【文献】
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【文献】
ZTE,Discussion of D2D Discovery,3GPP TSG-RAN WG1♯74 R1-133149,2013年 8月19日,3/10頁
【文献】
ETRI,Resource allocation for Type 2 discovery,3GPP TSG-RAN WG2♯86 R2-142702,2014年 5月10日,1-4頁
【文献】
ITRI,Discussion on Access Control for ProSe D2D Service,3GPP TSG-RAN WG2#87bis R2-144505,2014年 8月 6日,1頁
【文献】
Ericsson,Broadcast of ProSe Control Information and Related Procedures,3GPP TSG-RAN WG2♯86 R2-142604,2014年 5月19日,1章,4章
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の基地局装置との間で無線通信を実行可能な状態にある第1端末装置と、前記所定の基地局装置との間で無線通信を実行可能な状態にない第2端末装置との間で、前記所定の基地局装置を介さずに直接的に無線通信を行う端末間通信を制御する無線制御装置であって、
前記第1端末装置が前記第2端末装置を探索するために必要な制御情報を生成する制御部と、
前記第1端末装置と前記第2端末装置との間の通信のセッションが送信中のデータを残して通信断となった場合に、前記制御部で生成される制御情報を前記第1端末装置へ送信する通信部と
を備えることを特徴とする無線制御装置。
前記制御部は、前記制御情報として、前記第1端末装置から前記第2端末装置へ探索信号を送信するための送信設定情報、または、前記第1端末装置が前記第2端末装置からの探索信号を待ち受けるための待受設定情報を含む情報を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線制御装置。
前記制御部は、送信設定情報に、探索信号の送信周期と探索信号の送信期限に関するタイマとを含め、または、待受設定情報に、待ち受けるべき無線リソース情報と待ち受け期限に関するタイマとを含める
ことを特徴とする請求項2に記載の無線制御装置。
前記通信部は、前記制御情報を、前記基地局装置のセルに在圏する全ての第1端末装置に加えて、前記基地局装置のセルの隣接セルおよび/または隣隣接セルに在圏する端末装置に送信する
ことを特徴とする請求項5に記載の無線制御装置。
第1の基地局装置との間で無線通信を実行可能な状態にあるリレー端末装置との間で前記第1の基地局装置を介さずに直接的に無線通信を行う端末間通信をし、前記第1の基地局装置との間で有線網を介して通信可能な第2の基地局装置との間で無線通信を実行可能な端末装置であって、
前記第1の基地局装置から前記第2の基地局装置に対して通知されていたリレー端末装置を探索するための探索情報を、前記第2の基地局装置から受信する通信部と、
前記通信部によって受信された探索情報を用いて、リレー端末装置を探索するための制御を実行する制御部と、
を備え、
前記通信部は、探索情報として、探索信号の送信周期と、探索信号の送信期限に関する送信期限タイマと、待ち受けるべき無線リソース情報と、待ち受け期限に関する待受期限タイマとが含まれた探索情報を受信し、
前記制御部は、送信周期と送信期限タイマに従って探索信号を送信するように制御し、また、無線リソース情報と待受期限タイマに従って探索信号に対する応答信号を待受けることが可能であって、前記第2の基地局装置が前記第1の基地局装置との間で有線網を介した通信ができない状態である場合には、前記リレー端末装置との間の端末間通信を事前に許可されていること、あるいは、適切な接続先セルが存在しない場合であることのいずれかまたは両方の条件を満たす場合に限り、リレー端末装置に対する探索信号を送信可能であることを特徴とする端末装置。
基地局装置との間で無線通信を実行可能な状態にある第1端末装置と、前記基地局装置との間で無線通信を実行可能な状態にない第2端末装置と、前記第1端末装置と前記第2端末装置の間で、前記基地局装置を介さずに直接的に無線通信を行う端末間通信を制御する無線制御装置とを備える通信システムにおける通信方法であって、
前記無線制御装置は、
前記第1端末装置が前記第2端末装置を探索するために必要な制御情報を生成し、
前記第1端末装置と前記第2端末装置との間の通信のセッションが送信中のデータを残して通信断となった場合に、生成した制御情報を前記第1端末装置へ送信し、
前記第1端末装置は、
前記無線制御装置から送信される前記制御情報を受信し、
前記制御情報にしたがって前記第2端末装置を探索し、
前記第2端末装置は、前記第1端末装置から受信した制御情報に対して応答し、
前記第1端末装置は、待受け期間中に前記第2端末装置からの応答があった場合に、前記第2端末装置との間で端末間通信を実行する
ことを特徴とする通信方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(本発明の概要)
本発明の実施例を説明する前に、まず、本発明の概要を述べる。本発明は、端末装置同士が直接的に無線通信を行うD2D通信の技術を用いて、基地局装置の配下に無い圏外端末を、基地局装置の配下にある端末装置を介して効率的に無線ネットワークに接続する手法を提供する。本発明にかかる無線制御装置は、基地局装置の配下にある端末装置が基地局装置の配下に無い端末装置を探索するための動作に関する制御情報を生成し、生成した制御情報を基地局装置の配下にある端末装置へ送信する。制御情報として、例えば、基地局装置の配下にある端末装置から探索信号を送信するための条件、または、基地局装置の配下にある端末装置が基地局装置の配下に無い端末装置からの探索信号を待ち受けるための条件を含む。これにより、基地局装置の配下にある端末装置をリレー端末として機能させることで、基地局装置の配下にない圏外端末はリレー端末を介して無線ネットワークに接続可能になる。
【0018】
従来技術においては、基地局装置の配下にある端末装置が圏外端末の存在を知る手段がなかった。また、圏外端末においても、基地局装置の圏内で使用されているD2D通信用のリソース情報などを知ることができず、無線ネットワークへの接続を可能にするリレー端末の存在を知ることができなかった。このため、基地局装置や端末装置は闇雲に探索信号を送信するなどの非効率で不正確な方法でしか、圏外端末に対して無線アクセスを提供できなかった。
【0019】
本発明は、以上の課題を解決しており、無線ネットワーク側から基地局装置の配下にある端末装置に圏外端末を探索させることで、基地局装置の配下に無い圏外端末を効率的に無線ネットワークに接続可能となる。
【0020】
(無線通信システムの構成例)
図1は、本発明の一実施形態にかかる無線通信システムの構成例を示す図である。無線通信システム100は、第1端末装置10と、第2端末装置20と、基地局装置(E−UTRAN)30とを含む。なお、説明の都合上、セルラ通信を例として説明するがこれに限らず、無線LAN方式による通信や赤外線通信などの近距離無線通信にも本発明を適用できることは当業者に容易に理解されるところである。
【0021】
無線通信システム100においては、基地局装置30との間で無線通信を実行可能な状態にある第1端末装置10と、基地局装置30との間で無線通信を実行可能な状態にない第2端末装置20と、第1端末装置10と第2端末装置20の間で、基地局装置30を介さずに直接的に無線通信を行うD2D通信を制御する基地局装置30とを備える。ここで、基地局装置30は、第1端末装置10が第2端末装置20を探索するために必要な制御情報を生成し、生成した制御情報を第1端末装置10へ送信し、第1端末装置10は、基地局装置30から送信される制御情報を受信し、制御情報にしたがって第2端末装置20を探索し、第2端末装置20は、第1端末装置10から受信した制御情報に対して応答し、第1端末装置10は、待受け期間中に第2端末装置20からの応答があった場合に、第2端末装置20との間でD2D通信を実行する。
【0022】
具体的には、第1端末装置10は、基地局装置30の配下にあり、基地局装置30との間でセルラ通信を実施可能な状態にある。一方、第2端末装置20は、基地局装置30の配下に無いため、基地局装置30との間でセルラ通信を実行可能な状態に無く、無線ネットワークに接続することができない。そこで、本実施形態では、基地局装置30の配下にある第1端末装置10をリレー端末として用いて、基地局装置30の配下にない圏外端末である第2端末装置20を探索する手法を提供する。この探索により、第1端末装置10と第2端末装置20との間で基地局装置30を経由しないD2D通信を行わせることで、第2端末装置20を第1端末装置10を介して無線ネットワークに接続可能にする。以下、便宜上、第1端末装置10をリレー端末、第2端末装置20を圏外端末、第1端末装置10と第2端末装置20との間のD2D通信をリレー通信とも呼ぶ。
【0023】
(端末装置の構成例)
図2は、
図1の第1端末装置10および第2端末装置20として用いられる端末装置の構成例を示す図である。端末装置は、通信部12と、制御部14と、記憶部16と、ユーザインタフェース(ユーザIF)18とを備える。
【0024】
通信部12は、セルラ通信部122と、端末間通信部124とを含む。セルラ通信部122は、基地局装置30との間で無線により通信を行う。端末間通信部124は、基地局装置30によって割り当てられたD2D通信のための無線リソースを利用して、D2D通信の相手方となる端末装置との間で、基地局装置30を経由せずに直接的に通信を行う。これらの通信処理は、公知の変復調技術、アンテナ技術が用いられてもよい。
【0025】
記憶部16は、基地局装置30もしくはD2D通信の相手方の端末装置から送信されたデータを記憶し、また、基地局装置30もしくはD2D通信の相手方の端末装置に対して送信すべき、ユーザIF18を通じて得たデータを記憶してもよい。ユーザIF18は、画面インタフェースと、操作ボタンやタッチパネルなどのユーザからの入力を受け付ける入力インタフェースと、カメラなどの画像撮像手段を含んでもよい。
【0026】
制御部14は、例えば、CPUにより構成され、セルラ通信部122もしくは端末間通信部124から受信された情報、または記憶部16に記憶された情報を用いて、各部を統括的に制御する。
【0027】
端末装置と、基地局装置との接続状態としては、無線ネットワークを制御するRRC(Radio Resource Control)における接続状態(RRC_CONNECTED状態)とアイドル状態(RRC_IDLE状態)との2種類がある。
【0028】
RRC_IDLE状態は、基地局装置によって無線リソースが管理されていない状態を指し、ページングチャネルの監視、ETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)情報の受信、周辺セルの無線品質の測定、セル選択/再選択、システム情報の取得など、限られた機能のみがActiveとなっており、電力を極力消費しないような状態となっている。
【0029】
RRC_CONNECTED状態とは、基地局装置によって無線リソースが管理され、端末装置がデータを送受信できる状態を指し、RRC_IDLE状態における処理の他、データの送受信、CQI(Channel Quality Indicator)などの情報の基地局装置へのフィードバックなどの機能が実行可能な状態となっている。RRC_IDLE状態からRRC_CONNECTED状態へは、ページング信号を受信することで状態遷移が発生することとなる。
【0030】
第1端末装置10は、例えばページング信号の受信を契機として、基地局装置30から圏外端末を探索するための動作に関する制御情報を受信する。制御情報には、例えば、圏外端末を探索するための探索信号を送信するための条件、または、圏外端末から送信される探索信号を待ち受けるための条件が含まれている。具体的には、以下の情報の任意の組み合わせを含むことができる。
【0031】
・探索信号の送信/待ち受け周期、
・探索信号の送信/待ち受け継続期間(タイマー値)、
・探索信号の送信/待ち受けリソース位置
・探索信号の送信/待ち受け周波数帯
【0032】
基地局装置30から制御情報を受信すると、制御部14は、リレー通信のための接続待ち受けを開始し、制御情報により指定されたリソースで探索信号の送信/待ち受けを行う。探索信号の送信/待ち受け周期および探索信号の送信/待ち受け継続期間が指定された場合には、探索信号の送信/待ち受けを一定時間周期的に行うことができる。第1端末装置10は、待受け期間中に第2端末装置20から探索信号に対する応答があった場合に、第2端末装置20との間でD2D通信を実行するための接続処理を実施する。制御部14は、探索された圏外端末との間でD2Dリンクによるリレー通信の接続処理が完了すると、基地局装置30へ探索された圏外端末の位置登録手続きを行う。
【0033】
端末装置がリレー端末として機能する場合は、制御部14は、D2D通信の相手方の圏外端末に対して、基地局装置30からの報知メッセージや制御メッセージをリレーする。これにより、基地局装置30との間でセルラ通信を実行可能な状態にない圏外端末においても、基地局装置30からの報知メッセージや制御メッセージを間接的に受信できるようになる。制御部14は、基地局装置30からD2D通信に使用すべき無線リソース情報を含む制御メッセージをセルラ通信部122により間接的に受信すると、割り当てられた無線リソースを用いて、端末間通信部124により相手方の端末装置との間でD2D通信を実行する。
【0034】
また、制御部14は、セルラ通信部122により受信した無線信号を用いて、基地局装置30および周辺の基地局装置におけるセル毎のダウンリンクの無線品質を測定する。例えば、LTEシステムにおいては、無線品質として、参照信号の受信信号電力(RSRP:Reference Signal Received Power)および/または受信信号品質(RSRQ:Reference Signal Received Quality)が測定される。制御部14は、必要に応じて、セル毎の識別子(ID)と測定した無線品質とを含む無線品質情報をmeasurement reportにより基地局装置30に報告する。
【0035】
また、圏外端末である第2端末装置20は、第1の基地局装置30との間で無線通信を実行可能な状態にあるリレー端末装置との間で第1の基地局装置30を介さずに直接的に無線通信を行うD2D通信をしながら、かつ、第1の基地局装置30との間で有線網を介して通信可能な第2の基地局装置との間で無線通信を実行可能である場合がある。なお、有線網とは、X2インタフェースやS1インタフェースなどの論理的に定義される接続回線を含むほか、インターネット回線などの公衆網も含む。
【0036】
このような場合、通信部12は、第1の基地局装置30から第2の基地局装置に対して通知されていたリレー端末装置10を探索するための探索情報を、第2の基地局装置から受信する。そして、探索情報として、探索信号の送信周期と、探索信号の送信期限に関する送信期限タイマと、待ち受けるべき無線リソース情報と、待ち受け期限に関する待受期限タイマとが含まれた探索情報を受信してもよい。
【0037】
また、制御部14は、通信部12によって受信された探索情報を用いて、リレー端末装置10を探索するための制御を実行する。そして、送信周期と送信期限タイマに従って探索信号を送信するように制御し、また、無線リソース情報と待受期限タイマに従って探索信号に対する応答信号を待受けるように制御してもよい。
【0038】
一方、上記とは逆に、第2の基地局装置が第1の基地局装置30との間で有線網を介した通信ができない状態である場合、制御部14は、リレー端末装置10との間のD2D通信を事前に許可されていること、あるいは、適切な接続先セルが見つからない状態であることのいずれかまたは両方の条件を満たす場合に限り、リレー端末装置10に対する探索信号を送信するように制御してもよい。
【0039】
(基地局装置の構成例)
図3は、
図1の基地局装置30の構成例を示す図である。基地局装置30は、通信部32と、制御部34と、記憶部36とを含む。
【0040】
通信部32は、無線通信部322と、ネットワーク通信部324とを含む。無線通信部322は、記憶部36に記憶された情報を制御部34が使用しながら、自局の通信エリアに属する端末装置と、所定のセルラ方式を用いてセルラ無線通信を実行する。ネットワーク通信部324は、X2インタフェースを介して隣接または隣隣接する他の基地局装置との間における基地局間通信を行ったり、S1インタフェースを介して上位装置との間での通信を行う。
【0041】
また、通信部32は、制御部34で生成される制御情報を第1端末装置10へ送信する。この送信は、報知信号によってなされてもよい。また、通信部32は、アクセス種別に関する情報を制御情報に含めて第1端末装置10に送信してもよい。また、通信部32は、制御情報を、基地局装置30のセルに在圏する全ての第1端末装置10に加えて、基地局装置30のセルの隣接セルおよび/または隣隣接セルに在圏する端末装置に送信してもよい。また、通信部32は、制御情報を、第1端末装置10と第2端末装置20の間のD2D通信の通信リンクの信号品質もしくは第1端末装置10と基地局装置30との間の通信リンクの信号品質が所定の閾値以下となった場合、またはD2D通信が異常終了した場合に送信してもよい。また、通信部32は、制御情報を、第1端末装置10からの端末変更要求に応じて、新たにリレー端末となるべき端末装置に対して送信してもよい。
【0042】
制御部34は、D2D通信を実施可能な端末装置から送られてくるD2D用無線リソースの割当要求に応じて、セルラ通信の無線リソースの一部をD2D用無線リソースとして割り当て、割り当てたD2D用無線リソースに関する情報(D2Dリソースプール情報)を含む制御メッセージを、要求元の端末装置に対して送信する。
【0043】
また、制御部34は、第1端末装置10が第2端末装置20を探索するために必要な制御情報を生成する。制御情報としては、第1端末装置10から第2端末装置20へ探索信号を送信するための送信設定情報、または、第1端末装置10が第2端末装置20からの探索信号を待ち受けるための待受設定情報を含む情報が含まれる。ここで、送信設定情報に、探索信号の送信周期と探索信号の送信期限に関するタイマとを含め、または、待受設定情報に、待ち受けるべき無線リソース情報と待ち受け期限に関するタイマとを含めてもよい。
【0044】
また、制御部34は、通信部32からの信号を受信した第1端末装置10において第2端末装置20の探索を開始するか否かを判定させるために、アクセス種別(以下、アクセスクラス(Access Class)ともいう)として、第2端末装置20を探索するための動作を許可されている端末装置に付与されるべきアクセス種別を設定してもよい。アクセスクラスの詳細については後述する。
【0045】
さらに、制御部34は、自局の配下にある端末装置に対し、自局の配下にない圏外端末の探索を指示するためのページング信号を送信すると共に、圏外端末を探索するための動作に関する制御情報を生成して個別にまたはブロードキャストで通知する。
【0046】
次に、このように構成された無線通信システムの動作について、以下の各実施例、各変形例に従って説明する。各実施例、各変形例は説明の都合上において便宜的に分けているに過ぎず、それぞれが排他的な関係でないことに留意されたい。すなわち、各実施例や各変形例の各要素の任意の組み合わせで異なる実施例を構成することができることは当業者に容易に理解されるところである。なお、各実施例、各変形例において、既出の構成、動作については、同じ符号を用いることによってその説明を簡略化する。以下、本明細書において同様である。
【0047】
(実施例1)
実施例1では、基地局装置が予見不可能な状態において、リレー端末装置とD2D通信することが可能な不意に新たに発生した圏外端末を探索するために、基地局装置がリレー端末に圏外端末を探索するための探索信号を送信させる手法について説明する。
【0048】
図4は、実施例1に係る第1無線通信システム110の構成例を示す図である。基地局装置30は、自局の配下にない第2端末装置20の存在を直接的に知ることができない。また、当該基地局装置30の配下に無い第2端末装置20は、基地局装置30の配下にある第1端末装置10のD2Dリソースプール情報を知ることができない。そこで、実施例1では、新たな圏外端末として第2端末装置20が唐突に発生したときに、リレー端末となるべき第1端末装置10に対して明示的に、圏外端末の探索を指示する(ページング処理)と共に、圏外端末を探索するための探索信号送信に関する制御情報を個別にまたはブロードキャストで通知する。または、基地局装置30は明示的に圏外端末の探索を指示する替わりに、制御情報として、当該圏外端末の探索を実施する周期と探索実施時間を通知してもよい。
【0049】
図5は、実施例1に係る無線通信システムの動作を示すシーケンス図である。なお、
図5において、S1aのページング処理の詳細と、第2端末装置20における圏外端末の処理については、後述することとする。これは、以降の他の実施例にかかる動作シーケンスにおいても同様である。
【0050】
リレー端末として動作可能な第1端末装置10は、基地局装置30からのページング信号の受信(S1a)を契機として、基地局装置30からの制御情報を受信し、当該端末におけるリレー通信の実施のためのリレー端末の設定手続きを行う(S1b)。例えば、基地局装置30からの制御情報は、以下の情報の任意の組み合わせを含むことができる。
【0051】
(探索信号の送信に関する制御情報(送信設定情報))
・探索信号の送信周期
・探索信号の送信継続期間(タイマー値)
・探索信号の送信リソース位置
・探索信号の送信周波数帯
・探索信号の送信電力
【0052】
なお、探索信号の送信リソース位置は、明示的に絶対位置として、周波数オフセット値、周波数インデックス、時間方向インデックスにより指定されてもよいし、リソースの時間周波数方向のパターンが指定されてもよい。
【0053】
圏外の状態にある第2端末装置20は、リレー端末からの探索信号の待ち受けを開始する(S1c)。第1端末装置10は、受信した制御情報に従って、リレー待ち受けを開始し(S1d)、圏外端末に対して探索信号を周期的に送信する(S1e)。第2端末装置20は、探索信号を受信すると、第1端末装置10にその旨を応答して、D2Dによるリレー通信の接続処理を行う(S1f)。リレー通信の接続が完了すると、第1端末装置10は、上位装置に対して第2端末装置20の位置登録手続きを行う(S1g)。
【0054】
以上述べたように、実施例1によれば、基地局装置30がリレー端末に探索信号を送信させるように指示することで、新たに発生した圏外端末をリレー端末を介して効率的に無線ネットワークに接続することが可能になる。また、探索信号の送信を周期的に行うことで、低消費電力かつ低遅延に実現できる。
【0055】
(実施例2)
実施例2では、新たに発生した圏外端末を探索するために、基地局装置がリレー端末に圏外端末から送信される探索信号を待ち受けさせる手法について説明する。
【0056】
図6は、実施例2に係る第2無線通信システム120の構成例を示す図である。基地局装置30は、自局の配下にない第2端末装置20の存在を直接的に知ることができない。また、当該基地局装置30の配下に無い第2端末装置20は、基地局装置30の配下にある第1端末装置10のD2Dリソースプール情報を知ることができない。そこで、実施例2では、新たな圏外端末として第2端末装置20が発生したときに、リレー端末となる第2端末装置20に対して明示的に、圏外端末の探索を指示する(ページング処理)と共に、圏外端末からの探索信号を待ち受けるための動作に関する制御情報を個別にまたはブロードキャストで通知する。または、基地局装置30は明示的に圏外端末の探索を指示する替わりに、制御情報として、当該圏外端末の探索を実施する周期と探索実施時間を通知してもよい。
【0057】
図7は、実施例2に係る無線通信システムの動作を示すシーケンス図である。なお、実施例1と同様に、S2aのページング処理の詳細と、第2端末装置20における圏外端末の処理については後述する。
【0058】
図7において、リレー端末として動作可能な第1端末装置10は、基地局装置30からのページング信号を受信する(S2a)。第1端末装置10は、このページング信号の受信を契機として、基地局装置30からの制御情報を受信し、当該端末におけるリレー通信の実施のためのリレー端末の設定手続きを行う(S2b)。ここでは、基地局装置30からの制御情報は、例えば、以下の情報の任意の組み合わせを含むことができる。
【0059】
(探索信号の待ち受けに関する制御情報(待受設定情報))
・探索信号の待ち受け周期
・探索信号の待ち受け継続期間(タイマー値)
・探索信号の待ち受けリソース位置
・探索信号の待ち受け周波数帯
【0060】
なお、探索信号の待ち受けリソース位置は、明示的に絶対位置として、周波数オフセット値、周波数インデックス、時間方向インデックスにより指定されてもよいし、リソースの時間周波数方向のパターンが指定されてもよい。
【0061】
圏外の状態にある第2端末装置20は、一定時間周期的に探索信号を送信している(S2c)。第1端末装置10は、受信した制御情報に従って、リレー待ち受けを開始し(S2d)、圏外端末からの探索信号を一定時間待ち受ける。第1端末装置10は、探索信号を受信すると、第1端末装置20との間でD2Dによるリレー通信の接続処理を行う(S2e)。リレー通信の接続が完了すると、第1端末装置10は、上位装置に対して第2端末装置20の位置登録手続きを行う(S2f)。
【0062】
以上述べたように、実施例2によれば、基地局装置がリレー端末に探索信号を待ち受けさせるように指示することで、新たに発生した圏外端末をリレー端末を介して効率的に無線ネットワークに接続することが可能になる。また、探索信号の待ち受けを周期的に行うことで、低消費電力かつ低遅延に実現できる。
【0063】
(実施例3)
実施例3では、上記実施例1、2で述べたようなリレー通信の実行中において、リレー通信中の圏外端末が移動することによりリレー端末とのリレー通信が断絶するような状態を想定している。
【0064】
図8は、実施例3に係る第3無線通信システム130の構成例を示す図である。第2端末装置20は、リレー端末として動作する第1端末装置10Aを介して無線ネットワークに接続可能な状態にあったが、第2端末装置20(または第1端末装置10A)の移動に伴い、第1端末装置10Aとの間のリレー通信が切断される場合を想定する。このとき、第2端末装置20に対して新たなリレー端末の設定が必要となる。
【0065】
基地局装置30は、リレー端末からの品質報告をもとにして、第2端末装置20と第1端末装置10Aとの間のリレー通信の切断、あるいは、第1端末装置10Aと基地局装置30との間のセルラ通信の切断を検知すると、新たなリレー端末として動作可能な第1端末装置10Bと圏外端末である第2端末装置20との間の接続手続きを開始させる。例えば、以下の3つの条件またはこれらの任意の組み合わせによって決定される条件を契機にして、基地局装置30は、リレー通信の切断を判断することができる。
【0066】
(1)D2Dによるリレー通信の信号品質が所定の閾値以下となった場合
(2)リレー端末と基地局装置30との間のセルラ通信の信号品質が所定の閾値以下となった場合
(3)D2Dによるリレー通信のセッションが送信中のデータを残して通信断となった場合
【0067】
なお、(2)における信号品質は、RSRQまたはRSRPの値を用いることができる。また、1台のリレー端末が複数の圏外端末に対してリレー通信を提供している場合は、基地局装置30は、いずれかのリレー通信が上記条件に該当する場合に、他のリレー通信の切断についても判断することができる。
【0068】
図9に、基地局装置においてリレー端末の変更指示を行う場合の動作例を示す。なお、S3fのページング処理の詳細と、第2端末装置20における圏外端末の処理については、明細書の最後にその他の実施例として説明する。
【0069】
図9において、圏外端末である第2端末装置20は、リレー端末として動作する第1端末装置10Aとの間でD2Dによるリレー通信を行っている(S3a)。この状態で、第2端末装置20は、リレー通信の通信品質が所定の閾値以下であることを検知する(デグレ(デグレード(劣化)の略)の検知)と(S3b)、通信品質情報を第1端末装置10Aを介して基地局装置30へ通知する(S3c)。基地局装置30は、通信品質情報によりリレー通信の低下を検知すると(S3d)、第2端末装置20へリレー端末の変更指示を第1端末装置10Aを介して送信する(S3e)。
【0070】
基地局装置30は、当該基地局の配下にある端末であって、リレー端末として動作可能な第1端末装置10Bに対してページング処理を行い(S3f)、上記実施例1または2に記載したようにリレー端末の設定手続きとして、圏外端末を探索するための動作に関する制御情報を通知する(S3g)。この通知を契機にして、第1端末装置10Bは、上記実施例1または2で述べたように探索信号の送信または待ち受け処理を行う(S3h)。第2端末装置20は、リレー通信の接続先を第1端末装置10Bに変更すべきと判断すると(S3i)、第1端末装置10Bを新たなリレー端末としてリレー通信の設定手続きを行う(S3j)。なお、新たなリレー端末は、圏外端末とD2D通信可能であって、かつ、基地局装置30とセルラ通信可能な端末が選択される。この選択は、周期的に配下の端末装置から送信される品質報告をもとに、基地局装置30にて逐次アップデートしているリレー端末候補リストから選択されてもよいし、圏外端末から、変更可能な端末装置の候補リストを受信することで、その中から選択されてもよい。
【0071】
以上述べたように、実施例3によれば、リレー通信中の圏外端末が通信断になるような場合でも、基地局装置が新たなリレー端末を設定することで、当該圏外端末を継続して無線ネットワークに接続することが可能になる。
【0072】
(実施例4)
実施例4では、実施例3と同様に、上記実施例1、2で述べたようなリレー通信の実行中に、リレー通信中の圏外端末が移動して通信断するような場合を想定する。実施例4においては、リレー端末がリレー端末の切替判定を行い、リレー端末の変更要求を基地局装置に送信するという点が実施例3と異なるため、実施例3と重複する説明は省略し、異なる点について説明することとする。
【0073】
図10に、リレー端末の変更要求を基地局装置に送信する場合の動作例を示す。なお、実施例1等と同様に、S4iのページング処理の詳細と、第2端末装置20における圏外端末の処理については後述する。
【0074】
図10において、リレー端末として動作可能な第1端末装置10Aには、あらかじめリレー端末の切替判定条件が通知されている(S4a)。この切替判定条件は、例えば、実施例3で述べた(1)〜(3)の条件またはこれらの任意の組み合わせによって決定される条件とすることができる。なお、第1端末装置10Aがリレー端末として複数の圏外端末に対してリレー通信を提供している場合は、いずれかのリレー通信が上記切替判定条件に該当する場合に、他のリレー通信の切断についても判断することができる。
【0075】
圏外端末である第2端末装置20は、リレー端末として動作する第1端末装置10Aとの間でD2Dによるリレー通信を行っている(S4b)。この状態で、第2端末装置20は、リレー通信の通信品質が所定の閾値以下であることを検知すると(S4c)、通信品質情報を第1端末装置10Aへ通知する(S4d)。第1端末装置10Aは、この通信品質情報と、S2aで通知されたリレー端末の切替判定条件とに基づいて、リレー端末切替の必要性を判断する(S4e)。第1端末装置10Aは、S2eでリレー端末切替が必要であると判断すると、リレー端末の変更要求を基地局装置30へ送信する(S4f)と共に、リレー端末の変更指示を第2端末装置30へ送信する(S4g)。
【0076】
基地局装置30は、第1端末装置10Aからのリレー端末の変更要求によりリレー通信の低下を検知すると(S4h)、当該基地局の配下にある端末であって、リレー端末として動作可能な第1端末装置10Bに対してページング処理を行い(S4i)、上記実施例1または2に記載したようにリレー端末の設定手続きとして、圏外端末を探索するための動作に関する制御情報を通知する(S2j)。この通知を契機にして、第1端末装置10Bは、上記実施例1または2で述べたように探索信号の送信または待ち受け処理を行う(S4k)。第2端末装置20は、リレー通信の接続先を第1端末装置10Bに変更すべきと判断すると(S4l)、第1端末装置10Bを新たなリレー端末としてリレー通信の設定手続きを行う(S4m)。
【0077】
以上述べたように、実施例4によれば、リレー通信中の圏外端末が通信断になるような場合でも、リレー端末からの変更要求に応じて基地局装置が新たなリレー端末を設定することで、当該圏外端末を継続して無線ネットワークに接続することが可能になる。
【0078】
(変形例)
以下に、上記実施例の変形例として、A−1〜A−3、B−1、B−2を例示する。
【0079】
(A)ページング処理について
上記各実施例において、基地局装置30が行うリレー端末に対するページング処理は、リレー端末の状態によって、以下のA−1〜A−3とすることができる。
【0080】
[A−1:リレー端末がRRC_Connected状態である場合]
基地局装置30は、S1aのページング処理を実施することなく、リレー端末の設定手続きを当該リレー端末に対して実施する。
【0081】
[A−2:RRC_Idle状態の端末に対して個別ページングする場合]
基地局装置30または上位装置側において、第1端末装置10がリレー端末として動作可能かどうかを判断し、対象となる場合に個別に呼び出す。ページングを実施すべきリレー端末の選択基準としては、端末からのmeasurement reportにより通知されたRSRQまたはRSRPが一定閾値以下である端末に対してページング、または、あらかじめリレー端末として設定された特定の端末を対象端末としてページングを行う。
【0082】
[A−3:RRC_Idle状態の端末をブロードキャストページングする場合]
基地局装置30は、一定範囲内に在圏するRRC_Idle状態の端末に対してブロードキャスト型のページングを実施する。例えば、ページング信号内のAccess classを通常のコンシューマ向けの端末とは別の値に設定する。リレー端末装置として動作可能な端末は、この別の値がAccess classとして予め設定されている。これにより、端末装置は、ページング信号内のAccess classを確認することで、自己がリレー端末として動作すべきかどうかを自身で判定できる。すなわち、ブロードキャスト型のページングであっても、リレー端末装置となりうる端末装置に対して、確実に、ページング指令をすることが可能となる。なお、ページング対象端末の範囲は、当該セル、当該セルおよび当該セルの隣接セルまたは隣隣接セル、またはシステム全体のうちのいずれかで選択し、圏外端末のリレー端末への接続が確認できない場合に他の範囲を選択し、再度ページングを実施してもよい。
【0083】
(B)圏外端末の処理について
上記各実施例において、圏外端末において探索信号の送信または待ち受けを実施するために、圏外端末のネットワーク接続状態によって、以下のB−1、B−2の場合が想定できる。
【0084】
[B−1:異周波数帯におけるネットワークが存在する場合]
B−1について、
図11および
図12を用いて説明する。
図11は、異周波数帯ネットワークとしてLTEの基地局装置40が存在する場合の第4無線通信システム140の構成例を示す図である。基地局装置30は、X2インタフェースまたはS1インタフェースを介して、隣接または隣隣接する基地局装置40との間で通信することができる。
図12は、異周波数帯ネットワークとして、Wi−Fi(登録商標)やWiMax(登録商標)等の非LTEネットワークを構築する基地局装置50が存在する場合の第5無線通信システム150の構成例を示す図である。この場合、基地局装置30は、S1インタフェースと公衆網とを介して基地局装置50との間で通信することができる。
【0085】
図11または
図12において、基地局装置30の配下にない第2端末装置20は、基地局装置30から送信される、探索信号の送信または待ち受けに関する制御情報を、異周波数における基地局装置40または基地局装置50を介して受信し、受信した制御情報に従い、リレー端末を探索するために、探索信号の送信、または待ち受けを行い、探索後、D2D通信を開始する。制御情報は、上記実施例1または2に記載のものと同様とする。また、この制御情報は、ネットワーク管理装置などの上位装置によって、基地局装置ごと、または端末装置ごとに管理されていてもよく、上位装置もしくは基地局装置30から基地局装置50に予め通知されていてもよい。
【0086】
[B−2:異周波数帯におけるネットワークが存在しない場合]
上記実施例3,4のように、圏外端末がリレー通信中であった場合、実施例3で述べた(1)〜(3)の条件などを満たしたタイミングで、圏外端末は、基地局装置30よりリレー通信中のリレー端末を介して探索信号の送信または待ち受けに関する制御情報を受信し、当該制御情報に基づいて、探索信号の送信また待ち受けを実施する。通知される制御情報は、上記実施例1または2に記載のものと同様とする。
【0087】
一方、上記実施例1,2のように、新たな圏外端末が発生した場合、圏外端末は基地局装置30から一切の信号を受信することができないため、自身がD2D通信を事前に許可されている端末であることが、例えばPublic Safety capable bitなどにより設定されており、かつ、RRC_Idleにおける状態が、Any_Cell_Selection状態(適切な接続先セルが見つからない状態)で、一定時間継続している場合には、探索信号を一定期間送信または待ち受けてもよい。なお、探索信号の送信/待ち受け周波数帯およびリソース位置は、予め決められているものとする。
【0088】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。本発明は上述した実施例並びに各実施例の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。上記実施例は例示であり、各実施例を組み合わせるなどして、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。