特許第6538988号(P6538988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6538988
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】梱包材及び梱包材製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/02 20060101AFI20190625BHJP
   B32B 5/04 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   B65D65/02 E
   B32B5/04
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-536490(P2018-536490)
(86)(22)【出願日】2015年11月12日
(65)【公表番号】特表2018-535158(P2018-535158A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】EP2015076483
(87)【国際公開番号】WO2017080609
(87)【国際公開日】20170518
【審査請求日】2018年7月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518165774
【氏名又は名称】カラトジス エス.エー. インダストリアル アンド ホテリエ エンタープライジズ
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(72)【発明者】
【氏名】カラトジス アントニオス
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−119006(JP,A)
【文献】 特開2015−151635(JP,A)
【文献】 特表2002−500597(JP,A)
【文献】 特表2009−520047(JP,A)
【文献】 特表2014−511442(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00754544(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D65/00−65/46
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に重ねて配置され相互結合される第1シート(100)と織布(200)とを含む梱包材(600)であって、
第1シート(100)は複数の第1領域(120)と複数の第2領域(110)とを含み、第1領域(120)では第1シート(100)が局所的に伸ばされ、第2領域(110)では第1シート(100)が局所的に伸ばされず、各第1領域(120)は2つの第2領域(110)間に配置され、各第1領域と各第2領域が第1方向に延び、
織布(200)は一部が第1方向と交差する方向に延びる糸(220)を含むことを特徴とする梱包材(600)。
【請求項2】
織布(200)が第1方向に延びる縦糸(210、210、・・・210)を含み、糸(220)が隣接する2つの縦糸(210、210、・・・210)間に延びジグザグ状パターンを形成することを特徴とする請求項1に記載の梱包材(600)。
【請求項3】
縦糸(210、210、・・・210)が、第2領域(110)に沿って配置されることを特徴とする、請求項2に記載の梱包材(600)。
【請求項4】
第1シート(100)が微細孔(170)を含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の梱包材(600)。
【請求項5】
第1シート(100)が孔のない連続シートとして形成されることを特徴とする、請求項1乃至4いずれか1つに記載の梱包材(600)。
【請求項6】
シートは異なるプラスチックを原料として形成された複数の層を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の梱包材(600)。
【請求項7】
更に第2シート(300)を含み、
第2シート(300)は、第1領域(320)と第2領域(310)とを含み、第1領域(320)では第2シート(300)が局所的に伸ばされ、第2領域(310)では第2シートが局所的に伸ばされず、各第1領域(320)は2つの第2領域(310)間に配置されて第1方向に延び、
織布(200)が第1シート(100)と第2シート(300)との間に配置されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1つに記載の梱包材(600)。
【請求項8】
第1シート(100)が第2シート(300)とは異なる材料から形成されることを特徴とする、請求項7に記載の梱包材(600)。
【請求項9】
接着剤(500)が第1シート(100)の外側にのみ塗布されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の梱包材(600)。
【請求項10】
第1シート(100)が微細孔(170)を含み、第2シート(300)が微細孔のない連続層として形成されることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1つに記載の梱包材(600)。
【請求項11】
織布(200)の幅が第1シート(100)よりも大きく、幅は第1方向に対し垂直で計測されることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1つに記載の梱包材(600)。
【請求項12】
第1シートの複数の第1領域を局所的に伸ばし、各第2領域が第1方向に延びる複数の第2領域を規定するように第1領域が第1方向に延び、各第1領域が2つの第2領域間に配置される工程(S100)と、
第1シート上に糸を含み、糸の一部が第1方向と交差する方向に延びる織布を配置する工程(S110)と、
織布とシートとを相互結合する工程(S120)と
を含むことを特徴とする梱包材製造方法。
【請求項13】
織布が第1シートと第2シートとの間に配置されるように、織布と第1シートの上に第2シートを配置する工程(S130)を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1シートが織布と共に第1方向に垂直な第2方向に伸ばされることを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
織布とシートとの相互結合は熱処理を含むことを特徴とする、請求項12乃至14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
接着剤を第1シートに塗布する工程(S140)を更に含む、請求項12乃至15のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は梱包材ならびに梱包材製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にプラスチック材からなる予め伸ばされたストリップはパレット、干し草、藁等の梱包に使用される。このような梱包材としては、例えば高密度のポリエチレン(PE)(高密度ポリエチレン、HDPE)、低密度のポリエチレン(低密度ポリエチレン、LDPE)、その他合成材等の材料が使用される。物品を梱包する際にはパレット上で密封梱包する必要があるかもしれない。使用材料は引張強度が高く、湿度等の天候の影響から保護するものでなければならない。例えば干し草や藁等の農産物は梱包されて、大きなベールにされる。原綿、ごみ、廃棄物も梱包されて、ベールにされる。これは例えば梱包される物品に圧力をかけて網やその他材料で包むことによりなされる。そして、例えばポリエチレンから形成されるバンドをベールの周りに巻くことができる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は改良梱包材ならびにその製造方法をどのように設けるかという課題に関するものである。
【0004】
本発明では独立請求項の対象事項と方法により課題が解決される。好ましい実施形態は従属請求項に示される。
【0005】
当業者が以下の詳述記載を読んだ上で添付図面を検討すれば追加の特徴及び利点を認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付図面は実施形態をより深く理解するために設けられる。図面は本願に組み入れられ、本願の一部である。図面は主な実施形態を例示するもので、本発明の原理を説明するための記載と共に役立つ。以下の詳述記載を完全に読めば別の実施形態及び多数の意図した利点を容易に認識することができる。図面の要素は必ずしも相互の縮尺に合致するわけではない。同一番号は同様の対応部品を示す。
【0007】
図1A図1Aはある実施形態による梱包材の上面図を示す。
図1B図1Bは梱包材の断面図を示す。
図2A-2C】図2A−2Cは織布の例を示す。
図3図3はシートを介した断面を示す。
図4A図4Aはある実施形態による方法のプロセス図を示す。
図4B図4Bは別の実施形態による方法のプロセス図を示す。
図5A図5Aは製造中の梱包材の構成要素の断面を示す。
図5B図5Bは製造中の梱包材の構成要素を示す。
図6A図6Aは梱包材の領域の概略拡大断面図を示す。
図6B図6Bは梱包材の領域の拡大図を示す。
図7図7はある実施形態による巻き上げた梱包材とロールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳述記載においては詳述記載の一部を構成する添付図面を引用し、添付図面には発明を実現する具体的な実施形態の実例が示される。但し本文に記載の図面の方向については「上側」、「下」、「前側」、「後側」、「前」、「後」等の方向を示す用語が使用される。本発明の実施形態の構成要素は複数の異なる方位に配置可能なため、この方向用語は図示目的にのみに使用され、決して限定的なものではない。もちろん別の実施形態を使用することができ、請求項により規定される対象事項から逸脱することのない構造的又は論理的な修正が可能である。
【0009】
実施形態の記載は限定的なものではない。特に、以下に記載の特定の実施形態の要素を別の実施形態の要素と組み合わせることができる。
【0010】
図1Aはある実施形態による梱包材の概略上面図を示す。図1Aに示す梱包材600は、相互に重ねて配置され相互連結される第1シート又はフィルム100と織布200とを備える。第1シート100は第1領域120と第2領域110とを含み、第1領域120では第1シートが局所的に伸ばされ、第2領域110では第1シート100が局所的に伸ばされない。各第1領域120は2つの領域110の間に配置される。第1領域及び第2領域はそれぞれ第1方向、例えばX−方向に延びる。織布200は糸220を含み、糸220の一部が第1方向と交差する方向に延びる。
【0011】
第1領域120は例えば幅dで、第2領域110は幅bであってもよく、共に幅は第1方向に対し垂直に計測される。
【0012】
一般にシート100はロールに巻かれており、梱包材を製造するために広げられる。この場合、第1方向、つまり例えばX−方向は広げる方向又はシートの流れる方向に対応する。Y−方向は広げる方向に垂直な方向へ向いている。第1領域120では第1シート100はY−方向、つまり広げる方向と垂直に局所的に伸ばされる。シートが局所的に伸ばされる領域はトレンチ(溝)とも呼ばれる一方、予め伸ばされない第2領域110は帯と呼ばれる。
【0013】
図1Bは例えば図1Aに示すIとI’との間の梱包材の断面図を示す。梱包材600の一部を形成するシート100は第1領域120と第2領域110とを含む。第2領域110の梱包材の厚さhは、シート100が局所的に伸ばされる第1領域120の第1シートの厚さkよりも大きい場合がある。以下で説明するように第2領域110の梱包材の厚さが増すのは、こうした領域においてシートが局所的に伸ばされないという事実による。また、ある実施形態では織布200の縦糸がこの位置に配置される。
【0014】
記載の梱包材は織布又は網を含む。この織布は伸縮性のものであってもよく、又は伸縮性のものでなくてもよい。
【0015】
以下の更なる説明では次のような名称が使用される:

網又は織布:例えばLLDPE(低密度の直鎖状ポリエチレン)、LDPE(低密度のポリエチレン)、HDPE(高密度のポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、EVA(エチレン酢酸ビニル)又は同様のプラスチック材等のポリオレフィン類から形成又は構成される薄帯が網又は織布に加工される。織布はほぼ全ての所望寸法で製造できるため、織布の大きさは原則任意である。

糸:網を構成する薄帯。最終的に伸ばされる前の厚さは15〜60μmであり、幅は1.5〜10mmである。


縦糸:環状網を形成するように網の流れ方向につながったメッシュ。

横糸:ジグザグ状に編み合わせられ縦糸を網に繋げる糸。

MD(機械方向):製造中の網の流れ方向又はシートを広げる際のシートの流れ方向。

TD(横断方向):流れ方向又は機械方向に垂直な方向。

フィルム:例えばポリエチレン、HDPE、LLDPE又はその他熱可塑性ポリオレフィン類等のプラスチック材シート又はプラスチック材フィルムからなり、巻き上げられ、厚さが7〜60μmで幅が500〜3000mmのロール。長さは製造機(押出機)の特性による。

トレンチ(溝):横断方向に予め伸ばされるシートの第1領域を規定し、全長にわたりシートに沿って延びる。

細片又は帯:予め伸ばされない材料の領域(第2領域)を規定し、全長にわたりフィルムに沿って延び、シートの本来の厚みを有する例えば管状形状の施工。
【0016】
図2A〜2Cはある実施形態による梱包材の一部を構成する織布又は網の例を示す。図2A〜2Cに示す織布は、例えばラッシェル機により形成される。ラッシェル機は網の製造でよく知られている。このような網は、例えばパレットや藁の梱包、藁や草のベールの形成、又は遮断に使用される。
【0017】
織布200は、例えばX方向に沿ってメッシュをつなぎ合わせて形成される縦糸210、210、・・・210を含む。このような複数の縦糸が織布の幅に沿って配置される。横糸220は隣接する2つの縦糸210、210、・・・210の間で延び、ジグザグ状パターンを形成する。例えば、横糸が縦糸を相互結合するように、横糸は2つの隣接する縦糸210、210、・・・210の間に案内される。このため、結び目のない結合技術が可能になる。横糸は結合点215でそれぞれ縦糸210、210、・・・210内を通って案内される。縦糸210、210、・・・210間の間隔C、及び、隣接する横糸220と縦糸210との交差点215間の間隔Lと対比した1本の横糸区分の長さが、織布の弾性に影響を与え得る。
【0018】
例えば、図2Aに示すように横糸区分と縦糸区分により正三角形が形成される場合がある。図2Bに示すように三角形の底辺が三角形の斜辺よりも小さくてよい。図2Cに示すように三角形の底辺の長さLが三角形の斜辺よりも大きくてよい。
【0019】
第1シート100と織布200とを結合する際には、こうした要素がそれぞれ整列されることで縦糸210、210、210が第2領域110に沿って配置される。シートと織布とを相互結合すると、横糸220は拡張される第1領域120を横断して延びる一方、縦糸210、210第2領域110と重なり合う。よって織布の寸法合わせに従い図1Aに示すようにシートの第1領域及び第2領域の寸法合わせが行われる。例えば、第2領域110間の間隔は縦糸210、210、・・・210間の間隔Cと一致するように調節される。
【0020】
各縦糸と横糸は同じ材料から形成されてもよい。あるいは異なる材料を含んでよい。例えば縦糸と横糸はポリエチレン、例えばLDPE、HDPE、密度が低い直鎖状ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレン、LLDPE)、密度が非常に低いポリエチレン(超低密度ポリエチレン、VLDP)、PVC又はEVA等のポリオレフィン類から形成されてもよい。あるいは一般にこうした目的に使用される任意のその他繊維から縦糸と横糸を形成してもよい。生じる梱包材が所望の引張強度を得るように繊維の強度を選択することができる。また、縦糸又は横糸を例えば複数の平行な糸により実現してもよい。例えば織布200の質量は1メートル当たりで7〜11gとしてもよい。織布200は例えばラッシェル機で製造される布の標準幅であってもよい。この幅は例えば123cmでよい。
【0021】
第1シート100は例えば縦糸と横糸の例として上記説明したプラスチック材からなる単層を含んでもよく、又は異なる材料からなる積層型複合体を含んでもよい。シートは例えば異なるプラスチック材又は異なるオレフィンからなる複数層を含んでもよい。外側層は例えば接着層、例えば超低密度のポリエチレン(VLDPE)又は低密度の直鎖状ポリエチレン(LLDPE)を含んでもよい。
【0022】
図3に多層設計の第1シート100の一例を示す。第1シート100は例えば第1接着層101と、これに続く異なるオレフィンからなる異なる4層102、103、104、105を含んでよい。端を第2接着層106で形成してもよい。第1、第2接着層101、106は例えば超低密度のポリエチレン又は直鎖状ポリエチレンを含んでもよい。もちろん使用する層を増やしてもよく、例えば7層までの層を使用してもよい。
【0023】
4層よりも少ない層を使用することもできる。第1シート100の層厚は5〜9μmであってもよい。しかし、またこれより大きい層厚を使用してもよい。シートの幅は例えば500mm〜3m又はそれ以上であってもよい。シートの材料は織布の材料と異なってもよく、又は同じ材料であってもよい。
【0024】
別の実施形態によると、第1シート100と第2シート300との間に織布200が挟まれるように、梱包材は織布200と第1シート100に結合された第2シート300を含んでよい。ここで、第2シートは第2シートが局所的に伸ばされる第1領域320と、第2シートが局所的に伸ばされない第2領域310とを含んでよい。第1シートと同様に、各第1領域は2つの第2領域間で第1方向に延びる。第1シート、第2シート及び織布の複合体は更に例えば接着層等の任意の別の層を含んでよい。第2シートは例えば第1シートと同じ設計でよい。あるいは、生じる梱包材が異なる表面で異なる特性を備えるように異なる設計でもよい。例えば第2シートは第1シートとは異なる層を含んでよい。更に、第1シートの外側に接着層を設けてよく、第2層の外側には接着層を設けなくてよく、又はその逆であってもよい。
【0025】
第1及び/又は第2シートは微細孔170を含んでもよい。この「微細孔」という語句は最大開口径が1μmより小さい孔を含む。例えば第1シートのみ又は第2シートのみに微細孔が含まれ、他方のシートには微細孔がないようにしてもよい。この場合、複合体の各表面には異なる特性の梱包材が設けられる。微細孔170は例えば蒸気で浸透可能であるが水では浸透できないように大きさが設定されてよい。このようにして通気性のある梱包材を提供することができる。
【0026】
ある実施形態による梱包材の製造方法を図4Aに示す。この方法は、第1シートの第1領域を局所的に予め伸ばし、第1方向に延びる各第2領域を規定するように第1領域が第1方向に延び、各第1領域は2つの第2領域の間に配置される工程(S100)と、糸を含み、糸の一部が第1シートの上部で第1方向と交差する方向に延びる織布の配置工程(S110)と、織布とシートとを相互結合する工程(S120)を含む。方法は更に第1シートに接着剤を塗布する工程(S140)を含んでよい。
【0027】
ある実施形態による梱包材の製造方法を図4Bに示す。方法は第1シートの第1領域を局所的に予め伸ばし、第1方向に延びる各第2領域を規定するように第1領域が第1方向に延び、各第1領域は2つの第2領域の間に配置される工程(S100)と、糸を含み、糸の一部が第1方向と交差する方向に延びる織布を第1シートの上部に配置する工程(S110)を含む。方法は更に織布は第1シートと第2シートの間に配置されるように、織布と第1シートの上部に第2シートを配置する工程(S130)と、織布とシートとを相互結合する工程(S120)tpを含む。方法は更に第1シート及び/又は第2シートに接着剤を塗布する工程(S140)を含んでよい。
【0028】
記載の梱包材を製造するために第1シート100の第1領域は局所的に伸ばされる。これは例えば整形素子400上にシートを置くことで達成される。整形素子400は平面に対し垂直に突出する突出領域410を含む。例えば突出領域410は三角形状で、例えば15〜35mmの高さに拡張してもよい。もちろん高さhは達成したい伸ばされた領域の幅に応じて任意に選択されてもよい。しかし突出領域410は異なる形状であってもよく、例えば長方形又は半円形状であってもよい。必要であれば伸ばされた領域の生成を補助するために高度、圧力、又は応力を使用してもよい。その後、織布をシート上に置く。シートは整形素子400上に置かれるため、織布の縦糸210、210が配置されることになり、伸ばされない第2領域ではシートの「位置エネルギーが局所的に最小」となる。これによりシート100に対する織布200の相対配置が簡略化される。その後、フィルムは薄くなり最終的な安定性が得られるように、織布とともに流れ方向に伸ばされる。伸びの制御により最終的な弾性も調整可能となる。この最終伸ばし工程において、事前伸ばし工程により形成された第1領域の材料はその分子鎖を整列しようとする。この結果、第2領域110には厚さの違いにより、材料に管状の細片が形成され、第2領域110では布の縦糸210、210が囲い込まれる。図6Aではこれは更に詳細に示され、後で詳しく述べる。この機械方向(X−方向)の伸ばし工程によりシート100と織布200とが相互接合される。
【0029】
これは2つのシートを備えたシステムでも類似した方法で達成することができる。図5Aに示した構成と同様の構成を図5Bは示し、この構成では第2シート300が構成に追加される。第2シート300は、整形素子400上に置いて局所的に予め伸ばしてもよい。流れ方向に拡張すると、第1シート100、織布200、第2シート300の積層構造が得られる。図5Bでは微細孔170が例示される。ある実施形態ではこうした微細孔が第1及び/又は第2シート100、300に存在してよい。
【0030】
最終的に完成梱包材は例えば図7に示すように700〜3000mのロールに巻き上げられる。
【0031】
あるいは熱成形又は熱接着により層をまとめてもよい。
【0032】
例えば特に縦糸210、210が配置される領域において第1シート100、織布200、第2シート300が化学的に相互結合されるように、第1シート100、織布200、第2シート300は相互に図5Bに示すように置かれ、加熱され、その後一体に押圧される。第1シート100と第2シートは例えば図5Bに示すように相互に重ねて置かれ、相互結合してもよい。しかし第1シート100と第2シートは、予め伸ばされない平面層として相互に重ねて置かれ、加熱され、続いて一体押圧されてよい。あるいは、単体の構成要素を組み立てる前に薄い接着層を第1シート100の上側又は第2シート300の下側に設けてよい。その後、接着剤又は接着剤と加熱により層を相互結合することができる。ある実施形態では、梱包材600は相互に重ねて配置され相互結合される第1シート100、織布200、第2シート300を含んでよい。織布は織布の流れ方向の縦糸210、210、・・・、210と横糸220が含んでよく、横糸220が隣接する2つの縦糸210、210を相互に結合し、これによりジグザグ状パターンを形成する。縦糸210、210、・・・、210の位置で梱包材が局所的に補強される。
【0033】
別の実施形態では複合体を組み立てた後に接着層は塗布されてよい。例えば接着層500は1つのシート100を含む梱包材又は2つのシート100、300を含む梱包材に塗布されてよい。接着層は例えば2つのシート100、300の一方のみ又は両シートに塗布されてよい。2つのシート100、300の一方のみに接着層が塗布される場合は、接着特性が異なるため、結果として梱包材には2つの表面が設けられる。接着層の層厚は例えば2〜8μmでよく、好ましくは略3μmでよい。
【0034】
この結果、梱包される材料に対する把持特性が良好な補強又は非補強の梱包材が得られる。梱包材はコスト効率よく簡単に製造可能となるように、梱包材の構成要素はコスト効率よく簡易な方法で製造することができる。シートと織布との特殊な組み合わせにより梱包材は比較的低質量で引張強度が高く弾性が大きい。例えば質量は1メートル当たりで3.5g〜130g、例えば1メートル当たりで24〜40gであってもよい。厚さが25μmで幅が1500mmの低密度(LDPE)のポリエチレンからなるシートは、例えばおよそ100kgに対応する引張強度がある。織布との組み合わせによりおよそ500kgに対応する引張強度のある梱包材を設けることができる。その高引張強度によりパレットのような重い物品用に梱包材を使用することができる。次に複数の層を含有可能なシートと織布からなる複合体は例えば不可分に、つまり単層間で分離しないように相互結合される。
【0035】
また、シートの端がパレット上又は干し草俵又は藁俵上に保持されることを保証するために具体的な措置をとる必要はない。フィルムには接着特性がある。例えば接着剤の強度を調整することで梱包される材料にフィルムが保持され、梱包される物品から梱包材がほどけないようにしてもよい。
【0036】
ある実施形態では織布はシートよりも幅広くてよい。例えば織布の拡張幅はシートの幅に対し12%〜160%であってもよい。シートと織布とを配置するにあたり、例えば2つの縦糸の両側を自由端としてもよい。2つの縦糸の両側が自由端の梱包材を使用することで、例えば藁や干し草のベール等の円筒形の梱包物品を梱包することができる。この場合、円筒形状の円筒外面(外面)はシート100、300を含む梱包材の一部により包まれる。梱包材の一部が円筒の平面状の側面を覆い、梱包材の一部では側縁の縦糸がシートで包み込まれない。このように材料を損失することなく梱包物品を非常に速く梱包することができる。梱包される藁俵はその平面状の側面がシートで覆われず織布のみで覆われるため、長期保存が可能となるように通気性のある梱包材の保管が可能である。
【0037】
別の実施形態では、梱包材600が相互に重ねて配置され、相互結合される第1シート100と織布200とを含む。第1シート100は梱包材の縦方向、例えばX−方向に延びる補強領域110を含む。織布は第1方向に延びる縦糸210、210を含む。縦糸210、210は補強領域110に沿って配置される。よって、補強領域110は第1シート100が局所的に予め伸ばされない第2領域に対応する。
【0038】
図6Aは例えば図1Aに示すIIIとIII’との間の結合点215の拡大断面図を示す。図示するように第1シート100は特に第2領域110において縦糸210を受ける一種の管又は管状部分を形成する。このためシート100と織布200との結合が強固になり、補強領域700を形成することができる。シート100上に接着層500を任意で設けてもよい。
【0039】
図6Bに示す実施形態では第1シート100、織布200、第2シート300から積層が形成される。第1シート100と第2シート300との間に縦糸210が挟まれる。縦糸210の位置に補強領域700を規定してもよい。この場合も、接着層500を第2シート300の上側又は外側に任意で設けてもよい。
【0040】
図6Aと6Bに示す実施形態によると、梱包材は例えば梱包材の長さに沿って第1方向に延びる複数の補強領域700を備えた第1シート100と織布200とを含む。補強領域700は例えば織布の縦糸が管状の領域内に配置された第1シート100の管状領域を含んでよい。ある実施形態では梱包材600は更に第2シート300を含んでもよい。補強領域700を第1シート100、縦糸210、第2シート300を組み合わせて縦糸210の位置にそれぞれ形成してもよい。
【0041】
図7は巻き上げた梱包材を含むロールの一例を示す。例えば、約700〜3000mの梱包材をこのようなロールに巻き上げることができる。梱包材の質量が低いため、多メートルの梱包材をロールに巻き上げることができる。得られる梱包材600の幅は例えば123cmであってもよい。そしてその幅は通常のラッシェル機で製造される織布200の通常の幅に対応する。図7では、領域Aが第1シート100と織布200とが相互に重ねて配置された梱包材の領域を示す。領域Bはシートのない織布のみである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7