特許第6539148号(P6539148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6539148
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20190625BHJP
【FI】
   A47J37/06 311
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-159660(P2015-159660)
(22)【出願日】2015年8月12日
(65)【公開番号】特開2017-35397(P2017-35397A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2018年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118898
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 立昌
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 彰浩
(72)【発明者】
【氏名】十河 桜子
(72)【発明者】
【氏名】飛田 栄治
(72)【発明者】
【氏名】大塚 誠彦
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−133892(JP,U)
【文献】 米国特許第5619910(US,A)
【文献】 特開平06−141977(JP,A)
【文献】 特開2015−062666(JP,A)
【文献】 特開平06−339435(JP,A)
【文献】 特開平11−137446(JP,A)
【文献】 実開昭57−172635(JP,U)
【文献】 特開2000−060737(JP,A)
【文献】 特開平03−246880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/00 − 37/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理対象物が載せれる調理面を有する加熱板と、該加熱板を加熱する加熱源とを備える加熱調理器であって、
前記加熱板は、鋼材層と該鋼材層に接合された高熱伝導材層とを有し、
前記加熱板の周縁部には、表面側及び裏面側が共に前記鋼材層になる溶接可能部が設けられ、該溶接可能部を介して前記加熱板と側方構造部とが溶接されており、
前記加熱板は、前記鋼材層の裏面側に前記高熱伝導材層が圧着接合されており、当該加熱板の周縁部には前記高熱伝導材層の圧着接合がなされてない前記溶接可能部が設けられていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記高熱伝導材層は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱板を備えた加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加熱板を備えた加熱調理器は、鋼材(鉄板)からなる加熱板と、加熱板を加熱する加熱源を備えている。加熱対象の調理物が表面に載せされる加熱板は、金属製の調理具を用いても表面が傷つかないように、硬い鋼材が用いられている。このような加熱調理器は、加熱源としてガスバーナーや電気ヒーターなどが用いられ、グリドル、ホットプレート、鉄板焼き器、餃子焼き器、ジンギスカン鍋など、調理対象物や調理方法に応じて各種の形態が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−262412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような加熱調理器は、加熱板の全面を加熱源によって均一に加熱することが難しいため、加熱板の表面温度にムラが生じる問題がある。この問題は、特に、加熱板の面積が大きい業務用の加熱調理器において顕著であり、加熱板の表面に多くの調理対象物を並べて同時に加熱調理する場合などで、調理対象物の加熱度合いにばらつきが生じ、同時に多くの調理対象物を仕上げることができない問題が生じる。
【0005】
これに対しては、加熱板の熱伝導性を高めることが解決策になる。厚手の鋼材は高い熱伝導性を有していないので、鋼材に熱伝導性の高いアルミニウム材などの板を接合することで全面的な熱の伝わりを均一化することができる。しかしながら、グリドルなどの加熱調理器においては、加熱板の周縁部と側壁や筐体などとを固定することがなされており、鋼材にアルミニウム材などを接合した場合には、側壁などの側方構造部と加熱板の周縁部とを溶接によって接合することができない問題が生じる。
【0006】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、熱伝導性の良好な加熱板を有する加熱調理器を提供すること、加熱板の周縁部を側方構造部に溶接することができるようにすること、などが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明による加熱調理器は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
調理対象物が載せされる調理面を有する加熱板と、該加熱板を加熱する加熱源とを備える加熱調理器であって、前記加熱板は、鋼材層と該鋼材層に接合された高熱伝導材層とを有し、前記加熱板の周縁部には、表面側及び裏面側が共に前記鋼材層になる溶接可能部が設けられ、該溶接可能部を介して前記加熱板と側方構造部とが溶接されており、前記加熱板は、前記鋼材層の裏面側に前記高熱伝導材層が圧着接合されており、当該加熱板の周縁部には前記高熱伝導材層の圧着接合がなされてない前記溶接可能部が設けられていることを特徴とする加熱調理器。
【発明の効果】
【0008】
このような特徴を有する本発明は、熱伝導性の良好な加熱板を有する加熱調理器を提供することができ、しかも、加熱板の周縁部を側壁などの側方構造部に溶接することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態における加熱調理器の全体構成を示した斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る加熱調理器の全体構成を示した断面図(図1におけるX−X断面図)である。
図3】本発明の実施形態に係る加熱調理器の要部を示した説明図である((a)が第1実施形態、(b)が第2実施形態をそれぞれ示している。)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る加熱調理器の全体構成を示している。加熱調理器1は、調理対象物が載せされる調理面2Aを有する加熱板2と、加熱板2を加熱する加熱源3とを備えている。更に、加熱調理器1は、加熱板2の周縁部が取り付けられる側方構造部10を備える。側方構造部10は、加熱板2を取り囲む側壁部4や加熱源2を囲む筐体部5によって構成される。筐体部5にはその前面に加熱源3を操作する操作部5A,5Bが設けられる。
【0011】
ここでの加熱源3は、ガス供給によって燃焼火炎を発生するガスバーナー、電気供給によってジュール熱を発生する電気ヒーター、電気供給によって加熱板を誘導加熱する誘導加熱源(IHヒーター)などを採用することができる。
【0012】
加熱板2は、図3に示すように、少なくとも調理面2A側が鋼材層20となるクラッド鋼材が用いられる。この加熱板2は、鋼材層20に高熱伝導材層21が接合されている。図3(a)に示した第1実施形態では、加熱板2は、鋼材層20の裏面側に高熱伝導材層21が圧着接合されている。図3(b)に示した第2実施形態では、加熱板2は、表面側の鋼材層20と裏面側の鋼材層22の間に高熱伝導材層21が挟まれた構造になっている。
【0013】
ここでの高熱伝導材層21としては、アルミニウム又はアルミニウム合金などの熱伝導率の高い材料を用いることができる。鋼材層20に対する高熱伝導材層21の圧着接合は、爆発圧接などの周知の接合方法を採用することができる。高熱伝導材層21の材料としては、アルミニウム又はアルミニウム合金に限らず、銅やタングステン、或いはそれらの合金などを用いることができる。また、鋼材層22に対する高熱伝導材層21の圧着接合にも爆発圧接などの接合方法を適用可能である。
【0014】
加熱板2の周縁部は、側壁部4や筐体部5などの側方構造部10に溶接で接合される。そのために、加熱板2の周縁部には、表面側及び裏面側が共に鋼材層20になる溶接可能部2Gが設けられる。溶接可能部2Gは、鋼材層20の裏面側に高熱伝導材層21が圧着接合された第1実施形態の加熱板2の場合には、加熱板2の周縁部に高熱伝導材層21の圧着接合がなされてない部分を設けて、そこを溶接可能部2Gとしている。表面側の鋼材層20と裏面側の鋼材層22との間に高熱伝導材層21が挟まれた構造を有する第2実施形態の加熱板2の場合には、表面側の鋼材層20と裏面側の鋼材層22との間に高熱伝導材層21が挟まれた加熱板2の周縁部がそのまま溶接可能部2Gになっている。
【0015】
加熱板2は、その周縁部に設けられる溶接可能部2Gを介して側壁部4や筐体部5などの側方構造部10に接合される。図3(a)に示した第1実施形態では、1つの鋼材層20の表面側と裏面側にそれぞれ溶接部6が形成されることで、加熱板2と側方構造部10とが接合される。図3(b)に示した第2実施形態では、1つの鋼材層20の表面側と他の鋼材層22の裏面側にそれぞれ溶接部6が形成されることで、加熱板2と側方構造部10とが接合される。このように溶接可能部2Gを設けることで、アルミニウム又はアルミニウム合金の層などを接合したクラッド鋼材からなる加熱板2を高い強度で側方構造部10に接合することができる。
【0016】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る加熱調理器1は、クラッド鋼材を用いた熱伝導性の良好な加熱板2を採用することで、加熱板2の調理面2Aの表面温度を均一化することができ、調理面2Aに調理対象物を多数並べて同時に加熱調理する際に、ムラ無く調理の仕上げを行うことができる。そして、加熱板2の周縁部を側壁部4や筐体部5などの側方構造部10に溶接する際にも、高い強度で適正に接合することが可能になる。
【0017】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。上述の各図で示した実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0018】
1:加熱調理器,2:加熱板,2A:調理面,3:加熱源,
4:側壁部,5:筐体部,5A,5B:操作部,
6:溶接部,10:側方構造部,
20,22:鋼材層,21:高熱伝導材層,2G:溶接可能部,
図1
図2
図3