(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記塗布ノズルが、前記電極シートに対して先に電極材料が塗布される側の面とは表裏の関係にある、後から電極材料が塗布される側の面側に備えられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の塗布装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態について、図を用いながら説明する。
以下各図においては、直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、XY平面を水平面、Z方向を鉛直方向とする。特にX方向は矢印の方向を搬送方向下流側、その逆方向を搬送方向上流側と表現し、Z方向は矢印の方向を上、その逆方向を下と表現する。また、Y方向は幅方向と表現し、Y方向は矢印の方向を右、その逆方向を左と表現する。
【0014】
図1は、本発明を具現化する形態の一例を示す側面図であり、本発明に係る塗布装置の一つの実施形態である両面塗布装置1の全体構成を示している。両面塗布装置1は、連続搬送される電極シート10の両面に、電極材料および絶縁材料(つまり、塗布材料)を塗布するものであり、本発明に係る塗布装置の一つの実施形態である。
【0015】
ここでは、電極シート10の一類型として電池電極用芯材(例えば、アルミ、銅、ステンレスなどの箔材)を例示し、当該電極シート10に塗布される電極材料としては、活物質やカーボンなどを混練配合したスラリー材を例示して説明する。
【0016】
なお、以下で述べる、電極シートのA面とは、電極シート10に対して先に電極材料が塗布される側の面を差す。一方、電極シートのB面とは、電極シート10の先に電極材料が塗布されたA面とは表裏の関係にある反対側の面であり、後から電極材料が塗布される側の面を差す。
【0017】
両面塗布装置1は、シート搬送部2、A面側塗布ノズル3A、B面側塗布ノズル3B、A面側送液部4A、B面側送液部4B、A面側ギャップ調節部5A、B面側ギャップ調節部5Bを備えて構成されている。さらに、両面塗布装置1は、必要に応じて乾燥部DR及びプレス部PDを備えて構成されている。
【0018】
電極シート搬送部2は、電極シート10を連続搬送するものである。具体的には、電極シート搬送部2は、電極シート巻出部28と、電極シート巻取部29を備えて構成されている。電極シート巻出部28は、電極シート10が巻き付けられたロールを回転させながら、電極シート10を巻き出すものである。電極シート巻取部29は、塗布材料の塗布・乾燥(或いは、その後のプレス加工)が済んだ電極シート10dをロールを回転させながら、当該ロールに巻き付けるものである。さらに、電極シート搬送部2は、必要に応じて、搬送サポートローラ21,22や、塗布サポートローラ23を備えて構成されている。
【0019】
搬送サポートローラ21,22は、搬送中の電極シート10の姿勢を一定に保つためのものである。具体的には、搬送サポートローラ21,22は、電極シート10の幅方向に所定の長さがあり、当該幅方向を回転軸として回転する、円筒状の回転体である。搬送サポートローラ21,22は、搬送される電極シート10の搬送方向が変化するように(つまり、段違いに)配置されており、搬送中の電極シート10に張力が付与されることで姿勢を一定に保つことができる。
【0020】
塗布サポートローラ23は、電極シート10が後述する塗布ノズル3Aの各塗布材料吐出部との隙間を一定に保ちながら搬送されるように、電極シート10をB面側から支えるものである。具体的には、塗布サポートローラ23は、電極シート10の幅方向に所定の長さがあり、当該幅方向を回転軸として回転する、円筒状の回転体である。電極シート10は、塗布サポートローラ23の外周面に沿わせながら搬送される。
【0021】
電極シート搬送部2は、この様な構成をしているため、塗布前の電極シート10ないし塗布・乾燥工程を経た電極シート10dを、矢印vの方向に連続搬送することができる。
【0022】
図2は、本発明を具現化する形態の一例の要部を示す斜視図であり、
図2には、A面側塗布ノズル3Aの具体的な外観が実線で示され、内部構造が破線で示されている。
【0023】
A面側塗布ノズル3Aは、搬送中の電極シート10に対して、先に(つまり、A面側に)電極材料および絶縁材料を塗布するものである。A面側塗布ノズル3Aには、電極材料を吐出する電極材料吐出部31Aと、絶縁材料を吐出する絶縁材料吐出部32Aと、吸引減圧部33Aが備えられている。
【0024】
具体的には、A面側塗布ノズル3Aは、電極シート10を外周面に沿わせつつ搬送させる塗布サポートローラ23(二点鎖線で図示)と所定の間隔を隔てて、対向して配置されている。より具体的には、A面側塗布ノズル3Aは、上流側ダイ301と下流側ダイ302とに分割されており、これらを密着させて組み合わせた構造をしている。上流側ダイ301は、電極シート10の搬送方向上流側に配置され、下流側ダイ302は、電極シート10の搬送方向下流側に配置されている。
図2では、電極シート10が矢印vの方向に(つまり、紙面下方から上方)に搬送されている。
【0025】
下流側ダイ302には、開口部310、電極材料導入口311、マニホールド312、電極材料導流路313、リップ部315、絶縁材料導入口316、マニホールド317、絶縁材料導流路318、隔壁319が設けられている。上流側ダイ301には、吸気口320、排出口321、マニホールド322、吸気流路323、リップ部325が設けられている。
【0026】
開口部310は、下流側ダイのリップ部315と上流側ダイのリップ部325とで囲まれて構成されており、開口部310から電極材料および絶縁材料が吐出される。
【0027】
マニホールド312、電極材料導流路313、マニホールド317、絶縁材料導流路318は、下流側ダイ302に設けられた凹み部と、上流側ダイ301の壁面とで形成されている。
【0028】
電極材料導入口311は、外部の送液手段から下流側ダイ302のマニホールド312へ電極材料を導入するためのである。
マニホールド312は、電極材料導入口311から導入された電極材料を、広幅の電極材料導流路313の隅々まで均等に配分するためのものである。
電極材料導流路313は、マニホールド312を通じて導入された電極材料を、開口部310へ導くためのものである。電極材料導流路313の出口が、電極材料吐出部31Aとして機能する。
【0029】
絶縁材料導入口316は、外部の送液手段から下流側ダイ302のマニホールド317へ絶縁材料を導入するためのものである。
マニホールド317は、絶縁材料導入口316から導入された絶縁材料を、広幅の絶縁材料導流路318の隅々まで均等に配分するためのものである。
絶縁材料導流路318は、マニホールド317を通じて導入された電極材料を、開口部310へ導くためのものである。絶縁材料導流路318の出口が、絶縁材料吐出部32Aとして機能する。
【0030】
隔壁319は、マニホールド312とマニホールド317、並びに電極材料導流路313と絶縁材料導流路318を隔てるものである。さらに、隔壁319の開口部310側の端部は、下流側ダイ302のリップ部315よりも内部側に配置されている。つまり、開口部310の内部側で、電極材料吐出部31Aと絶縁材料吐出部32Aとが連通している。
【0031】
吸気口320は、絶縁材料吐出部32Aの背圧を下げ、絶縁材料の塗膜を薄くするためのものである。吸気口320は、上流側ダイ301の先端部分であって、絶縁材料吐出部32Aの近く、電極シート10の搬送方向上流側に配置されている。排出口321は、マニホールド322、吸気流路323を外気よりも負圧状態にするために、外部の吸引手段vacと接続するためのものである。マニホールド322は、吸気流路323の隅々まで均等な負圧状態にしつつ、吸気口320から吸気された外気を排気口321へ導くためのものである。外部の吸引手段vacとしては、真空ポンプやエジェクタ、排気ブロワなどを用いる。
【0032】
この様な構成をしているため、A面側塗布ノズル3Aを分解・清掃した後、再度組み立て直しても、電極材料吐出部31Aと絶縁材料吐出部32Aの幅方向の位置関係が変化しない。また、A面側塗布ノズル3Aにおいて、開口部310からは、電極材料と導電材料とが離間したりエア噛みすることなく密接した状態で、電極シート10に向けて吐出される。さらに、A面側塗布ノズル3Aにおいて、排気口320は吸引減圧部33Aとして機能し、絶縁材料吐出部32Aから吐出される絶縁材料の塗膜を薄くすることができる。
【0033】
A面側塗布材料供給部4Aは、A面側塗布ノズル3Aに、塗布材料である電極材料と絶縁材料とを供給するものである。A面側塗布材料供給部4Aは、電極材料送液ポンプ41Aと絶縁材料送液ポンプ42Aを備えて構成されている。
【0034】
電極材料送液ポンプ41Aは、A面側塗布ノズル3Aに、電極材料を供給するものである。具体的には、電極材料送液ポンプ41Aは、送液配管を通じて電極材料導入口311と接続されている。そのため、電極材料送液ポンプ41Aから電極材料を供給することで、A面側塗布ノズル3Aの電極材料吐出部31Aから電極材料が吐出される。
【0035】
絶縁材料送液ポンプ42Aは、A面側塗布ノズル3Aに、絶縁材料を供給するものである。具体的には、絶縁材料送液ポンプ42Aは、送液配管を通じて絶縁材料導入口316と接続されている。そのため、絶縁材料送液ポンプ42Aから絶縁材料を供給することで、A面側塗布ノズル3Aの絶縁材料吐出部32Aから絶縁材料が吐出される。
【0036】
A面側ギャップ調節部5Aは、電極シート10とA面側塗布ノズル3Aとの間隔を調節するものである。より詳しく言えば、A面側ギャップ調節部5Aは、電極シート10と下流側ダイ302のリップ部315との間隔(いわゆる、ノズルギャップ)を調節するものである。両面塗布装置1は、このノズルギャップと、電極材料吐出部31Aの寸法および絶縁材料吐出部32Aの寸法と、電極材料送液ポンプ41Aからの吐出流量および絶縁材料送液ポンプ42Aからの吐出流量と、電極シート10の搬送速度などとの関係によって、塗布される電極材料および絶縁材料の塗膜の厚さが決定づけられる。
【0037】
具体的には、A面側ギャップ調節部5Aは、両面塗布装置1のフレーム等に直接又は連結部材等を介して取り付けられた、アクチュエータにて構成される。このアクチュエータは、矢印48で示す電極シート10の厚み方向(
図1では、X方向)に位置変更可能な可動部を備えて構成されている。そして、この可動部には、A面側塗布ノズル3Aが取り付けられている。そのため、電極シート10とA面側塗布ノズル3Aとの間隔を調節することで、電極シート10と電極材料吐出部31Aの間隔および電極シート10と絶縁材料吐出部32Aの間隔を同時に調節し、電極シート10の上に塗布される電極材料と絶縁材料の塗膜の厚さを同時に変更して所望の厚さに調節することができる。
【0038】
B面側塗布ノズル3Bは、電極シート10に電極材料が塗布された面側(つまりA面側)と反対側(つまり、B面側)に、当該A面側に塗布された電極材料が乾燥されていない段階で、後から電極材料および絶縁材料(つまり、塗布材料)を塗布するものである。
【0039】
具体的には、B面側塗布ノズル3Bは、
図2に示したA面側塗布ノズル3Aと同様の構成をしており、電極材料を吐出する電極材料吐出部31Bと、絶縁材料を吐出する絶縁材料吐出部32Bが備えられている。また、B面側塗布ノズル3Bには、必要に応じて、後述する吸引減圧部33Bが備えられている。
【0040】
B面側塗布ノズル3Bにおいても、上流側ダイ301は、電極シート10の搬送方向下流側に配置され、下流側ダイ302は、電極シート10の搬送方向上流側に配置されている。
電極材料導流路313の出口が、電極材料吐出部31Bとして機能する。
絶縁材料導流路318の出口が、絶縁材料吐出部32Bとして機能する。
排気口320が、B面側塗布ノズル3Bの吸引減圧部33Bとして機能し、絶縁材料吐出部32Bから吐出される絶縁材料の塗膜を薄くすることができる。
その他の具体的な構成は、A面側塗布ノズル3Aと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0041】
なお、B面側塗布ノズル3Bは、
図1に示す様に、下方から上方に向けて塗布材料を吐出するよう配置されており、電極シート10の下面がB面側塗布ノズル3Bに覆い被さりつつ搬送されるため、電極シート10のB面側(図では搬送経路の概ね下側)に塗布材料が塗布される。
【0042】
B面側塗布材料供給部4Bは、B面側塗布ノズル3Bに、塗布材料である電極材料と絶縁材料とを供給するものである。B面側塗布材料供給部Bは、電極材料送液ポンプ41Bと絶縁材料送液ポンプ42Bを備えて構成されている。
【0043】
電極材料送液ポンプ41Bは、B面側塗布ノズル3Bに、電極材料を供給するものである。具体的には、電極材料送液ポンプ41Bは、送液配管を通じて電極材料導入口311と接続されている。そのため、電極材料送液ポンプ41Bから電極材料を供給することで、B面側塗布ノズル3Bの電極材料吐出部31Bから電極材料が吐出される。
【0044】
絶縁材料送液ポンプ42Bは、B面側塗布ノズル3Bに、絶縁材料を供給するものである。具体的には、絶縁材料送液ポンプ42Bは、送液配管を通じて絶縁材料導入口316と接続されている。そのため、絶縁材料送液ポンプ42Bから絶縁材料を供給することで、B面側塗布ノズル3Bの絶縁材料吐出部32Bから絶縁材料が吐出される。
【0045】
B面側ギャップ調節部5Bは、電極シート10とB面側塗布ノズル3Bとの間隔を調節するものである。
【0046】
具体的には、B面側ギャップ調節部5Bは、両面塗布装置1のフレーム等に直接又は連結部材等を介して取り付けられた、アクチュエータにて構成される。このアクチュエータは、矢印49で示す電極シート10の厚み方向(
図1では、Z方向)に位置変更可能な可動部を備えて構成されている。そして、この可動部には、B面側塗布ノズル3Bが取り付けられている。
【0047】
この様な構成をしているため、両面塗布装置1は、塗布部3において、電極シート10がA面側塗布ノズル3Aとサポートローラ23との間を通過しながら搬送される際に、先に電極シート10のA面側(
図1では搬送経路の概ね上側)に電極材料と絶縁材料が塗布される。その後から、B面側塗布ノズル3Bにより、電極シート10のB面側(図では搬送経路の概ね下側)に電極材料と絶縁材料が塗布される。そして、両面塗布後の電極シート10cは、乾燥部DRやプレス部PDを経て、電極シート巻取部29に巻き取られる。
【0048】
[別の形態]
図3は、本発明を具現化する別の形態の一例の要部を示す斜視図であり、
図3には、A面側塗布ノズル3A’の具体的な外観が実線で示され、内部構造が破線で示されている。
【0049】
A面側塗布ノズル3A’には、電極材料を吐出する電極材料吐出部31A’と、絶縁材料を吐出する絶縁材料吐出部32A’と、吸引減圧部33A’が備えられている。これらは、それぞれ上述したA面側塗布ノズル3Aの電極材料吐出部31A、絶縁材料吐出部32A、吸引減圧部33Aと同様であるため、相違点について詳細を述べる。
【0050】
A面側塗布ノズル3A’は、上述したA面側塗布ノズル3と対比して、上流側ダイ801が電極シートの搬送方向上流側に、下流側ダイ802が電極シートの搬送方向下流側に配置されており、電極材料吐出部31A’が上流側ダイ801側に配置され、これと仕切り板803を隔てた下流側ダイ802側に絶縁材料吐出部32A’が配置されている。
【0051】
A面側塗布ノズル3A’は、上流側ダイ801、下流側ダイ802、仕切り板803を備え、上流側ダイ801と下流側ダイ802とで仕切り板803を挟み、それぞれを密着させた構造をしている。
【0052】
上流側ダイ801には、開口部810、電極材料導入口811、マニホールド812、電極材料導流路813、リップ部815、隔壁819、吸気口820、排出口821、マニホールド822、吸気流路823が設けられている。下流側ダイ802には、絶縁材料導入口816、マニホールド817、絶縁材料導流路818が設けられている。
【0053】
開口部810は、上流側ダイ801のリップ部815と仕切り板803とで囲まれて構成されており、開口部810から電極材料が吐出される。
【0054】
マニホールド812と電極材料導流路813は、上流側ダイ801に設けられた凹み部と仕切り板803とで構成されている。マニホールド817と絶縁材料導流路818は、下流側ダイ802に設けられた凹み部と仕切り板803とで構成されている。
【0055】
電極材料導入口811は、外部の送液手段から上流側ダイ801のマニホールド812へ電極材料を導入するためのである。マニホールド812と電極材料導流路813は、上述のマニホールド312と電極材料導流路313と同様のものである。電極材料導流路813の出口である開口部810が、電極材料吐出部31A’として機能する。
【0056】
絶縁材料導入口816は、外部の送液手段から下流側ダイ802のマニホールド817へ絶縁材料を導入するためのものである。マニホールド817と絶縁材料導流路818は、上述のマニホールド317と絶縁材料導流路318と同様のものである。絶縁材料導流路818の出口が、絶縁材料吐出部32A’として機能する。
【0057】
隔壁819は、マニホールド812及び電極材料導流路313を、マニホールド822及び吸気流路823と隔てるものである。
【0058】
吸気口820は、絶縁材料吐出部32A’の背圧を下げ、絶縁材料の塗膜を薄くするためのものである。吸気口820は、上流側ダイ801の先端部分であって、絶縁材料吐出部32A’の近く、電極シート10の搬送方向上流側に配置されている。排出口821は、マニホールド822、吸気流路823を外気よりも負圧状態にするために、外部の吸引手段vacと接続するためのものである。マニホールド822は、吸気流路823の隅々まで均等な負圧状態にしつつ、吸気口820から吸気された外気を排気口821へ導くためのものである。外部の吸引手段vacとしては、真空ポンプやエジェクタ、排気ブロワなどを用いる。
【0059】
A面側塗布ノズル3A’において、塗布材料吐出部31A’の両端部と絶縁材料吐出部32A’の内側端部との位置関係は、塗布ノズル3A’の幅方向(つまり、Y方向)に見て、同じ位置に配置されている。
【0060】
この様な構成をしているため、A面側塗布ノズル3A’は、電極シート10上に電極材料を塗布した直後に、その電極材料の塗布端部に密接した状態で、その外側に絶縁材料を塗布することができる。さらに、A面側塗布ノズル3A’において、排気口820は吸引減圧部33A’として機能し、絶縁材料吐出部32A’から吐出される絶縁材料の塗膜を薄くすることができる。
【0061】
なお、上述の構成に限らず、A面側塗布ノズル3A’において、塗布材料吐出部31A’の両端部と絶縁材料吐出部32A’の内側端部との位置関係は、塗布ノズル3A’の幅方向(つまり、Y方向)に見て、オーバーラップするように配置しても良い。そうすれば、電極シート10上に電極材料を塗布した直後に、その電極材料の塗布端部にオーバーラップさせつつ、その外側に絶縁材料を塗布することができる。
【0062】
なお、上述のA面側塗布ノズル3A’と同様の構成の、B面側塗布ノズル3B’を備えた構成としても良い。この場合、電極材料導流路813の出口である開口部810が、電極材料吐出部31B’として機能する。また、絶縁材料導流路818の出口が、絶縁材料吐出部32B’として機能する。また、排気口820が、B面側塗布ノズル3B’の吸引減圧部33B’として機能し、絶縁材料吐出部32B’から吐出される絶縁材料の塗膜を薄くすることができる。
【0063】
[別の形態]
なお、本発明に係る塗布装置において、吸引減圧部33A,33B等は、必須の構成ではなく、A面側塗布ノズルまたはB面側塗布ノズルのどちらか一方あるいは双方を備えていない構成としても良い。
【0064】
[別の形態]
また上述では、下流側ダイ302に開口部310を設け、開口部310の内部側に電極材料吐出部31Aと絶縁材料吐出部32Aとを設け、上流側ダイ301に吸引減圧部33Aを設けた構成を示した。しかし、吸引減圧部33Aを備えない構成であれば、この様な構成に限定されず、上流側ダイに開口部を設け、この開口部の内部側に電極材料吐出部31Aと絶縁材料吐出部32Aとを設けた構成としても良い。
【0065】
[別の形態]
上述のA面側塗布ノズル3A,3A’、B面側塗布ノズル3B、3B’は、本発明に係る塗布ノズルの実施形態の一類型である。また、A面側送液部4A、B面側送液部4Bは、本発明に係る塗布材料供給部の実施形態の一類型である。また、A面側ギャップ調節部5A、B面側ギャップ調節部5Bは、本発明に係るギャップ調節部の実施形態の一類型である。
【0066】
上述では、A面側塗布ノズル3A,3A’、B面側塗布ノズル3B、3B’共に、同様の構成である例を示した。しかし、A面側塗布ノズルを従来型(つまり、別体型)としつつ、B面側塗布ノズル3B,3B’のみを、本発明に係る構成としても良い。
【0067】
これは、両面塗布装置のB面側は、電極シートを挟んで対向する側にサポート部位が配置されていないため、先に塗布される材料の重量バランスの影響を受けやすく、B面側のノズルギャップが、先に塗布される材料(つまり、A面側の塗布材料)の重量バランスの影響を受けやすいからである。
【0068】
そのため、B面側塗布ノズル3B、3B’を用いることで、電極材料吐出部および絶縁材料吐出部の間隔を同時に制御・調節することが可能となり、塗布ギャップの調節が容易となり、好ましいと言える。
【0069】
[別の形態]
なお、上述のA面側塗布ノズル3A’では、電極材料導入口811とマニホールド812は、共に上流側ダイ801側に備えられた例を示した。しかし、この様な構成に限定されず、電極材料導入口811やマニホールド812を下流側ダイ802側に設け、仕切り板803に開口部を設けた構成としても良い。そうすることで、電極材料と絶縁材料の供給ラインを併設することができ、メンテナンス性が向上する。
【0070】
なお、A面側塗布ノズル3Aは、電極シート10に対して先に塗布材料を塗布するものであるため、
図1に示した様に電極材料吐出部31Aと絶縁材料吐出部32Aが水平方向に向けられた配置に限定されず、上方から下向きないし下方から上向きに塗布材料を吐出させても良い。そのため、塗布材料を塗布する方向に応じて、電極シート10がサポートローラ23の外周面に沿っている区間を適宜設定すれば良く、その区間内でA面側塗布ノズル3Aの各吐出部31A,32Aがサポートローラ23の外周面と対向配置されるよう、A面側塗布ノズル3Aとサポートローラ23との配置を適宜設定すれば良い。
【0071】
なお、A面側ギャップ調節部5Aは、A面側塗布ノズル3A,3A’の左端、右端を同時に同じ量を動かしても良いし、左端・右端を個別に位置調整しても良い。B面側ギャップ調節部5Bも、同様である。