特許第6538984号(P6538984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6538984
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】線形変位センサ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20190625BHJP
   G01D 5/22 20060101ALI20190625BHJP
   G01D 5/12 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   G01D5/20 A
   G01D5/20 K
   G01D5/22 A
   G01D5/12 N
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-531670(P2018-531670)
(86)(22)【出願日】2016年10月19日
(65)【公表番号】特表2018-538538(P2018-538538A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】EP2016075019
(87)【国際公開番号】WO2017102137
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2018年6月15日
(31)【優先権主張番号】102015225221.3
(32)【優先日】2015年12月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】インゴ ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ウーターメーレン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス メアツ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ライディヒ
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭51−35874(JP,B1)
【文献】 再公表特許第2014/038551(JP,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102004033083(DE,A1)
【文献】 米国特許第05742161(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/252
G01D 5/39−5/62
G01B 7/00−7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励磁コイル(22)に交流電圧が印加されたときにセンサコイル(24)内において交流電圧が誘導されるように配置された、センサコイル(24)と励磁コイル(22)とを有するベース要素(12)と、
測定経路に沿った方向において前記ベース要素(12)と相対的に摺動可能である少なくとも部分的に導電性の摺動要素(14)と、
を備える線形変位センサ(10)であって、
前記センサコイル(24)は、2つの逆向きの部分巻線(34a,34b)を有し、
前記摺動要素(14)は、前記センサコイル(24)が配置される、前記測定経路に沿って可変の幾何学的構成(30)を有しており、それにより、前記センサコイル(24)の前記部分巻線(34a,34b)と前記励磁コイル(22)との誘導結合と、それに伴ってセンサコイル内において誘導される交流電圧の振幅とが、前記ベース要素(12)に対する前記摺動要素(14)の相対位置に依存する、
線形変位センサ(10)において、
補正コイル(26)が備えられ、前記補正コイル(26)は、前記摺動要素(14)の前記測定経路に沿って一定の幾何学的構成(42)上に配置されており、それにより、前記補正コイル(26)の誘導結合と、それに伴って前記補正コイル(26)内において誘導される交流電圧の振幅とが、前記ベース要素(12)に対する前記摺動要素(14)の横方向のオフセットに依存することを特徴とする線形変位センサ(10)。
【請求項2】
前記補正コイル(26)は、少なくとも2つの逆向きの部分巻線(36a,36b)を有し、及び/又は、前記補正コイル(26)の前記部分巻線(36a,36b)は、前記測定経路に対して横方向において隣接して前記摺動要素(14)の前記一定の幾何学的構成(42)上に配置されている、請求項1に記載の線形変位センサ(10)。
【請求項3】
前記補正コイル(26)は、4つの逆向きの部分巻線(36a,36b,36c,36d)を有し、前記4つの部分巻線(36a,36b,36c,36d)のうち、2つの内側部分巻線(36b,36c)は、前記可変の幾何学的構成(30)上に配置され、2つの外側部分巻線(36a,36d)は、それぞれ前記測定経路に沿って一定の幾何学的構成(42)上に配置される、請求項1又は2に記載の線形変位センサ(10)。
【請求項4】
前記線形変位センサ(10)は、2つの補正コイル(26,26’)を有し、及び/又は、前記2つの補正コイル(26,26’)は、1つの巻線のみを有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の線形変位センサ(10)。
【請求項5】
前記線形変位センサ(10)は、2つの補正コイル(26,26’)を有し、前記2つの補正コイル(26,26’)は、それぞれ前記摺動要素(14)の一定の幾何学的構成(42)のもとで、前記可変の幾何学的構成(30)の左右に配置されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の線形変位センサ(10)。
【請求項6】
前記線形変位センサ(10)は、直列に接続された2つの補正コイル(26,26’)を有し、及び/又は、前記補正コイル(26,26’)及び前記センサコイル(24)は、直列に接続されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の線形変位センサ(10)。
【請求項7】
前記励磁コイル(22)は、前記センサコイル(24)及び前記補正コイル(26)内において交流電圧を誘導するように構成され、及び/又は、前記励磁コイル(22)は、前記センサコイル(24)及び/又は前記補正コイル(26)を取り囲んでいる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の線形変位センサ(10)。
【請求項8】
前記線形変位センサ(10)は、前記補正コイル(26)のための付加的励磁コイル(22’)を含み、前記付加的励磁コイル(22’)は、前記補正コイル(26)内において交流電圧を誘導するように構成されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の線形変位センサ(10)。
【請求項9】
前記センサコイル(24)の前記部分巻線(34a,34b)は、前記測定経路に対して横方向において隣接して配置されており、及び/又は、前記センサコイル(24)の前記部分巻線(34a,34b)は、同一の面積を有している、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の線形変位センサ(10)。
【請求項10】
前記線形変位センサ(10)は、それぞれ2つの逆向きの部分巻線(34a,34b)を有する2つのセンサコイル(24,24’)を有し、前記2つのセンサコイル(24,24’)は、前記測定経路に対して横方向において隣接して前記摺動要素(14)の前記可変の幾何学的構成(30)上に配置される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の線形変位センサ(10)。
【請求項11】
前記可変の幾何学的構成(30)は、前記測定経路に対して傾斜して延在する、前記摺動要素(14)の溝(32)を含み、及び/又は、前記一定の幾何学的構成(42)は、前記測定経路に対して平行に延在する、前記摺動要素(14)の溝(44)を含み、及び/又は、前記一定の幾何学的構成(42)は、前記測定経路に対して平行に延在する、前記摺動要素(14)の側縁部(40)を含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の線形変位センサ(10)。
【請求項12】
前記励磁コイル(22)、前記センサコイル(24)及び前記補正コイル(26)のうちの少なくとも1つは、プリント回路基板(20)における平面コイルとして構成されている、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の線形変位センサ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線形変位センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
線形変位センサは、実質的に直線の測定経路に沿って2つの構成要素の相対摺動を検出するために用いることが可能である。この摺動は、構成要素の位置又は相対位置(即ち、複数)によって示すことができる。
【0003】
例えば線形変位センサは、渦電流原理に基づくことができる。独国特許出願公開第102004033083号明細書(DE102004033083A1)は、例えばホイールの外側輪郭上に配置された渦電流センサを示す。この測定信号は、導電性トラックを有するセンサコイルの走査によるインダクタンス変化に起因する共振回路の周波数変化である。センサコイルは、トラック内において渦電流を誘導し、この渦電流は、共振回路内において相互接続されたセンサコイルのインダクタンス変化を引き起こし、それによって共振回路の共振周波数が変化する。許容誤差に強い設計は、通常は複数のセンサコイルと複数の導電性トラックとを使用する必要がある。また、センサコイルに対するトラックの傾動と距離変化とが測定不正度につながる可能性もある。なぜならば、渦電流効果は、非線形性の強い距離依存性を有するからである。
【0004】
国際公開第2007000653号(WO2007000653A1)は、導電性摺動要素に結合された結合センサコイルを有する線形変位センサを示す。結合センサコイルは、摺動要素とセンサコイルとの間の距離変化又は傾動に対する著しく高い堅牢性を有し得るが、ただし、摺動要素の横方向のオフセット(測定経路に直交する)の場合には、より高い測定誤差を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102004033083号明細書
【特許文献2】国際公開第2007000653号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の開示
発明の利点
本発明の実施形態は、好ましい方法により、わずかな構造空間しか必要とせずかつ低コストで、測定の正確な線形変位センサを提供することができる。
【0007】
本発明は、車両環境(自動車、貨物車、オートバイ、商用車)に使用可能な線形変位センサに関する。例えば、線形変位センサは、二輪車のスプリング撓み深さを測定するために、又は、自動変速機のギア位置を検出するために使用することができる。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、線形変位センサは、励磁コイルに交流電圧が印加されたときにセンサコイル内において交流電圧が誘導されるように配置されたセンサコイルと励磁コイルとを有するベース要素を備えている。例えば、これらのセンサコイルと励磁コイルとがベース要素によって提供されるプリント回路基板内において平面コイルとして実施されてもよい。
【0009】
さらに、線形変位センサは、測定経路に沿った方向においてベース要素と相対的に摺動可能である少なくとも部分的に導電性の摺動要素を備えている。この摺動要素は、例えば金属から製造されていても、及び/又は、実質的に直方体であってもよく、この場合、摺動要素は、その側縁部を介して、ベース要素によって提供されるレール上で測定経路に沿って誘導され得る。
【0010】
センサコイルは、2つの逆向きの部分巻線を有し、摺動要素は、センサコイルが配置される、測定経路に沿った可変の幾何学的構成を有しており、それにより、センサコイルの部分巻線と励磁コイルとの誘導結合と、それに伴ってセンサコイル内において誘導される交流電圧の振幅とが、ベース要素に対する摺動要素の相対位置に依存する。2つの逆向きの部分巻線、即ち、それぞれのコイルに電圧が印加されたときに電流が逆向き(例えば、左回り又は右回り)に流れる部分巻線により、励磁コイルは、2つの部分巻線が励磁コイルと同等のインダクタンスで結合する場合に、センサコイル内において交流電圧を誘導することができない。しかしながら、部分巻線の誘導結合は、摺動要素の可変の幾何学的構成(例えば、摺動要素内の傾斜した溝)に基づいて、摺動要素の相対位置に依存する。そのため、誘導された交流電圧の振幅も相対位置に依存し、この振幅からは、評価ユニットによって摺動要素の相対位置が算出され得る。
【0011】
評価ユニットによって測定することができるコイル(補正コイル及び/又はセンサコイル)の交流電圧の振幅は、当該コイルの信号として解釈することができる。従って、この信号は、評価ユニットによってデジタル化することができ及び/又は後続処理することができる。
【0012】
コイルの部分巻線は、(コイルの開口部への視線方向において)同一の面を周回するコイルの1つ以上の導体ループを含むことができる。コイルの導体ループの交点は、コイルの2つの部分巻線を相互に分離することができる。この交点は、2つの部分巻線の接合箇所として解釈することができる。
【0013】
さらに、線形変位センサは、補正コイルを含み、当該補正コイルは、測定経路に沿って一定の摺動要素の幾何学的構成上に配置されており、それにより、補正コイルの誘導結合と、それに伴って補正コイル内において誘導される交流電圧の振幅とが、ベース要素に対する摺動要素の横方向のオフセットに依存する。この場合には、横方向のオフセットとは、測定経路に対して実質的に直交する方向におけるベース要素に相対する摺動要素の摺動として理解されたい。そのために、横方向のオフセットは、構造許容誤差によって生じ得る。
【0014】
摺動要素の横方向のオフセットのもとでは、センサコイルと励磁コイルとの結合が変化し、測定が改ざんされる可能性がある。即ち、評価ユニットは、本来の相対位置に対するオフセットを有し得る相対位置を特定する。補正コイルは、このオフセットを補正又は補償するために用いられる。また、補正コイルにも、励磁コイル(例えば、別個の励磁コイル又はセンサコイルの励磁コイル)によって交流電圧が誘導されるが、しかしながら、この交流電圧は、一定の幾何学的構成(例えば、測定経路に対して平行な溝及び/又は摺動素子の縁部など)に基づいて測定経路に沿った相対位置ではなく横方向のオフセットに依存する。
【0015】
この目的のために、評価ユニットは、例えば、センサコイル内において誘導される交流電圧の振幅の他に、補正コイル内において誘導される交流電圧の振幅を測定し、そこから相対位置のための補正値を決定することができる。(場合によっては、係数によって増幅される)補正コイルからの交流電圧をセンサコイル内の交流電圧に加算してこれを補正することも可能である。この場合においては、評価ユニットによって測定された、センサコイル内の交流電圧の振幅は、既に補正されている。
【0016】
全体的に、この線形変位センサは、わずかな構造空間しか必要としない。なぜならば、コイルは、全てプリント回路基板内に集積化することができるからであり、及び/又は、摺動要素は、簡単な方法によって金属ブロックから製造することができるからである。また、摺動要素は、測定すべき部品のハウジングによっても提供することができる。取り付け許容誤差も、補償に基づいてより大きくすることができるため、構築技術及び接続技術に係るコストを安価に設定することが可能である。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、補正コイルは、少なくとも2つの逆向きの部分巻線を有する。補正コイルは、センサコイルとちょうど同様に、2つの逆向きの部分巻線を有し得る。これらの2つの逆向きの部分巻線は、当該2つの逆向きの部分巻線内において誘導された交流電圧を少なくとも部分的に相互に相殺する。これらの部分巻線及び/又はそれらの面の配置構成は、横方向のオフセットが存在しない場合には、総じて補正コイル内において交流電圧が誘導されないように設定されてもよい。
【0018】
摺動要素の一定の幾何学的構成が摺動要素の縁部であるならば、一方の部分巻線は、この場合においては、摺動要素の上方に配置され、他方の部分巻線は、摺動要素に隣接して配置されてもよい。これらの部分巻線間の接続箇所は、この場合においては、縁部に存在していてもよい。
【0019】
また、補正コイルの部分巻線は、摺動要素の一定の幾何学的構成にわたる測定経路に対して横方向に隣接して配置されてもよい。このようにして、摺動要素の横方向のオフセットは、部分巻線に関する一定の幾何学的構成の重畳に変化をもたらす。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、補正コイルは、4つの逆向きの部分巻線を有しており、当該4つの部分巻線のうち、2つの内側部分巻線は、可変の幾何学的構成上に配置され、2つの外側部分巻線は、それぞれ測定経路に沿って一定の幾何学的構成上に配置される。2つの内側部分巻線は、センサコイルと同様の幾何学的構成を有することができる。総じて補正コイルは、横方向のオフセットが存在しない場合には、少なくともセンサコイルの交流電圧に比例する交流電圧を供給することができる。横方向のオフセットが存在する場合には、2つの交流電圧の振幅は、相互に偏差する。従って、振幅の差分からは、評価ユニットによって、測定経路の相対位置に対するオフセット補正値を算出することができる。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、線形変位センサは、2つ以上の補正コイルを含む。複数の補正コイルを用いることにより、一方では、横方向のオフセットの特定が改善され得る。任意選択的に、ベース要素に対する摺動要素の傾動及び/又はねじれを特定することができる。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、線形変位センサは、例えば、それぞれ1つの巻線のみを有する2つの補正コイルを有する。この場合においては、評価ユニットは、それぞれ各補正コイル内において誘導された交流電圧を測定して、2つの振幅から(例えば減算によって)、横方向のオフセット又は相対位置に対するオフセット補正値を算出することができる。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、線形変位センサは、直列に接続された2つの補正コイルを有する。これらの2つの補正コイルは、横方向のオフセットが存在しない場合に当該2つの補正コイル内において誘導された交流電圧が相互に相殺されるように直列に接続されるならば、2つの補正コイルに印加される交流電圧の合計から相対位置に対するオフセット補正値を算出することが可能である。
【0024】
この場合においては、摺動要素の相対向する側縁部に配置されてもよい2つの補正コイルは、補正コイルの部分巻線の役割を果たし得る。しかしながら、2つの補正コイルは、相互に離間して配置させてもよい。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、1つ以上の補正コイルが、センサコイルと直列に接続される。このようにして、補正コイル及びセンサコイルのコイル面又は部分巻線の相応の選択のもとで、センサコイルのオフセットによるエラーを含んだ信号が、1つ以上の補正コイルの1つ以上の信号の加算及び/又は減算によって既に同様に補正することができる。補正コイル及び/又はセンサコイルの相互接続に応じて、横方向のオフセットを補正するためのデジタル化された信号の数学的処理は不要である。コイルの直列接続により、補正された信号が自動的に得られる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、線形変位センサは、2つの補正コイルを有し、当該2つの補正コイルは、それぞれ摺動要素の一定の幾何学的構成のもとで、可変の幾何学的構成の左右に配置されている。このようにして、補正コイルにより、摺動要素のねじれ及び/又は傾動を識別することができる。この場合、2つの補正コイルは、摺動要素の両側に配置されてもよい。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、励磁コイルは、センサコイル及び補正コイル内において交流電圧を誘導するように構成されている。換言すれば、センサコイル及び1つ以上の補正コイルのために、単一の励磁コイルが使用され得る。1つの巻線のみを有し得る励磁コイルは、(センサ素子の平面図において)センサコイル及び/又は補正コイルを取り囲むことができる。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、線形変位センサは、補正コイル内において交流電圧を誘導するように構成された補正コイルのための付加的励磁コイルを含む。1つ以上の補正コイルのために、1つ以上の付加的励磁コイルを設けることも可能である。例えば、各補正コイルに対して固有の励磁コイルが設けられてもよい。これらの励磁コイルには、すべて同一の交流電圧を供給することができる。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、センサコイルの部分巻線は、測定経路に対して横方向において隣接して配置される。特に部分巻線の接続点は、摺動要素の可変の幾何学的構成の中心上に配置されてもよい。測定経路の一方の端部では、一方の部分巻線は、励磁コイルとの最大の誘導結合を有し、他方の部分巻線は、励磁コイルとの最小の誘導結合を有し得る。測定経路の他方の端部では、逆のことが当てはまり得る。
【0030】
センサコイルの部分巻線は、同一の面積を有することができ、それにより、部分巻線内へ誘導された交流電圧が、励磁コイルとの同等の誘導結合のもとで相殺される。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、線形変位センサは、それぞれ2つの逆向きの部分巻線を有する2つのセンサコイルを有し、この場合、2つのセンサコイルは、測定経路に対して横方向において隣接して摺動要素の可変の幾何学的構成上に配置される。このようにして、測定経路の(補正されていない)相対位置が、2つの測定信号に基づいて算出することができる。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、可変の幾何学的構成は、測定経路に対して傾斜して延在する、摺動要素の溝を含む。この溝は、例えば金属から成る摺動要素内においてフライス加工することができる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、一定の幾何学的構成は、測定経路に対して平行に延在する、摺動要素の溝を含む。この溝も、例えば金属から成る摺動要素内においてフライス加工することができる。
【0034】
しかしながら、摺動経路に関して可変の及び/又は一定の幾何学的構成を提供するために、プラスチックから成る摺動要素のもとで、溝を金属要素により充填することも可能である。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、一定の幾何学的構成は、測定経路に対して平行に延在する、摺動要素の側縁部を含む。換言すれば、補正コイルは、摺動要素の(いずれにせよ既存の)側縁部上に位置付けすることができる。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、励磁コイル、センサコイル及び/又は補正コイルは、プリント回路基板内の平面コイルとして構成される。このプリント回路基板(これは多層構造を有していてもよい)は、コイルを形成する複数の導体線路を(複数の平面内に)有し得る。
【0037】
本発明の実施形態に対する着想は、特に、以下に説明する考察及び認識に基づいたものとみなすことができる。
【0038】
以下においては、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して説明するが、その際には、これらの図面も説明も本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1A】本発明の一実施形態による線形変位センサの概略的平面図。
図1B図1Aの線形変位センサの概略的断面図。
図2】本発明のさらに別の実施形態による線形変位センサの概略図。
図3】本発明のさらに別の実施形態による線形変位センサの概略図。
図4】本発明のさらに別の実施形態による線形変位センサの概略図。
図5】本発明のさらに別の実施形態による線形変位センサの概略図。
図6】本発明のさらに別の実施形態による線形変位センサの概略図。
図7】本発明のさらに別の実施形態による線形変位センサの概略図。
図8】本発明のさらに別の実施形態による線形変位センサの概略図。
図9】本発明のさらに別の実施形態による線形変位センサの概略図。
【0040】
これらの図面は、概略的なものに過ぎず、縮尺通りではない。同一の参照符号は、図中において同一の特徴又は機能が同等の特徴に付されている。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の実施形態
図1A及び図1Bは、線形変位センサ10を、上方から、及び、断面において、示している。この線形変位センサは、ベース要素12と、当該ベース要素12に関してy方向に摺動可能な摺動要素14とを含んでおり、当該摺動要素14は、ベース要素12の側方ガイド16によって誘導される。線形変位センサ10の測定経路は、y軸に沿って延在している。
【0042】
この側方ガイドは、x方向における摺動要素の運動を(実質的に)阻止している。例えば、摺動要素は、ばね18によってベース要素12に押し付けることができ、及び/又は、実質的にz方向において固定され得る。
【0043】
ベース要素12はプリント回路基板20を含み、このプリント回路基板20上には、例えば、2つの直方体形状のプラスチック要素が側方ガイド12として固定されている。この側方ガイド12は、例えば、非導電性材料(例えばPA612のようなプラスチック)で製造されていてもよい。
【0044】
回路基板20内及び/又は回路基板20上には、例えば、多層プリント回路基板20の導体線路によって実行され得る平面コイルとして、励磁コイル22、センサコイル24及び補正コイル26が備えられている。
【0045】
さらに、ベース要素12又はプリント回路基板20には、制御部又は評価ユニット28が固定されていてもよい。この制御部又は評価ユニット28は、励磁コイル22に交流電圧を印加し、かつ、センサコイル24及び補正コイル26の信号から、ベース要素12に対する摺動要素14の相対位置を特定するように構成されている。それに対して、代替的に、評価ユニット28は、ケーブルのみを介して線形変位センサ10に接続されていてもよい。
【0046】
摺動要素14は、プリント回路基板20から、例えば約0.5mm離間して配置されていてもよく、及び/又は、当該摺動要素14内において測定経路若しくはy方向に対して傾斜した溝32の形態でかつベース要素12に対する摺動要素14の相対位置に関して可変の幾何学的構成30を有していてもよい。この可変の幾何学的構成30は、励磁コイル22とセンサコイル24との誘導結合に影響を与える。
【0047】
例えば、実質的に直方体形状の摺動要素14は、導電性材料(例えば金属)から成っていてもよく、及び/又は、溝32は、フライス加工部として摺動要素14内に設けられていてもよい。しかしながら、摺動要素を、非導電性材料(例えばプラスチック)から製造し、溝32を導電性材料で充填することも可能である。
【0048】
それにより、摺動要素14は、相対位置に依存して、励磁コイル22とセンサコイル24との間の誘導結合に影響を与える。この誘導結合の特定を介して、相対位置の逆算が可能になる。
【0049】
ここでの以下の図面は、コイルレイアウトでの実施形態を示し、これらのレイアウトは、図1A及び図1Bによる線形変位センサ10において使用することができる。
【0050】
図1においては、センサコイル24は、逆向きに配向されかつ面積の等しい2つの部分巻線34a,34bを有する。この励磁コイル22は、センサコイル24及び2つの部分巻線34a,34bを取り囲む。換言すれば、励磁コイル22の内側領域に、センサコイル24は存在しており、このセンサコイル24は、通常は、等しい数の左右に配向された部分巻線34a,34bから成り得る。
【0051】
励磁コイル22には、評価ユニット28によって交流電圧を印加することが可能であり、それによって、電磁場が生成される。評価ユニット28によって提供される交流電圧の振幅は、例えば、0.5V乃至10Vであり、例えば1.5Vとすることができる。交流電圧の周波数は、1MHz乃至10MHzの領域にあり、例えば5MHzとすることができる。
【0052】
センサコイル24は、部分巻線34a,34bの接続部の交点35が励磁コイル22の中心に及び/又は摺動要素14の対称線上に位置付けされるように配置されるものとしてもよい。
【0053】
摺動要素14が存在しない場合には、左右に延在する部分巻線34a,34b内においてはそれぞれ極性の異なる同じ大きさの電圧が誘導される。従って、すべての部分電圧の合計は0となる。このことは、障害も、ほぼ均質な外部電磁場のために0の総電圧につながり、それに応じて、測定結果も悪影響を受けないという付加的利点を伴う。
【0054】
2つのコイルの(例えば、励磁コイル22とセンサコイル24との)誘導結合は、例えば一方のコイル(例えば、センサコイル24)において誘導された交流電圧と、他方のコイル(例えば、励磁コイル22)に印加された電圧との間の振幅比を介して特定することができる。
【0055】
励磁コイル22が右巻きとして規定されていると仮定すれば、第1の部分巻線34a内には同じ極性の(即ち、+符号で表される)電圧が誘導され、第2の部分巻線34b内には逆の極性の(即ち、−符号で表される)電圧が誘導される。
【0056】
原則的には、金属面によって覆われた領域内の誘導結合は最小となり、凹部(例えば溝32)の下方にある領域内の誘導結合は最大となることが当て嵌まる。このようにして、第1の部分巻線34a内において誘導される電圧は、センサコイル24と励磁コイル22とが図2の観察方向において見て上方に押し上げられるほど(又は、摺動要素14が下方に押し下げられるほど)より小さくなる。これとは逆に、第の部分巻線34b内において誘導される電圧は、当該の2つのコイル22,24が上方に押し上げられるほどより大きくなる。このようにして、評価ユニット28は、励磁コイル22内の交流電圧の振幅比と、センサコイル24内の総電圧として誘導される2つの部分巻線34a,34bの合計電圧とから、ベース要素12に対する摺動要素14の相対位置を特定することが可能になる。
【0057】
しかしながら、ここにおいて、例えば部品許容誤差による、(x方向における)摺動要素14の横方向におけるオフセットが生じると、励磁コイル22とセンサコイル24との間において、逆算のもとで実際に適正な相対位置とは異なるものに結び付く誘導結合が存在する。このことは、一部の用途において許容することができない測定誤差を招く可能性がある。
【0058】
この横方向のオフセットを特定し、測定誤差を(少なくとも部分的に)補正するために、ここでは、補正コイル26が用いられる。この補正コイル26は、センサコイル22とちょうど同じように2つの逆向きの部分巻線36a,36bを有する。この場合、一方の部分巻線36aが他方の部分巻線36bに移行しているこれらの部分巻線36a,36bの交点38は、最適な場合においては、y方向に対して平行に延在すると共に測定経路に対しても平行に延在する摺動要素14の側縁部40に存在する。励磁コイル22と同じ交流電圧を供給することができる別個の励磁コイル22’は、補正コイル26を取り囲んでいる。この補正コイル26は、当該補正コイル26が摺動要素14の中央の可変の幾何学的構成30ではなく、摺動要素14の側縁部40のみを検出するように構成及び/又は配置される。
【0059】
摺動要素14の側端部40は、測定経路に沿った一定の幾何学的構成42として解釈することができる。なぜならば、y方向における摺動要素14の摺動の際には、励磁コイル22’と補正コイル26との誘導結合は変化しないからである。
【0060】
ここでは、摺動要素14とベース要素12との間において横方向のオフセットが生じると、このことは、励磁コイル22’と補正コイル26との間における誘導結合の変化を引き起こす。この変化は、センサコイル24の場合に類似して、評価ユニット28により、誘導された交流電圧と印加された交流電圧との間の振幅比の変化を介して特定することができる。
【0061】
これにより、評価ユニット28は、横方向のオフセットによって生じた測定誤差を補正することのできるさらに別の情報を得る。このことは、例えば、センサコイル24に基づく振幅比に所定の係数を乗算した補正コイル26に基づく振幅比を加算することによって行うことができる。
【0062】
それぞれ1つの導体線路しか示されていないにもかかわらず、励磁コイル22、センサコイル24、補正コイル26及び別個の励磁コイル22’は、以下の図面に示されている複数の導体ループを有するコイルとして実現されてもよいし、及び/又は、プリント回路基板20の複数の平面内において実現されてもよい。
【0063】
図2は、センサコイル24及び補正コイル26のための別個の励磁コイル22,22’を有する配置構成を示している。別個の励磁コイル22’を用いることにより、当該別個の励磁コイル22’が補正コイル26をセンサコイル24内へ結合することが阻止され得る。また、時分割多重による、即ち、励磁コイル22,22’に相前後して交互に交流電圧を供給することによる、救済措置も可能である。
【0064】
図3に示すように、センサコイル24及び補正コイル26は、共通の励磁コイル22によって取り囲まれていてもよい。
【0065】
摺動要素14のガイド16,18に基づいて(例えば、z方向において摺動要素14をその位置に保持するばね18によって)、y方向又はy軸周りの摺動要素14の傾動を排除することができれば、部品許容誤差によって生じる測定誤差を補償することが、単一の補正コイル26で十分可能になる。これにより、線形変位センサ10を比較的小さく構成することが可能になる。
【0066】
図4は、複数の補正コイル26,26’を使用することも可能であることを示しており、これらの補正コイル26,26’は、例えばそれぞれ別個の励磁コイル22’,22’’を有することが可能である。これらの補正コイル26,26’は、横方向のオフセットが0である場合にそれぞれ自身の半分の面積が覆われるように配置されていてもよい。これらの励磁コイル22’,22’’の端子は、横方向のオフセットなしで、一方の補正コイル26は最大の正の信号を供給し、かつ、他方の補正コイル26’は最大の負の信号を供給するように相互接続されていてもよい。2つの補正コイル26,26’の寸法が同一であるならば、合計信号は、この場合においては0となる。x方向における摺動要素14の横方向のオフセットの場合には、合計信号は引き続きゼロのままであるが、いずれにせよ2つの補正コイル26,26’内において誘導される交流電圧の個々の振幅からは、摺動要素14の横方向のオフセットを逆算することが可能である。合計信号が0とは異なる場合には、摺動要素14のy軸周りの傾動(チルト)が存在している。この許容誤差も、補正コイル26,26’によって特定し、引き続き評価ユニット28によって計算により補正することが可能である。
【0067】
2つの補正コイル26a,26’の部分巻線36aと36bとの間の交点/移行点38は、摺動要素14の相対向する側縁部40に存在し得る。
【0068】
センサコイル24及び補正コイル26,26’は、測定経路に沿って相互にオフセットされて示されているにもかかわらず、それらは上下方向においてプリント回路基板20の異なる層内に配置されていてもよい。また、すべてのセンサコイル24と補正コイル26とを結合させる単一の環状の励磁コイル22を使用することも可能である。
【0069】
図5は、補正コイル26が、相互に異なる配向方向を有する2つの外側部分巻線36a,36dと2つの内側部分巻線36b,36cとを有していることを示している。2つの内側部分巻線36b,36cは、その面積に関して、センサコイル24の2つの部分巻線34a,34bに対応している。
【0070】
それにより、補正コイル26の部分巻線36b,36c内において誘導された交流電圧は、絶対値の点で、センサコイル24の部分巻線34a,34b内において誘導された交流電圧とちょうど同等の大きさである。補正コイル26の部分巻線36b,36c内において誘導された交流電圧の極性のみが、センサコイル24の部分巻線34a,34b内において誘導された交流電圧とは逆である。
【0071】
部分巻線36aと36bとの間又は部分巻線36cと36dとの間の交点/移行点38は、摺動要素14の相対向する側縁部40に存在し得る。
【0072】
補正コイル26内において誘導された交流電圧は、y方向における相対位置に関する情報の他に、x方向における摺動要素14の横方向のオフセットに関する情報も含む。この横方向のオフセットに関する情報は、例えば、2つのコイル24,26内の交流電圧の減算によって、抽出することができる。それによって、センサコイル24との相対位置特定の妥当性を検査することができ、及び/又は、横方向のオフセットを補償することができる。
【0073】
図6は、線形変位センサ10が2つのセンサコイル24,24’を有することもできることを示している。これらのセンサコイル24,24’の各々は、等しい面積及び/又は逆の配向方向の2つの部分巻線34a,34bをそれぞれ含み得る。
【0074】
一方のセンサコイル24は、摺動要素14の対称軸線の左側領域を覆い、他方のセンサコイルは、対称軸線の右側領域を覆うことが可能である。各センサコイル24,24’の幅は、溝32の幅にほぼ対応し得る。そのため、線形変位センサ10の最大分解能が達成される。なぜなら、各センサコイル24,24’は、全測定経路の移動の際に一方の位置では完全に覆われ、他方の位置では全く覆われないからである。
【0075】
図7は、測定経路に沿って一定の幾何学的構成42の代替的実施形態を示しており、この代替的実施形態は、測定経路に対して平行に配置された溝44によって置き換えられている。この場合、補正コイル26は、溝44上に配置されている。
【0076】
例えば、摺動要素14の取り付け場所に関して、摺動要素の側縁部40上に1つ以上の補正コイル24を配置すべきでない場合には、摺動要素14内に第2の溝44を設けることが可能である。この溝44の幾何学的構成は、測定経路に沿って一定に維持される。補正コイル26は、その交点38が溝44の中心軸線上に存在するように配置されるならば、当該補正コイル26は、横方向のオフセットなしで常に0の電圧値を供給する。x方向におけるオフセットの方向性は、補正コイル26の電圧の極性に関して特定することができ、オフセットの絶対値は、振幅の高さに関して特定することができる。
【0077】
図8は、それぞれが1つの巻線のみを有する2つの補正コイル26,26’を有する線形変位センサ10を示す。センサコイル24及び2つの補正コイル26,26’は、それぞれ1つの励磁コイル22,22’,22’’を有する。
【0078】
これらの巻線の各々の面積は、センサコイル24の部分巻線34a,34bの面積と同一であってもよい。さらに、励磁コイル22,22’,22’’は、同一の形状を有し得る。ここにおいて測定電圧として、センサコイル24の電圧U2ではなく、すべての電圧U1(第1の補正コイル26における電圧)、U2及びU3(第2の補正コイル26’における電圧)の合計が使用されるならば、横方向のオフセットは自動的に補償される。この目的のために、3つのコイル24,26,26’のすべてを直列に接続することができ、それによって補正コイル26,26’は、相互に逆に配向される(このことは符号「+」及び「−」で示される)。
【0079】
図9は、センサコイル24と、図8に類似した2つの補正コイル26,26’とを示しており、これらはともに、励磁コイル22によって取り囲まれている。ここでも、これらのセンサコイル24,26,26’は、オフセットを類似して補償するために、センサコイル24の部分巻線34a,34b又は補正コイル26,26’の個別巻線の面積の相応の選択のもとで直列に接続することが可能である。
【0080】
また、個々のコイル24,26,26’の巻回数も、摺動要素14なしですべての電圧U1,U2,U3(2つの補正コイル26,26’+センサコイル24)の合計がゼロになるように適合化することが可能である。また、これらの電圧も、電子回路による増幅の後でのみ合計することが可能である。この場合、これらの増幅係数は、摺動要素なしですべての電圧U1,U2,U3の合計がゼロになるように設計される。
【0081】
しかしながら、また、センサコイル24に対する補正された振幅レベルを得るために、各コイル24,26,26’に対して、誘導された交流電圧の振幅高さを求め、この振幅の高さを係数との乗算の後で合計することによって、オフセットを評価ユニットでデジタル式に補償することも可能である。
【0082】
最後に、「有する」、「備える(含む)」などの用語は、他の要素又はステップを排除するものではないこと、及び、単数にとれる用語が必ずしも複数の排除を意味するものではないことを示唆しておく。特許請求の範囲における参照符号は、限定を意味するものとみなされるべきではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9