特許第6539591号(P6539591)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6539591殺生物組成物、及び水又は水と接触する表面の処理方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6539591
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】殺生物組成物、及び水又は水と接触する表面の処理方法。
(51)【国際特許分類】
   A01N 33/04 20060101AFI20190625BHJP
   A01N 43/16 20060101ALI20190625BHJP
   A01N 61/00 20060101ALI20190625BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20190625BHJP
   A01P 9/00 20060101ALI20190625BHJP
   C02F 1/50 20060101ALI20190625BHJP
   C09D 5/14 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   A01N33/04
   A01N43/16 A
   A01N61/00 D
   A01P3/00
   A01P9/00
   C02F1/50 510C
   C02F1/50 532D
   C02F1/50 532E
   C02F1/50 540B
   C02F1/50 532C
   C02F1/50 532J
   C02F1/50 532B
   C09D5/14
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-562287(P2015-562287)
(86)(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公表番号】特表2016-516684(P2016-516684A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】FR2014050589
(87)【国際公開番号】WO2014140498
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年2月15日
(31)【優先権主張番号】1352262
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519175891
【氏名又は名称】テルマノクス・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Termanox B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ ファンラール
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ゲゼネック
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ ジルバエール
【審査官】 鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−095517(JP,A)
【文献】 特表2009−533384(JP,A)
【文献】 特開2010−229086(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/001164(WO,A1)
【文献】 特開平08−276188(JP,A)
【文献】 特開平04−360819(JP,A)
【文献】 特開平02−016289(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/028826(WO,A1)
【文献】 特開平10−077202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 33/04
A01N 43/16
A01N 61/00
A01P 3/00
A01P 9/00
C02F 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の殺生物活性化合物、及び少なくとも1種の非イオン性又はアニオン性の菌体外多糖(EPS)を含有する殺生物組成物であって、
前記殺生物活性化合物が下記式II:
【化1】
{式中、Rは直鎖又は分岐状のC〜C18のアルキル鎖である。}
の少なくとも1のトリアミンから選ばれ、
記殺生物組成物が、該殺生物組成物の全質量に対する質量基準で:
0.5%〜25%の前記殺生物化合物、及び
0.1%〜10%の前記菌体外多糖
を含むことを特徴とし、ここで前記菌体外多糖が、30%超の中性糖、1〜70%の酸性糖、及び30%未満のアミノ糖を、EPS中の糖の総数に対する糖の数として含むEPSデキストランから選ばれる、前記殺生物組成物。
【請求項2】
前記EPSデキストランが、90%の中性糖及び5%酸性糖を、EPS中の糖の総数に対する糖の%として含むEPS GG(商標)である、請求項1に記載の殺生物組成物。
【請求項3】
式IIの前記殺生物化合物が、
N,N−ビス(3−アミノプロピル)オクチルアミン及びN,N−ビス(3−アミノプロピル)ドデシルアミン、又はこれらの混合物
から選択される、請求項1又は2に記載の殺生物組成物。
【請求項4】
前記式IIによる殺生物化合物がN,N−ビス(3−アミノプロピル)ドデシルアミンである、請求項3に記載の殺生物組成物。
【請求項5】
前記式IIの殺生物性化合物が、前記殺生物組成物の全質量に対する質量基準で、5〜25%存在し、そして
前記菌体外多糖が、前記殺生物組成物の全質量に対する質量基準で、0.5%〜8%存在する、請求項1〜のいずれか一項に記載の殺生物組成物。
【請求項6】
前記式IIの殺生物性化合物が、前記殺生物組成物の全質量に対する質量基準で、9〜25%存在し、そして
前記菌体外多糖が、前記殺生物組成物の全質量に対する質量基準で、0.5%〜5%存在する、請求項1〜のいずれか一項に記載の殺生物組成物。
【請求項7】
水中又は水と接触する表面上の微生物及びマクロ生物の成長抑制及び/又は除去のために、水及び前記水と接触する表面を処理する方法であって、
請求項1〜のいずれか一項に記載の殺生物組成物を、前記水中に注入すること、及び/又は前記表面に適用することを特徴とする、前記方法。
【請求項8】
殺生物組成物を断続的に水中に注入することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項9】
殺生物組成物を連続的に水中に注入することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも殺生物組成物を粉末状フィラーと混合し、得られた混合物を顔料として用いて塗料を調製し、そして該塗料を水と接触する表面に適用することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項11】
水中又は水と接触する表面上から、生物学的皮膜、微生物及び/又はマクロ生物の成長抑制及び/又は除去のための方法であって、請求項1〜のいずれか一項に記載の殺生物組成物の有効量で、水、又は表面を処理することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水及び/又は水と接触する表面の処理の分野に関する。
【0002】
本発明は特に、水中又は水と接触する表面上の微生物及びマクロ生物の成長抑制及び/又は除去のために、非イオン非イオン性又はアニオン性の菌体外多糖と組み合わされた殺生物剤を含有する殺生物組成物を提案する。
【0003】
本発明は、前記殺生物組成物を用いて水及び/又は水と接触する表面を処理する方法、並びに、水を循環又は貯蔵する産業装置を処理するための前記殺生物組成物の使用も提案する。
【背景技術】
【0004】
多くの産業において、淡水(小川、河川、湖、天然貯水池又はダム、掘削孔又は井戸の水)又は塩水(海水又はブライン)が使用されている。この水は、例えば、消防用水回路中、ボイラー水回路、冷却水回路中、船舶用バラスト水中で、又は海上プラットフォーム若しくは風力タービン中で、使用されている。これらの水は、これら産業装置において、開放された又は閉鎖されたヘッドスペースを有するダクト中を循環している。この循環が開放回路中で行われるときには、水は例えば河川から取水され、次いで下流に廃棄される。一方、水が閉鎖及び/又は半閉鎖回路を循環するときには、水は通常数回再利用される。
【0005】
しかし、水が循環し、或いは貯蔵される(水性又は湿式媒体)これら装置の表面上で微生物が急速に成長し、これらの表面上で該微生物が生物学的又は細菌性皮膜を形成することが通常である。
【0006】
この生物学的皮膜はバイオフィルムとしても知られており、互いに及び表面上に付着した、特に細菌、藻類、原虫、及び菌類等の微生物の群から成る。バイオフィルムの形成は、事実上、特に鉱物、金属、ガラス、又は合成樹脂表面等の多くの種類の表面に付着し得るマトリクスの分泌によって特徴付けられる。
【0007】
この望ましくないバイオフィルムの付着現象では、いくつかの工程が順番に起こる:
1.第1に、表面を調整する初期フィルムの形成がある。この初期フィルムは、媒体中に存在する有機物から形成される。
2.次に、微生物が可逆的な粘着によって上記初期フィルムに付着し始める(非共有結合性又は弱い化学結合)。
3.次いで、その後の、より広範な微生物のコロニー形成のアンカーポイントを構成する糖質性細胞外ポリマー又はタンパク質若しくは糖タンパク質の生成によって、微生物の付着が容易となるため、微生物の付着は恒久的となる。表面上に恒久的に付着した微生物のフィルムは、本発明における意味のバイオフィルムを構成する。
4.最後に、バイオフィルムによる表面のコロニー化が、長期的には、広大なコロニーを形成することのできる動物界に属するマクロ生物の付着をもたらす。これらのマクロ生物は、ムラサキガイ及び牡蛎等の軟体動物;カンザシゴカイ;フジツボ等の甲殻類;ヒドロイデア(hydroidea)及び外肛動物等であることができる。
【0008】
しかし、微生物又はマクロ生物、以下において生物付着と称する、の生物学的コロニー形成は、産業面及び環境面の双方において、数々の結果をもたらす。
【0009】
例えば、産業装置中におけるバイオフィルムの存在は、該バイオフィルムを構成する微生物の物理的存在及び代謝と関連する、部分的な腐食の原因となり得る。これに対して、マクロ生物は水と接触する装置の表面上に外殻(堆積物)を形成することができる。ここで、これらの外殻は除去することが困難であり、多くの場合には、装置を停止し、内容水を空にし、そして前記外殻を機械的に又は手動により除去することが必要となる。更に、生物付着の存在は、一般的に水のフローレートの減少(流体のスループットに対する抵抗)、及び産業装置、例えば熱交換器、の歩留まりの実質的な損失を誘発する。最後に、水を有する装置内部、及び特に船舶用バラスト水、における生きている生物の移動は、侵略的な種、例えばゼブラガイ(zebra mussels)や、コレラ菌等の病原体種を拡散させる原因となり得る。
【0010】
この生物付着を抑制し及び/又は駆除する目的で、従来技術においていくつかの解決方法が提案されている。
【0011】
先ず、水処理のために多くの「殺生物性」化合物が使用された。
【0012】
これらの殺生物剤は、塩素、臭素、ヨウ素、塩化カリウム、次亜塩素酸及びそのナトリウム若しくはカルシウム塩、次亜臭素酸、ジクロロ−及びトリクロロイソシアヌル酸塩、又はハロゲン化ヒダントイン等の、ハロゲン又はハロゲン化有機若しくは無機誘導体を含有することが通常である。しかし、これらの化合物は、腐食性であり、水に含有される有機化合物とともに潜在的に毒性の有機ハロゲン化合物を形成するという欠点を有する。
【0013】
過酸化物誘導体及びフェノール性誘導体、これらの重金属又は有機誘導体、ホルムアルデヒド、安息香酸、及び安息香酸塩等の、注入又は被覆による接触によって処理するための他の化合物も提案されている。しかし、これらの多くは、毒性若しくは腐食性の残滓を残すか、又は処理水中の生物分解が困難な残滓を残す。
【0014】
従来技術では、溶液中、又は任意的に有機溶媒を含有する分散体の水相中で使用することのできる殺生物剤も知られている。この場合、これらは処理すべき水中に注入されるのが通常である。しかし、ある場合、特に保護すべき表面が水の量に比べて非常に小さい場合には、これらは材料中に組み入れられる。この材料は、例えば艇体等の保護すべき表面に塗布されて、該水と接触する表面を処理する塗料に対応することができる。
【0015】
このために、仏国特許公開第1601304号には、脂肪族モノアミン及びポリアミンを含有し、保護が要求される水と接触する表面上に堆積させて保護することを意図する殺藻性コーティングが記載されている。欧州特許公開第0017611号により、脂肪族アミンが微生物を駆除することができ、そうして生物学的皮膜を駆除する能力を有することも知られている。欧州特許公開第0716045号にも、水中又は水と接触する表面上の生物学的なマクロ汚染を防除するために、いくつかの脂肪族アミンを使用することが記載されている。仏国特許第2914822号には、線虫類、細菌、又は菌類を無力化するためのトリアミンを含有するプラント保護組成物を使用することが記載されている。
【0016】
更に、国際公開第2012/001164号には、表面への微生物の付着を抑制するために菌体外多糖を使用することが記載されている。
【0017】
従来技術では、様々の用途のために、殺生物剤を不活性又は調質性のポリマーと組み合わせて使用できることも知られている。
【0018】
米国特許第5108504号には、例えば、調質剤及び安定剤として0.05質量%〜0.75質量%の間の濃度の多糖を、任意的に、保存料として機能するグルタルアルデヒド等の殺生物剤0.1質量%〜0.4質量%の存在下に使用する、インクジェットプリンタのためのインク組成物が記載されている。
【0019】
米国特許第4908209号には、殺生物剤としてのリン酸エステル、及び中性ポリマー(ゼラチン)若しくは合成ポリマーの形態の不活性媒体を含有する殺生物組成物が記載されている。この不活性媒体は、殺生物剤を長期にわたって徐々に放出することを可能とする。
【0020】
同様に、国際公開第2010/148158号は、不活性担体(ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ベントナイト、ケイ藻土)中にマイクロカプセル化された殺生物剤を含有する製剤(分散体)を提供する。この製剤は、殺生物剤のもともとの特性を変更することなしに分散体の粘度を向上するための増粘剤によって安定化されている。この増粘剤は、例えばキサンタンガムであってよい。
【0021】
米国特許公開第2010/029530号には、非イオン性界面活性剤のC〜C18アルキル多糖と、窒素を含む界面活性殺生物剤(2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパノール又は2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等)との組み合わせを含有する、外科用器具又は他の機器を除染するための洗剤溶液が記載されている。
【0022】
加国特許第2590507号には基板洗浄のための抗菌性組成物が記載されている。この組成物は、特に、質量/質量基準で、4級化合物等の抗菌剤3%〜50%と、界面活性剤4%〜50%と、芳香剤0.5%〜20%と含有する。
【0023】
国際公開第03/021111号には、流水及び該流水と接触する表面を処理するための方法が記載されている。該方法は、流体力学的摩擦を減少する性質を有する分子量の高い高分子量化合物の少なくとも1種と、殺生物性を有するアルキル又はアルケニル鎖を持つモノアミン又はポリアミン化合物の少なくとも1種とを、全体として前記水中に導入することを特徴とする。生成物はエマルジョンの形態である。
【0024】
国際公開第2012/151555号には、バイオフィルムの形成を防止するためにポリアミンを使用することが記載されている。
【0025】
従って、水中又は水と接触する表面上の微生物及びマクロ生物の成長抑制及び/又は除去のために、従来の処理方法に対して別のアプローチを開発する真の必要がある。
【0026】
特に、開放又は閉鎖回路中を水が循環する産業装置において便利に使用することができ、特に下記:
−生物付着に起因する腐食であろうと、O若しくは塩化物等の水中に含有される化学生成物に起因する腐食であろうと、水と接触する表面の腐食を促進せず、又は理想的にはこれを抑制し、
−生物学的皮膜の生成及びマクロ生物のコロニーの成長を抑制し、
−フローラ及び動物相を駆除し得る濃度で使用した後に、当該産業装置の下流の水中に毒性又は腐食性の残滓を残さず、従って環境を保護する、
との特性を有する新規な殺生物組成物を見出すべき現在進行中の要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
従って本発明の目的は、上述の欠点のすべて又はいくつかを回避する新規な殺生物組成物を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
この目的のため、本発明の1つの主題は、少なくとも1種の殺生物活性化合物、及び少なくとも1種の非イオン性又はアニオン性の菌体外多糖(EPS)を含有する殺生物組成物であって、
前記殺生物活性化合物が下記式I:
【化1】
{式中、Rは炭素原子数2〜16の直鎖又は分岐鎖を有するアルキルアミンラジカル(アルキル鎖を有する−NH末端基)を表し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルキル鎖を表し、そしてRは、Rとは独立に、炭素原子数2〜16の直鎖若しくは分岐鎖を有するアルキルアミンラジカル、又はラジカル−CH−CH−CH−NH−R(式中、Rは、デシル、ステアリル、オレイル、リシノレイル、リノレイル、ラウリル、ミリスチル、カプリル、若しくはパルミチル鎖等の炭素原子数4〜20、好ましくは8〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪酸鎖、又は例えばコプラ、タロウ、若しくはココナツ鎖等のC〜C20、好ましくはC〜C18のアルキル鎖の混合物である。)を表す。}によるトリアミンのうちの少なくとも1種から選択され、前記殺生物組成物が、該殺生物組成物の全質量に対する質量基準で0.5%〜90%の前記殺生物性化合物、及び0.1%〜10%の前記菌体外多糖を含有することを特徴とする、前記殺生物組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明者らは、特定の殺生物性化合物を、多糖、特に菌体外多糖(EPS)と組み合わせて、殺生物組成物を開発することが可能であった。菌体外多糖は、抗菌効果を有さず、殺生物活性も有さない。しかし、驚くべきことに予想外にも、本発明者らは菌体外多糖が
本発明による殺生物組成物の殺生物活性を増加することが可能であることを発見した。具体的には、予想外にも、式Iのトリアミンを含有する殺生物組成物に少なくとも1種の菌体外多糖を添加すると、相乗効果によって該組成物の殺生物活性を増加することが可能となった。
【0030】
如何なる理論による拘束も意図しないが、本願出願人は、本発明の殺生物組成物が初期フィルムの有機物質又は有機生命体(単細胞又は多細胞)の膜に対する妨害を行うことを提唱する。特に、親油性の長鎖及び親水性の極を有するトリアミン化合物等の両親媒性物質は、膜を貫通するイオン及びガスの移動の改変を誘発して、これら有機生命体の生体膜を破壊すると考えられる。このメカニズムは、親油性鎖がこの生体膜を構成するリン脂質の構造に近い構造を有する事実によるものと考えられる。
【0031】
本発明の文脈において、「初期フィルム」の語は、タンパク質又はタンパク質フラグメント、炭水化物、脂質、例えば鉱物塩等の周囲媒体から得られた鉱物質物質で構成される調整フィルム(conditioning film)を意味する。この初期フィルムは細菌の付着を誘発する。
【0032】
「バイオフィルム」の語は、可逆的な第一段階において前記初期フィルムに付着した微生物、一般的には細菌のフィルムを意味し、後に不可逆の付着となる。本発明の目的との関係では、バイオフィルムは微生物から成る。従って、表面に付着したマクロ生物は、本発明の意味におけるバイオフィルムを構成しない。
【0033】
同様に、特記ない限り、本発明における「X〜Y」又は「X及びY」の間の数値範囲は、値X及びYを含むものとして理解される。
【0034】
本発明による殺生物組成物は、好ましくは水性組成物であり、「有害生物の活動を抑制し、又は化学的若しくは生物学的活動に基づく他の手段によって有害生物を除去しようと努めるために、該有害生物(例えば微生物又はマクロ生物)を駆除し、撃退し、又は無害化するための、活性物質を含有する又は調合品を含有する」生成物として定義される(89/8/EC指令 第2条)。
【0035】
第1の形態によると、本発明の殺生物組成物に好適な式1の殺生物性化合物としては、下記式II:
【化2】
{式中、Rは直鎖又は分岐状のC〜C18、好ましくはC〜C16、より好ましくはC〜C14のアルキル鎖である。}に該当するものが好ましい。
【0036】
本発明の殺生物性化合物として好適な式IIの化合物は、N,N−ビス(3−アミノプロピル)オクチルアミン及びN,N−ビス(3−アミノプロピル)ドデシルアミン、又はこれらの混合物から有利に選択される。
【0037】
特に、N,N−ビス(3−アミノプロピル)ドデシルアミンが好ましい(EINECS No.:219−145−8及びCAS No.:2372−82−9)。この化合物は、例えば、Akzo−Nobel社からTriameen(登録商標)Y12D及びTriameen(登録商標)Y12D−30のブランド名で、又はLonza社からLonzabac(登録商標)12.30のブランド名で、市販されている。
【0038】
第2の異なる実施態様によると、本発明の殺生物組成物に好適な式Iの殺生物性化合物としては、下記式III:
【化3】
{式中、Rはラジカル−CH−CH−CH−NH−R(式中、Rは、上記のとおり、デシル、ステアリル、オレイル、リシノレイル、リノレイル、ラウリル、ミリスチル、カプリル、若しくはパルミチル鎖等の炭素原子数4〜20、好ましくは8〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪酸鎖、又は例えばコプラ、タロウ、若しくはココナツ鎖等のC〜C20、好ましくはC〜C18のアルキル鎖の混合物である。)を表す。}に該当するものが好ましい。
【0039】
本発明の殺生物性化合物としての使用に好適な式IIIの化合物は、N1−ステアリルジプロピレントリアミン、N1−オレイルジプロピレントリアミン(CAS No.:28872−01−7)、N1−ココイルジプロピレントリアミン(CAS No.:91771−18−5)、N1−タロウジプロピレントリアミン(CAS No.:61791−57−9)、又はこれらの混合物から有利に選択される。
【0040】
特に、N1−ココイルジプロピレントリアミン及びN1−タロウジプロピレントリアミンが好ましい。
【0041】
本発明によると、式Iの殺生物性化合物は、殺生物組成物の全質量に対して、質量基準で、0.5〜90%、好ましくは5%〜30%、より好ましくは9%〜25%、更に好ましくは12%〜17%存在する。
【0042】
殺生物組成物は、式Iのトリアミンとは異なる好ましくは水溶性の他の殺生物性化合物を含有していてもよい。
【0043】
この他の殺生物性化合物は、例えば以下に該当するものであることができる:
−人間衛生のための殺生物性生成物、例えば:塩化ベンゼトニウム、;臭化テトラドニウム;塩化キシレノール;硝酸銀;N,N’−(デカン−1,10−ジイルジ−1(4H)−ピリジル−4−イリデン)ビス(オクチルアンモニウム)ジクロリド;
−民間部門及び公衆衛生部門において使用される消毒剤、並びに他の殺生物剤、例えば、安息香酸ベンジル;カリウムジメチルジチオカルバメート;チウラム;ジラーム;チアベンダゾール;サリチル酸;銀;銅;4級アンモニウムイオン、ベンジル(C12〜18アルキル)ジメチルの化合物、ベンズイソチアゾール−1,2−オン−3(2H)1,1−ジオキシド塩(1:1);
−食料品及び動物の餌と接触する表面のための消毒剤、例えば、N−(3−アミノプロピル)−N−ドデシルプロパン−1,3−ジアミン;塩化ジデシルジメチルアンモニウム;塩化銀;4級アンモニウムイオン、ベンジル(C12〜18アルキル)ジメチルの化合物、塩化物;ジクロロフェン;4級アンモニウムイオン、(C12〜14アルキル)[(エチルフェニル)メチル]ジメチルの化合物、塩化物;
−冷却及び製造システムに使用される液体保護製品、例えば、N−(3−アミノプロピル)−N−ドデシルプロパン−1,3−ジアミン;一酸化二銀;ポリヘキサメチレンビグアニド;2−塩化アセタミド;4,5−ジクロロ−2−オクチル−2H−イソチアゾール−3−オン;ドデシルグアニジン、モノ塩化水素酸塩;クロロトルロン;プロメトリン;ベンゾチアゾール−2−チオール;4級アンモニウム化合物(ジアルキルジメチル(飽和又は不飽和のC〜C18アルキル、並びに硫黄アルキル、ココイルアルキル、及び大豆アルキル)の塩化物、臭化物、又はメチルサルフェート/DDAC;4級アンモニウム化合物(ベンジルアルキルジメチル(飽和又は不飽和のC〜C22アルキル、並びにタロウアルキル、ココイルアルキル、及び大豆アルキル)の塩化物、臭化物、又は水酸化物/BKC;4級アンモニウムイオン、C8〜10ジアルキルジメチルの化合物、塩化物;4級アンモニウムイオン ベンジル(C12〜14アルキル)ジメチルの化合物、塩化物;
−カビ防止製品、例えば、リグニンスルホン酸ナトリウム;N−メチルメタンアミンのポリマー((クロロメチル)オキシラン(Einecs 203−439−8)/塩化4級アンモニウム重合体とともにEinecs 204−697−4);N−ジデシル−N−ジポリエトキシアンモニウムボレート/ジデシルポリオキシエチルアンモニウム(didecylpolyoxethylammonium)ボレート;1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン;ビス(3−アミノプロピル)−オクチルアミン;2,2’,2”−(ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリイル)トリエタノール;4級アンモニウムイオン、ココイルジメチル[[[[(カルボニル−2 エチル)(ヒドロキシ−2 エチル)アミノ]−2 エチル]アミノ]−2 オキソ−2−エチル]アルキルの化合物、水酸化物、分子内塩;
−物質の変形に使用される流体保護製品、例えばリグニン;4級アンモニウムイオン、ベンジル(C12〜18アルキル)ジメチルの化合物、塩化物;ブロノポール;4級アンモニウムイオン、ベンジル(C12〜16アルキル)ジメチルの化合物、塩化物;
−汚染防止製品:ジンクピリチオン;ジクロロ−N−[(ジメチルアミノ)スルフォニル]フルオロ−N−(p−トリル)メタンスルフェンアミド/トリルフルアニド;ジクロロフルアニド;チオシアン酸銅;一酸化二銅;ビス(1−ヒドロキシ−1H−ピリジン−2−チオナト−O,S)銅、ジネーブ;N’−tert−ブチル−N−シクロプロピル−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン;
−又はその他の合成化合物、例えばN−ココイル−1,3−ジアミノプロパン、若しくは天然化合物、例えばゾステリン酸;
−又はこれらの混合物。
【0044】
式Iのトリアミンとは異なる他の殺生物性化合物の中ではゾステリン酸が好ましい。
【0045】
本発明によると、式Iのトリアミンとは異なる他の殺生物性化合物は、殺生物組成物の全質量に対して、質量基準で、0〜30%、好ましくは0.1%〜10%、より好ましくは0.5%〜8%、更に好ましくは1%〜3%存在する。
【0046】
本発明の文脈において、「非イオン性又はアニオン製の多糖」の語は、多数の基本糖の連続によって形成された炭水化物の高分子量体を意味する。
【0047】
本発明による非イオン性又はアニオン性の菌体外多糖は、糖乃至オースから構成される高分子量ポリマーであり、細菌性の発酵に由来する。つまりこれらは、これらを培地に放出する微生物によって分泌される。ある実施態様によると、これらは天然、即ち化学的に修飾されていないものであることができ、或いは第2の実施態様によると、EPSは、解重合及び/又は化学基若しくは機能の組み込みによって修飾されていてもよい。
【0048】
本発明の文脈において使用されるEPSは、好ましくは500kDaを超える、より好ましくは800kDaを超える、更に好ましくは1,000kDaを超える、とりわけ好ましくは2,000kDaを超える分子量を有する。
【0049】
本発明のある実施態様によると、本発明で使用されるEPSは、中性糖、酸性糖、アミノ糖、サルフェート、及び/又はたんぱく質を含有する。中性糖としては、例えば、グルコース、ラムノース、マンノース、及びガラクトースを挙げることができるが、これらに限定されない。酸性糖としては、例えば、ウロン酸、及び特にグルクロン酸、ガラクツロン酸、ヘキスロン酸、3位炭素がラクチル残基で置換されたフラン構造のヘキスロン酸のようなものを挙げることができるが、これらに限定されない。アミノ糖としては、例えば、N−アセチルグルコースアミン及びN−アセチルガラクトースアミンを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0050】
本発明における使用に好適なEPSは、該EPS中の単糖の総数を基準とする単糖数として、特に30%を超え、好ましくは30%〜95%、より好ましくは40%〜90%、更に好ましくは45%〜88%の中性糖を含有する。
【0051】
本発明のEPSは、該EPS中の単糖の総数を基準とする単糖数として、1%〜70%の酸性糖、好ましくは5%〜60%、より好ましくは8%〜53%の酸性糖を有利に含有する。
【0052】
本発明における使用に好適なEPSは、該EPS中の単糖の総数を基準とする単糖数として、30%未満のアミノ糖、好ましくは20%未満、より好ましくは12%未満のアミノ糖を好ましく含有する。
【0053】
菌体外多糖は、例えばアセテート、ピルベート、サクシネート、及びフォスフェート等の非炭化水素置換基を有していてもよい。
【0054】
その他の特徴について、本発明のEPSは、単糖100個当たりの表面分子数が50個未満であり、EPS中の単糖100個当たりの表面分子数は好ましくは40個未満、より好ましくは35個未満である。
【0055】
EPSは、好ましくは単糖100個当たりの蛋白が50個未満であり、EPS中の単糖100個当たりの蛋白は好ましくは40個未満、より好ましくは37個未満である。
【0056】
EPSは、好ましくはアミノアラビノース、アミノリボース、ヘプトース、及び/又はキシロースを含有しない。
【0057】
本発明における使用に好適な菌体外多糖を生成する細菌は、天然試料又は既存の収蔵品から有利に単離される。
【0058】
本発明のEPSは、コントロールされた条件下(炭水化物をエンリッチした栄養培地に起因する高い炭素/窒素比によって発生した栄養の偏り)において、異常な生態系(南極大陸、微生物カーペット、サンゴ礁等)に由来する細菌の発酵中に合成されたものである。
【0059】
第1の実施態様によると、EPSは、デキストラン(リューコノストック・メセンテロイデス、リューコノストック・デキストラニカム、及びラクトバチルス・ヒルガルディ)、キサンタン(キサントモナス・カンペストリス)、サクシノグリカン(アルカリジーンズ・フェカリス var ミクソジーンズ、シノリゾビウム・メリオティ)、ガラクトマンナン(アクロモバクテル spp.、アグロバクテリウム・ラジオバクター、シュードモナス・マルジナリス、リゾビウム spp.、及びズーグレア spp.)、又はこれらの混合物から選択される。
【0060】
第2の実施形態によると、EPSは、MO203、MO245、MO169、MO229、FAK1657、RA19、RA29、CAM023、CAM025、CMA036、CAM064、CAM015、CAM090、COT A、MICB−03A、EPS GG、MI550、TIK650、及びTE7、又はこれらの混合物から選択される。
【0061】
この第2の実施態様によると、これらEPSは、本発明日に適用される分類学的区分に準拠して、アルテモロナス、シュードアルテモロナス、ビブリオ、シュードモナス、又はピロコッカス属の細菌によって合成することができる。分類学上の区分は修正されるべきであり、当業者は、本発明のEPSに到達するように該分類学上の変更を適用するべきである。
【0062】
第2の実施態様に従ったこれらEPSに関する組成を下表に示した:
【表1】
【0063】
これらのEPSは、従来技術によって公知であり、特に下記の刊行物に記載されている:
−(RA−19):Raguenes G, Moppert X, Richert L, Ratiskol J, Payri C, Costa B. A novel exopolymer- producing bacterium, Paracoccus zeaxanthinifaciens subsp. payriae, isolated from a "kopara" mat located in Rangiroa, an atoll of French Polynesia. Curr Microbiol Volume 49: 145-51 (2004).
−(CAM025、CAM036、CAM015、CAM064、CAM090、CAM023):C.A. Mancuso Nichols, J. Guezennec, J.P. Bowman Bacterial Exopolysaccharides from Extreme Marine Environments with Special Consideration of the Southern Ocean, Sea Ice, and Deep-Sea Hydrothermal Vents: A Review . Marine Biotechnology Volume 7, 253-271 (2005).
−(MO203、MO245、RA19、RA29、MI550、TIK650、TE7):Jean Guezennec, Xavier Moppert, Gerard Raguenes, Laurent Richert, Bernard Costa, Christelle Simon-Colin: Microbial mats in French Polynesia and their biotechnological applications. Process Biochemistry, Volume 46 16-22 (2011).
【0064】
本発明における使用に好適な好ましいEPSは、MO203、MO169、FAK1657、キサンタン、及びデキストラン、又はこれらの混合物から選択される。
【0065】
本発明のEPSは、好ましくは、官能化され、カチオン性及び/又はアニオン性の電荷を有していてもよい。
【0066】
本発明によると、菌体外多糖は、殺生物組成物の全質量に対して、質量基準で、0.1〜10%、好ましくは0.5%〜8%、より好ましくは0.5%〜5%、更に好ましくは1%〜4%存在する。
【0067】
本発明による殺生物組成物は、種々の成分、即ち少なくとも水、殺生物性化合物、及び本発明の多糖を混合することにより、調製される。
【0068】
本発明の主題は、また、水中又は水と接触する表面上の生物学的皮膜、並びに微生物及びマクロ生物の成長抑制及び/又は除去のために、水及び前記水と接触する表面を処理する方法であって、前記方法が、下記の工程:
上述の殺生物組成物を、前記水中に注入する工程、及び/又は前記表面に塗布する工程を含むことを特徴とする、前記方法にも関する。
【0069】
従って第1の実施態様によると、本発明による殺生物組成物は、有利に水中に注入される。この第1の実施態様によると、殺生物組成物は、断続的に又は連続的に水中に注入される。第1のケース(断続処理)では、水1リットル当たり0.01〜20ppmの間の殺生物組成物濃度を得るために必要な量の投与が表面処理に好適であろう。第2のケース(連続処理)では、6mg/Lのオーダーの濃度を得るように殺生物組成物を毎日注入することが効果的であろう。殺生物組成物の必要濃度は、除去すべき微生物及びマクロ生物、水と接触する表面のサイズ及び性質、並びに水のフローレートに依存し、当業者によって容易に決定することができる。この実施態様の別形によると、殺生物組成物の活性製品(PS又はEPS、及び殺生物性製品)は水中に個別に注入されてもよい。
【0070】
第2の実施態様によると、殺生物組成物は、保護すべき表面への適用が可能となるように、例えば塗料等の材料中に組み入れられる。この実施態様によると、上述の殺生物組成物は、色素と同じ手法によって後に塗料中に導入される粉末状の製品を得るために、例えば、微粒子化シリカ等の粉末状フィラーと混合される。従って本発明の主題は、本発明の殺生物組成物を含む方法の本変形例を実施するために使用される塗料にも関する。
【0071】
従って、殺生物組成物を用いる本発明による方法は、微生物及びマクロ生物に起因する生物学的皮膜の成長を抑制し、或いはこれらが形成されたときにはこれらを駆除することができ、そして生物学的皮膜による腐食を防止する。
【0072】
本発明によると、本発明者らは、菌体外多糖等の多糖と組み合わされた式Iのトリアミンは、生物学的皮膜及び該皮膜にかかわる微生物に対する活性を有するばかりでなく、水と接触する表面に付着した動物王国に属するマクロ生物に対しても、光合成能力の有無にかかわらず、活性を有することを見出した。これらマクロ生物としては、カンザシゴカイ;甲殻類(フジツボ);ヒドロイデア、外肛動物,並びに特に例えばムラサキガイ及び牡蛎等の軟体動物等であることができる。
【0073】
簡単のため、マクロ生物に対するこの活性は本出願の残部において「軟体動物活性」の語によって参照される。この「軟体動物」活性は、式Iの殺生物性化合物、特には式II又はIIIの殺生物性化合物をデキストラン等の多糖と混合したときに、特に高いものであることが見出された。具体的には、多糖が如何なる抗菌性も殺生物活性も持たないものである限り、これら2種の化合物(本発明の特定の殺生物性化合物及び多糖)間の相乗反応が更に存在する。
【0074】
本発明によって使用される殺生物組成物は、公知の手法によって微生物に起因する生物学的皮膜の形成を抑制し、又はこれらが形成されたときにはこれらを駆除し、そしてこの生物学的皮膜による腐食を抑制することも可能とする。
【0075】
従って本発明の主題は、水中又は水と接触する表面上における、生物学的皮膜、微生物及び/又はマクロ生物の成長抑制及び/又は除去のための、上述の殺生物組成物の使用にも関する。
【0076】
該殺生物組成物は、特に、消防用水回路、ボイラー水回路、冷却水回路、船舶用バラスト水中で、又は海上プラットフォーム若しくは風力タービン中で使用することが意図されている。
【実施例】
【0077】
以下に、本発明の殺生物組成物製剤の実施例を非限定的な実例として提示する。これら実施例により、本発明がより明確に理解可能となろう。構成成分の濃度は、例示される殺生物組成物の全質量に対する質量基準で記載される。
【0078】
実施例1
【表2】
【0079】
実施例2
【表3】
【0080】
実施例3
【表4】
【0081】
実施例4
【表5】
【0082】
実施例5
【表6】
これら種々の組成物を試験し、以下のこと:
−これらが、スチール、銅、セラミック、ガラス、及びプラスチック等の表面の腐食を促進せず、むしろ抑制すること、
−これらが、生物学的皮膜の形成、及びマクロ生物のコロニーの成長も抑制すること、並びに
−これらが、産業装置の下流中の動植物を駆除し得る濃度で使用した後の水中に毒性又は腐食性の残滓を残さず、従って環境を保護すること
を見出した。
本発明について特定の実施態様と関連して記載したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が、ここに記載された手段の技術的等価物のすべて、及び本発明の背景に存在するこれらの結合物も包含することは、極めて明白である。