特許第6539105号(P6539105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6539105
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】原子炉建屋
(51)【国際特許分類】
   G21C 13/00 20060101AFI20190625BHJP
   G21C 9/00 20060101ALI20190625BHJP
   E04H 9/06 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   G21C13/00 300
   G21C9/00
   E04H9/06
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-96497(P2015-96497)
(22)【出願日】2015年5月11日
(65)【公開番号】特開2016-211987(P2016-211987A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 良彦
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 翔平
【審査官】 小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−220207(JP,A)
【文献】 特開2004−061443(JP,A)
【文献】 特開2010−095884(JP,A)
【文献】 実開平05−005904(JP,U)
【文献】 特開平08−179076(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0127636(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0042100(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 11/00−13/10
E04H 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数階を有する原子炉建屋であって、
前記各階の壁と床の接合部分のうち、所定の階の前記接合部分に対応する所定領域の床の強度を、前記所定領域以外の床の強度よりも大きくするための補強部を備え、
前記補強部は、ウェブが床面と平行になるように、H形鋼を前記所定領域の床の内部に埋設することにより、前記所定領域の床の厚さ寸法を、前記所定領域以外の床の厚さ寸法よりも大きくすることで形成される、
原子炉建屋。
【請求項2】
前記所定の階は、前記複数階のうち地上階であって、かつ所定装置の設置されている階である、
請求項に記載の原子炉建屋。
【請求項3】
前記所定の階は、前記複数階のうち地上階であって、かつ所定範囲内に存在する建築物の前面投影面積から外れている階である、
請求項に記載の原子炉建屋。
【請求項4】
前記所定の階は、前記複数階のうち地上階であり、かつ前記所定装置の設置されている階であり、かつ所定範囲内に存在する建築物の前面投影面積から外れている階である、
請求項に記載の原子炉建屋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉建屋に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉格納容器などを収容する原子炉建屋は、自然災害などに耐えることができるように鉄筋コンクリートなどを用いて強固に建設される。さらに近年では、航空機などの衝突に対する一層の安全強化も求められている。
【0003】
航空機が原子炉建屋の屋根に衝突した場合でも原子炉を保護できるようにした技術は知られている(特許文献1,2)。また、施工の容易性のために、コンクリート壁を部分的に厚くして補強する技術も知られている(特許文献3,4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−297854号公報
【特許文献2】特開2011−43439号公報
【特許文献3】特開平06−299718号公報
【特許文献4】特開2002−371653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に記載の従来技術は、航空機の衝突に備えて、主に原子炉建屋の屋根を強化する技術であるが、外壁への航空機の衝突をほとんど考慮していない。原子炉建屋に対する航空機の突入角度が大きくなればなるほど、建物の水平投影面積は小さくなり、航空機が建屋に衝突する確率は低下する。
【0006】
従って、実際には、建屋の屋根への航空機衝突よりも、水平方向ないし水平よりもやや上方からの航空機突入に備える必要がある。もしも航空機が建屋の外壁に衝突すると、外壁から床へ強い振動が伝わり、この振動が建屋内部の重要な機器にも伝わる可能性がある。従って、外壁から床へ伝わる振動をできるだけ低減する必要がある。
【0007】
特許文献1は、屋根と建屋本体の間に制振装置を備えるだけであり、建屋の壁に航空機が衝突した際の、外壁から床へと伝わる振動に関して十分な考慮がされていない。特許文献2には、航空機が衝突しても損傷しないように、天井や壁を十分に厚くするための技術が開示されている。外壁を十分に厚くすれば、外壁から床に伝わる振動を低減することができる。しかし、屋根および建屋本体の全体にわたって厚みを増すと、建屋上部の重量が増加し、建屋の転倒モーメントが大きくなる。従って、航空機衝突に対する防御力が高まる代わりに耐震性が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、建屋上部の重量増加を抑制しつつ、壁に衝撃を受けた際に壁から床へ伝わる振動を低減することができるようにした原子炉建屋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明に従う原子炉建屋は、複数階を有する原子炉建屋であって、各階の壁と床の接合部分のうち、所定の階の接合部分に対応する所定領域の床の強度を、所定領域以外の床の強度よりも大きくするための補強部を備える。
【0010】
補強部は、所定領域の床の厚さ寸法を、所定領域以外の床の厚さ寸法よりも大きくすることで形成してもよい。補強部は、ウェブが床面と平行になるように、H形鋼を所定領域の床の内部に埋設することで形成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、原子炉建屋の全階床ではなく所定の階において補強部を設けることで、壁と床の接合部分に対応する所定領域の床の強度を部分的に補強するため、建屋上部の重量増加を抑制しつつ、壁から床へ伝わる振動を低減することができる。従って、本発明によれば、壁への衝撃に対する安全性向上と耐震性の向上とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】原子炉建屋の縦断面図。
図2】外壁と床の接合部分を拡大して示す断面図。
図3】床の質量増加と壁から床に伝わる最大加速度の低下の関係を示すグラフ。
図4】第2実施例に係り、外壁と床の接合部分の拡大断面図。
図5】第3実施例に係り、(a)は原子炉建屋と他の建物との配置関係によって、床の補強範囲が変わることを示す説明図であり、(b)は原子炉建屋と他の建物との高さ関係によって、床の補強範囲が変わることを示す説明図である。
図6】第4実施例に係り、(a)は外壁および内壁と床との接続する部分を拡大して示す断面図であり、(b)は床の補強範囲を示す説明図を示す。
図7】第5実施例に係り、(a)は外壁と床の接続部分のみにH形鋼を埋め込む様子を示す断面図であり、(b)は外壁と床の接続部分と内壁と床の接続部分の両方にそれぞれH形鋼を埋め込む様子を示す断面図である。
図8】第6実施例に係り、他の建物で防護されている領域では、内壁と床の接合部分を補強せず、他の建物で防護されていない領域では外壁および内壁それぞれと床の接合部分を強化する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態の原子炉建屋1では、所定の地上階の外壁12と床14の接合部分J1の近傍に補強部16を設ける。例えば、外壁12と床14の接合部J1の近傍における床14の厚みt3を、建屋内部の床14の厚さt1よりも厚くすることで、補強部16を床14に一体的に設ける。これにより、建屋上部の質量の増加を抑えつつ、建屋の外壁12に航空機が衝突した際の外壁から床へと伝わる振動を低減できる。
【0014】
なお、所定領域の床14の厚さ寸法t3を床14の他の領域の厚さ寸法t1よりも大きく設定することに代えて、接合部分J1の外壁12の厚さ寸法を他の部分よりも寸法L1だけ厚くする、と考えることもできる。以下、本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1図3を用いて第1実施例を説明する。本実施例では、沸騰水型原子炉の建屋を例に挙げて説明する。原子炉建屋1は、鉄筋コンクリートなどを用いて建設されており、その略半分が地面2よりも下に埋設されている。原子炉建屋1の躯体は、例えば鉄筋コンクリート製の、基礎11と、外壁12と、内壁13と、各階の床14と、屋根15とを備えて構成される。
【0016】
原子炉建屋1の略中央部には、鉄筋コンクリートと鋼製ライナから形成される原子炉格納容器20が設けられている。原子炉格納容器20は、航空機が壁12に衝突した際の振動から保護すべき対象であり、「所定装置」に該当する。原子炉格納容器20は、例えば鋼鉄製の略円筒状構造物である原子炉圧力容器30を収容する。原子炉格納容器20の底部側には、環状のサプレッションチェンバ(不図示)が設けられている。
【0017】
原子炉建屋1の建物全体のうち、高さ領域Hugの部分は地下に埋設されており、高さ領域Hagの部分は地上に露出している。本実施例において、地上階とは、原子炉建屋1の各階のうち、高さ領域Hagに含まれる階である。地下階とは、原子炉建屋1の各階のうち、高さ領域Hugに含まれる階である。
【0018】
さらに、領域Hagに含まれる各地上階のうち、原子炉格納容器20の設置されている保護対象領域H1に含まれる階は「所定階」に該当する。各地上階のうち保護対象領域H1以外の領域は、非保護対象領域H2である。非保護対象領域H2は、例えば屋根15の近傍のように、原子炉格納容器20などの保護対象装置が設置されていない地上階の属する領域である。非保護対象領域H2とは、外部の衝撃から保護しないという意味ではなく、本実施例で述べる補強部16によって保護されない領域である。非保護対象領域H2に属する地上階(屋根15を含む)は、鉄筋コンクリートなどから強固に作られており、衝撃などから保護されている。
【0019】
ここで、「所定装置」としての保護対象装置には、原子炉格納容器20に限らず、冷却設備などの周辺装置を含めることができる。さらに、保護対象装置には、使用済核燃料を含めてもよい。この場合、周辺装置や使用済核燃料の設置されている階の属する領域が保護対象領域H1として設定される。
【0020】
保護対象領域H1は、地上部分に限定されている。地下部分は露出しておらず、保護の必要性に乏しいためである。航空機衝突では、地面2よりも上部の外壁12に航空機が衝突する可能性がある。航空機の衝突により外壁12に作用する力を図中では矢示Fで示している。
【0021】
図2の拡大図を参照する。本実施例では、地上の外壁12と床14との接合部分J1近傍の床14の厚みを、内部の床14よりも厚くすることで、補強部16を床14に一体的に設けている。内部の床とは、外壁12との接合部分J1近傍よりも建屋1の内側に位置する床という意味である。内側の床と呼ぶこともできる。
【0022】
補強部16の厚さ寸法t3は、それよりも内側の床14の厚さ寸法t1よりも寸法t2だけ大きくなるように設定されている。従って、外壁12と床14の接合部分J1の近傍の機械的強度(例えば曲げ剛性)は、肉厚な補強部16により強化されている。
【0023】
本実施例によれば、外壁12と床14の接合部分J1の近傍に補強部16を一体的に形成するため、外壁12の曲げ剛性が増加する。従って、航空機が外壁12に衝突して強い衝撃力Fが外壁12に加わった場合でも、接合部分J1の近傍の変形を抑制できる。これにより、外壁12から床14へと伝播する振動を低減することができ、保護すべき装置類(原子炉格納容器20など)を保護することができ、安全性が向上する。
【0024】
本実施例では、全階に補強部16を設けるのではなく、所定の階のみ補強部16を設けている。さらに、本実施例では、外壁12や床14の全体を肉厚にして強度を高めるのではなく、接合部分J1の近傍のみで床14を部分的に肉厚とすることで補強部16を設けている。従って、本実施例では、建屋1の地上部分の質量が増加するのを抑制でき、外壁12から床14への振動伝搬を低減できると共に、耐震性を維持することができる。
【0025】
図3は、本実施例の効果を、有限要素法による数値計算で確かめた結果を示すグラフである。図3のグラフでは、従来構造の場合Gpと本実施例の構造の場合Giとを比較して示す。
【0026】
ここでの従来構造とは、航空機の衝突対策として、外壁12や床14の厚みを一様に増加させた構造である。図3の横軸は、原子炉建屋1の質量の増加率である。図3の縦軸は、原子炉建屋1の内部の床14上の加速度の最大値の比である。最大加速度の比は、質量の増加率がゼロの場合、すなわち航空機衝突対策を施していない場合の最大加速度を基準としている。
【0027】
図3から、床14へ伝わる最大加速度を約15%低減しようとする場合、従来構造では質量が約13%増加するのに対して(Gp)、本実施例の構造では質量の増加を6%に抑えられることがわかる(Gi)。すなわち、上述のように、所定の階のみにおいて所定領域L1の床14の強度を部分的に高めることで、従来構造の場合に比較して質量増加を抑えつつ最大加速度を低減できる。
【実施例2】
【0028】
図4を用いて第2実施例を説明する。本実施例を含む以下の各実施例は、第1実施例の変形例に該当するため、第1実施例との相違を中心に説明する。
【0029】
本実施例では、外壁12と床14との接合部分J1の近傍の床14の厚みt3を他の部分の厚みt1よりも増加させるだけでなく、その厚みを増した床14内にH形鋼を埋設している。
【0030】
H形鋼18は、平行に向き合って配置され、それぞれが肉厚で長尺な平板状に形成される一対のフランジ18Aと、各フランジ18A間に垂直に設けられて各フランジ18A間を接続するウェブ18Bとから、断面H字状に形成されている。
【0031】
本実施例では、ウェブ18Bが床14と平行になるようにして、H形鋼18を肉厚な鉄筋コンクリート製の補強部16内に埋設している。
【0032】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例では、鉄筋コンクリート製の床14の厚みを増した上で、その内部にH形鋼18を所定姿勢で配置するため、外壁12の機械的強度を第1実施例の場合よりも増加させることができる。
【実施例3】
【0033】
図5を用いて第3実施例を説明する。本実施例では、原子炉建屋1の全周にわたって補強部16を設けるのではなく、所定範囲内に存在する他の建築物3で保護されている範囲では補強部16を設けていない。換言すれば、本実施例では、他の建築物3を一種の防護壁として利用しており、他の建築物3による防護効果を得にくい範囲のみで、補強部16を設けている。
【0034】
図5(a)は、原子炉建屋1と他の建築物3の平面上の配置関係を示す。図5(b)は、原子炉建屋1と他の建築物3の配置の高さ関係を示す。他の建築物としては、例えば、タービン建屋がある。ただし、タービン建屋に限らず、一定の強度と大きさを持つ建築物であって、原子炉建屋1から所定範囲W以内に存在する建築物であれば、防護壁として利用可能である。
【0035】
図5(a)に示すように、原子炉建屋1の4つの面のうち、他の建築物3が存在しない面(図中の上下および左側の面)では、斜線部P1bで示すように、所定の地上階の所定領域に補強部16が設けられている。
【0036】
図5の例では原子炉建屋1の4つの面のうち、一つの面(図中の右側の面)では、他の建築物3が所定範囲W以内で、かつ距離A1離間して隣接している。他の建築物3が隣接する面では、他の建築物3を防御壁として利用できるため、航空機が原子炉建屋1の外壁12へ直接衝突する可能性は低い。原子炉建屋1が他の建築物3の前面投影面積内に収まっている場合、他の建築物3に対向する面では、所定の地上階に補強部16を設ける必要はない。
【0037】
ただし、他の建築物3の高さH3が原子炉建屋1の所定の地上階のうちの最上階よりも低い場合、または、原子炉建屋1の幅寸法W1よりも他の建築物3の幅寸法W2が短い場合は、他の建築物3の前面投影面積からはみ出している範囲に補強部16を設けることもできる。
【0038】
つまり、図5(b)に斜線部で示すように、保護対象の装置(例えば原子炉格納容器20)を収容する地上階であり、かつ、外壁12と床14との接合部分J1に対応する所定領域(L1,W1)の床であり、かつ、他の建築物3の前面投影面積からはみ出ている領域P1aに、補強部16を設ける。
【0039】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例では、他の建築物3を防御壁として利用可能な範囲では補強部16を設けず、他の建築物3を防御壁として利用できない範囲でのみ補強部16を設ける。従って、補強部16を設ける範囲を小さくすることができ、第1実施例よりも原子炉建屋1の上部の質量増加を抑制でき、かつ、外壁12から床14へ伝搬する振動を低減することができる。
【実施例4】
【0040】
図6を用いて第4実施例を説明する。本実施例では、外壁12と床14とが接合する第1接合部分J1の近傍に第1補強部16を設けると共に、内壁13と床14とが接合する第2接合部分J2の近傍にも第2補強部19を設ける。
【0041】
図6(a)は外壁12および内壁13と床14との接続箇所を拡大して示す断面図であり、図6(b)は外壁12、内壁13、床14、各補強部16,19の関係を示す断面図である。
【0042】
ここで、外壁12と床14との接合部分J1の近傍の肉厚部分の長さL1(第1補強部16の奥行き寸法L1)と、内壁13と床14との第2接合部分J2の近傍の肉厚部分の長さL2(第2補強部19の奥行き寸法L2)とは同一値に設定してもよいし、異なる値に設定してもよい。外部からの衝撃力Fは外壁12で緩和されるため、第1補強部16の寸法L1よりも第2補強部19の寸法L2の方を短くしてもよい(L1>L2)。
【0043】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例では、内壁13と床14との第2接合部分J2にも補強部19を設けるため、内壁13の曲げ剛性を向上でき、内壁13から床14へ伝わる振動を低減できる。
【実施例5】
【0044】
図7を用いて第5実施例を説明する。本実施例では、第2実施例と第4実施例を結合させている。
【0045】
図7(a)に示すように、外壁12と床14との接合部分J1の近傍に設ける第1補強部16内には、ウェブ18Bが床14と平行になるようにして(換言すれば、ウェブ18Bが外壁12に対して垂直になるようにして)、H形鋼18を埋設してもよい。
【0046】
図7(b)に示すように、内壁13と床14との接合部分J2の近傍に設ける第2補強部19内にも、ウェブ18Bが床14と平行になるようにして(換言すれば、ウェブ18Bが内壁13に対して垂直になるようにして)、H形鋼18を埋設してもよい。
【0047】
このように構成される本実施例も第1実施例、第2実施例、第4実施例と同様の作用効果を奏する。
【実施例6】
【0048】
図8を用いて第6実施例を説明する。本実施例では、第3実施例と第4実施例を結合させている。範囲P1は、外壁12の機械的強度を高めるための第1補強部16を形成する範囲を示す。範囲P2は、内壁13の機械的強度を高めるための第2補強部19を形成する範囲を示す。符号P1,P2に添える小文字”a”は、他の建築物3を防御壁として利用できることを示す。同じく符号P1,P2に添える小文字”b”は、他の建築物3を防御壁として利用できないことを示す。
【0049】
本実施例では、隣接する他の建築物3を防御壁として利用できない側では、斜線部P1b,P2bに示すように、外壁12および内壁13と床14のそれぞれの接合部分に補強部16,19を設けている。これに対し、他の建築物3を防御壁として利用できる範囲P1a,P2aでは、他の建築物3で守られていない範囲内でのみ、補強部16,19を設ける。
【0050】
このように構成される本実施例も第1実施例、第3実施例、第4実施例と同様の作用効果を奏する。
【0051】
なお、本発明は上記各実施例に限定されず、様々な変形例が含まれる。例えば、上記各実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1:原子炉建屋、2:地面、3:他の建築物、12:外壁、13:内壁、14:床、15:屋根、16:補強部(第1補強部)、18:H形鋼、18A:フランジ、18B:ウェブ、19:補強部(第2補強部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8