(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の作業機械の油圧駆動装置であって、前記第1アクチュエータ群は前記油圧アクチュエータとしてへッド側室とロッド側室とを有するロッド付油圧シリンダを含み、前記ポンプセクションは、前記閉回路ポンプであって前記ロッド付油圧シリンダに接続される閉回路中に設けられるものと、前記へッド側室の断面積と前記ロッド側室の断面積との差を吸収するようにタンクと前記閉回路との間での作動油の給排を行うオープン型油圧ポンプと、を含む、作業機械の油圧駆動装置。
請求項1または2記載の作業機械の油圧駆動装置であって、前記ポンプセクションは、タンクから前記閉回路に作動油の不足分を補給するチャージポンプをさらに含み、前記閉回路ポンプは、前記チャージポンプから前記閉回路内に補給される作動油を前記各可変絞り弁を通じて前記各油圧アクチュエータに供給するように前記開回路に接続される、作業機械の油圧駆動装置。
請求項1〜3のいずれかに記載の作業機械の油圧駆動装置であって、前記第1アクチュエータ群及び前記第2アクチュエータ群に含まれる前記油圧アクチュエータのそれぞれについて設けられ、当該油圧アクチュエータを動かすための操作を受ける複数の操作器と、当該複数の操作器の操作に応じて前記回路切換部を前記第1状態と前記第2状態との間で切換える回路切換制御部と、をさらに備える、作業機械の油圧駆動装置。
請求項4記載の作業機械の油圧駆動装置であって、前記回路切換制御部は、前記第1アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータに対応する操作器のみが操作されるときは前記回路切換部を前記第1状態にし、当該複数の操作器のうち少なくとも前記第2アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータに対応する操作器が操作されるときは前記回路切換部を前記第2状態にする、作業機械の油圧駆動装置。
請求項1〜5のいずれかに記載の作業機械の油圧駆動装置であって、前記回路切換部の状態に応じて前記ポンプセクションに含まれる前記油圧ポンプの容量を調節する容量調節部をさらに備える、作業機械の油圧駆動装置。
請求項6記載の作業機械の油圧駆動装置であって、前記容量調節部は、前記回路切換部が前記第1状態にあるときは前記閉回路ポンプの容量を当該閉回路ポンプに対応する操作器に与えられた操作に対応した容量にし、前記回路切換部が前記第2状態にあるときは前記ポンプセクションに含まれる油圧ポンプのうち前記開回路に接続される油圧ポンプの容量を前記開回路を通じての各油圧アクチュエータへの作動油の供給に必要な流量を確保するための開回路用容量にする、作業機械の油圧駆動装置。
請求項1〜7のいずれかに記載の作業機械の油圧駆動装置であって、前記第1アクチュエータ群は、互いに異なる第1閉回路油圧アクチュエータ及び第2閉回路油圧アクチュエータを含み、前記少なくとも一つの閉回路は前記第1閉回路油圧アクチュエータに接続される第1閉回路と前記第2閉回路油圧アクチュエータに接続される第2閉回路とを含み、前記少なくとも一つの開回路は、前記ポンプセクションに含まれる油圧ポンプのうち前記第1閉回路に作動油を循環させるための油圧ポンプに接続される第1開回路と、前記ポンプセクションに含まれる油圧ポンプのうち前記第2閉回路に作動油を循環させるための油圧ポンプに接続される第2開回路と、を含む、作業機械の油圧駆動装置。
請求項9記載の作業機械の油圧駆動装置であって、前記回路切換制御部は、前記第2閉回路油圧アクチュエータについての操作が行われ、かつ、前記第1閉回路油圧アクチュエータについての操作の量が予め設定された閾値以下である場合に、前記回路切換部を前記第3状態にする、作業機械の油圧駆動装置。
請求項1〜10のいずれかに記載の作業機械の油圧駆動装置であって、当該油圧駆動装置は、走行装置と作業装置とを含む作業機械に設けられるものであって、前記第1アクチュエータ群は前記作業装置を動かす少なくとも一つの作業用油圧アクチュエータを含み、前記第2アクチュエータ群は前記走行装置を動かす少なくとも一つの走行用油圧アクチュエータを含む、作業機械の油圧駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記開回路タイプの装置は、複数の油圧アクチュエータへの作動油の供給に共通の油圧ポンプを用いることを可能にし、これにより、当該油圧ポンプの必要台数の削減を可能にする利点をもつ反面、流量制御弁であるコントロールバルブに含まれる絞り要素による圧力損失が生じるため、高い省エネルギー効果を得ることが難しいという課題がある。
【0007】
逆に、前記閉回路タイプの装置は、絞り要素を含むコントロールバルブを要しないので、高い省エネルギー効果を得ることが可能であるが、油圧アクチュエータごとに当該油圧アクチュエータ専用の油圧ポンプを要するため、当該油圧アクチュエータの数だけ油圧ポンプの必要台数が増え、その分コストが増大するという課題がある。さらに、各油圧アクチュエータの駆動にあたっては、閉回路中で作動油を循環させる閉回路ポンプに加え、当該閉回路に不足分の作動油を補給するためのチャージポンプや、当該油圧アクチュエータがロッド付シリンダである場合にそのへッド側室の面積とロッド側室の面積との差を吸収するための開回路ポンプを要する場合が多く、これにより前記必要台数はさらに増える。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決することが可能な装置、すなわち、作業装置に設けられる油圧駆動装置であって複数の油圧アクチュエータを具備しながら低コストの構成で高い省エネルギー効果を得ることが可能なもの、を提供することを目的とする。
【0009】
提供される装置は、少なくとも一つの油圧アクチュエータを含む第1アクチュエータ群と、前記第1アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータとは異なる少なくとも一つの油圧アクチュエータを含む第2アクチュエータ群と、前記第1アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータのそれぞれに接続され、当該油圧アクチュエータを動かすための作動油を循環させる油路を形成する少なくとも一つの閉回路と、前記閉回路内で前記作動油を循環させるための少なくとも一つの油圧ポンプを含むポンプセクションであって、前記少なくとも一つの油圧ポンプは前記閉回路中に設けられる可変容量型油圧ポンプである閉回路ポンプを含むものと、前記ポンプセクションに含まれる油圧ポンプの少なくとも一部と前記第1及び第2アクチュエータ群に含まれる複数の油圧アクチュエータとを接続する少なくとも一つの開回路であって当該ポンプセクションに含まれる油圧ポンプから当該複数の油圧アクチュエータにそれぞれ供給される作動油の流量を変化させるように当該複数の油圧アクチュエータごとに設けられる複数の可変絞り弁を含むものと、回路切換部と、を備える。当該回路切換部は、前記閉回路を開通して前記開回路を遮断することにより当該閉回路を循環する作動油が前記第1アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータを動かすことを可能にする第1状態と、前記閉回路を遮断して前記開回路を開通することにより当該開回路に接続される前記油圧ポンプから前記各可変絞り弁を通じての前記各油圧アクチュエータへの作動油の供給を可能にする第2状態と、を有する。
【0010】
この装置は、第1アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータを動かすための閉回路と、第1及び第2アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータを動かすための開回路と、を併有するとともに、前記閉回路内で作動油を循環させるためのポンプセクションに含まれる油圧ポンプの少なくとも一部が開回路に流用されるので、前記第2アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータについての閉回路用の油圧ポンプの具備を不要にしてポンプ総必要台数を減らしながら、開回路に含まれる可変絞り弁の使用を最小限に抑えることにより当該可変絞り弁における圧力損失を減らして高い省エネルギー効果を得ることが可能である。具体的に、前記第1アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータのみを動かす場合には、前記回路切換部を第1状態にすることにより、つまり、閉回路を開通して開回路を遮断することにより、前記油圧ポンプが前記閉回路内を循環させる作動油によって前記油圧アクチュエータを動かし、これにより、圧力損失を伴う前記可変絞り弁の使用を避けて高い省エネルギー効果を得ることが可能である。一方、少なくとも第2アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータを動かす場合には、前記回路切換部を第2状態にすることにより、つまり、前記閉回路を閉じて前記開回路を開通することにより、前記ポンプセクションから前記油圧アクチュエータに当該油圧アクチュエータに対応する可変絞り弁を通じて作動油を供給することができる。従って、前記第2アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータについて専用の油圧ポンプを具備する必要がない。
【0011】
前記ポンプセクションは、前記閉回路ポンプに加えてそれ以外の油圧ポンプを含んでもよい。例えば、前記油圧アクチュエータがへッド側室とロッド側室とを有するロッド付油圧シリンダである場合、前記ポンプセクションは、前記へッド側室の断面積と前記ロッド側室の断面積との差を吸収するようにタンクと前記閉回路との間での作動油の給排を行うオープン型油圧ポンプをさらに含むのが、よい。当該オープン型油圧ポンプはタンク内の作動油を吸入することが可能であるため、当該オープン型油圧ポンプを前記開回路に接続することにより、当該オープン型油圧ポンプから各可変絞り弁を通じて各油圧アクチュエータへの作動油の供給が可能である。あるいは、前記ポンプセクションは、前記閉回路ポンプに加え、タンクから前記閉回路に作動油の不足分を補給するチャージポンプを含んでもよい。この場合、前記閉回路ポンプを前記開回路に接続することにより、当該閉回路ポンプは、前記チャージポンプから前記閉回路内に補給される作動油を前記各可変絞り弁を通じて前記各油圧アクチュエータに供給することが可能である。
【0012】
前記油圧駆動装置は、前記第1アクチュエータ群及び前記第2アクチュエータ群に含まれる前記油圧アクチュエータのそれぞれについて設けられ、当該油圧アクチュエータを動かすための操作を受ける複数の操作器と、当該複数の操作器の操作に応じて前記回路切換部を第1状態と第2状態との間で切換える回路切換制御部と、を含むのが、好ましい。これにより、前記各アクチュエータについて行われる操作に基づいて回路状態を自動的に切換えることが可能になる。
【0013】
当該回路切換制御部は、例えば、前記第1アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータに対応する操作器のみが操作されるときは前記回路切換部を第1状態にし、当該複数の操作器のうち少なくとも前記第2アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータに対応する操作器が操作されるときは前記回路切換部を前記第2状態にするものが、好適である。
【0014】
一方、前記ポンプセクションに含まれる油圧ポンプについては、前記回路切換部の状態に応じて当該油圧ポンプの容量を調節する容量調節部を備えるのが、好ましい。この容量調節部としては、前記回路切換部が前記第1状態にあるときは前記閉回路ポンプの容量を当該閉回路ポンプに対応する操作器に与えられた操作に対応した容量にし、前記回路切換部が前記第2状態にあるときは前記ポンプセクションに含まれる油圧ポンプのうち前記開回路に接続される油圧ポンプの容量を前記開回路を通じての各油圧アクチュエータへの作動油の供給に必要な流量を確保するための開回路用容量にするものが、好適である。
【0015】
前記第1アクチュエータ群は、複数の油圧アクチュエータを含んでもよい。例えば、当該第1アクチュエータ群は、互いに異なる第1閉回路油圧アクチュエータ及び第2閉回路油圧アクチュエータを含み、前記少なくとも一つの閉回路は前記第1閉回路油圧アクチュエータに接続される第1閉回路と前記第2閉回路油圧アクチュエータに接続される第2閉回路とを含んでもよい。この場合、前記少なくとも一つの開回路は、前記ポンプセクションに含まれる油圧ポンプのうち前記第1閉回路に作動油を循環させるための油圧ポンプに接続される第1開回路と、前記ポンプセクションに含まれる油圧ポンプのうち前記第2閉回路に作動油を循環させるための油圧ポンプに接続される第2開回路と、を含むことが、可能である。このように、互いに異なる油圧ポンプに接続される複数の開回路を具備することは、単一の開回路のみを備えるものに比べ、一つの油圧アクチュエータに対して供給される作動油の流量の増減が他のアクチュエータの動きに与える影響を小さくすることを可能にする。
【0016】
前記第2閉回路油圧アクチュエータは、前記第2開回路、すなわち当該第2閉回路油圧アクチュエータ自身に接続される前記第2閉回路に作動油を循環させるための油圧ポンプに接続された開回路に接続されてもよいし、前記第1開回路、すなわち、当該第2閉回路油圧アクチュエータと異なる前記第1閉回路油圧アクチュエータに接続される前記第1閉回路に作動油を循環させるための油圧ポンプに接続された開回路、に接続されてもよい。後者の場合、前記回路切換部は、前記第1状態及び前記第2状態に加え、前記第1閉回路を遮断して前記第2閉回路及び前記第2開回路の双方を開通することにより、当該第2閉回路に前記第2閉回路油圧アクチュエータを動かすための作動油を循環させると同時に当該第2開回路を通じて前記第2閉回路油圧アクチュエータに作動油が供給されることを可能にする第3状態を有することが可能である。この第3状態では、前記第2閉回路を循環する作動油と前記第1閉回路のための油圧ポンプから前記第2開回路を経由する作動油の双方が前記第2閉回路油圧アクチュエータに供給されることにより、当該第2閉回路油圧アクチュエータの増速が可能である。
【0017】
このように前記回路切換部が前記第3状態を有する場合、前記回路切換制御部は、実質上前記第2閉回路油圧アクチュエータについての操作のみが行われる場合、具体的には、当該第2閉回路油圧アクチュエータについての操作の量に対して前記第1閉回路油圧アクチュエータについての操作の量が十分小さい(例えば予め設定された閾値以下である)場合に、前記回路切換部を前記第3状態にするのが、よい。
【0018】
本発明に係る油圧駆動装置は、例えば、走行装置と作業装置とを含む作業機械に好適である。この場合、当該油圧駆動装置の第1アクチュエータ群は前記作業装置を動かす少なくとも一つの作業用油圧アクチュエータを含み、第2アクチュエータ群は前記走行装置を動かす少なくとも一つの走行用油圧アクチュエータを含むのが、よい。前記作業用油圧アクチュエータは前記走行用油圧アクチュエータに比べて作動頻度が高いため、当該作業用油圧アクチュエータを閉回路すなわち絞り要素を要しない回路によって駆動することは省エネルギー効果の向上に効果的である。その一方、当該作業用油圧アクチュエータよりも省エネルギー効果の向上の要請が低い走行用油圧アクチュエータは第2アクチュエータ群に含ませてその駆動に作業用油圧アクチュエータの閉回路のための油圧ポンプを流用することにより、前記省エネルギー効果を有効にしながら油圧ポンプの必要台数の削減を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、作業装置に設けられる油圧駆動装置であって、複数の油圧アクチュエータを具備しながら、低コストの構成で高い省エネルギー効果を得ることが可能なものを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図10は、以下に示す各実施の形態に係る油圧駆動装置が搭載される作業機械の例である油圧ショベル10の外観を示す図である。この油圧ショベル10は、下部走行体12と、その上に縦軸回りに旋回可能に搭載される上部旋回体14と、この上部旋回体14に装着される作業装置である作業アタッチメント16と、を備える。前記下部走行体12は、例えば一対のクローラを含む走行装置11を有する。前記上部旋回体14は、旋回フレーム13と、当該旋回フレーム13上に搭載される運転室15及びカウンタウェイト17と、を含む。前記作業アタッチメント16は、前記上部旋回体14に起伏可能に装着されるブーム18と、このブーム18の先端に回動可能に連結されるアーム20と、このアーム20の先端に回動可能に連結されるバケット22と、を備える。
【0023】
前記作業アタッチメント16には、複数の作業用油圧アクチュエータであるブームシリンダ24、アームシリンダ26、及びバケットシリンダ28が装着される。これらのシリンダ24,26,28は、それぞれ伸縮可能なロッド付油圧シリンダにより構成される。前記ブームシリンダ24は、作動油の供給を受けることにより伸縮して前記ブーム18を起伏方向に回動させるように当該ブーム18と前記上部旋回体14との間に介在する。前記アームシリンダ26は、作動油の供給を受けることにより伸縮して前記アーム20を前記ブーム18に対して水平軸回りに回動させるように当該アーム20と当該ブーム18との間に介在する。バケットシリンダ28は、作動油の供給を受けることにより伸縮して前記バケット22を前記アーム20に対して水平軸回りに回動させるように当該バケット22と当該アーム20との間に介在する。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る油圧駆動装置であって、前記油圧ショベルに搭載されるものを示す。この装置は、複数の油圧アクチュエータとして、作業用油圧アクチュエータである前記ブームシリンダ24、前記アームシリンダ26及び前記バケットシリンダ28に加え、前記上部旋回体14を旋回させるための油圧アクチュエータである旋回モータ30と、走行用油圧アクチュエータである左走行モータ31及び右走行モータ32であって前記走行装置11に含まれる左右のクローラをそれぞれ駆動するものと、を備える。これらの油圧アクチュエータのうち、前記ブームシリンダ24、前記アームシリンダ26、前記バケットシリンダ28及び前記旋回モータ30は第1アクチュエータ群に属し、前記両走行モータ31,32は第2アクチュエータ群に属する。
【0025】
この装置は、前記複数の油圧アクチュエータに加え、複数の閉回路であるブーム用閉回路34、アーム用閉回路36、バケット用閉回路38及び旋回用閉回路40と、ポンプセクションと、複数の開回路である第1開回路41及び第2開回路42と、回路切換部と、
図3に示されるコントローラと、を備える。
【0026】
前記ブーム用閉回路34、アーム用閉回路36、バケット用閉回路38及び旋回用閉回路40は、前記第1アクチュエータ群に含まれる前記ブームシリンダ24、前記アームシリンダ26、前記バケットシリンダ28及び前記旋回モータ30にそれぞれ接続され、対応する油圧アクチュエータを動かすための作動油を循環させる油路を形成する。
【0027】
前記ポンプセクションは、
図2にも示されるように、前記各閉回路34,36,38,40内で前記作動油を循環させるための複数の油圧ポンプを含む。具体的に、この実施の形態に係るポンプセクションは、ブーム用閉回路ポンプ44と、ブーム用オープン型ポンプ45と、アーム用閉回路ポンプ46と、アーム用オープン型ポンプ47と、バケット用閉回路ポンプ48と、バケット用オープン型ポンプ49と、旋回用閉回路ポンプ50と、チャージポンプ52と、を含み、当該チャージポンプ52についてチャージ用リリーフ弁51が設けられる。この実施の形態では、前記ポンプセクションに含まれる前記各ポンプ44〜50,52が共通のエンジンに連結されており、当該エンジンによって駆動されることにより作動油を吐出する。
【0028】
前記ブーム用閉回路ポンプ44は、前記ブーム用閉回路34中に設けられる可変容量型の双方向油圧ポンプであって、当該ブーム用閉回路34中で作動油を両方向に循環させるように作動する。具体的に、当該ブーム用閉回路ポンプ44は一対のポートを有し、前記ブーム用閉回路34は、前記ブーム用閉回路ポンプ44の一方のポートを前記ブームシリンダ24のへッド側室24hに接続するへッド側配管34hと、前記ブーム用閉回路ポンプ44の他方のポートをブームシリンダ24のロッド側室24rに接続するロッド側配管34rと、を有する。従って、前記ブームシリンダ24は、前記ブーム閉回路ポンプ44から前記へッド側配管34hを通じて前記へッド側室24hに作動油が供給されるとともに前記ロッド側室24rから前記ロッド側配管34rを通じて作動油が戻されるという作動油の循環により、伸長方向すなわち前記ブーム18を上げる方向に作動し、逆に、前記ブーム閉回路ポンプ44から前記ロッド側配管34rを通じて前記ロッド側室24rに作動油が供給されるとともに前記へッド側室24hから前記へッド側配管34hを通じて作動油が戻されるという作動油の循環により、収縮方向すなわち前記ブーム18を下げる方向に作動する。
【0029】
前記アーム用閉回路ポンプ46は、前記アーム用閉回路36中に設けられる可変容量型の双方向油圧ポンプであって、当該アーム用閉回路36中で作動油を両方向に循環させるように作動する。具体的に、当該アーム用閉回路ポンプ46は一対のポートを有し、前記アーム用閉回路36は、前記アーム用閉回路ポンプ46の一方のポートを前記アームシリンダ26のへッド側室26hに接続するへッド側配管36hと、前記ブーム用閉回路ポンプ46の他方のポートをアームシリンダ26のロッド側室26rに接続するロッド側配管36rと、を有する。従って、前記アームシリンダ26は、前記アーム閉回路ポンプ46から前記へッド側配管36hを通じて前記へッド側室26hに作動油が供給されるとともに前記ロッド側室26rから前記ロッド側配管36rを通じて作動油が戻されるという作動油の循環により、伸長方向すなわち前記アーム20を引き方向に回動させる方向に作動し、逆に、前記アーム閉回路ポンプ46から前記ロッド側配管36rを通じて前記ロッド側室26rに作動油が供給されるとともに前記へッド側室26hから前記へッド側配管36hを通じて作動油が戻されるという作動油の循環により、収縮方向すなわち前記アーム20を押し方向に回動させる方向に作動する。
【0030】
前記バケット用閉回路ポンプ48は、前記バケット用閉回路38中に設けられる可変容量型の双方向油圧ポンプであって、当該バケット用閉回路38中で作動油を両方向に循環させるように作動する。具体的に、当該バケット用閉回路ポンプ48は一対のポートを有し、前記バケット用閉回路38は、前記バケット用閉回路ポンプ48の一方のポートを前記バケットシリンダ28のへッド側室28hに接続するへッド側配管38hと、前記バケット用閉回路ポンプ48の他方のポートをバケットシリンダ28のロッド側室28rに接続するロッド側配管38rと、を有する。従って、前記バケットシリンダ28は、前記バケット閉回路ポンプ48から前記へッド側配管38hを通じて前記へッド側室28hに作動油が供給されるとともに前記ロッド側室28rから前記ロッド側配管38rを通じて作動油が戻されるという作動油の循環により、伸長方向すなわち前記バケット22を掬い方向に回動させる方向に作動し、逆に、前記バケット閉回路ポンプ48から前記ロッド側配管38rを通じて前記ロッド側室28rに作動油が供給されるとともに前記へッド側室28hから前記へッド側配管38hを通じて作動油が戻されるという作動油の循環により、収縮方向すなわち前記バケット22を開き方向に回動させる方向に作動する。
【0031】
前記旋回用閉回路ポンプ50は、前記旋回用閉回路40中に設けられる可変容量型の双方向油圧ポンプであって、当該旋回用閉回路40中で作動油を両方向に循環させるように作動する。具体的に、当該旋回用閉回路ポンプ50は一対のポートを有し、前記旋回用閉回路40は、前記旋回用閉回路ポンプ50の一方のポートを前記旋回モータ30の一方のポートである第1ポート30aに接続する第1配管40aと、前記旋回用閉回路ポンプ50の他方のポートを前記旋回モータ30の他方のポートである第2ポート30bに接続する第2配管40bと、を有する。従って、前記旋回モータ30は、前記旋回用閉回路ポンプ50から前記第1ポート30aに作動油が供給されるとともに前記第2ポート30bから前記第2配管40bを通じて作動油が戻されるという作動油の循環により、前記上部旋回体14を第1方向(例えば上から見て時計回り方向)に旋回させる方向に作動し、逆に、前記旋回用閉回路ポンプ50から前記第2配管40bを通じて前記第2ポート30bに作動油が供給されるとともに前記第1ポート30aから前記第1配管40aを通じて作動油が戻されるという作動油の循環により、前記上部旋回体14を前記第1方向とは逆の第2方向(例えば上から見て反時計回り方向)に回転させる方向に作動する。
【0032】
前記各オープン型ポンプ45,47,49は、可変容量型油圧ポンプからなり、対応するロッド付油圧シリンダのへッド側室の断面積とロッド側室の断面積の差、つまり当該ロッドの断面積に相当する面積差、を吸収するようにタンクと閉回路との間での作動油の給排を行う。具体的に、前記ブーム用オープン型ポンプ45は、前記ブーム用閉回路ポンプ44から前記へッド側配管34hを通じて前記ブームシリンダ24のへッド側室24hに作動油が供給されるときはタンクから当該へッド側配管34hに前記面積差に相当する不足分の作動油を補給するようにポンプとして作動し、逆に前記ブームシリンダ24のへッド側室24hから前記へッド側配管34hを通じて前記ブーム用閉回路ポンプ44に作動油が戻されるときは前記面積差に相当する余剰分の作動油を前記へッド側配管34hからタンクに逃がすようにモータとして作動する。同様に、前記アーム用オープン型ポンプ47は、前記アーム用閉回路ポンプ46から前記へッド側配管36hを通じて前記アームシリンダ26のへッド側室26hに作動油が供給されるときはタンクから当該へッド側配管36hに前記面積差に相当する不足分の作動油を補給するようにポンプとして作動し、逆に前記アームシリンダ26のへッド側室26hから前記へッド側配管36hを通じて前記アーム用閉回路ポンプ46に作動油が戻されるときは前記面積差に相当する余剰分の作動油を前記へッド側配管36hからタンクに逃がすようにモータとして作動する。また、前記バケット用オープン型ポンプ49は、前記バケット用閉回路ポンプ48から前記へッド側配管38hを通じて前記バケットシリンダ28のへッド側室28hに作動油が供給されるときはタンクから当該へッド側配管38hに前記面積差に相当する不足分の作動油を補給するようにポンプとして作動し、逆に前記バケットシリンダ28のへッド側室28hから前記へッド側配管38hを通じて前記バケット用閉回路ポンプ48に作動油が戻されるときは前記面積差に相当する余剰分の作動油を前記へッド側配管38hからタンクに逃がすようにモータとして作動する。
【0033】
前記チャージポンプ52は、前記閉回路ポンプ44,46,48,50のドレン等による前記各閉回路34,36,38,40からの作動油の漏れ量に相当する作動油の補給を当該閉回路34,36,38,40に対して行う。具体的に、当該チャージポンプ52は、前記各閉回路34,36,38,40の配管34h,34r,36h,36r,38h,38r,40a,40bにそれぞれチャージ用チェック弁53を介して接続され、当該チャージ用チェック弁53を通じてタンク内の作動油を各配管に補給する。各チャージ用チェック弁53は、前記各閉回路34,36,38,40からタンクへの作動油の逆流を阻止する。
【0034】
前記第1及び第2開回路41,42は、前記ポンプセクションに含まれる油圧ポンプのうちの各オープン型ポンプ45,47,49及び旋回用閉回路ポンプ50と前記第1及び第2アクチュエータ群に含まれる複数の油圧アクチュエータとを当該複数の油圧アクチュエータごとに設けられる複数の可変絞り弁を介して接続することにより、前記各ポンプ45,47,49,50を前記各油圧アクチュエータの駆動に共用することを可能にする。
【0035】
具体的に、前記第1開回路41は、前記ブーム用オープン型ポンプ45及びバケット用オープン型ポンプ49を前記第1アクチュエータ群に含まれる前記ブームシリンダ24及び前記バケットシリンダ28並びに前記第2アクチュエータ群に含まれる前記左走行モータ31に接続するものであって、ブームポンプライン55と、バケットポンプライン59と、メインライン61と、ブーム制御弁64と、バケット制御弁68と、左走行制御弁71と、ブームシリンダ24のへッド側室24h及びロッド側室24rにそれぞれ接続されるへッド側配管74H及びロッド側配管74Rと、バケットシリンダ28のへッド側室28h及びロッド側室28rにそれぞれ接続されるへッド側配管78H及びロッド側配管78Rと、左走行モータ31の両ポートにそれぞれ接続される第1配管81A及び第2配管81Bと、を有する。
【0036】
前記ブームポンプライン55及び前記バケットポンプライン59は、それぞれ、前記ブーム用オープン型ポンプ45及びバケット用オープン型ポンプ49の吐出口にそれぞれ接続される上流端と、共通の前記メインライン61につながる下流端と、を有する。前記メインライン61はその途中で作動油供給ライン61sとタンクに至るセンターバイパスライン61cとに分岐し、両ライン61c,61sに沿ってその上流側から順に前記左走行制御弁71、前記ブーム制御弁64及び前記バケット制御弁68が設けられている。また、前記各制御弁71,64,68の下流側で前記センターバイパスライン61cに当該各制御弁71,64,68とつながるタンクライン61tがつながっている。
【0037】
前記各制御弁71,64,68は、いずれも可変絞り弁であって図略の一対のパイロットポートを有する油圧パイロット切換弁からなり、パイロット圧の入力を受けないときは中立位置を保った前記センターバイパスライン61cを全開通する一方、パイロット圧の入力を受けると当該パイロット圧に対応したストロークで開弁作動し、これにより、前記センターバイパスライン61cを絞るとともに前記作動油供給ライン61sに流入する作動油を前記パイロット圧の大きさに対応した開口面積で対応する油圧アクチュエータに導き、当該油圧アクチュエータから排出される作動油を前記タンクライン61tに導く。具体的に、前記左走行制御弁71は、いずれかのパイロットポートへのパイロット圧の入力を受けることにより、前記作動油供給ライン61sを流れる作動油を前記第1配管81A及び前記第2配管81Bのうち前記パイロットポートに対応する配管を通じて前記左走行モータ31に導く。同様に、前記ブーム制御弁64は、いずれかのパイロットポートへのパイロット圧の入力を受けることにより、前記作動油供給ライン61sを流れる作動油を前記へッド側配管74H及び前記ロッド側配管74Rのうち前記パイロットポートに対応する配管を通じて
図2に示される前記ブームシリンダ24のへッド側室24hまたはロッド側室24rに導き、前記バケット制御弁68は、いずれかのパイロットポートへのパイロット圧の入力を受けることにより、前記作動油供給ライン61sを流れる作動油を前記へッド側配管78H及び前記ロッド側配管78Rのうち前記パイロットポートに対応する配管を通じて
図2に示される前記バケットシリンダ28のへッド側室28hまたはロッド側室28rに導く。
【0038】
一方、前記第2開回路42は、前記アーム用オープン型ポンプ47及び旋回用閉回路ポンプ50を前記第1アクチュエータ群に含まれる前記アームシリンダ26及び前記旋回モータ30並びに前記第2アクチュエータ群に含まれる前記右走行モータ32に接続するものであって、アームポンプライン57と、旋回ポンプライン60と、メインライン62と、アーム制御弁66と、旋回制御弁70と、右走行制御弁72と、アームシリンダ26のへッド側室26h及びロッド側室26rにそれぞれ接続されるへッド側配管76H及びロッド側配管76Rと、旋回モータ30の両ポートにそれぞれ接続される第1配管80A及び第2配管80Bと、右走行モータ32の両ポートにそれぞれ接続される第1配管82A及び第2配管82Bと、を有する。
【0039】
前記アームポンプライン57及び前記旋回ポンプライン60は、それぞれ、前記アーム用オープン型ポンプ47及び前記旋回用閉回路ポンプ50の吐出口にそれぞれ接続される上流端と、共通の前記メインライン62につながる下流端と、を有する。前記メインライン62はその途中で作動油供給ライン62sとタンクに至るセンターバイパスライン62cとに分岐し、両ライン62c,62sに沿ってその上流側から順に前記右走行制御弁72、前記旋回制御弁70及び前記アーム制御弁66が設けられている。また、前記各制御弁72,70,66の下流側で前記センターバイパスライン62cに当該各制御弁72,70,66とつながるタンクライン62tがつながっている。
【0040】
前記各制御弁71,64,68は、いずれも可変絞り弁であって図略の一対のパイロットポートを有する油圧パイロット切換弁からなり、パイロット圧の入力を受けないときは中立位置を保って前記センターバイパスライン62cを全開通する一方、パイロット圧の入力を受けると当該パイロット圧に対応したストロークで開弁作動し、これにより、前記センターバイパスライン62cを絞るとともに前記作動油供給ライン62sに流入する作動油を前記パイロット圧の大きさに対応した開口面積で対応する油圧アクチュエータに導き、当該油圧アクチュエータから排出される作動油を前記タンクライン62tに導く。具体的に、前記右走行制御弁72は、いずれかのパイロットポートへのパイロット圧の入力を受けることにより、前記作動油供給ライン62sを流れる作動油を前記第1配管82A及び前記第2配管82Bのうち前記パイロットポートに対応する配管を通じて前記左走行モータ32に導く。同様に、前記旋回制御弁70は、いずれかのパイロットポートへのパイロット圧の入力を受けることにより、前記作動油供給ライン62sを流れる作動油を前記第1配管70A及び前記第2配管70Bのうち前記パイロットポートに対応する配管を通じて前記旋回モータ30のポートに導き、前記アーム制御弁66は、いずれかのパイロットポートへのパイロット圧の入力を受けることにより、前記作動油供給ライン62sを流れる作動油を前記へッド側配管76H及び前記ロッド側配管76Rのうち前記パイロットポートに対応する配管を通じて
図2に示される前記アームシリンダ26のへッド側室26hまたはロッド側室26rに導く。
【0041】
前記第1及び第2開回路41,42に接続されるポンプ45,47,49,50のうち、各オープン型ポンプ45,47,49はタンク内の作動油を直接吸入して前記第1又は第2開回路41,42につながる油圧アクチュエータに供給することが可能である。これに対して旋回用閉回路ポンプ50は、旋回用閉回路40中に設けられているため、タンク内の作動油を直接吸入することはできないが、前記チャージポンプ52から前記旋回用閉回路40に供給される作動油を昇圧して前記第2閉回路42につながる各油圧アクチュエータに供給すること、つまり当該チャージポンプ52との協働により前記作動油の供給を行うこと、が可能である。従って、このように第2開回路42に作動油を供給するときの旋回用閉回路ポンプ50の容量は、前記チャージポンプ52から前記旋回用閉回路40に供給することが可能な作動油の流量以下に制限されるのが、よい。
【0042】
前記回路切換部は、前記各油圧アクチュエータに供給するために使用される回路の切換を可能にするものであって、第1状態と第2状態とを有する。前記第1状態は、前記各閉回路34,36,38,40を開通して前記第1及び第2開回路41,42を遮断することにより当該閉回路34,36,38,40を循環する作動油が前記第1アクチュエータ群に含まれるブームシリンダ24、アームシリンダ26、バケットシリンダ28及び旋回モータ30をそれぞれ動かすことを可能にする状態であり、前記第2状態は、前記各閉回路34,36,38,40を遮断して前記第1及び第2開回路41,42を開通することにより当該第1及び第2開回路41,42に接続される前記ポンプ45,47,49,50から前記各可変絞り弁である制御弁71,64,68,72,70,66を通じての前記各油圧アクチュエータへの作動油の供給を可能にする状態である。
【0043】
具体的に、当該回路切換部は、閉回路開閉弁84H,84R,86H,86R,88H,88R,90A,90Bと、開回路開閉弁91,92と、を含み、これらの開閉弁は例えば電磁切換弁により構成される。前記各閉回路開閉弁84H,84R,86H,86R,88H,88R,90A,90Bは、それぞれ、前記各閉回路34,36,38,40に含まれる前記配管34h,34r,36h,36r,38h,38r,40a,40bの開通及び遮断の切換を行うように作動し、前記各開回路開閉弁91,92はそれぞれ前記第1開回路41及び第2開回路42の開通及び遮断の切換、具体的には前記メインライン61,62の開通及び遮断の切換、を行う。従って、前記閉回路開閉弁84H,84R,86H,86R,88H,88R,90A,90Bが開くとともに前記開回路開閉弁91,92が閉じることにより、前記第1状態が形成され、逆に、前記閉回路開閉弁84H,84R,86H,86R,88H,88R,90A,90Bが閉じるとともに前記開回路開閉弁91,92が開くことにより、前記第2状態が形成される。
【0044】
この実施の形態に係る油圧駆動装置は、さらに、
図3に示す複数の操作器及びコントローラ110を備え、前記複数の操作器は、前記ブームシリンダ24について設けられるブーム操作器94と、前記アームシリンダ26について設けられるアーム操作器96と、前記バケットシリンダ28について設けられるバケット操作器98と、前記旋回モータ30について設けられる旋回操作器100と、前記左及び右走行モータ31,32についてそれぞれ設けられる左走行操作器101,102と、を含む。
【0045】
前記各操作器94,96,98,100,101,102は、前記運転室15内に設けられ、前記油圧アクチュエータのうち対応する油圧アクチュエータを動かすための操作を受ける操作部材、例えば操作レバー、と、当該操作部材の操作に対応した操作信号を生成して前記コントローラ110に入力する操作器本体と、を有する。
【0046】
前記コントローラ110は、
図3に示される回路切換制御部113と、各油圧アクチュエータの動作を制御するための複数のアクチュエータ制御部であるブーム制御部114、アーム制御部116、バケット制御部118、旋回制御部120、左走行制御部121及び右走行制御部122と、を有する。当該複数のアクチュエータ制御部114,116,118,120,121,122はそれぞれが容量調節部として機能することが可能である。
【0047】
前記回路切換制御部113は、前記各操作器94,96,98,100,101,102に与えられる操作に応じて、すなわち、当該各操作器94,96,98,100,101,102から入力される操作信号に応じて、前記回路切換部を第1状態と第2状態との間で切換える。具体的に、当該回路切換制御部113は、いずれの操作器も操作されないとき、及び、前記第1アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータに対応する操作器94,96,98,100のみが操作されるとき(換言すれば前記第2アクチュエータ群に含まれる走行操作器101,102がいずれも操作されないとき)は、前記回路切換部を第1状態にし、少なくとも前記走行操作器101,102が操作されるときは前記回路切換部を前記第2状態にする。
【0048】
前記ブーム制御部114は、前記ブーム18の動きを制御するために、前記ブーム用閉回路ポンプ44、前記ブーム用オープン型ポンプ45及びブーム制御弁64の操作を行う。具体的に、前記ブーム制御部114は、前記回路切換部が前記第1状態にあるとき、つまり閉回路の使用が選択されているとき、は前記ブーム用閉回路ポンプ44及び前記ブーム用オープン型ポンプ45の容量を前記ブーム操作器94に与えられた操作に対応した容量にし、前記回路切換部が前記第2状態にあるとき、つまり開回路の使用が選択されているとき、は前記ブーム用閉回路ポンプ44の容量を0にするとともに前記第1開回路41に接続される前記ブーム用オープン型ポンプ45の容量を開回路用容量、つまり当該第1開回路41を通じての各油圧アクチュエータへの作動油の供給に必要な流量を確保するための容量、に調節する。また、ブーム制御部114は、前記回路切換部が前記第2状態にあるときは、前記ブーム操作器94に与えられる操作に対応したストロークで前記ブーム制御弁64を作動させるべく、当該ブーム制御弁64の各パイロットポートと図示されないパイロット油圧源との間に介在する電磁比例減圧弁であるブーム操作弁124に指令信号を出力して当該ブーム制御弁64の当該パイロットポートに前記操作に対応したパイロット圧が入力されるようにする。
【0049】
前記アーム制御部116は、前記アーム20の動きを制御するために、前記アーム用閉回路ポンプ46、前記アーム用オープン型ポンプ47及びアーム制御弁66の操作を行う。具体的に、前記アーム制御部116は、前記回路切換部が前記第1状態にあるとき、つまり閉回路の使用が選択されているとき、は前記アーム用閉回路ポンプ46及び前記アーム用オープン型ポンプ47の容量を前記アーム操作器96に与えられた操作に対応した容量にし、前記回路切換部が前記第2状態にあるとき、つまり開回路の使用が選択されているとき、は前記アーム用閉回路ポンプ46の容量を0にするとともに前記第2開回路42に接続される前記アーム用オープン型ポンプ47の容量を開回路用容量、つまり当該第2開回路42を通じての各油圧アクチュエータへの作動油の供給に必要な流量を確保するための容量、に調節する。また、アーム制御部116は、前記回路切換部が前記第2状態にあるときは、前記アーム操作器96に与えられる操作に対応したストロークで前記アーム制御弁66を作動させるべく、当該アーム制御弁66の各パイロットポートと前記パイロット油圧源との間に介在する電磁比例減圧弁であるアーム操作弁126に指令信号を出力して当該アーム制御弁66の当該パイロットポートに前記操作に対応したパイロット圧が入力されるようにする。
【0050】
前記バケット制御部118は、前記バケット22の動きを制御するために、前記バケット用閉回路ポンプ48、前記バケット用オープン型ポンプ49及び前記バケット制御弁68の操作を行う。具体的に、前記バケット制御部118は、前記回路切換部が前記第1状態にあるとき、つまり閉回路の使用が選択されているとき、は前記バケット用閉回路ポンプ48及び前記バケット用オープン型ポンプ49の容量を前記バケット操作器98に与えられた操作に対応した容量にし、前記回路切換部が前記第2状態にあるとき、つまり開回路の使用が選択されているとき、は前記バケット用閉回路ポンプ48の容量を0にするとともに前記第1開回路41に接続される前記バケット用オープン型ポンプ49の容量を開回路用容量、つまり当該第1開回路41を通じての各油圧アクチュエータへの作動油の供給に必要な流量を確保するための容量、に調節する。また、バケット制御部118は、前記回路切換部が前記第2状態にあるときは、前記バケット操作器98に与えられる操作に対応したストロークで前記バケット制御弁68を作動させるべく、当該バケット制御弁68の各パイロットポートと前記パイロット油圧源との間に介在する電磁比例減圧弁であるバケット操作弁128に指令信号を出力して当該バケット制御弁68の当該パイロットポートに前記操作に対応したパイロット圧が入力されるようにする。
【0051】
前記旋回制御部120は、前記上部旋回体14の旋回動作を制御するために、前記旋回用閉回路ポンプ50及び旋回制御弁70の操作を行う。具体的に、前記旋回制御部120は、前記回路切換部が前記第1状態にあるとき、つまり閉回路の使用が選択されているとき、は前記旋回用閉回路ポンプ50の容量を前記旋回操作器100に与えられた操作に対応した容量にし、前記回路切換部が前記第2状態にあるとき、つまり開回路の使用が選択されているとき、は前記第2開回路42に接続される前記旋回用閉回路ポンプ50の容量を開回路用容量、つまり当該第2開回路42を通じての各油圧アクチュエータへの作動油の供給に必要な流量を確保するための容量、に調節する。ここで、前記旋回用閉回路ポンプ50は、前記のようにタンク内の作動油を直接吸引して吐出する機能は有しておらず、チャージポンプ52から補給される旋回用閉回路40内の作動油を昇圧して第2開回路42に供給するものであるから、前記旋回制御部52は、前記旋回用閉回路ポンプ50の容量を前記チャージポンプ52から前記旋回用閉回路40内に供給されることが可能な作動油の流量以下の容量に制限するのが、よい。
【0052】
また、旋回制御部120は、前記回路切換部が前記第2状態にあるときは、前記旋回操作器100に与えられる操作に対応したストロークで前記旋回制御弁70を作動させるべく、当該旋回制御弁70の各パイロットポートと前記パイロット油圧源との間に介在する電磁比例減圧弁である旋回操作弁130に指令信号を出力して当該ブーム制御弁64の当該パイロットポートに前記操作に対応したパイロット圧が入力されるようにする。
【0053】
前記左走行制御部121及び前記右走行制御部122は、前記回路切換部が前記第2状態にあるときの前記上部旋回体12の走行動作を制御するために、前記左走行制御弁71及び前記右走行制御弁72の操作をそれぞれ行う。具体的に、前記左走行制御部121及び右走行制御部122は、前記左走行操作器101及び前記右走行操作器102にそれぞれ与えられる操作に対応したストロークで前記左走行制御弁71及び右走行制御弁72を作動させるべく、当該左走行制御弁71及び右走行制御弁72の各パイロットポートと前記パイロット油圧源との間に介在する電磁比例減圧弁である左走行操作弁131及び右走行操作弁132にそれぞれ指令信号を出力して当該左走行制御弁71及び右走行制御弁72の当該パイロットポートに前記操作に対応したパイロット圧が入力されるようにする。
【0054】
図4は、前記コントローラ110が具体的に行う制御動作を示す。
【0055】
コントローラ110は、前記各操作器94,96,98,100,101,102から入力される各操作量(具体的には操作レバーの操作量であって操作方向に対応した正負も含む)の取り込みを行う(ステップS1)。そして、当該操作量に基づき、回路切換制御及びその切換に伴う各制御を行う。
【0056】
具体的に、コントローラ110の回路切換制御部113は、左走行操作器101及び右走行操作器102のいずれも操作されていないとき(ステップS2でNO)、具体的には両操作器101,102についての操作量がともに0とみなせる程度の低い閾値以下であるとき、換言すれば、いずれの操作器も操作されておらず、もしくは、第1アクチュエータ群に属する油圧アクチュエータについての操作器(ブーム操作器94、アーム操作器96、バケット操作器98及び旋回操作器100)のみが操作されているとき、コントローラ110の回路切換制御部113は、使用する回路として閉回路を選択すべく、回路切換部を第1状態にする。すなわち、前記回路切換制御部113は、閉回路開閉弁84H,84R,86H,86R,88H,88R,90A,90Bをいずれも開弁させて各閉回路34,36,38,40を開通する(ステップS3)とともに、第1及び第2開回路開閉弁91,92を閉弁させる(ステップS4)。一方、コントローラ110の各アクチュエータ制御部114,116,118,120,121,122は、選択されない第1及び第2開回路41,42に含まれるアクチュエータ制御弁64,66,68,70,71,72を中立位置にする(ステップS5)。
【0057】
さらに、ブーム操作器94、アーム操作器96、バケット操作器98及び旋回操作器100の少なくとも一つに対して操作が与えられたとき、その操作に対応するアクチュエータ制御部は、対応する油圧アクチュエータを当該操作に応じた速度で閉回路により作動させるべく、当該閉回路に係る油圧ポンプの容量を制御する(ステップS6)。例えば、ブーム操作器94に操作が与えられた場合、これに対応するアクチュエータ制御部であるブーム制御部114は、与えられた操作に対応する速度でブームシリンダ24を伸縮させるようにブーム用閉回路34中のブーム用閉回路ポンプ44の容量を調節するとともに、ブーム用オープン型ポンプ47が前記ブームシリンダ24のへッド側室24hとロッド側室24rとの間の面積差を吸収するように作動すべく当該ブーム用オープン型ポンプ47の容量を調節する。
【0058】
一方、前記回路切換制御部113は、左走行操作器101及び右走行操作器102の少なくとも一方が操作されたとき(ステップS2でYES)、具体的には、両操作器101,102についての操作量が前記閾値を上回るとき、換言すれば、走行操作器101,102のみが操作されるか、あるいは当該走行操作器101,102と他の操作器(第1アクチュエータ群に属する油圧アクチュエータに対応する操作器)94,96,98,100,101,102の少なくとも一つが同時に操作されたとき、使用する回路として開回路を選択すべく、回路切換部を第2状態にする。具体的に、前記回路切換制御部113は、閉回路開閉弁84H,84R,86H,86R,88H,88R,90A,90Bをいずれも閉弁させて各閉回路34,36,38,40を遮断する(ステップS7)とともに、第1及び第2開回路開閉弁91,92を開弁させる(ステップS8)。
【0059】
一方、コントローラ110のブーム制御部114、アーム制御部116、バケット制御部118及び旋回制御部120は、前記第1及び第2開回路41,42に接続されているポンプ45,47,49,50の容量を開回路用容量すなわち当該第1及び第2開回路41,42による油圧アクチュエータの駆動を可能にする容量に調節する(ステップS9)。さらに、各アクチュエータ制御部114,116,118,120,121,122のうち操作が与えられた操作器に対応するアクチュエータ制御部は、対応する油圧アクチュエータを当該操作に応じた速度で開回路により作動させるべく、当該油圧アクチュエータに対応するアクチュエータ制御弁を操作する(ステップS10)。例えば、左走行操作器101及び右走行操作器102の双方に操作が与えられた場合、左走行制御部121及び右走行制御部122は、与えられた操作に対応する速度で左走行モータ31及び右走行モータ32を回転させるべく、左走行操作弁131及び右走行操作弁132に指令信号を入力して左走行制御弁71及び右走行制御弁72を開弁作動させ、第1開回路41及び第2開回路42を通じて左走行モータ31及び右走行モータ32にそれぞれ作動油の供給を行わせる。
【0060】
以上のように、この装置では、第1アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータ(ブームシリンダ24、アームシリンダ26、バケットシリンダ28及び旋回モータ30)を動かすための閉回路34,36,38,40と、当該油圧アクチュエータさらには第2アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータ(左右走行モータ31,32)を動かすための第1及び第2開回路41,42と、を併有するとともに、前記閉回路34,36,38,40内で作動油を循環させるためのポンプセクションに含まれる油圧ポンプのうちのポンプ45,47,49,50が前記開回路41,42に流用されるので、第2アクチュエータ群に含まれる左右走行モータ31,32については閉回路用の油圧ポンプの具備を不要にしてポンプ総台数を減らしながら、開回路41,42に含まれる可変絞り弁であるアクチュエータ制御弁64,66,68,70,71,72の使用を最小限に抑えることにより当該可変絞り弁における圧力損失を減らして高い省エネルギー効果を得ることが可能である。
【0061】
具体的に、コントローラ110の回路切換制御部113は、走行操作、すなわち、第2アクチュエータ群に含まれる走行モータ31,32についての操作、が行われず、前記第1アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータ(ブームシリンダ24、アームシリンダ26、バケットシリンダ28及び旋回モータ30)のみについて操作が行われる場合は、回路切換部を第1状態にしてその操作が行われた油圧アクチュエータが閉回路で駆動されるようにすることにより、開回路に含まれる可変絞り弁(各アクチュエータ制御弁64,66,68,70,71,72)の使用を避けて当該使用による圧力損失をなくし、これにより高い省エネルギー効果を得ることを可能にする。
【0062】
一方、少なくとも走行操作が行われる場合、前記回路切換制御部113は、前記回路切換部を第2状態にすることにより、閉回路に接続されていない左走行モータ31及び右走行モータ32を第1及び第2開回路41,42によってそれぞれ駆動することを可能にする。つまり、当該左右走行モータ31,32について専用のポンプを装備することなく、当該左右走行モータ31,32を駆動することが可能である。このことは、必要なポンプ台数を減らしてコストの低減を可能にするとともに、前記のように共通のエンジンに複数のポンプが連結されている場合に不使用のポンプが使用されているポンプと連れ回りさせられることによるエネルギーロスを低減して前記省エネルギー効果をさらに高めることを可能にする。
【0063】
前記省エネルギー効果の促進は、この第1の実施の形態及び以下の実施の形態のように、前記第1アクチュエータ群が少なくとも一つの作業用油圧アクチュエータ(前記実施の形態では各シリンダ24,26,28)を含み、第2アクチュエータ群が少なくとも一つの走行用油圧アクチュエータ(前記実施の形態では左右走行モータ31,32)を含むことにより、さらに顕著となる。すなわち、前記作業用油圧アクチュエータは前記走行用油圧アクチュエータに比べて作動頻度が高いため、当該作業用油圧アクチュエータを閉回路すなわち絞り要素を要しない回路によって駆動することは省エネルギー効果の向上に効果的である。一方、作業用油圧アクチュエータと走行用油圧アクチュエータを同時に動かす場合には、双方の油圧アクチュエータの駆動について可変絞り弁であるアクチュエータ制御弁での圧力損失が生じるが、このような走行用油圧アクチュエータと作業用油圧アクチュエータの同時操作はまれであり、よって省エネルギー効果に与える影響は小さい。このように、前記作業用油圧アクチュエータよりも省エネルギー効果の向上の要請が低い走行用油圧アクチュエータを第2アクチュエータ群に含ませてその駆動に作業用油圧アクチュエータの閉回路のための油圧ポンプを流用することは、前記省エネルギー効果を有効にしながら油圧ポンプの必要台数の削減を図ることを可能にする。
【0064】
前記回路切換部の構成は、
図1に示すものに限定されない。例えば、第2状態つまり開回路が選択された状態を実現にあたって閉回路を遮断するための手段として、前記第1の実施の形態に係る閉回路34,36,38の配管34h,34r,36h,36r,38h,38r中に設けられる閉回路開閉弁84H,84R,86H,86R,88H,88Rに代え、閉回路ポンプ44,45,47,49の容量(押しのけ容積)を0にする制御とともに、第2の実施の形態として
図5に示すように、各閉回路34,36,38と当該閉回路34,36,38に係るオープン型ポンプ45,47,49との間にそれぞれ開閉弁85,87,89を設けて開回路使用時(第2状態選択時)に当該開閉弁85,87,89を閉じるようにしてもよい。この第2の実施の形態においても、前記第1の実施の形態と同じく、前記オープン型ポンプ45,47,49が吐出する作動油を専ら第1開回路41または第2開回路42に供給することができる。
【0065】
図6及び
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る油圧駆動装置を示す。この第3の実施の形態に係る装置は、次の点においてのみ、前記第1の実施の形態に係ると相違する。
【0066】
(A)閉回路におけるロッド付油圧シリンダの面積差を吸収する手段について
第3の実施の形態に係る装置では、第1の実施の形態に係るオープン型ポンプ45,47,49が省略されている。さらに、ロッド付油圧シリンダであるブームシリンダ24、アームシリンダ26及びバケットシリンダ28の面積差を吸収するための手段として、第1の実施の形態に係るチャージ用チェック弁53がそれぞれパイロットチェック弁184,185,186,187,188,189に置換されるとともに、チャージポンプ52と並設されるチャージ用アキュムレータ123が装備される。
【0067】
前記パイロットチェック弁184,185,186,187,188,189は、前記ブーム用閉回路34のへッド側配管34h及びロッド側配管34r、前記アーム用閉回路36のへッド側配管36h及びロッド側配管36r、並びにバケット用閉回路38のへッド側配管38h及びロッド側配管38rに、それぞれ接続される。当該パイロットチェック弁184〜189は、前記各配管34h,34r,36h,36r,38h,38rからタンクへの作動油の逆流を阻止するというチェック弁本来の機能に加え、各閉回路において当該パイロットチェック弁が接続されている配管と反対側の配管(例えばブーム用閉回路34のヘッド側配管34hに接続されているパイロットチェック弁184の場合は当該ブーム用閉回路34のロッド側配管34r)の圧力をパイロット圧として取り込み、当該パイロット圧が一定以上であると前記逆流を許容するように開弁する機能を有する。
【0068】
この装置では、前記各閉回路34,36,38のへッド側及びロッド側配管に接続されるパイロットチェック弁184〜189と、前記チャージ用アキュムレータ123と、の組み合わせが、各シリンダ24,26,28のへッド側室24h,26h,28hとロッド側室24r,26r,28rとの面積の差を吸収することを可能にする。例えば、ブーム18を下げ方向に動かすためにブームシリンダ24を収縮させる場合、当該ブームシリンダ24のへッド側室24hから作動油が排出されるとともにロッド側室24rに作動油が吸入され、このときにロッドの面積分だけ前者の作動油の排出の流量が後者の作動油の吸入の流量よりも多くなるが、この流量差は、ロッド側配管34rからのパイロット圧の上昇に伴ってへッド側配管34hに接続されたパイロットチェック弁184が開いて余剰油をチャージ用アキュムレータ123に蓄えさせることにより、吸収される。逆に、ブーム18を上げ方向に動かすためにブームシリンダ24を伸長させる場合、当該ブームシリンダ24のへッド側室24hに作動油が吸入されるとともにロッド側室24rから作動油が排出されて、ロッドの面積分だけ前者の作動油の吸入の流量が後者の作動油の排出の流量よりも多くなるが、この流量差は、前記チャージ用アキュムレータ124または前記チャージポンプ52から前記パイロットチェック弁184を通じて作動油が補給されることにより、吸収される。
【0069】
(B)開回路に接続される油圧ポンプについて
前記第1の実施の形態に係る装置では、ブーム用及びバケット用オープン型ポンプ45,49がブーム制御弁64及びバケット制御弁68を含む第1開回路41に接続され、アーム用オープン型ポンプ47及び旋回用閉回路ポンプ50がアーム制御弁66及び旋回制御弁70を含む第2開回路42に接続されているのに対し、第3の実施の形態に係る装置では、アーム用閉回路ポンプ46が前記第1開回路41に接続され、旋回用閉回路ポンプ50が前記第2開回路42に接続されている。
【0070】
つまり、この第3の実施の形態では、前記アームシリンダ26を駆動するためのアーム用閉回路ポンプ46が前記第1及び第2開回路41,42のうち前記アームシリンダ26を制御するための前記アーム制御弁66を含まない前記第1開回路41に接続され、逆に、当該アーム制御弁66を含む前記第2開回路42は前記アーム用閉回路ポンプ46に接続されずに前記旋回用閉回路ポンプ50に接続されている。
【0071】
このことは、前記回路切換部が、前記閉回路34,36,38,40を開通して前記第1及び第2開回路41,42を遮断する前記第1状態と、前記閉回路34,36,38,40を遮断して前記第1及び第2開回路41,42を開通する前記第2状態と、に加え、前記第1閉回路42のみを遮断して前記アーム用閉回路ポンプ46に対応するアーム用閉回路36及び前記第2開回路62の双方を開通することにより、当該アーム用閉回路36に前記アームシリンダ26を動かすための作動油を循環させると同時に当該第2開回路62を通じて前記アームシリンダ26に作動油が供給されることを可能にする第3状態を有することを可能にする。この第3状態では、前記アーム用閉回路36を循環する作動油と前記旋回用閉回路ポンプ50から第2開回路62を経由する作動油の双方が前記アームシリンダ36に供給される、すなわち合流する、ことにより、当該アームシリンダ36の増速を可能にする。
【0072】
なお、前記アーム用及び旋回用閉回路ポンプ46,50はタンクから直接作動油を吸引する機能を有しないが、前記第1の実施の形態に係る旋回用閉回路ポンプ50と同様、前記チャージポンプ52から前記アーム用及び旋回用閉回路36,40に供給される作動油を第1及び第2開回路41,42に供給することが可能である。
【0073】
前記アームシリンダ36の増速は、実質上当該アームシリンダ36についての操作のみが行われている時、つまり実質上アーム単独操作とみなせるような操作が行われている時、に行うことが好ましい。この実質上のアーム単独操作とは、アーム操作器96に対してのみ操作が与えられることに加え、当該アーム操作器96に与えられる操作と比較して旋回操作器100に与えられる操作が微小であること、例えば旋回操作器100に与えられる操作が予め設定された閾値以下であること、を含んでもよい。従って、コントローラ110の回路切換制御部113は、前記実質上のアーム単独操作が行われている場合に前記回路切換部を前記第3状態にすることが好ましい。
【0074】
その制御動作の例を
図8のフローチャートに示す。このフローチャートにおいて、ステップS1〜S10の動作は
図4のフローチャートのそれと同等である。
図8のフローチャートでは、さらに、走行操作がない場合(ステップS2でNO)において実質アーム単独操作が行われている場合に(ステップS11でYES)、回路切換部を第1状態ではなく第3状態にする動作が行われる。
【0075】
具体的に、コントローラ110の回路切換制御部113は、各閉回路開閉弁を開くのに加え、第1開回路開閉弁91は閉じるが第2回路開閉弁92は開く(ステップS12)。さらに、この第3状態での前記第2開回路42を通じてのアームシリンダ26への作動油の供給を可能にすべく、旋回用閉回路ポンプ50の容量を開回路用容量に調節する(ステップS13)とともに、アーム操作器96及び旋回操作器100に与えられる操作の量に対応してアーム制御弁66及び旋回制御弁70を操作する(ステップS14)。ここで、前記旋回モータ30に求められる速度は微小であるため、旋回用閉回路ポンプ50の吐出する作動油の大部分がアームシリンダ26に供給されても旋回駆動に支障がない。
【0076】
本発明に係る装置は、少なくとも閉回路及び開回路を併有するものであればよく、当該閉回路及び開回路以外の回路を含むことを妨げない。その例を第4の実施の形態として
図9に示す。
【0077】
この第4の実施の形態に係る装置は、旋回モータ30を駆動するための回路として、第1の実施の形態に係る旋回用閉回路40に代え、いわゆるセカンダリ回路140を備えている。具体的には、前記第1の実施の形態に係る旋回用閉回路ポンプ50及び旋回モータ30に代えて旋回用オープン型ポンプ150及び旋回用モータ/ポンプ160が装備される。この旋回用ポンプ/モータ160は、油圧ポンプとしての機能と油圧モータとしての機能とを併有するように容量の切換が可能な油圧機器である。前記旋回用オープン型ポンプ150は第1の実施の形態の旋回用閉回路ポンプ50と同じく第2開回路42のライン60に接続され、前記旋回用モータ/ポンプ160はライン162を介して前記第2開回路42中の旋回制御弁70Aに接続されている。
【0078】
このセカンダリ回路140では、当該旋回用オープン型ポンプ150と当該旋回用モータ/ポンプ160との間に開閉弁142が設けられる。また、当該開閉弁142と前記旋回用オープン型ポンプ150との間には回生用のアキュムレータ144が設けられる。
【0079】
前記第1状態、つまり他の作業用アクチュエータの閉回路開閉弁74H,74R,76H,76R,78H,78Rが開かれる状態、では前記開閉弁142も同様に開弁される。ここで、旋回加速時には、前記旋回用モータ/ポンプ160が油圧モータとして機能し、前記旋回用オープン型ポンプ150及び前記アキュムレータ144からの作動油の供給を受けることにより上部旋回体14を旋回させる。逆に、旋回減速時には、前記旋回用モータ/ポンプ160が油圧ポンプとして機能し、タンク内の作動油を吸引してアキュムレータ144に導入することにより、当該旋回減速時のエネルギーの回生を可能にする。しかも、前記セカンダリ回路140は可変絞り弁を含まないので、他の閉回路34,36,38と同様に、省エネルギー効果の向上に寄与することが可能である。
【0080】
前記第2状態、つまり他の作業用アクチュエータの閉回路開閉弁74H,74R,76H,76R,78H,78Rが閉じられる状態、では前記開閉弁142も同様に閉弁される。この状態で、旋回用オープン型ポンプ150は第2開回路42への作動油の供給に寄与することができる。また、この第2状態で前記旋回制御弁70Aが操作されることにより、当該第2開回路42に供給される作動油によって旋回用モータ/ポンプ160が油圧モータとして駆動されることが可能である。
【0081】
本発明において、前記第1アクチュエータ群及び前記第2アクチュエータ群に含まれる油圧アクチュエータの個数は問わず、例えば単一の油圧アクチュエータのみが第1アクチュエータ群または第2アクチュエータ群に含まれてもよい。また、開回路についても、前記のように複数の開回路を備えるものに限らず、単一の開回路のみを備えるものでもよいし、当該開回路において複数の可変絞り弁が直列ではなく並列に配置されてもよい。ただし、前記第1及び第2開回路41,42のように互いに異なる油圧ポンプに接続される複数の開回路を併有することは、一つの油圧アクチュエータに対して供給される作動油の流量の増減が他のアクチュエータの動きに与える影響を小さくすることを可能にする。
【0082】
また、本発明に係る各操作器は、前記のような電気式の操作器に限らない。例えば、レバーの操作に対応したパイロット圧を直接前記各アクチュエータ制御弁に供給するリモコン弁であってもよい。この場合、当該パイロット圧を検出するパイロット圧検出器を装備すること、及び、その検出信号を回路切換制御部に入力すること、によって、当該回路切換制御部が前記各操作に応じて回路切換部を第1状態と第2状態とに切換えることが可能になる。