特許第6539002号(P6539002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6539002
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】集塵装置および電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/16 20060101AFI20190625BHJP
   A47L 5/24 20060101ALN20190625BHJP
【FI】
   A47L9/16
   !A47L5/24 A
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-33215(P2019-33215)
(22)【出願日】2019年2月26日
(62)【分割の表示】特願2018-76466(P2018-76466)の分割
【原出願日】2018年4月11日
【審査請求日】2019年2月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】興津 信秀
(72)【発明者】
【氏名】田中 章義
(72)【発明者】
【氏名】江部 清
(72)【発明者】
【氏名】真野 文樹
(72)【発明者】
【氏名】及川 真愛
(72)【発明者】
【氏名】大下 悟
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2017/0319031(US,A1)
【文献】 特開2010−35771(JP,A)
【文献】 特開2010−99381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/16
A47L 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含塵空気を旋回させて塵埃を遠心分離する分離部と、前記分離部により分離された塵埃を溜める集塵部と、を具備した集塵装置であって、
前記含塵空気が導入される導入口を有する筒状のケースと、
前記ケースの内方に位置して前記ケースの内面との間に前記含塵空気の旋回流が形成される構造部と、を備え、
前記構造部は、
前記ケースの内面に対して離間対向される筒状の側面部と、
前記側面部に対して外方へと突出する突出面を前記集塵部側に備える突出部と、を有し、
前記突出面は、
前記旋回流の上流側から下流側へと前記集塵部側に向かう螺旋状に形成された複数の整流部と、
一の前記整流部の下流端側と他の前記整流部の上流端側とを連結して形成された連結部と、を備える
ことを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
前記突出部は、少なくともいずれか2つの隣接する前記整流部間に間欠部を備える
ことを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項3】
前記間欠部は、前記導入口に対向する位置の前記旋回流の下流側に形成されている
ことを特徴とする請求項2記載の集塵装置。
【請求項4】
前記整流部は、上流端が前記導入口側から前記旋回流の下流側に向かって前記側面部に対して徐々に外方へと突出して形成されている
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の集塵装置。
【請求項5】
前記突出面は、前記導入口に対向する位置で前記導入口に対して前記集塵部側に位置する
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の集塵装置。
【請求項6】
前記突出面は、上流端が前記導入口に対して前記旋回流の上流側半周以内に位置する
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一記載の集塵装置。
【請求項7】
前記突出部は、前記突出面とは反対側の前記分離部側に反対側突出面を有して形成され、
前記反対側突出面は、前記連結部に対応する位置で外方に向かい前記旋回流の下流側へと傾斜して形成されている
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一記載の集塵装置。
【請求項8】
前記突出部の外縁部から前記分離部側へと突出するフランジ部を備える
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一記載の集塵装置。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれか一記載の集塵装置を備える
ことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、含塵空気を旋回させて塵埃を遠心分離する分離部と、前記分離部により分離された塵埃を溜める集塵部とを有する集塵装置およびこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機に用いられる集塵装置として、含塵空気を旋回させて塵埃を遠心分離するものがある。このような集塵装置は、上部が分離部、下部が集塵部となる円筒状のケースの内方に排気筒が同軸状に配置され、ケースの内面と排気筒との間で含塵空気を旋回させて塵埃を分離するようになっている。
【0003】
また、分離部と集塵部との境界部分に、集塵部からの塵埃の巻き上げ防止のために遮蔽部材を設けたものが知られている。しかしながら、従来の遮蔽部材では、集塵部からの塵埃の巻き上げの抑制が十分でなく、このような巻き上げを抑制する構成が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−158805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、集塵部からの塵埃の巻き上げを抑制できる集塵装置およびこれを備えた電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の集塵装置は、含塵空気を旋回させて塵埃を遠心分離する分離部と、前記分離部により分離された塵埃を溜める集塵部と、を具備する。集塵装置は、筒状のケースと、構造部と、を備える。ケースは、含塵空気が導入される導入口を有する。構造部は、ケースの内方に位置してケースの内面との間に含塵空気の旋回流が形成される。この構造部は、筒状の側面部と、突出部と、を有する。側面部は、ケースの内面に対して離間対向される。突出部は、側面部に対して外方へと突出する突出面を集塵部側に備える。突出面は、複数の整流部と、連結部とを備える。整流部は、旋回流の上流側から下流側へと集塵部側に向かう螺旋状に形成される。連結部は、一の整流部の下流端側と他の整流部の上流端側とを連結して形成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の集塵装置を、一部を切り欠いて示す側面図である。
図2】同上集塵装置の一部を示す側面図である。
図3】同上集塵装置の斜視図である。
図4】同上集塵装置の構造部の一部を示す斜視図である。
図5】同上集塵装置の構造部の一部を図4とは反対方向から示す斜視図である。
図6】同上集塵装置の構造部の一部の平面図である。
図7】同上集塵装置の構造部の一部の側面図である。
図8】同上集塵装置を備えた電気掃除機を示す斜視図である。
図9】第2の実施形態の集塵装置の構造部の一部を示す断面図である。
図10】第3の実施形態の集塵装置の構造部の一部を示す斜視図である。
図11】同上集塵装置の構造部の一部を図10とは反対方向から示す斜視図である。
図12】同上集塵装置の構造部の一部の平面図である。
図13】同上集塵装置の構造部の一部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について図1ないし図8を参照して説明する。
【0009】
図1ないし図3において、1は集塵装置を示す。集塵装置1は、吸引源により吸い込まれる含塵空気から塵埃を分離捕集するもので、後述する電気掃除機2に用いられる。
【0010】
そして、集塵装置1は、含塵空気を旋回させて塵埃を遠心分離する、遠心分離式の集塵装置である。集塵装置1は、風路構成として、含塵空気が導入される導入口3と、導入口3により導入された含塵空気から塵埃を遠心分離する分離部である第1遠心分離部4と、第1遠心分離部4で分離された塵埃を捕集する集塵部である第1集塵部5と、第1遠心分離部4で分離されなかった塵埃をさらに遠心分離する例えば複数の第2遠心分離部6と、第2遠心分離部6で分離された塵埃を捕集する第2集塵部7と、塵埃が分離された空気が排出される排出口8とを備えている。すなわち、本実施形態の集塵装置1は、多段の遠心分離部を備える構成となっているが、第2遠心分離部6および第2集塵部7は必須の構成ではない。
【0011】
また、集塵装置1は、構造的に、ケース10と、分離体11とを備え、これらケース10と分離体11とが着脱可能となっている。
【0012】
ケース10は、例えば合成樹脂等の部材により筒状に形成されている。本実施形態において、ケース10は、有底円筒状に形成されている。このため、ケース10は、外側面部である円筒状の外周面部12と、外周面部12の端部を覆う底部13とを有し、内面14が円筒面状に形成されているとともに、一端側、すなわち図1中の上側が開口されている。また、ケース11には、導入口3が形成され、この導入口3からケース11の内面14に沿って含塵空気が導入されて旋回流が形成されるようになっている。そして、ケース10の内部には、一端側、すなわち図1中の上側に第1遠心分離部4が形成され、他端側、すなわち図1中の下側に第1集塵部5が形成される。
【0013】
分離体11は、ケース10に対して係止部15により着脱可能に係止される。また、分離体11は、ケース10の内方に位置する構造部である内挿部16を備えている。内挿部16は、ケース14の内面14との間に含塵空気の旋回流が形成される部分である。内挿部16は、例えばケース10に対して同軸、又は略同軸に配置される。また、内挿部16は、第1遠心分離部4から空気を排出する筒状の通気部である排気筒20を備えている。排気筒20は、円筒状に形成されている。また、排気筒20は、通気穴21を備えている。通気穴21は、排気筒20の周囲に例えば複数形成されている。また、通気穴21は、例えばフィルタである排出フィルタ22により覆われていてもよい。
【0014】
また、内挿部16は、筒状の拡大部24を備えている。図1図2図4ないし図7に示すように、拡大部24は、第1遠心分離部5と第1集塵部6との境界を形成するものである。また、拡大部24は、排気筒20の第1集塵部6側に位置している。さらに、拡大部24は、排気筒20よりも外方に拡大されて形成されている。つまり、拡大部24は、排気筒20よりも径寸法が大きく形成されている。また、拡大部24は、排気筒20と同軸、又は略同軸に配置される。さらに、拡大部24は、第1集塵部6側、すなわちケース10の底部13に対向する側が開口する、有蓋円筒状に形成されている。したがって、拡大部24は、筒状の側面部26と、排気筒20側の面である天面部27とを備えている。
【0015】
側面部26は、本実施形態において、拡大部24の外周面を構成している。側面部26は、円筒状に形成され、ケース10の軸方向に沿って延びている。また、側面部26は、ケース10の内面14に対して離間対向されている。つまり、側面部26とケース10の内面14との間には、間隙が形成されている。この間隙は、排気筒20とケース10の内面14との間隙よりも狭く形成されている。したがって、側面部26とケース10の内面14との間では、含塵空気の旋回流の流速が排気筒20とケース10の内面14との間よりも速くなっている。また、側面部26の底部13に対向する端部は、底部13に対して離間されている。さらに、側面部26には、羽根部である突出部30が形成されている。突出部30は、側面部26に対して外方に突出している。つまり、突出部30は、側面部26に対して径方向に突出している。また、突出部30の外縁部は、ケース10の内面14に対して離れて位置している。さらに、突出部30は、例えば拡大部24の周方向に連続して形成されているとともに、両端部が互いに連続されておらず、離れている。すなわち、本実施形態において、突出部30は、間欠部31を備えている。また、突出部30は、第1集塵部5側に突出面32を備えている。さらに、本実施形態において、突出部30は、突出面32とは反対側である第1遠心分離部4側に、反対側突出面33を備える板状に形成されている。
【0016】
間欠部31は、導入口3に対向する位置の旋回流の下流側に形成されている。すなわち、突出部30は、本実施形態において、少なくとも導入口3に対向する位置で不連続となるように形成されている。
【0017】
突出面32は、側面部26に対して外方に突出している。すなわち、突出面32は、拡大部24に対して径方向に突出して形成されている。また、突出面32は、導入口3に対向する位置で導入口3に対して第1集塵部5側に位置している。さらに、突出面32は、上流端が導入口3に対して旋回流の上流側半周以内に位置している。そして、突出面32は、複数の整流部35と、これら整流部35を連結する連結部36とを備えている。
【0018】
各整流部35は、含塵空気の旋回流の上流側から下流側へと第1集塵部5側に向かう螺旋状に形成されている。各整流部35は、上流端が導入口3側から旋回流の下流側に向かって側面部26に対して徐々に外方へと突出して形成されている。本実施形態において、整流部35は、例えば2つ形成されている。つまり、本実施形態において、旋回流の上流側に位置する整流部35と、下流側に位置する整流部35とが設定されている。上流側に位置する整流部35の下流端は、下流側に位置する整流部35の上流端よりも旋回流の上流側に位置していてもよいし、下流側に位置する整流部35の上流端と周方向にラップしていてもよい。また、整流部35は、上流端以外の位置においても、側面部26に対して外方へと突出する量が一定でなくてもよく、この量は任意の位置で増減してもよい。例えば、下流に位置する整流部35の下流端は、本実施形態において、旋回流の下流側に向かって、側面部26に対して徐々に突出する量が小さくなるように形成されている。
【0019】
連結部36は、一の整流部35の下流端側と他の整流部35の上流端側とを連結して形成されている。連結部36は、各整流部35に対して滑らかに連続して形成されている。また、本実施形態において、連結部36は、上流側に位置する整流部35の下流端側と下流側に位置する整流部35の上流端側とを連結して形成されている。このため、連結部36は、上流側に位置する整流部35の下流端側から下流側に位置する整流部35の上流端側に向けて第1遠心分離部4側に傾斜している。すなわち、連結部36の傾斜方向は、各整流部35の傾斜方向とは異なっている。このため、突出部30は、連結部36に対応する位置で湾曲して形成されている。
【0020】
反対側突出面33は、基本的に突出面32と平行に形成されている。反対側突出面33は、連結部36に対応する位置で外方に向かって旋回流の下流側へと傾斜して形成されていてもよい。つまり、反対側突出面33は、その位置での側面部の法線方向に対して、旋回流の下流側に傾斜して形成されていてもよい。
【0021】
なお、突出面32および反対側突出面33は、それぞれ平面状に限定されるものではなく、例えば第1遠心分離部4側、あるいは第1集塵部5側などに湾曲して形成されていてもよい。
【0022】
天面部27は、排気筒20の軸方向に対して交差する方向に沿って形成されている。また、天面部27には、開口部37が形成されている。開口部37は、天面部27において、排気筒20よりも拡大されて外方に延出する部分に形成されている。また、開口部37は、天面部27において、その外縁部、つまり天面部27の外周に沿って複数形成されている。例えば、各開口部37は、周方向に沿って湾曲する円弧状の長穴として形成されている。さらに、開口部37は、周方向に離れた位置にそれぞれ配置されている。また、開口部37は、例えばフィルタである通気フィルタ38により覆われていてもよい。
【0023】
また、天面部27には、通気開口部40が形成されていてもよい。通気開口部40は、排気筒20と対向する天面部27の中央部に配置されている。通気開口部40は、例えば円穴として形成されている。また、通気開口部40は、フィルタである圧縮フィルタ41により覆われていてもよい。
【0024】
さらに、天面部27には、排気筒20と拡大部24とを着脱可能に接続するための接続部44が形成されていてもよい。接続部は、例えば通気開口部40の周囲から突出して排気筒20の拡大部24側の端部と係合される係合部45と、天面部27にて開口部37よりも内方の位置から第1遠心分離部4側に突出して排気筒20を位置決めする位置決め部46とを備えていてもよい。なお、接続部44は、必須の構成ではない。
【0025】
また、天面部27には、壁部48が形成されている。壁部48は、天面部27に対して第1遠心分離部4側にリブ状に突出して形成されている。壁部48は、少なくとも開口部37の外方に対応する位置に形成されている。具体的に、壁部48は、開口部37の外方であって、開口部37の少なくとも一部に沿う位置であり、壁部48の端部は、開口部37の端部に対して短くてもよいし、開口部37の端部と略同一の位置でもよいし、開口部37の端部に対して長く突出していてもよい。さらに、壁部48は、第1遠心分離部4側の端部48aが、導入口3の最も第1集塵部5側の位置Eよりも第1遠心分離部4側に突出している。また、壁部48は、導入口3の最も第1集塵部5側の位置Eよりも、壁部48の第1遠心分離部4側の端部48aが第1遠心分離部4側に突出する量Mは、ケース10の長手方向である軸方向の導入口幅Wに対して1/4以下に設定されている。なお、天面部27の排気筒20側の位置は、例えば導入口3の最も第1集塵部5側の位置Eと面一、又は略面一でもよいし、第1遠心分離部4側にあってもよいし、第1集塵部5側にあってもよい。さらに、壁部48は、例えば一対形成されている。これら壁部48は、導入口3に対向する位置と、その反対側の位置とで、互いに離れて位置している。このため、各壁部48は、軸方向に見て、円弧状に湾曲して形成されている。
【0026】
また、分離体11は、区画部50を備えている。区画部50は、ケース10との間に第2集塵部7を区画する部分である。区画部50は、例えばシール部材51を備えている。シール部材51は、ケース10の一端側に拡大して形成された段差部52に対して圧接されて、ケース10の一端側を閉塞するとともに、ケース10の段差部52よりも一端側の部分を第2集塵部7として第1遠心分離部4および第1集塵部5から隔離して区画する。また、区画部50には、第2遠心分離部6により遠心分離された塵埃を第2集塵部7に導く導塵部である傾斜部53が形成されていてもよい。
【0027】
さらに、分離体11は、ケース10の一端側を覆う分離本体部55を備えている。分離本体部55は、ケース10の外部に位置している。また、分離本体部55の内部には、図示しないが、排気筒20から排出された空気を第2遠心分離部6に導く導風部が形成されている。さらに、分離本体部55の内部には、第2遠心分離部6を構成するコーン部57が複数形成されている。コーン部57は、ケース10側に向かって縮径される円錐状に形成され、円環状に配置されている。そして、各コーン部57は、内部に導入された含塵空気を旋回させて塵埃を分離し、分離された塵埃を、傾斜部53から第2集塵部7に排出するようになっている。また、分離本体部55の内部には、図示しないが、第2遠心分離部6から排出される空気を排出口8に導く排風部が形成されている。排風部には、例えばフィルタが配置されていてもよい。そして、分離本体部55には、排出口8が形成されている。また、分離本体部55には、集塵装置1を電気掃除機2に対して着脱するための着脱機構58が形成されていてもよい。
【0028】
電気掃除機2は、集塵装置1が着脱可能に取り付けられる本体部60を備えている。また、電気掃除機2は、吸引源となる電動送風機61を備えている。さらに、電気掃除機2は、電動送風機61の動作を制御する図示しない制御部を備えている。また、電気掃除機2は、電動送風機61の起動および停止を操作する操作部63を備えている。本実施形態において、電気掃除機2は、例えば長手状の本体部60に対して着脱可能な風路体64を備える長尺状のスティック型の電気掃除機を例に挙げるが、例えば本体部60が床面上を走行可能なキャニスタ型などでもよいし、自律走行可能な自走式のものでもよい。
【0029】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
【0030】
電気掃除機11を用いた掃除の際、ユーザは、集塵装置1を本体部60に装着し、操作部63を操作して電動送風機61を動作させ、風路体64を用いて、電動送風機61の駆動により生じた負圧を利用して被掃除面の塵埃を空気とともに吸い込む。
【0031】
含塵空気は、風路体64から本体部60を経由して導入口3から集塵装置1に吸い込まれる。このとき、含塵空気は、導入口3により、ケース10の内面14の接線方向に沿って導入されて、内挿部16とケース10の内面14との間に旋回流Aを生じさせる。
【0032】
この旋回流Aは、排気筒20と内面14との間で旋回して第1遠心分離部4により塵埃を遠心分離しつつ、拡大部24の側面部26と内面14との間で流速が速められるとともに、突出部30に沿って旋回しながら第1集塵部5へと流れる。このとき、塵埃が各整流部35に沿って流れる旋回流Aによって下方に徐々に圧縮される。
【0033】
この後、旋回流Aは、拡大部24の内方へと入り込み、一部が開口部37を通過して循環し、他部が通気開口部40を通過する。このとき、第1集塵部5内に溜められた塵埃を圧縮する。
【0034】
排気筒20へと通過した含塵空気は、導風部から第2遠心分離部6のコーン部57へと導入され、コーン部57内で旋回されて、さらに微細な塵埃が分離されて第2集塵部7に溜められる。そして、塵埃が分離された空気は、排風部を介して排出口8から集塵装置1の外部へと排出されるとともに、電動送風機61に吸い込まれ、電動送風機61を冷却した後排気される。
【0035】
ここで、第1集塵部5に溜められた塵埃が増加すると、旋回流Aが流れにくくなり、含塵空気が負圧によって排気筒20側へと流れ込もうとする。このとき、突出面32が、一の整流部35の下流端側と他の整流部35の上流端側とを連結して形成された連結部36を備えることで、連結部36によって、含塵空気が負圧によって排気筒20側へと流れ込もうとすることを抑制し、塵埃の巻き上げを抑制できる。
【0036】
また、突出部30は、少なくともいずれか2つの隣接する整流部35間に間欠部31を備えるため、比較的大きい塵埃は、突出部30に引っ掛かることなく間欠部31から第1集塵部5へと溜められやすくなる。
【0037】
特に、間欠部31は、導入口3に対向する位置の旋回流Aの下流側に形成されているため、導入口3から導入された含塵空気中の比較的大きい塵埃が、直ちに間欠部31から第1集塵部5へと溜められやすくなり、塵埃の分離効率を向上できる。
【0038】
また、整流部35の上流端が導入口3側から旋回流Aの下流側に向かって側面部26に対して徐々に外方へと突出して形成されているため、旋回流Aに沿って第1集塵部5へと送り込まれる塵埃が突出部30に引っ掛かりにくい。
【0039】
さらに、突出面32が導入口3に対向する位置で導入口3に対して第1集塵部5側に位置するため、導入口3からの含塵空気の導入を突出面32によって妨げにくい。
【0040】
また、突出面32は、上流端が導入口3に対して旋回流Aの上流側半周以内に位置するので、導入口3から導入された含塵空気を効率よくガイドして旋回流Aを形成することができる。
【0041】
また、突出部30の突出面32とは反対側の第1遠心分離部4側の反対側突出面33が、連結部36に対応する位置で外方に向かい旋回流Aの下流側へと傾斜して形成されているので、反対側突出面33に沿って旋回流Aに含まれる塵埃が、この反対側突出面33が傾斜した位置から第1集塵部5に向かって容易に溜められる。
【0042】
さらに、旋回流Aを排出する筒状の排気筒20よりも外方に拡大された拡大部24の排気筒20側の天面部27において、排気筒20よりも外方に拡大された位置に形成される開口部37の外方に対応して、拡大部24の排気筒20側の天面部27から第1遠心分離部4側に壁部48を突出することにより、壁部48とケース10の内面14とが対向する距離を取って旋回流Aを強めることができるとともに、開口部37を通過する気流を壁部48によって排気筒20の外方に導くことができる。このため、排気筒20への塵埃の付着を抑制しつつ、塵埃の分離効率を向上できる。
【0043】
また、壁部48の第1遠心分離部4側の端部48aが、導入口3の最も第1集塵部5側の位置Eよりも第1遠心分離部4側に突出しているので、壁部48とケース10の内面14との対向する距離を十分に確保して旋回流Aを強めることができ、塵埃の分離性能をより向上できる。
【0044】
導入口3の最も第1集塵部5側の位置Eよりも、壁部48の第1遠心分離部4側の端部48aの第1遠心分離部4が突出する量Mが、ケース10の長手方向の導入口幅Wに対して1/4以下に設定されているので、壁部48とケース10の内面14とが対向する距離を十分に確保して旋回流Aを強めつつ、排気筒20に対して吸い込まれる気流を壁部48により妨げにくくなる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を、図9を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0046】
本実施形態は、突出部30の外縁部から第1遠心分離部4側に突出するフランジ部68を備えるものである。
【0047】
フランジ部68は、例えば先端部が、壁部48の端部48aと面一、又は略面一となっていてもよいし、壁部48の端部48aに対して、第1集塵部5側、すなわち図9の下側に位置していてもよい。また、フランジ部68は、突出部30において、整流部35および連結部36のそれぞれと対応する位置に連続して形成されていてもよい。
【0048】
このように、突出部30にフランジ部68を形成した場合でも、上記第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0049】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を図10ないし図13を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0050】
本実施形態は、上記第1の実施形態において、壁部48を備えないものである。
【0051】
また、整流部35は、上流端を除き、側面部26に対して外方に突出する量が略一定に形成されている。
【0052】
このように、壁部48を備えない構成としても、突出部30の突出面32により第1集塵部5からの塵埃の巻き上げ抑制効果を奏する。
【0053】
なお、上記各実施形態において、突出部30は全周に亘って連続して形成されていてもよい。すなわち、各整流部35の上流端側と下流端側とがそれぞれ連結部36によって連結されていてもよい。
【0054】
また、ケース10は、底部13を開閉可能とし、第1集塵部5および第2集塵部7に溜められた塵埃を下方から排出するようにしてもよい。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 集塵装置
2 電気掃除機
3 導入口
4 分離部である第1遠心分離部
5 集塵部である第1集塵部
10 ケース
14 内面
16 構造部である内挿部
20 通気部である排気筒
26 側面部
30 突出部
31 間欠部
32 突出面
33 反対側突出面
35 整流部
36 連結部
68 フランジ部
A 旋回流
【要約】
【課題】集塵部からの塵埃の巻き上げを抑制できる集塵装置およびこれを備えた電気掃除機を提供する。
【解決手段】集塵装置1は、筒状のケース10と、内挿部16とを備える。ケース10は、含塵空気が導入される導入口3を有する。内挿部16は、ケース10の内方に位置してケース10の内面14との間に含塵空気の旋回流Aが形成される。内挿部16は、筒状の側面部26と、突出部30とを有する。側面部26は、ケース10の内面14に対して離間対向される。突出部30は、側面部26に対して外方へと突出する突出面32を第1集塵部5側に備える。突出面32は、複数の整流部35と、連結部36とを備える。整流部35は、旋回流Aの上流側から下流側へと第1集塵部5側に向かう螺旋状に形成される。連結部36は、一の整流部35の下流端側と他の整流部35の上流端側とを連結して形成される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13