特許第6539092号(P6539092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6539092レコメンド情報管理サーバおよびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6539092
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】レコメンド情報管理サーバおよびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20190625BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20190625BHJP
【FI】
   G06Q50/10
   G06Q30/06 350
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-83359(P2015-83359)
(22)【出願日】2015年4月15日
(65)【公開番号】特開2016-206715(P2016-206715A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 章
【審査官】 ▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−193342(JP,A)
【文献】 特開2011−154535(JP,A)
【文献】 特開2012−164210(JP,A)
【文献】 特開2010−147567(JP,A)
【文献】 特開2001−256293(JP,A)
【文献】 特開2008−140022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/10
G06Q 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用実績データの収集が可能な共有車両を用いた車両共有サービスを利用するユーザに対するレコメンド情報を送信するレコメンド情報管理サーバであって、
ユーザの運転免許証データを含む属性情報を蓄積するユーザデータベースと、
ユーザからの予約申し込みデータを蓄積する予約データベースと、
前記の利用実績データを蓄積する利用実績データベースと、
前記のユーザデータベースに蓄積された運転免許証データに基づいた免許証の取得日、および前記の利用実績データベースに蓄積された利用実績データに基づく事故トラブル履歴の有無を用いてユーザが熟練者か非熟練者かに区別する熟練判断手段と、
前記の利用実績データベース、前記のユーザデータベース前記の予約データベースにおける各ユーザに係る各種データ、および前記の熟練判断手段による区別を用いてレコメンド情報を作成するレコメンド作成装置と、
そのレコメンド作成装置によって作成されたレコメンド情報を予約申し込みデータに係るユーザに係る携帯情報端末へ送信するレコメンド送信手段と、
を備えたレコメンド情報管理サーバ。
【請求項2】
前記の車両共有サービスに係る共有車両には、ユーザに対するタイムリーな情報提供が可能な多機能カーナビゲーション装置を搭載することとし、
前記のレコメンド送信手段は、前記の多機能カーナビゲーション装置に対してレコメンド情報を送信可能とした
請求項1に記載のレコメンド情報管理サーバ。
【請求項3】
前記の車両共有サービスに係る共有車両には、ユーザに係る携帯情報端末と接続してその携帯情報端末との通信が可能な車載機を備えることとし
前記のレコメンド送信手段は、前記のレコメンド情報を前記の携帯情報端末へ出力させることとした
請求項1に記載のレコメンド情報管理サーバ。
【請求項4】
前記のレコメンド情報には、ユーザに対してお奨めしない旨の消極的なレコメンド情報を含むこととした
請求項1から請求項3のいずれかに記載のレコメンド情報管理サーバ。
【請求項5】
利用実績データの収集が可能な共有車両を用いた車両共有サービスを利用するユーザに対するレコメンド情報を送信するレコメンド情報管理サーバを制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記のレコメンド情報管理サーバには、ユーザの運転免許証データを含む属性情報を蓄積するユーザデータベースと、
ユーザからの予約申し込みデータを蓄積する予約データベースと、
前記の利用実績データを蓄積する利用実績データベースと、を備えており、
前記のコンピュータプログラムは、
前記のユーザデータベースに蓄積された運転免許証データに基づいた免許証の取得日、および前記の利用実績データベースに蓄積された利用実績データに基づく事故トラブル履歴の有無を用いてユーザが熟練者か非熟練者かに区別する熟練判断手順と、
前記の利用実績データベース、前記のユーザデータベース前記の予約データベースにおける各ユーザに係る各種データ、および前記の熟練判断手順による区別を用いてレコメンド情報を作成するレコメンド作成手順と、
そのレコメンド作成手順にて作成したレコメンド情報を予約申し込みデータに係るユーザに係る携帯情報端末へ送信するレコメンド送信手順と、
をレコメンド情報管理サーバに実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記の車両共有サービスに係る共有車両には、ユーザに対するタイムリーな情報提供が可能な多機能カーナビゲーション装置を搭載することとし、
前記のレコメンド作成手順にて作成したレコメンド情報を前記の多機能カーナビゲーション装置に対して送信するカーナビ送信手順を、レコメンド情報管理サーバに実行させることとした請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記の車両共有サービスに係る共有車両には、ユーザに係る携帯情報端末と接続してその携帯情報端末との通信が可能な車載機を備えることとし
前記のレコメンド送信手順は、前記のレコメンド情報を送信するとともに、前記の携帯情報端末へ出力させることとした
請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記のレコメンド情報には、ユーザに対してお奨めしない旨の消極的なレコメンド情報を含むこととした
請求項5から請求項7のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーシェアリングまたはレンタカーの利用者に関する利用シーンに対してレコメンド(提案)情報を発信するための情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の車両を複数のユーザが共同で使用するカーシェアリングサービスが普及しつつある。
現在普及しているカーシェアリングは、以下のようなサービス提供によるものが代表的である。
図9に基づいて説明する。カーシェアリングを利用しようとする利用者は、カーシェアリングサービスの運営者に対し、まず会員登録を済ませる(1)。会員登録の際には、その会員を特定するための会員データ、自動車運転免許証のデータなどが、会員属性データベースに蓄積される。 登録した会員に与えられる「識別子」を用いて、予約システムに対して利用の予約を入れる(2)。
【0003】
識別子とは、短距離通信やデータ記憶が可能なICチップを埋め込んだ会員カードが一般に用いられている。カーシェアリングサービス運営者は、会員を一意に識別できる状態を確保している。この会員カードは、シェアカーに搭載されたカードリーダ(車両解錠センサ)にかざすことでそのデータが読み取れるようになっている。施錠されているシェアカーの解錠も、会員カードにて行える。
【0004】
カーシェアリングに用いられる車両(サービス対象車両、シェアカー)には、専用のカーナビゲーション装置(多機能カーナビゲーション装置)を搭載するだけで無く、サービス対象車両の解錠および施錠をするための車両解錠センサを備えている。カーシェアリングに用いる車両を管理するための車両管理サーバとの通信を実行する通信装置を搭載している。この通信器と車両管理サーバとの通信によって、車両の貸し出し、返却に関する管理を自動化(無人化)している。 以下、シェアカーに搭載された多機能カーナビゲーション装置、車両解錠センサおよび通信装置を「車載機」とする。
【0005】
多機能カーナビゲーション装置は、乗車した会員への情報の伝達や会員からの意思表示の入力が行える。また、GPS(Global Position System)を利用して現在位置データを取得し、通信装置を介してカーシェアリング管理サーバへ位置データを送信している。
【0006】
予約システムにおいて送信された予約内容にて予約が可能であれば、会員(に係る携帯情報端末)に対して予約完了の旨を通知する。また、予約システムは、予約に係る車両aの車載機へ予約情報を送信する(3)。
利用者(会員A)は、予約に係る車両aが停車しているカーステーションへ移動する(4)。そして、「識別子」を車載機と通信させ、予約情報との照合が完了したら解錠される(5)。そこで、会員Aは、車両aを利用できる(6)。
【0007】
利用が終了したら、「識別子」を用いての照合をし、車両aに施錠する(7)。施錠された車載機からは、会員Aに紐付けられた利用実績のデータが、利用実績データベースに蓄積される(8)。
なお、車両に関する各種の管理データは、車両情報データベースに蓄積されるが、車両情報としては、予約システムからの予約情報や車載機からの利用実績などが含まれる。
【0008】
会員は、自らのパソコンや携帯端末でインターネットなどを経由してカーシェアリングシステムの構成要素である予約管理システムに対し、利用希望の時間帯を指定し、場合によっては希望する車種をも指定して予約内容を送信する。
また、利用後の返却の場合には、予約条件と予約した会員、車両の返却場所等を予約管理システムが照合の上、返却処理を実行している。
カーシェアリングシステムの運営者が、複数の駐車場に確保したシェアカーを配置することで、利用者は利用時に所望する駐車場を自由に選択できる。この点は、レンタカーと同じような利便性を備えている。
【0009】
ところで、駐車場を提供する小売業者や各種サービス業者は、消費者に対する利便性を向上させるため、乗用車での来店者に対して、様々なサービスを提供している。 来店者に対しての駐車料金の割引または無料化が、代表的である。
来店者が所定の金額以上の売り上げをもたらした場合に、その来店者が持参する駐車券に対して所定の処理をすることで駐車料金を割り引いたり、所定時間分を無料化したりする。
こうした割引や無料化は、駐車場の管理運営サービスとのコラボレーションに基づくサービス提供といえる。
【0010】
一方、所定の会員に対して情報提供をすることを通じて売り上げ向上に繋げるサービスは、さまざま存在する。その中で、レコメンドサービスという形態が普及している。
たとえば、特許文献1には、ユーザが通信端末を操作する負担を軽減したToDoレコメンドシステムを実現することのできる技術が開示されている。
【0011】
特許文献2には、各ユーザにとって有益である可能性が高い地点を優先的に推薦地点として提案できるナビゲーションシステムに関する技術が開示されている。
この技術によれば、対象ユーザの行動傾向に合致する対象行動パターンに関連付けられたデータが抽出され、且つ案内基準地点との間の移動頻度が相対的に高い地点を第一推薦地点とするといったレコメンドを実行できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−99116号公報
【特許文献2】特開2014−199212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
カーシェアリングサービスの利用者は、運転頻度の低い会員が少なくない。たとえば、免許取りたての運転初心者や長年ペーパードライバーであった会員である。
そうした運転頻度の低いドライバーの場合、熟練者ならば容易である駐車時の操作や、交通量の激しい道路での運転操作を難しいと感じる。場合によっては、小さな自損事故や交通事故を起こしてしまう。こうした事故の発生を抑制したいという課題が、カーシェアリングサービスの利用者およびカーシェアリングサービスの提供者の双方に存在している。
【0014】
一方、車での移動を前提とした各種のサービス事業者は、カーシェアリングの会員に対して、自己のサービスを提供する機会を知らしめたり、リピート客を定着させたりしたい、という課題が存在している。
たとえば、自己の路線付近の景勝地等へ観光誘致したい鉄道会社、公共交通機関の最寄り駅や路線から離れた遊戯施設や大規模商業施設などである。
【0015】
本発明が解決すべき課題は、カーシェアリングやレンタカーなど車両共有サービスのユーザにおける属性データなどを用いて、ユーザに対するレコメンド機能を備えた情報通信技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(第一の発明)
第一の発明は、利用実績データの収集が可能な共有車両を用いた車両共有サービスを利用するユーザに対するレコメンド情報を送信するレコメンド情報管理サーバに係る。
すなわち、 ユーザの運転免許証データを含む属性情報を蓄積するユーザデータベースと、 ユーザからの予約申し込みデータを蓄積する予約データベースと、 前記の利用実績データを蓄積する利用実績データベースと、 前記のユーザデータベースに蓄積された運転免許証データに基づいた免許証の取得日、および前記の利用実績データベースに蓄積された利用実績データに基づく事故トラブル履歴の有無を用いてユーザが熟練者か非熟練者かに区別する熟練判断手段と、 前記の利用実績データベース、前記のユーザデータベース前記の予約データベースにおける各ユーザに係る各種データ、および前記の熟練判断手段による区別を用いてレコメンド情報を作成するレコメンド作成装置と、 そのレコメンド作成装置によって作成されたレコメンド情報を予約申し込みデータに係るユーザに係る携帯情報端末へ送信するレコメンド送信手段と、を備えたレコメンド情報管理サーバである。
【0017】
(用語説明)
「車両共有サービス」とは、カーシェアリングを管理運営するサービス、およびカーレンタルサービスの両方を指すものとする。サービス車両の利用を希望するユーザは、カーシェアリングの場合には、予め会員登録をした会員ユーザとなる。
「サービス対象車両」とは、カーシェアリングであれば「シェアカー」、カーレンタルサービスであれば「レンタルされる車両(レンタカー)」を指すものとする。
「利用実績データ」とは、サービス対象車両を利用中における急減速、急加速、急ハンドルの回数などの車両の走行データ、所定の場所(たとえばある駐車場)におけるハンドルの切り返し回数、などである。
なお、レコメンド情報の作成に用いる利用実績データとしては、各ユーザに紐付けられた利用実績データのみならず、他のユーザによる実績データを活用することもできる。たとえば、所定の駐車場でのハンドル切り返し回数について全ユーザの平均値が他の駐車場よりも高い場合には、駐車が比較的難しい、という客観的なデータとして利用実績データを蓄積しておくことができる。
「ユーザに係る携帯情報端末」とは、無線によるデータ通信が可能な携帯電話、スマートフォン、タブレット型パソコン、ノートパソコン、持ち運び可能なカーナビゲーション装置などである。
【0018】
「レコメンド作成装置」は、たとえば、ユーザの属性情報から運転免許証を取得してからの期間を算出して用いる。
「レコメンド情報」とは、積極的なお薦め情報と、消極的なお薦め情報(あなたにはお薦めできないといった情報)とに大別される。ユーザへ送信するレコメンド情報は、積極的なお薦め情報だけでもよいし、消極的なお薦め情報を含んでもよいし、消極的なお薦め情報だけでもよい。たとえば、運転初心者や長年ペーパードライバーであった会員に対して、運転が比較的容易な利用パターン(車両貸出場所・返却場所、経由地、運転コース等)を紹介する情報、自己の住所に近い車両貸出場所の情報、消極的なお薦め情報としてのお薦めできない車種や、急ハンドルの頻度が多いユーザにはお薦めしないドライブコース、などである。
「レコメンド情報」には、電子クーポンを含む場合もある。電子クーポンとは、たとえば駐車料金の割引や無償化、商品など提供、サービスの付加、車両共有サービスの利用料金の割引、経済的価値のあるポイントの付与など、あるいはそれらとの割引との組合せなどである。
【0019】
(作用)
まず、ユーザの属性情報をユーザデータベースが蓄積する。
ユーザからの予約申し込みデータは、予約データベースが蓄積する。更に、ユーザによる車両共有サービスを利用した実績に関する利用実績データを、利用実績データベースが蓄積する。
その利用実績データベース、前記のユーザデータベース、および前記の予約データベースにおける各ユーザに係る各種データを用いて、レコメンド作成装置がレコメンド情報を作成する。
そのレコメンド作成装置によって作成されたレコメンド情報は、レコメンド送信手段が予約申し込みデータに係るユーザに係る携帯情報端末へ送信する。
【0020】
レコメンド情報は、たとえば、ユーザにとっては、運転熟練度に適した車両共有サービスを利用できる。
また、車両共有サービスにおいて車両を管理運営する者は、車両の損傷の未然防止、メンテナンスに係る費用や手間の軽減が期待できる。
【0021】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、 前記の車両共有サービスに係る共有車両には、ユーザに対するタイムリーな情報提供が可能な多機能カーナビゲーション装置を搭載することとし、 前記のレコメンド送信手段は、前記の多機能カーナビゲーション装置に対してレコメンド情報を送信可能とするのである。
【0022】
(作用)
ユーザに対するタイムリーな情報提供およびユーザによる車両の利用状況の収集が可能な通信装置を備えた多機能カーナビゲーション装置が搭載されている。その多機能カーナビゲーション装置に対し、前記のレコメンド送信手段は、前記のレコメンド情報(たとえば、運転熟練度が低い場合に運転しやすい道や駐車しやすい駐車場の場所など)を提供する。 すると、ユーザは、多機能カーナビゲーション装置の操作、または自動的なナビゲーションに基づいた運転をすることができる。
【0023】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のように形成することも可能である。
すなわち、前記の車両共有サービスに係る共有車両には、ユーザに係る携帯情報端末と接続してその携帯情報端末との通信が可能な車載機を備えることとし、 前記のレコメンド送信手段は、前記のレコメンド情報を前記の携帯情報端末へ出力させることするのである
【0024】
(作用)
共有車両に乗車したユーザは、自らに係る携帯情報端末を、共有車両に備え付けられている車載機へ接続する。
その車載機には、レコメンド情報送信手段からレコメンド情報が送信されてくるので、そのレコメンド情報を携帯情報端末にて出力する。
ユーザは、普段から持ち歩いているであろう携帯情報端末にレコメンド情報を出力させることができるので、新たにその操作を覚える必要が無い、などのメリットがある。
【0025】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、以下のように形成することも可能である。
すなわち、前記のレコメンド情報には、ユーザに対してお奨めしない旨の消極的なレコメンド情報を含むこととするのである。
【0026】
「ユーザによる車両の利用状況」とは、たとえば、所定の場所に到達してからエンジンを切るまでの時間という情報である。この情報は、駐車すべき場所に到達してから駐車が完了するまでの時間であると推測できる。そして、この時間が平均よりも長ければ、運転熟練度が高くないユーザによる運転である、と推察することができることとなる。
「所定頻度で」とは、たとえば、1分ごとといった定期的に取得する場合や、所定エリアにおいては数秒おき、などとして間隔を狭めたり、広げたりする場合などを含む。
【0027】
(作用)
多機能カーナビゲーション装置は、ユーザによる車両の利用状況を所定頻度で収集して利用実績データベースへ送信する。レコメンド作成装置は、利用実績データベースに収集された新たな利用状況を用いて新たなレコメンド情報を作成する。
前記のレコメンド送信手段は、前記のレコメンド作成装置が作成した新たなレコメンド情報を前記の多機能カーナビゲーション装置に対して送信する。
【0028】
たとえば、車両の利用状況を収集してそれを分析した結果としてユーザが運転に不慣れであると予想できた場合、運転しやすい道、駐車しやすい駐車場などをレコメンド情報として作成し、多機能カーナビゲーション装置に対して送信する。
これによって、ユーザにとっては、運転熟練度に適した車両共有サービスを利用できる。
また、車両共有サービスにおいて車両を管理運営する者は、車両の損傷の未然防止、メンテナンスに係る費用や手間の軽減が期待できる。
【0029】
なお、運転初心者であるユーザが、運転が比較的容易な利用パターンをいくつか利用した場合、その利用実績についても、利用実績データベースへ送信され、蓄積される。その結果、そのユーザの運転熟練度属性情報が自動的に更新され、レコメンドされる利用パターンも更新される。
【0030】
(第二の発明)
第二の発明は、車両共有サービスを利用するユーザに対するレコメンド情報を送信するレコメンド情報管理サーバを制御するためのコンピュータプログラムに係る。
前記のレコメンド情報管理サーバには、ユーザの運転免許証データを含む属性情報を蓄積するユーザデータベースと、 ユーザからの予約申し込みデータを蓄積する予約データベースと、 前記の利用実績データを蓄積する利用実績データベースと、を備えている。
前記のコンピュータプログラムは、
前記のユーザデータベースに蓄積された運転免許証データに基づいた免許証の取得日、および前記の利用実績データベースに蓄積された利用実績データに基づく事故トラブル履歴の有無を用いてユーザが熟練者か非熟練者かに区別する熟練判断手順と、 前記の利用実績データベース、前記のユーザデータベース前記の予約データベースにおける各ユーザに係る各種データ、および前記の熟練判断手順による区別を用いてレコメンド情報を作成するレコメンド作成手順と、 そのレコメンド作成手順にて作成したレコメンド情報を予約申し込みデータに係るユーザに係る携帯情報端末へ送信するレコメンド送信手順と、をレコメンド情報管理サーバに実行させる。
【0031】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のように形成しても良い。
すなわち、前記の車両共有サービスに係る共有車両には、ユーザに対するタイムリーな情報提供が可能な多機能カーナビゲーション装置を搭載することとし、 前記のレコメンド作成手順にて作成したレコメンド情報を前記の多機能カーナビゲーション装置に対して送信するカーナビ送信手順を、レコメンド情報管理サーバに実行させることとしてもよい。
【0032】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のように形成することも可能である。
すなわち、前記の車両共有サービスに係る共有車両には、ユーザに係る携帯情報端末と接続してその携帯情報端末との通信が可能な車載機を備えることとし、 前記のレコメンド送信手順は、前記のレコメンド情報を送信するとともに、前記の携帯情報端末へ出力させることとする。
【0033】
(第二の発明のバリエーション3)
第二の発明における上述のバリエーション1およびバリエーション2は、以下のように形成しても良い。
すなわち、前記のレコメンド情報には、ユーザに対してお奨めしない旨の消極的なレコメンド情報を含むこととしてもよい。
【0034】
第二の発明に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。
ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−R、CD−RW、MO(光磁気ディスク)、DVD−R、DVD−RW、フラッシュメモリなどである。
また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他の端末手段へ伝送することも可能である。
【発明の効果】
【0035】
第一の発明によれば、カーシェアリングやレンタカーなど車両共有サービスのユーザにおける属性データなどを用いて、ユーザに対するレコメンド機能を備えたレコメンド情報管理サーバを提供することができた。
第二の発明によれば、カーシェアリングやレンタカーなど車両共有サービスのユーザにおける属性データなどを用いて、ユーザに対するレコメンド機能を備えたレコメンド情報管理サーバを制御するコンピュータプログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第一の実施形態における概念図である。
図2】第二の実施形態における概念図である。
図3】第一および第二の実施形態における概念図の主要部の詳細図である。
図4】ユーザが非熟練者であると認定する手順の一例を示すフローチャートである。
図5】多機能カーナビゲーション装置における画面出力の例を示す図である。
図6】多機能カーナビゲーション装置における画面出力の例を示す図である。
図7】ユーザに係る携帯情報端末が受信したレコメンド情報の一例を示す図である。
図8】全実施形態におけるハードウェア構成を示す概略図である。
図9】別の実施形態におけるハードウェア構成を示す概略図である。
図10】別の実施形態における概略図である。
図11】現状のカーシェアリングシステムを図示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。ここで使用する図面は、図1から図8である。
以下の実施形態では、カーシェアリングサービスを主に説明する。ただし、カーシェアリングサービスは、レンタカーサービスと置き換えることもできる。
以下、カーシェアリングサービスに用いる自動車(サービス対象車両)を「シェアカー」と表記する。
なお、タッチパネルの表示画面の文言は、適宜変更されることがある。
【0038】
本実施形態において説明するカーシェアリングを利用するには、管理および運営上の都合から、まず会員登録を済まさなければならないこととしている。すなわち、以下の実施形態に示すサービスを受けることができる「車両利用希望者」や「利用者」は、全て会員登録を済ませていることとなる。
【0039】
会員登録は、氏名や住所の他、利用料金の支払い口座などの会員データを予め登録する。その登録データは、会員データベースへ蓄積されるとともに、会員であることを認証するためのIDカードが発行される。
このIDカードには、そのユーザが会員であることを認証するために必要なデータがICチップへ格納されたICカードであり、シェアカーに搭載されたカードリーダ(車両解錠センサ)にかざすことでそのデータが読み取れるようになっている。施錠されているシェアカーの解錠も、前記の登録済みカードにて行う。
【0040】
シェアカーの返却時には、利用者は、以下のように動作する。
すなわち、シェアカーを、カーシェアリングの基地となっている駐車スペースへ停車させ、シェアカーのシフトレバーをパーキングモードにする。エンジンキーを抜き、グローブボックスをあける。グローブボックスの中には、エンジンキーを収納しておくキーボックスが設けられている。そのキーボックスへエンジンキーを挿入し、返却ポジションへ回す。登録済みカードをカードリーダ(車両解錠センサ)にかざすことで、シェアカーを施錠する。
【0041】
図8
まず図8を用いて、全体のハードウェア構成を説明する。
図8は、カーシェアリング管理サーバと、サービス対象車両(シェアカー)に搭載されたデータ処理装置と、シェアカーを利用する会員に係る携帯通信端末(スマートフォンを含む携帯電話、タブレット型PCなど)の関係を示している。
サービス対象車両には、カーシェアリング管理サーバとの無線通信を実行する車載機、カードリーダとしての車両解錠センサ、およびカーナビゲーションのみならずカーシェアリングに関する各種の案内や会員ユーザからの連絡事項などを入出力する多機能カーナビゲーション装置が、データ処理装置として搭載されている。
【0042】
カーシェアリング管理サーバは、予約システム、本願発明の中核であるレコメンドシステム、会員管理、車両管理、スポンサー情報の管理(後に詳述)に関する管理を実行する。
車載機は、カーシェアリング管理サーバとの無線通信のほか、車両解錠センサおよび多機能カーナビゲーション装置とのシリアル通信を行う。
【0043】
車両解錠センサは、登録済みカードとの近距離無線通信によって必要なデータの送受信を行う。
【0044】
多機能カーナビゲーション装置は、タッチパネルを備えており、車載機を介して送り込まれた各種のデータを用いての会員ユーザへのメッセージ表示や、会員の意思表示をタッチパネルによる入力の受付(サービス用ボタン表示)、その入力内容を車載機への送信、などを行う。
カーナビゲーション機能を担保するため、GPS(Global Position System)を利用して現在位置データを取得している。そしてその現在位置データは、車載機を介してカーシェアリング管理サーバへ送信する。
【0045】
シェアカーを利用する会員に係る携帯通信端末は、カーシェアリング管理サーバとの無線通信が可能であるように、予め専用のアプリケーションをインストールしてある。そのアプリケーションは、シェアカーの予約などにも用いる。
カーシェアリング管理サーバが予め把握しているメールアドレスにて、カーシェアリング管理サーバからのレコメンド情報や電子クーポンなどの受信が可能である。
なお、会員に係る携帯通信端末専用のアプリケーションが必須とする必要はない。
【0046】
図1
カーシェアリングを利用しようとする利用者は、カーシェアリングサービスの運営者に対し、まず会員登録を済ませる(1)。これによって、会員のみがユーザとなれる。
会員登録の際には、その会員を特定するための会員データ、自動車運転免許証のデータなどが、会員属性データベースに蓄積される。 登録した会員に与えられる「識別子」を用いて、予約システムに対して、利用車両や利用予定時刻などのデータとともに利用の予約を入れる(2)。
【0047】
予約システムにおいて送信された予約内容にて予約が可能であれば、会員(に係る携帯情報端末)に対して予約完了の旨を通知する。また、予約システムは、予約に係る車両aの車載機へ予約情報を送信する(3)。
なお、ユーザが既にカーシェアリングの利用実績がある場合には、その利用状況や利用時における様々な情報について、利用実績データベースに蓄積されている(8)。
【0048】
前記の利用実績データベース、前記の会員属性データベース、および前記の予約データベースにおける各ユーザに係る各種データを用いてレコメンド情報を、レコメンドシステムが作成する。そして、作成されたレコメンド情報は、会員Aに係る携帯情報端末へ送信する(3’)。
【0049】
作成されたレコメンド情報としては、たとえば、会員属性データベースから当該会員Aの運転免許証を取得してからの期間を算出し、運転初心者か否かを判断する(この点の補足については、図4を用いて後述する)。
会員Aが運転初心者の場合には、運転が比較的容易な利用パターン(車両貸出場所・返却場所、経由地、運転コース等)を紹介する情報、自己の住所に近い車両貸出場所の情報などがレコメンド情報となる。
【0050】
レコメンド情報を自らの携帯情報端末にて受信した会員Aは、予約に係る車両aが停車しているカーステーションへ移動する(4)。そして、「識別子」を車載機と通信させ、予約情報との照合が完了したら解錠される(5)。そこで、会員Aは、車両aを利用できる(6)。
【0051】
利用が終了したら、「識別子」を用いての照合をし、車両aに施錠する(7)。施錠された車載機からは、会員Aに紐付けられた利用実績のデータが、利用実績データベースに蓄積される(8)。
なお、車両に関する各種の管理データは、車両情報データベースに蓄積されるが、車両情報としては、予約システムからの予約情報や車載機からの利用実績などが含まれる。
【0052】
利用実績にもとづいた属性情報の更新(9)については、カーシェアリングの利用直後の会員Aに係る情報端末に対してアンケートを送信して回収する。アンケートの内容としては、たとえば、レコメンド情報を利用した利用パターンについて、自己の運転熟練度からの難易度を質問項目に含むこととする。そして、その回答結果を、属性情報の更新に用いるのである。
【0053】
図2
図2に示す実施形態は、図1に示した実施形態と異なり、会員Aに係る携帯情報端末へレコメンド情報を送信するのではなく、会員Aが利用する車両aの車載機(多機能カーナビゲーション装置)へ送信することとしたのである(5’)。
レコメンド情報が、場所や道順などのデータを含む場合、多機能カーナビゲーション装置へ送信することで、会員Aが車両aを運転する場合に様々な情報入力を省略できる。
【0054】
車両aからの利用状況に関するデータを受信することによって、新たなレコメンド情報を作成し、車載機(多機能カーナビゲーション装置)へ送信することもできる(6’)。
たとえば、利用状況として急ブレーキや急ハンドルの回数が多いことから、運転の非熟練者であると推定されることがある(図4を用いて後述)。その場合、多機能カーナビゲーション装置へ会員Aが目的地として入力した場所へ運転するのに、初心者に適した道をナビゲーションするための情報や、駐車が比較的容易な駐車場に関する情報をレコメンド情報として作成し、送信するのである。
【0055】
このようなレコメンド情報の提供によって、会員Aは、運転熟練度に適したカーシェアリングサービスを利用できる。
また、カーシェアリングの管理運営者は、共有車両(シェアカー)の損傷の未然防止、メンテナンスに係る費用や手間の軽減が期待できる
【0056】
図3
図3は、レコメンドシステムがレコメンド情報を作成するのに用いる各種の情報や、作成されたレコメンド情報を、図1図2よりも詳しく図示したものである。
たとえば、会員属性において、必須である免許証データのほかに、運転歴、運転頻度などを収集することができるのであれば、それらデータを含むことで、レコメンド情報が充実し、または合理的となる。
【0057】
会員Aが、駐車がしやすい車両を要望する(要望データ)、初心者でも愉しめるドライブコースがあればお奨めして欲しい(希望データ)、といった情報を、車両の予約時に送信することとしてもよい。それらデータを含むことで、レコメンド情報が充実し、または合理的となる。
【0058】
車載機からは、急加速、急ブレーキ、急ハンドルの回数を利用実績データとして収集する。また、車両の位置情報との組み合わせによって、所定エリアでの操作時間などの情報も収集する。これらは、主に運転熟練度を推察するデータとして活用できる。運転熟練度を推察することで、レコメンド情報が充実し、または合理的となる。
利用実績データとしては、各ユーザに紐付けられた利用実績データのみならず、他のユーザによる実績データを活用することもできる。たとえば、多くのユーザが事故を起こしにくい車種bについては、運転熟練度の低い会員に対して、「あなたにお薦めの車種b」といったレコメンド情報を提供することができる。または、運転熟練度の低い会員車種cを選んだ場合に、「あなたにはお奨めしない車種c」といった消極的なレコメンド情報を提供してもよい。
【0059】
なお、スポンサー情報を蓄積したデータベースを、レコメンド情報の作成に用いることは、会員にとっても有益である場合が多く、レコメンドシステムの充実に寄与する。
たとえば、お奨めの目的地がスポンサーに係る店舗であるということになっても、会員にとって、特段の不自然さがなければ有益な情報である場合も多い。
【0060】
図4
図4は、登録された会員が運転の熟練者であるか否かを推察して判定するためのアルゴリズムの一例を、フローチャートとして示したものである。
会員登録の際には、運転免許証のデータが必須であるため、その運転免許証の取得日から1年以内であれば、非熟練者であると判断できる。
【0061】
また、利用実績データ、車両情報などから、事故やトラブルの履歴がある場合にも、非熟練者であると判断する。
更に、多機能カーナビゲーション装置が取得した位置情報と、その位置情報のエリアに入ってからエンジンを切るまでに掛かった時間とから、所定の駐車場における駐車までの操作時間を推察し、平均時間よりも長いなどの判断結果が出た場合には、非熟練者であると判断する。駐車場への車庫入れに手間取っていることが推察され、それが熟練者ではないことと相関関係が高いからである。
【0062】
非熟練者であると判断した会員に対するレコメンド情報と、熟練者であると判断した会員に対するレコメンド情報とは、共通のもの、異なるものがありえる。いずれにしても、会員の運転技能、熟練度に合わせたレコメンド情報を提供することに寄与する。
【0063】
なお、ここに示した非熟練者か否かを推察するアルゴリズムは、あくまで一例である。図示はしていないが、たとえば正常に乗った実績記録(何キロでトラブルなし実績、駐車が難しい駐車場や、難しいドライブコースでのトラブル無しの実績、所定の車種に乗った経験ありなど)を考慮して熟練度を推察する、といったことも可能である。
利用実績などのさまざまな情報収集やその分析によって、会員およびカーシェアリングの管理運営者に対するより合理的なレコメンド情報の作成に寄与させるべく、改良改善がなされていくことであろう。
【0064】
図5
図5(A)には、多機能カーナビゲーション装置の画面へ、レコメンド情報としての「お奨めコース」が表示された場合を示している。
この多機能カーナビゲーション装置に係る車両を利用する会員に適しているとレコメンドシステムが判断したレコメンド情報として、「あなたへのお奨めドライブコース」を受信した旨を表示している。
【0065】
画面に表示されているように、そのお奨めドライブコースに対するカーナビでの案内を開始することを、画面上の操作で選択すれば、カーナビゲーションが開始されるのである。
この画面が表示された車両を運転する会員が非熟練者である場合、そのお奨めドライブコースは、非熟練者でも比較的簡単な運転操作にて完走できるように、経由地(国道y号線)や目的地(Cチェーン幕張店)が設定されている。
【0066】
なお、目的地として表示されたCチェーン幕張店は、図3に示したスポンサー情報のデータベースに、電子クーポンなどの発行条件を予め登録している。
また、多機能カーナビゲーション装置が車両の位置情報を検出して、レコメンドシステムへフィードバックし、Cチェーン幕張店に車両が近づいたら、電子クーポンを会員に係る携帯情報端末へ送信する。
【0067】
図5(B)に示したのは、会員が運転を開始する前に、既に多機能カーナビゲーション装置がお奨めコースを受信済みである場合を示したものである。
【0068】
図6
図6もまた、多機能カーナビゲーション装置の画面へ、レコメンド情報が表示された場合を示している。
図6(A)には、目的地として「国道z号線沿いのD駐車場」を推薦している。会員が運転に不慣れな非熟練者であることが推察され、駐車が容易なD駐車場を推薦しているのである。
図6(B)は、車両の位置情報から、お奨め目的地(Eカフェ)を追加した場合を示している。
【0069】
前述してきた実施形態を活用すれば、自社商圏への顧客獲得・リピート促進に繋げたい鉄道会社、遊戯施設、大規模商業施設にとって、カーシェアリングの会員をお客様とする営業活動(広告活動)が合理的に実施できる。
すなわち、広く不特定多数の消費者に対してマーケティング原資を投下するのではなく、公共交通機関から離れた移動手段を備えたカーシェアリングサービスの会員であり、かつ、属性が既に分かっているターゲットとしている会員層に対して効率的にアプローチをすることができる。
【0070】
また、利用実績のデータ収集を充実させ、分析を詳細化すれば、レコメンド情報を提供した効果の測定も容易に実施できる。
電子クーポンの利用実績や利用された確率なども、収集、集計できる。そのため、スポンサーとしての費用対効果を検証できる。
【0071】
会員におけるレコメンド情報の利用実績、利用パターンの組み合わせなどを分析し、新たなレコメンド情報を作成することで、近郊の競合店に来客した実績を持つ会員に対して、自社店舗への誘導を行うといった販促活動も可能となる。
たとえば、予約が取りやすい曜日や時間帯を、レコメンド情報として発信するのである。
【0072】
たとえば、鉄道会社が乗客数のアップのために、スタンプラリーのように、路線図上の駅近くにカーシェアリング貸出・返却場所を指定して、そこから近くの景勝地に誘導するという利用パターンを作り、指定の景勝地に複数回訪問させることを促す販促活動も可能となる。
【0073】
図7
カーシェアリングそのものの販促活動に活用することも可能である。たとえば、異なる複数のステーション(たとえば、ステーションP,Q,Rの3カ所)において3つの車種を借りたら所定の特典を得られる旨のレコメンド情報を提供するのである。
このようなレコメンド情報は、たとえば、図7に示すように、会員に係る携帯情報端末へ送信することとなる。
この図では、既にQおよびRのステーションにてカーシェアリングを利用したことのある会員に係る携帯情報端末対して、お薦めステーションがPである旨を利用することを薦めている。所定の特典としては、現金と同等の利用が可能な「ポイント」を500ポイント進呈する、というものである。
なお、スポンサー企業が自動車メーカである場合において、その自動車メーカの新車種mにはバックモニタや自動運転アシストが装備されているような場合に、運転を苦手としていると推察される会員からのカーシェアリングの予約が入った場合、レコメンド情報として新車種mをお薦めする、というような場合もある。
【0074】
更に、このレコメンド情報に従って3カ所のステーションにおいて3種の車種を借りたユーザに対しては、ヘヴィーユーザとしての更なるレコメンド情報を提供するようにする、といった企画も実行できる。こうした企画は、カーシェアリングのユーザがどのような消費行動を起こすか、といったデータの蓄積にも寄与する。
【0075】
図9図10
図9および図10に示すのは、前述してきた実施形態と異なり、共有車両に多機能カーナビゲーション装置を搭載しない。代わりに、会員に係る携帯情報端末を多機能カーナビゲーション装置の役割を果たさせる実施形態である。
共有車両には、車載機および車両解錠センサが備えられるとともに、車載機には、携帯情報端末とのシリアル通信が行える接続ケーブルが備えられている。
【0076】
その接続コードへ会員に係る携帯情報端末を接続する。車載機とカーシェアリング管理サーバとの通信において、会員に必要な情報を出力する出力装置として機能する。「会員に必要な情報」とは、たとえばメッセージ、位置情報およびそれに関わる情報(図中には、「GPS」と表記)に加え、レコメンド情報である。
【0077】
ユーザに係る携帯情報端末を、多機能カーナビゲーション装置の代わりに用いるには、専用のソフトウェアが必要となる場合がある。その場合、携帯情報端末を前記のシリアル通信に接続した際に自動的にダウンロードするほか、事前にダウンロードしておくことも可能である。
シリアル通信と接続した携帯情報端末には、充電が行えるようにしておく。
【0078】
前記してきた実施形態に係る各システムは、地域産業の活性化や省エネルギー社会の実現にも貢献できる。一例として、マーケティング実施者側の条件、たとえば、店舗や鉄道路線の繁忙となる時間帯を避けてカーシェアリングを利用した場合には、会員へのインセンティブ(利用ポイントの増加発行など)が加算または適用とするのである。こうした企画の実行は、所定地域における高次元の効率化につながり、加えて省エネルギー化にも貢献することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、カーシェアリングまたはレンタカーを管理運営するサービス業、カーシェアリングまたはレンタカーを実現するためのサポートをする情報通信サービス業、カーシェアリングまたはレンタカーの運営のためのコンピュータソフトウェアを作成するソフトウェア産業、カードクレジット業などにおいて利用可能性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11