達ペンを使って投与され、この器材には使い捨てペンニードルが取り付けられ、それによって薬物容器との連通が促され、薬液が容器から針を通って患者に送られる。
【0003】
技術の進歩と競争の激化に伴い、より短時間で、より細く、より苦痛が少なく、より有効な注射に対する要望が高まり、ペンニードルと部品の設計はますます重要となっている。設計では、人間工学的に注入手法を改善し、注入深度を制御し、精度を保ち、処分時まで安全に使用、持ち運びできるようにし、大量生産規模での経済的な製造を可能にすると同時に、誤用を防止することを積極的に実現しなければならない。
【0004】
薬物送達器材、例えば図1図2に示される例示的な薬物送達ペン100は、皮下注射および皮内注射用として設計でき、一般に、単位設定ノブ/ボタン24、外側スリーブ13、およびキャップ21を備える。単位設定ノブ/ボタン24により、使用者は注入すべき薬剤の投与量を設定できる。外側スリーブ13は、使用者が薬剤を注入する際にそこを握る。キャップ21は、使用者が薬物送達ペン100をシャツのポケット、バッグまたはその他適当な場所に安全に入れておき、また、針刺し事故を防止するためのカバー/保護具として使用される。
【0005】
図2は、図1の薬物送達ペン100の分解図である。単位設定ノブ/ボタン24は2つの機能を有し、注入すべき薬剤の用量を設定するため、および単位設定された薬剤を、下側ハウジング17の中に納まるように薬物送達ペンに取り付けられた薬剤カートリッジ12から、リードねじ7とストッパ15を介して注入するための両方に使用される。標準的な薬物送達ペンでは、単位設定および送達メカニズムは全て外側スリーブ13の中にあり、これらは先行技術を知る人々であれば理解されるため、ここでは詳しく説明しない。薬剤カートリッジ12の中でプランジャまたはストッパ15が遠位方向に移動すると、薬剤がハブ20のスチール針11の中に押し込まれる。薬剤カートリッジ12は隔壁16によって密閉され、隔壁はハブ20の中に位置付けられた隔壁穿刺針カニューレ18によって穿刺される。ハブ20は、好ましくは下側ハウジング17に螺合されるが、他の連結手段も使用でき、例えばカートリッジに連結されてもよい。使用者、またはペン型注入器100を扱う全ての人を保護するために、ハブ20に連結される外カバー69でハブを覆う。内側シールド59は、外カバー69の中で患者用針11を覆う。内側シールド59は、適当な手段、例えば締り嵌めまたはスナップ式嵌合等により、患者針を覆うようにハブ20に固定することができる。外カバー69と内側シールド59は、使用前に取り外す。キャップ21は、外側スリーブ13にぴったりと嵌り、使用者は安全に薬物送達ペン100を持ち運ぶことができる。
【0006】
薬剤カートリッジ12は一般に、一方の端が隔壁16によって密閉され、もう一端がストッパ15で密閉されるガラス管である。隔壁16は、ハブ20の中の隔壁隔壁穿刺カニューレ18によって穿刺可能であるが、薬剤カートリッジ12に関して移動しない。ストッパ15は、薬剤カートリッジ12の中で軸方向に移動可能であり、同時に液密状態を保持する。
【0007】
例示的な薬物送達ペンのペンニードル2の分解斜視図を図3に示す。ペンニードル2は、カバー(外側シールド)69、内側シールド59、針カニューレ11、およびハブ20を有する。針カニューレ11の近位端310は、針カニューレ11の遠位(患者側)端305が所定の長さだけ突き出た状態となるまで、ハブ20の遠位(患者側)端405の中の中央開口部に挿入される。針カニューレ11は、ハブ突出部420の中に、ハブ20の遠位端405の中のエポキシまたは接着剤により固定される。
【0008】
使用者の負傷および針カニューレ11の損傷を防止するために、内側シールド59は、針カニューレ11の露出部を覆う。内側シールド59の開放近位端210は、針カニューレ11の露出部の周囲に設置される。カバー69の開放近位端110は、シールド59、針カニューレ11、および針20を包み込む。
【0009】
カバー69の近位端105は閉じており、使用前のペンニードル2の内側構成部品の汚染と損傷を防止し、それを取り扱う人物の負傷を防止する。ハブ20の近位端410は一般に、カバー69の端110の上に接着された衛生用紙またはフォイルカバー(図示せず)で覆われている。薬物送達ペンは、この状態で使用者に出荷される。使用者は、薬物送達ペンを使用する準備ができると、衛生カバー(図示せず)をカバー69から取り外し、ハブ20を標準的なペン100(図1図2)の下側ハウジング17に螺合させ、引張動作によって、カバー69とシールド59をハブ20とカニューレ11のサブアセンブリから分離する。内側シールド59の遠位端205は閉じられ、カバー69を取り外した後に針カニューレ11の遠位端305を覆い、針刺し事故から使用者を保護するようになっている。次に、内側シールド59を取り外すと、針カニューレ11にアクセス可能な状態となる。このようにして、カバー69とシールド59の両方を取り外すには、2回の別々の引張動作が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0229562号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0149924号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
多くの既存の交換用針アセンブリは、内側シールドと外カバーを有する。外カバーには一般に、衛生用紙またはフォイルシールが取り付けられており、使用者はペンニードルをペンアセンブリのカートリッジに連結する際に、これを取り外さなければならない。しかしながら、衛生シールは、つまみにくく、ペンニードルから取り除きにくいことがある。さらに、衛生シールをペンニードルから取り除いてしまうと、ペンカートリッジから取り外した後の使用済みペンが再使用されないようにするものがない。さらに、衛生シールがないと、カバーのない針による使用者の針刺し事故を防止するものがない。それ故、使用しやすく、再使用を防止するペンニードルが求められている。
【0012】
ペンニードルの別の既存の問題は、ペンニードルが既に使用済みのものか否かを容易に判断する手段がないことである。それ故、ペンニードルを外カバーにロックして、再使用を防止するペンニードルが求められている。また、ペンニードルが既に使用済みであることを示すカラーインディケータを有するペンニードルも求められている。
【0013】
既存の薬物送達ペンは、2006年10月12日公開のマーシュらの特許文献1および2007年6月28日公開のR.マーシュらの特許文献2に開示されており、両出願の全内容を引用によって本願に援用する。
【0014】
したがって、タブを有するキャップを備えた外カバー付の使い捨てペンニードルが求められており、タブは、キャップに連結可能であって、ペンニードルの再使用を防止し、使いやすいペンニードルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のある態様によれば、外カバー内にロック可能であって、再使用が防止されるペンニードルが求められている。
【0016】
本発明の別の態様によれば、ペンニードルの外カバーのキャップは、外カバーから外側に突出するタブを有し、それによって、ペンニードルにアクセスできるように簡単に開けられるキャップが提供される。
【0017】
本発明の別の態様によれば、タブをキャップに固定して、キャップを外カバーにロックでき、それによって、使用済みペンニードルの再使用が防止され、また、使用済みペンニードルによる針刺し事故が防止される。
【0018】
本発明の別の態様によれば、そのペンニードルが使用済みであるか否かを明確に示すカラーインディケータを有するペンニードルが求められている。
【0019】
上記の目的は基本的に、ハブと、ハブに固定連結される針を備える薬物送達器材用ペンニードルを提供することによって達成される。外カバーは、ハブと針を取り外し可能に受ける。ロッキング部材は、ハブと針を外側カバーの中にロックする。
【0020】
本発明の目的、利点および目立った特徴は、添付の図面とともに本発明の例示的実施形態を開示している以下の詳細な説明を読むことによって明らかとなるであろう。
【0021】
本発明の各種の実施形態の上記のような恩恵およびその他の利点は、以下の本発明の例示的実施形態の詳細な説明と添付の図面からより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】組立後の薬物送達ペンの斜視図である。
図2図1の薬物送達ペンの分解斜視図である。
図3図1図2の薬物送達ペンのペンニードルの分解斜視図である。
図4】キャップに連結されたタブを有するペンニードルの外カバーの立面図であって、キャップは、本発明のある例示的実施形態による外カバーに連結されている。
図5】キャップが開けられて、ペンニードルにアクセスできる状態の外カバーの立面図である。
図6】外カバーがペンニードルから分離されて、ペンニードルがカートリッジに連結される状態の外カバーの立面図である。
図7】使用済みペンニードルがカートリッジから分離されて、外カバーにより受けられている状態の外カバーの立面図である。
図8】キャップが閉じられ、タブがロック位置から移動されている状態の外カバーの立面図である。
図9】タブが外カバーのキャップにロックされている状態の外カバーの立面図である。
図10】タブがロックされていない状態の、図4のペンニードルの外カバーとキャップの斜視図である。
図11】タブがロックされている状態の、図9のペンニードルの外カバーとキャップの斜視図である。
図12】本発明の別の例示的実施形態による外カバーの横断立面図である。
図13】本発明の別の例示的実施形態による内側シールドの斜視図である。
図14】本発明の別の例示的実施形態によるハブの斜視図である。
図15】内側シールドがハブに連結されている状態における図12から図14の組み立て済みペンニードルアセンブリの部分横断立面図である。
図16】ハブが外カバーにロックされている状態における図12から図14の組み立て済みペンニードルアセンブリの部分横断立面図である。
図17】ハブが外カバーにロックされて、ハブがカラーインディケータを有している状態の、図12から図14の組み立て済みペンニードルアセンブリの部分横断立面図である。
図18】本発明の別の例示的実施形態によるねじ式内側シールドの斜視図である。
図19】本発明の別の例示的実施形態によるねじ式内側シールドの斜視図である。
図20】針ハブと螺合して針の非患者側端を遮蔽する、図18または図19の内側シールドの斜視図である。
図21】本発明の別の例示的実施形態による、階段状基底部を有する内側シールドの斜視図である。
図22図21の内側シールドを受けるようになされたフレキシブルアームを有するハブの斜視図である。
図23図22のハブに連結されて針の非患者側端を遮蔽する、図21の内側シールドの部分横断立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面全体を通じて、同様の参照番号は、同様の部品、構成部品および構造を指すと理解するものとする。
【0024】
以下の本発明の例示的実施形態の説明と詳細は、概して図1から図3に示されるような一般的な薬物送達ペンとして開示されているが、シリンジ、オートインジェクタおよび点滴器材等、他の注入器材と共に、またはそこに装着して使用する針とハブのアセンブリにも広く応用できる。
【0025】
図4から図9に示される、本発明のある例示的実施形態において、外カバー501は、ペンニードル521のハブ511に、例えば摩擦嵌合等によって連結される。ハブ511は、そこに剛体的に固定された針502を有する。剛性プラスチックキャップ503は、リビングヒンジ(living hinge)531等によって外カバー501に連結される。好ましくは、リビングヒンジは、外カバー501の成形中に形成される。あるいは、キャップ503は外カバー501にスナップ式に嵌合されてもよい。キャップ503は、一体的な、外側に延びるタブ505を有し、これによって使用者はタブを簡単につまむことができ、使用者によるキャップの開放が容易になる。
【0026】
外カバー501は、略円筒形本体507を有する。キャップ503は、本体507の第一の端に連結される。内側にテーパの付いた本体部分508は、本体507の第二の端に連結される。突出部509は、テーパの付いた本体部分508からキャップ503と反対方向に延びる。突出部509は、ハブ511の針502を受けるようになされている。
【0027】
キャップ503は、好ましくは、図10図11に示されるように略円形である。しかしながら、タブ505は、適当であればどのような形状であってもよい。タブ505は、使用者がタブ505をより簡単に摘み、または係合させることができ、キャップ503の開閉が容易になるような形状である。キャップ503は窪み533を有し、外カバー501は窪み535を有し、タブがキャップにロックされる前は、図10に示されるように、窪みからタブ505が延びている。
【0028】
タブ505をキャップ503にロックするには、タブをキャップの窪み533の中に移動させ、キャップが外カバー501から外れないようにする。タブ505は、タブをキャップの窪み533の中に配置するのに適したどのような方法でキャップに連結してもよい。タブは当初、折り線(weakened line)によってキャップ503に剛体的に取り付けられていてもよい。使用者の指でタブ505を上方向に押し上げることによって、図5に示されるようにキャップが開く。針502を使用して、外カバー501の中に配置した後は、図8図9に示されるように、キャップ503は閉じたままとなり、その間にタブ505を線の部分で枢動させるか、折り切り、窪み533の中に固定する。タブ505は、キャップの窪み533より若干大きくして、タブ505を窪み533の中に設置するとキャップ503が拡張し、キャップが外カバー501によりしっかりと固定されるようにしてもよい。
【0029】
図4に示されるように、ペンニードル521の使用前には、キャップ503で外カバー501が密閉され、それによって針502の両端がカバーされて滅菌状態が保たれ、針刺し事故が防止される。ペンニードル521を使用できる状態になったら、図5に示されるように、キャップ503を開き、ハブ511と針502にアクセスできるようにする。次に、ハブ511をペンの下側ハウジング17(図2)に連結し、図6に示されように、外カバー501をハブ511と針502から分離する。針502が使用済みとなると、ハブ511と針502を薬物送達器材100の下側ハウジング17(図1)から分離して、外カバー501の中に再び挿入し、図7に示されるようにキャップ503を閉じる。キャップ503は好ましくは、外カバー501と締まり嵌めの状態となり、キャップが外カバーに固定される。次にタブ505を、図8に示されるように、ロック位置に移動させる。図9図11に示されるように、タブ505がキャップ503にロックされると、キャップは開かなくなり、それによってペンニードル521は再使用されない。それに加えて、ハブ511を外カバー501にロックすることによって、使用済み針502の両端がカバーされ、その結果、使用者に針が刺さる事故が防止される。
【0030】
タブ505は使用者によってキャップ503にロックされるため、ペンニードル521を、個人的使用の場合に適しているように所望の回数だけ再使用してから、あるいは病院や職業的使用の場合に適しているように一度だけ使用してから、タブをキャップにロックすることができる。病院等の職業的設定では、タブ505をキャップ503にロックすることによって、ペンニードル521の再使用が防止され、それによって、患者との血液相互汚染が防止される。さらに、タブ505がキャップ503にロックされると、針502の非患者側端もまたカバーされ、それによって針刺し事故が防止される。
【0031】
図12から図17に示されるように、本発明の別の例示的実施形態において、ペンニードル621のハブと針は、外カバー601の中にロック可能である。
【0032】
図12に示されるように、外カバー601は、内面602に形成された第一の逃げ溝603を有し、ハブ625を受けるようになされている。第一の逃げ溝603は、挿入されたハブ625が外れないようにする第一の柔軟部材604を形成する。好ましくは、第一の柔軟部材604は、内面602の円周全体に渡って延びる。外カバー601はまた、内面602に形成された第二の逃げ溝605も有し、外カバーの中に内側シールド611を固定するようになされている。第二の逃げ溝は第二の柔軟部材606を形成し、これは挿入された内側シールド611が外れないようにする。好ましくは、第二の柔軟部材606は、内面602の円周全体に渡って延びる。第二の柔軟部材606は、内側シールド611の突出部615の外面614と係合し、それによって、図15に示されるように、内側シールドを受けやすくなる。外カバー601は、好ましくは透明であり、また好ましくはポリプレピレン製である。
【0033】
図13に示されるように、内側シールド611は、基底部613と、基底部から延びて、図15に示されるように針623をカバーするようになされた突出部615と、を有する。内側シールド611の基底部613は、より大きく、より厚い基底部を有し、それにより、使用者が針623の周囲の内側シールドをハブ625の上に配置しようとする際に、針刺し事故が発生する可能性が低下する。内側シールド611の突出部615は、外カバー601の第二の逃げ溝605によって受けるようになされている。
【0034】
図14に示されるように、ペンニードル621のハブ625は面取りフランジ627を有し、これは図16に示されるように、外カバー601の第一の逃げ溝603によって受けられるようになされている。ハブ625は、好ましくはポリプロピレン製である。
【0035】
図15は、使用前の、外カバー601の中に配置されたペンニードル621と内側シールド611を示す。内側シールド611の基底部613の厚さは、ハブ625の面取りフランジ627が、外カバー601の第一の逃げ溝603により形成される第一の柔軟部材604を越えて受けられないようにする。ペンニードル621の針623が薬剤を投与するために使用された後、ハブ625が依然として薬物送達器材100の下側ハウジング17に連結されていると(図1図2)、外カバー601は、図16に示されるように、ペンニードル621のハブ625と針623の周囲に配置される。内側シールド611がペンニードル621のハブ625の上に配置されていないため、ハブ625の面取りフランジ627は、図16に示されるように、外カバー601の第一の逃げ溝603によって形成される第一の柔軟部材604によって受けられる。面取りフランジ627によって第一の柔軟部材604が内側に曲がり、それによって面取りフランジは第一の柔軟部材を越えて移動することができる。面取りフランジ627は第一の柔軟部材604の上に着座し、これが下側に曲がらなくなる。このようにして、面取りフランジ627は、第一の柔軟部材604によって外カバー601の中にロックされ、ペンニードル621は薬物送達器材100の下側ハウジング17から取り外してもよい。
【0036】
本発明の好ましい実施形態において、ペンニードル621のハブ625のグルーウェル(glue well)629は、図17に示されるように、所定の色、例えば赤に成形または塗布されて、そのペンニードルが使用済みであることを示す。図15に示されるように、不透明の内側シールド611がハブ625のグルーウェルを覆い、内側シールドがハブ625の上に配置されて針623を覆っているときに、使用者からはグルーウェルが見えない。ペンニードル621が使用され、面取りフランジ627が、外カバーの中に第一の逃げ溝603によって形成された第一の柔軟部材604によって受けられると、グルーウェル629は、図17に示されるように、内側シールド611によって覆われなくなるため、透明カバー601を通して見える。着色されたグルーウェル629が見えることは、ペンニードル針621の針623が使用済みであることを示す。したがって、使用済みペンニードルを別の使用者が予期せず手に取った時に、外カバー601からカラーのグルーウェル629が見えれば、ペンニードル621の針623が使用済みであり、適正に処分されるべきであることを示している。
【0037】
外カバー601は、図4から図11に示される例示的実施形態のキャップとロッキングタブを有し、ハブ625が外カバー601にロックされているときに露出する針623の非患者側端をカバーする。あるいは、内側シールド701は基底部703の上にねじ山705(図18)または706(図19)を有していてもよく、これは、図20に示されるように、ハブ725の内面724のねじ山と螺合する(例えば、図23参照)。それ故、ハブ725が外カバー711にロックされると、外カバー711は針731の患者側端733を覆い、内側シールド701はハブ725に連結され、針731の非患者側端734を覆う。
【0038】
突出部704は、内側シールド711の基底部703から外側に延びる。基底部703には開口部が配置され、針731を受けやすくするための通路が突出部704の中に配置される。内側シールド701の突出部704は閉鎖端702を有し、針731の非患者側端734を覆う。
【0039】
図21−23に示される別の例示的実施形態において、内側シールド811は階段状基底部813を有する。階段状基底部は第一の部分815と第二の部分817を有し、第二の部分817は、図21に示されているように、第一の部分815より小さな外径を有する。突出部812は基底部813から上方に延び、閉鎖端814を有して、針831の非患者側端835をカバーする。基底部813に開口部が配置され、突出部812の中に通路が配置されて、図23示されるように、針831が受けられる。
【0040】
図22に示されるように、ハブ825は内側に延びる1対の柔軟アーム827を有する。好ましくは、柔軟アーム827は、正反対に配置される。針831は、図23に示されるように、ハブ825によって剛体的に受けられる。ねじ山826によって、ハブ825は薬物送達器材100の下側ハウジング17に螺合式に連結される。
【0041】
内側シールド811は、図23に示されるように、ハブ825に挿入され、針831の非患者側端835を覆う。内側シールドがハブの中に挿入される際、内側シールド811の階段状基底部813の第一の部分815によって、ハブ825のアーム827が外側に曲がる。階段状基底部813の第一の部分815がアーム827を通過すると、アーム827はその当初の位置に戻り、基底部の第一と第二の部分の間に形成される肩状部819と係合する。階段状基底部813の第一の部分815の外径のほうが大きいため、内側シールド811はハブ825から抜けなくなる。このように、外カバー801は針831の患者端833を保護し、内側シールド811は針831の非患者側端835を保護する。使用者は、手でアーム827を外側に曲げ、ハブ825から内側シールド811を抜き取ってもよい。
【0042】
上記の実施形態と利点は例に過ぎず、本発明の範囲を限定するとは解釈しないものとする。本発明の例示的実施形態の記述は説明のためであり、本発明の範囲を限定していない。各種の実施形態、代案または変化形は、当業者にとって明らかであり、全て、付属の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲およびその同等物の中に含められるものとする。
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